(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189178
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】超音波センサ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20221215BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H04R1/02 330
H04R17/00 330H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097604
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000242633
【氏名又は名称】北陸電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓文
(72)【発明者】
【氏名】荻原 克行
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019AA25
5D019BB28
5D019EE01
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で構成することができ、しかも電磁誘導磁界の影響を受けにくい超音波センサを提供する。
【解決手段】超音波センサ1は、ハウジング3の内面3A及び外面3Bが薄膜導電層33及び34により覆われている。ハウジング3の後方スペースS2を囲む筒状本体31には回路基板13の対向する一対の辺を保持する一対の嵌合溝4が形成されている。一対の嵌合溝4に回路基板13の一対の辺が嵌合されている。回路基板13上のアース電極14と薄膜導電層33及び34が電気的に接続されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のハウジング内に収容された超音波振動子と、前記ハウジング内に収容されて前記超音波振動子と共振回路を構成するコイルを備えた回路基板とを備え、前記超音波振動子に共振電圧を印加したときに該超音波振動子の圧電効果により超音波を送信し、該超音波が物体により反射されて前記超音波振動子により受信されたときその逆圧電効果により前記共振回路を通して受信信号を発生する超音波センサにおいて、
少なくとも前記ハウジングの内面は薄膜導電層により覆われており、
前記薄膜導電層が前記回路基板上のアース電極に電気的に接続されていることを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記内面を含む表面の全てが前記薄膜導電層により覆われていることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記ハウジングは筒状を呈する筒状本体と、該筒状本体の内部に配置されて前記筒状本体から内側に突出する環状壁部とを備えており、
前記環状壁部の表面も前記薄膜導電層によって覆われており、
前記筒状本体の一端と前記環状壁部との間の前方スペースに前記超音波振動子が配置され、
前記筒状本体の他端と前記環状壁部との間の後方スペースに前記回路基板が収容されている請求項1または2に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記後方スペースを囲む前記筒状本体には前記回路基板の対向する一対の辺を保持する一対の保持部が形成されており、
前記一対の保持部の表面も前記薄膜導電層によって覆われており、
前記回路基板の前記一対の辺に沿って、前記一対の保持部の前記表面を覆う前記薄膜導電層と電気的に接続される一対のアース電極が形成されている請求項3に記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記一対の保持部は、前記筒状本体の前記他端から前記環状壁部に向かって延びる一対の嵌合溝からなる請求項4に記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記筒状本体の前記他端側の開口部からは前記回路基板上の複数の接続電極に芯線が接続された複数本のリード線が延び出ており、前記複数のリード線の前記芯線に接続されたコネクタ端子が接続されている請求項3に記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記後方スペースはモールド樹脂によって封止されている請求項3に記載の超音波センサ。
【請求項8】
前記薄膜導電層はメッキ層からなる請求項1に記載の超音波センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の障害物検出装置や自動ドア装置その他各種の装置に採用される超音波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平10-123235号公報には、超音波振動子と共に共振現象をもたらすコイルが、外乱としての電磁誘導磁界の変動の影響を受けることのない超音波センサとして、超音波振動子を収容するハウジングの後部にリテーナを介し同軸的に外方から銅等の電気的良導金属材料により形成されたショートリングが嵌装されている。このショートリングの軸方向幅は、処理回路のトランスを含む全構成部材をハウジングの後部を介し覆うように設定されている。処理回路を実装した回路基板は、超音波振動子を通るハウジングの中心線と直交する方向に延びるようにハウジング内に配置されている。