(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189084
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】部品圧着システムおよび部品圧着方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20221215BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20221215BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H01L21/60 311T
H05K3/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097459
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】片野 良一郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 真五
【テーマコード(参考)】
5E319
5E353
5F044
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB05
5E319AC01
5E319CC12
5E319CD04
5E319CD35
5E319GG15
5E353BB06
5E353BC02
5E353CC01
5E353GG14
5E353GG21
5E353JJ41
5E353JJ48
5E353KK01
5E353NN15
5F044LL09
5F044PP11
5F044PP15
(57)【要約】
【課題】実装基板の生産性の向上を図ることができる部品圧着システムを提供する。
【解決手段】部品圧着システム1は、基板3における一辺に沿う第1の縁部3aに部品5aを圧着する部品圧着装置M1と、部品圧着装置M1から搬出された基板3を受け取り、その基板3の向きを変更する基板中継装置10bと、部品圧着装置M1から基板中継装置10bを介して、向きが変更された基板3を受け取り、その基板3における上記一辺と異なる辺に沿う第2の縁部3bに部品5bを圧着する部品圧着装置M2とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板における一辺に沿う第1の縁部に第1の部品を圧着する第1の部品圧着装置と、
第1の部品圧着装置から搬出された前記基板を受け取り、前記基板の向きを変更する基板中継装置と、
前記第1の部品圧着装置から前記基板中継装置を介して、向きが変更された前記基板を受け取り、前記基板における前記一辺と異なる辺に沿う第2の縁部に第2の部品を圧着する第2の部品圧着装置と
を備える部品圧着システム。
【請求項2】
前記第2の部品圧着装置は、前記第2の部品を前記基板に圧着するための少なくとも1つの処理工程を、前記基板の向きを変更することなく実行する、
請求項1に記載の部品圧着システム。
【請求項3】
前記第2の部品圧着装置における前記少なくとも1つの処理工程は、
前記基板の第2の縁部に形成された電極部に異方性導電部材を貼り付ける第2の貼着工程と、
前記電極部に前記異方性導電部材を介して前記第2の部品を仮圧着する第2の仮圧着工程と、
前記第2の部品を本圧着する第2の本圧着工程とを含む、
請求項2に記載の部品圧着システム。
【請求項4】
前記部品圧着システムは、さらに、
前記第1の部品圧着装置に前記基板を搬入するための基板搬入装置を備え、
前記基板搬入装置は、
前記第1の部品圧着装置に搬入される前記基板の第1の向きが、第2の向きと異なる場合に、前記基板の第1の向きを前記第2の向きに変更する、
請求項1~3の何れか1項に記載の部品圧着システム。
【請求項5】
前記第1の部品圧着装置は、前記第1の部品を前記基板に圧着するための少なくとも1つの処理工程を、前記基板の向きを前記第2の向きから変更することなく実行する、
請求項4に記載の部品圧着システム。
【請求項6】
前記第1の部品圧着装置における前記少なくとも1つの処理工程は、
前記基板の第1の縁部に形成された電極部に異方性導電部材を貼り付ける第1の貼着工程と、
前記電極部に前記異方性導電部材を介して前記第1の部品を仮圧着する第1の仮圧着工程と、
前記第1の部品を本圧着する第1の本圧着工程とを含む、
請求項5に記載の部品圧着システム。
【請求項7】
第1の部品圧着装置が、基板における一辺に沿う第1の縁部に第1の部品を圧着する第1の工程と、
基板中継装置が、第1の部品圧着装置から搬出された前記基板を受け取り、前記基板の向きを変更する第2の工程と、
第2の部品圧着装置が、前記第1の部品圧着装置から前記基板中継装置を介して、向きが変更された前記基板を受け取り、前記基板における前記一辺と異なる辺に沿う第2の縁部に第2の部品を圧着する第3の工程と
を含む部品圧着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板に部品を圧着する部品圧着システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルなどの基板に電子部品(以下、単に「部品」と呼称する)を圧着する部品圧着システムとして、FPD(Flat Panel Display)モジュールの組立装置が提案されている(特許文献1参照)。この組立装置である部品圧着システムは、基板の端部に、異方性導電部材であるACF(Anisotropic Conductive Film)を介して部品を圧着する。これにより、部品が圧着された基板である実装基板が生産される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の部品圧着システムでは、実装基板の生産性の向上が不十分であるという課題がある。
