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特開2022-189166情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189166
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A61B5/11 200
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097584
(22)【出願日】2021-06-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】相原 岳浩
(72)【発明者】
【氏名】平川 菜央
(72)【発明者】
【氏名】森 洋人
(72)【発明者】
【氏名】野村 泰弘
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB35
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】被検体の経時的な運動状態の変化を、互いに相関性を有する複数の運動状態の関係に応じて適切に評価する。
【解決手段】情報処理装置20において、第1導出部214が、第1期間において取得された、被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、第1期間において指定された第1指標に対する第2指標を示す第1推定データを導出し、第2導出部215が、第2期間において取得された第1指標を入力とし、第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、第2期間において指定された第1指標に対する第2指標を示す第2推定データを導出し、データ提示制御部216が、第1推定データと、第2推定データと、を互いに比較可能に提示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1期間において取得された、前記被検体の第1運動情報とは異なり、かつ、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出手段と、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2期間において取得された前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段により導出された前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2導出手段により導出された前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示部に提示させるデータ提示制御手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第1モデルは、前記第1期間において測定された前記第1指標と、前記第1期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第1回帰式であり、
前記第2モデルは、前記第2期間において測定された前記第1指標と、前記第2期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第2回帰式である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標と、前記第2モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標とは、前記被検体に取り付けられたセンサ部及び位置情報取得部の、前記移動運動中の出力に基づいて取得したデータである、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データ提示制御手段は、前記第1モデルを用いて導出した、前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標の推定値を、前記第1推定データとして提示させ、前記第2モデルを用いて導出した、前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標の推定値を、前記第2推定データとして提示させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ提示制御手段は、前記第1モデルを用いて導出した、前記第1指標がある範囲にあるときの、それぞれの前記第1指標の値に対する前記第1期間での前記第2指標の推定値を表すグラフを、前記第1推定データとして提示させ、前記第2モデルを用いて導出した、前記第1指標がある範囲にあるときの、それぞれの前記第1指標の値に対する前記第2期間での前記第2指標の推定値を表すグラフを、前記第2推定データとして提示させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記データ提示制御手段は、前記第1推定データ及び前記第2推定データを互いに比較可能に提示することに加え、前記第1推定データに対する、前記第1指標と前記第2指標との関係を表した運動データのばらつきの範囲である第1ばらつき範囲、及び、前記第2推定データに対する前記運動データのばらつきの範囲である第2ばらつき範囲の少なくとも一方を提示させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1指標は、前記移動運動の速度であり、
前記第2指標は、前記速度と相関性を有する、ピッチ、ストライド、ストライド身長比、上下動、上下動身長比、左右動、前後動、接地時間、遊脚時間、接地時間率、遊脚時間率、減速量、沈み込み量、沈み込み量身長比、沈み込み時間、ブレーキ時間、推進時間、接地衝撃、蹴り出し加速度、蹴り出し時間、骨盤回転量、スティフネス、スティフネス体重比、接地角度、蹴り出し角度、総力積、推進力積、減速力積、上下力積、左右力積、左右方向衝撃、体幹後傾量、骨盤落ち込み量、骨盤引き上げ量、接地後の骨盤回転タイミング、前傾角、及び、衝撃ピーク傾きのいずれかである、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記データ提示制御手段の制御に基づいて、前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示する提示部を、更に備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置における情報処理方法であって、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出ステップと、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出ステップと、
前記第1導出ステップで導出された前記第1推定データと、前記第2導出ステップで導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置のコンピュータを、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出部、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出部、
前記第1導出部により導出された前記第1推定データと、前記第2導出部により導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示制御部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体のランニングフォームを評価する装置が開示されている(例えば、特許文献1)。この評価装置では、複数のテストランナーの走行に関する情報から抽出された身体動作情報と、複数のテストランナーの各々の走行に対して専門家が付与した評価との相関関係を表す演算式に、被験者の身体動作情報を適用することによって、被験者のランニングフォームの得点が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-34479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、人間のランニングフォームといった被検体の運動状態は、個体差があるため、専門家が付与した評価が個々にとって最適なものであるとは必ずしも言い切れない。このため、従来の装置では、被検体の経時的な運動状態の変化を考慮した評価を得ることはできない。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、被検体の経時的な運動状態の変化を、互いに相関性を有する複数の運動状態の関係に応じて適切に評価することができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置の一態様は、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1期間において取得された、前記被検体の第1運動情報とは異なり、かつ、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出手段と、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2期間において取得された前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段により導出された前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2導出手段により導出された前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示部に提示させるデータ提示制御手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被検体の経時的な運動状態の変化を、互いに相関性を有する複数の運動状態の関係に応じて適切に評価することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】運動情報の指標の例を示したグラフであり、(a)が1日目の速度及びピッチを示したグラフであり、(b)が2日目の速度及びピッチを示したグラフであり、(c)が1日目の速度及びストライドを示したグラフであり、(d)が2日目の速度及びストライドを示したグラフである。
図4】第2指標の第1指標依存性の例を示したグラフであり、(a)がピッチの速度依存性を示したグラフであり、(b)がストライドの速度依存性を示したグラフである。
図5】1日目のピッチの速度依存性を示したグラフである。
図6】第1推定データと第2推定データのデータ提示例である。
図7】他のデータ提示例である。