超音波センサの近傍に存在する外乱としての電磁誘導磁界が変動すると、この電磁誘導磁界がその変動によりトランスのコイルに影響を与える。このため、コイルがその電磁誘導作用により逆起電力を発生すると、この逆起電力が受信信号にノイズとしてのった状態でコントローラに出力され、コントローラが、上記ノイズがのった受信信号に基づき、障害物がないにもかかわらず、誤って、障害物有りと検出するという不具合が生ずる。従来の超音波センサでは、リテーナを介してショートリングを配置することにより、超音波振動子と共に共振現象をもたらすコイルが、外乱としての電磁誘導磁界の変動の影響を受けないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構造では、リテーナやショートリングをハウジングに装着する必要があり、部品点数が多くなるだけでなく、組み立て工数が増えて製造コストが高くなる。またショートリングによって覆われていない部分や、ショートリングとハウジングの外面との間にできる隙間から電磁誘導磁界がハウジングの内部に作用して、様々なノイズ発生の原因となっていることが判った。また従来の構造では、ショートリングの接地を必須としていないが、接地しようとすると、接地構造を工夫する必要があった。さらに従来の構造では、回路基板の実装及び取付が面倒であるという問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、少ない部品点数で構成することができ、しかも電磁誘導磁界の影響を受けにくい超音波センサを提供することにある。
【0006】
上記目的に加えて、本発明の別の目的は、回路基板の実装が容易な超音波センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、樹脂製のハウジング内に収容された超音波振動子と、ハウジング内に収容されて超音波振動子と共振回路を構成するコイルを備えた回路基板とを備え、超音波振動子に共振電圧を印加したときに該超音波振動子の圧電効果により超音波を送信し、該超音波が物体により反射されて超音波振動子により受信されたときその逆圧電効果により共振回路を通して受信信号を発生する超音波センサを対象とする。本発明の超音波センサでは、少なくともハウジングの内面は薄膜導電層により覆われている。そして薄膜導電層が回路基板上のアース電極に電気的に接続されている。したがって本発明によれば、少ない部品点数で、電磁誘導磁界の影響を受けにくい超音波センサを提供することができる。なお薄膜導電層は、メッキ、蒸着等の適宜の薄膜形成技術を用いて形成すればよい。特に薄膜導電層をメッキ層で形成すると、薄膜導電層の厚みのバラツキをコントロールすることができ、電磁誘導磁界の影響を極力受けないようにすることができる上、薄膜導電層の存在が組み立ての障害になることを阻止することができる。例えば、メッキ層を無電解ニッケルメッキにより形成しても、メッキ層の厚みは電磁誘導磁界がハウジングの内部に作用するのを阻止するのに必要な厚みを十分に確保することができる。なおハウジングの内面を含む表面の全てが薄膜導電層により覆われていてもよく、この場合には、ハウジングの外面もメッキ層で覆われて二重のシールド効果を発揮することができる。
【0008】
具体的には、ハウジングは筒状を呈する筒状本体と、該筒状本体の内部に配置されて筒状本体から内側に突出する環状壁部とを備えていてもよい。この場合、環状壁部の表面も薄膜導電層によって覆われる。そして筒状本体の一端と環状壁部との間の前方スペースに超音波振動子が配置され、筒状本体の他端と環状壁部との間の後方スペースに回路基板が収容される。このような構造にすると、超音波振動子側から来るノイズを薄膜導電層によって覆われた環状壁部によって、ある程度阻止することができる。また環状壁部は、超音波振動子及び回路基板の位置決め手段としても用いることができ、超音波センサの組み立てが容易になる。
【0009】
さらに後方スペースを囲む筒状本体には前記回路基板の対向する一対の辺を保持する一対の保持部が形成されており、一対の保持部の表面も前記薄膜導電層によって覆われており、回路基板の一対の辺に沿って、一対の保持部の表面を覆う薄膜導電層と電気的に接続される一対のアース電極部が形成されていてもよい。このような構造を採用すると、回路基板の位置決め固定が容易であるだけでなく、薄膜導電層の接地を確実に行える。なおアース電極の長さを長くして、保持部全体をアース電極部と接続すると、薄膜導電層の接地位置を広くすることができ、接地位置の違いにより接地効果にバラツキが生じることを防止できる。一対の保持部は、筒状本体の他端から環状壁部に向かって延びる一対の嵌合溝から構成することができる。一対の保持部を一対の嵌合溝により構成すると、回路基板の位置決めが容易な上、回路基板を確実に固定できるので、接続不良が発生することを阻止することができる。
【0010】
筒状本体の他端側の開口部からは回路基板上の複数の接続電極に芯線が接続された複数本のリード線が延び出ており、複数のリード線の芯線に接続されたコネクタ端子が接続されていてもよい。複数のリード線を介してコネクタ端子を設けると、超音波センサの設置位置の自由度を高めることができる。
【0011】
なお後方スペースはモールド樹脂によって封止されていれば、防水性能を簡単に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態の超音波センサを縦にした状態の斜視図である。
【
