(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189181
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】薬剤分包機
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097607
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA17
4C047JJ06
4C047JJ07
4C047JJ10
4C047JJ26
4C047KK11
4C047KK25
4C047KK28
(57)【要約】
【課題】表示画面上で、予め患者毎の処方箋データを確認できて、しかも予備庫部材の錠剤カセットを移し替える時期が判る錠剤分包機を提供する。
【解決手段】表示情報決定表示制御部35は、処方箋データ記憶部に記憶されている1以上の処方箋データから、次に分包する1以上の処方箋データが判るように表示画面DSに表示する。また表示情報決定表示制御部35は、在庫情報管理部80Caで管理されている情報に基づいて、次の1以上の処方箋データ中に複数の薬剤フィーダ格納庫及び前方薬剤フィーダ格納庫に収納された複数の薬剤カセット15のいずれにも収容されていない薬剤が、予備庫部40に収容されている複数の予備用の薬剤カセット15に収容されている複数の薬剤の中に在る薬剤であることを判定すると、該薬剤を含む予備用の薬剤カセットが存在することを示す存在表示を表示画面DSに表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容しうる複数の薬剤カセットを着脱可能に保持しうる複数のカセットベースを装備した複数の薬剤フィーダ格納庫と、
少なくとも1つの前記薬剤フィーダ格納庫の前方に複数の前向きカセットベースを備えた1以上の前方薬剤フィーダ格納庫と、
複数の予備用の薬剤カセットを着脱可能に保持しうる複数の予備カセットベースを装備した1以上の予備庫部と、
前記複数の薬剤フィーダ格納庫と前記1以上の前方薬剤フィーダ格納庫のそれぞれに対して設けられて前記複数の薬剤カセットから排出された薬剤を下方へ案内して落下させる複数の上部薬剤収集機構及び前記複数の薬剤フィーダ格納庫の下方に設けられていて前記複数の上部薬剤収集機構から落下した薬剤を収集して下方の包装装置へ投入する下部薬剤収集機構と、
前記複数の薬剤カセット及び前記複数の予備用の薬剤カセット内の前記薬剤の在庫情報を管理する在庫情報管理部と、
上位のシステムから送信されるまたは入力部から入力される1以上の処方箋データを記憶する処方箋データ記憶部と、
表示画面を備えた操作表示部材と、
前記表示画面に表示する表示情報を決定して前記表示画面に表示する表示情報決定表示制御部とを備えてなる薬剤分包機であって、
前記表示情報決定表示制御部は、
前記処方箋データ記憶部に記憶されている前記1以上の処方箋データから、次に分包する1以上の処方箋データが判るように前記表示画面に表示し、
前記在庫情報管理部で管理されている情報に基づいて、前記次の1以上の処方箋データ中に前記複数の薬剤フィーダ格納庫の前記複数の薬剤カセット、前記1以上の前方薬剤フィーダ格納庫の前記複数の前向きカセットベースに装着された複数の薬剤カセットのいずれにも収容されていない薬剤が、前記予備庫部に収容されている前記複数の予備用の薬剤カセットに収容されている複数の薬剤の中に在る薬剤であることを判定すると、該薬剤を含む前記予備用の薬剤カセットが存在することを示す存在表示を前記表示画面に表示することを特徴とする錠剤分包機。
【請求項2】
前記表示情報決定表示制御部は、該当する前記予備用の薬剤カセットが前記前向きカセットベースに装着されると、前記存在表示を消す請求項1に記載の錠剤分包機。
【請求項3】
薬剤手撒き装置をさらに備えており、
前記表示情報決定表示制御部は、前記在庫情報管理部で管理されている情報に基づいて、前記次の処方箋データ中に前記複数の薬剤フィーダ格納庫の前記複数の薬剤カセット、前記1以上の前方薬剤フィーダ格納庫の前記複数の前向きカセットベースに装着された複数の薬剤カセットのいずれにも収容されていない薬剤が、前記予備庫部に収容されている前記複数の予備用の薬剤カセットに収容されている複数の薬剤の中に有る薬剤にはない薬剤であることを更に判定すると、前記薬剤手撒き装置の準備の必要性を示す準備表示を前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の錠剤分包機。
