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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189121
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】頭部装着型ルーペ
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/00 20060101AFI20221215BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221215BHJP
   G02B 23/18 20060101ALI20221215BHJP
   G02B 23/02 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G02B23/00
H04N5/225 100
G02B23/18
G02B23/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097510
(22)【出願日】2021-06-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】305021650
【氏名又は名称】株式会社近藤研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健人
【テーマコード(参考)】
2H039
5C122
【Fターム(参考)】
2H039AA04
2H039AA08
2H039AB05
2H039AB22
2H039AB55
2H039AC00
2H039AC04
5C122DA25
5C122FB11
5C122FB15
5C122FC01
5C122GE05
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】拡大鏡を介した装着者の視線と一致した撮像を行い得る頭部装着型ルーペを提供する。
【解決手段】拡大鏡11の前後一側に配設されて、該拡大鏡11を通過する装着者の視線S1上に位置される屈折部材22と、前記屈折部材22を介して対象物を撮像可能なカメラ部材23とを備え、前記屈折部材22は、前記拡大鏡11を介した装着者による前記対象物の視認を可能とすると共に、前記カメラ部材23の視線軸Pを屈折させて、前記装着者の視線S1と一致させるものである。かかる構成によれば、カメラ部材23の視線軸Pと装着者の視線S1とが一致するため、装着者の目線で撮像できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の頭部に装着されるフレーム部と、
前記フレーム部に取り付けられ、前記フレーム部が前記装着者の頭部に装着された使用状態で、該装着者の両眼前方に夫々配置される左右一対の拡大鏡と
を備えた頭部装着型ルーペにおいて、
前記拡大鏡の前後一側に配設され、前記使用状態で当該拡大鏡を通過する前記装着者の視線上に位置される屈折部材と、
前記屈折部材を介して対象物の静止画または動画を撮像可能なカメラ部材と
を有し、前記使用状態で前記装着者の少なくとも左右一方の眼前に配置される視認物撮像手段を備え、
前記屈折部材は、
プリズムにより構成されたものであって、当該屈折部材の前または後に位置する前記拡大鏡を介した前記装着者による対象物の視認を可能とすると共に、前記カメラ部材の視線軸を屈折させて、該屈折された視線軸を、当該拡大鏡を介した装着者の視線と一致させるものであることを特徴とする頭部装着型ルーペ。
【請求項2】
視認物撮像手段の屈折部材は、
二個の直角プリズムが、互いの斜面同士を重ね合わせて接合されてなるものであって、カメラ部材の視線軸が前記斜面により屈折されて装着者の視線と一致するように、拡大鏡の前後一側に配設されたものであることを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型ルーペ。
【請求項3】
左右一対の拡大鏡が、使用状態で装着者の両眼前方に所定間隙を介して夫々配置されるように、フレーム部に取り付けられ、
視認物撮像手段の屈折部材が、前記使用状態で前記間隙に配置されるように、前記拡大鏡の後側に配設されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の頭部装着型ルーペ。
【請求項4】
視認物撮像手段の屈折部材が、拡大鏡の前側に配設され、
前記視認物撮像手段のカメラ部材は、
前記拡大鏡を介すること無く撮像する撮像範囲を、当該拡大鏡を介して装着者により視認される視認範囲と略同じにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の頭部装着型ルーペ。
【請求項5】
左右一対の拡大鏡を、装着者の両眼前方に位置させて、該装着者による当該拡大鏡を介した対象物の視認を可能とする使用状態と、
前記拡大鏡を、前記使用位置の上方に位置させて、前記装着者による当該拡大鏡を介した視認を不能とする待機状態と
に回動可能な跳上手段を備え、左右の拡大鏡が該跳上手段を介してフレーム部に取り付けられたものであると共に、
視認物撮像手段が、前記拡大鏡と一体的に回動可能に設けられたものであり、
前記視認物撮像手段のカメラ部材は、
