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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189085
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20221215BHJP
   H03K 17/78 20060101ALI20221215BHJP
   G01V 8/12 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B65H7/14
H03K17/78 G
G01V8/12 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097460
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】井上 英明
【テーマコード(参考)】
2G105
3F048
5J050
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB16
2G105BB17
2G105CC03
2G105DD02
2G105EE01
2G105FF01
2G105FF12
2G105GG01
2G105HH04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BB08
3F048BB10
3F048BC08
3F048CC03
3F048DA06
3F048DB16
3F048DC13
5J050AA05
5J050AA25
5J050BB16
5J050EE35
5J050EE39
5J050FF04
5J050FF11
(57)【要約】
【課題】発光部の発光量の調整精度の低下を軽減できる検出装置を提供する。
【解決手段】フォトトランジスタ38は、発光ダイオード37が発した光を受光する。コントローラ58は、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙がある状態で、フォトトランジスタ38の受光電圧に応じた受光調整電圧が目標調整値を含む目標調整範囲内の値となるよう発光ダイオード37の発光量を調整する。コントローラ58は、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙がある状態で発光ダイオード37の発光量を最小単位分だけ変化させたときの受光調整電圧の変化量である受光調整変化量に基づき、目標調整値を含む受光調整変化量以上の幅の所定範囲を目標調整範囲に設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
前記発光部が発した光を受光する受光部と、
前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で、前記受光部の受光電圧に応じた受光調整電圧が目標調整値を含む目標調整範囲内の値となるよう前記発光部の発光量を調整する制御部とを備え、
前記制御部は、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で前記発光部の発光量を最小単位分だけ変化させたときの前記受光調整電圧の変化量である受光調整変化量に基づき、前記目標調整値を含む前記受光調整変化量以上の幅の所定範囲を前記目標調整範囲に設定することを特徴とする検出装置。
【請求項2】
発光部と、
前記発光部が発した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光量に応じた光電流を受光電圧に変換する受光負荷抵抗と、
前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で、前記受光負荷抵抗により変換された受光電圧に応じた受光調整電圧が目標調整値を含む目標調整範囲内の値となるよう前記発光部の発光量を調整する制御部とを備え、
前記受光負荷抵抗の抵抗値が、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で前記発光部の発光量を最小単位分だけ変化させたときの前記受光調整電圧の変化量が前記目標調整範囲の幅以下で所定値以上となるように算出された値に設定されていることを特徴とする検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記発光部と前記受光部との間に被検出物があるか否かを判断するための前記受光部の受光電圧の閾値が、前記発光部と前記受光部との間に被検出物があるときの前記受光部の受光電圧と、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がないときの前記受光部の受光電圧との比の中央の値となるよう前記目標調整値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の被検出物を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置において、搬送される用紙を検出するために光学式のセンサが用いられている。また、このようなセンサの感度調整のために発光量を調整することが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、センサの発光部と受光部との間に用紙がある状態で、受光部の受光量に応じたコントローラへの入力電圧が目標調整値を含む目標調整範囲内の値となるようコントローラが発光部の発光量を調整することが行われている。