【請求項4】
前記表示情報決定表示制御部は、前記薬剤手撒き装置の準備が完了すると、前記準備表示を消す請求項3に記載の錠剤分包機。
【請求項5】
前記表示情報決定表示制御部は、前記表示画面に表示する処方箋データとして、前記薬剤手撒き装置を使用する2以上の処方箋データが連続しないように処方箋データの表示順序を決定することを特徴とする請求項4に記載の錠剤分包機。
【請求項6】
前記表示情報決定表示制御部は、前記予備庫部内に該当する薬剤が収容されている薬剤カセットの位置情報を前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の錠剤分包機。
【請求項7】
前記表示情報決定表示制御部は、前記複数の処方箋データから所定の数の処方箋データの一覧表示を前記表示画面に表示し、
前記一覧表示には、該当する処方箋データ中に前記予備庫部にある複数の錠剤カセット内に在る薬剤が含まれていることが見て判る態様で前記一覧表示が表示されており、
前記表示情報決定表示制御部は、前記一覧表示から選択された1つの処方箋データの詳細表示を前記表示画面に表示し、
前記詳細表示には、前記予備庫部内における該当する薬剤を含む前記薬剤カセットの位置を示す位置情報含まれている請求項1に記載の錠剤分包機。
【請求項8】
前記在庫情報管理部の情報は、前記上位のシステムから前記1以上の処方箋データを受信した際または前記入力部から前記1以上の処方箋データが入力された際に更新される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の錠剤分包機。
【請求項9】
前記在庫情報管理部の情報は、1回の分包処理が完了するたびに更新される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の錠剤分包機。
【請求項10】
前記在庫情報管理部の情報は、錠剤分包機の立ち上げ時に更新される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の錠剤分包機。
【請求項11】
前記在庫情報管理部の情報は、錠剤分包機の立ち上げ時、前記上位システムから前記1以上の処方箋データを受信した際または前記入力器から前記1以上の処方箋データが入力された際及び1回の分包処理が完了するたびに更新される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の錠剤分包機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筐体に複数装備されている薬剤フィーダ格納庫が筐体から引き出せるようになっている薬剤分包機に関し、特に、薬剤の収容状況などを表示しうる操作表示部材を備えた薬剤分包機に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2018203571号公報(特許文献1)には、出願人が先に提案した薬剤分包機が開示されている。
図4は該公報に記載の薬剤分包機が調剤サーバ80と連携していることを示すブロック図である。また
図5乃至
図7は、該公報に記載された薬剤分包機であり、薬剤収納庫61には、八個の薬剤フィーダ格納庫13A乃至13Hが左右に並んで収まっており、それに応じて上部薬剤収集機構20A乃至20Dを四個備えている。操作表示部材50は二つの分散操作表示部材50A及び分散操作表示部材50Bによって構成されている。また
図6(b)に示すように、筐体の中段のうち下部薬剤収集機構31の上端の辺りには組込型の薬剤手撒き装置33が装備されている。そして、筐体の左側面には上下二段の予備庫部40が付設されている。
【0003】
薬剤フィーダ格納庫13A乃至13Hは、何れも、横向きカセットベース16が装備されている。横向きカセットベース16には、バーコード等の識別情報を保持する識別情報担体が付設された薬剤カセット15が装着される。また、その識別情報を読み取る情報読取装置が、横向きカセットベース16に装備されている。識別情報担体が付いた薬剤カセット15を横向きカセットベース16に装着すると、識別情報が読み取られ更に無線や有線のLAN等を介して
