(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189149
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
F24F 3/00 20060101AFI20221215BHJP
F24F 3/14 20060101ALI20221215BHJP
F24F 3/147 20060101ALI20221215BHJP
F25B 17/08 20060101ALI20221215BHJP
F28D 21/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F24F3/00 A
F24F3/14
F24F3/147
F25B17/08 Z
F28D21/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097557
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】市川 靖
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】曽根 和樹
(72)【発明者】
【氏名】内村 允宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅紀
【テーマコード(参考)】
3L053
3L093
【Fターム(参考)】
3L053BC01
3L093NN03
3L093PP01
(57)【要約】
【課題】小型化が可能であり、エネルギーの消費効率の向上が可能な空調装置を提供する。
【解決手段】弾性を有する吸発熱部は、応力の印加と開放とに伴い相変化することによって吸熱又は発熱する吸発熱材料を有する。吸発熱部の熱を伝導する熱伝導部は収容部から延出する延出部を有する。流動機構が、媒体を媒体流路内で流動させる。媒体流路内に延出部が配置され、延出部が媒体と熱交換を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換装置と、
熱交換装置によって熱交換される媒体が流動する媒体流路と、
前記媒体を前記媒体流路内で流動させる流動機構と、を備え、
前記熱交換装置は、
弾性を有する吸発熱部と、
前記吸発熱部と直接又は間接的に接触して、前記吸発熱部の熱を伝導する熱伝導部と、
前記吸発熱部及び前記熱伝導部を収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記吸発熱部に応力を印加する動作と、前記応力を解放する動作とを行うプレス機構と、を備え、
前記吸発熱部は、前記応力の印加と開放とに伴い相変化することによって吸熱又は発熱する吸発熱材料を有し、
前記熱伝導部は、前記収容部から延出する延出部を有し、
前記媒体流路内に前記延出部が配置され、前記延出部が前記媒体と熱交換を行う、空調装置。
【請求項2】
前記延出部は板状であり、
板状の前記延出部は、前記媒体の流動方向に沿って配置されている、請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記延出部は、
前記流動方向における長さが短くなるように複数の短冊部に分割されている、請求項2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記熱交換装置は、前記熱伝導部を複数有し、
前記複数の熱伝導部の各々において、前記延出部は前記複数の短冊部に分割されており、
前記複数の熱伝導部のうち、前記吸発熱部を挟んで向かい合う一方の熱伝導部と他方の熱伝導部は、
前記一方の熱伝導部と前記他方の熱伝導部とが向かい合う方向において、前記短冊部の位置が互いにずれている、請求項3に記載の空調装置。
【請求項5】
前記延出部には貫通孔が設けられている、請求項2に記載の空調装置。
【請求項6】
前記延出部は、
前記流動方向の下流側に位置する第1部位を有し、
前記第1部位は、前記媒体の流れを前記媒体流路の中央側へ誘導する第1迎え角を有する、請求項2から5のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項7】
前記延出部は、
前記第1部位よりも前記流動方向の上流側に位置する第2部位を有し、
前記第2部位は、前記媒体の流れを前記媒体流路の中央側へ誘導する第2迎え角を有し、
前記第2迎え角よりも前記第1迎え角の方が大きい、請求項6に記載の空調装置。
【請求項8】
前記延出部は、
前記第1部位よりも前記流動方向の上流側又は下流側に位置する第3部位を有し、
前記第3部位は、前記媒体の流れを前記媒体流路の周辺側へ誘導する第3迎え角を有する請求項6又は7に記載の空調装置。
【請求項9】
前記熱交換装置として、第1熱交換装置と第2熱交換装置とを備え、
前記第1熱交換装置の前記延出部は、
前記流動方向の下流側に位置する第1部位と、
前記第1部位よりも前記流動方向の上流側に位置する第2部位と、を有し、
前記第1部位は、前記媒体の流れを前記媒体流路の中央側へ誘導する第1迎え角を有し、
前記第2部位は、前記媒体の流れを前記媒体流路の中央側へ誘導する第2迎え角を有し、
前記第2迎え角よりも前記第1迎え角の方が大きく、
前記第2熱交換装置の前記延出部は、
前記第1部位と、
前記第1部位よりも前記流動方向の上流側又は下流側に位置する第3部位と、を有し、
前記第3部位は、前記媒体の流れを前記媒体流路の周辺側へ誘導する第3迎え角を有し、