【0005】
そこで、本開示では、実装基板の生産性の向上を図ることができる部品圧着システムなどを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る部品圧着システムは、基板における一辺に沿う第1の縁部に第1の部品を圧着する第1の部品圧着装置と、第1の部品圧着装置から搬出された前記基板を受け取り、前記基板の向きを変更する基板中継装置と、前記第1の部品圧着装置から前記基板中継装置を介して、向きが変更された前記基板を受け取り、前記基板における前記一辺と異なる辺に沿う第2の縁部に第2の部品を圧着する第2の部品圧着装置とを備える。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の部品圧着システムは、実装基板の生産性の向上を図ることができる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態における部品圧着システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における基板中継装置、部品圧着装置および基板搬出装置の平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における基板中継装置の動作を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における部品圧着システムで搬送される基板の向きの変化を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態におけるコンピュータが基板搬入装置を制御するための処理動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態の変形例における部品圧着システムで搬送される基板の向きの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した特許文献1の部品圧着システムに関し、以下の課題が生じることを見出した。
【0012】
特許文献1の部品圧着システムである組立装置は、複数の処理ユニットを備える。それらの複数の処理ユニットは、組立ラインを構成する。そして、その複数の処理ユニットのうちの1以上の処理ユニットは、基板の長辺側にACFを貼り付けて、そのACFを介して基板に部品を仮圧着し、さらに、本圧着を行う。また、その複数の処理ユニットのうちの残りの1以上の処理ユニットは、基板の短辺側にACFを貼り付けて、そのACFを介して基板に部品を仮圧着し、さらに、本圧着を行う。これにより、基板の長辺側への部品の圧着と、その基板よりも先に組立ラインに投入された基板の短辺側への部品の圧着とを並列に、すなわち、パイプライン処理のように実行することができる。これにより、タクトタイムを短縮することができる。
【0013】
ここで、その特許文献1の部品圧着システムでは、短辺側を処理する1以上の処理ユニットのうちの1つのユニットであるゲート側複合処理ユニットは、ACFを基板に貼り付けて、かつ、その基板にACFを介して部品を仮圧着する。そして、そのゲート側複合処理ユニットは、基板に部品を仮圧着するために、ACFの貼り付けおよび仮圧着だけでなく、その基板の向きを変える。しかし、このような部品の圧着を行うユニットが、その基板の向きを変える作業まで行うと、タクトタイムを十分に短縮することができず、実装基板の生産性の向上が不十分になってしまう。
【0014】
そこで、このような課題を解決するために、本開示の一態様に係る部品圧着システムは、基板における一辺に沿う第1の縁部に第1の部品を圧着する第1の部品圧着装置と、第1の部品圧着装置から搬出された前記基板を受け取り、前記基板の向きを変更する基板中継装置と、前記第1の部品圧着装置から前記基板中継装置を介して、向きが変更された前記基板を受け取り、前記基板における前記一辺と異なる辺に沿う第2の縁部に第2の部品を圧着する第2の部品圧着装置とを備える。
【0015】
これにより、第1の部品圧着装置による基板の第1の縁部への第1の部品の圧着と、第2の部品圧着装置による他の基板の第2の縁部への第2の部品の圧着とを、並列に実行することができる。したがって、タクトタイムの短縮を図ることができる。なお、その第2の部品圧着装置によって処理される基板は、例えば、第1の部品圧着装置によって処理される基板よりも先に部品圧着システムに投入された基板であって、第1の部品が第1の縁部に既に圧着されている基板である。また、第1の縁部に第1の部品が圧着された基板の向きは、第2の部品圧着装置に搬入される前に変更される。したがって、その向きが変更された基板が第2の部品圧着装置に搬入されるため、第2の部品圧着装置では、その基板の向きを変更することなく、基板の第2の縁部に第2の部品を圧着することができる。その結果、第2の部品圧着装置が基板に対して部品の圧着を行っているときにも、その次に第2の部品圧着装置に搬入される基板の向きを変更しておくことができるため、タクトタイムをさらに短縮することができる。したがって、実装基板の生産性のさらなる向上を図ることができる。
【0016】
また、前記第2の部品圧着装置は、前記第2の部品を前記基板に圧着するための少なくとも1つの処理工程を、前記基板の向きを変更することなく実行してもよい。
【0017】
これにより、第2の部品圧着装置では、その少なくとも1つの処理工程を短期間に実行することができ、実装基板の生産性の向上を図ることができる。
【0018】
また、前記第2の部品圧着装置における前記少なくとも1つの処理工程は、前記基板の第2の縁部に形成された電極部に異方性導電部材を貼り付ける第2の貼着工程と、前記電極部に前記異方性導電部材を介して前記第2の部品を仮圧着する第2の仮圧着工程と、前記第2の部品を本圧着する第2の本圧着工程とを含んでもよい。
【0019】
