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特開2022-189137制御弁装置、及びそれを備える油圧駆動システム
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  • 特開-制御弁装置、及びそれを備える油圧駆動システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189137
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】制御弁装置、及びそれを備える油圧駆動システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
F15B11/02 F
F15B11/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097534
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】青木 誠司
(72)【発明者】
【氏名】田中 良和
(72)【発明者】
【氏名】稲澤 求
(72)【発明者】
【氏名】畑 直希
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA72
3H089BB27
3H089CC01
3H089CC12
3H089DA03
3H089DA07
3H089DA13
3H089DA14
3H089DB46
3H089DB49
3H089DB50
3H089DB54
3H089DB63
3H089DB75
3H089EE36
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】フロート機能を有し且つコンパクトな制御弁装置を提供する。
【解決手段】制御弁装置は、油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御するものであって、第1スプールの位置を変えることによって油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する第1制御弁と、第2スプールの位置を変えることによって油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する第2制御弁と、を備え、第1スプールは、中立位置において第1油圧ポンプと、タンクと、ヘッド側ポートと、ロッド側ポートとを互い切断し、第1位置においてヘッド側ポートと第1油圧ポンプとを繋ぎ且つロッド側ポートとタンクとを繋ぎ、第2スプールは、中立位置において第2油圧ポンプと、タンクと、ヘッド側ポートと、ロッド側ポートとを互い切断し、第2位置においてヘッド側ポートと第2油圧ポンプとを繋ぎ、フロート位置においてヘッド側ポート及びロッド側ポートを第2油圧ポンプから切断し且つタンクに繋ぐ。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する制御弁装置であって、
中立位置から第1位置に移動できる第1スプールを有し、前記第1スプールの位置を変えることによって前記油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する第1制御弁と、
中立位置から第2位置及びフロート位置に夫々移動できる第2スプールを有し、前記第2スプールの位置を変えることによって前記油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する第2制御弁と、を備え、
前記第1制御弁は、第1油圧ポンプと、タンクと、前記油圧シリンダのヘッド側ポート及びロッド側ポートと接続され、
前記第2制御弁は、第2油圧ポンプと、前記タンクと、前記ヘッド側ポート及び前記ロッド側ポートと接続され、
前記第1スプールは、中立位置において前記第1油圧ポンプと、前記タンクと、前記ヘッド側ポートと、前記ロッド側ポートとを互い切断し、第1位置において前記ヘッド側ポートと前記第1油圧ポンプとを繋ぎ且つ前記ロッド側ポートと前記タンクとを繋ぎ、
前記第2スプールは、中立位置において前記第2油圧ポンプと、前記タンクと、前記ヘッド側ポートと、前記ロッド側ポートとを互い切断し、第2位置において前記ヘッド側ポートと前記第2油圧ポンプとを繋ぎ、フロート位置において前記ヘッド側ポート及び前記ロッド側ポートを前記タンクに繋ぎ且つ前記第2油圧ポンプから切断する、制御弁装置。
【請求項2】
前記第1スプールは、第3位置に移動でき、第3位置において前記ロッド側ポートと前記第1油圧ポンプとを繋ぎ且つ前記ヘッド側ポートと前記タンクとを切断し、
前記第2スプールは、第4位置に移動することができ、第4位置において前記ヘッド側ポートと前記タンクとを繋ぐ、請求項1に記載の制御弁装置。
