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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189120
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】酸化染毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20221215BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61K8/92
A61Q5/10
A61K8/34
A61K8/44
A61K8/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097509
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】原田 智広
(72)【発明者】
【氏名】堀江 俊貴
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB082
4C083AB312
4C083AB352
4C083AB412
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC151
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC352
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC692
4C083AC792
4C083AC892
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD132
4C083BB12
4C083BB53
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】毛髪の新生部と既染部との染まり具合の均一性が長持ちし、かつ、新生部と既染部との感触が均一となり、感触の均一性が長持ちする酸化染毛剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)IOB値が3.5以上の多価アルコールと、(B)常温で固体状又はペースト状の油性成分と、(C)酸化染料と、(D)アミノ酸又はその塩と、を含有する、酸化染毛剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)IOB値が3.5以上の多価アルコールと、
(B)常温で固体状又はペースト状の油性成分と、
(C)酸化染料と、
(D)アミノ酸又はその塩と、
を含有する、酸化染毛剤組成物。
【請求項2】
前記(A)成分がグリセリンを含む、請求項1に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項3】
前記(B)成分がシア脂を含む、請求項1又は請求項2に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項4】
前記酸化染毛剤組成物中の前記(B)成分の含有量に対する、前記酸化染毛剤組成物中の前記(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、1以上10以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項5】
前記(C)成分が、(C-1)α-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、及び硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールから選ばれる1種以上を少なくとも含有する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項6】
前記(C)成分が、(C-2)レゾルシンを少なくとも含有する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項7】
(E)合成型カチオン化ポリマーを更に含有する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の酸化染毛剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸化染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を染色する染毛剤として酸化染毛剤が知られている。酸化染毛剤は、アルカリ剤の作用で膨潤した毛髪内に酸化染料を浸透させ、酸化剤の作用で毛髪に含まれるメラニン色素の分解と酸化染料の酸化重合による発色とを行うことにより、毛髪を染色する。
【0003】
ところで、毛髪の新生部、すなわち、前回の染毛処理よりも後に新たに伸びてきた部分と、毛髪の既染部、すなわち、前回の染毛処理以前に生えていた部分とでは、同じ酸化染毛剤を用いても同等な染まり具合とならない場合がある。これに対し、例えばヘアサロンでは、新生部と既染部とで別々の酸化染毛剤を使用して塗り分ける場合がある。しかし、同等な染まり具合となるような適切な酸化染毛剤の選択には困難を伴う。
【0004】
特許文献1には、特定の酸化染料と、スレオニン及びセリンから選ばれる1種以上とを含有する酸化染毛剤組成物が、毛髪の新生部と既染部とで同等な染まり具合を示すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-59110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