図8】他のデータ提示例である。
図9】他のデータ提示例である。
図10】条件が異なる各期間のピッチの速度依存性を示したグラフである。
図11】条件が異なる各期間のピッチの速度依存性を示したグラフである。
図12】運動データ測定処理のフローチャートである。
図13】データ提示処理のフローチャートである。
図14】実施の形態2に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。本実施の形態1に係る情報処理システム1は、測定対象の生物(被検者)の経時的な運動状態の変化を表すデータを提示するシステムである。本実施の形態1では、人のランニング等の移動運動の場合について説明する。
【0010】
図1に示すように、情報処理システム1は、被検体の運動情報を表す指標を含む運動データを生成し出力するセンサ装置10と、センサ装置10が出力する運動データに基づいて、指標の1つを入力として他の指標を出力とするモデルを生成し、当該モデルを用いて指標の推定データを導出して提示する情報処理装置20と、を備える。
【0011】
センサ装置10は、被検者の体に装着される装置であり、例えば、被検体の体幹に沿った腰付近に装着する小型のウェアラブル機器である。センサ装置10は、図1に示すように、制御部110と、センサ部120と、位置情報取得部130と、記憶部140と、通信部150と、操作部160と、を備える。
【0012】
制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置とRAM(Random Access Memory)で構成される。制御部110は、記憶部140に記憶されているプログラムを実行することによって、予め定めたタイミングでセンサ部120及び位置情報取得部130の出力を取得し、これらに基づいて、いずれも運動情報を表す複数の指標を算出する処理を実行する。
【0013】
センサ部120は、センサ装置10の動きを検出する任意のモーションセンサであり、例えば、互いに直交する3軸に沿った直線方向に生じる加速度、互いに直交する3軸を軸とする回転方向に生じる角速度、又は、地磁気を検出する。本実施の形態では、センサ部120が、互いに直交するx軸、y軸及びz軸に沿った直線方向における加速度ベクトルの各成分(a,a,a)を検出する3軸加速度センサである場合について説明する。
【0014】
センサ部120は、被検体に対して測定軸が固定されている。例えば、センサ部120において、上下方向に延伸する軸をx軸とし、下向き(地面に向かう方向)の加速度成分を+の向きと規定する。ここで、x軸は概ね被検体の体軸の延伸方向に一致する。また、被検体に対して、左右方向に延伸する軸をy軸とし、左手方向の加速度成分を+の向きと規定する。また、被検体に対して、前後方向に延伸する軸をz軸とし、前方向(進行方向)の加速度成分を+の向きと規定する。このように測定軸が被検体に対して固定された例においては、センサ部120は、被検体の上下方向(x軸方向)、左右方向(y軸方向)、及び、前後方向(z軸方向)の3方向の加速度のデータを取得することができる。センサ部120により取得された加速度データは、制御部110により生成される時間データに関連付けられて、記憶部140に記憶される。
【0015】
位置情報取得部130は、センサ装置10の現在位置を取得する機能を有し、例えば、GPS(Global Positioning System)装置で構成される。本実施の形態では、位置情報取得部130がGPS装置である場合について説明する。位置情報取得部130は、複数のGPS衛星からの信号を受信する受信機を備え、受信信号に基づいて位置情報取得部130が固定された被検体の現在位置を取得する。位置情報取得部130により取得された位置情報データは、制御部110により生成される時間データに関連付けられて、記憶部140に記憶される。
【0016】
制御部110がセンサ部120及び位置情報取得部130の出力に基づいて算出する複数の指標には、例えば、被検者がウォーキング又はランニングしているときの被検体の速度、ピッチ、ストライド、ストライド身長比、上下動、上下動身長比、左右動、前後動、接地時間、遊脚時間、接地時間率、遊脚時間率、減速量、沈み込み量、沈み込み量身長比、沈み込み時間、ブレーキ時間、推進時間、接地衝撃、蹴り出し加速度、蹴り出し時間、骨盤回転量、スティフネス、スティフネス体重比、接地角度、蹴り出し角度、総力積、推進力積、減速力積、上下力積、左右力積、左右方向衝撃、体幹後傾量、骨盤落ち込み量、骨盤引き上げ量、接地後の骨盤回転タイミング、前傾角、及び、衝撃ピーク傾き等が含まれる。
【0017】
制御部110がセンサ部120及び位置情報取得部130の出力に基づいて各指標を算出する手法は、従来の任意の手法でよい。例えば、特許第6648439号公報、特許第6711433号公報又は特許第5849092号公報等に記載されている公知の手法が採用可能である。
【0018】
例えば、制御部110は、位置情報取得部130が出力する位置データの時間変化から速度を算出することができる。また、制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの上下方向成分aの波形の周期であるランニング周期を求め、当該ランニング周期から単位時間当たりの歩数であるピッチを算出することができる。ストライドは、一歩当たりの歩幅であり、制御部110は、1分間当たりの速度をピッチで除算することによりストライドを求めることができる。制御部110は、ストライド身長比を、ストライドを被検体の身長で除算することにより求めることができる。
【0019】
上下動は、一方の足の接地から他方の足の接地までのポジションの最高点と最低点の差である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの上下方向成分aを積分することで最高点と最低点のポジションを算出することができ、最高点と最低点のポジションの差である上下動を算出することができる。制御部110は、上下動身長比を、上下動を被検体の身長で除算することにより求めることができる。本明細書において、ポジションとは、被検体におけるセンサ装置10の取付位置であり、例えば、センサ装置10が取り付けられた腰の位置である。
【0020】
左右動は、一方の足の接地から他方の足の接地までのポジションの左右の変動幅である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの左右方向成分aを積分することで最左点と最右点のポジションを算出することができ、最左点と最右点のポジションの差である左右動を算出することができる。前後動は、一方の足の接地から他方の足の接地までの間におけるポジションの前後方向の変動幅である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの前後方向成分aを積分し、平均速度での移動距離を減算することで前後動を算出することができる。
【0021】
接地時間は、一方の足が接地してから当該足が離地するまでの時間であり、遊脚時間は、一方の足が離地してから当該一方の足が接地するまでの時間である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの上下方向成分aに基づいて接地と離地のタイミングを特定することにより、接地時間及び遊脚時間を算出することができる。制御部110は、接地時間率を、接地時間/(接地時間+遊脚時間)により求めることができ、遊脚時間率を、遊脚時間/(接地時間+遊脚時間)により求めることができる。
【0022】
減速量は、一方の足が接地している区間(一方の足が接地してから当該一方の足が離地するまでの区間。以下「接地区間」という)における前後方向の速度の低下量である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの後退方向の成分aを、接地区間分積分することにより減速量を求めることができる。
【0023】
沈み込み量は、一方の足の接地時のポジションとその後の最低点でのポジション(腰が最も低い位置にあるときのポジション)との差である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの上下方向成分aを、接地時からポジションが最低点に位置するタイミングまでを積分することにより沈み込み量を求めることができる。制御部110は、沈み込み量を被検体の身長で除算することにより、沈み込み量身長比を求めることができる。制御部110は、一方の足の接地時からポジションが最低点に位置するタイミングまでの時間を沈み込み時間として求めることができる。
【0024】
ブレーキ時間は、接地時から加速度ベクトルの前後方向成分aが推進方向に変わるまでの時間である。制御部110は、接地のタイミングと、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの前後方向成分aが推進方向に変わるタイミングと、を特定することにより、ブレーキ時間を求めることができる。また、制御部110は、加速度ベクトルの前後方向成分aが推進方向に変わるタイミングから離地時までの時間を、推進時間として求めることができる。
【0025】
接地衝撃は、接地したときの衝撃の量であり衝撃ピーク量とも呼ばれる。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの接地した直後の各成分に基づいて、加速度の大きさ(ノルム)の最大値を接地衝撃として算出することができる。加速度の大きさAは、以下の式(1)で表される。
【0026】
【数1】
【0027】
蹴り出し加速度は、推進時の加速度の大きさであり、制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの前後方向成分aの大きさにより蹴り出し加速度を求めることができる。蹴り出し時間は、接地期間中の推進方向の加速度が発生している時間である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの前後方向成分aが発生している時間を計測して蹴り出し時間を求めることができる。あるいは、制御部110は、センサデータによって示される加速度ベクトルの上下方向成分aに基づいて、ポジションが最低点に位置するタイミングから一方の足の離地時までの時間を計測して、蹴り出し時間を求めてもよい。
【0028】
骨盤回転量は、一方の足が接地してから離地して再度、当該一方の足が接地するまでの区間(以下「2歩周期の区間」という)に、若しくは、一方の足が接地してから続けて他方の足が接地するまでの区間(以下「1歩周期の区間」という)に、腰が回転した量である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの左右方向成分a及び前後方向成分aで表される回転速度に基づいて、2歩周期の区間又は1歩周期の区間における骨盤回転量を求めることができる。スティフネスは、足をばねに見立てた時のばね定数であり、制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの上下方向成分aの変化に基づいて、スティフネスを求めることができる。また、制御部110は、スティフネスを被検体の体重で除算することにより、スティフネス体重比を、求めることができる。
