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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189108
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】空調制御装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/58 20180101AFI20221215BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20221215BHJP
【FI】
F24F11/58
F24F11/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097494
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上妻 健人
(72)【発明者】
【氏名】仁平 拓郎
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA49
3L260BA66
3L260JA12
3L260JA20
(57)【要約】
【課題】空気調和機を集中管理する際の専用の通信ケーブルの敷設コストを削減できると共に、既存の通信網における空気調和機に関わるデータ通信に要する通信負荷を軽減できる空調制御装置を提供する。
【解決手段】空調制御装置は、複数の空気調和機を集中制御する。空調制御装置は、第1の通信部と、第2の通信部とを有する。第1の通信部は、オープンネットワークに接続され、オープンネットワーク経由で空気調和機と通信する。第2の通信部は、クローズドネットワークに接続され、クローズドネットワーク経由で空気調和機と通信する。第1の通信部は、空気調和機との間のデータを暗号化して通信する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空気調和機を集中制御する空調制御装置であって、
オープンネットワークに接続され、前記オープンネットワーク経由で前記空気調和機と通信する第1の通信部と、
クローズドネットワークに接続され、前記クローズドネットワーク経由で前記空気調和機と通信する第2の通信部と、を有し、
前記第1の通信部は、
前記空気調和機との間のデータを暗号化して通信することを特徴とする空調制御装置。
【請求項2】
前記第2の通信部は、
前記空気調和機との間のデータを暗号化しないで通信することを特徴とする請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項3】
前記第1の通信部は、
前記第1の通信部に接続された前記空気調和機と、利用者が利用する前記空気調和機の運転に関する設定及び状態で前記利用者個人に関わる情報を通信することを特徴とする請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項4】
前記空気調和機内に格納され、該空気調和機を制御するファームウェアを記憶する記憶部を有し、
前記第1の通信部は、
前記記憶部から読み出した前記ファームウェアを、前記第1の通信部に接続された空気調和機に対して送信し、前記ファームウェアの書き換えを行わせることを特徴とする請求項2又は3に記載の空調制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有線LANや無線LAN(Local Area Network)によるインターネット接続サービスが普及しており、例えば、宿泊施設や公共施設等を収容した建築物(以下、建屋ということがある)には無線LAN等のインターネット接続サービス(例えば、フリーWi-Fi(登録商標)を提供するための通信網が整備、敷設されている場合がある。一方、このような建屋に数多く配置される空気調和機を集中管理するには、専用の通信ケーブルが敷設されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-68469号公報
【特許文献2】特開2015-017768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、例えば、このような建屋に数多く配置される空気調和機の集中管理に、既存の通信網を流用し、専用の通信ケーブルの敷設をなくすことで、配線コストを削減する空気調和システムが考えられる。しかし、建屋内の通信網は、建屋内にいる不特定多数のユーザが接続する通信網であるため、空調に関する通信データの内容には秘匿性を持たせる場合がある。しかし、秘匿性を担保するために通信データを暗号化すると、例えば、ハンドシェイクや鍵の交換等の暗号化のための通信手順が複雑になる。このため、空気調和機では、通信部の暗号化/復号化処理の負荷が大きくなるおそれがある。また、建屋内の通信網はインターネットを利用する際に用いられるため、空気調和機に関わるデータ通信に建屋内の通信網を利用した場合に、空気調和機に関わるデータ通信がインターネット接続サービス側の通信に影響を及ぼさないことが求められる。