前記第1熱交換装置と前記第2熱交換装置は、前記流動方向において交互に並んで配置される、請求項2から5のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項10】
前記熱交換装置が自転して、前記媒体の流動方向に対して前記延出部が向きを変える、請求項1から8のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項11】
前記媒体流路内で前記延出部が移動する請求項1から9のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項12】
前記延出部の前記媒体流路における移動方向は、前記媒体の流動方向と対向する方向である、請求項11に記載の空調装置。
【請求項13】
前記媒体流路は、環状の媒体経路であり、
前記延出部は、前記環状の媒体流路内を時計回り又は反時計回りに移動する、請求項1から9のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項14】
前記媒体流路は、
前記熱交換装置が吸熱することによって前記媒体が冷やされる冷風流路と、
前記熱交換装置が発熱することによって前記媒体が温められる温風流路と、を備え、
前記延出部は前記冷風流路内と前記温風流路内とを交互に移動する請求項1から11のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項15】
前記延出部の前記媒体流路における移動方向は、
暖房よりも冷房を優先する冷房優先時は、前記冷風流路内では前記媒体の流動方向と対向する方向であり、前記温風流路内では前記流動方向と同じ方向であり、
冷房よりも暖房を優先する暖房優先時は、前記冷風流路内では前記流動方向と同じ方向であり、前記温風流路内では前記流動方向と対向する方向である、請求項14に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着式ヒートポンプ(デシカント空調器)が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の吸着式ヒートポンプ(デシカント空調器)では、多孔質体中の冷媒分子の移動速度が遅い。このため、冷媒分子が蒸発する(すなわち、吸熱する)際に、冷媒分子の蒸発速度が遅く、単位時間内に十分な吸熱量を得ることが難しい。冷媒分子の蒸発を促すために、多孔質体の温度を上昇させる方法が考えられるが、この方法では入熱用のヒータが必要となるため装置の大型化を招く。また、ヒータを稼働させるためのエネルギーが必要となるため、エネルギーの消費効率が低下する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、小型化が可能であり、エネルギーの消費効率を向上させることが可能な空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る空調装置において、弾性を有する吸発熱部は、応力の印加と開放とに伴い相変化することによって吸熱又は発熱する吸発熱材料を有する。吸発熱部の熱を伝導する熱伝導部は収容部から延出する延出部を有する。流動機構が、媒体を媒体流路内で流動させる。媒体流路内に延出部が配置され、延出部が媒体と熱交換を行う。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、小型化が可能であり、エネルギーの消費効率の向上が可能な空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る空調装置の構成例を立体的に示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係るユニット本体の構成例を立体的に示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1に係る空調装置において、空気の流れと延出部122とを示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す延出部をA-A´線を通るY-Z平面で切断した断面図である。
【
図5】
図5は、空気の流動方向における延出部の長さと、温度境界層との関係を示す図である。
【
図6】
図6は、空気の流動方向における延出部の長さと、温度境界層との関係を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態2に係る延出部の構成例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す延出部をB-B´線を通るY-Z平面で切断した断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態2の変形例に係る延出部を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態3に係る延出部の構成例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態3の変形例に係る熱伝導部を示す平面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態3の変形例に係る延出部の構成例を示す断面図である。
【
図13】
