(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189175
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】換気扇及び仕切部材
(51)【国際特許分類】
F24F 7/013 20060101AFI20221215BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20221215BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20221215BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F24F7/013 101F
F24F7/013 101E
F24F7/013 101Z
F24F7/06 S
F24F13/02 F
F24F13/02 B
F24F13/02 A
E06B7/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097601
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和也
(72)【発明者】
【氏名】堀江 昭秀
(72)【発明者】
【氏名】小東 弘明
(72)【発明者】
【氏名】小松 和隆
【テーマコード(参考)】
3L058
3L080
【Fターム(参考)】
3L058BG04
3L080AA09
3L080AB02
3L080AC03
(57)【要約】
【課題】換気扇を建物の取付部位の厚みに対応させて取り付ける。
【解決手段】換気扇124は、運転により空気の流れを生じさせる換気扇本体126と、換気扇本体126を保持し、換気扇本体126の運転により生じる空気の流れ方向に伸縮可能な保持部138と、保持部138に設けられ、取付部位に固定される固定部146、148と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転により空気の流れを生じさせる換気扇本体と、
前記換気扇本体を保持し、前記換気扇本体の運転により生じる空気の流れ方向に伸縮可能な保持部と、
前記保持部に設けられ、取付部位に固定される固定部と、
を備える換気扇。
【請求項2】
前記保持部は、前記換気扇本体を保持する第一筒体と、前記第一筒体に対し軸方向にスライドする第二筒体と、を有している、請求項1に記載の換気扇。
【請求項3】
前記保持部は、前記空気の流れ方向に伸縮する蛇腹部を有している、請求項1又は請求項2に記載の換気扇。
【請求項4】
前記保持部に、前記換気扇本体によって換気される室の状態を検知する状態センサが設けられる、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の換気扇。
【請求項5】
前記状態センサの検知結果を制御装置に送信すると共に、前記制御装置からの前記換気扇本体の運転状態の指示を受信する通信部、
を有する請求項4に記載の換気扇。
【請求項6】
前記保持部の伸縮方向における空気の移動を遮断可能なシャッタを有する請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の換気扇。
【請求項7】
前記保持部からの空気の排出方向を変更可能なルーバを有する請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の換気扇。
【請求項8】
前記保持部の内部で空気中の異物を捕捉するフィルタを有する請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の換気扇。
【請求項9】
建物の一部を成す仕切部材本体と、
請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の換気扇と、
を備え、
前記換気扇は、前記仕切部材本体の厚みの範囲内で前記仕切部材本体に取り付けられている、仕切部材。
【請求項10】
前記固定部は、前記空気の流れ方向の両側で前記保持部に設けられ、前記仕切部材本体の厚み方向の両側で前記仕切部材本体に固定されている、請求項9に記載の仕切部材。
【請求項11】
