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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189092
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】タイヤの振動特性評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20221215BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C19/00 H
B60C19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097469
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴臣
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131LA22
3D131LA34
(57)【要約】
【課題】 平面上の突起を乗り越えるときのタイヤの振動特性を精度よく評価し得るタイヤの振動特性評価方法を提供する。
【解決手段】 タイヤ1の振動特性を評価するための方法である。タイヤ1が走行ドラム4の走行面4a上に設けられた突起5を乗り越えるときの軸力F2から、タイヤ1が平面2上に設けられた突起3を乗り越えるときの軸力F1を求める。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの振動特性を評価するための方法であって、
前記タイヤが走行ドラムの走行面上に設けられた突起を乗り越えるときの軸力から、前記タイヤが平面上に設けられた突起を乗り越えるときの軸力を求める、
タイヤの振動特性評価方法。
【請求項2】
前記タイヤが前記走行ドラムを走行するときの転動速度を設定する設定工程と、
前記タイヤを、設定された前記転動速度で前記走行ドラムを走行させる走行工程と、
前記走行工程における前記タイヤの軸力を計測する計測工程と、
計測された前記軸力に基づき、前記タイヤが前記平面上に設けられた前記突起を評価速度で乗り越えるときの軸力を求める評価工程とを含む、請求項1に記載のタイヤの振動特性評価方法。
【請求項3】
前記設定工程は、
正規状態の前記タイヤに正規荷重が負荷された状態で前記平面に接地したときのタイヤ周方向の接地長である第1接地長L1を求める第1工程と、
正規状態の前記タイヤに正規荷重が負荷された状態で前記走行ドラムに接地したときの接地長である第2接地長L2を求める第2工程と、
前記評価速度と、前記第1接地長L1と前記第2接地長L2との比(L2/L1)とに基づき前記転動速度を設定する第3工程とを含む、請求項2に記載のタイヤの振動特性評価方法。
【請求項4】
前記第3工程は、前記転動速度を、前記評価速度と前記比(L2/L1)との積として設定する、請求項3に記載のタイヤの振動特性評価方法。
【請求項5】
コンピュータを用いて、前記タイヤを再現したタイヤモデルと、前記走行ドラムを再現したドラムモデルとを設定する準備工程と、
前記タイヤモデルが前記ドラムモデルを走行するときの転動速度を設定する設定工程と、
前記タイヤモデルを、設定された前記転動速度で前記ドラムモデルを走行させる走行工程と、
前記走行工程における前記タイヤモデルの軸力を算出する計測工程と、
算出された前記軸力に基づき、前記タイヤが前記平面上に設けられた前記突起を評価速度で乗り越えるときの軸力を求める評価工程とを含む、請求項1に記載のタイヤの振動特性評価方法。
【請求項6】
前記転動速度が、前記評価速度よりも小さい、請求項2ないし5のいずれか1項に記載のタイヤの振動特性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの振動特性を評価するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの振動特性を評価する方法が知られている。例えば、下記特許文献1では、タイヤが走行ドラムの走行面上に設けられた突起を乗り越えるときの軸力から、タイヤの振動特性を評価する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-161412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような走行ドラムを用いた試験では、実際の走行時に接触する平面上の突起を乗り越えたときの振動特性を評価することができず、基準タイヤに対する相対的な評価しかできなかった。また、実際の平面を用いてタイヤの振動特性を評価しようとすると、膨大な平面を準備する必要があり、再現性の高い評価が困難であった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、平面上の突起を乗り越えるときのタイヤの振動特性を精度よく評価し得るタイヤの振動特性評価方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タイヤの振動特性を評価するための方法であって、前記タイヤが走行ドラムの走行面上に設けられた突起を乗り越えるときの軸力から、前記タイヤが平面上に設けられた突起を乗り越えるときの軸力を求めることを特徴とする。