【請求項3】
前記第2スプールは、第4位置に移動することができ、第4位置において前記ロッド側ポート、前記ヘッド側ポート、及び前記タンクを互いに繋ぎ且つ前記ヘッド側ポート及び前記ロッド側ポートと前記タンクとの間の開度を絞る、請求項1に記載の制御弁装置。
【請求項4】
前記第1制御弁は、第1電磁比例制御弁を有し、
前記第1電磁比例制御弁は、入力される第1操作信号に応じたパイロット圧を出力して前記第1スプールの位置を変え、
前記第2制御弁は、第2電磁比例制御弁を有し、
前記第2電磁比例制御弁は、入力される第2操作信号に応じたパイロット圧を出力して前記第2スプールの位置を変える、請求項1乃至3の何れか1つに記載の制御弁装置。
【請求項5】
油圧ショベルのブームを動かすブームシリンダに作動油を給排して前記ブームシリンダを駆動する油圧駆動システムであって、
作動油を吐出する前記第1油圧ポンプと、
作動油を吐出する前記第2油圧ポンプと、
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプから前記ブームシリンダへの作動油の流れを制御するブーム用制御弁装置と、を備え、
前記ブーム用制御弁装置は、請求項1乃至4の何れか1つに記載の前記制御弁装置であり、
前記ブームシリンダは、前記油圧シリンダであり、
前記第1制御弁は、前記第1スプールの位置を変えることによって前記ブームシリンダに給排される作動油の流れを制御し、
前記第2制御弁は、前記第2スプールの位置を変えることによって前記ブームシリンダに給排される作動油の流れを制御する、油圧駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する制御弁装置、及びそれを備える油圧駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルは、油圧シリンダに作動油を供給すべく制御弁装置を備えている。制御弁装置では、油圧シリンダの大型化に伴って、2つのポンプから吐出される作動油を合流して1つの油圧シリンダに供給することが求められる。また、油圧ショベルは、フロート機能を備えており、均平整地作業を行う際にブームを地面の起伏に応じて上下に動かすことができる。フロート機能を有する油圧ショベルでは、例えば特許文献1のようなフローティングバルブを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7―259806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述するような油圧ショベルにおいて、制御弁装置は、ポンプ毎に設けられる2つの方向制御弁に加えて特許文献1のフローティングバルブを備えることになる。そうすると、制御弁装置が大型化する。
【0005】
そこで本発明は、フロート機能を有し且つコンパクトな制御弁装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制御弁装置は、油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御するものであって、中立位置から第1位置に移動できる第1スプールを有し、前記第1スプールの位置を変えることによって前記油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する第1制御弁と、中立位置から第2位置及びフロート位置に夫々移動できる第2スプールを有し、前記第2スプールの位置を変えることによって前記油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する第2制御弁と、を備え、前記第1制御弁は、第1油圧ポンプと、タンクと、前記油圧シリンダのヘッド側ポート及びロッド側ポートと接続され、前記第2制御弁は、第2油圧ポンプと、前記タンクと、前記ヘッド側ポート及び前記ロッド側ポートと接続され、前記第1スプールは、中立位置において前記第1油圧ポンプと、前記タンクと、前記ヘッド側ポートと、前記ロッド側ポートとを互い切断し、第1位置において前記ヘッド側ポートと前記第1油圧ポンプとを繋ぎ且つ前記ロッド側ポートと前記タンクとを繋ぎ、前記第2スプールは、中立位置において前記油圧ポンプと、前記タンクと、前記ヘッド側ポートと、前記ロッド側ポートとを互い切断し、第2位置において前記ヘッド側ポートと前記第2油圧ポンプとを繋ぎ、フロート位置において前記ヘッド側ポート及び前記ロッド側ポートを前記タンクに繋ぎ且つ前記ポンプから切断するものである。
【0007】
本発明に従えば、第1スプールを中立位置に配置し且つ第2スプールをフロート位置に移動させることによってフロート機能を達成することができる。それ故、コンパクトな制御弁装置を構成することができる。
