(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189075
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】土木構造体
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20221215BHJP
E03B 3/02 20060101ALI20221215BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20221215BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
E03F1/00 A
E03F1/00 Z
E03B3/02 Z
E03B11/14
E02D27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097431
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D046
2D063
【Fターム(参考)】
2D046AA15
2D063AA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】資材数が少なく、手作業のみで水平/鉛直方向で各資材を強固に固定できる高クリープ特性の高空隙率の土木構造体を提供する。
【解決手段】水平方向の梁材40と、前記梁材40の上下のコンクリート製の柱材30と、筒材50を有し、前記梁材40は、中央の梁部及びその両端の起立部を有し、前記柱材30の上下端に前記起立部が当接するように前記柱材30の上下端の周囲に複数の前記梁材40を配置し、下側の前記柱材30の上端及び当該上端に当接した前記起立部と、上側の前記柱材30の下端及び当該下端に当接した前記起立部を前記筒材50に収容した、土木構造体とした。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向の複数の梁材を有する複数の水平部材と、
前記梁材の上下のコンクリート製の複数柱材と、
筒材を有し、
上下の前記水平部材を前記柱部材により上下に離間させた土木構造体であって、
前記梁材は、中央の梁部及びその両端の起立部を有し、
前記柱材の上下端の周囲に複数の前記梁材を配置して前記柱材の上下端に前記起立部を当接させ、
下側の前記柱材の上端及び当該上端に当接した前記起立部と、上側の前記柱材の下端及び当該下端に当接した前記起立部を前記筒材に収容した、土木構造体。
【請求項2】
前記起立部が前記柱材の上下面に当接可能な係止部を有する、請求項1の土木構造体。
【請求項3】
下側の前記柱材の上端及び当該上端に当接する前記起立部及び前記筒材をボルト止めし、
上側の前記柱材の下端及び当該下端に当接する前記起立部及び前記筒材をボルト止めした、請求項1の土木構造体。
【請求項4】
前記梁材及び/又は前記筒材が金属製又は塩ビ製である、請求項1の土木構造体。
【請求項5】
前記柱材の下端を収容可能な凹部を有する土台をさらに有し、
最下段に前記土台を配置した、請求項1の土木構造体。
【請求項6】
前記梁部が強度向上のための凹部又は筒部又はL字部を有する、請求項1の土木構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として土木工事等で使用される土木構造体(骨組構造体)に関し、特に、貯水槽やダム構造、盛土等の形成に有用な土木構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
所定形状のブロックを多数積み上げた高空隙率の土木構造体を窪地に設置し、土で埋戻すことで、雨水の貯留空間を形成した貯留施設が知られている(特許文献1~3)。同様の土木構造体は盛土等の形成にも利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-211316号公報
【特許文献2】特開2010-048010号公報
【特許文献3】特開2018-131794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の土木構造体はプラスチックのブロックで形成されており、上方土圧/側方土圧への耐性に問題があり、クリープ変形する問題があった。このようなブロックをコンクリートで形成すると施工等で問題があった。出願人はこれまでコンクリート等の剛性材料の土木構造体を検討してきたが、施工容易で強度が一層高い土木構造体が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願には、
水平方向の複数の梁材を有する複数の水平部材と、
前記梁材の上下のコンクリート製の複数柱材と、
筒材を有し、
上下の前記水平部材を前記柱部材により上下に離間させた土木構造体であって、
前記梁材は、中央の梁部及びその両端の起立部を有し、
前記柱材の上下端の周囲に複数の前記梁材を配置して前記柱材の上下端に前記起立部を当接させ、
下側の前記柱材の上端及び当該上端に当接した前記起立部と、上側の前記柱材の下端及び当該下端に当接した前記起立部を前記筒材に収容した、土木構造体が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の1実施形態の土木構造体10を示す。
【
図3】例示的な梁材40を示す。(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図。
【
図4】例示的な筒材50を示す。(a)は斜視図、(b)は側面図。
【
図5】例示的な土台60、上梁芯70及び天材80を示す。
【
図6】例示的な土木構造体10の組み立て方法(平面図)を示す。
【
図7】例示的な土木構造体10の組み立て方法(側方断面図及び斜視図)を示す。