撮像に係る信号および情報を入出力するためのケーブルが、当該カメラ部材の横外側部から横外方へ向かって差し出されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の頭部装着型ルーペ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の頭部に装着されて、該装着者が対象物を拡大視することができる頭部装着型ルーペに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、主に医療分野で適用される双眼ルーペが提案されている。この双眼ルーペは、装着者の頭部に装着されて、該装着者が対象物を拡大視できるものであり、さらに、該対象物を撮影するカメラが設けられている。かかる構成によれば、例えば、執刀医が装着して手術を行うことで、該執刀医の視認している対象物を前記カメラで撮像して表示したり、記録したりできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-204972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前述した特許文献1の従来構成では、カメラがルーペの上部に配設されていることから、カメラレンズから対象物に至る該カメラの視線軸が、ルーペを介して該対象物を視る装着者の視線と一致しない。そのため、前述した手術中にあって、カメラで撮影した画像が、執刀医が視認している像とずれてしまい、撮影した画像を視る者に、執刀医による手術状況を正確に伝えられない場合があった。
【0005】
本発明は、装着者の視線と一致する撮像を行い得る頭部装着型ルーペを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、装着者の頭部に装着されるフレーム部と、前記フレーム部に取り付けられ、前記フレーム部が前記装着者の頭部に装着された使用状態で、該装着者の両眼前方に夫々配置される左右一対の拡大鏡とを備えた頭部装着型ルーペにおいて、前記拡大鏡の前後一側に配設され、前記使用状態で当該拡大鏡を通過する前記装着者の視線上に位置される屈折部材と、前記屈折部材を介して対象物の静止画または動画を撮像可能なカメラ部材とを有し、前記使用状態で前記装着者の少なくとも左右一方の眼前に配置される視認物撮像手段を備え、前記屈折部材は、プリズムにより構成されたものであって、当該屈折部材の前または後に位置する前記拡大鏡を介した前記装着者による対象物の視認を可能とすると共に、前記カメラ部材の視線軸を屈折させて、該屈折された視線軸を、当該拡大鏡を介した装着者の視線と一致させるものであることを特徴とする頭部装着型ルーペである。ここで、カメラ部材の視線軸とは、該カメラ部材の光軸に相当する。
【0007】
かかる構成によれば、使用状態で、カメラ部材の視線軸が、拡大鏡を介した装着者の視線を妨げること無く、該視線と一致することから、該カメラ部材によって、該装着者の目線で撮像することができる。そのため、カメラ部材の撮像により、他の者が装着者と同じ視線で対象物を見ることができる。例えば、手術で執刀医が本発明の頭部装着型ルーペを使用すれば、アシスタントや見学者などが該執刀医と同じ目線で手術の状況を見ることができるため、該アシスタントや見学者が手術の状況を正確に理解し易い。
【0008】
前述した本発明の頭部装着型ルーペにあって、視認物撮像手段の屈折部材は、二個の直角プリズムが、互いの斜面同士を重ね合わせて接合されてなるものであって、カメラ部材の視線軸が前記斜面により屈折されて装着者の視線と一致するように、拡大鏡の前後一側に配設されたものである構成が提案される。
【0009】
ここで、屈折部材は、直方体を成すものであるから、使用状態で装着者の視線が通過する二面(拡大鏡に対向する面および当該面の裏面)とカメラ部材のカメラレンズが対向する面とに、反射防止コーティングを施すと共に、残りの三面に、光の入出力を抑制する黒色コーティングを施したものが好適である。
【0010】
かかる構成にあって、屈折部材は、いわゆるビームスプリッターであり、正面からの入射光を、裏面から透過する透過光と斜面で反射させて側面へ向かう反射光とに分けることができる。そして、こうした屈折部材による前記透過光を装着者が受光し且つ前記反射光をカメラ部材が受光することによって、該装着者の視線と該カメラ部材の視線軸とを一致できるから、該カメラ部材が該装着者の目線で撮像するという、前述した本発明の作用効果が安定して発揮され得る。
【0011】
前述した本発明の頭部装着型ルーペにあって、左右一対の拡大鏡が、使用状態で装着者の両眼前方に所定間隙を介して夫々配置されるように、フレーム部に取り付けられ、視認物撮像手段の屈折部材が、前記使用状態で前記間隙に配置されるように、前記拡大鏡の後側に配設されたものである構成が提案される。
【0012】
ここで、当然ながら、カメラ部材は、前記拡大鏡を介して撮像する撮像範囲を、当該拡大鏡を介して装着者により視認される視認範囲と略同じにしたものが適用される。
【0013】
かかる構成にあっては、拡大鏡の後側に視認物撮像手段を配設したものであるから、頭部装着型ルーペを全体的にコンパクト化できる。これにより、持ち運びし易いという優れた利点がある。また、本構成は、例えば拡大鏡の前側に該視認物撮像手段を配設する構成に比して、前部が重くなることを防止できる。これにより、例えば、使用状態でフレームが下方へズレ易くなってしまうことを抑制できる。