【0008】
本発明の油圧駆動システムは、油圧ショベルのブームを動かすブームシリンダに作動油を給排して前記ブームシリンダを駆動する油ものであって、作動油を吐出する第1油圧ポンプと、作動油を吐出する第2油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプから前記ブームシリンダへの作動油の流れを制御するブーム用制御弁装置と、を備え、前記ブーム用制御弁装置は、前述する前記制御弁装置であり、前記ブームシリンダは、前記油圧シリンダであり、前記第1制御弁は、前記第1スプールの位置を変えることによって前記ブームシリンダに給排される作動油の流れを制御し、前記第2制御弁は、前記第2スプールの位置を変えることによって前記ブームシリンダに給排される作動油の流れを制御するものである。
【0009】
本発明に従えば、前述するような機能を有する油圧駆動システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フロート機能を有する制御弁装置のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る制御弁装置を備える油圧駆動システムを示す油圧回路図である。
図2図1の制御弁装置の合流制御を示す油圧回路図である。
図3図1の制御弁装置の独立制御を示す油圧回路図である。
図4図1の制御弁装置のフロート制御を示す油圧回路図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る制御弁装置を備える油圧駆動システムを示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る第1及び第2実施形態の油圧駆動システム1,1A、及び制御弁装置2,2Aについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する油圧駆動システム1,1A、及び制御弁装置2,2Aは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0013】
[第1実施形態]
油圧ショベルは、その先端にアタッチメントを有している。そして、油圧ショベルは、アタッチメントを用いて様々な作業を行うことができる。アタッチメントは、油圧ショベルにおいてブーム及びアームを介して車両本体に設けられている。そして、アタッチメントは、ブーム及びアームによって上下及び前後に動かすことができる。アタッチメントとしては、例えばバケット、グラップル、及びブレーカ等がある。本実施形態において、アタッチメントは、バケットである。そして、油圧ショベルは、バケットを動かすことによって掘削や均平整地を行う。また、バケット、ブーム及びアームの各々には、それらを動かすべく図1に示すような油圧シリンダ3~5が設けられている。そして、油圧シリンダ3~5に作動油を給排することによってバケット、ブーム及びアームを動かすことができる。本実施形態において、油圧シリンダ3~5は、例えばブームシリンダ3、バケットシリンダ4、及びアームシリンダ5である。なお、油圧ショベルには、油圧シリンダ3~5の他に、走行用の油圧モータ及び旋回用の油圧モータも搭載されているが、それらの油圧モータの図示及び説明は省略する。
【0014】
<油圧駆動システム>
油圧駆動システム1は、油圧シリンダ3~5及び油圧モータに作動油を給排してそれらを駆動する。より詳細に説明すると、油圧駆動システム1は、図1に示すとおり、主に2つの油圧ポンプ11R,11Lと、制御弁装置2と、複数の制御弁12,13と、複数の操作装置16~18と、フロート選択装置19と、制御装置20と、を備えている。2つの油圧ポンプ11R,11Lの各々は、詳しくは図示しないがエンジン又は電動機等の駆動源に繋がっている。そして、2つの油圧ポンプ11R,11Lは、駆動源によって駆動されて作動油を吐出する。2つの油圧ポンプ11R,11Lは、例えば可変容量型の斜板ポンプであって、斜板11Ra,11Laを有している。斜板11Ra,11Laは、図示しないレギュレータによって傾転角を変えることができる。そして、斜板11Ra,11Laの傾転角を変えることによって油圧ポンプ11R,11Lの吐出流量が変わる。また、油圧ポンプ11R,11Lは、第1及び第2ポンプ通路21R,21Lに夫々接続されている。そして、油圧ポンプ11R,11Lは、各ポンプ通路21L,21Rに作動油を吐出する。
【0015】
<制御弁装置>
ブーム用制御弁装置の一例である制御弁装置2は、第1ブーム用制御弁14と、第2ブーム用制御弁15とを備えている。そして、制御弁装置2は、ブームシリンダ3に給排される作動油の流れを制御する。より詳細に説明すると、制御弁装置2は、2つの油圧ポンプ11R,11Lに接続されている。また、制御弁装置2は、ブームシリンダ3に接続されている。そして、制御弁装置2は、2つの油圧ポンプ11R,11Lの各々からブームシリンダ3に供給される作動油の供給量を制御すると共に、ブームシリンダ3から排出される作動油の排出量を制御する。