【0005】
本発明ではこのような問題に鑑み、空気調和機を集中管理する際の専用の通信ケーブルの敷設コストを削減できると共に、既存の通信網における空気調和機に関わるデータ通信に要する通信負荷を軽減できる空調制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様の空調制御装置は、複数の空気調和機を集中制御する。空調制御装置は、第1の通信部と、第2の通信部とを有する。第1の通信部は、オープンネットワークに接続され、オープンネットワーク経由で空気調和機と通信する。第2の通信部は、クローズドネットワークに接続され、クローズドネットワーク経由で空気調和機と通信する。第1の通信部は、空気調和機との間のデータを暗号化して通信する。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面として、空調制御装置と空気調和機からなる空気調和システムのコストと、構成機器間のデータ通信に要する通信負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施例の空気調和システムの一例を示す説明図である。
図2図2は、空気調和機の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の通信アダプタの構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、データ種別テーブルの一例を示す説明図である。
図5図5は、第2の通信アダプタの構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、空調制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、データ送信処理に関わる空調制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本願の開示する空調制御装置の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜変形しても良い。
【実施例0010】
<空気調和システムの構成>
図1は、実施例1の空気調和システム1の一例を示す説明図である。図1に示す空気調和システム1は、例えば、宿泊施設や公共施設等の建屋内の空気調和機2と、同空気調和機2を管理する空調制御装置4などからなるシステムである。空気調和システム1は、空気調和機2と、通信アダプタ3と、空調制御装置4とを有する。空気調和機2は、いくつかの異なる種類の室内機21を備えており、例えば、第1の空気調和機2Aや第2の空気調和機2Bがある。
【0011】
第1の空気調和機2Aは、例えば、壁掛け型空気調和機である。壁掛け型空気調和機は、室内機21が部屋の壁に掛けられた空気調和機である。第2の空気調和機2Bは、例えば、ダクト型空気調和機や天井型空気調和機である。ダクト型空気調和機は、ダクトを通じて各部屋に室内機21からの空気を供給する空気調和機である。天井型空気調和機は、例えば、大部屋の天井に室内機21を設置した空気調和機である。尚、空気調和システム1内の空気調和機2の台数は任意であり、例えば、壁掛け型空気調和機、ダクト型空気調和機及び天井型空気調和機の台数は適宜変更可能である。
【0012】
通信アダプタ3は、第1の通信アダプタ3Aと第2の通信アダプタ3Bである。第1の通信アダプタ3Aは、第1の空気調和機2Aと空調制御装置4がオープンネットワーク5Aを使い通信を行うための中継機としての機能を有する。尚、第1の通信アダプタ3Aは、例えば、第1の空気調和機2A内に内蔵されても良い。また、第2の通信アダプタ3Bは、第2の空気調和機2Bとクローズドネットワーク5Bとの間を通信する。尚、第2の通信アダプタ3Bは、第2の空気調和機2B内に内蔵されても良い。
【0013】
オープンネットワーク5Aは、例えば、建屋内にいる不特定多数のユーザが接続可能なフリーWi-Fi等の無線LAN(Local Area Network)の通信網である。クローズドネットワーク5Bは、例えば、建屋内の第2の空気調和機2Bの専用通信に使用する、例えば、ビル管理システム等で用いられているLONWORKS(登録商標)等の専用通信網である。