【0029】
接地角度は、一方の足が接地した時の速度ベクトルと水平面又は地面との角度であり、蹴り出し角度は、離地した時の速度ベクトルと水平面又は地面との角度である。制御部110は、接地角度及び蹴り出し角度を、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度センサの3軸に沿った方向の各々の成分に基づいて、算出することができる。
【0030】
総力積、推進力積、減速力積、上下力積、及び、左右力積は、全体の又は各方向における力積である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される、加速度センサの3軸に沿った各方向における加速度ベクトルの各成分に基づいて、各力積を算出することができる。
【0031】
より詳細には、制御部110は、次式(2)に示すように、加速度ベクトルの各方向の成分(a,a,a)のベクトル和の大きさを2歩周期の区間で積分することにより総力積Iを算出することができる。
【0032】
【数2】
【0033】
同様に、制御部110は、加速度ベクトルの前後方向成分aが推進方向に変わったタイミングから離地時までの区間について、前後方向成分aを積分することにより推進力積を算出することができる。また、制御部110は、接地時から前後方向成分aが推進方向に変わるタイミングまでの区間について、前後方向成分aを積分することにより減速力積を算出することができる。また、制御部110は、加速度ベクトルの上下方向成分aを1歩周期の区間について積分することにより上下力積を算出し、左右方向成分aを1歩周期の区間について積分することにより左右力積を算出することができる。
【0034】
左右方向衝撃は、2歩周期の区間に被検体が受ける左右方向の衝撃の量である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータに基づいて、2歩周期の区間における加速度ベクトルの左右方向成分aの最大変化量を、左右方向衝撃として算出することができる。体幹後傾量は、接地した後の腰の後傾方向の角度の最大値である。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの各方向の成分に基づいて、体幹後傾量を算出することができる。
【0035】
骨盤落ち込み量は、接地衝撃に対して骨盤を水平に支えきれず生じる傾きの量である。制御部110は、一方の足の接地から離地までの接地区間において、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの各方向の成分に基づいて、接地時の角度と立脚側最大挙上角との変化量から骨盤落ち込み量を算出することができる。骨盤引き上げ量は、正面から骨盤を見た時に,足の接地の瞬間を起点として最大どのくらい骨盤が回転したかを示す角度である。制御部110は、立脚側最大挙上時から次の接地までの区間において、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの各方向の成分に基づいて、接地時の角度と遊脚側最大挙上角との変化量から骨盤引き上げ量を算出することができる。
【0036】
接地後の骨盤回転タイミングは、骨盤ローテーションの動きの特徴として、接地脚側に骨盤を前に振り出すような動きがいつ起きているかということを 割合で示したものである。制御部110は、接地から次接地の時間の半分の時間幅で接地の前後を検索し、 最も腰が回転した時から接地までの時間を接地から次接地までの時間で除した割合(%)を、接地後の骨盤回転タイミングとして算出することができる。
【0037】
前傾角は、センサ装置10の鉛直方向に対する進行方向の傾斜角度を表すものである。制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータによって示される加速度ベクトルの上下方向の成分a及び前後方向の成分aに基づいて、鉛直方向に対する進行方向の傾斜角度を2歩周期の区間で平均した値を、前傾角として算出することができる。また、制御部110は、一方の足の接地タイミング、一方の足の離地タイミング、あるいはポジションが最低点になったタイミング等、特定のタイミングでの前傾角を算出することもできる。
【0038】
衝撃ピーク傾きは接地時の足への負担を表すものである。制御部110は、前述の接地衝撃を、接地時から接地衝撃が最大となる時までの時間で除算することにより、衝撃ピーク傾きを算出することができる。あるいは、制御部110は、接地衝撃を、接地時から接地衝撃が最大となる時までの時間で除算した値を、逆三角関数(例えば逆正接関数:Arctangent)によって角度のパラメータに換算し、換算した角度のパラメータを衝撃ピーク傾きとして算出してもよい。
【0039】
記憶部140は、大容量の記憶装置であり、制御部110が算出した運動情報を示す指標を記憶する。通信部150は無線LAN(Local Area Network)や近距離無線通信等の無線通信(例えばBluetooth(登録商標) Low Energy:BLE)やUSB(Universal Serial Bus)等の有線通信を利用して、情報処理装置20とデータを送受信する機能を有し、情報処理装置20に対して、記憶部140に記憶している指標としての運動データを送信する。通信方法は、従来の任意の方法でよい。通信部150は、センサ装置10が計測を完了した後に、記憶部140に記憶されている運動データをまとめて送付してもよい。あるいは、通信部150は、センサ部120による計測中の予め定めたタイミングで、記憶部140に記憶されている運動データを送信してもよい。
【0040】
操作部160は操作者の操作を受け付け、制御部110に出力する。操作部160は、例えば、入力ボタン又はタッチパネルで構成されてもよい。
【0041】
情報処理装置20は、図1図2に示すように、制御部210と、記憶部240と、通信部250と、表示部260と、操作部270と、を備える。情報処理装置20は任意の情報端末でよく、例えば、スマートフォンである。図1は、情報処理装置20のハードウェア構成を示しており、図2は、情報処理装置20の機能構成を示している。
【0042】
制御部210は、例えばCPU等の演算処理装置とRAMで構成される。制御部210は、記憶部240に記憶されているプログラムを実行することによって、図2に示すように、運動データ取得部211、モデル生成部212、パラメータ指定部213、第1導出部214、第2導出部215、データ提示制御部216、として機能する。情報処理装置20がスマートフォンである場合は、予めインストールされたアプリケーションを実行することにより、制御部210が図2に示す各機能部として機能する。
【0043】
記憶部240は、大容量の記憶装置であり、制御部210の運動データ取得部211が取得した運動データ241と、制御部210のモデル生成部212が生成した期間別モデル242と、を記憶する。通信部250は無線LANや近距離無線通信(例えばBLE)等の無線通信やUSB等の有線通信を利用して、センサ装置10と通信する機能を有し、センサ装置10の通信部150が送信した運動データを受信する。
【0044】
表示部260は、操作画面を表示し、また、制御部210が生成した指標の推定データを含む各種データを提示する。表示部260は任意の情報表示装置からなり、例えばLCD(Liquid crystal display)で構成される。操作部270は操作画面に対する操作者の操作を受け付け、制御部210に出力する。表示部260と操作部270は、一体化されていてもよく、例えばタッチパネルで構成されてもよい。
【0045】
制御部210の運動データ取得部211は、通信部250がセンサ装置10の通信部150から受信した運動データのうち、互いに同じ距離において得られた各運動データを互いに対応づけることによって、運動データ241を取得し、取得した運動データ241を記憶部240に記憶する。受信した運動データは、前述したように、センサ装置10のセンサ部120及び位置情報取得部130の出力に基づいて制御部110によって算出された被検体の運動情報を示す指標である。運動情報を示す指標は、例えば、速度、ピッチ、ストライド、ストライド身長比、上下動、上下動身長比、左右動、前後動、接地時間、遊脚時間、接地時間率、遊脚時間率、減速量、沈み込み量、沈み込み量身長比、沈み込み時間、ブレーキ時間、推進時間、接地衝撃、蹴り出し加速度、蹴り出し時間、骨盤回転量、スティフネス、スティフネス体重比、接地角度、蹴り出し角度、総力積、推進力積、減速力積、上下力積、左右力積、左右方向衝撃、体幹後傾量、骨盤落ち込み量、骨盤引き上げ量、接地後の骨盤回転タイミング、前傾角、及び、衝撃ピーク傾き等である。
【0046】
制御部210のモデル生成部212は、記憶部240に記憶されている運動データ241に基づいて、予め設定した期間毎のモデルである期間別モデル242を後述するようにして生成し、記憶部240に記憶する。期間別モデル242は、任意の期間における前述した複数の指標のうちの第1指標を入力とし、複数の指標のうちの第2指標を出力とするモデルである。第1期間について生成した期間別モデル242を第1モデルと呼び、第2期間について生成した期間別モデル242を第2モデルと呼ぶ。ここで、第1指標と第2指標は、互いに相関性を有し、運動データ241から任意に選択される。
【0047】
ここで、モデル生成部212が期間別モデル242を生成する期間は、日時以外の条件(被検体の疲労状態に係る条件、被検体の装着物に係る条件、被検体の走行時の気候に係る条件(これらの条件については後述する)、被検体が走行したコース)が互いに同じで被検体が運動した場合の、日時が互いに異なる期間でもよく、その場合には、日時のみが互いに異なる期間でもよい。あるいは、期間は、日時以外の条件に拘わらずに、日時が互いに異なる期間でもよい。あるいは、期間は、多様な条件下で被検体が運動した場合の、特定の条件下で運動した期間であってもよい。各期間に対応する多様な条件には、例えば、被検体が運動したときの疲労状態、被検体が運動したときの装着物、被検体が運動したときの気候、被検体が運動した場所の標高、被検体が運動(走行)したコースの路面状態、又は、被検体が運動(走行)したコースの路面傾斜に係る条件が含まれる。なお、期間の長さは任意であり、1日でもよく複数日でもよい。各期間で長さが互いに異なっていてもよい。
【0048】