【0007】
本発明のタイヤの振動特性評価方法において、前記タイヤが前記走行ドラムを走行するときの転動速度を設定する設定工程と、前記タイヤを、設定された前記転動速度で前記走行ドラムを走行させる走行工程と、前記走行工程における前記タイヤの軸力を計測する計測工程と、計測された前記軸力に基づき、前記タイヤが前記平面上に設けられた前記突起を評価速度で乗り越えるときの軸力を求める評価工程とを含むのが望ましい。
【0008】
本発明のタイヤの振動特性評価方法において、前記設定工程は、正規状態の前記タイヤに正規荷重が負荷された状態で前記平面に接地したときのタイヤ周方向の接地長である第1接地長L1を求める第1工程と、正規状態の前記タイヤに正規荷重が負荷された状態で前記走行ドラムに接地したときの接地長である第2接地長L2を求める第2工程と、前記評価速度と、前記第1接地長L1と前記第2接地長L2との比(L2/L1)とに基づき前記転動速度を設定する第3工程とを含むのが望ましい。
【0009】
本発明のタイヤの振動特性評価方法において、前記第3工程は、前記転動速度を、前記評価速度と前記比(L2/L1)との積として設定するのが望ましい。
【0010】
本発明のタイヤの振動特性評価方法において、コンピュータを用いて、前記タイヤを再現したタイヤモデルと、前記走行ドラムを再現したドラムモデルとを設定する準備工程と、前記タイヤモデルが前記ドラムモデルを走行するときの転動速度を設定する設定工程と、前記タイヤモデルを、設定された前記転動速度で前記ドラムモデルを走行させる走行工程と、前記走行工程における前記タイヤモデルの軸力を算出する計測工程と、算出された前記軸力に基づき、前記タイヤが前記平面上に設けられた前記突起を評価速度で乗り越えるときの軸力を求める評価工程とを含むのが望ましい。
【0011】
本発明のタイヤの振動特性評価方法において、前記転動速度が、前記評価速度よりも小さいのが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のタイヤの振動特性評価方法は、タイヤが走行ドラムの走行面上に設けられた突起を乗り越えるときの軸力から、前記タイヤが平面上に設けられた突起を乗り越えるときの軸力を求めている。このようなタイヤの振動特性評価方法は、再現性の高い走行ドラム上に設けられた突起を乗り越えるときの軸力に基づいてタイヤが平面上に設けられた突起を乗り越えるときの軸力を求めているので、タイヤの振動特性を精度よく評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のタイヤが平面上に設けられた突起を乗り越えるときの一実施形態を示す模式図である。
図2図1のタイヤが走行ドラムの走行面上に設けられた突起を乗り越えるときを示す模式図である。
図3】タイヤの振動特性評価方法のフローチャートである。
図4】設定工程のフローチャートである。
図5】第1工程の接地面を示す模式図である。
図6】第2工程の接地面を示す模式図である。
図7】比較例の路面反力の結果の一例を示すグラフである。
図8】比較例の軸上下力の結果の一例を示すグラフである。
図9】比較例の軸前後力の結果の一例を示すグラフである。
図10】実施例の路面反力の結果の一例を示すグラフである。
図11】実施例の軸上下力の結果の一例を示すグラフである。
図12】実施例の軸上下力の結果の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態のタイヤ1が平面2上に設けられた突起3を乗り越えるときを示す模式図であり、図2は、図1のタイヤ1が走行ドラム4の走行面4a上に設けられた突起5を乗り越えるときを示す模式図である。タイヤ1は、例えば、乗用車用の空気入りタイヤとして好適に用いられる。タイヤ1は、乗用車用の空気入りタイヤに限定されるものではなく、例えば、重荷重用の空気入りタイヤや二輪車用の空気入りタイヤ、内部に加圧された空気が充填されないエアレスタイヤ等の様々なタイヤに用いることができる。
【0015】
図1及び図2に示されるように、本実施形態のタイヤ1の振動特性を評価するための方法は、タイヤ1が走行ドラム4の走行面4a上に設けられた突起5を乗り越えるときの軸力F2から、タイヤ1が平面2上に設けられた突起3を乗り越えるときの軸力F1を求めている。
【0016】
このようなタイヤ1の振動特性評価方法は、再現性の高い走行ドラム4上に設けられた突起5を乗り越えるときの軸力F2に基づいてタイヤ1が平面2上に設けられた突起3を乗り越えるときの軸力F1を求めているので、タイヤ1の振動特性を精度よく評価することができる。
【0017】
より好ましい態様として、平面2上の突起3は、高さが2~20mmであり、断面正方形状である。走行ドラム4の走行面4a上の突起5は、平面2上の突起3と同じ断面形状であるのが望ましい。このような走行ドラム4の突起5は、平面2上の突起3を乗り越えるときのタイヤ1の振動特性を精度よく評価することに役立つ。
【0018】