【0016】
第1制御弁の一例である第1ブーム用制御弁14は、第1スプール14aを有している。そして、第1ブーム用制御弁14は、第1スプール14aの位置を変えることによってブームシリンダ3に給排される作動油の流れを制御する。より詳細に説明すると、第1ブーム用制御弁14は、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3a及びロッド側ポート3bに接続されている。また、第1ブーム用制御弁14は、第1ポンプ通路21R(より詳しくは、第1ポンプ通路21Rと第1ブーム用制御弁14とを繋ぐ油通路23)を介して第1油圧ポンプ11Rに接続され、更にタンク22にも接続されている。そして、第1ブーム用制御弁14は、第1スプール14aの位置を変えることによって、それらの接続状態を切換えることができる。
【0017】
より詳細に説明すると、第1スプール14aは、中立位置M1から第1オフセット位置A1及び第2オフセット位置A2に夫々移動することができる。中立位置M1では、第1スプール14aが、第1油圧ポンプ11Rと、タンク22と、ヘッド側ポート3aと、ロッド側ポート3bとを互い切断する。第1位置の一例である第1オフセット位置A1では、第1スプール14aが、ヘッド側ポート3aと第1油圧ポンプ11Rとを繋ぎ、ロッド側ポート3bとタンク22とを繋ぐ。他方、第3位置の一例である第2オフセット位置A2では、第1スプール14aが、ロッド側ポート3bと第1油圧ポンプ11Rとを繋ぎ、且つヘッド側ポート3aとタンク22とを互いに切断する。
【0018】
また、第1ブーム用制御弁14は、電磁式のスプール弁であって、第1電磁比例制御弁14b,14cを有している。第1電磁比例制御弁14b,14cは、入力される第1操作信号に応じた第1パイロット圧p1a,p1bを出力する。第1パイロット圧p1a,p1bは、互いに抗するように第1スプール14aに作用している。そして、第1電磁比例制御弁14b,14cは、出力するパイロット圧p1a,p1b(又はそれらの差圧|p1a-p1b|)に応じて第1スプール14aの位置を変える。これにより、第1油圧ポンプ11Rと、タンク22と、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3a及びロッド側ポート3bとの接続状態が切換えられる。また、第1電磁比例制御弁14b,14cは、出力するパイロット圧p1a,p1b(又はそれらの差圧|p1a-p1b|)に応じた移動量で第1スプール14aを移動させる。これにより、ポート3a,3bが夫々繋がる第1油圧ポンプ11R及びタンク22の各々との間の開度が制御される。
【0019】
第2制御弁の一例である第2ブーム用制御弁15は、第2スプール15aを有している。そして、第2ブーム用制御弁15は、第2スプール15aの位置を変えることによってブームシリンダ3に給排される作動油の流れを制御する。より詳細に説明すると、第2ブーム用制御弁15は、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3a及びロッド側ポート3bに接続されている。また、第2ブーム用制御弁15は、第2ポンプ通路21L(より詳しくは、第2ポンプ通路21Lと第2ブーム用制御弁15とを繋ぐ油通路24)を介して第2油圧ポンプ11Lに接続され、更にタンク22にも接続されている。そして、第2ブーム用制御弁15は、第2スプール15aの位置を変えることによって、それらの接続状態を切換えることができる。
【0020】
より詳細に説明すると、第2スプール15aは、中立位置M2から第1オフセット位置B1、第2オフセット位置B2、及びフロート位置B3に夫々移動することができる。中立位置M2では、第2スプール15aが、第2油圧ポンプ11Lと、タンク22と、ヘッド側ポート3aと、ロッド側ポート3bとを互い切断する。第2位置の一例である第1オフセット位置B1では、第2スプール15aが、ヘッド側ポート3aと第2油圧ポンプ11Lとを繋ぎ、ロッド側ポート3bとタンク22とを切断する。他方、第4位置の一例である第2オフセット位置B2では、第2スプール15aが、ヘッド側ポート3aとタンク22とを繋ぎ、且つロッド側ポート3bと第2油圧ポンプ11Lとを切断する。更に、フロート位置B3では、第2スプール15aが、ヘッド側ポート3a及びロッド側ポート3bをタンク22に接続し、且つヘッド側ポート3a及びロッド側ポート3bを第2油圧ポンプ11Lから切断する。
【0021】