【0014】
前述した本発明の頭部装着型ルーペであって、視認物撮像手段の屈折部材が、拡大鏡の前側に配設され、前記視認物撮像手段のカメラ部材は、前記拡大鏡を介すること無く撮像する撮像範囲を、当該拡大鏡を介して装着者により視認される視認範囲と略同じにした構成が提案される。
【0015】
かかる構成にあっては、屈折部材が拡大鏡の前方に配設されたものであるから、装着者が該拡大鏡によって拡大された像を見る一方、カメラ部材では該拡大鏡を介しない像を撮ることになる。そして、本構成では、拡大鏡を介しないカメラ部材の撮像範囲が、該拡大鏡を介して装着者の視認範囲と略同じであることから、該カメラ部材による撮像を見ることによって、該装着者と同じように見ることができる。そのため、例えば前述の手術で使用された場合に、執刀医による手術状況を、カメラ部材の撮像を見るアシスタントや見学者が一層正確に理解し易くなる。
【0016】
前述した本発明の頭部装着型ルーペであって、左右一対の拡大鏡を、装着者の両眼前方に位置させて、該装着者による当該拡大鏡を介した対象物の視認を可能とする使用状態と、該拡大鏡を、前記使用位置の上方に位置させて、前記装着者による当該拡大鏡を介した視認を不能とする待機状態とに回動可能な跳上手段を備え、左右の拡大鏡が該跳上手段を介してフレーム部に取り付けられたものであると共に、視認物撮像手段が、前記拡大鏡と一体的に回動可能に設けられたものであり、前記視認物撮像手段のカメラ部材は、撮像に係る信号および情報を入出力するためのケーブルが、当該カメラ部材の横外側部から横外方へ向かって差し出されたものである構成が提案される。
【0017】
ここで、横外側部は、屈折部材が左眼前に配置される視認物撮像手段にあって、左側部を示すと共に、横外方は、左方を示す。一方、屈折部材が右眼前に配置される視認物撮像手段にあって、横外側部は右側部を示すと共に、横外方は右方を示す。
【0018】
かかる構成にあっては、装着者の頭部に装着された状態で、該装着者が必要に応じて拡大鏡を使用状態と待機状態とに変換できるため、優れた利便性を有する。そして、本構成では、カメラ部材のケーブルが横外方に差し出されて配設されたものであるから、拡大鏡を使用状態と待機状態とに回動させる際に、該回動が該ケーブルによって妨げられ難く、該回動によって該ケーブルが絡まってしまうことも抑制される。さらに、カメラ部材のケーブルが装着者の眼前に配されることを抑制できるため、装着者の視界が該ケーブルによって妨げられることを抑制できる。したがって、本構成によれば、装着者の作業効率向上に寄与できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の頭部装着型ルーペによれば、カメラ部材が装着者の目線で撮像できるため、該カメラ部材の撮像によって他の者が該装着者と同様に対象物を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1の頭部装着型ルーペ1を示す斜視図である。
図2】頭部装着型ルーペ1のルーペ部6を、(A)使用位置とした状態と、(B)待機位置とした状態を示す側面図である。
図3】連結部5の、(A)平面図と、(B)側面図と、(C)斜視図である。
図4】屈折部材22の、(A)前方から見た斜視図と、(B)後方から見た斜視図と、(C)分解斜視図である。
図5】ルーペ部6と視認物撮像器21の屈折部材22との配置関係を説明する、(A)平面図と、(B)前方から見た斜視図と、(C)後方から見た斜視図である。
図6】頭部装着型ルーペ1における、装着者の視線S1とカメラ部材の視線軸Pとを示す説明図である。
図7】実施例2の頭部装着型ルーペ51を示す斜視図である。
図8】頭部装着型ルーペ51のルーペ部の、(A)使用状態と、(B)待機状態を示す側面図である。
図9】頭部装着型ルーペ51における、装着者の視線S1とカメラ部材の視線軸Pとを示す説明図である。
図10】(A)実施例1,2のルーペ部6とカメラ部材23との仕様の一部と、(B)変形例の仕様の一部とを示す説明図である。
図11】変形例の頭部装着型ルーペ61を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を具体化した実施例1,2を、添付図面を用いて説明する。尚、実施例にあって、前後方向は、実施例の頭部装着型ルーペ1,51を装着した装着者における前後方向を示し、左右方向は、同様に該装着者における左右方向を示す。さらに、実施例にあって、前面と正面とは、同じ意味で用いられている。
【実施例0022】
実施例1の頭部装着型ルーペ1は、図1,2に示すように、装着者の両眼前方に配設されて両眼を覆う透明なシールド部4と、該装着者の両耳に掛けられることによって該装着者の頭部に装着されるフレーム部3とが一体的に設けられた保護メガネ2を備え、さらに、前記フレーム部3の中央部に跳上連結部5を介して取り付けられた双眼鏡型のルーペ部6を備えたものである。
【0023】
前記ルーペ部6は、略截頭円錐状の鏡筒と該鏡筒の前後端部に夫々内嵌されたレンズとを備えた拡大鏡11,12が左右方向に並設されたものであり、左右方向の間隔を適宜変更可能となっている。こうしたルーペ部6は、従来から公知の構成を適用できることから、その詳細を省略する。
【0024】
