(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189134
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】電力料金提案システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20221215BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20221215BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20221215BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221215BHJP
F24H 15/212 20220101ALI20221215BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 180
H02J3/14 130
H02J3/14 160
H02J13/00 301K
H02J13/00 311T
F24H1/18 302P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097528
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
【テーマコード(参考)】
3L122
5G064
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122EA45
5G064AA04
5G064BA02
5G064CB21
5G064DA07
5G066AA02
5G066AE09
5G066KA06
5G066KB01
5G066KD04
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】実際にデマンドレスポンスを考慮した対象機器の制御を行う前に、需要者に上記対象機器の制御を行うメリットを提示することができる電力料金提案システムを提供する。
【解決手段】デマンドレスポンスを考慮した電力料金の算出が可能な電力料金提案システム1であって、建物(住宅A)の電力需要を予測する予測部(制御部3)と、前記予測部が予測し住宅Aの電力需要と、前記建物に設置されたDR対象機器100に関する情報と、に基づいて、DRポテンシャルを推定する推定部(制御部3)と、前記推定部(制御部3)が推定したDRポテンシャルと、予め設定されたDR想定単価と、に基づいてデマンドレスポンスを考慮して前記DR対象機器100を稼動させた場合のコストメリットを算出する算出部(制御部3)と、を具備する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デマンドレスポンスを考慮した電力料金の算出が可能な電力料金提案システムであって、
建物の電力需要を予測する予測部と、
前記予測部が予測した前記建物の電力需要と、前記建物に設置された対象機器に関する情報と、に基づいて、前記対象機器の動作を変更することで調整可能な電力需要の範囲を推定する推定部と、
前記推定部が推定した電力需要の範囲と、予め設定された想定単価と、に基づいてデマンドレスポンスを考慮して前記対象機器を稼動させた場合のコストメリットを算出する算出部と、
を具備する、
電力料金提案システム。
【請求項2】
前記算出部が算出したコストメリットと、予め設定された安全率と、に基づいて、デマンドレスポンスを考慮した電力料金の割引額を提示する提示部を具備する、
請求項1に記載の電力料金提案システム。
【請求項3】
前記予測部は、
前記建物の電力需要に関する情報を取得し、当該情報に基づいて前記建物の電力需要を予測する、
請求項1又は請求項2に記載の電力料金提案システム。
【請求項4】
前記対象機器には、
電力により給湯が可能な給湯器が少なくとも含まれる、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力料金提案システム。
【請求項5】
前記対象機器には、
発電が可能な燃料電池が少なくとも含まれる、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電力料金提案システム。
【請求項6】
前記対象機器には、
充放電が可能な蓄電装置が少なくとも含まれる、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電力料金提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デマンドレスポンスを考慮した電力料金提案システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力料金に関する情報を提示する技術は公知となっている。また、系統電源からの買電量の削減を実施する一つの手法として、削減目標として需要者毎にデマンドレスポンスが設定され、設定された削減目標を達成した需要者に対して対価が支払われる仕組みが知られている。
【0003】
特許文献1には、デマンドレスポンスを考慮した設備機器の制御(デマンドレスポンス制御)を行った場合、設備機器のユーザに対してインセンティブを付与するシステムが記載されている。特許文献1に記載のシステムは、設備機器が行ったデマンドレスポンス制御に基づいて、デマンドレスポンス制御の内容とインセンティブの量との関係をユーザに対して提示することができる。