図13は本発明の実施形態4に係る延出部の構成例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態4に係る延出部と気流との関係を例示する図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態5に係る延出部の構成例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態6に係る空調装置の構成例を示す模式図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態7に係る空調装置の構成例を示す模式図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態8に係る空調装置の構成例を示す模式図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態9に係る空調装置の構成例を示す模式図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態9に係る空調装置の具体例1を示す図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態9に係る空調装置の具体例2を示す図である。
【
図22】
図22は、空調装置における熱交換ユニットの公転軸と自転軸とを例示する断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態9に係る空調装置の具体例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0009】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る空調装置200の構成例を立体的に示す模式図である。
図2に示すように、空調装置200は、熱交換ユニット100(本発明の「熱交換装置」の一例)と、空気(本発明の「媒体」の一例)が流れる空気導通路150(本発明の「媒体流路)の一例)と、を備える。空気導通路150は、ダクトと言い換えてもよい。熱交換ユニット100は、ユニット本体1と、ユニット本体1を厚さ方向(例えば、Z軸方向)の両側から挟むプレス機構3と、を備える。
【0010】
図2は、本発明の実施形態1に係るユニット本体1の構成例を立体的に示す模式図である。
図2に示すように、ユニット本体1は、弾性を有する吸発熱部11と、吸発熱部11と直接又は間接的に接触して吸発熱部11の熱を伝導する熱伝導部12と、吸発熱部11及び熱伝導部12を収容する収容部13と、を有する。なお、「弾性」とは、外部から応力が印加されて収縮しても、応力が解放されることによって、可逆的に大きく変形してほぼ元の形状に回復する性質を意味する。
【0011】
例えば、ユニット本体1は、熱伝導部12を複数有する。複数の熱伝導部12が、吸発熱部11を厚さ方向(例えば、Z軸方向)の両側から挟んでいる。2つの熱伝導部12は、1つの吸発熱部11をZ軸方向の両側から挟んでいる。
また、吸発熱部11は、収縮に伴って吸熱し膨張に伴って発熱する吸発熱材料、又は、収縮に伴って発熱し膨張に伴って吸熱する吸発熱材料を含む。
吸発熱部11が、収縮に伴って吸熱し膨張に伴って発熱する吸発熱材料を含む場合を説明する。この場合は、吸発熱材料として、弾性を有するナノ多孔質体と、ナノ多孔質体の細孔壁に着脱可能に吸着する流体冷媒との組み合わせが例示される。
【0012】
「ナノ多孔質」とは、複数のナノレベルの細孔を有することを意味する。ナノレベルの細孔とは、好ましくは直径0.5~100nmであり、より好ましくは直径0.7~50nmであり、さらに好ましくは直径0.7~6nmのミクロ孔またはメソ孔である。なお、IUPAC(国際純正及び応用化学連合)では、直径2nm以下の細孔をミクロ孔(micropore)、直径2~50nmの細孔をメソ孔(mesopore)、直径50nm以上の細孔をマクロ孔(macropore)と定義している。
ナノ多孔質体として、グラフェンメソスポンジ(Graphene MesoSponge:GMS)、又は、ゼオライトテンプレートカーボン(Zeorite Template Carbon:ZTC)が挙げられる。GMS及びZTCは、いずれも単層グラフェン骨格からなり、流体冷媒の脱離及び吸着に必要な多孔性及び弾性特性を有している。
【0013】
GMSは、細孔壁の大部分が単層グラフェンから構成され、約6nm程度の微小な細孔を有するスポンジ状のメソ多孔体であり、活性炭に匹敵する極めて高いBET比表面積(約2000m2/g)を有している。その一方で、活性炭やカーボンブラックとは異なり腐食の原因となるグラフェンの端部をほとんど含んでいないことから、優れた耐食性(酸化耐性)も備えている。また、柔軟かつ強靭であるというグラフェンの性質に起因して、GMSは柔軟性及び弾性に優れ、細孔の直径が約5.8nmから約0.7nmになるまで可逆的に弾性変形することができる。GMSの製造方法については、Nishihara, H. et al., Advanced Functional Materials, Vol. 26, 2016, 6418-6427.に記載されている。
【0014】