ルーペ部6は、前記跳上連結部5により上下方向に回動可能に枢支されており、前記シールド部4の前方に配置される使用位置(図8(A)参照)と、該使用位置の上方へ傾動させて該シールド部4の上方に配置させる待機位置(図8(B)参照)とに変換可能となっている。前記使用位置は、当該頭部装着型ルーペ1を装着者の頭部に装着した状態で、ルーペ部6の左側の拡大鏡11が該装着者の左眼前方に配置され且つ右側の拡大鏡12が右眼前方に配置される。ルーペ部6を使用位置とすることにより、装着者は、該ルーペ部6の拡大鏡11,12を覗くことができ、該拡大鏡11,12により対象物を拡大視できる。一方、前記待機位置は、ルーペ部6がシールド部4の上方に配置させるため、装着者がルーペ部6を介さずに対象物を視ることができる。ここで、本実施例1にあっては、後述するように、ルーペ部6の後部には視認物撮像器21と視認補助器41とが配設され、これらがルーペ部6と一体的に回動する。そして、前記待機位置では、視認物撮像器21と視認補助器41とがルーペ部6と共にシールド部4の上方に配置される。
【0025】
実施例1の前記跳上連結部5は、図3に示すように、フレーム部3の中央部に固結されたフレーム固定部31と、該フレーム固定部31に第一支軸36を介して枢支された第一回動部32と、該第一支軸36と平行な第二支軸37を介して前記第一回動部32に枢支された第二回動部33と、該第二支軸37と平行な第三支軸38を介して前記第二回動部33に枢支され且つ前記ルーペ部6に固定されたルーペ固定部34とを備えたものである。このように跳上連結部5は、左右方向に沿う第一~三支軸36~38で適宜回動させることによって、フレーム部3に対してルーペ部6を相対的に上下方向に回動させることができる。そして、ルーペ部6を、装着者に応じた適切な使用位置に配置させることができる。こうした実施例1の跳上連結部5によれば、装着者が装着した状態で、ルーペ部6を、前記使用位置と待機位置との間の角度が160度~210度の範囲で回動させることができる。
【0026】
尚、実施例にあって、頭部装着型ルーペ1を装着者の頭部に装着した状態で、ルーペ部6を前記使用位置とした状態が本発明にかかる使用状態であり、該ルーペ部を前記待機位置とした状態が本発明にかかる待機状態である。また、実施例1にあって、跳上連結部5が、本発明にかかる跳上手段に相当する。
【0027】
次に、本発明の要部について説明する。
実施例1の構成は、図1,2に示すように、前記ルーペ部6を構成する左側の拡大鏡11の、前記使用位置でシールド部4と対向する後部に、視認物撮像器21が取り付けられると共に、右側の拡大鏡12には、前記使用位置でシールド部4と対向する後部に、視認補助器41が取り付けられたものである。ここで、視認物撮像器21と視認補助器41とは、ルーペ部6に固定されていることから、該ルーペ部6と一体的に上下方向へ回動する。そして、ルーペ部6の前記使用位置(図8(A)参照)では、視認物撮像器21と視認補助器41とが、該ルーペ部6と前記保護メガネ2のシールド部4との間に配置され、待機位置(図8(B)参照)では、該シールド部4の上方に位置して、装着者の視界を妨げない。尚、視認物撮像器が、本発明にかかる視認物撮像手段に相当する。
【0028】
視認物撮像器21は、屈折部材22とカメラ部材23とを備えたものである。屈折部材22は、図4に示すように、二個の直角プリズム24,24が、互いの斜面24a,24a同士を重ね合わせて接合されて一体化された立方体であり、いわゆるキューブ型のビームスプリッターである。この屈折部材22は、図5に示すように、前記使用位置で前記斜面24a,24aが左後端から右前端に至る斜め方向に沿うように、左側の拡大鏡11の直後方に配設されており、該屈折部材22の前面22aが、当該拡大鏡11の後面部(前記鏡筒の後端部に内嵌されたレンズ面)に対向されている。そして、屈折部材22は、前記前面22aと、後面(前記使用状態でシールド部4に対向する面)22bと、左側面22cとに、反射防止コーティングが施されていると共に、その他の三面に、光の入出力を抑制する黒色コーティングが施されている。さらに、屈折部材22を構成する二個の直角プリズム24,24の少なくとも一方の斜面24aには、ミラーコーティング(金属コーティング)が施されている。尚ここで、後面22bは、裏面とも換言できる。
【0029】
前記カメラ部材23は、CCDカメラにより構成され、カメラレンズを前記屈折部材22の左側面22cに対向させて、該屈折部材22の左側方に配設されている。そして、カメラ部材23には、前記屈折部材22の左側方に配設された状態における左側部に、ケーブル26が接続されており、該ケーブル26を介して制御装置27に接続されている。このケーブル26は、図1に示すように、前記カメラ部材23の左側部から左側方へ差し出されて、前記保護メガネ2のフレーム部3の左側部に連結される。そして、装着者に保持された制御装置27に接続されている。こうしたケーブル26によって、カメラ部材23と前記制御装置27との間で、カメラ部材23に撮像を指示する信号と、該カメラ部材23で撮像したデータとが送受信されると共に、制御装置27からカメラ部材23へ電力が供給される。前記制御装置27は、カメラ部材23に撮像させるスイッチ、電源、無線通信機能などを備えており、該無線通信機能によって、カメラ部材23から入力したデータをネットワークを介して通信することができる。これにより、カメラ部材23で撮像した静止画や動画を無線通信で送信してモニターに映すことができる。尚、カメラ部材23の左側部が、本発明にかかる横外側部に相当し、左側方が、本発明にかかる横外方に相当する。