また、第2ブーム用制御弁15は、電磁式のスプール弁であって、第2電磁比例制御弁15b,15cを有している。第2電磁比例制御弁15b,15cは、入力される第2操作信号に応じた第2パイロット圧p2a,p2bを出力する。第2パイロット圧p2a,p2bは、互いに抗するように第2スプール15aに作用している。そして、第2電磁比例制御弁15b,15cは、出力するパイロット圧p2a,p2b(又はそれらの差圧|p2a-p2b|)に応じて第2スプール15aの位置を変える。これにより、第2油圧ポンプ11Lと、タンク22と、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3a及びロッド側ポート3bとの接続状態が切換えられる。また、第2電磁比例制御弁15b,15cは、出力するパイロット圧p2a,p2b(又はそれらの差圧|p2a-p2b|)に応じた移動量で第2スプール15aを移動させる。これにより、第1オフセット位置B1及び第2オフセット位置B2において、ポート3a,3bに夫々繋がる第2油圧ポンプ11L及びタンク22の各々との間の開度が制御される。
【0022】
複数の制御弁12,13は、各シリンダ4,5に対応付けて接続されている。なお、油圧駆動システム1では、油圧シリンダ4,5と同数又はそれ以上の数の制御弁12,13が備わっている。なお、油圧駆動システム1は、3つ以上の制御弁を備えてもよい。本実施形態において、油圧駆動システム1は、バケット用制御弁12及びアーム用制御弁13を備えている。
【0023】
バケット用制御弁12は、バケットシリンダ4に接続されている。また、バケット用制御弁12は、第1ブーム用制御弁14に並列するように第1ポンプ通路21Rに接続されている。そして、バケット用制御弁12は、第1ポンプ通路21Rを介して第1油圧ポンプ11Rに接続されている。また、バケット用制御弁12は、ブーム用制御弁14,15と同様に電磁式のスプール弁であって、入力される信号に応じた位置へとスプール12aを動かす。これにより、バケットシリンダ4に給排される作動油の流れを制御し、バケットシリンダ4を作動させることができる。
【0024】
アーム用制御弁13は、アームシリンダ5に接続されている。アーム用制御弁13は、第2ブーム用制御弁15に並列するように第2ポンプ通路21Lに接続されている。そして、アーム用制御弁13は、第2ポンプ通路21Lを介して第2油圧ポンプ11Lに接続されている。また、アーム用制御弁13は、ブーム用制御弁14,15と同様に電磁式のスプール弁であって、入力される信号に応じた位置へとスプール13aを動かす。これにより、アームシリンダ5に給排される作動油の流れを制御し、アームシリンダ5を作動させることができる。
【0025】
各操作装置16~18は、各シリンダ3~5に夫々対応付けられている。更に詳細に説明すると、油圧駆動システム1には、シリンダ3~5と同数の操作装置16~18が備わっている。本実施形態において、操作装置16~18は、ブーム用操作装置16、アーム用操作装置17、及びバケット用操作装置18である。そして、操作装置16~18は、例えば電気ジョイスティック又はリモートコントロール弁等である。更に詳細に説明すると、操作装置16~18は、操作レバー16a~18aを有している。そして、操作装置16~18は、操作レバー16a~18aの操作方向及び操作量に応じた操作信号を出力する。なお、油圧駆動システム1において操作装置は、シリンダ3~5と同数備わっている必要はなく、1つ又は2つであってもよい。この場合、操作装置は、複数のシリンダを作動させることができるように構成される。
【0026】
フロート選択装置19は、制御装置20と電気的に接続されている。フロート選択装置19は、例えばスイッチである。但し、選択装置19は、スイッチに限定されず操作パネル及びタッチパネルであってもよい。フロート選択装置19は、操作されることによってフロート選択指令を制御装置20に出力する。
【0027】
制御装置20は、操作装置16~18の各々に電気的に接続されている。そして、制御装置20には、操作装置16~18の各々から出力される操作信号が入力される。また、制御装置20は、操作信号に応じて制御弁装置2(より詳しくはブーム用制御弁14,15)及び各制御弁12,13を制御する。更に詳細に説明すると、制御装置20は、各電磁比例制御弁12b~15b,12c~15cに電気的に接続されている。そして、制御装置20は、操作信号に応じた信号を各電磁比例制御弁12b~15b,12c~15cに夫々出力する。これにより、各電磁比例制御弁12b~15b,12c~15cからパイロット圧が出力される。そうすると、対応する制御弁12~15のスプール12a~15aが移動し、シリンダ3~5が作動する。また、制御装置20は、フロート選択装置19からフロート選択指令を受けると、フロート機能を達成すべく制御弁装置2の動作を制御する。
【0028】
<油圧駆動システムの動作>