【0004】
このような感度調整において、発光部の発光量を調整分解能における1段階分だけ変化させたときのコントローラへの入力電圧の変化量が大きすぎるために、入力電圧が目標調整範囲内の値となるように発光量を調整することができない場合がある。
【0005】
これに対し、目標調整範囲を十分に大きく設定すれば、コントローラへの入力電圧が目標調整範囲内の値となるように発光量を調整することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-30398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、目標調整範囲が過度に大きく設定されることで、コントローラへの入力電圧が目標調整範囲内の値となるように発光量を調整することができても、入力電圧の目標調整値からのずれが大きくなり、発光量の調整精度が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、発光部の発光量の調整精度の低下を軽減できる検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、発光部と、前記発光部が発した光を受光する受光部と、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で、前記受光部の受光電圧に応じた受光調整電圧が目標調整値を含む目標調整範囲内の値となるよう前記発光部の発光量を調整する制御部とを備え、前記制御部は、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で前記発光部の発光量を最小単位分だけ変化させたときの前記受光調整電圧の変化量である受光調整変化量に基づき、前記目標調整値を含む前記受光調整変化量以上の幅の所定範囲を前記目標調整範囲に設定することを特徴とする検出装置が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、発光部と、前記発光部が発した光を受光する受光部と、前記受光部の受光量に応じた光電流を受光電圧に変換する受光負荷抵抗と、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で、前記受光負荷抵抗により変換された受光電圧に応じた受光調整電圧が目標調整値を含む目標調整範囲内の値となるよう前記発光部の発光量を調整する制御部とを備え、前記受光負荷抵抗の抵抗値が、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で前記発光部の発光量を最小単位分だけ変化させたときの前記受光調整電圧の変化量が前記目標調整範囲の幅以下で所定値以上となるように算出された値に設定されていることを特徴とする検出装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の検出装置によれば、発光部の発光量の調整精度の低下を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る検出装置が設けられる印刷装置の概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る検出装置の構成を示すブロック図である。
図3図2に示す検出装置の用紙センサ、定電流回路、および電流電圧変換部の回路構成を示す図である。
図4】感度調整処理のフローチャートである。
図5】感度調整処理における発光電流および受光調整電圧の推移を示す図である。
図6】目標調整範囲が受光調整変化量より小さい場合の感度調整処理における発光電流および受光調整電圧の推移を示す図である。
図7】用紙センサの光電特性の一例を示す図である。
図8】用紙センサの発光受光間の距離特性の一例を示す図である。
図9】弁別比および検出閾値の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0014】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る検出装置が設けられる印刷装置の概略構成図である。図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙Wが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RC、一点鎖線で示す経路が反転経路RR、破線で示す経路が排紙経路RD、二点鎖線で示す経路が外部給紙経路RS1および内部給紙経路RS2である。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
【0016】
図1に示すように、印刷装置1は、給紙部2と、搬送印刷部3と、上面搬送部4と、排紙部5と、反転部6と、各部を収納または保持する筐体7とを備える。
【0017】
給紙部2は、搬送印刷部3に用紙Wを給紙する。給紙部2は、外部給紙台21と、外部給紙搬送部22と、複数の内部給紙台23と、内部給紙搬送部24とを備える。
【0018】
外部給紙台21は、印刷に用いられる用紙Wが積載されるものである。外部給紙台21は、一部が筐体7の外部に露出して設置されている。
【0019】