【0004】
上述のような特許文献1に記載されたシステムは、デマンドレスポンス制御を実行する設備機器が設置され、実際にデマンドレスポンス制御を行った後に、ユーザに対してデマンドレスポンス制御のメリットを提示するものである。
【0005】
ここで、例えば新築の住宅の設備を検討する段階で、デマンドレスポンス制御が可能な設備機器の導入を検討しているユーザに対して、デマンドレスポンス制御を行うメリットを説明することが考えられる。
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1に記載されたシステムのような従来技術では、デマンドレスポンス制御の実行前に、デマンドレスポンス制御を行うメリットを提示できない。そこで、実際にデマンドレスポンス制御を行う前に、需要者にデマンドレスポンス制御を行うメリットを提示することができる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、実際にデマンドレスポンスを考慮した対象機器の制御を行う前に、需要者に上記対象機器の制御を行うメリットを提示することができる電力料金提案システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、デマンドレスポンスを考慮した電力料金の算出が可能な電力料金提案システムであって、建物の電力需要を予測する予測部と、前記予測部が予測した前記建物の電力需要と、前記建物に設置された対象機器に関する情報と、に基づいて、前記対象機器の動作を変更することで調整可能な電力需要の範囲を推定する推定部と、前記推定部が推定した電力需要の範囲と、予め設定された想定単価と、に基づいてデマンドレスポンスを考慮して前記対象機器を稼動させた場合のコストメリットを算出する算出部と、を具備するものである。
【0011】
請求項2においては、前記算出部が算出したコストメリットと、予め設定された安全率と、に基づいて、デマンドレスポンスを考慮した電力料金の割引額を提示する提示部を具備するものである。
【0012】
請求項3においては、前記予測部は、前記建物の電力需要に関する情報を取得し、当該情報に基づいて前記建物の電力需要を予測するものである。
【0013】
請求項4においては、前記対象機器には、電力により給湯が可能な給湯器が少なくとも含まれるものである。
【0014】
請求項5においては、前記対象機器には、発電が可能な燃料電池が少なくとも含まれるものである。
【0015】
請求項6においては、前記対象機器には、充放電が可能な蓄電装置が少なくとも含まれるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
本発明においては、実際にデマンドレスポンスを考慮した対象機器の制御を行う前に、需要者に上記対象機器の制御を行うメリットを提示することができる電力料金提案システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電力料金提案システムの対象となる住宅に、仮想的に導入される電力供給システムの構成を示したブロック図。
【
図2】電力料金提案システムの構成を示したブロック図。
【
図3】電力料金提案システムが実行する処理を示したフローチャート。
【
図5】DR対象機器と、下げDR及び上げDRとの関係を示す表。
【
図6】DRポテンシャル推定処理の結果を示すグラフ。
【
図8】最大コストメリット算出処理の結果を示すグラフ。
【
図9】下げDR及び上げDRの集計結果を示すグラフ。
【
図10】他の住宅を対象とした電力需要予測処理の結果を示すグラフ。
【
図11】他の住宅を対象としたDRポテンシャル推定処理の結果を示すグラフ。
【
図12】他の住宅を対象とした最大コストメリット算出処理の結果を示すグラフ。
【
図13】他の住宅を対象とした下げDR及び上げDRの集計結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る電力料金提案システム1は、電力需要者(需要者)に対して、デマンドレスポンス(以下では「DR」と称する)を考慮した電力料金の提示を行うことができるものである。ここで、DRとは、系統電源Sを有する電力会社が、電力の需要者側に電力需要のパターンの変更(電力需要の削減等)を行うように促す仕組みのことである。
【0020】
一般的に、電力会社からDRが要請された場合、需要者は、例えばDRを考慮して電力需要のパターンを変更した場合に対価を得ることができる。例えば需要者は、所定の時間帯の電力需要を削減することで、削減量に応じた対価を得ることができる。
【0021】
ここで、本実施形態では、需要者として、電力事業者(電力小売事業者)及び住宅(居住者)が含まれるものとする。電力事業者とは、電力会社と住宅との間に介在する事業者である。電力事業者は、例えば電力会社から電力を一括で購入し、当該購入した電力を住宅へ販売(分配)する。なお以下では便宜上、電力事業者及び住宅のうち、住宅だけを需要者と称することとする。電力事業者は、DRを考慮して需要者側の電力需要のパターンを変更することで、電力会社からの電力の調達費用を削減する(対価を得る)ことができる。また、電力事業者は、上記電力の調達費用が削減される場合に、そのメリットの一部を電気料金の割引きとして需要者に還元することができる。このようにして、需要者は、電気料金の割引きとして、DRを考慮して電力需要のパターンを変更した場合の対価を得ることができる。
【0022】