前記仕切部材本体はドアパネル、建物壁、建物天井又は建物床である請求項9又は請求項10に記載の仕切部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、換気扇及び仕切部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に換気扇を取り付ける構造として、特許文献1には、建物の室内側の壁を構成する内壁パネルに窓の開口に連通する開口部を設け、開口部の上縁に沿って天袋が取り付けられ、天袋の状端部より内壁パネルの上端部を上方に突出させ、突出部分に換気扇を設けた構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来技術は、内壁パネルの突出部分に換気扇を設けることで、壁から突出した換気扇が天袋に隠れるようにしている。
【0005】
建物において、換気扇の取付対象としての仕切部材、たとえばドアや壁等の厚みは各種ある。仕切部材の取付部位に貫通孔を形成し、この貫通孔に単に換気扇を取り付けると、取付部位の厚みによっては、換気扇が突出してしまうことがある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、換気扇を建物の取付部位の厚みに対応させて取り付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一態様の換気扇では、運転により空気の流れを生じさせる換気扇本体と、前記換気扇本体を保持し、前記換気扇本体の運転により生じる空気の流れ方向に伸縮可能な保持部と、前記保持部に設けられ、取付部位に固定される固定部と、を備える。
【0008】
この換気扇では、換気扇本体を保持する保持部を、固定部によって取付部位、たとえば建物の壁やドアパネルに固定することができる。
【0009】
換気扇本体を保持する保持部はが、空気の流れ方向に伸縮可能である。したがって、保持部を伸縮させて、取付部材の厚みに対応した長さにした状態で取付部位に取り付けることができる。
【0010】
第二態様では、前記保持部は、前記換気扇本体を保持する第一筒体と、前記第一筒体に対し軸方向にスライドする第二筒体と、を有している。
【0011】
第二筒体を第一筒体に対しスライドさせる簡単な構造で、保持部の長さを調整できる。
【0012】
第三態様では、前記保持部は、前記空気の流れ方向に伸縮する蛇腹部を有している。
【0013】
蛇腹部を伸縮させる簡単な構造で、保持部の長さを調整できる。
【0014】
第四態様では、前記保持部に、前記換気扇本体によって換気される室の状態を検知する状態センサが設けられる。
【0015】
状態センサでの検知結果に応じて換気扇本体の運転状態を制御することが可能となる。
【0016】
第五態様では、前記状態センサの検知結果を制御装置に送信すると共に、前記制御装置からの前記換気扇本体の運転状態の指示を受信する通信部、を有する。
【0017】
状態センサでの検知結果と通信部から制御装置に送信し、制御装置で換気扇本体の運転状態を決定して通信部に送信する。これにより、換気扇本体の適切な運転が可能となる。
【0018】
第六態様では、前記保持部の伸縮方向における空気の移動を遮断可能なシャッタを有する。
【0019】
シャッタを閉状態とすることで、空気の移動や、音や臭いが伝わることを抑制できる。
【0020】
第七態様では、前記保持部からの空気の排出方向を変更可能なルーバを有する。
【0021】
ルーバにより、空気の排出方向を変更することができる。
【0022】
第八態様では、前記保持部の内部で空気中の異物を捕捉するフィルタを有する。
【0023】
フィルタにより、空気中の異物を捕捉することができる。
【0024】
第九態様では、建物の一部を成す仕切部材本体と、前記換気扇と、を備え、前記換気扇は、前記仕切部材本体の厚みの範囲内で前記仕切部材本体に取り付けられている。
【0025】
この仕切部材では、換気扇の保持部が空気の流れ方向に伸縮可能であり、伸縮により、取付部材の厚み以下の長さにした状態とすることで、換気扇が建物の取付部位に対応して取り付けられた仕切部材が得られる。
【0026】
第十態様では、前記固定部は、前記空気の流れ方向の両側で前記保持部に設けられ、前記仕切部材本体の厚み方向の両側で前記仕切部材本体に固定されている。
【0027】
保持部は、空気の流れ方向の両側で固定部によって仕切部材本体に取り付けられるので、強固な取り付けが可能である。
【0028】
第十一態様では、前記仕切部材本体はドアパネル、建物壁、建物天井又は建物床である。
【0029】
ドアパネル、建物壁、建物天井又は建物床から突出しないように換気扇が取り付けられた仕切部材が得られる。
【発明の効果】
【0030】
本願では、換気扇を建物の取付部位の厚みに対応させて取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は第一実施形態の換気扇を示す斜視図である。
【
図2】