これにより、第2の部品を基板の第2の縁部に適切に圧着することができる。
【0020】
また、前記部品圧着システムは、さらに、前記第1の部品圧着装置に前記基板を搬入するための基板搬入装置を備え、前記基板搬入装置は、前記第1の部品圧着装置に搬入される前記基板の第1の向きが、第2の向きと異なる場合に、前記基板の第1の向きを前記第2の向きに変更してもよい。
【0021】
これにより、部品の圧着のために用意された基板の向きがどのような向きであっても、その基板が第1の部品圧着装置に搬入される前には、その基板の向きを第2の向きに変更することができる。例えば、その第2の向きは、第1の部品圧着装置が基板の第1の縁部に第1の部品を圧着するために必要な向きである。したがって、その第2の向きの基板が第1の部品圧着装置に搬入されるため、第1の部品圧着装置では、その基板の向きを第2の向きから変更することなく、基板の第1の縁部に第1の部品を圧着することができる。その結果、第1の部品圧着装置が基板に対して部品の圧着を行っているときにも、その次に第1の部品圧着装置に搬入される基板の向きを第2の向きに変更しておくことができるため、タクトタイムをさらに短縮することができる。したがって、実装基板の生産性をさらに向上することができる。
【0022】
また、前記第1の部品圧着装置は、前記第1の部品を前記基板に圧着するための少なくとも1つの処理工程を、前記基板の向きを前記第2の向きから変更することなく実行してもよい。
【0023】
これにより、第1の部品圧着装置では、その少なくとも1つの処理工程を短期間に実行することができ、実装基板の生産性の向上を図ることができる。
【0024】
また、前記第1の部品圧着装置における前記少なくとも1つの処理工程は、前記基板の第1の縁部に形成された電極部に異方性導電部材を貼り付ける第1の貼着工程と、前記電極部に前記異方性導電部材を介して前記第1の部品を仮圧着する第1の仮圧着工程と、前記第1の部品を本圧着する第1の本圧着工程とを含んでもよい。
【0025】
これにより、第1の部品を基板の第1の縁部に適切に圧着することができる。
【0026】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0028】
(実施の形態)
[部品圧着システムの概略構成]
図1は、本実施の形態における部品圧着システムの概略構成を示す図である。
【0029】
本実施の形態における部品圧着システム1は、液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどのディスプレイパネルである基板3に部品5を圧着することによって実装基板を生産するシステムである。
【0030】
なお、部品5は、例えば駆動回路などの電子部品である。具体的には、部品5は、IC(Integrated Circuit)チップ、TCP(Tape Carrier Package)、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などである。また、本実施の形態において、基板3の搬送方向をX軸方向と称し、鉛直方向をZ軸方向と称し、X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向、すなわち奥行き方向をY軸方向と称す。また、X軸方向の負側および正側は、基板3の搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ相当し、Z軸方向の負側および正側は、鉛直方向の下側および上側にそれぞれ相当し、Y軸方向の負側および正側は、奥行き方向の手前側および奥側、または、前側および後側にそれぞれ相当する。
【0031】
このような部品圧着システム1は、
図1に示すように、基板搬入装置10a、部品圧着装置M1、基板中継装置10b、部品圧着装置M2、基板搬出装置10c、およびコンピュータ2を備える。部品圧着装置M1およびM2は、それぞれ基板3に部品5を圧着する装置であって、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40とを有する。基板搬入装置10a、基板中継装置10bおよび基板搬出装置10cは、部品圧着装置M1およびM2への基板3の搬入、または、部品圧着装置M1およびM2からの基板3の搬出のために、その基板3が載置される装置である。つまり、基板搬入装置10a、基板中継装置10bおよび基板搬出装置10cには、基板3が仮置きされる。
【0032】
基板搬入装置10aは、部品圧着装置M1に基板3を搬入するための装置である。このような基板搬入装置10aは、作業者または上流側の他の装置から基板3を受け取る。つまり、基板搬入装置10aに基板3が仮置きされる。そして、その基板3は、下流側の部品圧着装置M1の貼着部20に搬入される。
【0033】
部品圧着装置M1における貼着部20、仮圧着部30および本圧着部40は、以下の処理を行う。まず、貼着部20は、基板搬入装置10aから基板3を受け取り、その基板3の周縁にある複数の電極部4のうち、部品圧着装置M1に予め割り当てられている1以上の電極部4のそれぞれにACFを貼着する。そして、そのACFが貼着された基板3は仮圧着部30に受け渡される。なお、複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極によって構成されている。
【0034】
仮圧着部30は、貼着部20から基板3を受け取り、その基板3のACFが貼着されている部位に部品5を搭載して仮圧着する。そして、その部品5が仮圧着された基板3は本圧着部40に受け渡される。
【0035】
本圧着部40は、仮圧着部30から基板3を受け取り、その基板3に仮圧着された部品5に対して本圧着(熱圧着ともいう)を行う。そして、その部品5の本圧着が行われた基板3は基板中継装置10bに受け渡される。
【0036】