外部給紙搬送部22は、外部給紙台21に積層された用紙Wを取り出し、その用紙Wを外部給紙経路RS1に沿って搬送印刷部3へ向けて搬送する。
【0020】
内部給紙台23は、印刷に用いられる用紙Wが積載されるものである。内部給紙台23は、筐体7の内部に配置されている。
【0021】
内部給紙搬送部24は、内部給紙台23に積層された用紙Wを取り出し、その用紙Wを内部給紙経路RS2に沿って搬送印刷部3へ向けて搬送する。
【0022】
搬送印刷部3は、用紙Wを搬送しつつ、用紙Wに印刷を行う。搬送印刷部3は、レジストローラ31と、ベルトプラテン部32と、印刷部33と、用紙センサ34A,34Bとを備える。なお、用紙センサ34A,34Bの符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0023】
レジストローラ31は、給紙部2または反転部6により搬送されてきた用紙Wを一旦止めて斜行補正した後、ベルトプラテン部32へ搬送する。レジストローラ31は、搬送印刷部3の上流部の通常経路RC上に配置されている。
【0024】
ベルトプラテン部32は、レジストローラ31により搬送されてきた用紙Wを、ベルト上に保持しつつ搬送する。
【0025】
印刷部33は、ベルトプラテン部32により搬送される用紙Wにインクを吐出して画像を印刷する。印刷部33は、インクを吐出する複数のインクジェットヘッド36を備える。
【0026】
用紙センサ34は、搬送される用紙(被検出物に相当)Wを検出する。用紙センサ34は、発光ダイオード(発光部に相当)37とフォトトランジスタ(受光部に相当)38とを有する光透過型センサにより構成されている。
【0027】
用紙センサ34Aは、外部給紙経路RS1、内部給紙経路RS2、および反転経路RRの3つの経路の合流地点の上流側近傍に配置され、これら3つの経路それぞれを搬送される用紙Wを検出する。用紙センサ34Aの発光ダイオード37は、外部給紙経路RS1、内部給紙経路RS2、および反転経路RRの下方に配置され、上向きに光を発する。用紙センサ34Aのフォトトランジスタ38は、外部給紙経路RS1、内部給紙経路RS2、および反転経路RRを挟んで発光ダイオード37に対向して配置され、発光ダイオード37が発した光を受光する。
【0028】
用紙センサ34Bは、レジストローラ31からベルトプラテン部32へ向けて搬送される用紙Wを検出する。用紙センサ34Bは、レジストローラ31の下流側近傍に配置されている。用紙センサ34Bの発光ダイオード37は、通常経路RCの下方に配置され、上向きに光を発する。用紙センサ34Bのフォトトランジスタ38は、通常経路RCを挟んで発光ダイオード37に対向して配置され、発光ダイオード37が発した光を受光する。
【0029】
上面搬送部4は、ベルトプラテン部32により搬送されてきた用紙Wを通常経路RCに沿って排紙部5または反転部6へ搬送する。
【0030】
排紙部5は、印刷済みの用紙Wを排紙する。排紙部5は、切替部41と、排紙搬送部42と、排紙台43とを備える。
【0031】
切替部41は、用紙Wの搬送経路を排紙経路RDと反転経路RRとの間で切り替える。切替部41は、排紙経路RDと反転経路RRとの分岐地点に配置されている。
【0032】
排紙搬送部42は、切替部41によって排紙経路RDへと導かれた用紙Wを搬送して排紙台43へ排紙する。
【0033】
排紙台43は、排紙搬送部42により排紙された印刷済みの用紙Wが積載されるものである。排紙台43は、筐体7から突出したトレイ形状に形成されている。
【0034】
反転部6は、両面印刷の際に、片面印刷済みの用紙Wを反転経路RRに沿って搬送しつつ反転させて搬送印刷部3へ再給紙する。
【0035】
印刷装置1において印刷を行う場合、給紙部2から未印刷の用紙Wが搬送印刷部3に給紙される。給紙された用紙Wは、レジストローラ31によりベルトプラテン部32へ送られ、ベルトプラテン部32により搬送されつつ、インクジェットヘッド36から吐出されるインクにより印刷される。印刷された用紙Wは、ベルトプラテン部32から上面搬送部4へ搬送される。
【0036】
片面印刷の場合、上面搬送部4により搬送された片面印刷済みの用紙Wは、切替部41により通常経路RCから排紙経路RDへ導かれ、排紙搬送部42により排紙台43へ排紙される。
【0037】
両面印刷の場合、上面搬送部4により搬送された片面印刷済みの用紙Wは、切替部41により通常経路RCから反転経路RRへ導かれ、反転部6により反転されて搬送印刷部3へ再給紙される。再給紙された片面印刷済みの用紙Wは、搬送印刷部3においてレジストローラ31によりベルトプラテン部32へ送られる。
【0038】
ここで、片面印刷済みの用紙Wは、反転部6により反転されたため、未印刷面を上向きにしてベルトプラテン部32へ送られる。そして、用紙Wは、ベルトプラテン部32により搬送されつつ、インクジェットヘッド36から吐出されるインクにより未印刷面が印刷される。両面印刷された用紙Wは、上面搬送部4により排紙部5へ搬送され、排紙部5において排紙台43へ排紙される。
【0039】
次に、検出装置について説明する。
【0040】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成を示すブロック図である。図3は、図2に示す検出装置の用紙センサ、定電流回路、および電流電圧変換部の回路構成を示す図である。
【0041】