被検体が疲労状態であるか非疲労状態であるかを条件にする場合は、疲労状態は、生体情報又は運動に係る特定の指標の値により判別してもよい。例えば、ランニング時の接地時間は、疲労状態に依存するため、接地時間が予め定められた閾値を超えるか否かで、疲労状態であるか非疲労状態であるかを判別してもよい。また、その時点までの走行距離又はペース、あるいは、心拍数も疲労状態に影響を与えるため、これらの指標を用いて疲労状態であるか非疲労状態であるかを判別してもよい。
【0049】
被検体が装着する装着物に係る条件は、例えば、シューズ、ウェア、あるいは、ウェストポーチ又はリュックサック等の装着型かばんの有無又は種類である。気候に係る条件は、例えば、気温、湿度、気圧、風向、風速又は雨量に係る条件であって、気温、湿度及び雨量のパラメータに係る条件は、各パラメータが、予め定められた、対応する互いに異なる複数の閾値範囲(例えばそれぞれ、低温度域、中温度域、高温度域、低湿度域、中湿度域、高湿度域、低雨量域(値0を含む)、中雨量域、高雨量領域)のいずれにあるかに基づく条件である。また、風向及び風速に係る条件はそれぞれ、風向きが被検体に対して向かい風及び追い風のいずれであるかに基づく条件であり、風速が予め定められた互いに異なる複数の閾値範囲(例えば、低速域、中速域、高速域)のいずれにあるかに基づく条件である。標高に係る条件は、運動した土地の標高又は気圧で表される条件であって、標高又は気圧が予め定められた互いに異なる複数の閾値範囲(例えばそれぞれ、低標高域、中標高域、高標高域、低気圧域、中気圧域、高気圧域)のいずれにあるかに基づく条件である。路面状態に係る条件は、例えば、路面がアスファルト、ダート、芝、ウェット又はドライのいずれかの状態にあるという条件である。路面傾斜に係る条件は、例えば、登坂又は降坂であること、又は、路面の傾斜角が予め定められた閾値範囲内であるという条件である。
【0050】
異なる条件下での各期間の運動データ取得時には、運動データ取得部211は、条件を判別するためのセンサデータを取得してもよい。例えば、各期間の気候に係る条件が異なる場合には、センサ装置10のセンサ部120が、温度センサ、湿度センサ、方位センサ、気圧センサ又は風速計を含み、運動データ取得部211がこれらのセンサデータに基づいて条件を分類して運動データを取得してもよい。あるいは、運動データ取得部211は、位置情報データに基づいて、外部サーバから気候情報、標高情報、路面状態又は路面傾斜の情報を取得して、条件を判別してもよい。あるいは、被検者又は操作者の入力に基づいて、運動データ取得部211は条件を判別してもよい。
【0051】
図3は、条件が同じ場合の1日目と2日目の運動情報を示す指標の例を示したものである。ここで、条件が同じ場合とは、例えば、上述した疲労状態、装着物、気候、標高、路面状態、又は、路面傾斜に係る条件のうち、少なくともいずれか1つの条件が同じ場合を含む。図3(a)は、1日目の距離に対する速度及びピッチを表したグラフであり、(b)は、2日目の距離に対する速度及びピッチを表したグラフであり、(c)は、1日目の距離に対する速度及びストライドを表したグラフであり、(d)は、2日目の距離に対する速度及びストライドを表したグラフである。ここで、ピッチは1分間当たりの歩数であり、ストライドは、歩幅である。
【0052】
図3(a)に示すように、1日目は、前半と後半とでピッチが異なっており、後半の方が、ピッチが高くなっている。それに対し2日目は、図3(b)に示すように、最初から最後まで概ね一定のピッチを保っている。
【0053】
この事実のみからでは1日目の前半はピッチが小さかったと結論付けてしまうが、実際は1日目は、走行速度も前半と後半で異なり、後半の方が、走行速度が高くなっている。一方、2日目は全距離において概ね一定の速度を保っている。ピッチ自体は走行速度が下がると下がるものなので、1日目の前半のピッチをそのまま他の区間と比較することは意味が無く単純には比較できない。実際にその日の走り方のピッチが多いか少ないかを比較するには同一速度で比較する必要がある。
【0054】
本実施の形態では、第1指標を速度とし、第2指標を、速度と相関性のある運動情報を表す指標である、ピッチ、ストライド、ストライド身長比、上下動、上下動身長比、左右動、前後動、接地時間、遊脚時間、接地時間率、遊脚時間率、減速量、沈み込み量、沈み込み量身長比、沈み込み時間、ブレーキ時間、推進時間、接地衝撃、蹴り出し加速度、蹴り出し時間、骨盤回転量、スティフネス、スティフネス体重比、接地角度、蹴り出し角度、総力積、推進力積、減速力積、上下力積、左右力積、左右方向衝撃、体幹後傾量、骨盤落ち込み量、骨盤引き上げ量、接地後の骨盤回転タイミング、前傾角、及び、衝撃ピーク傾き等とする。
【0055】
図4は、第2指標の第1指標依存性の例を、すなわち第1指標と第2指標の関係を示したものであり、(a)は、ピッチ(第2指標)の速度(第1指標)依存性を表したグラフであり、(b)は、ストライド(第2指標)の速度(第1指標)依存性を表したグラフである。白抜きの四角が1日目のデータであり、黒塗りの三角が2日目のデータである。図4(a),(b)より、1日目と2日目とで、速度に対するピッチ及びストライドの様相が異なることがわかる。モデル生成部212が生成する期間別モデル242は、任意の期間における、第1指標に対する第2指標の様相を定量的に表すものである。
【0056】
図5は、図4の1日目のピッチの速度依存性を表したグラフであり、指標の値と、回帰分析により求めた多項式の回帰線と、を示している。今回利用したのは2次の回帰式である。この回帰線で表される回帰式が、入力を速度としたときに、ピッチを出力として求めることのできる1日目の期間別モデル242である。このように、モデル生成部212は、任意の期間について、入力を第1指標としたときに、第2指標を出力として求めることのできる期間別モデル242としての回帰式を生成する。
【0057】
制御部210のパラメータ指定部213は、パラメータ入力画面を表示部260に表示させたときの、操作部270が受け付ける操作者による入力に基づいて、表示部260に表示するデータのパラメータを指定する。具体的には、パラメータ指定部213は、期間別モデル242を選択するための、第1指標、第2指標、第1期間、第2期間を指定する。また、パラメータ指定部213は、選択された期間別モデル242を用いて、当該期間での第2指標を示す推定データを導出するための入力である第1指標の値を指定する。
【0058】
第1導出部214(第1導出手段)は、パラメータ指定部213で指定されたパラメータに基づいて、第1期間において入力が第1指標であり、出力が第2指標である期間別モデル242(第1モデル)を取得する。そして、第1導出部214は、取得した期間別モデル242を用いて、第1指標がパラメータ指定部213で指定されたある値であると仮定した場合における、第1期間での第2指標を示す第1推定データを導出する。
【0059】
第2導出部215(第2導出手段)は、パラメータ指定部213で指定されたパラメータに基づいて、第2期間において入力が第1指標であり、出力が第2指標である期間別モデル242(第2モデル)を取得する。そして、第2導出部215は、取得した期間別モデル242を用いて、第1指標がパラメータ指定部213で指定されたある値であると仮定した場合における、第2期間での第2指標を示す第2推定データを導出する。
【0060】
データ提示制御部216(データ提示制御手段)は、第1導出部214が導出した第1推定データと、第2導出部215が導出した第2推定データと、を互いに比較可能に、表示部260(提示部)に提示させる。データの提示方法は任意である。例えば、第1推定データ及び第2推定データが、特定の第1指標の値に対する、第1期間及び第2期間における第2指標の推定値であって、データ提示制御部216は、2つの第2指標の推定値を、表示部260に並べて表示させてもよい。あるいは、データ提示制御部216は、複数の推定値からなる推定データを表示部260にグラフ表示させてもよい。データの提示例を図6-11に示す。
【0061】
図6は、パラメータ指定部213により指定された第1指標が速度であり、第2指標がピッチであり、第1期間が1日目であり、第2期間が全走行日であり、第1指標が一定の範囲の値を有する場合のデータ提示例である。なお、図6の例における第1期間と第2期間は、図3の場合と同様、日時以外の条件が互いに同じで被検体が運動した場合の、日時が互いに異なる期間である。第1導出部214は、1日目における、ピッチの速度依存性の運動データ241から求めた、第1モデルである回帰式を取得する。その後、第1導出部214は、第1指標である速度がある範囲の値である時の第2指標である第1推定データを求める。具体的には、第1導出部214は、第1モデルである回帰式に第1指標の値を代入して、第2指標の値からなる第1推定データを求める。データ提示制御部216が第1推定データを図6の太線のように表示部260に表示させる。データ提示制御部216は、第1推定データとともに、第1推定データに対する運動データ241のばらつきの範囲(第1ばらつき範囲)を表すデータを表示部260に表示させてもよい(図6の太点線)。
【0062】
第2導出部215は、全走行日における、ピッチの速度依存性の運動データ241から求めた、第2モデルである回帰式を取得する。その後、第2導出部215は、第1指標である速度がある範囲の値である時の第2指標である第2推定データを求め、データ提示制御部216が第2推定データを図6の細線のように表示部260に表示させる。データ提示制御部216は、第2推定データとともに、第2推定データに対する運動データ241のばらつきの範囲(第2ばらつき範囲)を表すデータを表示部260に表示させてもよい(図6の細点線)。
【0063】
データ提示制御部216は、第1期間又は第2期間のピッチ(運動データ241)の実データを一緒に提示(表示部260に表示)させてもよい。図6は、第1期間の実データをマーカーにて表している。
【0064】
図7-9は、他の提示例である。図2において、第1導出部214が、第1期間における第1モデル(期間別モデル242)を用いて第1推定データを導出し、第2導出部215が、第2期間における第2モデル(期間別モデル242)を用いて第2推定データを導出しているが、導出部は更に多数備えてもよく、多数の導出部が多数の期間における期間別モデル242を用いてそれぞれの推定データを導出してもよい。
【0065】
図7,8は、多数の導出部が、多数の期間における期間別モデル242を用いてそれぞれの推定データを導出した場合のデータ提示例である。図7は、パラメータ指定部213により指定した第1指標が速度であり、第2指標がピッチであり、図8は、第1指標が速度であり、第2指標が上下動である。図7,8において、第1期間、第2期間、及びそれ以降の期間は、図3の場合と同様、日時以外の条件が互いに同じで被検体が運動した場合の、横軸の測定日の各1日である場合を示している。
【0066】