図4の調剤サーバ(ホストコンピュータ)80に送信される。調整サーバ80は、薬品マスタ80A、状態表示手段80B、カセット管理80c及び案内手段80Dを備えて、照合と情報検索を行う。調整サーバ80の機能は、特開2018-187053号公報(特許文献2)で公知であるので簡単に説明する。調剤サーバ80は、有線や無線のLANで接続されて各機器と通信できるようになっている。調剤サーバ80は、薬剤分包機の制御部に送信する調剤指示の作成等のために、調剤指示の元になる処方箋データと、各種の薬品に係る情報をデータとして保持する薬品マスタ80Aと、動作ステータスを表示する状態表示手段80Bと、薬剤カセットの管理に役立つ情報をデータ保持するカセット管理部80Cと、点灯部材の点灯制御を行う案内手段80D(プログラム)とを備えている。薬品マスタ80Aへの処方箋データは、図示しない処方オーダリングシステム等から入力される。薬剤カセット15に設けた、バーコード等の識別情報を保持する識別情報担体には値の異なる識別情報が予め割り振られている。それらの識別情報が薬品マスタ80A、状態表示手段80B、カセット管理80C及び案内手段80Dにおいても個々の薬剤や薬剤カセットに対応づけてデータ保持されるようになっている。薬剤カセット15を横向きカセットベース16に装着すると、薬剤カセット15に付された識別情報が横向きカセットベース16の識別情報読取装置によって読み取られて調剤サーバ80に通知されるので、調剤サーバ80は、薬剤と薬剤カセット15と横向きカセットベース16との対応関係まで把握するものとなっている。案内手段80Dは、そのような対応関係に基づき識別情報を手掛かりにして、何れかの薬剤カセットが薬剤補充対象になると、その薬剤カセットの視認性を高めるために、その薬剤カセットの装着先の横向きカセットベース16の点灯部材を点灯させるようになっている。
【0004】
図7に示すように、薬剤フィーダ格納庫13A及び13Bと薬剤フィーダ格納庫13G及び13Hの前方には、前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14Dが設けられている。また薬剤フィーダ格納庫13C及び13Dと薬剤フィーダ格納庫13E及び13Fの前方には、分散操作表示部材50A及び50Bを備えた前方パネル14B及び14Cが設けられている。中央寄りの二対の薬剤フィーダ格納庫13C及び13Dと13E及び13Fの前方に設けられた前方パネル14B及び14Cには、それぞれの操作表示部材50A及び50Bと補充作業部62A及び62Bとが装備されている。
【0005】
隣接する一対の薬剤フィーダ格納庫13A及び13B~13G及び13Hは、何れも、ガイドレール等の引出部材12を介在させて薬剤収納庫61の低壁に取り付けられている(
図7(d)参照)。隣接する一対の薬剤フィーダ格納庫13A及び13B~13G及び13Hは、取り外し容易な図示しない掛具などを用いて常態では連結されているので、薬剤収納庫61に対する出し入れは、隣接する一対の薬剤フィーダ格納庫で纏まって一緒になされる。また、その際には前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14Dや操作表示部材50A及び50Bが装着されている前方パネル14B及び14Cも、隣接する一対の薬剤フィーダ格納庫13C及び13D並びに13E及び13Fと一緒に移動するようになっている。
【0006】
前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14Dは、薬剤フィーダ格納庫13A及び13B並びに13G及び13Hを短くして縦軸回りに90゜回転させたような構造を有するものであり、図示の例では横に二列で縦に四段の配置で複数の前向きカセットベース17が装備されている(
図5(a)参照)。前向きカセットベース17は、薬剤カセット15を駆動して薬剤を逐次排出させることや、情報読取装置が付設されていること等は、横向きカセットベース16と同じままである。
【0007】
前向きカセットベース17に関する他の点たとえば薬剤カセット15からの薬剤の逐次排出や識別情報の読取といったカセットベース個体の機能やそれを具現化する構成などは、横向きカセットベース16と同じままである。しかし露出状態の前向きカセットベース17が天井の照明等に曝されるのを回避・軽減するために、従来は無かった遮光部材18が、前向きカセットベース17の手前で斜め上のところに(
図5(a))参照)、一つずつ、設けられている。そして、薬剤カセット15の着脱に随伴して遮光部材18が揺動することで)、前向きカセットベース17上のカセット装着空間の前面開口部を開閉するようになっている。