ZTCは、単層のグラフェンシートにより構成される。また、均一な細孔(直径約1.2nm)が三次元的に規則配列し、相互に連結しており、極めて高いBET比表面積と細孔容積を有する(最大でBET比表面積が4100m2/g、細孔容積が1.8cc/g)ことが知られている。ZTCの製造方法については、Nishihara, H. et al., Chemistry-European Journal 15, 5355 (2009)等に記載されている。
【0015】
なお、本発明において、ナノ多孔質体は、GMS又はZTCに限定されない。ナノ多孔質体は、弾性を有し、収縮して流体冷媒を脱離可能で、かつ、膨張して流体冷媒を吸着可能な材料であれば、他の材料を用いてもよい。このような例として、球状のメソ孔を有する炭素メソスポンジ(CMS;Carbon MesoSponge)が挙げられる。
流体冷媒として、例えば、水又はアルコールが挙げられる。アルコールの一例として、メタノール又はエタノールが挙げられる。流体とは、液体又は気体、もしくは液体と気体とが混合したものを意味する。
【0016】
図1において、プレス機構3が収容部13を介して吸発熱部11に応力を加えると、吸発熱部11を構成しているナノ多孔質体の細孔は収縮し、ナノ多孔質体の細孔壁に吸着していた流体冷媒は細孔壁から脱離する。細孔壁から脱離する際に流体冷媒は気化(すなわち、蒸発)して、冷媒蒸気となる。流体冷媒は、収容部13内で液相から気相へ相変化することによって吸熱し、ナノ多孔質体の温度を低下させる。ナノ多孔質体は熱伝導部12と接触しているため、熱伝導部12の温度が低下する。これにより、熱伝導部12の延出部122は、収容部13外に存在する空気等と対流又は放射により熱交換して、空気を冷やすことができる。
【0017】
また、プレス機構3が吸発熱部11に加えた応力を解放すると、吸発熱部11を構成しているナノ多孔質体の細孔は収縮した状態から膨張する。収容部13内に存在する冷媒蒸気はナノ多孔質体の細孔壁に吸着して液化する。冷媒蒸気は、収容部13内で気相から液相へ相変化することによって発熱し、ナノ多孔質体の温度を上昇させる。ナノ多孔質体は熱伝導部12と接触しているため、熱伝導部12の温度が上昇する。これにより、熱伝導部12の延出部122は、収容部13外に存在する空気等と対流又は放射により熱交換して、空気を温めることができる。
【0018】
次に、吸発熱部11が、収縮に伴って発熱し膨張に伴って吸熱する吸発熱材料を含む場合を説明する。この場合は、吸発熱材料として、固体冷媒(例えば、弾性熱量体又は圧力熱量体)が例示される。弾性熱量体として、Tiを含む合金(一例として、TiNi、BaTiO3、PbZr0.95Ti0.05O3)が挙げられる。圧力熱量体として、水素結合を含む有機系樹脂(一例として、ネオペンチルグリコール(NPG)、ペンタエリトリトール(PE)、ペンタグリセリン(PE))が挙げられる。また、固体冷媒は上記以外の材料でもよい。例えば、弾性熱量体として、Gd5Si2Ge2、La(Fe,Co,Si)13、MnCoGeB0.02、PVDF-TrFE、Cu2ZnAl、FeRhが挙げられる。圧力熱量体として、(NH4)SO4、AgI、rubber、AMP、TRIS、MNP、NMPが挙げられる。
【0019】
図1において、プレス機構3が収容部13を介して吸発熱部11に応力を加えると、吸発熱部11を構成している固体冷媒115は収縮し、固体冷媒115の分子構造又は分子配列が変化する。固体冷媒115では、その分子構造又は分子配列の変化が相変化に相当する。固体冷媒115は、固体のまま相変化することによって発熱し、熱伝導部12の温度を上昇させる。これにより、熱伝導部12の延出部122は、収容部13外に存在する空気等と対流又は放射により熱交換して、空気を温めることができる。
また、プレス機構3が吸発熱部11に加えた応力を解放すると、吸発熱部11を構成している固体冷媒115は収縮した状態から膨張し、固体冷媒115の分子構造又は分子配列は相変化して元の形に戻る。固体冷媒は、相変化して元の形に戻ることによって吸熱し、熱伝導部12の温度を低下させる。これにより、熱伝導部12の延出部122は、収容部13外に存在する空気等と対流又は放射により熱交換して、空気を冷やすことができる。
【0020】
プレス機構3は、第1挟持体31と第2挟持体32との間に1つ以上のユニット本体1を挟み込んで固定している。例えば、プレス機構3は、複数のユニット本体1を固定した状態を維持しつつ、軸部33が軸方向に移動することによって、複数のユニット本体1の吸発熱部11(例えば、
図2参照)に応力を加えたり、加えた応力を解放したりする。これにより、複数のユニット本体1の各々において、延出部122と、収容部13の外側に存在する物質(例えば、空気)との間の熱交換が行われる。
なお、
図1では、3つ以上の熱伝導部12が1つの収容部13内に収容されて、1つのユニット本体1を構成していてもよい。例えば、
図1に示す全ての熱伝導部12が1つの収容部13内に配置されて、1つのユニット本体1を構成していてもよい。
【0021】
図3は、本発明の実施形態1に係る空調装置200において、空気152の流れと延出部122とを示す平面図である。
図4は、
図3に示す延出部122をA-A´線を通るY-Z平面で切断した断面図である。
図3及び
図4に示す矢印は、空気152の流れ(すなわち、気流)を示している。
図3に示すように、空調装置200は送風装置151(本発明の「流動機構」の一例)を備える。送風装置151は、空気導通路150に接続されており、空気導通路150内に空気152を送り込む。
図3及び
図4に示すように、延出部122は、例えば板状である。