油圧駆動システム1では、操作装置16~18の操作レバー16a~18aを操作することによって、対応するシリンダ3~5を動かすことができる。以下では、ブームを動かす場合を例に挙げて説明する。例えば、ブームを上昇させる(即ち、ブームシリンダ3を伸長させる)べくブーム用操作装置16の操作レバー16aが操作されると、制御装置20は、電磁比例制御弁14b,15bに信号を出力する。これにより、第1及び第2ブーム用制御弁14,15のスプール14a,15aは、図2に示すように第1オフセット位置A1,B1に移動する。そうすると、2つの油圧ポンプ11R,11Lからブームシリンダ3のヘッド側ポート3aに作動油が供給される。また、ロッド側ポート3bからは、第1ブーム用制御弁14を介してタンク22に作動油が排出される(図2の太線参照)。これにより、ブームシリンダ3が伸長し、ブームが上昇する。このように油圧駆動システム1では、ブームを上昇させる際、2つの油圧ポンプ11R,11Lの作動油を合流させてブームシリンダ3に供給することができる。
【0029】
また、ブームを下降させる(即ち、ブームシリンダ3を下降させる)べくブーム用操作装置16の操作レバー16aが操作されると、制御装置20は、電磁比例制御弁14c,15cに信号を出力する。これにより、第1及び第2ブーム用制御弁14,15のスプール14a,15aが図3に示すように第2オフセット位置A2,B2に移動する。そうすると、第1油圧ポンプ11Rからブームシリンダ3のロッド側ポート3bに作動油が供給され、且つヘッド側ポート3aから第2ブーム用制御弁15を介してタンク22に作動油が排出される(図3の太線参照)。これにより、ブームシリンダ3が収縮し、ブームが下降する。このように油圧駆動システム1では、ブームを下降させる際、ブームシリンダ3に対する作動油の供給及び排出を夫々独立して制御することができる。
【0030】
次に、油圧駆動システム1におけるフロート機能を説明する。フロート機能は、フロート選択装置19が操作されることによって実行される。フロート選択装置19が操作されると、制御装置20は、電磁比例制御弁15cに信号を出力することによって第2ブーム用制御弁15の第2スプール15aを図4に示すようにフロート位置B3に移動させる。また、制御装置20は、第1ブーム用制御弁14の第1スプール14aを中立位置M1に保持する。これにより、ブームシリンダ3の2つのポート3a,3bが第2ブーム用制御弁15を介してタンク22に繋がり、2つのポート3a,3bからタンク22へと作動油が流れる(図4の太線参照)。そうすると、2つのポート3a,3bの圧力差が略ゼロになる(フロート状態)。
【0031】
フロート状態においてアーム用操作装置17及びバケット用操作装置18を操作することによって、例えば均平整地作業が行われる。即ち、制御装置20は、アーム用操作装置17及びバケット用操作装置18の操作に応じて各制御弁12,13のスプール12a,13aを動かす。例えば、アームシリンダ5を伸長させることによってバケットが車体本体側に引き込まれる。また、バケットシリンダ4を収縮させることによって地面の形状に合わせてバケットの姿勢が変えられる。このようにして、バケットを車体本体側に引き込み且つバケットの姿勢を変えることによって均平整地が行われる。そして、均平整地作業の際にフロート機能が実行されることによって、ブームを地面の起伏に応じて上下に動かすことができる。
【0032】
このように構成されている制御弁装置2では、第1ブーム用制御弁14の第1スプール14aを中立位置M1に配置し且つ第2ブーム用制御弁15の第2スプール15aをフロート位置B3に移動させることによってフロート機能を達成することができる。即ち、2つのブーム用制御弁14,15によってフロート機能が達成される。それゆえ、フロート機能を有する制御弁装置2をコンパクトに構成することができる。
【0033】
また、制御弁装置2は、第1ブーム用制御弁14の第1スプール14aを第2オフセット位置A2に移動させ且つ第2ブーム用制御弁15の第2スプール15aを第2オフセット位置B2に移動させる。これにより、制御弁装置2は、ロッド側ポート3bに供給する作動油の流量とヘッド側ポート3aから排出させる作動油の流量を夫々独立して制御することができる。
【0034】
更に、制御弁装置2では、2つのブーム用制御弁14,15が電磁式のスプール弁である。即ち、2つのブーム用制御弁14,15は、電磁比例制御弁14b、14c、15b、15cによってスプール14a,15aを移動させる。これにより、2つのスプール14a,15aの位置精度を向上させることができる。
【0035】
更に、油圧駆動システム1では、前述するような機能を有するものを実現することができる。
【0036】
[第2実施形態]