図2に示すように、検出装置51は、上述した用紙センサ34と、D/A変換器52と、定電流回路53と、電流電圧変換部54と、電圧増幅部55と、A/D変換器56と、コンパレータ57と、コントローラ(制御部に相当)58と、メモリ59とを備える。
【0042】
用紙センサ34は、前述のように、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38とを有する。
【0043】
発光ダイオード37は、アノードが電源Vcc1に接続され、カソードが後述する定電流回路53のトランジスタ61のコレクタに接続されている。
【0044】
フォトトランジスタ38は、コレクタが電源Vcc2に接続され、エミッタが後述する電流電圧変換部54の抵抗65を介してグランドに接続されている。また、フォトトランジスタ38のエミッタは、電圧増幅部55およびコンパレータ57に接続されている。
【0045】
D/A変換器52は、コントローラ58が出力した発光電流IFを指示するためのデジタル値をアナログ電圧に変換する。
【0046】
定電流回路53は、D/A変換器52から入力されたアナログ電圧を発光電流IFに変換して発光ダイオード37に供給する。定電流回路53は、トランジスタ61と、オペアンプ62と、抵抗63,64とを備える。
【0047】
トランジスタ61は、コレクタが発光ダイオード37のカソードに接続され、エミッタが抵抗63を介してグランドに接続され、ベースが抵抗64を介してオペアンプ62の出力端子に接続されている。
【0048】
オペアンプ62の非反転入力端子は、D/A変換器52に接続されている。オペアンプ62の反転入力端子は、トランジスタ61のエミッタに接続されている。オペアンプ62の出力端子は、抵抗64を介してトランジスタ61のベースに接続されている。
【0049】
抵抗63は、トランジスタ61のエミッタとオペアンプ62の反転入力端子との接続点と、グランドとの間に接続されている。
【0050】
抵抗64は、オペアンプ62の出力端子とトランジスタ61のベースとの間に接続されている。
【0051】
電流電圧変換部54は、抵抗65(受光負荷抵抗に相当)を有し、フォトトランジスタ38の受光量に応じた光電流Icを抵抗65により受光電圧Veに変換する。抵抗65は、フォトトランジスタ38のエミッタと電圧増幅部55およびコンパレータ57との接続点と、グランドとの間に接続されている。
【0052】
電圧増幅部55は、フォトトランジスタ38の受光電圧Veを増幅し、増幅後の電圧である受光調整電圧Vadを出力する。
【0053】
A/D変換器56は、電圧増幅部55から入力されたアナログ電圧である受光調整電圧Vadをデジタル値に変換する。
【0054】
なお、電圧増幅部55およびA/D変換器56の機能をソフトウェアによりコントローラ58で実現してもよい。
【0055】
コンパレータ57は、フォトトランジスタ38の受光電圧Veと検出閾値Vtとを比較し、受光電圧Veが検出閾値Vtより大きいか否かを示す比較結果をコントローラ58に出力する。ここで、検出閾値Vtは、用紙センサ34が用紙Wを検出しているか否か(発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがあるか否か)を判断するための受光電圧Veの閾値である。
【0056】
コントローラ58は、コンパレータ57から入力される上述の比較結果に基づき、用紙センサ34が用紙Wを検出しているか否かを判断する。
【0057】
また、コントローラ58は、後述する用紙センサ34の感度調整処理において、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがある状態で、フォトトランジスタ38の受光電圧Veに応じた受光調整電圧Vadが目標調整値Vdを含む目標調整範囲内の値となるよう発光ダイオード37の発光量を調整する。この感度調整処理において、コントローラ58は、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがある状態で発光ダイオード37の発光量を調整分解能における1段階分(最小単位分に相当)だけ変化させたときの受光調整電圧Vadの変化量である受光調整変化量ΔVgに基づき、目標調整値Vdを含む受光調整変化量ΔVg以上の幅の所定範囲を目標調整範囲に設定する。
【0058】
コントローラ58は、印刷装置1全体の制御も行うものであってもよい。コントローラ58は、CPU等を備えて構成されている。
【0059】
メモリ59は、用紙センサ34の感度調整処理により得られた発光電流IFの設定値を記憶する。
【0060】
次に、検出装置51における用紙センサ34の感度調整処理について説明する。
【0061】
ここでは、用紙センサ34の感度調整のための発光ダイオード37の発光量の調整方法として、二分探索法を用いるものとする。二分探索法は、発光ダイオード37の発光量を変化させる際の変化量を前回の変化量の半分にしながら、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となるよう発光量を調整する方法である。なお、二分探索法に限らず、発光ダイオード37の発光量を所定量ずつ増加させる方法や、発光量を所定量ずつ減少させる方法を用いてもよい。
【0062】