図2は第一実施形態の換気扇をドアへ取り付けた状態で示す断面図である。
【
図3】
図3は第一実施形態の換気扇を分解して示す断面図である。
【
図4】
図4は第一実施形態の換気扇を備えた換気システムの構成図である。
【
図5】
図5は第一実施形態の換気扇を備えたドアを換気システムの構成として示す斜視図である。
【
図6】
図6は第一実施形態の換気扇をドアに取り付ける途中の状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は第一実施形態の換気扇をドアに取り付ける途中の状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は第一実施形態の換気扇をドアに取り付ける途中の状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は第一実施形態の換気扇を
図2に示すドアよりも厚いドアに取り付けた状態で示す断面図である。
【
図10】
図10は第一実施形態の換気扇を
図2に示すドアよりも薄いドアに取り付けた状態で示す断面図である。
【
図11】
図11は第二実施形態の換気扇をドアへ取り付けた状態で示す断面図である。
【
図12】
図12は第二実施形態の換気扇をドアへ取り付ける途中の状態を示す断面図である。
【
図13】
図13は第三実施形態の換気扇をドアへ取り付けた状態で示す断面図である。
【
図14】
図14は第三実施形態の換気扇をドアへ取り付ける途中の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0033】
図1~
図3には、第一実施形態の換気扇124が示されている。
図4には、この換気扇124を備えたドア120を含む換気システム102が示されている。さらに、
図5にはドア120の構成が示されている。このドア120は、本願の開示の技術に係る仕切部材の一例である。
【0034】
図1及び
図2に示すように、換気扇124は、換気扇本体126と、保持部138と、固定部146、148と、を備えている。
【0035】
保持部138はさらに、第一筒体140と第二筒体142とを有している。
【0036】
第一筒体140は、
図2において右側に位置する円筒状の大径部140A、左側に位置する円筒状の小径部140C、及び、大径部140Aと小径部140Cの間に位置する蛇腹部140B、を有している。大径部140A、小径部140C及び蛇腹部140Bは同芯に配置されており、第一筒体140は全体として略円筒状である。そして、蛇腹部140Bが軸方向(矢印A1方向)に伸縮することで、保持部138も全体として軸方向に伸縮する。
【0037】
第二筒体142は、第一筒体140の小径部140Cの外周側に装着される円筒形状の部材である。換言すれば、第一筒体140の小径部140Cの一部は第二筒体142の内周側に同芯で挿入される。第二筒体142は、このように第一筒体140の小径部140Cに装着している状態で、第一筒体140に対し軸方向にスライドする。
【0038】
図3に示すように、第二筒体142の内径D2は、第一筒体140の小径部140Cの外径D1と略等しくされており、実質的に第二筒体142を小径部140Cの外周側に隙間なく装着することができる。
【0039】
第二筒体142には、ストッパ壁144が設けられている。第二筒体142へ小径部140Cを挿入していくと、挿入途中で小径部140Cの先端140Tがストッパ壁144に当たり、それ以上は挿入できない構造である。
【0040】
保持部138には換気扇本体126が保持されている。具体的には、換気扇本体126は、保持部138において、第一筒体140の小径部140Cの内側に保持されている。換気扇124の回転により、保持部138の軸方向(矢印A1方向)に空気を流すことができる。保持部138は全体として略円筒状であり、換気扇本体126の運転により生じた空気流のダクトとして機能するので、空気を安定的に第一筒体140の軸方向に流すことができる。
【0041】
換気扇本体126は、たとえば複数のプロペラを有するプロペラファンであり、図示しないモータによるプロペラの回転により空気の流れを生じさせることができる。本実施形態では2方向に回転可能(正転及び逆転可能)とされており、回転方向の変更により、
図2における右方向及び左方向のいずれかの方向に空気流を生じさせることができる。なお、換気扇本体126はプロペラファンに限定されず、シロッコファンやターボファンであってもよい。
【0042】
大径部140Aの内側にはシャッタ128が保持されている。
図2に示す例では、シャッタ128は、大径部140Aにおいて右端部の位置にある。
【0043】