【0030】
カメラ部材23は、焦点距離とF値(絞り)とを予め定められた範囲内で調整可能な機能を備えたものであり、該焦点距離とF値とを調整する調整手段を備えている。この調整手段により前記焦点距離とF値とを調整することで、画角を変更でき、カメラ部材23で撮像する撮像範囲を定めることができる。こうした調整手段は、従来から公知のものを適用できることから、その詳細は省略する。
【0031】
さらに、視認物撮像器21は、前記屈折部材22とカメラ部材23とを内部で支持固定した筐体25を備え、該筐体25が前記ルーペ部6の左側の拡大鏡11に固結されている。筐体25は、左側の拡大鏡11の後面部に対向する前面部に開口部(図示せず)が形成されており、この開口部を介して、前記屈折部材22の前面22aが該拡大鏡11の後面部に対向する。さらに、筐体25は、その後面部に開口部(図示せず)が形成されており、前記使用位置で、この開口部を介して前記屈折部材22の後面22bが保護メガネ2のシールド部4と対向する。また、筐体25の右側面部には、前記ケーブル26が挿通される挿通孔(図示せず)が形成されている。
【0032】
こうした視認物撮像器21は、ルーペ部6の左側の拡大鏡11を介して、該拡大鏡11の正面から入射する入射光が、屈折部材22によって、該屈折部材22の斜面24aを通過して後面22bから透過する透過光と、該斜面24aで反射して左側面22cから透過する反射光とに分けられる。これにより、図6に示すように、カメラ部材23の視線軸Pが、前記屈折部材22の斜面24aにより屈折して、視認物撮像器21の屈折部材22と前記拡大鏡11とを通過する装着者の左眼の視線S1と一致する。ここで、視線S1は、前記拡大鏡11の中心または中心近傍を通過する視線を示す。同様に、後述する右眼の視線S2は、拡大鏡12の中心または中心近傍を通過する視線を示す。
【0033】
一方、前記した視認補助器41は、屈折部材42と該屈折部材42が内部に支持固定された筐体45とを備えたものである。この屈折部材42は、前記視認物撮像器21の屈折部材22と同じものであり、右側の拡大鏡12の直後方に、該屈折部材22と左右対称に配置される。すなわち、この屈折部材42は、前記使用位置で、直角プリズム24,24の斜面24a,24aが右後端から左前端に至る斜め方向に沿うように、右側の拡大鏡12の直後方に配設されており、該屈折部材42の前面が、当該拡大鏡12の後面部(前記鏡筒の後端部に内嵌されたレンズ面)に対向されている。そして、この屈折部材42は、前面と、後面(前記使用状態でシールド部4に対向する面)と、右側面とに、反射防止コーティングが施され、その他の三面に、光の入出力を抑制する黒色コーティングが施されている。さらに、前記斜面24aにミラーコーティング(金属コーティング)が施されている。
【0034】
尚、屈折部材42は、前述した視認物撮像器21の屈折部材22と同じビームスプリッターであることから、ルーペ部6の右側の拡大鏡12を介して、該拡大鏡12の正面から入射する入射光が、斜面24aを通過して後面から透過する透過光と、該斜面24aで反射して右側面から透過する反射光とに分けられる。これにより、前述した視認物撮像器21の屈折部材22と同様に入射光を分ける。このように左右の拡大鏡11,12に夫々屈折部材22,42が配設されていることによって、装着者の左右の眼に映る像に対する違和感を抑制できる。
【0035】
本実施例1の頭部装着型ルーペ1にあって、図10(A)に示すように、ルーペ部6の拡大鏡11,12は、倍率2.5倍、作業距離320~420mm、視野φ100mmのものを用いている。一方、カメラ部材23は、CCDカメラとレンズとから構成され、該レンズが焦点距離3.6~4mmのものを用いており、実施例1では、前記作業距離(420mm)での視野T(φ100mm)と略同等の撮像範囲とするように調整されている。これにより、ルーペ部6の拡大鏡11,12を介した装着者の視野T(本発明の視認範囲に相当)と略同じ範囲を注視点として撮像できる。
【0036】
こうした本実施例1の頭部装着型ルーペ1は、装着者の頭部に装着されてルーペ部6を使用位置とすることによって、該装着者が、該ルーペ部6の拡大鏡11,12を介して、前記作業距離にある対象物を拡大視できるものである。ここで、装着者の左眼は、図6に示すように、前記視認物撮像器21の屈折部材22とルーペ部6の左側の拡大鏡11とを介して、前記対象物を見ると共に、該装着者の右眼は、前記視認補助器41の屈折部材42とルーペ部6の右側の拡大鏡12とを介して、当該対象物を見る。すなわち、左眼の視線S1は、前記屈折部材22と左側の拡大鏡11とを通過して、対象物に至り、右眼の視線S2は、前記屈折部材42と右側の拡大鏡12とを通過して、対象物に至る。
【0037】
一方で、視認物撮像器21のカメラ部材23は、その視線軸Pが、前記視認物撮像器21の屈折部材22の斜面24aで屈折して、ルーペ部6の左側の拡大鏡11を通過して、対象物に至る。そのため、カメラ部材23の視線軸Pは、前記屈折部材22の斜面24aから対象物まで間で、前記した装着者の左眼の視線S1と一致する。そして、カメラ部材23は、前述したように、撮像範囲を、装着者がルーペ部6を介して視認できる視野(視界範囲)Tと略同じ範囲にしている。こうしたことから、カメラ部材23で静止画や動画を撮像し、これら静止画や動画をモニターで映すことで、該モニターを見る者が、装着者の見ている対象物を該装着者と同じ目線で同様に見ることができる。