感度調整処理は、用紙センサ34の発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に基準となる用紙種類の用紙Wがある状態で行われる。感度調整処理において発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に配置される用紙Wは、例えば、普通紙である。感度調整処理に普通紙を用いることで、厚紙や薄紙も検出可能とすることができる。なお、用紙種類ごとに感度調整処理を行ってもよい。この場合でも、感度調整処理の手順は同様である。
【0063】
図4は、用紙センサ34の感度調整処理のフローチャートである。図4のステップS1において、コントローラ58は、発光ダイオード37を発光させる。
【0064】
具体的には、コントローラ58は、感度調整処理の開始時の発光電流IFとして設定された発光電流IFを指示するデジタル値をD/A変換器52へ出力する。ここで、感度調整処理の開始時の発光電流IFは、受光調整電圧Vadが目標調整範囲の上限Vupより十分に大きくなるような発光量で発光ダイオード37を発光させる値に設定されている。
【0065】
D/A変換器52は、コントローラ58から入力されたデジタル値をアナログ電圧に変換する。定電流回路53は、D/A変換器52から入力されたアナログ電圧を発光電流IFに変換して発光ダイオード37に供給する。これにより、発光電流IFに応じた発光量で発光ダイオード37が発光する。
【0066】
フォトトランジスタ38は、発光ダイオード37が発した光を受光する。電流電圧変換部54は、受光したフォトトランジスタ38に流れる光電流Icを受光電圧Veに変換する。電圧増幅部55は、電流電圧変換部54から入力された受光電圧Veを増幅し、増幅後の電圧である受光調整電圧VadをA/D変換器56へ出力する。A/D変換器56は、電圧増幅部55から入力された受光調整電圧Vadをデジタル値に変換し、このデジタル値をコントローラ58へ出力する。
【0067】
次いで、ステップS2において、コントローラ58は、A/D変換器56から入力されたデジタル値に基づき、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値であるか否かを判断する。
【0068】
受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値ではないと判断した場合(ステップS2:NO)、ステップS3において、コントローラ58は、発光電流IFの値を変更する。ここで、受光調整電圧Vadが目標調整範囲の上限Vupより大きい場合には、コントローラ58は、発光電流IFを直近の値の1/2の値に変更する。受光調整電圧Vadが目標調整範囲の下限Vdnより小さい場合には、コントローラ58は、発光電流IFを直近の値の2倍の値に変更する。
【0069】
発光電流IFの値が変更されると、発光ダイオード37の発光量が変更されることで、受光調整電圧Vadが変動する。ステップS3の後、コントローラ58は、ステップS2に戻る。
【0070】
ステップS2において、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値であると判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS4において、コントローラ58は、そのときの発光電流IFの値を、発光電流IFの設定値としてメモリ59に記憶する。これにより、感度調整処理が終了となる。
【0071】
上述のような感度調整処理により、図5に示すように、発光電流IFの変更に応じて受光調整電圧Vadが変化し、受光調整電圧VadがVdnからVupまでの範囲である目標調整範囲内の値になると、感度調整(発光ダイオード37の発光量の調整)が終了となる。
【0072】
前述のように、目標調整範囲は、図5のように目標調整値Vdを含む範囲に設定されている。具体的には、目標調整範囲は、下記の式(1)により表される下限Vdnから式(2)により表される上限Vupまでの範囲に設定されている。
【0073】
Vdn=Vd-VRng …(1)
Vup=Vd+VRng …(2)
式(1)、式(2)における調整幅電圧VRngは、目標調整範囲を規定する電圧の幅を示すものである。目標調整範囲の幅は、2×VRngになっている。
【0074】
調整幅電圧VRngは、目標調整範囲が、前述の受光調整変化量ΔVg以上の幅で、受光調整変化量ΔVgより過度に大きくない所定範囲となるように設定されている。具体的には、調整幅電圧VRngは、目標調整範囲が、前述の受光調整変化量ΔVg以上の幅で、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となったときの受光調整電圧Vadの目標調整値Vdからのずれ量が許容範囲内となるように設定されている。調整幅電圧VRngは、例えば、実験等に基づき設定される。
【0075】
ここで、本実施の形態とは異なり、目標調整範囲が受光調整変化量ΔVgより小さい場合、図6に示すように、受光調整電圧Vadが目標調整範囲の上限Vupより大きい値と下限Vdnより小さい値とを交互にとるようになることで、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となるように調整できないことがある。
【0076】
一方、本実施の形態では、目標調整範囲が上述のように設定されていることで、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となるように調整できる。また、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となったときの受光調整電圧Vadの目標調整値Vdからのずれ量を抑えることができる。