電力料金提案システム1は、電力需要のパターンを変更した対価としての電気料金の割引額を算出し、提示することができる。これにより、DRを考慮して電力需要のパターンを変更することのメリットを需要者に提示することができる。
【0023】
以下では、
図1を用いて電力料金提案システム1の提案の対象となる住宅Aの電力供給システム10について説明する。なお、以下で説明する本実施形態に係る電力供給システム10は、実際に住宅Aに導入されたものではなく、電力料金提案システム1による電力料金の提示を行うために、住宅Aに導入したと仮定したもの(仮想的なもの)である。
【0024】
電力供給システム10は、系統電源Sからの電力を、電力負荷H(以下、「負荷H」という)に供給するものである。負荷Hには、例えばエアコン(空調装置)や暖房機器、炊飯器等の家電機器や、後述する給湯器110等が含まれる。電力供給システム10は、系統電源Sと負荷Hとを配電線Lで結ぶように構成されている。電力供給システム10は、DR対象機器100、太陽光発電装置140及び制御装置150を具備する。
【0025】
DR対象機器100は、住宅Aに設置される機器であって、DRを考慮した動作を実行可能なものである。より詳細には、DR対象機器100は、DRを考慮して、負荷Hの一部として電力を消費したり、発電や充放電を行う。DR対象機器100には、給湯器110、燃料電池120及び蓄電装置130が含まれる。
【0026】
給湯器110は、ヒートポンプを用いて発生させた熱による湯沸しを実行可能なものである。給湯器110は、沸かした湯を所定の貯湯タンクに貯湯し、上記貯湯タンクの湯を住宅A内の供給先に供給することができる。給湯器110は、電力を消費して稼動する。給湯器110は、負荷Hに含まれる。
【0027】
燃料電池120は、燃料(例えば都市ガス等)を使用して発電する固体酸化物形燃料電池(SOFC : Solid Oxide Fuel Cell)である。燃料電池120は、運転中は継続して発電を行う。なお、燃料電池120としては、固体酸化物形燃料電池に限られず、固体高分子形燃料電池(PEFC :Polymer Electrolyte Fuel Cell)等の種々の燃料電池を採用可能である。
【0028】
蓄電装置130は、電力を充放電可能に構成される装置である。蓄電装置130は、電力を充放電可能なリチウムイオン電池やニッケル水素電池等からなる蓄電池を具備する。蓄電装置130は、系統電源Sと負荷Hとの間で、配電線Lに接続されている。こうして、蓄電装置130は、系統電源Sや後述する太陽光発電装置140からの電力を充電することができる。また、蓄電装置130は、充電した電力を放電することで、当該電力を配電線Lを介して例えば給湯器110に出力(供給)することができる。蓄電装置130は、適宜のハイブリッドパワコン131により制御される。
【0029】
蓄電装置130は、所定の最大放電電力及び最大充電電力が設定される。最大放電電力とは、蓄電装置130が放電可能な電力の最大値である。また、最大充電電力とは、蓄電装置130が充電可能な電力の最大値である。本実施形態では、蓄電装置130の最大放電電力及び最大充電電力を2000(W)に設定している。
【0030】
太陽光発電装置140は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電装置140は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電装置140は、例えば、住宅Aの屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。太陽光発電装置140は、ハイブリッドパワコン131を介して蓄電装置130と接続される。太陽光発電装置140が発電した電力は、蓄電装置130に充電可能である。また、太陽光発電装置140が発電した電力は、系統電源Sに逆潮流させることができる(売電可能である)。
【0031】
制御装置150は、DRを考慮して、DR対象機器100の動作を制御するものである。具体的には、制御装置150は、DRを考慮して、蓄電装置130の充放電を制御したり、給湯器110や燃料電池120の運転及び停止を制御する。
【0032】
系統電源Sを有する電力会社からDRを要請された場合、電力事業者は、DRを考慮してDR対象機器100の稼動のタイミングを変更し、電力需要のパターンを変更することで対価を得ることができる。例えば、DRとして電力需要の削減を促された時間帯に、系統電源Sからの電力の供給を削減すれば、電力事業者は対価を得ることができる。また、例えば、DRとして電力需要の増加を促された時間帯に、系統電源Sからの電力の供給を増加させても、電力事業者は対価を得ることができる。
【0033】
制御装置150は、電力事業者(需要者)が対価を得ることができるように、DRを考慮してDR対象機器100の動作を制御することができる。例えば、制御装置150は、電力需要の削減を促された時間帯には給湯器110を動作させることを控えて、電力需要の増加を促された時間帯に動作させる制御を実行可能である。また、制御装置150は、電力需要の増加を促された時間帯に、系統電源Sからの電力を蓄電装置130に充電させる制御を実行可能である。
【0034】
次に、
図2を用いて電力料金提案システム1について説明する。
【0035】