延出部122は、板の側面122cが空気152の流動方向に対向し、かつ板の主面122aが空気152の流動方向と平行又はほぼ平行となるように配置されている。つまり、延出部122は、空気152の流動方向に沿って配置されている。なお、空気152の流動方向とは、空気152が流れる方向であり、
図3及び
図4ではY軸の矢印方向である。
【0022】
Z軸方向で隣り合う一方の延出部122と他方の延出部122との間には、隙間Gが設けられている。空気152は、延出部122間の隙間Gを流れる。また、この際に、空気152は、隙間Gに面している延出部122の主面122a等と対流又は放射により熱交換する。空気152の流動方向に沿って延出部122が配置されているため、空調装置200は、通気抵抗を抑えつつ、延出部122と空気152との間で効率的に熱交換することができ、冷風又は温風を高効率に得ることができる。
【0023】
以上説明したように、本発明の実施形態1に係る空調装置200は、熱交換ユニット100と、熱交換ユニット100によって熱交換される空気152が流動する空気導通路150と、空気152を空気導通路150内で流動させる送風装置151と、を備える。熱交換ユニット100は、弾性を有する吸発熱部11と、吸発熱部11と直接又は間接的に接触して、吸発熱部の熱を伝導する熱伝導部12と、吸発熱部11及び熱伝導部12を収容する収容部13と、収容部13に収容された吸発熱部11に応力を印加する動作と、応力を解放する動作とを行うプレス機構3と、を備える。吸発熱部11は、応力の印加と開放とに伴い相変化することによって吸熱又は発熱する吸発熱材料を有する。熱伝導部12は、収容部13から延出する延出部122を有する。空気導通路150内に延出部122が配置され、延出部122が空気152と熱交換を行う。
【0024】
これによれば、熱交換ユニット100は、吸発熱材料の相変化によって吸熱又は発熱する吸発熱部11を熱源として、収容部13外に存在する物質(例えば、空気)と熱交換することができる。熱交換ユニット100では、ヒータによる入熱ではなく、プレス機構3によるプレス荷重が入力エネルギーとなる。このため、空調装置200は、エネルギーの消費効率(COP:Coefficint Of Performance)を向上させることができる。また、空調装置200は、入熱用のヒータは不要であるため、小型化が可能である。
【0025】
<実施形態2>
図5及び
図6は、空気152の流動方向における延出部122の長さと、温度境界層153との関係を示す図である。
図5は延出部122の長さが長い場合を示し、
図6は延出部122の長さが短い場合を示している。
図5及び
図6に示すように、空気152の流動方向(例えば、Y軸方向)における延出部122の長さが長いと温度境界層153は厚く形成され、延出部122の長さが短いと温度境界層153は薄く形成される傾向がある。温度境界層153の内側は、その外側と比べて、空気152の流れが遅く、熱伝導性が低い傾向がある。延出部122から空気152への熱伝導性を考慮すると、温度境界層153の厚さは薄いことが好ましい。
【0026】
図7は、本発明の実施形態2に係る延出部122の構成例を示す平面図である。
図8は、
図7に示す延出部122をB-B´線を通るY-Z平面で切断した断面図である。
図7及び
図8に示すように、複数の熱伝導部12の各々において、延出部122は、空気152の流動方向(例えば、Y軸方向)における長さが短くなるように、複数の短冊部1221に分割されていてもよい。空気152の流動方向において、互いに隣り合う一方の短冊部1221と他方の短冊部1221との間には、空間部Sが設けられている。
延出部122を短冊状に分割することにより、温度境界層153(例えば、
図6参照)を薄く区切ることができる。これにより、延出部122は、対流による熱伝導性を高めることができ、熱交換性能を高めることができる。
【0027】
図9は、本発明の実施形態2の変形例に係る延出部122を示す断面図である。
図9に示すように、複数の熱伝導部12の各々において、延出部122は、複数の短冊部1221に分割されている。吸発熱部11(例えば、
図2参照)を挟んで向かい合う一方の熱伝導部12と他方の熱伝導部12は、一方の熱伝導部12と他方の熱伝導部12とが向かい合う方向(例えば、Z軸方向)において、短冊部1221の位置が互いにずれている。すなわち、短冊部1221は千鳥配置となっている。このような構成でも、対流による熱伝導性を高めることができ、熱交換性能を高めることができる。また、空気152がZ軸方向に流れることを抑制することができ、通気抵抗を低減することができる。
【0028】
<実施形態3>
図10は、本発明の実施形態3に係る延出部122の構成例を示す断面図である。なお、
図10をX3-X3´線を通るX-Y平面で切断した断面は、
図8に示した断面と同じ(ただし、符号Sは符号H1に置き換える)であるため、その図示を省略する。同様に、
図10をX4-X4´線を通るXーY平面で切断した断面は、
図4に示した断面と同じであるため、その図示を省略する。
【0029】
図10に示すように、延出部122には、複数の貫通孔H1が設けられていてもよい。これによれば、延出部122のうち、X3-X3´線と重なる領域では、貫通孔H1によって温度境界層153(例えば、
図5、