基板中継装置10bは、部品圧着装置M1の本圧着部40から基板3を受け取る。つまり、基板中継装置10bに基板3が仮置きされる。そして、その基板3は、下流側の部品圧着装置M2の貼着部20に受け渡される。このように、基板中継装置10bは、部品圧着装置M1と部品圧着装置M2との間で基板3の中継を行う。
【0037】
部品圧着装置M2は、部品圧着装置M1から基板中継装置10bを介して基板3を受け取り、その基板3に対して、部品圧着装置M1と同様の処理を行う。つまり、部品圧着装置M2は、その基板3の周縁にある複数の電極部4のうち、部品圧着装置M2に予め割り当てられている1以上の電極部4のそれぞれに部品5を圧着する。そして、部品圧着装置M2の本圧着部40で本圧着が行われた基板3は、基板搬出装置10cに受け渡される。
【0038】
基板搬出装置10cは、部品圧着装置M2の本圧着部40から基板3を受け取る。つまり、基板搬出装置10cに基板3が仮置きされる。そして、その基板3は下流側に搬出される。
【0039】
コンピュータ2は、基板搬入装置10a、部品圧着装置M1、基板中継装置10b、部品圧着装置M2、および基板搬出装置10cに、有線または無線によって接続され、それらの装置を制御する。
【0040】
このように、部品圧着システム1は、基板3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を実装する部品実装作業を実行し、部品5が実装された基板3である実装基板を基板搬出装置10cから搬出する。
【0041】
ここで、本実施の形態では、部品圧着装置M1は、基板3における一辺に沿う第1の縁部に部品5aを圧着する。部品圧着装置M2は、基板3におけるその一辺と異なる辺に沿う第2の縁部に部品5bを圧着する。例えば、基板3は、長方形の板状であって、第1の縁部は、基板3の短辺に沿う縁部であり、第2の縁部は、基板3の長辺に沿う縁部である。
【0042】
なお、本実施の形態では、部品圧着装置M1は、第1の部品圧着装置とも呼ばれ、部品圧着装置M2は、第2の部品圧着装置とも呼ばれる。また、部品5aおよび部品5bは、部品5の一例であって、第1の部品および第2の部品とも呼ばれる。部品5aと部品5bとは、同一の部品であってもよく、互に異なる部品であってもよい。
【0043】
[部品圧着装置の詳細構成]
図2は、本実施の形態における基板中継装置10b、部品圧着装置M2および基板搬出装置10cの平面図である。具体的には、
図2は、それらの装置を上方から見た構成を示す。
【0044】
基板中継装置10bは、基台1aを備える。基板中継装置10bの基台1aには、基板3が載置されるステージ11が設けられている。ステージ11は、基台1aに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ11の上面には、複数の吸着孔11aが設けられている。このようなステージ11は、作業者または上流側の他の装置から搬入されてステージ11上に載置された基板3を、図示しないポンプ等の吸引器によって吸着孔11aから真空吸着して保持する。
【0045】
貼着部20は、基板3の電極部4に異方性導電部材であるACFを貼着する貼着作業(言い換えると、貼着工程)を行う機能を備える。貼着部20は、基板移動機構21と、貼着機構22とを備える。
【0046】
基板移動機構21は、基板3を移動させる機構である。基板移動機構21は、例えば、X軸方向に可動なX軸テーブルと、Y軸方向に可動なY軸テーブルと、Z軸方向に可動なZ軸テーブルと、ステージ23とを備える。基板移動機構21には、基台1b上に下方から順に、X軸テーブルと、Y軸テーブルと、Z軸テーブルと、ステージ23とが重ねて設けられている。
【0047】
Y軸テーブルは、Y軸方向に延びて設けられ、X軸テーブル上をX軸方向に自在に移動する。Z軸テーブルは、Y軸テーブル上をY軸方向に自在に移動し、上部に設けられたステージ23をZ軸方向に昇降するとともにZ軸回りに回転させる。
【0048】
また、ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられており、ステージ23は、その上面に載置された基板3を真空吸着して保持する。このように、基板移動機構21は、基板3を吸着保持して水平面内(具体的には、X軸方向およびY軸方向)で移動させ、上下方向(具体的には、Z軸方向)に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
【0049】
貼着機構22は、基台1bの上方に、X軸方向に並んだ例えば2つの貼着ヘッドを備えている。各貼着ヘッドは、ACFを供給する供給部と、ACFを基板3に貼着するための貼着ツールとを備えている。2つの貼着ヘッドのそれぞれは、基板3上の電極部4に対応する位置にACFを貼着する。また、2つの貼着ヘッドのそれぞれに対応する下方の位置には、貼着支持台が備えられている。
【0050】
仮圧着部30は、基板3のACFが貼着された領域(すなわち圧着対象部位)に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着工程を実行する。仮圧着部30は、基板移動機構31と、部品搭載機構32と、部品供給部33と、部品移動部35とを備える。
【0051】
基板移動機構31は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構31は、基板3を保持するステージ37を有する。ステージ37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられている。基板移動機構31は、そのステージ37上に載置された基板3をその複数の吸着孔37aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構31は、基板3を吸着保持するステージ37を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構31は、そのステージ37の移動および回転によって、吸着保持されている基板3のACFが貼着された領域を、部品搭載機構32のバックアップステージである下受け部36の上方に位置させる。