【0038】
このように本実施例1の頭部装着型ルーペ1は、装着者と同じ目線で静止画や動画を撮像できることから、例えば、手術で執刀医が用いることによって、アシスタントや見学者などが該執刀医を同じ目線で手術の状況を見ることができる。そのため、手術中であれば、アシスタントや見学者が手術状況を正確に知ることができるため、手術状況に応じて的確なアドバイス等を行うことが可能である。また、手術後に録画した画像を見ることによって、学生や他の医療関係者に様々な手術状況に関する知見を正確に広めることに役立つ。
尚、本実施例1の構成は、装着者の頭部に装着された状態で、ルーペ部6(および視認物撮像器21と視認補助器41)を上下方向に回動させて任意に位置変換できることから、装着者に応じて前記使用位置と待機位置とを適宜変更することができるため、装着者の利便性を一層向上できる。
【実施例0039】
実施例2の頭部装着型ルーペ51は、図7,8に示すように、ルーペ部6を構成する左側の拡大鏡11の、前記使用位置における前部に、視認物撮像器21が取り付けられると共に、右側の拡大鏡12の、該使用位置における前部に、視認補助器41が取り付けられたものである。
【0040】
本実施例2の構成にあっては、ルーペ部6が、保護メガネ2のフレーム部3に跳上連結部55を介して取り付けられており、該跳上連結部55により上下方向に回動可能に枢支されている。これにより、ルーペ部6を、保護メガネ2のシールド部4の前方に配置する使用位置と、該シールド部4の上方に配置する待機位置とに変換可能となっている。ここで、実施例2の跳上連結部55は、前後方向に平行に配された二個の支軸を備えた構成であり、前述した実施例1の跳上連結部5に比して、前後方向幅が狭く、かつ上下方向への回動角度が狭い。具体的には、跳上連結部55は、フレーム部3の中央部に固結されたフレーム固定部と、該フレーム固定部に第一支軸を介して枢支された回動部と、該第一支軸と平行な第二支軸を介して前記回動部に枢支され且つ前記ルーペ部6に固定されたルーペ固定部とを備えたものである。こうした跳上連結部55によって、実施例2の構成は、前記使用位置で、ルーペ部6とシールド部4との間隙が、前述した実施例1に比して狭く、該ルーペ部6がシールド部4に近接すると共に、該ルーペ部6を、前記使用位置と待機位置との間の角度が140度~160度の範囲で回動させることができる。尚、実施例2にあって、跳上連結部55が、本発明にかかる跳上手段に相当する。
【0041】
視認物撮像器21は、実施例1と同様に、屈折部材22とカメラ部材23とが筐体25の内部に支持固定されたものであり、該筐体25が、ルーペ部6の左側の拡大鏡11に固結されている。ここで、屈折部材22は、前記使用位置で、直角プリズム24,24の斜面24a,24aが左後端から右前端に至る斜め方向に沿うように、左側の拡大鏡11の直前方に配設されており、該屈折部材22の後面22bが、左側の拡大鏡11の前面部(前記鏡筒の前端部に内嵌されたレンズ面)に対向されている。筐体25には、屈折部材22の前面22aに対向する部位に開口部が形成されると共に、該屈折部材22の後面22bに対向する部位に開口部が形成されている。これにより、前記使用状態で、屈折部材22の前面22aが前方に露出する一方、後面22bが、左側の拡大鏡11の後面部に対向する。カメラ部材23は、実施例1と同様に、カメラレンズを屈折部材22の左側面22cに対向させて、該屈折部材22の右側方に配設されている。そして、カメラ部材23の左側部に、ケーブル26が接続されている。
【0042】
また、視認補助器41は、実施例1と同様に、屈折部材42が筐体45の内部に支持固定されたものであり、該筐体45がルーペ部6の右側の拡大鏡12に固結されている。この屈折部材42は、前記屈折部材22を同じものであり、該屈折部材22と左右対称に配置される。ここで、屈折部材42は、前記使用位置で、直角プリズム24,24の斜面24a,24aが右後端から左前端に至る斜め方向に沿うように、右側の拡大鏡12の直前方に配設されており、該屈折部材42の後面が、右側の拡大鏡12の前面部(前記鏡筒の前端部に内嵌されたレンズ面)に対向されている。尚、筐体45には、屈折部材42の前面に対向する部位に開口部が形成されると共に、該屈折部材42の後面に対向する部位に開口部が形成されている。これにより、屈折部材42の前面が前方に露出する一方、後面が右側の拡大鏡12の前面部に対向する。
【0043】
このように実施例2では、実施例1で左側の拡大鏡11の後方に配設された視認物撮像器21を、該拡大鏡11の前方に配設させると共に、実施例1で右側の拡大鏡12の後方に配設された視認補助器41を、該拡大鏡12の前方に配設させたものであり、これら配設位置が異なる以外は、実施例1と同じ構成である。そのため、同じ構成要素には、同じ符号を記し、その説明を適宜省略している。
【0044】
実施例2の頭部装着型ルーペ51は、実施例1と同じ拡大鏡11,12である(倍率2.5倍、作業距離320~420mm、視野φ100mm)。一方、カメラ部材23は、実施例1と同じ構成であるが、視認物撮像器21が拡大鏡11の前方に配設されていることから、ルーペ部6による視野Tと略同等の撮像範囲とするように、焦点距離=6mmのレンズを用いている(図10(A)参照)。