各1日に対応する導出部は、第1指標である速度を入力として、各期間別モデル242を用いて第2指標であるピッチ又は上下動の推定値を導出する。図7,8において、4種類のマーカーは互いに異なる速度におけるピッチ又は上下動の推定値を示している。各マーカーの速度は、丸が最も早い速度を示し、四角、三角、ひし形の順で速度が遅くなっている。データ提示制御部216は、第1推定データとしてのピッチ又は上下動の推定値とともに、当該推定値に対する運動データ241のばらつきの範囲を表すデータを表示部260に表示させてもよい。
【0067】
図6に示した提示方法の場合は、1日目の走行のピッチは全体のばらつき範囲には入っているが、やや平均より多いことがわかる。図7に示した提示方法の場合は、三角のマーカーが示す速度において、日毎のピッチの変化が大きいことがわかる。
【0068】
また、データ提示制御部216は、他の提示方法として、各日のある速度で走行時の第2指標の推定データを互いに比較する表示を行ってもよい。例えば、データ提示制御部216は、図9に示すように、図7に示した日毎のピッチを横軸にして、図8に示した対応する日毎の上下動を縦軸にしたグラフを表示部260に表示させてもよい。図9に示した提示方法によれば、ピッチに対して上下動が日によってどう変化したかを把握することができる。
【0069】
図9において、各日の4点は速度が異なり、各日とも、ピッチの一番小さい点が最も速度が遅く、ピッチが小さい方から順に、速度が段階的に高くなっている。全日におけるピッチの1番小さい点は同じ速度であり、2番目の点、3番目の点、4番目の点もそれぞれ同じ速度である。図9に示した例によれば、4日目のピッチを上げたときの上下動の変化が他の日と比較して大きいことがわかる。
【0070】
図10,11は、前述した日時以外の条件が互いに異なる期間における期間別モデル242を用いてそれぞれの推定データを導出した場合のデータ提示例である。図10は、第1期間は被検体が疲労状態にあるという条件下の1日目であり、第2期間は非疲労状態にあるという条件下の2日目であり、パラメータ指定部213により指定した第1指標が速度であり、第2指標がピッチである。疲労状態であるか否かは、接地時間が予め定めた閾値を超えるか否かで判別している。図10のグラフより、疲労状態にある1日目の方が速度の上昇に対するピッチの下降率が高いことがわかる。
【0071】
図11は、第1期間、第2期間、第3期間で、シューズの種類が互いに異なる。つまり、第1期間は、シューズAを装着するという条件下の1日目であり、第2期間は、シューズBを装着するという条件下の2日目であり、第3期間は、シューズCを装着するという条件下の3日目である。パラメータ指定部213により指定した第1指標は速度であり、第2指標がピッチである。図11のグラフより、速度の上昇に対するピッチの上昇率が1日目、2日目、3日目の順で高いことがわかる。
【0072】
なお、条件が互いに異なる期間についても、図10,11に示したピッチ以外の他の指標を第2指標として選択してデータ提示してもよい。
【0073】
以上のように構成された情報処理システム1の動作について、図12,13のフローチャートを用いて説明する。図12,13は、被検体のウォーキング又はランニング等の移動運動を対象とする動作例を示すフローチャートである。
【0074】
図12は、センサ装置10が実行する運動データ測定処理のフローチャートである。センサ装置10は、被検者の体に装着されており、被検者がランニング等の移動運動を実施中に運動データ測定処理は実行される。
【0075】
まず、センサ装置10の制御部110は、測定を実行するか否か判定する(ステップS101)。測定を実行するか否かは、例えば、予め定めた時間間隔のタイミングに合致するか否かで判定する。測定を実行するタイミングでない場合は(ステップS101:No)、制御部110は、測定のタイミングまで待機する。
【0076】
測定を実行するタイミングになったときは(ステップS101:Yes)、制御部110は、測定種別がセンサによる測定か、位置の測定かを判定する(ステップS102)。センサによる測定の場合は(ステップS102:センサ)、制御部110は、センサ部120が出力するセンサデータを取得する(ステップS103)。測定種別が位置の測定の場合は(ステップS102:位置)、制御部110は、位置情報取得部130が出力する位置データを取得する(ステップS104)。ここで、センサ部120が温度センサ、湿度センサ、方位センサ、気圧センサ又は風速計等の条件判別のためのセンサを含む場合は、制御部110はこれらのセンサデータも併せて取得してもよい。
【0077】
次に、制御部110は、内蔵する時計により時間を取得する(ステップS105)。その後、制御部110は、ステップS104で取得した位置データと、ステップS105で取得した時間に基づいて、被検体の移動の速さ(第1運動情報)を表す第1指標である速度を算出する(ステップS106)。
【0078】
次に、制御部110は、ステップS103で取得したセンサデータと、ステップS105で取得した時間に基づいて、第1指標と相関のある第2運動情報を表す第2指標を算出する(ステップS107)。第2運動情報は、例えば、被検体の移動時の単位時間当たりの歩数であり、その場合の第2指標はピッチである。
【0079】
制御部110は、ステップS106で算出した第1指標と、ステップS107で算出した第2指標と、の同じ時刻又は距離の指標同士を対応づけた運動データを生成し、記憶部140に保存する(ステップS108)。ここで、運動データは、条件判別に係るセンサデータも含んでもよい。
【0080】
その後、操作者から終了の指示があった場合には(ステップS109:Yes)、制御部110は処理を終了する。一方、操作者から終了の指示がない場合には(ステップS109:No)、制御部110はステップS101に戻り、処理を継続する。このようにして、センサ装置10は、運動データを生成し、記憶部140に保存して、任意のタイミングで情報処理装置20に送信する。
【0081】
図13は、情報処理装置20が実行するデータ提示処理のフローチャートである。情報処理装置20において、まず、制御部210の運動データ取得部211が、センサ装置10から送信された運動データ241を、通信部250を介して取得する(ステップS201)。
【0082】
モデル生成部212は、ステップS201で取得した運動データ241に含まれる、第1指標を入力とし第2指標を出力とするモデルを期間毎に生成し(ステップS202)、期間別モデル242を記憶部240に保存する。モデル生成部212は、例えば、1日目(第1期間)のランニングの速度(第1指標)とピッチ(第2指標)との関係を表した運動データ241に対して回帰分析を行うことにより、多項式の回帰線としての回帰式を生成し、生成した回帰式を第1モデルとして保存する。同様にモデル生成部212は、2日目(第2期間)のランニングの速度とピッチとの関係を表した運動データ241に対して回帰分析を行うことにより、多項式の回帰線としての回帰式を生成し、生成した回帰式を第2モデルとして保存する。
【0083】
ここで、モデル生成部212が期間別モデル242を生成する期間は、日時以外の条件が互いに同じで運動した場合の、日時が異なる期間(又は日時のみが異なる期間)でもよい。又は、期間は、条件判別に係るセンサデータに基づいて判別した特定の条件下で運動した期間であってもよい。あるいは、期間は、位置情報データを用いて外部サーバから取得した情報に基づいて判別した特定の条件下で運動した期間であってもよい。あるいは、被検者又は操作者の入力に基づいて判別した特定の条件下で運動した期間であってもよい。各期間に対応する条件は、例えば、前述した疲労状態、装着物、気候、標高、路面状態、又は、路面傾斜に係る条件である。あるいは、期間は、日時以外の条件に拘わらずに、日時が異なる期間でもよい。
【0084】
次にパラメータ指定部213が期間別モデル242を用いて、推定データを導出するためのパラメータを取得する(ステップS203)。その後、第1導出部214が、第1期間に係る第1モデル(期間別モデル242)を用いて、第1指標がパラメータとして入力されたある値であると仮定した場合における第2指標を示す第1推定データを導出する(ステップS204)。本実施の形態では、第1導出部214は、第1モデルである回帰式に、パラメータとして入力された速度(第1指標)のある値を入力し、ピッチ(第2指標)を第1推定データとして導出する。
【0085】
次に、第2導出部215が、第2期間に係る第2モデル(期間別モデル242)を用いて、第1指標がパラメータとして入力されたある値であると仮定した場合における第2指標を示す第2推定データを導出する(ステップS205)。本実施の形態では、第2導出部215は、第2モデルである回帰式に、パラメータとして入力された速度のある値を入力し、ピッチを第2推定データとして導出する。
【0086】
最後に、データ提示制御部216が、ステップS204で導出した第1推定データと、ステップS205で導出した第2推定データと、を比較可能な任意の形態で表示部260に表示するように、データの提示制御を行い(ステップS206)、処理を終了する。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置20において、第1期間において取得された、被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、第1運動情報とは異なり、かつ、第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデル(期間別モデル242)に基づいて、第1導出部214が、第1期間において第1指標がある値であると仮定した場合における、第1期間での第2指標を示す第1推定データを導出する。また、第2期間において取得された第1指標を入力とし、第2期間において取得された第2指標を出力として生成された第2モデル(期間別モデル242)に基づいて、第2導出部215が、第2期間において第1指標がある値であると仮定した場合における、第2期間での第2指標を示す第2推定データを導出する。そして、データ提示制御部216が、第1導出部214により導出された第1期間での第1推定データと、第2導出部215により導出された第2期間での第2推定データと、を互いに比較可能に表示部260に提示させることとした。これにより、被検体の経時的な運動状態の変化を、互いに異なる運動状態を表す第1指標と第2指標との関係に応じて適切に評価することが可能になる。
【0088】
また、本実施の形態に係る情報処理装置20において、第1モデル及び第2モデルは、それぞれの期間において、第1指標と、第1指標に対応づけて測定された第2指標と、について回帰分析を行うことにより生成された第1回帰式及び第2回帰式とした。これにより、第1推定データ及び第2推定データを第1回帰式及び第2回帰式を用いて、一意に求めることが可能になる。
【0089】
また、本実施の形態に係る情報処理装置20において、第1モデルを取得するため第1指標及び第2指標と、第2モデルを取得するための第1指標及び第2指標とは、被検体に取り付けられたセンサ部120及び位置情報取得部130の、移動運動中の出力に基づいて取得したデータであるとした。これにより、被検体の移動運動に係る経時的な運動状態の変化を、適切に評価することが可能になる。