【0014】
<空気調和機の構成>
図2は、空気調和機2の構成の一例を示すブロック図である。図2に示す空気調和機2は、室内機21と、室外機22とを有し、室内機21と室外機22との間で冷媒が循環する冷媒回路が形成される。室内機21は、例えば、室内に配置され、空調空間である室内の空気を加熱又は冷却する空気調和機2の一部である。室内機21は、例えば、部屋等の空調空間に備えられているものとする。室内機21は、本体21Aと、室内機側通信部21Bと、操作部21Cと、CPU21Dと、メモリ21Eとを有する。本体21Aには、図示しない室内ファンや室内熱交換器などが備えられ、室内熱交換器と室外機22との間で循環している冷媒と熱交換を行った室内空気が室内ファンによって吹き出されることで、部屋の暖房、冷房、除湿等が行われる。室内機側通信部21Bは、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)方式の通信インターフェースにより通信アダプタ3との間で通信を行う。操作部21Cは、室内機21に対して各種設定を行うインターフェースである。CPU21Dは、室内機21全体を制御する。メモリ21Eには、空気調和機2Aを動作させるファームウェア(以下FW)、および各種制御用の情報が記憶される。室外機22には、例えば、室外ファンや圧縮機等が備えられている。
【0015】
第1の通信アダプタ3Aは、第1の空気調和機2Aの室内機21とUART方式で通信する通信機能と、オープンネットワーク5Aと無線LANで通信する通信機能とを有する。第1の通信アダプタ3Aは、第1の空気調和機2Aの室内機21毎に配置される。尚、第1の通信アダプタ3Aは、室内機21に内蔵されていてもよい。
【0016】
第2の通信アダプタ3Bは、第2の空気調和機2Bの室内機21とURAT方式で通信する通信機能と、クローズドネットワーク5Bと通信する通信機能とを有する。第2の通信アダプタ3Bは、第2の空気調和機2Bの室内機21毎に配置される。尚、第2の通信アダプタ3Bは、室内機21に内蔵されていてもよい。また、空調制御装置4は、空気調和システム1内の各空気調和機2の状態のモニタや制御を行うコントローラである。
【0017】
<第1の通信アダプタの構成>
図3は、第1の通信アダプタ3Aの構成の一例を示すブロック図である。図3に示す第1の通信アダプタ3Aは、第1の通信部31Aと、UART通信部32Aと、記憶部33Aと、CPU(Central Processing Unit)34Aとを有する。第1の通信部31Aは、CPU34Aと接続され、オープンネットワーク5Aを介して外部との通信を行う機能を担い、それは例えば無線LAN等の通信インターフェースである。UART通信部32Aは、室内機21内のCPU21DとCPU34Aとを通信接続する、例えばUART等の通信インターフェースである。記憶部33Aは、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有し、データやプログラム等の各種情報を格納する。CPU34Aは、第1の通信アダプタ3A全体を制御する。
【0018】
第1の通信部31Aは、暗号化通信又は非暗号化通信を用いてオープンネットワーク5A経由で空調制御装置4との間のデータ通信を行う機能を有する。暗号化通信の場合は、通信データは、例えばHTTPS(Hyper Text Transfer Protocol Secure)のTLS(Transport Layer Security)などの方式で暗号化し送信され、受信データは同様な方式で復号される。尚、HTTPSのTLSは、公開鍵及び共通鍵等を使用して複数のハンドシェイクを機器間で実行する。非暗号化通信の場合は、例えばUDP(User Data Protocol)を用いてデータを送受信する。尚、UDPは、機器間のハンドシェイクが不要な通信である。UART通信部32Aは、UART通信を用いて室内機21の室内機側通信部21Bとの間でデータ通信を実行する機能を有する。
【0019】