【0045】
こうした実施例2の頭部装着型ルーペ51は、図9に示すように、装着者の頭部に装着されてルーペ部6を使用位置とすることで、前述した実施例1と同様に、該ルーペ部6を介して対象物を拡大視できる。ここで、装着者の左眼の視線S1は、ルーペ部6の左側の拡大鏡11と前記視認物撮像器21の屈折部材22とを通過して、前記対象物に至り、右眼の視線S2は、右側の拡大鏡12と前記視認補助器41の屈折部材42とを通過して、該対象物に至る。一方、カメラ部材23の視線軸Pは、前記屈折部材22の斜面24aで屈折して、前記対象物に至る。そのため、視線軸Pと左眼の視線S1とが一致する。そして、カメラ部材23は、前述したようにF値を調整することによって、ルーペ部6により拡大視された視野Tと略同じ範囲を撮像範囲として設定されている。こうしたことから、実施例2にあっても、カメラ部材23で撮像した静止画や動画により、装着者と同じ目線で対象物を見ることができる。したがって、実施例2の構成にあっても、前述した実施例1と同様の作用効果を奏し得る。
【0046】
本発明は、前述した実施例1,2に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、前述の実施例における各部の寸法形状は、適宜変更することができる。
【0047】
実施例1,2では、ルーペ部6が跳上連結部5,55を介して保護メガネ2のフレーム部3に直接取り付けられたものであるが、これに限らず、跳上連結部5,55が保護メガネ2のシールド部4に取り付けられることによってフレーム部3に間接的に取り付けられたものであっても良い。例えば、保護メガネがシールド部の左右両端に連結された左右一対のフレーム部を備えた構成である場合には、前述したように該シールド部に跳上連結部を介してルーペ部が取り付けられたものが適用される。さらには、跳上連結部が、該跳上連結部を上下方向にスライド可能なスライド部を介してフレーム部3に取り付けられたものであっても良い。ここで、前記スライド部を備え構成にあっては、カメラ部材23のケーブル26が、該カメラ部材23の上面部から上方へ差し出された構成とすることもできる。
【0048】
実施例1,2にあって、ルーペ部6の拡大鏡11,12は、倍率、作業距離、および視野が適宜異なるものを適用することも可能である。例えば、倍率3.5倍の拡大鏡(作業距離と視野は同じ)を用いた構成とすることもできる。この拡大鏡を用いた場合に、前述の実施例1と同様に該拡大鏡の後方に視認物撮像器21を配設した構成では、図10(B)に示すように、該実施例1と同じレンズのカメラ部材23を適用できる。一方、前述した実施例2と同様に拡大鏡の前方に視認物撮像器21を配設した構成では、カメラ部材23が、焦点距離=8mmのレンズを用いたものとする。これにより、視認物撮像器21を拡大鏡の前後いずれに配設した構成にあっても、カメラ部材23の撮像範囲を、前記拡大鏡(倍率3.5倍)による視野Tと略同じとすることができる。
【0049】
実施例1,2にあって、カメラ部材23は、異なる仕様のものを適用することも可能である。例えば、CCDサイズや解像度の異なるカメラを適用でき、該カメラに応じたレンズを適用する。
【0050】
実施例1,2では、視認物撮像器21を、ルーペ部6を構成する左側の拡大鏡11の前方または後方に配設したものであるが、これに限らず、右側の拡大鏡12の前方または後方に配設することも可能である。この場合には、視認物撮像器21は、実施例1,2と左右対称となるように、屈折部材22とカメラ部材23とが配置されたものとする。この構成は、装着者の右眼の視線S2とカメラ部材23の視線軸Pとが一致するから、実施例1,2と同様の作用効果を奏し得る。
【0051】
また、左右の拡大鏡11,12に視認物撮像器21を夫々配設した構成(頭部装着型ルーペ61)とすることもできる。例えば、図11に示すように、頭部装着型ルーペ61は、左側の拡大鏡11の直後方に視認物撮像器21を配設すると共に、右側の拡大鏡12の直後方に視認物撮像器21を配設する。ここで、左側の拡大鏡11に配設する視認物撮像器21は、前述した実施例1と同様に配設される一方、右側の拡大鏡12に配設する視認物撮像器21は、左側の視認物撮像器21と左右対称に設けられる。すなわち、右側の屈折部材22が、左側の屈折部材22と左右対称に配設され、右側のカメラ部材23が、左側と左右対称となるように配設される。こうした構成にあっては、左眼の視線S1と、左側のカメラ部材23の視線軸Pとが一致すると共に、右眼の視線S2と、右側のカメラ部材23の視線軸Pとが一致する。こうした構成では、左右のカメラ部材23,23によって、3D動画を撮像することができる。尚、同様に左右の拡大鏡11,12の直前方に視認物撮像器21を夫々配設する構成とすることも可能である。
【0052】
実施例1,2にあって、屈折部材22は、異なる仕様のものを適用することも可能である。例えば、実施例1,2では、直角プリズム24の斜面24aにミラーコーティングを施したものであるが、該斜面24aにミラーコーティングが施されていない構成とすることもできる。
【0053】
実施例1,2は、ルーペ部6が跳上連結部5,55を介してフレーム部3に取り付けられた構成であるが、これに限らず、ルーペ部6がフレーム部3又はシールド部4に直接固定された構成とすることもできる。