【
図8】例示的な土木構造体10の組み立て方法(拡大側方断面図)を示す。
【
図12】梁材40の変形形態を示す。(a)は平面図、(b)は側面図。
【
図13】梁材40の変形形態を示す。(a)は側面図、(b)は断面図。
【
図14】梁材40の変形形態を示す。(a)は側面図、(b)は断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の1実施形態の土木構造体10を示す。土木構造体10を窪地1に設置して土で埋め戻すことで雨水等の貯留槽2を形成できる。土木構造体10を路面下や宅地下に設置して盛土として使用し、又は、ダム底に設置してダム構造を形成してもよい。土木構造体10は陥没防止等のための天板5や側部土砂の進入防止のための壁板7を有し得る。土木構造体10は地上に設置する地上構造体としても使用可能である。
【0008】
土木構造体10は、複数の水平部材20と複数の柱材30を有し、水平部材20は柱材30により上下に離間される。後述のように水平部材20は複数の梁材40で形成され、柱材30と梁材40は筒材50を用いて接続される。柱材30はコンクリート製がよい。コンクリート製は鉄筋コンクリート等の剛性材料を含む。梁材40と筒材50は金属(例えば、鋼材)やプラスチック(例えば、塩ビ)がよい。
【0009】
図2は、柱材30(例えば、80×80×450mm)を示す。柱材30の上下端は平坦でよい。柱材30は、上下端の付近にボルト穴31を有するとよい。
【0010】
図3は、例示的な梁材40を示す。梁材40は、梁部41(例えば、820×50mm)と梁部41の両端の接続部42を有する。接続部42は起立部43(例えば、60×50mm)と係止部44(例えば、30×50mm)を有する。起立部43はボルト穴31に対応するボルト穴45を有するとよい。
【0011】
図4は、例示的な筒材50を示す。筒材50は貫通孔51を有する中空筒体である。筒材50はボルト穴31に対応するボルト穴52を有するとよい。
【0012】
梁材40及び/又は筒材50は金属、プラスチック等の粘弾性材料がよく、特に鋼材がよい。梁材40及び/又は筒材50の厚さは例えば1~3mでよい。
【0013】
土木構造体10はさらに
図5に示すような土台60(例えば、200×200×130mm)、梁芯70(例えば、800×50×100mm)及び天材80(例えば、500×500×100mm)を有するとよい。土台60の上面及び天材80の下面は凹部61,81を有するとよい。これらはコンクリート製がよい。
【0014】
図6~8は土木構造体10の組み立て方法を示す。組立の手順は下記の通りである。
A:複数の土台60を縦横に所定間隔で配列する。
B:隣接する土台60の間に梁材40を懸架する(差し渡す)。各梁材40の接続部42は凹部61に挿入し、その中に柱材30を挿入する。
C:隣接する柱材30の間に下の梁材40を懸架する。このとき柱材30の上端に四方から起立部43を当接させ、柱材30の上面に各梁材40の係止部44を当接させるとよい。
D:柱材30の上端と起立部43に筒材50を被せる。
E:隣接する筒材50の間に上の梁材40を懸架し、梁材40の接続部42の間に柱材30を挿入する。起立部43は柱材30の下端に当接させ、係止部44は柱材30の下面に当接させるとよい。
その後は、C~Eの手順を繰り返す。
【0015】
上記で組み立てた土木構造体10では、下側の柱材30の上端と当該上端に係合した四方の接続部42と、上側の柱材30の下端及び当該下端に係合した四方の接続部42が筒材50に収容される(
図8)。上の柱材30からの重量や筒材50の拘束により柱材30と梁材40が強固に固定される。柱材30と接続部42と筒材50の間の隙間は無い方がよい。ボルト穴31,45,52にボルトBを通して止めるとより強固に固定できる。筒材50と起立部43を長くしてボルト止めを省略してもよい。同一水平面内の一対の梁材40が1層の水平部材20である。
【0016】
図9のように最上層の一対の梁材40の間に梁芯70を入れて強化し、その上に天材とシート等を配置するとよい。天材80を用いて
図9のようにしてもよい。凹部81に挿入した柱材30と下の梁材40で全体が安定する。土木構造体10の外周にはPP等の外壁を配置するとよい。
【0017】
本発明の土木構造体10は、少数種類の資材でしかも手作業のみで強固かつ高クリープ耐性の高空隙率の構造体を形成可能であり、極めて簡易に柱材30と梁材40を水平/鉛直方向で強固に固定できる。コンクリートの柱材30と鋼材等の梁材40及び筒材50を用いたことでクリープ耐性と組み立て容易性が向上した。下層の一対の梁材40の間にも梁芯70と同様のコンクリート板を入れるとさらに強化できる。
【0018】
図11のように梁材40を複数重ねにし、又は梁材40にプレス加工等で
図12のように凹部46を形成し、又は
図13のように中間に筒部47を形成し、又は
図14のように梁部41の全部又は中央付近にL字部を設ける(又は梁部41の全部又は中央付近にL字鋼を使用する)等により強化してもよい。
【0019】
四角形の柱材30の四方から梁材40が当接する例を示したが、三角や六角等の柱材30を用いて梁材40の数を変える等が可能である。上記実施形態に記載した土木構造体10やその要素の寸法、形状、配置、個数、材料等は例示であり、他の態様も可能である。
【符号の説明】
【0020】
1・・・窪地
2・・・貯留槽
5・・・天板
7・・・壁板
10・・・土木構造体
20・・・水平部材
30・・・柱材
31・・・ボルト穴
40・・・梁材
41・・・梁部
42・・・接続部
43・・・起立部
44・・・係止部
45・・・ボルト穴
46・・・凹部
47・・・筒部
48・・・L字部
50・・・筒材
51・・・貫通孔
52・・・ボルト穴
60・・・土台
61・・・凹部
70・・・梁芯
80・・・天材
81・・・凹部
61,81・・・凹部