電力料金提案システム1は、例えば新築の住宅を建てる際にDR対象機器100の導入を検討している場合等、DRを考慮した電力料金上のメリットを事前に(DR対象機器100を設置して実際に運用する前に)確認することが求められる場合に、上記メリットを需要者(顧客)に対して提示することができる。具体的には、電力料金提案システム1は、DRを考慮してDR対象機器100を適切に制御した場合の割引額を算出し、上記割引額を考慮した電力料金プランを需要者に提示することができる。本実施形態において、電力料金提案システム1は、例えば新築の住宅Aに上述の如く構成された電力供給システム10を導入した場合の、上記割引額を考慮した電力料金プランを需要者に提示する。
【0036】
電力料金提案システム1は、主として記憶部2、制御部3、表示部4及び入力部5を具備する。
【0037】
記憶部2は、各種のプログラムやデータ等が記憶されるものである。記憶部2は、HDD、RAM、ROM等により構成される。記憶部2には、住宅Aの電力供給システム10に関する情報が記憶されている。
【0038】
制御部3は、記憶部2に記憶されたプログラムを実行するものである。制御部3は、CPUにより構成される。
【0039】
表示部4は、各種の情報を表示するものである。表示部4は、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0040】
入力部5は、各種の情報を入力するためのものである。入力部5は、キーボードやマウス、タッチパネル等により構成される。
【0041】
このように、電力料金提案システム1としては、一般的なパーソナルコンピュータ等を用いることができる。この場合、例えば住宅販売会社等が所有するパーソナルコンピュータ等を用いて電力料金提案システム1を実現するようにしてもよい。これによれば、上記パーソナルコンピュータ等を用いて、新築の住宅の購入やDR対象機器100の導入を検討している需要者(顧客)に、DRを考慮した電力料金上のメリットを提案することができる。
【0042】
電力料金提案システム1は、DRを考慮した電力料金上のメリットを需要者に対して提示する処理を実行可能である。当該処理は、操作者による操作を契機として実行される。電力料金提案システム1(制御部3)は、
図3に示すように、電力需要予測処理S10、DRポテンシャル推定処理S20、最大コストメリット算出処理S30及び割引額提示処理S40を、上記した順番に行う。また、制御部3は、上記各処理の結果を表示部4に表示可能である。
【0043】
電力需要予測処理S10は、住宅Aの電力需要を予測する処理である。ここで、住宅Aの電力需要とは、後述するDRポテンシャル推定処理S20を実行するために予測されるものであって、住宅Aで使用される電力(負荷H(給湯器110等)の消費電力等)を指す。本実施形態においては、DRポテンシャル推定処理S20の都合上(後述するように蓄電装置130の充電はどの時間帯でも可能であるため)、住宅Aの電力需要に、蓄電装置130の充電電力は含まれない。住宅Aの電力需要は、系統電源Sからの電力や燃料電池120の発電電力、蓄電装置130の放電電力によって賄われる。電力需要予測処理S10は、住宅Aの電力需要に関する所定の入力値に基づいて行われる。上記入力値には、「家族構成」、「床面積」、「地域」、「断熱性能」及び「設備仕様」等が含まれる。
【0044】
「家族構成」は、住宅Aに居住する需要者の家族構成に関する情報である。「家族構成」には、例えば家族の人数(世帯の規模)や年齢、外出時間や帰宅時間等が含まれる。
【0045】
「床面積」は、住宅Aの床面積を示す情報である。
【0046】
「地域」は、住宅Aが位置する地域に関する情報である。「地域」には、例えば都道府県が含まれる。
【0047】
「断熱性能」は、住宅Aに使用される断熱材に関する情報である。「断熱性能」には、例えば住宅Aの壁や天井、床、窓等に使用される断熱材の種類や断熱性能の等級等が含まれる。
【0048】
「設備仕様」は、住宅Aに設置される機器の仕様に関する情報である。「設備仕様」には、例えば負荷Hの消費電力や、DR対象機器に関する情報(DR対象機器100の仕様)等が含まれる。DR対象機器100の仕様としては、例えば給湯器110の消費電力や、蓄電装置130の最大放電電力及び最大充電電力、燃料電池120の最大出力等が含まれる。
【0049】
上記入力値は、電力需要予測処理S10を実行する前に、入力部5を介して入力される。上記所定の入力値は、記憶部2に記憶される。制御部3は、記憶部2に記憶された入力値に基づいて電力需要予測処理S10を実行する。なお、入力値は、上述したものに限られない。入力値としては、例えば気象情報等、住宅Aの電力需要に関する種々の情報を採用可能である。
【0050】
図4は、電力需要予測処理S10の結果を示すものである。
図4に示すように、制御部3は、時間ごとの住宅Aの電力需要を予測する。本実施形態では、時間ごとの住宅Aの電力需要を実線による折れ線グラフで示している。また、太陽光発電装置140による発電電力(PV発電)を、破線による折れ線グラフで示している。
【0051】
また、
図4に示すように、電力需要予測処理S10において、制御部3は、DR対象機器100の電力需要の内訳を表示する。本実施形態では、DR対象機器100の電力需要として、給湯器110の消費電力及び燃料電池120の発電電力を棒グラフにより表示している。
【0052】
電力需要予測処理S10の結果から、住宅Aでは朝や、夕方から夜にかけての時間帯の電力需要が高く、日中や深夜の時間帯の電力需要が低いことがわかる。制御部3は、電力需要予測処理S10を実行した後、DRポテンシャル推定処理S20を実行する。
【0053】
DRポテンシャル推定処理S20は、電力需要予測処理S10の結果に基づいて、