【0090】
また、本実施の形態に係る情報処理装置20において、データ提示制御部216は、第1指標がある値であると仮定した場合における、第2指標の推定値を、第1推定データ又は第2推定データとして提示させ、あるいは、第1指標がある範囲にあるときの、それぞれの第1指標の値に対する第2指標の推定値を表すグラフを、第1推定データ又は第2推定データとして提示させるとした。これにより、評価の目的又は対象に応じて、提示形態を選択し、運動状態を適切に評価することが可能になる。
【0091】
また、データ提示制御部216は、第1推定データ及び第2推定データを互いに比較可能に提示させることに加え、第1推定データに対する、第1指標と第2指標との関係を表した運動データ241のばらつきの範囲である第1ばらつき範囲、及び、第2推定データに対する運動データ241のばらつきの範囲である第2ばらつき範囲の少なくとも一方を提示させるとした。これにより、第1推定データ及び第2推定データのみならず、実測値からなる運動データ241の情報も含めて、運動状態を適切に評価することが可能になる。
【0092】
(実施の形態2)
以下に、実施の形態2に係る情報処理装置30について、図14を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。本実施の形態2に係る情報処理装置30は、測定対象の生物(被検者)の体に装着され、被検体の経時的な運動状態の変化を表すデータを提示する装置である。
【0093】
本実施の形態2に係る情報処理装置30は、図14に示すように、実施の形態1に係るセンサ装置10のセンサ部120と位置情報取得部130とを備える。他の構成は実施の形態1に係る情報処理装置20と同様である。
【0094】
以上のように構成された情報処理装置30は、実施の形態1においてセンサ装置10が実行していた運動データ測定処理(図12)と、実施の形態1において情報処理装置20が実行していたデータ提示処理(図13)と、を実行する。
【0095】
つまり、情報処理装置30の運動データ取得部211は、センサ部120が出力するセンサデータと、位置情報取得部130が出力する位置データに基づいて、第1指標である速度と、第2指標であるピッチ等を算出し、算出した第1指標と第2指標とを互いに対応づけた運動データ241を取得して記憶部240に記憶する。
【0096】
次に、情報処理装置30において、モデル生成部212が運動データ241に基づいて、第1指標を入力とし、第2指標を出力とする期間別モデル242を生成して記憶部240に記憶する。第1導出部214及び第2導出部215は、パラメータ指定部213が指定した、第1期間、第2期間、第1指標の値に基づいて、期間別モデル242を用いて、それぞれ第1推定データ及び第2推定データを導出する。その後、データ提示制御部216は、第1推定データと第2推定データとを比較可能な形態で表示部260に表示させる。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態2に係る情報処理装置30は、被検者の体に装着される装置であって、センサ部120及び位置情報取得部130の出力に基づいて運動データ241を生成し、運動データ241に基づいて期間別モデル242を生成する。情報処理装置30は、第1期間の期間別モデル242を用いて、指定された第1指標に対する第2指標を第1推定データとして導出し、第2期間の期間別モデル242を用いて、指定された第1指標に対する第2期間の第2指標を第2推定データとして導出し、導出された第1推定データと第2推定データとを互いに比較可能にデータ提示を行うこととした。これにより、被検体に装着した情報処理装置30により、被検体の経時的な運動情報の変化を、互いに異なる複数の運動状態の関係に応じて適切に評価することが可能になる。
【0098】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施の形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0099】
例えば、実施の形態1において、センサ装置10において、センサ部120が出力するセンサデータと、位置情報取得部130が出力する位置データに基づいて、各種運動情報を示す指標を互いに対応づけた運動データを生成し、情報処理装置20に送信するとしたが、センサ装置10から、センサデータ及び位置データを、そのまま情報処理装置20に送信し、情報処理装置20が運動データを生成してもよい。
【0100】
また、実施の形態1,2において、モデル生成部212が生成する期間別モデル242は、第2指標の第1指標のみに対する依存性を示すデータの回帰分析により得られた回帰式であるが、期間別モデル242は、第2指標の、複数の指標に対する依存性を示すデータの回帰分析(重回帰分析)により得られる回帰式であってもよい。
【0101】
さらに、モデル生成部212が生成する期間別モデル242は、他の任意の方法で生成するモデルでもよい。例えば、期間別モデル242は、第1指標を入力とし、第2指標を出力とする学習用データを用いた機械学習を行って生成されたモデル、例えばニューラルネットワークでもよい。
【0102】
また、実施の形態1,2において、情報処理装置20,30が表示部260及び操作部270を備えるとしたが、情報処理装置20,30と通信可能に接続された他の端末が表示部260又は操作部270を備えてもよい。例えば、情報処理装置20,30がサーバで構成され、サーバと通信可能に接続されたユーザ端末が表示部260及び操作部270を備え、ユーザ端末の操作部270への入力に基づいてサーバにより生成された第1推定データ及び第2推定データを、ユーザ端末の表示部260が表示してもよい。
【0103】
また、実施の形態1,2において、情報処理装置20,30の提示部である表示部260が、第1推定データ及び第2推定データをグラフからなる画像により表示する場合について説明したが、第1推定データ及び第2推定データの提示方法は任意であり、数値を文字表示又は音声で提示してもよい。
【0104】
また、実施の形態1,2において、センサ装置10は、人の腰に装着する装置であるとしたが、腕や足等、被検体の他の部位に装着する装置であってもよい。あるいは、センサ装置10は、被検体の複数箇所の部位に装着される複数のセンサを備えてもよい。また、センサ装置10を装着する対象は人に限定されるものではなく、センサ装置10は、人以外の被検体に装着されてその被検体の運動データを出力してもよい。
【0105】
また、実施の形態1,2において、情報処理装置20,30は、第1期間及び第2期間(1日目及び2日目)の比較表示を行うこととしたが、1日目、2日目、3日目等、互いに異なる3以上の期間各々のデータの比較表示を行ってもよい。
【0106】
また、上記実施の形態1,2に示したハードウェア構成及びフローチャートは一例であり、任意に変更及び修正が可能である。制御部110,210で実現する各機能は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。
【0107】
例えば、上記実施の形態1,2の動作を実行するためのプログラムを、コンピュータが読み取り可能なCD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、メモリカード等の記録媒体に格納して配布し、プログラムをコンピュータにインストールすることにより、各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。そして、各機能をOS(Operating System)とアプリケーションとの分担、又はOSとアプリケーションとの協同により実現する場合には、OS以外の部分のみを記録媒体に格納してもよい。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0109】
(付記1)
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1期間において取得された、前記被検体の第1運動情報とは異なり、かつ、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出手段と、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2期間において取得された前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段により導出された前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2導出手段により導出された前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示部に提示させるデータ提示制御手段と、
を備える情報処理装置。
【0110】
(付記2)
前記第1モデルは、前記第1期間において測定された前記第1指標と、前記第1期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第1回帰式であり、
前記第2モデルは、前記第2期間において測定された前記第1指標と、前記第2期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第2回帰式である、
付記1に記載の情報処理装置。
【0111】
(付記3)
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標と、前記第2モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標とは、前記被検体に取り付けられたセンサ部及び位置情報取得部の、前記移動運動中の出力に基づいて取得したデータである、
付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0112】
(付記4)
前記データ提示制御手段は、前記第1モデルを用いて導出した、前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標の推定値を、前記第1推定データとして提示させ、前記第2モデルを用いて導出した、前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標の推定値を、前記第2推定データとして提示させる、
付記1から3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0113】
(付記5)
前記データ提示制御手段は、前記第1モデルを用いて導出した、前記第1指標がある範囲にあるときの、それぞれの前記第1指標の値に対する前記第1期間での前記第2指標の推定値を表すグラフを、前記第1推定データとして提示させ、前記第2モデルを用いて導出した、前記第1指標がある範囲にあるときの、それぞれの前記第1指標の値に対する前記第2期間での前記第2指標の推定値を表すグラフを、前記第2推定データとして提示させる、