染毛処理後に洗髪が繰り返されたりする過程で、一般的に毛髪の褪色が生じる。本発明者らの検討によれば、毛髪の新生部と既染部とでは毛髪の褪色具合が異なるため、染毛処理の直後に新生部と既染部とで同等な染まり具合になっていたとしても、褪色後に染まり具合が不均一になってしまう場合があることが判明した。具体的には、褪色後の新生部と既染部との染まり具合を厳密に評価したところ、色相、彩度、及び明度のいずれかの観点において不均一である場合があった。
【0007】
また、毛髪の新生部と既染部とでは、毛髪の染まり具合に加え、毛髪の感触が異なってしまう場合があることが判明した。
本開示の一局面は、毛髪の新生部と既染部との染まり具合の均一性が長持ちし、かつ、新生部と既染部との感触が均一となり、感触の均一性が長持ちする酸化染毛剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、酸化染毛剤組成物であって、(A)IOB値が3.5以上の多価アルコールと、(B)常温で固体状又はペースト状の油性成分と、(C)酸化染料と、(D)アミノ酸又はその塩と、を含有する。
本開示の一態様では、(A)成分がグリセリンを含んでもよい。
本開示の一態様では、(B)成分がシア脂を含んでもよい。
【0009】
本開示の一態様では、酸化染毛剤組成物中の(B)成分の含有量に対する、酸化染毛剤組成物中の(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、1以上10以下であってもよい。
本開示の一態様では、(C)成分が、(C-1)α-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、及び硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールから選ばれる1種以上を少なくとも含有してもよい。
【0010】
本開示の一態様では、(C)成分が、(C-2)レゾルシンを少なくとも含有してもよい。
本開示の一態様では、(E)合成型カチオン化ポリマーを更に含有してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、毛髪の新生部と既染部との染まり具合の均一性が長持ちし、かつ、新生部と既染部との感触が均一となり、感触の均一性が長持ちする酸化染毛剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一態様の酸化染毛剤組成物は、(A)IOB値が3.5以上の多価アルコールと、(B)常温で固体状又はペースト状の油性成分と、(C)酸化染料と、(D)アミノ酸又はその塩と、を含有する。
【0013】
上述のとおり、毛髪の新生部と既染部とでは、同等な染まり具合となりにくく、また染毛処理の直後に同等な染まり具合になっていたとしても、褪色後に染まり具合が不均一になってしまう場合がある。また、毛髪の染まり具合に加え、毛髪の感触が異なってしまう場合がある。
【0014】
このような違いが生じるのは、新生部と既染部とで毛髪の状態が異なっているためと考えられる。すなわち、既染部では、前回の染毛処理以前に受けてきた染毛処理の履歴を経てダメージが蓄積した結果、キューティクルが剥がれるなどして健康な毛髪では保たれている疎水性が損なわれ、水分を過剰に吸着しやすい状態になっていると考えられる。
【0015】
染毛処理時にはアルカリ剤の作用によって毛髪を膨潤させることにより、酸化染料、酸化剤等の成分を毛髪の内部に浸透させやすくする。しかし、水分を過剰に吸着しやすい既染部では新生部よりも膨潤しやすくなっているため、これらの成分が新生部と比較して毛髪の内部に入りやすい。その結果、既染部では新生部よりも毛髪が比較的濃く染まってしまう。一方で、既染部では洗髪時にも毛髪が水を含みやすく、洗髪に伴い染料を毛髪から流失させやすくなっている。そのため、染毛処理後には、毛髪の褪色具合も既染部では新生部よりも大きくなってしまう。
【0016】
また、このような毛髪の状態の違いは、直接、毛髪の感触の違いとして現れる。特に、既染部においては、新生部よりも、パサつき、ざらつき、指通りの悪さ、櫛又は手櫛で毛髪を梳かした時の引っ掛かりが生じやすい。
本発明者の検討によれば、上記(A)成分及び上記(B)成分を併用することにより、新生部と既染部との染まり具合及び感触を均一にすることができる。
【0017】
(A)成分であるIOB値が3.5以上の多価アルコールは、既染部では水分の吸着量を抑え、新生部では水分の吸着量を高めることにより、両者の水分の吸着量を調節すると考えられる。また、上記(B)成分である常温で固体状又はペースト状の油性成分は、既染部の疎水化に寄与すると考えられる。
このように、(A)成分及び(B)成分は、新生部と既染部との水分の吸着量を互いに近づけることにより、新生部と既染部との染まり具合及び感触を均一にすることができる。
【0018】
さらに、(D)成分は、自身が毛髪内に長くとどまりながら(C)成分である酸化染料の流失を抑えることができるため、新生部と既染部との染まり具合の均一性を長持ちさせることができる。また、(D)成分は毛髪の感触を向上させる効果、特に、既染部において生じやすいパサつき、ざらつき、指通りの悪さ、櫛又は手櫛で毛髪を梳かした時の引っ掛かりを抑えて感触をよくする効果も有し、新生部と既染部との感触の均一性を長持ちさせることができる。
【0019】
以下、本開示の一態様の酸化染毛剤組成物について詳細に説明する。
[酸化染毛剤組成物]
酸化染毛剤組成物としては、例えば、アルカリ剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤とを含む多剤式の組成物が挙げられる。第1剤と第2剤とは、使用時に混合されて毛髪に適用される。混合操作は、毛髪へ適用する前に行われても毛髪への適用後に行われてもよい。例えば、毛髪へ適用する直前に混合してもよく、第1剤と第2剤とをコーム等で取り、毛髪上でコーム等を用いて混合してもよい。多剤式の組成物は、第1剤及び第2剤の2剤のみで構成されてもよいし、他の剤を含む3剤以上で構成されてもよい。また、酸化染毛剤組成物は、1剤のみで構成されてもよい。
【0020】