図6に示すDR対象機器100の「DRポテンシャル」を推定する処理である。ここで、DRポテンシャルとは、DR対象機器100の各機器が調整可能な電力需要の範囲(電力カーブ)を示すものである。DRポテンシャルには、「下げDR」と「上げDR」が含まれる。ここで、下げDRとは、系統電源S側(電力会社側)から見たときに、見かけ上削減された電力需要である。また、上げDRとは、系統電源S側(電力会社側)から見たときに、見かけ上増加する電力需要である。
【0054】
図6は、DRポテンシャル推定処理S20の結果を示すものである。
図6のグラフでは、下げDRの電力(W)を縦軸の負の値で示し、上げDR(W)の電力を縦軸の正の値で示している。DR対象機器100の各機器は、DRポテンシャルの範囲内で稼動のタイミングを調整することができる。
【0055】
下げDR及び上げDRの具体的な内容は、DR対象機器100の各機器で異なる。以下では、
図5及び
図6を用いて、DR対象機器100の各機器の下げDR及び上げDRの内容について説明する。
【0056】
給湯器110のDRポテンシャルは、給湯器110を稼動した場合の消費電力(電力需要)によるものである。
図5に示すように、給湯器110の場合は、当初稼動を予定していた時間帯に給湯器110を稼動しなかった場合、当該時間帯の電力需要は見かけ上削減されるため、上記稼動を予定していた時間帯に下げDRを見込むことができる。具体的には、本実施形態では16時から17時の間、及び18時から22時の間の時間帯に給湯器110を稼動することが予測されていた(
図4を参照)。従って、
図6に示すように、上記時間帯に、給湯器110の消費電力の下げDRを見込むことができる。
【0057】
また、
図5に示すように、給湯器110の場合は、当初稼動を予定していた時間帯以外の時間帯に給湯器110を稼動した場合、当該時間帯の電力需要は見かけ上増加するため、上記稼動を予定していた時間帯以外の時間帯に上げDRを見込むことができる。具体的には、本実施形態では16時から17時の間、及び18時から22時の間の時間帯に給湯器110を稼動することが予測されていた(
図4を参照)。従って、
図6に示すように、上記時間帯以外の時間帯に、給湯器110の消費電力分の上げDRを見込むことができる。
【0058】
燃料電池120のDRポテンシャルは、燃料電池120による発電又は発電の停止に伴うものである。
図5に示すように、燃料電池120の場合は、当初発電の停止を予定していた時間帯に燃料電池120を稼動した場合、当該時間帯の電力需要は見かけ上削減されるため、上記停止を予定していた時間帯に下げDRを見込むことができる。具体的には、本実施形態では0時から9時の間の時間帯に燃料電池120を停止することが予測されていた(
図4を参照)。従って、
図6に示すように、上記時間帯に、燃料電池120の発電電力分の下げDRを見込むことができる。ただし、燃料電池120の下げDRの上限値は、燃料電池120の最大出力である。
【0059】
また、
図5に示すように、燃料電池120の場合は、当初稼動を予定していた時間帯に燃料電池120を停止させた場合、当該時間帯の電力需要は見かけ上増加するため、上記稼動を予定していた時間帯に上げDRを見込むことができる。具体的には、本実施形態では9時から0時の間の時間帯に燃料電池120を稼動することが予測されていた(
図4を参照)。従って、
図6に示すように、上記時間帯に、燃料電池120が発電する予定であった電力分の上げDRを見込むことができる。
【0060】
蓄電装置130のDRポテンシャルは、蓄電装置130の充放電によるものである。
図5に示すように、蓄電装置130の場合は、各時間帯の電力需要に対して放電を行った場合、当該時間帯の電力需要は見かけ上削減される。従って、
図6に示すように、当該時間帯に蓄電装置130が放電を行った電力分の下げDRを見込むことができる。ただし、蓄電装置130の下げDRの上限値は、蓄電装置130の最大放電電力かつ住宅Aの電力需要までである。上記下げDRの上限値が住宅Aの電力需要までである理由は、本実施形態では、住宅Aの電力需要を超えて蓄電装置130を放電させない(逆潮流を行わない)ためである。
【0061】
また、
図5に示すように、蓄電装置130の場合は、系統電源Sから蓄電装置130への充電を行った場合、当該充電を行った時間帯の電力需要は見かけ上増加する。従って、
図6に示すように、蓄電装置130が充電を実行可能な時間帯には、蓄電装置130が充電可能な電力分の上げDRを見込むことができる。ただし、蓄電装置130の上げDRの上限値は、蓄電装置130の最大充電電力である。なお、本実施形態においては、蓄電装置130の充電はどの時間帯でも可能であるので、蓄電装置130の能力の範囲内で全ての時間帯で上げDRが見込まれる。
【0062】
制御部3は、DRポテンシャル推定処理S20を実行した後、最大コストメリット算出処理S30を実行する。
【0063】
最大コストメリット算出処理S30は、DRポテンシャルの範囲内で、DRを考慮した電力料金上のメリット(コストメリット)が高いところにDR対象機器100の稼動のタイミングを割り当てると共に、当該タイミングでDR対象機器100を稼動した場合のメリットを算出する処理である。上記コストメリットは、電力会社から与えられたDR想定単価に基づいて定められる。
【0064】
ここで、DR想定単価とは、DRを考慮してDR対象機器100の稼動のタイミングを調整した場合に電力事業者が得られるメリットを示す単価(円/kWh)である。
図7は、DR想定単価を示すグラフである。上記グラフは、時間ごとのDR想定単価を示している。
【0065】