【0052】
部品供給部33は、部品搭載機構32の奥側方(すなわちY軸方向正側)に基台1bの後部から張り出して設けられている。例えば、部品供給部33は、TCPなどの帯状部品収納体が巻き付けられた供給リール33aと、打ち抜き部33bと、可動ステージ33cと、レール33dとを備える。このような部品供給部33は、それらの構成要素の動きによって帯状部品収納体から部品5を順次供給する。
【0053】
部品移動部35は、部品供給部33から供給される部品5を保持して、部品搭載機構32に含まれる圧着ツール34側に移動させる。
【0054】
部品搭載機構32は、基台1b上に設けられ、圧着ツール34と下受け部36とを備える。
【0055】
下受け部36は、ステージ37に保持されている基板3における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する。なお、この圧着対象部位は、基板3の縁部においてACFが貼着されている部位である。つまり、下受け部36は、部品5が圧着される基板3の縁部を、その基板3の下方側から支持する。
【0056】
圧着ツール34は、部品5を保持し、ステージ37に保持されている基板3に部品5を圧着する。つまり、圧着ツール34は、下受け部36によって支持されている基板3の縁部にある圧着対象部位に部品5を圧着する。具体的には、圧着ツール34は、Z軸方向に昇降し、部品移動部35によって移動された部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)する。そして、圧着ツール34は、吸着した部品5をACF上に搭載して基板3ごと下受け部36に押し付けることで、基板3に部品5を仮圧着する。例えば、圧着ツール34は、約80℃に加熱された状態で、部品5を基板3に圧着する。
【0057】
なお、仮圧着部30は、基板移動機構31によって保持されている基板3の方向を90度回転させる機構を備えてもよい。また、
図2に示す例では、仮圧着部30は、TCPの部品5を仮圧着するが、トレイによって供給されるICなどの部品5を仮圧着してもよい。
【0058】
本圧着部40は、仮圧着部30によって基板3に仮圧着された部品5を基板3に本圧着(つまり、熱圧着)する本圧着工程(つまり、熱圧着工程)を実行する。こうすることで、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。このような本圧着部40は、基板移動機構41と、圧着機構42とを備える。
【0059】
基板移動機構41は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構41は、ステージ49を有する。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられている。基板移動機構41は、そのステージ49上に載置された基板3をその複数の吸着孔49aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構41は、基板3を吸着保持するステージ49を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構41は、そのステージ49の移動および回転によって、吸着保持されている基板3の部品5が仮圧着された領域を、圧着機構42の下受け部46の上方に位置させる。
【0060】
圧着機構42は、基台1b上に設けられ、圧着ツール43と下受け部46とを備える。
【0061】
圧着ツール43は、加熱され、下受け部46によって支持されている基板3の部品5を下受け部46側に押圧する。例えば、圧着ツール43は、約200℃に加熱された状態で、部品5を押圧する。これにより、部品5は本圧着され、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。
【0062】
基板搬出装置10cは、基板中継装置10bと同様の構成を有していてもよい。つまり、基板搬出装置10cは、基台1aとステージ11とを備える。このような基板搬出装置10cは、本圧着部40から搬出された基板3をステージ11上に真空吸着して保持する機能を備える。基板搬出装置10cにおいて保持された基板3は、下流側の他の装置に搬出されるか、作業者によってステージ11から取り出される。
【0063】
なお、基板搬入装置10aも、基板中継装置10bおよび基板搬出装置10cと同様の構成を有していてもよい。また、部品圧着システム1は、搬送部60を備えていてもよい。
【0064】
搬送部60は、基板3を搬送する装置である。具体的には、搬送部60は、基板搬入装置10aに搬入された基板3を、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および、基板搬出装置10cへこの順に受け渡す機能を備える。搬送部60は、貼着部20、仮圧着部30、および本圧着部40の前方領域(すなわちY軸方向負側)に配置されている。
【0065】
搬送部60は、2つの基台1aおよび基台1bにわたってX軸方向に延びた移動ベース61上に、上流側から順に配置されている、基板搬送機構62A、基板搬送機構62B、基板搬送機構62C、および、基板搬送機構62Dを備えている。
【0066】
基板搬送機構62A~62Dは、それぞれ基部63および1以上のアームユニット64を備える。本実施の形態では、基板搬送機構62A~62Dがそれぞれ2基のアームユニット64を備える場合を例示している。
【0067】