付記1から3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0114】
(付記6)
前記データ提示制御手段は、前記第1推定データ及び前記第2推定データを互いに比較可能に提示することに加え、前記第1推定データに対する、前記第1指標と前記第2指標との関係を表した運動データのばらつきの範囲である第1ばらつき範囲、及び、前記第2推定データに対する前記運動データのばらつきの範囲である第2ばらつき範囲の少なくとも一方を提示させる、
付記1から5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0115】
(付記7)
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1指標は、前記移動運動の速度であり、
前記第2指標は、前記速度と相関性を有する、ピッチ、ストライド、ストライド身長比、上下動、上下動身長比、左右動、前後動、接地時間、遊脚時間、接地時間率、遊脚時間率、減速量、沈み込み量、沈み込み量身長比、沈み込み時間、ブレーキ時間、推進時間、接地衝撃、蹴り出し加速度、蹴り出し時間、骨盤回転量、スティフネス、スティフネス体重比、接地角度、蹴り出し角度、総力積、推進力積、減速力積、上下力積、左右力積、左右方向衝撃、体幹後傾量、骨盤落ち込み量、骨盤引き上げ量、接地後の骨盤回転タイミング、前傾角、及び、衝撃ピーク傾きのいずれかである、
付記1から6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0116】
(付記8)
前記データ提示制御手段の制御に基づいて、前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示する提示部を、更に備える、
付記1から7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0117】
(付記9)
情報処理装置における情報処理方法であって、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出ステップと、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出ステップと、
前記第1導出ステップで導出された前記第1推定データと、前記第2導出ステップで導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示ステップと、
を有する情報処理方法。
【0118】
(付記10)
情報処理装置のコンピュータを、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出部、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出部、
前記第1導出部により導出された前記第1推定データと、前記第2導出部により導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示制御部、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0119】
1…情報処理システム、10…センサ装置、20,30…情報処理装置、110,210…制御部、120…センサ部、130…位置情報取得部、140,240…記憶部、150,250…通信部、160,270…操作部、260…表示部、211…運動データ取得部、212…モデル生成部、213…パラメータ指定部、214…第1導出部、215…第2導出部、216…データ提示制御部、241…運動データ、242…期間別モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1期間において取得された、前記被検体の第1運動情報とは異なり、かつ、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出手段と、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2期間において取得された前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段により導出された前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2導出手段により導出された前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示部に提示させるデータ提示制御手段と、
を備え
前記第1モデルは、前記第1期間において測定された前記第1指標と、前記第1期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第1回帰式であり、
前記第2モデルは、前記第2期間において測定された前記第1指標と、前記第2期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第2回帰式である、
報処理装置。
【請求項2】
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1期間において取得された、前記被検体の第1運動情報とは異なり、かつ、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出手段と、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2期間において取得された前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段により導出された前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2導出手段により導出された前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示部に提示させるデータ提示制御手段と、
を備え、
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標と、前記第2モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標とは、前記被検体に取り付けられたセンサ部及び位置情報取得部の、前記移動運動中の出力に基づいて取得したデータである
報処理装置。
【請求項3】
前記データ提示制御手段は、前記第1モデルを用いて導出した、前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標の推定値を、前記第1推定データとして提示させ、前記第2モデルを用いて導出した、前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標の推定値を、前記第2推定データとして提示させる、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データ提示制御手段は、前記第1モデルを用いて導出した、前記第1指標がある範囲にあるときの、それぞれの前記第1指標の値に対する前記第1期間での前記第2指標の推定値を表すグラフを、前記第1推定データとして提示させ、前記第2モデルを用いて導出した、前記第1指標がある範囲にあるときの、それぞれの前記第1指標の値に対する前記第2期間での前記第2指標の推定値を表すグラフを、前記第2推定データとして提示させる、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ提示制御手段は、前記第1推定データ及び前記第2推定データを互いに比較可能に提示することに加え、前記第1推定データに対する、前記第1指標と前記第2指標との関係を表した運動データのばらつきの範囲である第1ばらつき範囲、及び、前記第2推定データに対する前記運動データのばらつきの範囲である第2ばらつき範囲の少なくとも一方を提示させる、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1期間において取得された、前記被検体の第1運動情報とは異なり、かつ、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出手段と、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2期間において取得された前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段により導出された前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2導出手段により導出された前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示部に提示させるデータ提示制御手段と、
を備え、
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1指標は、前記移動運動の速度であり、
前記第2指標は、前記速度と相関性を有する、ピッチ、ストライド、ストライド身長比、上下動、上下動身長比、左右動、前後動、接地時間、遊脚時間、接地時間率、遊脚時間率、減速量、沈み込み量、沈み込み量身長比、沈み込み時間、ブレーキ時間、推進時間、接地衝撃、蹴り出し加速度、蹴り出し時間、骨盤回転量、スティフネス、スティフネス体重比、接地角度、蹴り出し角度、総力積、推進力積、減速力積、上下力積、左右力積、左右方向衝撃、体幹後傾量、骨盤落ち込み量、骨盤引き上げ量、接地後の骨盤回転タイミング、前傾角、及び、衝撃ピーク傾きのいずれかである
報処理装置。
【請求項7】
前記データ提示制御手段の制御に基づいて、前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示する提示部を、更に備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置における情報処理方法であって、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出ステップと、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出ステップと、
前記第1導出ステップで導出された前記第1推定データと、前記第2導出ステップで導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示ステップと、
を有し、
前記第1モデルは、前記第1期間において測定された前記第1指標と、前記第1期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第1回帰式であり、