図7に示すように、DR想定単価には、下げDRに対して定められたDR想定単価(以下では「下げDR単価」と称する)と、上げDRに対して定められたDR想定単価(以下では「上げDR単価」と称する)と、が含まれる。
【0066】
一般的に電力需要がひっ迫する時間帯(例えば朝や夜)には、電力の価値が高まることから下げDR単価が上がり、電力需要が低く余剰電力が発生し易い時間帯(例えば昼間や深夜)には電力の価値が下がることから上げDR単価が上がる。従って、DR想定単価(下げDR単価及び上げDR単価)が上がる時間帯にDR対象機器100の稼動のタイミングを割り当てれば、比較的大きなメリット(対価)が見込まれる。
【0067】
具体的には、
図7に示す例では、19時の時点での下げDR単価は3円/kWhである。従って、仮にこの時間帯に1000(W)の電力需要を削減した場合(DR対象機器100の下げDRを割り当てた場合)、電力事業者は1時間あたり3円の対価を得ることができる。また、
図7に示す例では、12時の時点での上げDR単価は1.5円/kWhである。従って、仮にこの時間帯に1000(W)の電力需要を増加させた場合(DR対象機器100の上げDRを割り当てた場合)、電力事業者は1時間あたり1.5円の対価を得ることができる。
【0068】
最大コストメリット算出処理S30において、制御部3は、DR想定単価(下げDR単価及び上げDR単価)の高い時間帯から優先して、DR対象機器100の稼動のタイミングを割り当てる(設定する)。DR対象機器100の割り当ては、給湯器110、燃料電池120及び蓄電装置130の順番で行われる。
図8は、DR対象機器100の稼動のタイミングの割り当ての結果を示すグラフである。以下では、
図7及び
図8を用いて、DR対象機器100の稼動の割り当てについて説明する。
【0069】
まず制御部3は、給湯器110の稼働時間を設定する。具体的には、制御部3は、給湯器110の稼働時間を上げDR単価が高い時間帯に設定する。本実施形態では、
図8に示すように、比較的上げDR単価が高い10時から16時の間の時間帯に給湯器110の稼働時間を設定している。なお、仮に上げDR単価が設定されていない場合は、制御部3は、下げDR単価が設定されていない時間帯又は下げDR単価が最も低い時間帯に給湯器110の稼働時間を設定する。
【0070】
次に、制御部3は、燃料電池120の発電及び発電の停止の時間帯を設定する。具体的には、制御部3は、下げDR単価の高い時間帯に燃料電池120を優先して発電させ、上げDR単価の高い時間帯には停止させるように設定する。本実施形態では、
図8に示すように、比較的下げDR単価が高い時間帯を含む0時から9時の間、及び16時から24時(翌日の0時)の間の時間帯に燃料電池120を発電させるように設定している。また、比較的上げDR単価が高い9時から16時の間の時間帯には、燃料電池120を停止させるように設定している。なお、燃料電池120を停止させる際には、適宜の停止条件を考慮して停止の時間帯を設定する。停止条件としては、例えば、停止は1日に2回までとすることや、再起動までに4時間空けること等の条件を採用可能である。
【0071】
次に、制御部3は、蓄電装置130の充放電の時間帯を設定する。具体的には、制御部3は、下げDR単価の高い時間帯に蓄電装置130を優先して放電させ、上げDR単価の高い時間帯に蓄電装置130を充電させるように設定する。本実施形態では、
図8に示すように、比較的下げDR単価が高い16時から23時の間の時間帯に蓄電装置130を放電させるように設定している。また、比較的上げDR単価が高い0時から3時の間の時間帯に蓄電装置130を充電させるように設定している。なお、制御部3は、充放電に伴う蓄電装置130の蓄電電力の変化を考慮して蓄電装置130の稼動条件を設定する。例えば制御部3は、蓄電装置130の現在の蓄電電力や将来的に予想される蓄電電力を考慮して、蓄電装置130の放電電力を設定することができる。
【0072】
上述したようにDR対象機器100の稼動のタイミングを割り当てたことで、一般的に電力需要がひっ迫する時間帯(例えば朝や夜)に電力を消費することを抑制し、電力を消費するタイミングを一般的に余剰電力が発生し易い時間帯(例えば昼間や深夜)に変更することができる。なお、燃料電池120や蓄電装置130で賄えない分の電力需要は、系統電源Sから購入した電力(購入電力)で賄う。
【0073】
図9に示すグラフは、DR対象機器100の稼動のタイミングの割り当てを実行した場合の下げDR及び上げDRの集計結果である。制御部3は、上記集計結果と、
図7に示す想定単価とを掛け合わせることで、DRによる最大コストメリットを算出する。本実施形態では、DRによる最大コストメリットは、20円/日である。制御部3は、最大コストメリット算出処理S30を実行した後、割引額提示処理S40を実行する。
【0074】
割引額提示処理S40は、最大コストメリットに基づく電力料金の割引額を提示するものである。割引額は、最大コストメリットに安全率を考慮することで算出される。ここで、安全率とは、実際にDRを実施した場合の割引額が、最大コストメリットとして得られた額よりも小さくなることを考慮した補正値である。安全率は予め設定される。本実施形態では、安全率を50%に設定している。なお、安全率としては50%に限られず、割引額を好適に算出する観点から適宜設定可能である。
【0075】
割引額提示処理S40において、制御部3は、割引額を考慮した月あたりの電気料金プランを提示する。具体的には、最大コストメリット(20円/日)が各日で得られるとすると、月あたりのメリットは600円/月となる。これに安全率50%を考慮することで、最終的な割引額は300円/月となる。この場合、制御部3は、300円/月程度の割引額を考慮した電気料金プランを提示する。