酸化染毛剤組成物を構成する各剤の形態、及び、使用時における各剤が混合された状態での形態は、特に限定されない。形態としては、例えば、クリーム状、液体状、粉末状、タブレット状、ジェル状、泡状等が挙げられる。使用時に泡状にする場合には、公知のフォーマー用具により泡状とすることができる。公知のフォーマー用具としては、例えば、ノンエアゾール型フォーマー、エアゾール型フォーマー、シェーカー等が挙げられる。エアゾール型フォーマーの場合、公知の噴射剤及び発泡剤を使用することができる。
【0021】
[(A)成分]
(A)IOB値が3.5以上の多価アルコールは、上述のとおり(B)成分と併用することで、毛髪の新生部と既染部との染まり具合及び感触を均一にすることができる。
【0022】
IOBとは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略である。IOB値は、化合物の有機値に対する化合物の無機値の比の値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標である。具体的には、「IOB値=無機性値/有機性値」として表される。化合物の無機性値及び有機性値のそれぞれは、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、当該有機化合物中のすべての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」をそれぞれ積算して算出される(例えば、甲田善生著、「有機概念図―基礎と応用―」11頁~17頁、三共出版、1984年発行参照)。化合物のIOB値は、その積算された無機性値、有機性値を用いて算出される。
【0023】
(A)IOB値が3.5以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、グルコース、マルトース、スクロース、トレハロース等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0024】
(A)成分としては、新生部と既染部との染まり具合及び感触をより均一にできることから、IOB値が4以上の多価アルコールが好ましい。
また、(A)成分としては、新生部と既染部との染まり具合及び感触をより均一にできることから、グリセリン、ジグリセリン、及びソルビトールから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、グリセリンを含有することがより好ましい。
【0025】
酸化染毛剤組成物中の(A)成分の含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、(A)成分の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。(A)成分の含有量がこのような範囲であると、新生部と既染部との染まり具合及び感触をより均一にすることができる。
【0026】
なお、酸化染毛剤組成物中の(A)成分の含有量とは、使用時における酸化染毛剤組成物中の含有量をいう。例えば、2剤式の組成物の場合、2剤を混合した場合の混合物中の(A)成分の含有量をいう。以下の含有量についても同様である。
【0027】
[(B)成分]
(B)常温で固体又はペースト状の油性成分は、上述のとおり(A)成分と併用することで、毛髪の新生部と既染部との染まり具合及び感触をより均一にすることができる。
(B)成分は、多剤式の組成物の場合、第1剤、第2剤及び他の剤のいずれの剤に含有されていてもよい。しかし、新生部と既染部との染まり具合をより均一にすることができ、染まり具合の均一性がより長持ちすることから、(B)成分は、アルカリ剤を含む第1剤に含有されることが好ましい。また、新生部と既染部との染まり具合をより均一にすることができ、染まり具合の均一性がより長持ちすることから、(B)成分は(A)成分と同じ剤に含有されていることが好ましい。
【0028】
ここで、常温で固体又はペースト状の油性成分とは、具体的には、25度で固体又はペースト状の油性成分をいう。なお、25度でペースト状の油性成分とは、具体的には、当該成分が、25度において、一定の体積を有するもとで形状を自在に変えることができ、かつ、その変えた形状を保持することができる状態にあるものをいう。
【0029】
(B)成分としては、例えば、植物性油脂、ロウ、炭化水素類、及びエステル類から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、25度で固体又はペースト状のものが好ましい。
植物性油脂としては、例えば、植物性脂肪、植物油の硬化油、その他の植物性油脂が挙げられる。植物性脂肪としては、例えば、シア脂、カカオ脂、テオブロマグランジフロルム種子脂、マンゴー種子油、モクロウ等が挙げられる。植物油の硬化油としては、例えば、硬化ヤシ油、硬化ヒマシ油、ステアリン酸水添ヒマシ油、水添パーム油等が挙げられる。その他の植物性油脂としては、部分水添された異性化ホホバ油、コメヌカ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル等が挙げられる。
【0030】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバロウ、ラノリン、還元ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウ等が挙げられる。
【0031】
炭化水素類としては、例えば、オゾケライト、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
エステル類としては、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシアルキルダイマージ脂肪酸エーテル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2等が挙げられる。