【0054】
実施例1,2は、カメラ部材23により撮像したデータをネットワークを介して通信する制御装置27を備えた構成であるが、これに限らず、例えば、この制御装置27が、該データを記憶する記憶手段を備えた構成であっても良い。
【符号の説明】
【0055】
1,51 頭部装着型ルーペ
2 保護メガネ
3 フレーム部
4 シールド部
5,55 跳上連結部
6 ルーペ部
11,12 拡大鏡
21 視認物撮像器
22 屈折部材
22a 前面
22b 後面
22c 左側面
23 カメラ部材
24 直角プリズム
24a 斜面
25 筐体
26 ケーブル
27 制御装置
41 視認補助器
42 屈折部材
S1,S2 視線
P 視線軸

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の頭部に装着されるフレーム部と、
前記フレーム部に取り付けられ、前記フレーム部が前記装着者の頭部に装着された使用状態で、該装着者の両眼前方に夫々配置される左右一対の拡大鏡と
を備えた頭部装着型ルーペにおいて、
前記拡大鏡の前後一側に配設され、前記使用状態で当該拡大鏡を通過する前記装着者の視線上に位置される屈折部材と、
前記屈折部材を介して対象物の静止画または動画を撮像可能なカメラ部材と
を有し、前記使用状態で前記装着者の少なくとも左右一方の眼前に配置される視認物撮像手段を備え、
前記屈折部材は、
プリズムにより構成されたものであって、当該屈折部材の前または後に位置する前記拡大鏡を介した前記装着者による対象物の視認を可能とすると共に、前記カメラ部材の視線軸を屈折させて、該屈折された視線軸を、当該拡大鏡を介した装着者の視線と一致させるものであり、
視認物撮像手段の屈折部材は、
二個の直角プリズムが、互いの斜面同士を重ね合わせて接合されてなるものであって、カメラ部材の視線軸が前記斜面により屈折されて装着者の視線と一致するように、拡大鏡の前後一側に配設されたものであり、
当該屈折部材における、使用状態で装着者の視線が通過する二面と、前記カメラ部材に対向する側面とに反射防止コーティングが施されてなり、
残りの三面に、光の入出力を抑制する黒色コーティングが施されてなる
ことを特徴とする頭部装着型ルーペ。
【請求項2】
左右一対の拡大鏡が、使用状態で装着者の両眼前方に所定間隙を介して夫々配置されるように、フレーム部に取り付けられ、
視認物撮像手段の屈折部材が、前記使用状態で前記間隙に配置されるように、前記拡大鏡の後側に配設されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型ルーペ。
【請求項3】
視認物撮像手段の屈折部材が、拡大鏡の前側に配設され、
前記視認物撮像手段のカメラ部材は、
前記拡大鏡を介すること無く撮像する撮像範囲を、当該拡大鏡を介して装着者により視認される視認範囲と略同じにした
ことを特徴とする請求項1記載の頭部装着型ルーペ。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の頭部に装着されるフレーム部と、
前記フレーム部に取り付けられ、前記フレーム部が前記装着者の頭部に装着された使用状態で、該装着者の両眼前方に夫々配置される左右一対の拡大鏡と
を備え
前記拡大鏡は鏡筒と該鏡筒の前後端部に夫々内嵌されたレンズとを備える、頭部装着型ルーペにおいて、
前記拡大鏡の前後一側に配設され、前記使用状態で当該拡大鏡を通過する前記装着者の視線上に位置される屈折部材と、
前記屈折部材を介して対象物の静止画または動画を撮像可能なカメラ部材と
を有し、前記使用状態で前記装着者の少なくとも左右一方の眼前に配置される視認物撮像手段を備え、
前記屈折部材は、
プリズムにより構成されたものであって、当該屈折部材の前または後に位置する前記拡大鏡を介した前記装着者による対象物の視認を可能とすると共に、前記カメラ部材の視線軸を屈折させて、該屈折された視線軸を、当該拡大鏡を介した装着者の視線と一致させるものであり、
視認物撮像手段の屈折部材は、
二個の直角プリズムが、互いの斜面同士を重ね合わせて接合されてなるものであって、カメラ部材の視線軸が前記斜面により屈折されて装着者の視線と一致するように、拡大鏡の前後一側に配設されたものであり、
当該屈折部材における、使用状態で装着者の視線が通過する二面と、前記カメラ部材に対向する側面とに反射防止コーティングが施されてなり、
残りの三面に、光の入出力を抑制する黒色コーティングが施されてなる
ことを特徴とする頭部装着型ルーペ。
【請求項2】
左右一対の拡大鏡が、使用状態で装着者の両眼前方に所定間隙を介して夫々配置されるように、フレーム部に取り付けられ、
視認物撮像手段の屈折部材が、前記使用状態で前記間隙に配置されるように、前記拡大鏡の後側に配設されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型ルーペ。
【請求項3】
視認物撮像手段の屈折部材が、拡大鏡の前側に配設され、
前記視認物撮像手段のカメラ部材は、
前記拡大鏡を介すること無く撮像する撮像範囲を、当該拡大鏡を介して装着者により視認される視認範囲と略同じにした
ことを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型ルーペ。