シャッタ128は、固定板128F及び可動板128Mを有している。固定板128Fは、大径部140Aに固定され、厚み方向に複数の貫通孔が形成されている。可動板128Mは、図示しないアクチュエータによって、
図2に矢印A2で示すように、固定板128Fの貫通孔を閉塞する位置と開放する位置との間を移動する。この可動板128Mの移動により、シャッタ128は、矢印A1方向の空気の移動を許容する「開」状態と、空気の移動を阻止する「閉」状態と、を採り得る。
【0044】
大径部140Aの内側には、さらに、フィルタ132が保持されている。
図2に示す例では、フィルタ132は、大径部140Aにおいて軸方向(矢印A1方向)の中間部分、すなわちシャッタ128と蛇腹部140Bの間の位置にある。
【0045】
フィルタ132は、空気を矢印A1方向に通過させるが、通過時に空気中の微粒子等の異物を捕捉する。
【0046】
第二筒体142の内側には、ルーバ130が保持されている。
図2に示す例では、ルーバ130は、第二筒体142において左端部の位置にある。
【0047】
ルーバ130は、保持部138の軸方向に対し傾斜する複数のフィン130Fを有しており、図示しないアクチュエータによって、フィン130Fの傾斜角度を
図2に矢印A3で示すように変更可能である。また、フィン130Fの傾斜方向も、同じくアクチュエータにより変更可能である。
【0048】
ルーバ130では、フィン130Fの傾斜角度及び傾斜方向を変更することで、換気扇124から
図2の左方向に排出される空気の向きを変更できる。本実施形態では、ルーバ130は保持部138の左端部に位置しており、換気扇124から左方向への空気の排出方向を変更できる。
【0049】
なお、ルーバ130を、第一筒体140の内部において、換気扇本体126よりも
図2の右側に設け、換気扇124から
図2の右方向に排出される空気の向きを変更可能としてもよい。この構成では、たとえば、シャッタ128及びフィルタ132を、
図2において軸方向(矢印A1方向)の中央寄りの位置とし、保持部138の右端部にルーバを位置させれば、換気扇124から右方向への空気の排出方向を変更する点で効果的である。
【0050】
保持部138には、軸方向、すなわち保持部138の伸縮方向の一端側及び他端側の位置に固定部146、148が設けられている。
図2における右側の固定部146は、第一筒体140の大径部140Aから径方向外側に広がる環状(フランジ状)に形成され、左側の固定部148は、第二筒体142から径方向外側に広がる環状(フランジ状)に形成されている。
【0051】
図1に示すように、固定部146、148には、周方向に一定の間隔、
図1に示す例では中心角90度をなす4か所に、固定孔150が貫通して形成されている。この固定孔150にたとえばスクリュウを挿通し、さらにこのスクリュウをドアパネル122にねじ込むことで、固定部146、148をドアパネル122に固定できる。
【0052】
固定部146、148には、状態センサ134が取り付けられている。固定部146、148は保持部138の伸縮方向の両端にあるので、状態センサ134も、保持部138の伸縮方向、すなわち空気の流れ方向の両端にある。
【0053】
状態センサ134は、状態センサ134が位置している室の状態を検知するセンサである。この「状態」には、気温、湿度、気圧、明るさ、CO2濃度、汚染度、人の有無等の少なくとも一つを含む。
【0054】
図5に示すように、ドアパネル122には、本実施形態の換気扇124として、上換気扇124Uと下換気扇124Lの2つの換気扇が備えられている。ドアパネル122において、換気扇124が取り付けられる部位が、本願の開示の技術に係る「取付部位」である。
【0055】
ドアパネル122の寸法高さにもよるが、上換気扇124Uの状態センサ134は、たとえば建物の天井付近における状態を検知できる。これに対し、下換気扇124Lの状態センサ134は、建物の床付近における状態を検知できる。
【0056】
図4に示すように、換気扇124はさらに通信部136を有している。通信部136は、状態センサ134の検知結果や、換気扇本体126の運転状況等を外部に送信すると共に、後述する制御装置172からの換気扇本体126の運転状態を受信する。なお、通信部136は、制御装置172との信号の送受信だけでなく、複数の換気扇124において相互に信号を送受信することも可能である。
【0057】
状態センサ134及び通信部136は、換気扇124とは別体の構成であってもよいが、本願の開示の技術では、換気扇124と一体化されており、実質的に換気扇124が、換気扇としての機能の他に、状態センサ134及び通信部136としての機能を兼ねている。