【0032】
これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
(B)成分としては、新生部と既染部との染まり具合及び感触をより均一にできることから、植物性油脂を含有することが好ましく、植物性脂肪を含有することがより好ましい。植物性油脂、特に植物性脂肪は適度な極性を有し、毛髪により馴染みやすいためである。植物性脂肪としては、シア脂及びカカオ脂から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、シア脂を含有することがより好ましい。
【0033】
酸化染毛剤組成物中の(B)成分の含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、(B)成分の含有量は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。(B)成分の含有量がこのような範囲であると、新生部と既染部との染まり具合及び感触をより均一にすることができる。
【0034】
酸化染毛剤組成物中の(B)成分の含有量に対する、酸化染毛剤組成物中の(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)は、0.05以上が好ましく、1以上がより好ましい。また、質量比(A)/(B)は、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。質量比(A)/(B)がこのような範囲であると、(A)成分と(B)成分との配合バランスが良好であり、新生部と既染部との水分の吸着量をより均一に調節することができる。
【0035】
[(C)成分]
(C)成分である酸化染料は、自身の酸化により発色する染料中間体と、これと反応することにより発色するカプラーとによって構成される。
【0036】
染料中間体としては、例えば、p-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール、及びこれらの塩等が挙げられる。塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0037】
カプラーとしては、例えば、レゾルシン、α-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、5-アミノ-o-クレゾール、m-アミノフェノール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、トルエン-3,4-ジアミン、2,6-ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N-ジエチル-m-アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、及びこれらの塩等が挙げられる。塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0038】
上記以外の酸化染料としては、例えば、「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料が挙げられる。
これら酸化染料のうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0039】
(C)成分のうちカプラーとしては、(C-1)α-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、及び硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。(C-1)成分は、比較的分子サイズが大きく毛髪内にとどまりやすいため、新生部と既染部との染まり具合の均一性をより長持ちさせることができる。
【0040】
また、(C)成分のうちカプラーとしては、(C-2)レゾルシンを含有することが好ましい。(C-2)成分には、新生部と既染部との色差を抑える効果があり、新生部と既染部との染まり具合をより均一にすることができる。
【0041】
(C-1)成分と(C-2)成分とは、酸化染毛剤組成物中に両方含有されてもよいし、どちらか一方のみが含有されてもよいが、両方含有されていることが好ましい。
酸化染毛剤組成物中の(C-1)成分の含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、(C-1)成分の含有量は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。(C-1)成分の含有量がこのような範囲であると、新生部と既染部との染まり具合の均一性をより長持ちさせることができる。
【0042】
酸化染毛剤組成物中の(C-2)成分の含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、(C-2)成分の含有量は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。(C-2)成分の含有量がこのような範囲であると、新生部と既染部との染まり具合をより均一にすることができる。
【0043】
酸化染毛剤組成物中の(C)成分の総含有量は、高い染毛効果が得られることから、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。また、(C)成分の総含有量の上限は、特に限定されないが、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
【0044】
[(D)成分]
(D)成分は、上述のとおり(A)成分及び(B)成分と併用することで新生部と既染部との染まり具合及び感触の均一性を長持ちさせることができる。
【0045】