記憶部33Aは、データ種別テーブル331と、機種メモリ332と、FW格納部333とを有する。データ種別テーブル331は、各種データを通信する際に、そのデータを暗号化するか否かを決定するためのテーブルである。図4は、データ種別テーブル331の一例を示す説明図である。図4に示すデータ種別テーブル331は、データ種別毎にデータ内容を管理するテーブルである。データ種別テーブル331には、利用者が利用する第1の空気調和機2Aの運転に関する設定及び状態が分類され管理されている(後述の制御装置からのFWは除く)。具体的には第1の空気調和機2Aを利用する利用者個人に関わるデータを暗号化し通信する暗号化対象のデータ種別として管理すると共に、利用者個人とは無関係なデータを暗号化しないで通信する非暗号化対象のデータ種別として管理する。暗号化対象のデータ内容としては、例えば空調ON/OFF、運転モード、設定温度及び風向・風量などの利用者の在不在や、利用者の好みが反映された個人に関わるデータが含まれる。また、第1の空気調和機2Aのファームウェアも暗号化対象のデータとなる。理由については後述する。一方、非暗号化対象のデータ内容としては、第1の空気調和機2Aの機種名、第1の空気調和機2AのIPアドレス、故障検知情報、空調制御装置4からの制御情報等の、利用者の在不在や好みとは関係のない、利用者個人とは無関係なデータが含まれる。
【0020】
次に、各々のデータの内容について説明する。空調ON/OFFは、第1の空気調和機2Aの運転または停止の状態を示すデータである。運転モードは、第1の空気調和機2Aの暖房運転または冷房運転等の運転モードを示すデータである。設定温度は、第1の空気調和機2Aの設定温度のデータである。風向・風量は、第1の空気調和機2Aの風量や風向の設定データである。FWは、第1の空気調和機2Aを制御するソフトウェアである。第1の空気調和機2Aの機種名は、第1の空気調和機2Aの機種を識別するためのデータである。第1の空気調和機2AのIPアドレスは、空調制御装置4から第1の通信アダプタ3AにIPアドレスを設定するためのデータである。故障検知情報は、第1の空気調和機2Aの故障内容を通知するためのデータである。空調制御装置4からの制御情報は、空調制御装置4から各第1の空気調和機2Aを制御、設定等を行うデータである。
【0021】
空調ON/OFF、運転モード、設定温度及び風向・風量は、室内機21が設置された室内に利用者が存在することや、利用者の室内環境に関する嗜好など利用者個人に関わる情報が特定できることから暗号化通信で当該データの通信が行われる。また、FWは、第三者に取得されると、リバースエンジニアリング等により内部仕様等の機密情報の流出の恐れがあるため暗号化通信が用いられる。これに対して、空気調和機2の機種名、空気調和機2のIPアドレス、故障検知情報や空調制御装置4からの制御情報は、空気調和機2の利用者個人とは無関係な情報のため、非暗号化通信で当該データの通信が行われる。
【0022】
データ種別テーブル331には、暗号化対象のデータ内容と非暗号化対象のデータ内容がテーブル化され格納されている。
【0023】
機種メモリ332は、第1の通信アダプタ3AのIPアドレスと、第1の通信アダプタ3Aが接続される第1の空気調和機2Aの機器名を記憶している。機器名は、例えば、壁掛け型空気調和機等である。IPアドレスは、第1の通信アダプタ3Aに付与されたIPアドレスである。尚、IPアドレスは、空調制御装置4内の後述するDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)制御部46Dから付与されたIPアドレスである。
【0024】
CPU34Aは、検出部341Aと、判定部342Aと、通信制御部343Aと、制御部344Aとを有する。検出部341Aは、第1の通信アダプタ3Aが送信しようとする送信対象のデータを検出する。送信対象データは、第1の通信アダプタ3Aが送信するデータである。判定部342Aは、送信対象データのデータ種別に基づき、データ種別テーブル331を参照し、送信対象のデータに対して暗号化通信を使用するか否かを判定する。判定部342Aは、送信対象のデータのデータ種別が暗号化対象である場合に、送信対象のデータを暗号化通信すると判定する。判定部342Aは、送信対象のデータのデータ種別が暗号化対象のデータ種別と異なる非暗号化対象である場合に、送信対象のデータを暗号化通信しないと判定する。
【0025】
通信制御部343Aは、第1の通信部31Aを制御する。通信制御部343Aは、送信データ種別が暗号化対象の場合、送信データを暗号化しオープンネットワーク5A経由で送信すべく、第1の通信部31Aを制御する。また、通信制御部343Aは、送信対象データ種別が非暗号化対象の場合、送信データを暗号化せずにオープンネットワーク5A経由で送信すべく、第1の通信部31Aを制御する。制御部344Aは、第1の通信アダプタ3A全体を制御する。
【0026】
<第2の通信アダプタの構成>