【0076】
上述の如き電力料金提案システム1によれば、例えば新築の住宅等でDR対象機器100の設置を検討する段階で、DR対象機器100を導入し、DRを考慮した制御を行うことのメリットを提示することができる。また、電力料金提案システム1によれば、住宅Aの電力需要を予測して、電力需要の時間的な変化を考慮してDRを実施することのメリットを算出している。従って、個々の住宅の電力需要に応じたメリットを提示することができる。
【0077】
なお、上述した本実施形態に係る電力料金提案システム1の各処理の内容は一例であり、電力料金提案システム1が実行する処理としては上述した内容に限られず、種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では、電力需要予測処理S10に用いられる入力値を、入力部5を介して入力した例を示したが、このような構成に限られない。例えば、適宜の通信手段を介して制御部3が取得した情報を、入力値として用いるようにしてもよい。
【0078】
以下では、
図10から
図13までを用いて、上述した住宅Aとは電力需要が異なる住宅Bを対象として電力料金提案システム1による各処理を行う例を示す。住宅Bは、住宅Aよりも電力需要が大きい多消費世帯の住宅である。なお、以下の説明では、住宅Aを対象とした処理と同様な説明は適宜省略する。
【0079】
図10は、住宅Bを対象とした電力需要予測処理S10の結果を示すものである。
図10に示すように、住宅Bについて予測される電力需要は比較的大きい。
図10に示す例でも、朝や、夕方から夜にかけての時間帯の電力需要が大きく、日中や深夜の時間帯の電力需要が小さい。
【0080】
図11は、住宅Bを対象としたDRポテンシャル推定処理S20の結果を示すものである。今回の場合も、住宅Aの場合と同様にDR対象機器100の各機器のDRポテンシャル(下げDR及び上げDR)が推定される。
【0081】
ここで今回の場合は、住宅Bでは予測される電力需要が大きいため、蓄電装置130の最大放電電力で、蓄電装置130の下げDRを見込むことができる。このように、予測される電力需要が大きい場合、推定されるDRポテンシャルは大きくなる。
【0082】
図12は、住宅Bを対象とした最大コストメリット算出処理S30の結果を示すものである。今回の場合は、蓄電装置130を最大放電電力で放電させるように、各機器の稼動のタイミングを設定している。
【0083】
図13は、DR対象機器100の稼動のタイミングの割り当てを実行した場合の下げDR及び上げDRの集計結果である。制御部3は、上記集計結果と、
図7に示す想定単価とを掛け合わせることで、DRを考慮してDR対象機器100の制御を行った場合の最大コストメリットを算出する。本実施形態では、DRによる最大コストメリットは、36円/日である。
【0084】
制御部3は、割引額提示処理S40において、上記最大コストメリットに基づく電力料金の割引額を提示する。今回の場合は、月あたりのメリットは1080円/月となる。これに安全率50%を考慮することで、最終的な割引額は540円/月となる。この場合、制御部3は、540円/月程度の割引額を考慮した電気料金プランを提示する。以上のように、電力需要が比較的大きい住宅Bでは、住宅Aの場合と比べて最大コストメリットや割引額が大きくなる。このように、電力料金提案システム1によれば、電力需要の規模に応じたメリットを提示することができる。
【0085】
以上の如く、本実施形態に係る電力料金提案システム1は、
デマンドレスポンスを考慮した電力料金の算出が可能な電力料金提案システム1であって、
建物(住宅A)の電力需要を予測する(S10)予測部(制御部3)と、
前記予測部(制御部3)が予測した前記建物(住宅A)の電力需要と、前記建物に設置された対象機器(DR対象機器100)に関する情報と、に基づいて、前記対象機器(DR対象機器100)の動作を変更することで調整可能な電力需要の範囲(DRポテンシャル)を推定する(S20)推定部(制御部3)と、
前記推定部(制御部3)が推定した電力需要の範囲(DRポテンシャル)と、予め設定された想定単価(DR想定単価)と、に基づいてデマンドレスポンスを考慮して前記対象機器(DR対象機器100)を稼動させた場合のコストメリットを算出する(S30)算出部(制御部3)と、
を具備するものである。
【0086】
このように構成することにより、実際にデマンドレスポンスを考慮した対象機器(DR対象機器100)の制御を行う前に、需要者に上記対象機器(DR対象機器100)の制御を行うことのメリットを提示することができる。すなわち、建物(住宅A)の電力需要を予測した結果に基づいてDRポテンシャルを推定し、デマンドレスポンスを考慮した対象機器(DR対象機器100)の制御を行うことのメリットを算出することができる。これにより、例えば対象機器(DR対象機器100)の設置を検討する段階で、需要者にデマンドレスポンスを考慮した対象機器(DR対象機器100)の制御を行うことのメリットを提示することができる。
【0087】
また、電力料金提案システム1は、
前記算出部(制御部3)が算出したコストメリットと、予め設定された安全率と、に基づいて、デマンドレスポンスを考慮した電力料金の割引額を提示する(S40)提示部(制御部3)を具備するものである。
【0088】
このように構成することにより、需要者に具体的なメリットを提示することができる。すなわち、デマンドレスポンスを考慮した対象機器(DR対象機器100)の制御を行うことのメリットとして、電力料金の割引額を提示することができる。