アミノ酸としては、例えば、スレオニン、セリン、タウリン、グリシン、テアニン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。塩としては、例えば、塩酸塩等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0046】
アミノ酸としては、特に限定されないが、スレオニン、セリン、及びタウリンから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、スレオニンを含有することがより好ましい。
酸化染毛剤組成物中の(D)成分の含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、(D)成分の含有量は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。(D)成分の含有量がこのような範囲であると、新生部と既染部との染まり具合及び感触の均一性をより長持ちさせることができる。
【0047】
酸化染毛剤組成物中の(B)成分の含有量に対する、酸化染毛剤組成物中の(D)成分の含有量の質量比(B)/(D)は、0.3以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、質量比(B)/(D)は、300以下が好ましく、30以下がより好ましい。質量比(B)/(D)がこのような範囲であると、(B)成分と(D)成分との配合バランスが良好であり、新生部と既染部との染まり具合及び感触の均一性をより長持ちさせることができる。
【0048】
[(E)成分]
酸化染毛剤組成物は、(E)合成型カチオン化ポリマーを含有してもよい。
カチオン化ポリマーとは、カチオン性基、例えば、第四級アンモニウム塩基等のカチオン性を示す窒素原子含有基が導入されることによりカチオン化されたポリマーである。カチオン化ポリマーは、天然型カチオン化ポリマー、及び合成型カチオン化ポリマーに大別される。天然型カチオン化ポリマーとは、一般的な天然由来のポリマー、例えば、セルロース、デンプン、グアーガム等をカチオン化したポリマーである。これに対し、合成型カチオン化ポリマーとは、非天然由来のポリマーをカチオン化したポリマーであり、通常は化学的に合成される。
【0049】
(A)成分及び(B)成分は上記効果を有する一方で、(A)成分及び(B)成分を含有する組成物の場合、毛髪の感触がややべたつく傾向にある。これに対し、カチオン化ポリマーを更に含有することで、毛髪のべたつきが抑制される。そして、合成型カチオンポリマーは、天然型カチオン化ポリマーと比較して毛髪へ馴染みやすいため、このような毛髪の感触向上効果を長持ちさせることができる。
【0050】
また、合成型カチオンポリマーは、(D)成分と同様に、(C)成分である酸化染料の流失を抑えることにより、新生部と既染部との染まり具合の均一性を長持ちさせる効果も有する。よって、上記(A)~(D)成分に加えて(E)成分を配合することにより、新生部と既染部との染まり具合の均一性をも、より長持ちさせることができる。
【0051】
(E)合成型カチオン化ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム、塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム・(メタ)アクリルアミド共重合体、(メタ)アクリルアミド・(メタ)アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸ジエチル硫酸塩、N,N-ジメチル(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、カチオン化ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0052】
(E)成分としては、毛髪の感触向上効果及び新生部と既染部との感触の均一性をより長持ちさせることができるため、ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウムを含有することが好ましい。
酸化染毛剤組成物中の(E)成分の含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、(E)成分の含有量は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。(E)成分の含有量がこのような範囲であると、毛髪の感触向上効果及び新生部と既染部との感触の均一性をより長持ちさせることができる。
【0053】
[アルカリ剤]
アルカリ剤は、上述のとおり、多剤式の組成物の場合、第1剤に含有される。第1剤のpHは、特に限定されないが、8以上12以下が好ましい。また、酸化染毛剤組成物中のアルカリ剤の含有量は、特に限定されないが、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0054】
アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アンモニウム塩、アルカノールアミン、有機アミン類、無機アルカリ、炭酸塩等が挙げられる。
アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等の、無機酸のアンモニウム塩、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム等の、有機酸のアンモニウム塩が挙げられる。
【0055】
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1プロパノール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0056】
有機アミン類としては、例えば、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン等が挙げられる。
無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0057】
炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素グアニジン等が挙げられる。
これらのアルカリ剤のうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0058】
[酸化剤]
酸化剤は、上述のとおり、多剤式の組成物の場合、第2剤に含有される。第2剤のpHは、特に限定されないが、1以上6以下が好ましい。また、酸化染毛剤組成物中の酸化剤の含有量は、特に限定されないが、0.1質量%以上15質量%以下が好ましい。
【0059】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、過酢酸及びその塩、過ギ酸及びその塩、過マンガン酸塩、臭素酸塩等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。また、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を酸化助剤として含有してもよい。
【0060】
[その他の成分]
酸化剤組成物は、必要に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、溶剤、上記(B)成分を除く油性成分、上記(A)成分を除く多価アルコール、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン類、アルキルグリセリルエーテル、界面活性剤、天然型カチオン化ポリマー等のポリマー、防腐剤、酸化防止剤、キレート化剤、安定剤、無機塩、直接染料、pH調整剤、育毛成分、植物抽出物、生薬抽出物、尿素、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0061】
溶剤としては、例えば、精製水等の水、有機溶媒等が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェネチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p-メチルベンジルアルコール、α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール、エチレングリコールフェニルエーテル、フェノキシイソプロパノール、2-ベンジルオキシエタノール、N-アルキルピロリドン、炭酸アルキレン等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。溶剤としては、水が含有されていることが好ましい。
【0062】
上記(B)成分を除く油性成分としては、例えば、植物油、炭化水素類、エステル類等が挙げられる。
植物油としては、例えば、アルガニアスピノサ核油、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油、杏仁油、パーシック油、桃仁油、パーム油、卵黄油等が挙げられる。
【0063】
炭化水素類としては、例えば、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、スクワラン、ポリエチレン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、合成スクワラン等が挙げられる。
【0064】
エステル類としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジエトキシエチル、2-エチルヘキサン酸セチル等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0065】
これらの油性成分のうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
上記(A)成分を除く多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0066】
高級脂肪酸としては、例えば、イソステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、2-ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0067】
シリコーン類としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650~10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0068】
アルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。これらのうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0069】
界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。なお、以下の記載において、POEはポリオキシエチレン鎖、POPはポリオキシプロピレン鎖を表している。
【0070】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、セトリモニウムメトサルフェート、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルジメチルアミン、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。