【0058】
図4に及び
図5に示す例では、通信部136は、外部の制御装置172、たとえば、
図5に示すコンピュータ172Cやスマートフォン172S等に送信するようになっている。
【0059】
制御装置172は、受信部174、制御部176及び送信部178を有している。すなわち、受信部174、制御部176及び送信部178が、複数の換気扇124のそれぞれとは別体の制御装置172に集中して設けられている。
【0060】
受信部174は、複数の換気扇124の状態センサ134(第一面センサ134A及び第二面センサ134B)から送信された検知結果の情報を受信する。制御部176は、状態センサ134から送信された検知結果により、複数の換気扇の運転状態を決定する。この「運転状態」は、それぞれの換気扇124において状態センサ134と対応する換気扇124だけでなく、換気システム102の全体での換気扇124の運転状態である。また、状況によっては、複数の換気扇124の全てではなく、一部の換気扇124が選択的に運転制御されてもよい。送信部178は、制御部176で決定された各換気扇124の運転状態を、対応する換気扇124の通信部136に送信する。通信部136において制御装置172からの信号を受信すると、換気扇124では、換気扇本体126、シャッタ128及びルーバ130が制御される。
【0061】
また、制御装置172に対する入力操作により、換気扇本体126の運転、シャッタ128の開閉、ルーバ130の角度調整等を遠隔制御することが可能である。
【0062】
なお、制御装置172と換気扇124の間での情報の送受信は、
図4及び
図5に示す例では無線であるが、たとえば、制御装置172がコンピュータ172Cである場合は、有線でもよい。
【0063】
本願の開示の技術に係る換気扇124は、
図4に示すように、制御装置172により制御される。そして、複数の換気扇124を備えた換気システム102の一部を成す構成とすることが可能である。
【0064】
次に、換気扇124をドアパネル122に取り付ける方法の一例、及び換気扇124の作用を説明する。
【0065】
ドアパネル122には、換気扇124を取り付けるための取付孔152が板厚方向に貫通して形成されている。取付孔152の内径は、保持部138の外径の最大値よりも大きく、固定部146、148の外径の最大値よりも小さい。
【0066】
換気扇124をドアパネル122に取り付けるには、まず、
図6に示すように、第一筒体140を小径部140C側から取付孔152に挿入する。
図6に示す例では、ドアパネル122の図面右側から挿入している。このとき、蛇腹部140Bを伸長させた状態としておく。
【0067】
図7に示すように、固定部146がドアパネル122に接触した状態では、第一筒体140の小径部140Cの先端140T側(
図7における左側)がドアパネル122よりも突出している。なお、この状態で、スクリュウ等を用いて固定部146をドアパネル122に固定しておいてもよい。
【0068】
そして、第二筒体142を第一筒体140に装着して
図7の右方向にスライドさせる。このスライドの範囲内で、保持部138は軸方向に短くなる。
【0069】
第二筒体142のスライドの途中で、
図8に示すように、ストッパ壁144が小径部140Cの先端140Tに接触する。第一筒体140は蛇腹部140Bを有しているので、蛇腹部140Bを押し縮めながら、さらに第二筒体142を
図8の右方向にスライドさせることができる。
【0070】
このように第二筒体142をスライドさせていくと、固定部148がドアパネル122に接触する(
図2参照)。この状態で、スクリュウを用いて固定部148をドアパネル122に固定する。固定板128Fがドアパネル122に未固定である場合は、この段階で固定する。このように、固定部146、148がドアパネル122に固定されることで、換気扇124をドアパネル122に取り付けることができる。
【0071】
固定部146、148は、保持部138の伸縮方向の一端側及び他端側の位置に設けられているので、保持部138を一端側及び他端側でドアパネル122に固定できる。固定部146、148の位置、すなわちドアパネル122の両面から、さらに保持部138が突出することはない。
【0072】
本実施形態の換気扇124では、保持部138が蛇腹部140Bを有しており、保持部138は軸方向、すなわち換気扇本体126の空気の流れ方向に伸縮可能である。したがって、ドアパネル122として厚みの異なるものがあっても、この厚みに対応して保持部138の軸方向の長さを調整することで、ドアパネル122の厚みに対応させて、換気扇124を取り付けることが可能である。