図5は、第2の通信アダプタ3Bの構成の一例を示すブロック図である。図5に示す第2の通信アダプタ3Bは、第2の通信部31Bと、UART通信部32Bと、記憶部33Bと、CPU(Central Processing Unit)34Bとを有する。第2の通信部31Bは、クローズドネットワーク5BとCPU34Bとの間を通信接続する、例えば、LONWORKS等の通信インターフェース等の通信部である。第2の通信部31Bは、室内機21内のCPU21DとCPU34Bとを通信接続する、例えば、UART等の通信インターフェースである。記憶部33Bは、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有し、データやプログラム等の各種情報を格納する。CPU34Bは、第2の通信アダプタ3B全体を制御する。
【0027】
第2の通信部31Bは、非暗号化通信を用いてクローズドネットワーク5B経由で空調制御装置4との間のデータ通信を実行する機能を有する。UART通信部32Bは、UART通信を用いて室内機21の室内機側通信部21Bとの間でデータ通信を実行する機能を有する。
【0028】
記憶部33Bは、機種メモリ332Bを有する。機種メモリ332Bは、第2の通信アダプタ3BのIPアドレスと、第2の通信アダプタ3Bが接続される第2の空気調和機2Bの機器名を記憶している。機器名は、例えば、ダクト型空気調和機や天井型空気調和機等である。IPアドレスは、第2の通信アダプタ3Bに付与されたIPアドレスである。尚、IPアドレスは、空調制御装置4内の後述するDHCP制御部46Dから付与されたIPアドレスである。
【0029】
CPU34Bは、検出部341Bと、通信制御部342Bと、制御部343Bとを有する。検出部341Bは、第2の通信アダプタ3Bが送信しようとする送信データを検出する。送信データは、第2の通信アダプタ3Bが送信するデータである。
【0030】
通信制御部342Bは、第2の通信部31Bを制御する。通信制御部34Cは、非暗号化通信を使用して送信データをクローズドネットワーク5B経由で送信すべく、第2の通信部31Bを制御する。制御部343Bは、第2の通信アダプタ3B全体を制御する。
【0031】
<空調制御装置の構成>
図6は、空調制御装置4の構成の一例を示すブロック図である。図6に示す空調制御装置4は、第1の通信部41と、第2の通信部42と、表示部43と、操作部44と、記憶部45と、CPU46とを有する。第1の通信部41は、オープンネットワーク5Aを経由して第1の通信アダプタ3Aとデータ通信を行う。第1の通信部41は、暗号化通信又は非暗号化通信の機能を有する。第2の通信部42は、クローズドネットワーク5Bを経由して第2の通信アダプタ3Bとデータ通信を行う。
【0032】
表示部43は、例えば、複数の空気調和機2の運転や設定状況などの各種情報を表示する。操作部44は、操作者からの空調制御装置4への操作入力を受け付ける。記憶部45は、各種情報を記憶する。CPU46は、空調制御装置4全体を制御する。
【0033】
記憶部45は、データ種別テーブル45Aと、機器管理テーブル45Bと、FW記憶部45Cとを有する。データ種別テーブル45Aは、データ種別毎のデータ内容を管理するテーブルである。データ種別テーブル45Aは、第1の通信アダプタ3A内のデータ種別テーブル351と同一内容である。データ種別テーブル45Aは、第1の空気調和機2Aを利用する利用者個人に関わるデータを暗号化対象のデータ種別として管理すると共に、利用者個人とは無関係なデータを非暗号化対象のデータ種別として管理する。機器管理テーブル45Bは、各通信アダプタ3と接続する空気調和機2の機器種別及びIPアドレスを管理するテーブルである。空気調和機2の機器種別は、例えば、壁掛け型空気調和機等の第1の空気調和機2A、例えば、ダクト型空気調和機や天井型空気調和機等の第2の空気調和機2Bである。IPアドレスは、空気調和機2と接続する通信アダプタ3に付与したIPアドレスである。
【0034】
FW記憶部45Cには、第1の通信アダプタ3A内のFW格納部333Aに格納される、第1の空気調和機2Aを制御するFWが記憶されている。第1の通信部41は、FW記憶部45Cから読み出したFWを、オープンネットワーク5A経由で第1の通信アダプタ3Aに送信する。その結果、第1の空気調和機2A内の第1の通信アダプタ3Aは、FW格納部333A内のFWを書き換えられる。
【0035】
FW格納部333A内のFWが書き換えられると、制御部344Aは、UART通信部32Aを通じ、室内機21に書き換えられたFWを送信する。当該FWを受信した室内機21は、メモリ21Eに当該FWを格納し、以降、第1の空気調和機2Aは書き換えられたFWによって動作を行う。
【0036】
CPU46は、検出部46Aと、判定部46Bと、通信制御部46Cと、DHCP制御部46Dと、制御部46Eとを有する。検出部46Aは、空調制御装置4が送信しようとする送信対象のデータを検出する。送信対象データは、空調制御装置4が送信するデータである。判定部46Bは、送信対象データの宛先を特定する。判定部46Bは、宛先に応じて使用ネットワークを特定する。尚、使用ネットワークは、例えば、オープンネットワーク5Aやクローズドネットワーク5B等である。