【0008】
操作表示部材50を構成する分散操作表示部材50A及び50Bは、タッチパネル式の表示装置といった公知品で良く、隣接する一対の薬剤フィーダ格納庫13C及び13D並びに13E及び13Fの前面に対してそれぞれ双方に及ぶ状態で装備されている。
【0009】
この操作表示部材50や上述の前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14Bを前端位置に装備した隣接する一対の薬剤フィーダ格納庫13A乃至13Hは、何れにも、既述したように排出薬剤を下方へ案内して下部薬剤収集機構31へ落下させる上部薬剤収集機構20A乃至20Dを具備している(
図5(a),
図6(a)参照)。
【0010】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、上部薬剤落下経路の後方部分21A乃至21Dは、隣接する一対の薬剤フィーダ格納庫のうち左方の薬剤フィーダ格納庫13A,13C,13E及び13Gの右側面に装備された上部薬剤落下経路の後方部分を囲繞する部材の左側部分22A乃至22Dと、右方の薬剤フィーダ格納庫13B,13D,13F及び13Hの左側面に装備された上部薬剤落下経路の後方部分を囲繞する部材の右側部分23A乃至23Dとが対向当接することで確立されている。これにより薬剤フィーダ格納庫13A乃至13Hの複数の横向きカセットベース16に装着された複数の薬剤カセット15から排出された薬剤は、下部薬剤収集機構31へと落下する。また、前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14Bに装備されている前向きカセットベース17に装着された複数の薬剤カセット15から排出された薬剤は下部薬剤収集機構31に落下する。
【0011】
予備庫部40,40は(
図6(a),(b)参照)、図示の例では、薬剤収納庫61やその下部31,32を含んだ本体部の筐体の左側面に対して上下二段重ねの配置で付設されている。予備庫部40,40のうち上側の予備庫部40は、薬品庫部61の左方に位置し、下側の予備庫部40は、下部薬剤収集機構31と包装装置32との左方に位置している。そして、それらの予備庫部40,40は、何れも、右側面解放状態の箱体と、この箱体の中に多段に装備された棚部と、それぞれの棚部の上面に搭載されて前後方向に列なる複数の予備カセットベース41とを具備したものであって、前方へ引き出せるようになっている。
【0012】
複数の予備カセットベース41は、量産されている上述のカセットベース16,17からモータ等の駆動部材を省いて残る静的部材と同じものが採用されている。また、予備庫部40,40を前方へ引き出すと、予備カセットベース41が露出するので、薬剤カセット15の着脱を薬剤収納庫61等の本体部の手前で行うことができる。
【0013】
予備庫部40,40には、情報読取装置が付設されており、情報読取装置で各薬剤カセット15の識別情報担体から読み取った識別情報を無線や有線のLAN等を介して調剤サーバ80(ホストコンピュータ)等に送信するようになっている。そこで、予備カセットベース41はカセットベース16,17と同じものとなっている。予備カセットベース41には予備用の薬剤カセット15が装着される。
【0014】
補充作業部62A及び62Bは、薬剤補充対象の薬剤カセット15に係る補充作業などに一時的な仮置き場を提供するためのものである。補充作業部62に仮置きされた薬剤カセット15についても、識別情報の読取が行われて、その識別情報が制御装置34や調剤サーバ80へ送信されるようになっている。
【0015】
薬剤分包機60に薬剤手撒き装置33が組み込まれていることは上述したが、薬剤手撒き装置33は、公知のもので良く、多数の区画室の形成された予備撒きカセットを着脱するために、カセット保持部が筐体から前方へ進退するようになっている。また、薬剤分包機60は、独立型の薬剤手撒き装置とも調剤サーバ80を介して連携するようになっている。薬剤分包機60と薬剤手撒き装置及び調剤サーバ80との連携は、薬剤手撒き装置33や独立型の薬剤手撒き装置に付設された図示しない情報読取装置が、予備撒きカセット付設の図示しない識別情報担体から予備撒きカセットの識別情報を読み取って、上述の薬剤カセット15の識別情報の送信と同様の公知手法にて、制御装置34や調剤サーバ80へ送信することで実現されている。制御装置34がそのような情報と薬剤分包機60自体の情報とに基づいて調剤サーバ80と連携しながら操作表示部材50への画面表示や操作指示受付を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO2018203571号公報