図3は、本実施形態のタイヤ1の振動特性評価方法のフローチャートである。本実施形態のタイヤ1の振動特性評価方法は、タイヤ1と、突起5が走行面4a上に設けられた走行ドラム4とを準備する準備工程S1が行われる。準備工程S1は、例えば、正規状態のタイヤ1と、台上試験装置としての走行ドラム4とを準備している。
【0019】
ここで、「正規状態」とは、タイヤ1が空気入りタイヤの場合、タイヤ1が正規リムにリム組みされ、かつ、正規内圧に調整された無負荷の状態である。また、「正規状態」は、タイヤ1がエアレスタイヤの場合、メーカー等が定める無負荷の状態である。なお、本明細書において、特に言及されない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。
【0020】
「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が有る場合、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が無い場合、メーカー等がタイヤ毎に定めるリムである。
【0021】
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が有る場合、各規格がタイヤ毎に定める空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が無い場合、メーカー等がタイヤ毎に定める空気圧である。
【0022】
本実施形態のタイヤ1の振動特性評価方法は、準備工程S1の次に、タイヤ1が走行ドラム4の走行面4aを走行するときの転動速度V2を設定する設定工程S2が行われる。設定工程S2では、例えば、転動速度V2の他に、正規荷重とは異なる荷重で評価する場合の荷重等を設定してもよい。
【0023】
ここで、「正規荷重」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。「正規荷重」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が無い場合、メーカー等がタイヤ毎に定める荷重である。
【0024】
図4は、設定工程S2のフローチャートである。図4に示されるように、本実施形態の設定工程S2は、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷された状態で平面2に接地したときのタイヤ周方向の接地長である第1接地長L1(図5に示す)を求める第1工程S21が行われる。
【0025】
図5は、第1工程S21の接地面1aを示す模式図である。図5に示されるように、第1工程S21は、例えば、平面状に設けられたシート状の圧力センサにタイヤ1を接地させて第1接地長L1を求めている。第1工程S21は、例えば、透明な平板上にタイヤ1を接地させて第1接地長L1を求めてもよく、コンピュータを用いたシミュレーションにより第1接地長L1を求めてもよい。
【0026】
図4に示されるように、本実施形態の設定工程S2は、第1工程S21とともに、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷された状態で走行ドラム4に接地したときの接地長である第2接地長L2(図6に示す)を求める第2工程S22が行われる。
【0027】
図6は、第2工程S22の接地面1bを示す模式図である。図6に示されるように、第2工程S22は、例えば、走行ドラム4と同じ曲率の曲面状に設けられたシート状の圧力センサにタイヤ1を接地させて第2接地長L2を求めている。第2工程S22は、例えば、透明な曲板上にタイヤ1を接地させて第2接地長L2を求めてもよく、コンピュータを用いたシミュレーションにより第2接地長L2を求めてもよい。
【0028】
図4ないし図6に示されるように、本実施形態の設定工程S2は、第1工程S21及び第2工程S22の次に、評価速度V1と、第1接地長L1と第2接地長L2との比(L2/L1)とに基づき転動速度V2を設定する第3工程S23が行われる。このような第3工程S23は、タイヤ1が走行ドラム4の走行面4a上に設けられた突起5を乗り越えるときの軸力F2から、タイヤ1が平面2上に設けられた突起3を乗り越えるときの軸力F1を求めるのに役立つ。
【0029】
本実施形態の第3工程S23は、転動速度V2を、評価速度V1よりも小さく設定している。これにより、本実施形態のタイヤ1の振動特性評価方法は、タイヤ1が走行ドラム4の走行面4a上に設けられた突起5を乗り越えるときの軸力F2を、タイヤ1が平面2上に設けられた突起3を評価速度V1で乗り越えるときの軸力F1として評価することができる。
【0030】
第3工程S23は、転動速度V2を、評価速度V1と比(L2/L1)との積として設定するのが望ましい。このような第3工程S23は、簡易な計算で転動速度V2を設定することができ、精度の高い評価を容易に行うことができる。
【0031】
図3に示されるように、本実施形態のタイヤ1の振動特性評価方法は、タイヤ1を、設定された転動速度V2で走行ドラム4の走行面4aを走行させる走行工程S3と、走行工程S3におけるタイヤ1の軸力F2を計測する計測工程S4とが行われる。このような走行工程S3及び計測工程S4は、走行ドラム4の走行面4a上に設けられた突起5を乗り越えるときの軸力F2の再現性が高いことから、タイヤ1の振動特性を精度よく評価することができる。