前記第2モデルは、前記第2期間において測定された前記第1指標と、前記第2期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第2回帰式である、
報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置のコンピュータを、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出部、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出部、
前記第1導出部により導出された前記第1推定データと、前記第2導出部により導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示制御部、
として機能させ
前記第1モデルは、前記第1期間において測定された前記第1指標と、前記第1期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第1回帰式であり、
前記第2モデルは、前記第2期間において測定された前記第1指標と、前記第2期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第2回帰式である、
ログラム。
【請求項10】
情報処理装置における情報処理方法であって、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出ステップと、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出ステップと、
前記第1導出ステップで導出された前記第1推定データと、前記第2導出ステップで導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示ステップと、
を有し、
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標と、前記第2モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標とは、前記被検体に取り付けられたセンサ部及び位置情報取得部の、前記移動運動中の出力に基づいて取得したデータである、
情報処理方法。
【請求項11】
情報処理装置のコンピュータを、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出部、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出部、
前記第1導出部により導出された前記第1推定データと、前記第2導出部により導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示制御部、
として機能させ、
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標と、前記第2モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標とは、前記被検体に取り付けられたセンサ部及び位置情報取得部の、前記移動運動中の出力に基づいて取得したデータである、
プログラム。
【請求項12】
情報処理装置における情報処理方法であって、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出ステップと、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出ステップと、
前記第1導出ステップで導出された前記第1推定データと、前記第2導出ステップで導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示ステップと、
を有し、
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1指標は、前記移動運動の速度であり、
前記第2指標は、前記速度と相関性を有する、ピッチ、ストライド、ストライド身長比、上下動、上下動身長比、左右動、前後動、接地時間、遊脚時間、接地時間率、遊脚時間率、減速量、沈み込み量、沈み込み量身長比、沈み込み時間、ブレーキ時間、推進時間、接地衝撃、蹴り出し加速度、蹴り出し時間、骨盤回転量、スティフネス、スティフネス体重比、接地角度、蹴り出し角度、総力積、推進力積、減速力積、上下力積、左右力積、左右方向衝撃、体幹後傾量、骨盤落ち込み量、骨盤引き上げ量、接地後の骨盤回転タイミング、前傾角、及び、衝撃ピーク傾きのいずれかである、
情報処理方法。
【請求項13】
情報処理装置のコンピュータを、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出部、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出部、
前記第1導出部により導出された前記第1推定データと、前記第2導出部により導出された前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示するデータ提示制御部、
として機能させ、
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1指標は、前記移動運動の速度であり、
前記第2指標は、前記速度と相関性を有する、ピッチ、ストライド、ストライド身長比、上下動、上下動身長比、左右動、前後動、接地時間、遊脚時間、接地時間率、遊脚時間率、減速量、沈み込み量、沈み込み量身長比、沈み込み時間、ブレーキ時間、推進時間、接地衝撃、蹴り出し加速度、蹴り出し時間、骨盤回転量、スティフネス、スティフネス体重比、接地角度、蹴り出し角度、総力積、推進力積、減速力積、上下力積、左右力積、左右方向衝撃、体幹後傾量、骨盤落ち込み量、骨盤引き上げ量、接地後の骨盤回転タイミング、前傾角、及び、衝撃ピーク傾きのいずれかである、
プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置の一態様は、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1期間において取得された、前記被検体の第1運動情報とは異なり、かつ、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出手段と、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2期間において取得された前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段により導出された前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2導出手段により導出された前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示部に提示させるデータ提示制御手段と、
を備え
前記第1モデルは、前記第1期間において測定された前記第1指標と、前記第1期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第1回帰式であり、
前記第2モデルは、前記第2期間において測定された前記第1指標と、前記第2期間において前記第1指標に対応づけて測定された前記第2指標とについて回帰分析を行うことにより生成された第2回帰式である。
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置の他の態様は、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1期間において取得された、前記被検体の第1運動情報とは異なり、かつ、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出手段と、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2期間において取得された前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段により導出された前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2導出手段により導出された前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示部に提示させるデータ提示制御手段と、
を備え、
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標と、前記第2モデルを取得するための前記第1指標及び前記第2指標とは、前記被検体に取り付けられたセンサ部及び位置情報取得部の、前記移動運動中の出力に基づいて取得したデータである。
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置の他の態様は、
第1期間において取得された、ある被検体の第1運動情報を表す第1指標を入力とし、前記第1期間において取得された、前記被検体の第1運動情報とは異なり、かつ、前記第1指標と相関性を有する第2運動情報を表す第2指標を出力として生成された第1モデルに基づいて、前記第1期間において前記第1指標がある値であると仮定した場合における、前記第1期間での前記第2指標を示す第1推定データを導出する第1導出手段と、
前記第1期間とは異なる第2期間において取得された前記第1指標を入力とし、前記第2期間において取得された前記第2指標を出力として生成された第2モデルに基づいて、前記第2期間において前記第1指標が前記ある値であると仮定した場合における、前記第2期間での前記第2指標を示す第2推定データを導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段により導出された前記第1期間での前記第1推定データと、前記第2導出手段により導出された前記第2期間での前記第2推定データと、を互いに比較可能に提示部に提示させるデータ提示制御手段と、
を備え、
前記第1運動情報及び前記第2運動情報は、前記被検体の移動運動に係る情報であって、
前記第1指標は、前記移動運動の速度であり、
前記第2指標は、前記速度と相関性を有する、ピッチ、ストライド、ストライド身長比、上下動、上下動身長比、左右動、前後動、接地時間、遊脚時間、接地時間率、遊脚時間率、減速量、沈み込み量、沈み込み量身長比、沈み込み時間、ブレーキ時間、推進時間、接地衝撃、蹴り出し加速度、蹴り出し時間、骨盤回転量、スティフネス、スティフネス体重比、接地角度、蹴り出し角度、総力積、推進力積、減速力積、上下力積、左右力積、左右方向衝撃、体幹後傾量、骨盤落ち込み量、骨盤引き上げ量、接地後の骨盤回転タイミング、前傾角、及び、衝撃ピーク傾きのいずれかである。