基部63は、移動ベース61上に設けられ、X軸方向に自在に移動する。基部63上には、2基のアームユニット64がX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64は、基板3を上方から真空吸着する。
【0068】
基板搬送機構62A~62Dのそれぞれは、ステージ11、23、37、49が保持する基板3を上方から真空吸着する基板受け渡し位置に移動して、昇降するステージ11、23、37、49から基板3の受け取りまたは受け渡しを行う。例えば、基板搬送機構62Aは、基板搬入装置10aのステージ11に載置された基板3を受け取り、貼着部20のステージ23に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Bは、貼着部20のステージ23から基板3を受け取り、仮圧着部30のステージ37に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Cは、仮圧着部30のステージ37から基板3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Dは、本圧着部40のステージ49から基板3を受け取り、基板搬出装置10cのステージ11に受け渡す。
【0069】
図3は、本実施の形態における基板中継装置10bの動作を説明するための図である。具体的には、
図3の(a)は、基板中継装置10bの斜視図を示し、
図3の(b)および(c)は、基板中継装置10bによる基板3の回転を説明するための上面図を示す。
【0070】
基板中継装置10bは、
図3の(a)に示すように、基板3が載置される上述のステージ11と、ステージ駆動軸12とを備える。
【0071】
ステージ駆動軸12は、モータなどのアクチュエータによる駆動によってZ軸方向に昇降し、さらに、Z軸方向に沿う回転軸を中心に回転する。このような、ステージ駆動軸12の上端にはステージ11が接続されている。したがって、ステージ駆動軸12は、昇降および回転することによって、そのステージ11に載置されている基板3を昇降させ、さらに、回転させる。つまり、本実施の形態における基板中継装置10bは、部品圧着装置M1から搬出された基板3を受け取り、その基板3の向きを変更する。
【0072】
例えば
図3の(b)に示すように、ステージ11に載置されている基板3は、反時計回りに90°回転する。つまり、この回転によって、ステージ11に載置されている基板3の向きは、横向きから縦向きに変更される。本実施の形態において、縦向きは、基板3の長手方向がY軸方向に沿い、かつ、基板3における短辺に沿う第1の縁部3aがY軸方向正側に向けられている基板3の向きである。また、本実施の形態において、横向きは、基板3の長手方向がX軸方向に沿い、かつ、基板3における長辺に沿う第2の縁部3bがY軸方向正側に向けけられている基板3の向きである。
【0073】
このように、基板中継装置10bによって基板3の向きが横向きから縦向きに変更される場合には、部品圧着装置M2は、その基板3の向きを変更することなく、基板3の第1の縁部3aに形成されている電極部4に対して部品5bを圧着することができる。
【0074】
また、例えば
図3の(c)に示すように、ステージ11に載置されている基板3は、時計回りに90°回転する。この回転によって、ステージ11に載置されている基板3の向きは、縦向きから横向きに変更される。このように、基板中継装置10bによって基板3の向きが縦向きから横向きに変更される場合には、部品圧着装置M2は、その基板3の向きを変更することなく、基板3の第2の縁部3bに形成されている電極部4に対して部品5bを圧着することができる。
【0075】
なお、基板中継装置10bは、
図3の(b)に示すように基板3の向きを変更することもできるが、本実施の形態における部品圧着システム1では、
図3の(c)に示すように、基板3の向きを変更する。つまり、部品圧着装置M1から搬出された基板3は、縦向きの状態で基板中継装置10bのステージ11に載置されて、基板中継装置10bによって横向きに変更される。そして、部品圧着装置M2は、その基板3の第2の縁部3bに部品5bを圧着する。また、基板搬入装置10aおよび基板搬出装置10cも、それぞれ基板中継装置10bと同様の構成を有していてもよい。
【0076】
図4は、本実施の形態における部品圧着システム1で搬送される基板3の向きの変化を示す図である。
【0077】
例えば、部品圧着装置M1は、基板3における第1の縁部3aに形成されている電極部4に部品5aを圧着する。なお、第1の縁部3aは、基板3における短辺に沿う縁部である。また、部品圧着装置M2は、基板3における第2の縁部3bに形成されている電極部4に部品5bを圧着する。なお、第2の縁部3bは、基板3における長辺に沿う縁部である。
【0078】
このような場合、基板搬入装置10aのステージ11に横向きの基板3が載置されると、基板搬入装置10aは、ステージ駆動軸12およびステージ11の回転によって、その基板3の向きを横向きから縦向きに変更する。その結果、基板3の第1の縁部3aがY軸方向正側に向けられる。そして、その縦向きの基板3が部品圧着装置M1の貼着部20に搬入される。
【0079】
部品圧着装置M1に搬入された基板3の第1の縁部3aはY軸方向正側に向けられている。その結果、部品圧着装置M1の貼着部20、仮圧着部30および本圧着部40のそれぞれは、基板3の向きを変更することなく、基板3の第1の縁部3aに対して部品5aを圧着するための処理を行う。つまり、部品圧着装置M1の貼着部20は、縦向きの基板3の第1の縁部3aに形成されている電極部4にACFを貼り付ける。ACFが張り付けられた基板3は、縦向きの状態で貼着部20から仮圧着部30に移される。部品圧着装置M1の仮圧着部30は、縦向きの基板3の第1の縁部3aに形成されている電極部4にACFを介して部品5aを仮圧着する。第1の部品5aが仮圧着された基板3は、縦向きの状態で仮圧着部30から本圧着部40に移される。部品圧着装置M1の本圧着部40は、縦向きの基板3の第1の縁部3aに仮圧着されている部品5aに対して本圧着を行う。