【0077】
次に、受光調整変化量ΔVgの算出方法について説明する。
【0078】
受光調整変化量ΔVgの算出に用いる要素として、用紙センサ34の光電特性、用紙センサ34の発光受光間の距離特性、D/A変換器52の分解能rslDA、D/A変換器52の基準電圧VrfDA、定電流回路定数RE、電流電圧変換部54の抵抗65の抵抗値RL、電圧増幅部55の増幅率Gv、および弁別比Pがある。
【0079】
用紙センサ34の光電特性は、発光ダイオード37に供給する発光電流IFとフォトトランジスタ38に流れる光電流Icとの関係を示すものである。発光電流IFと光電流Icとの関係は、例えば、図7のようなものである。図7の例では、用紙センサ34の光電特性は、Ic/IFで表される。
【0080】
なお、図7の例では、発光電流IFと光電流Icとが比例関係にあるが、発光電流IFと光電流Icとが比例関係にない場合には、光電特性は多項式で表される。
【0081】
用紙センサ34の発光受光間の距離特性は、用紙センサ34の発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間の距離である発光受光間距離Lと光電流Icとの関係を示すものである。
【0082】
図8は、用紙センサ34の発光受光間の距離特性の一例を示す図である。図8の変動比yは、複数の発光受光間距離Lの値のそれぞれに対応する光電流Icの値の、ある光電流Icの値に対する比を示すものである。図8からわかるように、発光受光間距離Lが大きいほど光電流Icは小さくなる。
【0083】
図8の例では、変動比yは、3次式である下記の式(3)により表される。
【0084】
y=a3×L+a2×L+a1×L+b …(3)
ここで、a3,a2,a1,bは、発光受光間の距離特性に応じた係数である。
【0085】
なお、用紙センサ34の種類等により、変動比yの次数は異なることがある。
【0086】
D/A変換器52の分解能rslDAおよび基準電圧VrfDAは、ハードウェアによって決まっているものである。例えば、8bitのD/A変換器52の場合、分解能rslDAは、255段となる。基準電圧VrfDAは、アナログ電圧の幅を示すものである。
【0087】
定電流回路定数REは、定電流回路53の抵抗63の抵抗値である。下記の式(4)のように、D/A変換器52からのアナログ電圧Viと定電流回路定数REとにより発光電流IFが決まる。
【0088】
IF=Vi÷RE …(4)
電流電圧変換部54の抵抗65の抵抗値RLは、受光電圧Veを決めるものである。受光電圧Veは、下記の式(5)により表される。
【0089】
Ve=Ic×RL …(5)
電圧増幅部55の増幅率Gvは、受光電圧Veと受光調整電圧Vadとの比率である。受光調整電圧Vadは、下記の式(6)により表される。
【0090】
Vad=Ve×Gv …(6)
弁別比Pは、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがあるときの受光電圧Veと、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがないときの受光電圧Veとの比である。弁別比Pは、用紙Wの種類によって異なる。また、弁別比Pは、用紙センサ34の構造や、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間で用紙Wをガイドするためのガイド板に形成されている、光を通すための開口部の大きさ等によっても異なる。弁別比Pは、実験によって求められる。
【0091】
上述したD/A変換器52の分解能rslDA、基準電圧VrfDA、および定電流回路定数REから、発光ダイオード37の発光量の調整分解能における1段階分の発光電流ΔIFが、下記の式(7)により算出される。
【0092】
ΔIF=VrfDA/RE/rslDA …(7)
上述した用紙センサ34の光電特性(Ic/IF)と、式(3)で表される発光受光間の距離特性と、式(7)により算出されるΔIFとにより、ΔIFに対応する光電流ΔIcが、下記の式(8)により算出される。
【0093】
ΔIc=(Ic/IF)×(VrfDA/RE/rslDA)
×(a3×L+a2×L+a1×L+b) …(8)
ΔIcに抵抗65の抵抗値RLおよび増幅率Gvを乗算することで、下記の式(9)により、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがないときにおける、ΔIFに対応する受光電圧ΔVeが算出される。
【0094】
ΔVe=(Ic/IF)×(VrfDA/RE/rslDA)
×(a3×L+a2×L+a1×L+b)×RL×Gv …(9)
ΔVeを感度調整処理で用いられる用紙Wに対応する弁別比Pで除算することで、下記の式(10)により、受光調整変化量ΔVgが算出される。
【0095】
ΔVg=(Ic/IF)×(VrfDA/RE/rslDA)
×(a3×L+a2×L+a1×L+b)×RL×Gv/P …(10)
上記の式(10)を整理することで下記の式(11)が得られる。
【0096】
ΔVg=(Ic/IF)×VrfDA×(a3×L+a2×L+a1×L+b)
×RL×Gv÷(RE×rslDA×P) …(11)
上記の式(11)で算出される受光調整変化量ΔVgに基づき、コントローラ58は、前述の目標調整範囲を設定する。
【0097】