【0073】
たとえば、
図9に示すドアパネル122Pでは、
図2に示すドアパネル122よりも厚い。この場合、蛇腹部140Bが伸びた状態を採ることで、保持部138として軸方向に長くなるので、厚いドアパネル122Pに対応して、換気扇124を取り付けできる。
【0074】
また、
図10に示すドアパネル122Qでは、
図2に示すドアパネル122よりも薄い。この場合、蛇腹部140Bが縮んだ状態をとることで、保持部138として軸方向に短くなるので、薄いドアパネル122Qに対応して、ドアパネル122Qから突出することなく換気扇124を取り付けできる。
【0075】
さらに、ドアパネル122が、一様でない厚みを有する形状の場合は、取付部位の厚みも、その位置によって異なることとなる。このような場合でも、取付部位ごとにことなる厚みに対応させて、換気扇124をドアパネル122に取り付けできる。
【0076】
このように、換気扇124がドアパネル122の各種の厚みに対応して取り付けられることで、固定部146、148をドアパネル122の両面に接触した状態を実現できる。このように固定部146、148をドアパネル122に接触させて強固に固定することで、換気扇124としてもドアパネル122に強固に取り付けることができる。
【0077】
また、換気扇124がドアパネル122の厚みに対応しているので、保持部138が、ドアパネル122の厚み方向で一端側から他端側まで連続する。したがって、保持部138を、空気の流れのダクトとして機能させて、スムーズな風の流れを生じさせることが可能である。
【0078】
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、第二実施形態に係るドアの全体的構造は第一実施形態のドア120と同様であるので、図示を省略する。
【0079】
図11に示すように、第二実施形態の換気扇154では、第一筒体140に蛇腹部140B(
図2等参照)は設けられていないが、大径部140A及び小径部140Cは設けられている。
【0080】
また、第二実施形態では、第二筒体142が第一実施形態よりも軸方向に長く形成されている。そして、第二筒体142を第一筒体140の小径部140Cに外側から装着した場合の、第二筒体142と小径部140Cとの重なり範囲が、第一実施形態よりも長くなるように設定されている。実質的に、第二実施形態では、第一筒体140と第二筒体142をこのように重なっている状態でスライドさせることで、保持部138が軸方向に伸縮可能な構造である。
【0081】
第二実施形態の換気扇154をドアパネル122に取り付ける場合は、
図12に示すように、第一筒体140を小径部140C側から取付孔152に挿入し、固定部146がドアパネル122に接触した状態とする。第二実施形態では、この状態で、第一筒体140の小径部140Cの先端140T側の部分は、ドアパネル122から突出していない。
【0082】
そして、この状態で、第一筒体140の反対側から、固定部148がドアパネル122に接触するまで、第二筒体142を取付孔152に挿入する。固定部146、148がドアパネル122に接触した状態で、固定部146、148をスクリュウ等を用いてドアパネル122に固定することで、ドアパネル122に換気扇154が取り付けられる。
【0083】
このように、蛇腹部140Bを有しない構造の第二実施形態であっても、第一筒体140と第二筒体142とのスライドにより保持部138の軸方向の長さが可変の構造である。したがって、厚みの異なる各種のドアパネル122に対し、ドアパネル122の厚みに対応させて換気扇154をドアパネル122に取り付けることができる。
【0084】
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態においても、第一実施形態と同様の要素、部材等については第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、第三実施形態に係るドアの全体的構造は第一実施形態のドア120と同様であるので、図示を省略する。
【0085】
図13に示すように、第三実施形態の換気扇164では、保持部138が、互いにスライド可能な第一筒体140及び第二筒体142(
図2等参照)を有することなく、単一の筒体166で構成されている。この筒体166には、蛇腹部140Bが形成されており、軸方法に伸縮可能である。
【0086】
また、第三実施形態の換気扇164では、固定部146、148の少なくとも一方(
図13に示す例では両方)は、筒体166とは別体である。このように筒体166とは別体の固定部146、148は、筒体166の軸方向の端面に、図示しないスクリュウや接着剤等を用いて固定することが可能である。