図6参照)を薄く区切ることができる。これにより、延出部122は、対流による熱伝導性を高めることができ、熱交換性能を高めることができる。また、延出部122のうち、X3-X3´線と重なる領域では、貫通孔H1が無いので、延出部122の強度低下を抑制することができる。これにより、延出部122の変形を抑制することができる。延出部122の変形を抑制しつつ、熱交換性を高めることができる。
【0030】
図11は、本発明の実施形態3の変形例に係る熱伝導部12A、12Bを示す平面図である。
図12は、本発明の実施形態3の変形例に係る延出部122の構成例を示す断面図である。この変形例では、吸発熱部11(例えば、
図2参照)を挟んで、
図11の左側に示す熱伝導部12A(本発明の「一方の熱伝導部」の一例)と、
図11の右側に示す熱伝導部12B(本発明の「他方の熱伝導部」の一例)とが向かい合って配置されている。熱伝導部12A、12Bは、Z軸方向に交互に積層されている。熱伝導部12A、12Bの積層体をX5-X5´線を通るY-Z平面で切断した断面が、
図12に示す断面図である。
【0031】
図11及び
図12に示すように、熱伝導部12Aの延出部122には貫通孔H1が設けられている。熱伝導部12Bの延出部122には貫通孔H2が設けられている。吸発熱部11を挟んで向かい合う一方の熱伝導部12と他方の熱伝導部12は、一方の熱伝導部12と他方の熱伝導部12とが向かい合う方向(例えば、Z軸方向)において、貫通孔H1、H2の位置が互いにずれている。このような構成でも、延出部122の変形を抑制しつつ、熱交換性を高めることができる。また、空気152がZ軸方向に流れることを抑制することができ、通気抵抗を低減することができる。
【0032】
<実施形態4>
図13は本発明の実施形態4に係る延出部122の構成例を示す断面図である。
図14は、本発明の実施形態4に係る延出部122と気流との関係を例示する図である。
図13に示すように、延出部122は、空気152の流動方向の下流側(
図13、
図14では、右側)に位置する第1フィン部(本発明の「第1部位」の一例)1225と、第1フィン部1225よりも上流側に位置する第2フィン部1226(本発明の「第2部位」の一例)とを有する。
【0033】
第1フィン部1225は、空気152の流れ(すなわち、気流)を空気導通路150(例えば、
図1参照)の中央側へ誘導する第1迎え角α1を有する。第2フィン部1226は、気流を空気導通路150の中央側へ誘導する第2迎え角α2を有する。第1迎え角α1は、第2迎え角α2よりも大きい(α1>α2)。例えば、延出部122の各フィン部は、下流側に近いほど、気流を空気導通路150の中央側へ誘導する迎え角が大きい。また、延出部の各フィン部のうち、空気導通路150の中央側に位置するフィン部の迎え角は、上流側から下流側まで0度である。
これによれば、
図14に示すように、下流に近づくに従って周辺側へ広がりがちな気流を中央側へ誘導して整流することができる。延出部122は、空気導通路150内の周辺側へ逸れていた気流を中央側に寄せて熱伝達することができるので、熱交換性を高めることができる。
なお、実施形態3の構成は、実施形態2又は実施形態3で示した延出部122に適用可能である。例えば、実施形態2に適用する場合は、
図13に示した第1フィン部1225、第2フィン部1226等の各フィン部を短冊部1221に置き換えればよい。実施形態3に適用する場合は、
図13に示した空間部Sを貫通孔H1又は貫通孔H2に置き換えればよい。
【0034】
<実施形態5>
図15は、本発明の実施形態5に係る延出部122の構成例を示す断面図である。
図15に示すように、延出部122は、第1フィン部1225よりも空気152の流動方向の上流側に位置する第3フィン部1227を有する。例えば、第3フィン部1227は、第1フィン部及び第2フィン部の上流側に位置する。第3フィン部1227は、空気152の流れを空気導通路150の周辺側へ誘導する第3迎え角α3を有する。例えば、延出部122の各フィン部は、空気152の流れと対峙する角度がランダム(無作為で任意)となっている。
これによれば、延出部122は、乱流と同様の微細な渦を強制的に形成することができ、気流をミキシングすることができる。これにより、延出部122は、気流中の熱輸送を促進することができる。また、延出部122は、その表面に形成される温度境界層153(例えば、
図5、
図6参照)を、微細な渦を強制的に形成してミキシングすることで破壊することができる。これにより、延出部122は、気流への熱伝達を促進することができ、気流との熱交換性を向上することができる。
【0035】
なお、
図15では、第3フィン部1227が第1フィン部1225及び第2フィン部1226の上流側に位置する場合を例示しているが、実施形態5はこれに限定されない。第3フィン部1227は、第1フィン部1225と第2フィン部1226との間に位置してもよい。つまり、第3フィン部1227は、第2フィン部1226の下流側に位置してもよい。また、第3フィン部1227は、第1フィン部1225の下流側に位置してもよい。
【0036】
<実施形態6>
図16は、本発明の実施形態6に係る空調装置200Aの構成例を示す模式図である。
図16に示すように、本発明の実施形態6に係る空調装置200Aは、複数の熱交換ユニット100(本発明の「第1熱交換装置」の一例)と、複数の熱交換ユニット100´(本発明の「第2熱交換装置」の一例)とを備える。
例えば、
図16に示す熱交換ユニット100は、
図13に示したユニット本体1を有する。