【0071】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、N-アルキロイルメチルタウリン塩、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。より具体的には、アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えば、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等が挙げられる。アルキル硫酸塩の誘導体として、例えば、POEラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。スルホコハク酸エステルとして、例えば、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等が挙げられる。N-アルキロイルメチルタウリン塩としては、例えば、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0072】
両性界面活性剤としては、例えば、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0073】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、エーテル型ノニオン界面活性剤、エステル型ノニオン界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。
エーテル型ノニオン界面活性剤としては、例えば、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POE/POPセチルエーテル、POE/POPデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。
【0074】
エステル型ノニオン界面活性剤としては、例えば、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0075】
アルキルグルコシドとしては、例えば、アルキル(C~C16)グルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。
これらの界面活性剤のうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【0076】
防腐剤としては、例えば、フェノキシエタノール、パラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。酸化防止剤としては、アスコルビン酸、無水亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩等が挙げられる。安定剤としては、例えば、フェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム等が挙げられる。無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム等が挙げられる。これらの成分のうち、1種のみ含有されてもよいし、2種以上が含有されてもよい。
【実施例0077】
[酸化染毛剤組成物の調製]
表1~表5に示す各成分を含むクリーム状の第1剤、及び表6に示すクリーム状の第2剤を常法に従い調製し、第1剤及び第2剤を混合することにより酸化染毛剤組成物を得た。なお、各表において、各成分の含有量を表す数値の単位は質量%である。
【0078】
[評価]
調製した酸化染毛剤組成物について、以下の評価を行った。評価結果は表1~表5の下方の欄に示した。
【0079】
(染毛直後の染まり具合の均一性)
長さ10cmの白毛の毛束サンプルの先端部5cmをブリーチ剤(ホーユー株式会社製、「プロマスター(登録商標) EX LT」)を用いてブリーチ処理した。次いで、調製した酸化染毛剤組成物を毛束サンプル1gに対して酸化染毛剤組成物1gの割合で、刷毛を用いて毛束サンプル全体に塗布し、常温で30分間放置した。次いで、酸化染毛剤組成物を水で洗い流した後、シャンプー用組成物(ホーユー株式会社製、「ビゲン(登録商標) トリートメントシャンプー」)で毛束サンプルを2回洗浄した。次いで、毛束サンプルを温風で乾燥させた。
【0080】
ブリーチ処理されていない、毛束サンプルの根元部分は毛髪の新生部に、ブリーチ処理されている、毛束サンプルの先端部分は毛髪の既染部に、それぞれ見立てることができる。よって、染毛処理後の両者の染まり具合を比較することにより、毛髪の新生部と既染部とで染まり具合が同等であるかを評価することができる。
【0081】
専門のパネラー10名が、毛束サンプル全体の染まり具合を標準光源下で目視にて観察し、新生部と既染部との染まり具合の均一性について以下の基準により採点した。染まり具合については、主に色相、彩度、及び明度の観点から評価した。
【0082】
4点:染まり具合に差がまったく見られない。
3点:染まり具合に差がほとんど見られない。
2点:染まり具合に差が若干見られる。
1点:染まり具合に差が明らかに見られる。
【0083】
10名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、平均点が3.6以上を「A:優れる:5」、2.6点以上3.6点未満を「B:良好」、1.6点以上2.6点未満を「C:やや不良」、1.6点未満を「D:不良」とする評価を下した。
【0084】
(染毛直後の感触の均一性)
上記の「染毛直後の染まり具合の均一性」で作製した毛束サンプル全体を専門のパネラー10名が指で触り、新生部と既染部との感触の差を比較することにより、感触の均一性について以下の基準により採点した。
【0085】
4点:感触に差がまったくない。
3点:感触に差がほとんどない。
2点:感触に差が若干ある。
1点:感触に差が明らかにある。
【0086】
10名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、平均点が3.6以上を「A:優れる:5」、2.6点以上3.6点未満を「B:良好」、1.6点以上2.6点未満を「C:やや不良」、1.6点未満を「D:不良」とする評価を下した。
【0087】
(洗髪後の染まり具合の均一性)