【0089】
また、前記予測部(制御部3)は、
前記建物(住宅A)の電力需要に関する情報を取得し、当該情報に基づいて前記建物(住宅A)の電力需要を予測するものである。
【0090】
このように構成することにより、建物(住宅A)の電力需要に関する情報に基づいて、建物(住宅A)の電力需要を予測することができる。これにより、個々の建物(住宅A)の電力需要に応じたメリットを提示することができる。
【0091】
また、前記対象機器(DR対象機器100)には、
電力により給湯が可能な給湯器110が少なくとも含まれるものである。
【0092】
このように構成することにより、デマンドレスポンスを考慮して給湯器110を稼動させた場合のコストメリットを算出することができる。すなわち、デマンドレスポンスを考慮して給湯器110の稼動のタイミングを調整したことによるコストメリットを算出することができる。
【0093】
また、前記対象機器(DR対象機器100)には、
発電が可能な燃料電池120が少なくとも含まれるものである。
【0094】
このように構成することにより、デマンドレスポンスを考慮して燃料電池120を稼動させた場合のコストメリットを算出することができる。すなわち、デマンドレスポンスを考慮して燃料電池120の発電及び発電の停止のタイミングを調整したことによるコストメリットを算出することができる。
【0095】
また、前記対象機器(DR対象機器100)には、
充放電が可能な蓄電装置130が少なくとも含まれるものである。
【0096】
このように構成することにより、デマンドレスポンスを考慮して蓄電装置130を稼動させた場合のコストメリットを算出することができる。すなわち、デマンドレスポンスを考慮して蓄電装置130の充電及び放電のタイミングを調整したことによるコストメリットを算出することができる。
【0097】
なお、本実施形態に係る制御部3は、予測部、推定部、算出部及び提示部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る住宅Aは、建物の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るDR対象機器100は、対象機器の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るDR想定単価は、想定単価の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るDRポテンシャルは、対象機器の動作を変更することで調整可能な電力需要の範囲の実施の一形態である。
【0098】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0099】
例えば、本実施形態においては、電力供給システム10に、太陽光発電装置140を設けた例を示したが、このような態様に限られず、太陽光発電装置140を設けなくてもよい。
【0100】
また、本実施形態では、給湯器110、燃料電池120及び蓄電装置130の3つの機器をDR対象機器100とした例を示したが、このような態様に限られない。例えば、給湯器110、燃料電池120及び蓄電装置130のうちの少なくとも1つをDR対象機器100としてもよい。また、太陽光発電装置140をDR対象機器100に含めてもよい。
【0101】
また、DR対象機器100としては、給湯器110、燃料電池120及び蓄電装置130に限られない。DR対象機器100としては、エアコン(空調装置)や暖房機器、炊飯器等の適宜の家電機器や、照明機器等の種々の電力負荷を採用可能である。
【0102】
なお、本実施形態では、電力供給システム10を実際に住宅Aに導入されたものではなく、仮想的なものとしたが、このような態様に限られない。例えば、電力供給システム10を実際に住宅Aに導入されたものとしてもよい。この場合には、電力料金提案システム1の制御部3を、電力供給システム10の制御装置150と相互に情報のやりとりを可能な構成としてもよい。この場合、制御部3は、例えば制御装置150が取得したり学習した情報(例えばDR対象機器100に関する情報)を用いて、各処理を実行するようにしてもよい。
【0103】
なお、本実施形態では、電力供給システム10の蓄電装置130及び太陽光発電装置140を接続するハイブリッドパワコン131を設けた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、蓄電装置130及び太陽光発電装置140のそれぞれに、各装置を制御するパワコンを設けるようにしてもよい。
【0104】
また、電力料金提案システム1の対象となる建物は、住宅に限られない。電力料金提案システム1の対象となる建物としては、事務所や商業施設等の適宜の建物を採用可能である。
【0105】
また、本実施形態では、電力会社と電力事業者(電力小売事業者)との関係として、別会社であることを想定していたが、同一会社や、電力事業者が電力会社の関連会社や子会社であってもよく、何ら限定するものではない。
【0106】
また、本実施形態では、DRを考慮して電力需要のパターンを変更することのメリットが提示される需要者として住宅(居住者)を例にあげたが、これに限定するものではない。すなわち、前記需要者としては、事業所や店舗等、電力の需要が発生する種々のものが想定される。
【符号の説明】
【0107】
1 電力料金提案システム
3 制御部
10 電力供給システム
100 DR対象機器
110 給湯器
120 燃料電池
130 発電装置