図13に示したユニット本体1は、下流に近づくに従って周辺側へ広がりがちな気流を中央側へ誘導して整流するフィン部を有する。
図16に示す熱交換ユニット100´は、
図15に示したユニット本体1を有する。
図15に示したユニット本体1は、空気152の流れと対峙する角度がランダムであるフィン部を有する。
【0037】
図16に示すように、空調装置200Aでは、空気152の流動方向において、熱交換ユニット100、100´が交互に並んで配置されている。これによれば、空調装置200Aは、気流を中央側へ寄せる効果と気流をミキシングする効果とを得ることができ、熱交換性を向上させることが可能である。
また、空調装置200Aでは、熱交換ユニット100、100´を、気流と対向する方向に移動させてもよい。これにより、熱交換ユニット100、100´に対する気流の相対速度を高めることができ、延出部122の表面に形成される温度境界層を薄くすることができるので、熱交換性をさらに向上させることが可能である
【0038】
<実施形態7>
図17は、本発明の実施形態7に係る空調装置200Bの構成例を示す模式図である。
図17に示すように、空調装置200Bは、1つ又は複数の熱交換ユニット100と、冷風発生部201と、温風発生部202とを備える。冷風発生部201は、熱交換ユニット100が吸熱することによって空気152が冷やされて冷風が発生する冷風流路1501と、冷風流路1501に空気152を導入するための導入口P11に接続された送風装置1511と、を有する。温風発生部202は、熱交換ユニット100が発熱することによって空気152が温められて温風が発生する温風流路1502と、温風流路1502に空気152を導入するための導入口P12に接続された送風装置1512と、を有する。
【0039】
空調装置200Bの空気導通路150は、冷風流路1501と温風流路1502とで構成されている。空調装置200Bの送風装置151は、冷風発生部201の送風装置1511と、温風発生部202の送風装置1512とで構成されている。
空調装置200Bでは、熱交換ユニット100の延出部122(例えば、
図2参照)が冷風発生部201の冷風流路1501内と、温風発生部202の温風流路1502内とを交互に移動する。熱交換ユニット100の移動は、例えば、ベルトコンベア等の移動機構が行う。
【0040】
熱交換ユニット100の延出部122が冷風流路1501を移動するときは、プレス機構3(例えば、
図1参照)が応力を印加(又は、応力を解放)する。これにより、吸発熱部11(例えば、
図2参照)が吸熱し、冷風流路1501内の空気152が延出部122で冷やされて冷風が発生する。冷風流路1501内で発生した冷風は、冷風流路1501の排出口P21から排出される。また、熱交換ユニット100の延出部122が温風流路1502を移動するときは、プレス機構3が応力を解放(または、応力を印加)する。これにより、吸発熱部11(例えば、
図2参照)が発熱し、温風流路1502内の空気152が延出部122で温められて温風が発生する。温風流路1502内で発生した温風は、温風流路1502の排出口P22から排出される。
空調装置200Bは、熱交換ユニット100を備えるため、小型化が可能であり、エネルギーの消費効率(COP)を向上させることができる。また、冷風発生部201と温風発生部202との間で、空気152の流入口と排出口とを分けることができるので、レイアウトの自由度が高い。
【0041】
<実施形態8>
図18は、本発明の実施形態8に係る空調装置200Cの構成例を示す模式図である。
図18に示す空調装置200Cにおいて、
図17に示した空調装置200Bとの違いは、冷風発生部201と温風発生部202との間で、送風装置151と空気152の導入口P1とが共有されて点である。空調装置200Cは、送風装置151により送風された空気152を冷風発生部201と温風発生部202とに分岐させる分岐路1503を備える。空調装置200Cの空気導通路150は、冷風流路1501と温風流路1502と分岐路1503とで構成されている。
【0042】
このような構成であっても、空調装置200Cは、熱交換ユニット100を備えるため、小型化が可能であり、エネルギーの消費効率(COP)を向上させることができる。また、冷風発生部201と温風発生部202との間で、空気152の排出口を分けることができるので、レイアウトの自由度が高い。また、冷風発生部201と温風発生部202との間で送風装置151が共用されるため、空調装置200Cは、部品点数の削減が可能であり、さらなる小型化が可能である。
【0043】
<実施形態9>
図19は、本発明の実施形態9に係る空調装置200Dの構成例を示す模式図である。
図19に示す空調装置200Dにおいて、
図18に示した空調装置200Cとの違いは、冷風発生部201と温風発生部202との間で、空気152の排出口P2が共有されて点である。空調装置200Dは、冷風発生部201で発生した冷風と温風発生部202で発生した温風とを混合させる合流路1504を備える。合流路1504の排出口P2から、冷風と温風とが混合された空気が排出される。空調装置200Cの空気導通路150は、冷風流路1501と温風流路1502と分岐路1503と合流路1504とで構成されている。
このような構成であっても、空調装置200Dは、熱交換ユニット100を備えるため、小型化が可能であり、エネルギーの消費効率(COP)を向上させることができる。また、冷風発生部201と温風発生部202との間で排出口P2が共用されるため、空調装置200Dは、部品点数の削減が可能であり、さらなる小型化が可能である。