なお、A/D変換器56は高分解能であり、受光調整変化量ΔVgに与える影響は小さい。このため、本実施の形態では、受光調整変化量ΔVgの算出にA/D変換器56の分解能は用いない。
【0098】
次に、目標調整値Vdの設定方法について説明する。
【0099】
目標調整値Vdは、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがあるときのフォトトランジスタ38の受光電圧Veが、検出閾値Vtを弁別比Pの平方根で除算した値となるように設定される。すなわち、目標調整値Vdは、検出閾値Vtを弁別比Pの平方根で除算した値に増幅率Gvを乗算した値であり、下記の式(12)で表される。
【0100】
Vd=(Vt/√P)×Gv …(12)
ここで、検出閾値Vtは、用紙種類ごとに予め設定されたものである。
【0101】
また、弁別比Pは、前述のように、実験によって求められるものである。図9の左側の図は、この実験におけるフォトトランジスタ38の受光電圧Veの推移を示す図である。この実験における、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがあるときの受光電圧Veと、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがないときの受光電圧Veとの比が、弁別比Pとして算出される。この実験では、感度調整処理で使用される用紙Wと同じ用紙種類の用紙Wが使用される。
【0102】
図9の右側の図は、感度調整処理後の用紙センサ34により用紙Wを検出する際の受光電圧Veの推移を示す図である。感度調整処理において受光調整電圧Vadが目標調整値Vdと等しくなるように発光ダイオード37の発光量が調整されたとすると、目標調整値Vdは前述のように設定されていることから、図9の右側の図に示すように、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがあるときの受光電圧Veが、検出閾値Vtを√Pで除算した値となっている。
【0103】
図9の例では、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがない状態ではフォトトランジスタ38が飽和している。図9における仮想電圧は、フォトトランジスタ38が飽和しないとした場合の受光電圧Veを示す。図9に示すように、フォトトランジスタ38が飽和しないとした場合における、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがないときの受光電圧Veは、検出閾値Vtに√Pを乗算した値となっている。すなわち、検出閾値Vtが弁別比Pにおける中央に位置している。これにより、検出閾値Vtに対して十分な検出マージンおよび非検出マージンが確保されるので、用紙Wの誤検出を低減できる。
【0104】
ここで、用紙センサ34はヒステリシスを有し、受光電圧Veが検出閾値Vtよりヒステリシスのマイナス側の分だけ下がると用紙Wの先端が検出される。また、受光電圧Veが検出閾値Vtよりヒステリシスのプラス側の分だけ上がると用紙Wの後端が検出される。発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがないときの受光電圧Veからヒステリシスのプラス側までが検出マージンである。ヒステリシスのプラス側から、フォトトランジスタ38が飽和しないとした場合における発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがないときの受光電圧Veまでが非検出マージンである。
【0105】
以上説明したように、検出装置51では、コントローラ58は、感度調整処理において、受光調整変化量ΔVgに基づき、目標調整値Vdを含む受光調整変化量ΔVg以上の幅の所定範囲を目標調整範囲に設定する。これにより、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となるように調整できるとともに、受光調整電圧Vadに対して目標調整範囲が過度に大きくなることを抑え、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となったときの受光調整電圧Vadの目標調整値Vdからのずれ量を抑えることができる。したがって、発光ダイオード37の発光量の調整精度の低下を軽減できる。
【0106】
また、検出装置51では、コントローラ58は、発光ダイオード37とフォトトランジスタ38との間に用紙Wがあるときのフォトトランジスタ38の受光電圧Veが、検出閾値Vtを弁別比Pの平方根で除算した値となるように目標調整値Vdを設定する。換言すれば、コントローラ58は、検出閾値Vtが弁別比Pにおける中央の値となるように、目標調整値Vdを設定する。これにより、検出閾値Vtに対して十分な検出マージンおよび非検出マージンが確保されるので、用紙Wの誤検出を低減できる。
【0107】
[第2実施形態]
次に、上述した第1実施形態の一部を変更した第2実施形態について説明する。
【0108】
上述した第1実施形態では、式(11)で算出される受光調整変化量ΔVgに基づき目標調整範囲を設定した。これに対し、第2実施形態では、受光調整変化量ΔVgが目標調整範囲の幅以下で所定値以上となるように電流電圧変換部54の抵抗65(受光負荷抵抗)の抵抗値RLを算出し、抵抗値RLをこの算出した値に設定する。
【0109】