【0032】
本実施形態のタイヤ1の振動特性評価方法は、計測された軸力F2に基づき、タイヤ1が平面2上に設けられた突起3を評価速度V1で乗り越えるときの軸力F1を求める評価工程S5が行われる。本実施形態のタイヤ1が平面2上に設けられた突起3を評価速度V1で乗り越えるときの軸力F1は、タイヤ1が走行ドラム4の走行面4a上に設けられた突起5を転動速度V2で乗り越えるときの軸力F2として求められる。このようなタイヤ1の振動特性評価方法は、タイヤ1の振動特性の精度のよい評価を容易に求めることができる。
【0033】
他の実施形態のタイヤ1の振動特性評価方法は、コンピュータを用いたシミュレーションで評価している。他の実施形態の準備工程S1は、コンピュータを用いて、タイヤ1を再現したタイヤモデルと、走行ドラム4を再現したドラムモデルとを設定している。ドラムモデルは、突起5を再現した突起モデルを含むのが望ましい。このようなタイヤ1の振動特性評価方法は、実際のタイヤ1や走行ドラム4を準備する必要がなく、条件を変更した多くの評価を容易に実施することができる。
【0034】
他の実施形態の設定工程S2は、タイヤモデルがドラムモデルを走行するときの転動速度V2を設定している。設定工程S2は、図4に示される第1工程S21ないし第3工程S23が行われるのが望ましい。このような設定工程S2は、タイヤモデルがドラムモデルに設けられた突起モデルを乗り越えるときの軸力F2から、タイヤ1が平面2上に設けられた突起3を乗り越えるときの軸力F1を求めるのに役立つ。
【0035】
他の実施形態の走行工程S3は、タイヤモデルを、設定された転動速度V2でドラムモデルを走行させている。他の実施形態の計測工程S4は、走行工程S3におけるタイヤモデルの軸力F2を算出している。このような走行工程S3及び計測工程S4は、ドラムモデル上に設けられた突起モデルを乗り越えるときの軸力F2の計算負荷が小さいことから、複数の外乱の影響を考慮した計算をすることができ、タイヤ1の振動特性を精度よく評価することができる。
【0036】
他の実施形態の評価工程S5は、算出された軸力F2に基づき、タイヤ1が平面2上に設けられた突起3を評価速度V1で乗り越えるときの軸力F1を求めている。このようなタイヤ1の振動特性評価方法は、タイヤ1の振動特性の精度のよい評価を容易に求めることができる。
【0037】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【実施例0038】
図1ないし図6に示されるタイヤの振動特性評価方法の実施例のテストが行われた。比較例として、評価速度で走行ドラムを走行させたテストが行われた。また、評価基準として、平面上に突起を設けて走行させた基準テストが行われた。共通仕様とテスト方法は、以下のとおりである。
【0039】
<共通仕様>
タイヤサイズ : 205/60R16
リムサイズ : 16×6J
空気圧 : 220kPa
荷重 : 4.5kN
評価速度 : 時速40km
突起高さ : 5mm
突起断面形状 : 正方形
【0040】
<比較例のテスト>
走行ドラムに設けられた突起を、評価速度である時速40kmで乗り越えたときの上下路面反力と軸力とが計測された。軸力は、軸上下力と軸前後力とがそれぞれ計測された。比較例のテストの結果が図7ないし図9に符号Aとして示される。図7は、比較例の上下路面反力の結果の一例を示すグラフであり、図8は、比較例の軸上下力の結果の一例を示すグラフであり、図9は、比較例の軸前後力の結果の一例を示すグラフである。図7ないし図9の横軸は、それぞれ、時間である。
【0041】
<実施例のテスト>
平面に接地したときの第1接地長と、走行ドラムと同じ曲率の曲面に接地した時の第2接地長とが計測された。第1接地長が155mmであり、第2接地長が135mmであったため、転動速度が40km/h×(135mm/155mm)=34.8km/hに設定された。
【0042】
そして、走行ドラムに設けられた突起を、設定速度である時速34.8kmで乗り越えたときの上下路面反力と軸力とが計測された。軸力は、軸上下力と軸前後力とがそれぞれ計測された。実施例のテストの結果が図10ないし図12に符号Bとして示される。図10は、実施例の上下路面反力の結果の一例を示すグラフであり、図11は、実施例の軸上下力の結果の一例を示すグラフであり、図12は、実施例の軸前後力の結果の一例を示すグラフである。図10ないし図12の横軸は、それぞれ、時間である。
【0043】
<評価基準のテスト>
平面に設けられた突起を、評価速度である時速40kmで乗り越えたときの上下路面反力と軸力とが計測された。軸力は、軸上下力と軸前後力とがそれぞれ計測された。評価基準のテストの結果が図7ないし図12に符号Cとして示される。
【0044】
テストの結果、実施例の路面反力及び軸力の波形は、評価基準と同等の波形であり、比較例に対し、平面上の突起を乗り越えるときのタイヤの振動特性を精度よく評価することができることが確認された。
【符号の説明】
【0045】
1 タイヤ
2 平面
3 突起
4 走行ドラム
4a 走行面
5 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12