【0037】
更に、判定部46Bは、使用ネットワークがオープンネットワーク5Aであるか否かを判定する。判定部46Bは、使用ネットワークがオープンネットワーク5Aである場合、送信対象データが第1の通信部41Aを用いて送信するものと判断する。更に、判定部46Bは、送信対象データを第1の通信部41Aを用いて送信する場合、送信対象データのデータ種別に基づき、データ種別テーブル45Aを参照し、送信対象のデータに対して暗号化通信を使用するか否かを判定する。判定部46Bは、送信対象のデータのデータ種別が暗号化対象である場合に、送信対象のデータを暗号化通信すると判定する。判定部46Bは、送信対象のデータのデータ種別が暗号化対象と異なる非暗号化対象である場合に、送信対象のデータを暗号化通信しないと判定する。判定部46Bは、使用ネットワークがオープンネットワーク5Aでない場合、使用ネットワークがクローズドネットワーク5Bであると判断し、送信対象データを第2の通信部42を用いて送信するものと判断する。
【0038】
通信制御部46Cは、送信対象データを第1の通信部41を用いて送信する場合、送信対象データをオープンネットワーク5A経由で送信すべく、第1の通信部41を制御する。更に、通信制御部46Cは、送信対象データを第2の通信部42を用いて送信する場合、送信対象データをクローズドネットワーク5B経由で送信すべく、第2の通信部42を制御する。
【0039】
DHCP制御部46Dは、例えば、無線LAN内の各通信アダプタ3に対して、通信に使用するIPアドレスを付与するDHCP機能を有する。尚、DHCP機能は、ON/OFF切替え可能である。制御部46Eは、空調制御装置4全体を制御する。通信制御部46CがDHCP制御部46Dを備えることで、通信制御部46Cは空気調和機2(壁掛け型空気調和機、ダクト型空気調和機や天井型空気調和機等)と接続される通信アダプタ3にIPアドレスを付与する。従って、通信制御部46Cは、通信アダプタ3に付与されるIPアドレスをホストアドレスとして、通信アダプタ3(空気調和機2)とサブネットワークを形成する。また、DHCP制御部46Dは、各通信アダプタ3にIPアドレスを付与するための通信時に、当該通信アダプタ3がオープンネットワーク5Aとクローズドネットワーク5Bのどちらに接続されているかを把握する。
【0040】
<空気調和システムの動作>
次に実施例1の空気調和システム1の動作について説明する。図7は、データ送信処理に関わる空調制御装置4の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0041】
図7に示す空調制御装置4内のCPU46の検出部46Aは、送信対象のデータを検出したか否かを判定する(ステップS11)。尚、検出部46Aは、送信対象のデータの発生を検出するものであり、当該データ内にはそのデータが、空気調和システム1内のどの通信アダプタ3向けのものなのかの情報が含まれている。CPU46内の判定部46Bは、送信対象のデータを検出した場合(ステップS11:Yes)、当該送信データに含まれる情報から、送信対象データの宛先(IPアドレス)を特定する(ステップS12)。判定部46Bは、宛先であるIPアドレスの通信アダプタ3が接続されているネットワークを特定する(ステップS13)。接続されているネットワークの特定はIPアドレスの付与と管理を行うDHCP制御部46Cに判定部46Bから照会をかけることで行われればよい。尚、宛先が第1の通信アダプタ3Aの場合の使用ネットワークはオープンネットワーク5A、宛先が第2の通信アダプタ3Bの場合の使用ネットワークはクローズドネットワーク5Bである。
【0042】
判定部46Bは、宛先の使用ネットワークがオープンネットワーク5Aであるか否かを判定する(ステップS14)。通信制御部46Cは、宛先の使用ネットワークがオープンネットワーク5Aの場合(ステップS14:Yes)、第1の通信部41を用いて送信対象データをオープンネットワーク5A経由で送信し(ステップS15)、図7に示す処理動作を終了する。尚、判定部46Bは、オープンネットワーク5A経由で送信対象データを送信する場合、データ種別テーブル45Aを参照し、送信対象データが暗号化対象であるか否かを判定する。通信制御部46Cは、送信対象データが暗号化対象の場合、オープンネットワーク5A経由で暗号化通信を用いて送信対象データを送信すべく、第1の通信部41を制御する。また、通信制御部46Cは、送信対象データが非暗号化対象の場合、オープンネットワーク5A経由で非暗号化通信を用いて送信対象データを送信すべく、第1の通信部41を制御する。