図2】超音波振動子の中の構造及びモールド樹脂の図示を省略した
図1のII-II線断面図である。
【
図3】(A)及び(B)は、それぞれハウジングの被覆構造を示す模式図である。
【
図4】本実施の形態の超音波センサをコネクタ端子側から見た斜視図である。
【
図6】
図1の状態における超音波センサの底面図である。
【
図7A】メッキ処理がある場合の超音波センサの出力の例を示す図である。
【
図7B】メッキ処理がない場合の超音波センサの出力の例を示す図である。
【
図8A】メッキ処理がある場合の超音波センサの出力(被測定物がある場合)の例を示す図である。
【
図8B】メッキ処理がない場合の超音波センサの出力(被測定物がある場合)の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の超音波センサの一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、例えば、車両用コーナーソナーとしての役割を果たす障害物検出装置に使用可能な本実施の形態の超音波センサ1を縦にした状態の斜視図である。但し、
図1にはハウジング3の内部のモールド樹脂は省略してある。
図2は、超音波振動子5の中の構造及びモールド樹脂の図示を省略した
図1のII-II線断面図である。なお
図2には、断面部分を示すハッチングは省略してある。
図3(A)及び(B)は、それぞれハウジング3の被覆構造を示す模式図である。
図4は本実施の形態の超音波センサ1をコネクタ端子7側から見た斜視図である。
図5は
図1のV-V線端面図であり、
図6は
図1の状態における底面図である。
【0015】
この超音波センサ1には、3本のリード線9を介してコネクタ端子7が接続されている。3本のリード線9は、ハウジング3の内部に収納された回路基板13の回路パターンに含まれる接続電極に半田付けされている。
【0016】
この超音波センサ1は、例えば車両の前側バンパーに取り付けられて使用される。超音波センサ1は、PBT樹脂材料等の絶縁樹脂材料により形成されたハウジング3を備えている。このハウジング3は、筒状を呈する筒状本体31と、該筒状本体31の内部に配置されて筒状本体31から内側に突出する環状壁部32とを備えている。筒状本体31の先端(一端)と環状壁部32との間の前方スペースS1に超音波振動子5が配置され、筒状本体31の後端(他端)と環状壁部32との間の後方スペースS2に回路基板13が収容される。
【0017】
図3(A)に模式的に示すように、本実施の形態の超音波センサ1では、ハウジング3の内面3A及び外面3Bは薄膜導電層33及び34により覆われている。薄膜導電層33及び34は、メッキ、蒸着等の適宜の薄膜形成技術を用いて形成すればよい。本実施の形態では、ハウジング3の内面3A全体及び外面3B全体は、無電解ニッケルメッキ等の1層以上のメッキ層により覆っている。好ましいメッキ層は、無電解ニッケルメッキ等からなり、電解のノイズと磁気ノイズを遮断するメッキ層である。メッキ層の厚みは電磁誘導磁界がハウジング3の内部に作用するのを阻止するのに必要な厚みを十分に確保することができる。
【0018】
薄膜導電層33及び34は、回路基板13上の後述するアース電極に電気的に接続されている。なお薄膜導電層33及び34をメッキ層で形成すると、薄膜導電層の厚みのバラツキをコントロールすることができ、電磁誘導磁界の影響を極力受けないようにすることができる上、薄膜導電層の存在が組み立ての障害になることを阻止することができる。特に、本実施の形態のように、ハウジング3の外面3Bもメッキ層で覆われていれば、二重のシールド効果を発揮することができる。またこのような構造にすると、超音波振動子5側から来るノイズを薄膜導電層33によって覆われた環状壁部32によって、ある程度阻止することができる。また環状壁部32は、超音波振動子5及び回路基板13の位置決め手段としても用いることができ、超音波センサの組み立てが容易になる。
【0019】
本実施の形態では、さらに後方スペースS2を囲む筒状本体31には回路基板13の対向する一対の辺を保持する一対の保持部としての一対の嵌合溝4が形成されている。
図3(B)に模式的に示すように、一対の嵌合溝4の内面も薄膜導電層33によって覆われている。回路基板13の一対の辺に沿って、一対の嵌合溝4の表面を覆う薄膜導電層33と電気的に接続される一対のアース電極14が形成されていている。本実施の形態では、回路基板13の厚み方向の表面及び裏面にそれぞれアース電極14が辺に沿うように形成されている。なお回路基板13の厚み方向の表面及び裏面の一方で回路基板の一辺に沿って1本のアース電極14を形成するようにしても、本発明を実現できる。一対の嵌合溝4の表面を覆う薄膜導電層33とアース電極14との電気的に接続は、強い接触によって実現してもよいが、半田または導電性接着剤を用いて両者を接合するのが好ましい。半田を用いる場合には、半田クリームをアース電極14に塗布しておき、一対の嵌合溝4に回路基板13を嵌入後に全体を加熱して半田クリームを溶かすようにすればよい。このような構造を採用すると、回路基板13の位置決め固定が容易であるだけでなく、薄膜導電層33の接地を確実に行える。なおアース電極14の長さを長くして、嵌合溝4全体をアース電極14と接続すると、薄膜導電層33の接地位置を広くすることができ、接地位置の違いにより接地効果にバラツキが生じることを防止できる。
【0020】
図示していないが、回路基板13は、図示しない、防湿用シリコン樹脂によりハウジング3の後部スペースS2内にモールドされている。一方、超音波振動子5は、シリコンゴム等の振動吸収用弾性樹脂により、ハウジング3の前部スペースS1内に同軸的にモールドされている。