【0087】
第三実施形態の換気扇164をドアパネル122に取り付ける場合は、
図14に示すように、筒体166を取付孔152に挿入し、筒体166の軸方向の長さがドアパネル122の厚みと一致した状態となるように保持部138を伸縮させる。
【0088】
そして、筒体166の軸方向の端面に、それぞれ固定部146、148を固定する。このとき、筒体166の軸方向の長さはドアパネル122の厚みと一致しているので、固定部146、148はドアパネル122に接触する。
【0089】
さらに、スクリュウ等を用いて固定部146、148をドアパネル122に固定することで、ドアパネル122に換気扇164が取り付けられる。
【0090】
このように、単一の筒体166を有する構造の第三実施形態であっても、保持部138の軸方向の長さは、蛇腹部140Bによって可変になっている。したがって、厚みの異なる各種のドアパネル122に対し、ドアパネル122の厚みに対応させて換気扇154をドアパネル122に取り付けることができる。
【0091】
上記した第一~第三実施形態では、固定部146、148は、保持部138の軸方向の両端に設けられている。しかしながら、本願の開示の技術において、固定部146、148は、保持部138の軸方向の両端に設けられている必要はなく、たとえば一端側にのみ設けられている構造(固定部146のみ、又は固定部148のみを有する構造)でもよい。第一~第三実施形態のように固定部146、148が保持部の軸方向の両端に設けられていると、両端の固定部146、148を用いてドアパネル122に換気扇124、154を取り付けでき、取付状態が安定する。
【0092】
本願の開示の技術では、いわゆる「24時間換気システム」が採用されている建物への適用が可能である。この場合、換気扇124、154、164を、「24時間換気システム」における空気の換気を補助し、換気効率を向上させる手段として適用しうる。
【0093】
上記の例では、
図4及び
図5に示したように、換気扇124、154、164とは別体の制御装置172を有する構成である。これに対し換気扇124、154、164のそれぞれが、制御装置172を備えた構成でもよい。
【0094】
上記したドア120は、本願の開示の技術に係る仕切部材の一例であり、ドアパネル122に換気扇124、154、164が備えられた構成である。すなわち、工場においてドア120を製造すれば、ドアパネル122に換気扇124、154、164が備えられた仕切部材としてのドア120が得られる。したがって、たとえば建物の工事現場において、あらたにドアパネルに換気扇を取り付ける工事が不要であり、工事負担が軽減される。
【0095】
また、既存の建物のドアを、開示の技術に係るドア120に交換してもよく、これにより、建物104内の2つの室の間に換気扇124、154、164を備えた構造を容易に実現できる。この場合であっても、既設の建物104自体に対する工事は不要であり、内装工事としてのドア交換工事を行えばよいので、現場での工事の負荷が小さい。なお、既設のドアに取付孔152を形成すると共に、換気扇124、154、164を取り付ける工事を行い、本願の開示の技術のドアの構成が実現されるようにしてもよい。
【0096】
本願の開示の技術において、換気扇124、154、164を取り付ける対象である仕切部材本体は、上記したドアパネル122に限定されず、建物壁(内壁及び外壁を含む)、建物天井及び建物床等が含まれる。これらの仕切部材本体に対し取付孔152(
図6等参照)を形成することで、換気扇124、154、164を取り付けることが可能である。建物内壁の場合には、工場等で換気扇124、154、164を取り付けておき、この建物内壁を建物内に設置すれば、建物内での換気扇取付工事が不要となる。
【0097】
また、建物104が集合住宅の居宅である場合、換気扇124をあらたに設置するスペースが不要なので、換気扇124、154、164を設置しやすい。
【符号の説明】
【0098】
102 換気システム
104 建物
120 ドア
122 ドアパネル
124 換気扇
126 換気扇本体
128 シャッタ
130 ルーバ
132 フィルタ
134 状態センサ
136 通信部
138 保持部
140 第一筒体
140A 大径部
140B 蛇腹部
140C 小径部
140T 先端
142 第二筒体
144 ストッパ壁
146、148 固定部
150 固定孔
152 取付孔
154 換気扇
164 換気扇
166 筒体
172 制御装置
174 受信部
176 制御部
178 送信部