第2実施形態の油圧駆動システム1A及び制御弁装置2Aは、第1実施形態の油圧駆動システム1及び制御弁装置2と構成が類似している。従って、第2実施形態の油圧駆動システム1A及び制御弁装置2Aの構成については、主に第1実施形態の油圧駆動システム1及び制御弁装置2と異なる点が説明され、同一の構成については同一の符号を付して説明が省略される。
【0037】
第2実施形態の油圧駆動システム1Aは、図5に示すように主に2つの油圧ポンプ11R,11Lと、制御弁装置2Aと、複数の制御弁12,13と、複数の操作装置16~18と、フロート選択装置19と、制御装置20と、を備えている。制御弁装置2Aは、第1ブーム用制御弁14と、第2ブーム用制御弁15Aとを備えている。そして、制御弁装置2は、2つの油圧ポンプ11R,11Lの各々からブームシリンダ3に供給される作動油の供給量を制御すると共に、ブームシリンダ3から排出される作動油の排出量を制御する。また、制御弁装置2Aは、作動油を再生できる機能を有している。より詳細に説明すると、制御弁装置2Aは、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3aから排出される作動油をロッド側ポート3bに戻す再生機能を有している。
【0038】
第2ブーム用制御弁15Aは、第2スプール15aを有している。第2ブーム用制御弁15Aは、第2スプール15aの位置を変えることによってブームシリンダ3に給排される作動油の流れを制御する。より詳細に説明すると、第2スプール15aは、中立位置M2から第1オフセット位置B1、第2オフセット位置B2A、及びフロート位置B3に夫々移動することができる。そして、第2スプール15aは、第2オフセット位置B2Aにおいて、ヘッド側ポート3a、ロッド側ポート3b、及びタンク22を互いに繋ぎ、且つ第2油圧ポンプ11Lを切断する。また、第2スプール15aは、第2オフセット位置B2Aにおいて移動量に応じてヘッド側ポート3aとタンク22及びロッド側ポート3bとタンク22との開度を絞る。ここで絞るとは、第2オフセット位置B2Aにおいて、ヘッド側ポート3aとヘッド側タンク22との間の開度及びロッド側ポート3bとヘッド側タンク22との間の開度が、ヘッド側ポート3a及びロッド側ポート3bとの間の開度より小さくなることである。これにより、ヘッド側タンク22に作動油が流れにくくなる。そうすると、ヘッド側ポート3aから排出される作動油の一部がロッド側ポート3bに戻される(即ち再生される)と共に、余剰流量の作動油がタンク22に排出される。
【0039】
このように構成されている油圧駆動システム1Aでは、ブームを下降させるべくブーム用操作装置16の操作レバー16aが操作されると、制御装置20が第2ブーム用制御弁15の第2スプール15aを第2オフセット位置B2Aに移動させる。他方、第1ブーム用制御弁14の第1スプール14aは、中立位置M1にて保持される。そうすると、ヘッド側ポート3aからタンク22に排出される作動油の流量が制限される。これにより、ヘッド側ポート3aから排出される作動油の一部分が第2ブーム用制御弁15を介してロッド側ポート3bに供給される。これにより、制御弁装置2Aでは、ヘッド側ポート3aとロッド側ポート3bとの間で作動油の再生が行われる。このように動作する油圧駆動システム1Aでは、ブームを下降させる際にブームシリンダ3から排出される作動油を再生することができる。それ故、油圧駆動システム1Aでは、ブーム下降時におけるエネルギーを有効に活用することができる。
【0040】
その他、第2実施形態の油圧駆動システム1A及び制御弁装置2Aは、第1実施形態の油圧駆動システム1及び制御弁装置2と同様の作用効果を奏する。
【0041】
[その他の実施形態]
第1及び第2実施形態の油圧駆動システム1,1Aが適用される油圧機器は、必ずしも油圧ショベルに限定されない。適用される油圧機械は、フロート機能を有する油圧機械であればよく、また油圧機械以外の油圧機器であってもよい。また、制御弁装置2,2Aでは、ブーム用制御弁14,15として電磁式のスプール弁が用いられているが、必ずしも電磁式である必要はない。即ち、ブーム用制御弁14,15は、パイロット式のスプール弁であってもよく、その方式は問わない。また、制御弁装置2,2Aは、ブームシリンダ3に適用されているが、バケットシリンダ4やアームシリンダ5等に適用されてもよく、またその他の油圧シリンダに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1,1A 油圧駆動システム
2,2A 制御弁装置(ブーム用制御弁装置)
3 ブームシリンダ
3a ヘッド側ポート
3b ロッド側ポート
11R 第1油圧ポンプ
11L 第2油圧ポンプ
14 第1ブーム用制御弁(第1制御弁)
14a 第1スプール
14b,14c 第1電磁比例制御弁
15,15A 第2ブーム用制御弁(第2制御弁)
15a 第2スプール
15b,15c 第2電磁比例制御弁
22 タンク
図1
図2
図3
図4
図5