【0080】
このように、本実施の形態における部品圧着装置M1は、部品5aを基板3に圧着するための少なくとも1つの処理工程を、基板3の向きを縦向きから変更することなく実行する。その少なくとも1つの処理工程は、基板3の第1の縁部3aに形成された電極部4にACFを貼り付ける第1の貼着工程と、その電極部4にACFを介して部品5aを仮圧着する第1の仮圧着工程と、その部品5aを本圧着する第1の本圧着工程とを含む。これにより、部品圧着装置M1では、それらの各処理工程を短期間に実行することができ、実装基板の生産性の向上を図ることができる。
【0081】
部品圧着装置M1で本圧着が行われた基板3は、縦向きの状態で本圧着部40から基板中継装置10bに移される。つまり、縦向きの基板3が基板中継装置10bのステージ11に仮置きされる。基板中継装置10bは、ステージ駆動軸12およびステージ11の回転によって、その基板3の向きを縦向きから横向きに変更する。その結果、基板3の第2の縁部3bがY軸方向正側に向けられる。そして、その横向きの基板3が部品圧着装置M2の貼着部20に搬入される。つまり、部品圧着装置M2は、部品圧着装置M1から基板中継装置10bを介して、向きが変更された基板3を受け取る。
【0082】
部品圧着装置M2に搬入された基板3の第2の縁部3bはY軸方向正側に向けられている。その結果、部品圧着装置M2の貼着部20、仮圧着部30および本圧着部40のそれぞれは、基板3の向きを変更することなく、基板3の第2の縁部3bに対して部品5bを圧着するための処理を行う。つまり、部品圧着装置M2の貼着部20は、横向きの基板3の第2の縁部3bに形成されている電極部4にACFを貼り付ける。ACFが張り付けられた基板3は、横向きの状態で貼着部20から仮圧着部30に移される。部品圧着装置M2の仮圧着部30は、横向きの基板3の第2の縁部3bに形成されている電極部4にACFを介して部品5bを仮圧着する。部品5bが仮圧着された基板3は、横向きの状態で仮圧着部30から本圧着部40に移される。部品圧着装置M2の本圧着部40は、横向きの基板3の第2の縁部3bに仮圧着されている部品5bに対して本圧着を行う。
【0083】
このように、本実施の形態における部品圧着装置M2は、部品5bを基板3に圧着するための少なくとも1つの処理工程を、基板3の向きを横向きから変更することなく実行する。その少なくとも1つの処理工程は、基板3の第2の縁部3bに形成された電極部4にACFを貼り付ける第2の貼着工程と、その電極部4にACFを介して部品5bを仮圧着する第2の仮圧着工程と、その部品5bを本圧着する第2の本圧着工程とを含む。これにより、部品圧着装置M2では、それらの各処理工程を短期間に実行することができ、実装基板の生産性の向上を図ることができる。
【0084】
また、本実施の形態における部品圧着システム1では、部品圧着装置M1が基板3の第1の縁部3aに部品5aを圧着し、部品圧着装置M2が基板3の第2の縁部3bに部品5bを圧着する。したがって、部品圧着装置M1による基板3の第1の縁部3aへの部品5aの圧着と、部品圧着装置M2による他の基板3の第2の縁部3bへの部品5bの圧着とを、並列に実行することができる。したがって、タクトタイムの短縮を図ることができる。なお、その部品圧着装置M2によって処理される基板3は、例えば、部品圧着装置M1によって処理される基板3よりも先に部品圧着システム1に投入された基板3であって、部品5aが第1の縁部3aに既に圧着されている基板である。また、第1の縁部3aに部品5aが圧着された基板3の向きは、部品圧着装置M2に搬入される前に変更される。したがって、その向きが変更された基板3が部品圧着装置M2に搬入されるため、部品圧着装置M2では、その基板3の向きを変更することなく、基板3の第2の縁部3bに部品5bを圧着することができる。その結果、部品圧着装置M2が基板3に対して部品5bの圧着を行っているときにも、その次に部品圧着装置M2に搬入される基板3の向きを変更しておくことができるため、タクトタイムをさらに短縮することができる。したがって、実装基板の生産性のさらなる向上を図ることができる。
【0085】
図5は、本実施の形態におけるコンピュータ2が基板搬入装置10aを制御するための処理動作を示すフローチャートである。
【0086】
コンピュータ2は、まず、基板搬入装置10aに載置されている基板3の向きを特定する(ステップS1)。なお、ステップS1で特性される基板3の向きは、以下、第1の向きとも呼ばれる。具体的には、コンピュータ2は、基板搬入装置10aに取り付けられているセンサからの出力信号に基づいて、その基板3の向きを特定してもよい。例えば、そのセンサは、基板3を撮像するカメラであってもよい。また、予め定められた向きに向けられている状態で基板3が基板搬入装置10aに載置される場合には、コンピュータ2は、その予め定められている向きを、その基板3の向きとして特定してもよい。
【0087】
次に、コンピュータ2は、基板搬入装置10aの下流にある部品圧着装置M1内において配置されるべき基板3の向きを特定する(ステップS2)。なお、ステップS2で特定される基板3の向きは、以下、第2の向きとも呼ばれる。この第2の向きは、
図4の例では縦向きである。
【0088】
そして、コンピュータ2は、第1の向きと第2の向きが等しいか否かを判定する(ステップS3)。ここで、コンピュータ2は、等しいと判定すると(ステップS3のYes)、その基板3に対する処理を終了する。一方、コンピュータ2は、第1の向きが第2の向きと異なると判定すると(ステップS3のNo)、基板3の向きが第2の向きと等しくなるように、基板3の回転を基板搬入装置10aに実行させる(ステップS4)。つまり、コンピュータ2は、部品圧着装置M1で処理される基板3の縁部(具体的には第1の縁部3a)がY軸方向正側に向けられるように、その基板3の回転を基板搬入装置10aに実行させる。