この場合、受光調整変化量ΔVgを、予め設定された目標調整範囲の幅以下で所定値以上の値に設定する。受光調整変化量ΔVgは、感度調整処理において受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となったときの受光調整電圧Vadの目標調整値Vdからのずれ量が許容範囲内となるように設定される。この場合の受光調整変化量ΔVgは、例えば、実験等に基づき設定される。
【0110】
この受光調整変化量ΔVgを計算入力値として、式(11)を変形した下記の式(13)により、抵抗65の抵抗値RLが算出される。
【0111】
RL=ΔVg×(RE×rslDA×P)
÷((Ic/IF)×VrfDA
×(a3×L+a2×L+a1×L+b)×Gv) …(13)
そして、電流電圧変換部54の抵抗65として、上述のように算出された抵抗値RLを有するものが用いられる。
【0112】
このようにしても、第1実施形態と同様に、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となるように調整できるとともに、受光調整電圧Vadに対して目標調整範囲が過度に大きくなることを抑え、受光調整電圧Vadが目標調整範囲内の値となったときの受光調整電圧Vadの目標調整値Vdからのずれ量を抑えることができる。したがって、発光ダイオード37の発光量の調整精度の低下を軽減できる。
【0113】
用紙センサ34の感度調整処理の手順は、第2実施形態においても第1実施形態と同様である。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、検出閾値Vtが弁別比Pにおける中央の値となるように、目標調整値Vdが設定されている。
【0114】
[その他の実施形態]
上述のように、本発明は第1および第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0115】
第1実施形態において、受光調整変化量ΔVgの算出に用いた要素のうちの一部を省略してもよい。また、他の要素を受光調整変化量ΔVgの算出に用いてもよい。また、第2実施形態において、抵抗65の抵抗値RLの算出に用いた要素のうちの一部を省略してもよい。また、他の要素を抵抗65の抵抗値RLの算出に用いてもよい。
【0116】
第2実施形態において、電流電圧変換部54が、それぞれ抵抗値が異なる複数の切り替え可能な抵抗65を有し、これら複数の抵抗65から、上述のように算出された抵抗値RLを有する抵抗65をコントローラ58が選択するようにしてもよい。
【0117】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0118】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0119】
(付記1)
発光部と、
前記発光部が発した光を受光する受光部と、
前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で、前記受光部の受光電圧に応じた受光調整電圧が目標調整値を含む目標調整範囲内の値となるよう前記発光部の発光量を調整する制御部とを備え、
前記制御部は、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で前記発光部の発光量を最小単位分だけ変化させたときの前記受光調整電圧の変化量である受光調整変化量に基づき、前記目標調整値を含む前記受光調整変化量以上の幅の所定範囲を前記目標調整範囲に設定することを特徴とする検出装置。
【0120】
(付記2)
発光部と、
前記発光部が発した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光量に応じた光電流を受光電圧に変換する受光負荷抵抗と、
前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で、前記受光負荷抵抗により変換された受光電圧に応じた受光調整電圧が目標調整値を含む目標調整範囲内の値となるよう前記発光部の発光量を調整する制御部とを備え、
前記受光負荷抵抗の抵抗値が、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がある状態で前記発光部の発光量を最小単位分だけ変化させたときの前記受光調整電圧の変化量が前記目標調整範囲の幅以下で所定値以上となるように算出された値に設定されていることを特徴とする検出装置。
【0121】
(付記3)
前記制御部は、
前記発光部と前記受光部との間に被検出物があるか否かを判断するための前記受光部の受光電圧の閾値が、前記発光部と前記受光部との間に被検出物があるときの前記受光部の受光電圧と、前記発光部と前記受光部との間に被検出物がないときの前記受光部の受光電圧との比の中央の値となるよう前記目標調整値を設定することを特徴とする付記1または2に記載の検出装置。
【符号の説明】
【0122】
1 印刷装置
34,34A,34B 用紙センサ
37 発光ダイオード
38 フォトトランジスタ
51 検出装置
52 D/A変換器
53 定電流回路
54 電流電圧変換部
55 電圧増幅部
56 A/D変換器
57 コンパレータ
58 コントローラ
59 メモリ
61 トランジスタ
62 オペアンプ
63~65 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9