染毛処理した毛束サンプルに対して一定の洗髪行為を行った後の染まり具合の均一性を評価するため、以下の試験を行った。
上記の「染毛直後の染まり具合の均一性」で作製した毛束サンプルを50℃の2%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液に20分間浸漬させた。次いで、2%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液から取り出した毛束サンプルをシャンプー用組成物(ホーユー株式会社製、「ビゲン(登録商標) トリートメントシャンプー」)で2回洗浄した後、温風で乾燥させた。
【0088】
その後、専門のパネラー10名が、洗髪後の毛束サンプル全体の染まり具合を標準光源下で目視にて観察し、新生部と既染部との染まり具合の均一性について以下の基準により採点した。染まり具合については、主に色相、彩度、及び明度の観点から評価した。
【0089】
4点:染まり具合に差がまったく見られない。
3点:染まり具合に差がほとんど見られない。
2点:染まり具合に差が若干見られる。
1点:染まり具合に差が明らかに見られる。
【0090】
10名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、平均点が3.6以上を「A:優れる:5」、2.6点以上3.6点未満を「B:良好」、1.6点以上2.6点未満を「C:やや不良」、1.6点未満を「D:不良」とする評価を下した。
【0091】
(洗髪後の感触の均一性)
上記の「洗髪後の染まり具合の均一性」で作製した、洗髪後の毛束サンプル全体を専門のパネラー10名が指で触り、新生部と既染部との感触の差を比較することにより、感触の均一性について以下の基準により採点した。
【0092】
4点:感触に差がまったくない。
3点:感触に差がほとんどない。
2点:感触に差が若干ある。
1点:感触に差が明らかにある。
【0093】
10名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、平均点が3.6以上を「A:優れる:5」、2.6点以上3.6点未満を「B:良好」、1.6点以上2.6点未満を「C:やや不良」、1.6点未満を「D:不良」とする評価を下した。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】
【表6】
【0100】
[考察]
実施例1~22に示すように、(A)~(D)成分を含有する酸化染毛剤組成物では、いずれもの毛髪の新生部と既染部との染まり具合及び感触が均一であり、かつ、その均一性が長持ちした。
【0101】
実施例1~4に示すように、カチオン化ポリマーとして(E)成分である合成型カチオン化ポリマーを含有する実施例1,2の組成物は、天然型カチオン化ポリマーを含有する実施例3の組成物、及びカチオン化ポリマーを一切含有しない実施例4の組成物よりも、新生部と既染部との染まり具合及び感触の均一性をより長持ちさせることができた。
【0102】
また、実施例1と実施例3とについて、別途、染毛処理の直後における毛髪のべたつき具合を比較したところ、カチオン化ポリマーとして(E)合成型カチオン化ポリマーを含有する実施例1の場合の方が、天然型カチオン化ポリマーを含有する実施例3の場合よりも、毛髪のべたつきを抑える効果があることが分かった。
【0103】
実施例1,5に示すように、(C)成分として(C-2)成分を含有する実施例1の組成物は、(C-2)成分を含有しない実施例5の組成物よりも、新生部と既染部との染まり具合をより均一にすることができた。
【0104】
実施例1,6~8に示すように、(C)成分として(C-1)成分を含有する実施例1,6,7の組成物は、(C-1)成分を含有しない実施例8の組成物よりも、新生部と既染部との染まり具合をより均一にすることができた。
【0105】
実施例1,9,10に示すように、(B)成分として植物性脂肪を含有する実施例1,10の組成物は、(B)成分として炭化水素類を含有する実施例9の組成物よりも、新生部と既染部との染まり具合をより均一にすることができた。
【0106】
実施例1,15,16に示すように、(A)成分としてグリセリンを含有する実施例1の組成物、及びソルビトールを含有する実施例15の組成物は、ジグリセリンを含有する実施例16の組成物よりも、染まり具合及び感触の均一性が長持ちしていた。
【0107】
実施例25,26に示すように、(D)成分としてスレオニンの代わりにセリン又はタウリンを含有する場合でも同様に、染まり具合及び感触の均一性が長持ちしていた。
実施例11~14,17~20,21~24,27~30に示すように、各成分の含有量を変えても、染まり具合及び感触の均一性が長持ちしていた。
一方、比較例1に示すように、(A)成分を含有しない組成物では、染まり具合及び感触の均一性が染毛直後から均一でなかった。
【0108】
また、比較例2,3に示すように、(A)IOB値が3.5以上の多価アルコールの代わりに、IOB値が3.5未満の多価アルコールであるプロピレングリコール又はジプロピレングリコールを含有する組成物でも、染まり具合及び感触の均一性が染毛直後から均一でなかった。
【0109】
比較例4に示すように、(B)成分を含有しない組成物では、染まり具合及び感触の均一性が染毛直後から均一でなかった。
また、比較例5,6に示すように、(B)常温で固体状又はペースト状の油性成分の代わりに、常温で液体の油性成分である流動パラフィン又はエチルヘキサン酸セチルを含有する組成物でも、染まり具合及び感触の均一性が染毛直後から均一でなかった。
【0110】
比較例7に示すように、(A)成分も(B)成分も含有しない組成物では、(A)成分又は(B)成分の何れか一方を含有する比較例1~6の組成物と比較して、更に染まり具合及び感触の均一性が長持ちしにくかった。
【0111】
比較例8に示すように、(D)成分を含有しない組成物では、染毛直後の染まり具合及び感触は均一であったが、その均一性が長持ちしなかった。