【0089】
このように、本実施の形態における基板搬入装置10aは、部品圧着装置M1に搬入される基板3の第1の向きが、第2の向きと異なる場合に、基板3の第1の向きを第2の向きに変更する。
【0090】
これにより、部品5aの圧着のために用意された基板3の向きがどのような向きであっても、その基板3が部品圧着装置M1に搬入される前には、その基板3の向きを第2の向きに変更することができる。したがって、その第2の向きの基板3が部品圧着装置M1に搬入されるため、部品圧着装置M1では、その基板3の向きを第2の向きから変更することなく、基板3の第1の縁部3aに部品5aを圧着することができる。その結果、部品圧着装置M1が基板3に対して部品5aの圧着を行っているときにも、その次に部品圧着装置M1に搬入される基板3の向きを第2の向きに変更しておくことができるため、タクトタイムをさらに短縮することができる。したがって、実装基板の生産性をさらに向上することができる。
【0091】
以上のように、本実施の形態における部品圧着システム1では、部品圧着装置M1が基板3の第1の縁部3aに部品5aを圧着し、部品圧着装置M2が基板3の第2の縁部3bに部品5bを圧着する。そして、部品圧着装置M1および部品圧着装置M2ではない、基板搬入装置10a、基板中継装置10bなどが基板3の向きを変更する。これにより、タクトタイムの短縮化を図り、実装基板の生産性を向上することができる。
【0092】
(変形例)
上記実施の形態では、基板3の向きを90°変えたが、その変更の角度は90°に限らない。本変形例における部品圧着システム1の基板中継装置10bは、その基板3の向きを180°変える。
【0093】
図6は、本変形例における部品圧着システム1で搬送される基板3の向きの変化を示す図である。
【0094】
本変形例では、部品圧着装置M2は、基板3における第1の縁部3aに対向する辺に沿う第3の縁部3cに形成されている電極部4に部品5bを圧着する。この場合、部品圧着装置M1から搬出された縦向きの基板3が基板中継装置10bのステージ11に載置されると、基板中継装置10bは、ステージ駆動軸12およびステージ11の回転によって、その基板3の向きを180°変更する。つまり、基板3の向きが縦向きから逆縦向きに変更される。逆縦向きは、基板3の長手方向がY軸方向に沿い、かつ、第3の縁部3cがY軸方向正側に向けられ、第1の縁部3aがY軸方向負側に向けられている基板3の向きである。
【0095】
そして、その逆縦向きの基板3が部品圧着装置M2の貼着部20に搬入される。つまり、部品圧着装置M2は、部品圧着装置M1から基板中継装置10bを介して、向きが変更された基板3を受け取る。このように、基板3の向きが縦向きから逆縦向きに変更される場合には、部品圧着装置M2は、基板3の向きを変更することなく、基板3の第3の縁部3cに形成されている電極部4に対して部品5bを圧着することができる。
【0096】
以上、本開示の1つまたは複数の態様に係る部品圧着システムについて、実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、その実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態および変形例に施したものも本開示に含まれてもよい。
【0097】
例えば、上記実施の形態および変形例では、基板3の向きを90°または180°変更するが、これらの角度と異なる角度だけ基板3の向きを変更してもよい。
【0098】
また、上記実施の形態および変形例では、部品圧着装置M1および部品圧着装置M2のそれぞれは、基板3の向きを変更しないが、必要に応じて変更してもよい。例えば、基板中継装置10bによる基板3の向きの変更が偶発的に行われなかった場合には、部品圧着装置M2が基板中継装置10bに代わってその基板3の向きを変更してもよい。つまり、コンピュータ2は、基板中継装置10bの動作を監視し、基板中継装置10bにおいて基板3の向きの変更が行われなかったことを検知すると、部品圧着装置M2に基板3の向きを変更させてもよい。
【0099】
なお、上記実施の形態および変形例において、コンピュータ2は、専用のハードウェアで構成されるか、ソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、コンピュータ2は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行する。ここで、上記実施の形態および変形例のコンピュータ2の処理を実現するソフトウェアは、
図5のフローチャートの各ステップをコンピュータ2に実行させるプログラムである。
【0100】
また、コンピュータ2は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本開示は、例えばディスプレイパネルに部品を圧着する部品圧着システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 部品圧着システム
2 コンピュータ
3 基板
3a 第1の縁部
3b 第2の縁部
4 電極部
5、5a、5b 部品
10a 基板搬入装置
10b 基板中継装置
10c 基板搬出装置
11 ステージ
12 ステージ駆動軸
20 貼着部
21 基板移動機構
22 貼着機構
23 ステージ
30 仮圧着部
31 基板移動機構
32 部品搭載機構
33 部品供給部
34 圧着ツール
35 部品移動部
36 下受け部
37 ステージ
40 本圧着部
41 基板移動機構
42 圧着機構
43 圧着ツール
46 下受け部
49 ステージ
60 搬送部
M1、M2 部品圧着装置