【0021】
ここで、超音波振動子5は、アルミニウムからなるケーシング内に圧電素子をエポキシ系接着材により接着して構成されている市販製品である。本実施の形態のように、ハウジング3の内面及び外面の全体を薄膜導電層で覆えば、ハウジングの内部に配置される部品に対して最も高いシーリング効果を提供することができるので、超音波振動子5として、特別なノイズ対策を施していないものを用いても、超音波センサとしての性能に大きな影響を与えることがない。
【0022】
超音波振動子5は、ワイヤハーネス15を介して回路基板13上の共振回路に接続されていている。回路基板13には、共振回路を構成するコンデンサ19及びコイルを含むトランス16と、信号処理のためのIC18等が実装されている。トランス16の2次コイルは共振回路を構成する部品としてのコイルとして利用される。なお本実施の形態では、回路基板13上に実装した共振回路及び増幅回路を含む信号処理回路は公知の構成を採用している。
【0023】
超音波振動子5内の図示しない圧電素子は、圧電効果及び逆圧電効果を発揮するものであり、この圧電素子は、ワイヤハーネス15を介してトランス16の2次コイルに接続されている。超音波振動子5内の圧電素子、コンデンサ19及びトランス16の2次コイルを含んで並列共振回路が構成される。また、IC18の制御によりトランス16の1次コイルに駆動電圧を印加すると、トランス16が駆動電圧を昇圧し、2次コイルに昇圧された駆動電圧が発生する。これに伴い、超音波振動子5内の圧電素子の圧電効果により機械的振動を生ずる。これにより超音波振動子5がその送受信面51からハウジング3の開口部35を通して前方に超音波を送信する。また、この送信超音波が前方に位置する障害物により反射されると、超音波振動子5がその送受信面51にて反射超音波を受信して圧電素子に伝達する。このため、圧電素子が、逆圧電効果により圧電電圧を発生し、この圧電電圧を上記並列共振回路を通して増幅回路に出力する。
【0024】
上記実施の形態では、ハウジング3の内面及び外面を全てメッキ層からなる薄膜導電層により覆ったが、少なくともハウジング3の内面を薄膜導電層で覆えば、発明の効果を得ることは可能であるが、メッキの作業性の観点からはハウジングの内面及び外面の全てをメッキ層で覆うことが好ましい。
【0025】
図7(A)は、本実施の形態の筒状本体31にメッキ処理をした超音波センサを、反射波を受信しないようにタオルで包み、30cm離した位置にノイズ源を置いたときの超音波センサの出力の一例を示す図である。また
図7(B)は、筒状本体31にメッキ処理をしていない比較例の超音波センサを、反射波を受信しないようにタオルで包み、30cm離した位置にノイズ源を置いたときの超音波センサの出力の一例を示す図である。
図7(A)及び(B)において、横軸は超音波センサからの距離(mm)であり、縦軸は受信電波の強さである。
図7(A)及び(B)において距離0付近から200mm付近に現れている大きな信号は、超音波センサの発信信号である。距離が離れた位置からの受信電波の強さが大きいのは、使用しているICの増幅率が距離に比例して大きくなるように設定されているためである。なおこのことは
図7(B)においても同じである。
図7(A)及び(B)の受信信号N及びN´は、超音波センサが検出したノイズに相当する。
図7(A)及び(B)の信号N及びN´を対比すると、同じノイズ源に対して、本実施の形態の超音波センサのノイズピークは大幅に小さくなっている。
【0026】
また
図8(A)は、本実施の形態の筒状本体31にメッキ処理をした超音波センサの前方の複数箇所に被測定物を置いたときの超音波センサの出力Sの一例を示す図である。
図8(B)は、同じ条件で、筒状本体31にメッキ処理をしていない比較例の超音波センサの前方に被測定部を置いたときの超音波センサの出力S´の一例を示す図である。
図8(A)のS1は、超音波センサから最も近い位置にある被測定物から反射された信号である。
図8(B)の信号S´1も超音波センサから最も近い位置にある被測定物から反射された信号であるが、
図8(A)の信号S1を比較して波高値が大きい。これはノイズが含まれているためである。また
図8(A)の遠方位置の信号の波高値が大きい。これはノイズが含まれているためである。また
図8(A)の遠方位置の複数の信号Sdと、
図8(B)の遠方位置の信号S´dを比較すると判るように、
図8(B)の遠方位置の信号S´dの信号の数が多く、しかも各信号の波高値の差が無くなっており、どの信号が正しい検出信号かが不明な状態になっている。
図8(A)及び(B)の比較から、本発明の実施の形態の超音波センサは、ノイズの影響を受けにくく、正しく被測定物の存在を検知できることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、少ない部品点数で、電磁誘導磁界の影響を受けにくい超音波センサを提供することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 超音波センサ
3 ハウジング
3A 内面
3B 外面
31 筒状本体
32 環状壁部
33,34 薄膜導電層
35 開口部
4 嵌合溝(保持部)
5 超音波振動子
7 コネクタ端子
9 リード線
13 回路基板
14 アース電極部
15 ワイヤハーネス
16 トランス
18 IC
19 コンデンサ
S1 前部スペース
S2 後部スペース