【0044】
図20は、本発明の実施形態9に係る空調装置200Dの具体例1を示す図である。
図20に示すように、空調装置200Dのでは、半円状に配置された冷風流路1501の両端と、半円状に配置された温風流路1502の両端とそれぞれ接続して、環状(例えば、円状)の空気導通路150を構成していてもよい。円の右側が冷風流路1501であり、円の左側が温風流路1502である。
空調装置200Dにおいて、複数の熱交換ユニット100は、互いに等間隔に配置されており、少なくとも延出部122(例えば、
図2参照)が空気導通路150内に配置された状態で、時計回り又は反時計回りに移動する。これにより、延出部122は、冷風流路1501内と温風流路1502内とを交互に移動する。
【0045】
熱交換ユニット100の吸発熱部11(例えば、
図2参照)がGMS等のナノ多孔質体を含む場合、熱交換ユニット100のプレス機構3(例えば、
図1参照)は、延出部122が冷風流路1501に入った直後からプレスを開始し、冷風流路1501を出る直前まで、吸発熱部11に徐々に応力を加え続ける。これにより、冷風流路1501内で冷風が発生する。また、プレス機構3は、延出部122が温風流路1502に入った直後に応力を解放する。これにより、温風流路1502内で温風が発生する。
【0046】
また、延出部122は、気流と同じ方向(すなわち、順方向)へ移動する場合よりも、対向する方向(すなわち、逆方向)へ移動する場合の方が、熱交換を効率的に行うことができる。このため、
図20に示す空調装置200Dにおいて、熱交換ユニット100は、暖房よりも冷房を優先する冷房優先時は反時計回りに移動する。延出部122の空気導通路150における移動方向は、冷風流路1051内では空気152の流動方向と対向する方向となり、温風流路1502内では空気152の流動方向と同じ方向となる。
【0047】
また、冷房よりも暖房を優先する暖房優先時は時計回りに移動する。冷風流路1501内では空気152の流動方向と同じ方向となり、温風流路1502内では空気152の流動方向と対向する方向となる。
図20では、暖房優先時を例示している。空調装置200Dは、熱交換ユニット100の回転移動の方向と、回転移動の回転数とを制御することにより、熱交換量を調整することが可能である。
【0048】
図21は、本発明の実施形態9に係る空調装置200Dの具体例2を示す図である。
図22は、空調装置200Dにおける熱交換ユニット100の公転軸と自転軸とを例示する断面図である。
図21に示すように、熱交換ユニット100は、空気の流動方向に対して延出部122が任意の角度を向くように、
図22に示す自転軸を中心に回転(すなわち、自転)してもよい。例えば、熱交換ユニット100が、
図13に示した構造を有する場合、気流を空気導通路の中央側へ誘導する第1フィン部1225が常に下流側となるように、熱交換ユニット100は自転する。
【0049】
熱交換ユニット100の自転は、熱交換ユニット100の公転軸を中心とする回転移動と並行して行ってもよいし、熱交換ユニット100が空気の導入口P1及び排出口P2の各位置に到達したときのみ行ってもよい。熱交換ユニット100の自転は、例えば、熱交換ユニット100に固定された軸部と、この軸部を回転させるモータと、軸部の回転角度等を検出するエンコーダ等を有する回転装置が行う。
このような構成であれば、空気の流動方向に対応して延出部122が向きを変えることができ、延出部122から空気への熱伝導性を高く保持することができる。空気導通路150が種々の形状を採る場合でも、その形状に順応して、熱交換性を向上させることが可能である。
【0050】
図23は、本発明の実施形態9に係る空調装置200Dの具体例3を示す図である。
図23に示すように、空調装置200Dの空気導通路150は、環状であり、かつ、冷風流路1501と温風流路1502とがそれぞれ直線状である空気導通路であってもよい。このような構成であっても、空調装置200Dは、熱交換ユニット100の回転移動の方向と、回転移動の回転数とを制御することにより、熱交換量を調整することが可能である。なお、
図23では、冷房優先時を例示している。
【0051】
<適用例>
上記の熱交換ユニット100、空調装置200、200A、200B、200C、200Dは、例えば車両等に搭載される空調装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…ユニット本体、3…プレス機構、11…吸発熱部、12、12A、12B…熱伝導部、13…収容部、31…第1挟持体、32…第2挟持体、33…軸部、100…熱交換ユニット、115…固体冷媒、122…延出部、122a…主面、122c…側面、150…空気導通路、151…送風装置、152…空気、153…温度境界層、200、200A、200B、200C、200D…空調装置、201…冷風発生部、202…温風発生部、1221…短冊部、1225…第1フィン部、1226…第2フィン部、1227…第3フィン部、1501…冷風流路、1502…温風流路、1503…分岐路、1504…合流路、1511…送風装置、1512…送風装置、COP…消費効率、G…隙間、H1、H2…貫通孔、P1、P11、P12…導入口、P2、P21、P22…排出口、S…空間部、α1…第1迎え角、α2…第2迎え角、α3…第3迎え角