【0043】
通信制御部46Cは、宛先の使用ネットワークがオープンネットワーク5Aでない場合(ステップS14:No)、第2の通信部42を用いて送信対象データをクローズドネットワーク5B経由で送信し(ステップS16)、図7に示す処理動作を終了する。
【0044】
<実施例の効果>
空調制御装置4は、オープンネットワーク5A経由で第1の空気調和機2Aの第1の通信アダプタ3Aと通信する第1の通信部41と、クローズドネットワーク5B経由で第2の空気調和機2Bの第2の通信アダプタ3Bと通信する第2の通信部42とを有する。その結果、空調制御装置4は、オープンネットワーク5Aを使用して第1の通信アダプタ3Aと通信することで、第1の空気調和機2Aを集中管理できる。更に、空調制御装置4は、クローズドネットワーク5Bを使用して第2の通信アダプタ3Bと通信することで、第2の空気調和機2Bを集中管理できる。第1の空気調和機2Aを集中管理する際の専用の通信ケーブルの敷設コストを削減できると共に、既存の通信網における第1の空気調和機2Aに関わるデータ通信に要する通信負荷を軽減できる。空調制御装置4と空気調和機2とからなる空気調和システム1のコストと、構成機器、例えば、通信アダプタ3との間のデータ通信に要する通信負荷を軽減できる。
【0045】
更に、第1の通信部41は、第1の通信アダプタ3Aとの間のデータを暗号化して通信する。その結果、空調制御装置4は、オープンネットワーク5Aを利用した第1の通信アダプタ3Aとの間で秘匿性の高いデータを通信する場合、暗号化通信を用いて通信するため、利用者のプライバシーを保護できる。
【0046】
第2の通信部42は、第2の通信アダプタ3Bとの間のデータを暗号化しないで通信する。その結果、空調制御装置4は、クローズドネットワーク5B経由で暗号化しないでデータ通信するため、空調制御装置4側の処理負荷を軽減できる。
【0047】
第1の通信部41は、利用者が利用する第1の空気調和機2Aの運転に関する設定及び状態で利用者個人に関わる情報を第1の通信アダプタ3Aと通信する。その結果、第1の空気調和機2Aの運転に関するデータのうち、利用者が存在することや、利用者の室内環境に関する嗜好など利用者個人に関わる情報は暗号化通信を用いて通信するため、利用者のプライバシーを保護することができる。
【0048】
第1の通信部41は、FW記憶部45Cから読み出したFWを第1の通信アダプタ3Aに対して送信する。その結果、第1の通信アダプタ3Aは、空調制御装置4から受信したFWでFW格納部333AのFWを書き換えて更新する。更新されたFWは室内機21に転送され、空気調和機2AはFWによって動作する。空調制御装置4は、オープンネットワーク5Aを利用して空気調和機2AのFWのバージョンアップを実現できる。
【0049】
送信対象データのデータ内容に応じて、暗号化するデータと、暗号化しないデータとを分け、暗号化するデータのデータ量や暗号化通信に関わるハンドシェイクの回数を減らすことで第1の通信部41の負荷を軽減できる。更に、暗号化するデータのデータ量や暗号化通信時に実行するハンドシェイクの回数を減らすことで、無線LANの通信負荷を抑制できる。更に、第1の通信部41に対して負荷のかかる暗号化通信のデータ量を減らすことで、第1の通信部41等のハードウェアを安価に構成できる。また、無線LAN等のオープンネットワーク5Aを使用した場合でも、第1の空気調和機2Aを利用する利用者のプライバシーが保たれる。
【0050】
第1の通信部41は、送信対象データが暗号化対象の場合、オープンネットワーク5A経由で暗号化通信を用いて送信対象データを送信し、送信対象データが非暗号化対象の場合、オープンネットワーク5A経由で非暗号化通信を用いて送信対象データを送信する場合を例示した。しかしながら、第1の通信部41は、送信対象データが暗号化対象であるか否かを判定することなく、オープンネットワーク5A経由で暗号化通信を用いて送信対象データを第1の通信アダプタ3Aに送信しても良く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 空気調和システム
2 空気調和機
2A 第1の空気調和機
2B 第2の空気調和機
3 通信アダプタ
3A 第1の通信アダプタ
3B 第2の通信アダプタ
4 空調制御装置
5A オープンネットワーク
5B クローズドネットワーク
41 第1の通信部
42 第2の通信部
45A データ種別テーブル
45C FW記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7