【特許文献2】特開2018-187053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記に説明した従来の錠剤分包機60では、分包機側面に予備庫部40を設けたことで、より多くの薬剤カセットを用意できるようになったが、処方箋データ受信時まで分包に必要な薬品が薬剤フィーダ格納庫13A~13H及び前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14D内の薬剤カセットなのか、予備庫部40の薬剤カセットなのか分からない。処方箋データに記載の薬剤が薬剤フィーダ格納庫13A~13H及び前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14D内の薬剤カセットの薬剤であれば、処方箋データ受信後、速やかに分包動作に移行できる。しかしながら処方箋データに記載の薬剤が、予備庫部40内の薬剤カセットに入っている薬剤の場合には、前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14D内のカセットベースに予備庫部40内の予備用の薬剤カセット15を移し替える必要がある。また薬剤分包機を極力止めないためには、先の処方箋データ分の錠剤で予備庫部40にある薬剤カセットに入っているものがあれば、これも事前に薬剤カセットを移し替えして用意しておきたい。しかしながら移し替えるにも、予め患者毎の処方箋データを確認できなければ移し替える時期がわからないという問題がある。
【0018】
薬剤分包機側の制御端末が複数の処方箋データを一括受信するか、個別受信するか、または併用かはユーザー運用で左右されるので、予備庫部40にはできるだけ多種多用の薬剤カセットを保管しおきたい。多種の薬剤カセットがあれば、一括受信時であれ、個別受信時であれ、即座に予備庫部40の薬剤カセットを移し替えて分包に使用できるので効率が上がる。反面で、季節柄(花粉症)や危険薬(麻薬系)は、予備庫部40とはいえど常時の保管はできない。そして季節が過ぎれば、次の季節まで使わないので使用期限や劣化の問題が生じる。また時期的に使わない錠剤カセットが予備庫部40を占有するのは非効率に繋がる。
【0019】
なお処方箋データを一括受信して全処方箋データに供する全薬剤カセットを薬剤フィーダ格納庫13A~13H及び前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14D内のカセット棚に装着できない。処方箋データの一括受信だと、薬剤フィーダ格納庫13A~13H及び前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14D内の薬剤カセットと予備庫部40内の薬剤カセット内の薬剤の最新情報を維持しにくい。一括受信後、順次、患者単位で分包処理が進むが、一括受信時点の情報を表示しても情報自体が古く、参考にならない可能性が生じる。なぜならば分包処理の過程で予備庫部40内でカセットを移動したり、前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14Dから錠剤カセットを予備庫部40に戻したりと、錠剤カセット自体に動きが発生し、また次以降の分包のため、予備庫部40から一旦錠剤カセット外して、充填して、錠剤カセットを戻すなどの操作が行われるが、戻すときに、取り外したカセットベースと同じカセットベースに錠剤カセットを戻すとは限らないという問題がある。従来の錠剤分包機は錠剤カセットを識別(補足)して案内手段によりLEDの点灯でガイドはできるが、操作画面上で必要な錠剤カセットの最新情報・位置が確認できるほうが望ましい。
【0020】
また処方箋データが個別で受信されたときは、様々なタイミングで分布が行われることになる。例えば、患者の容態、飛び込みの患者、処方変更が入るなど様々の理由で、処方箋データを一括受信した後に、割り込みや緊急などで優先して個別の処方箋データを分包するケースもある。さらに人員の数、患者の待ち状況、分包以外の調剤ブロックとの兼ね合いなど様々の理由で、ユーザー運用で、処方箋データの一括受信はせず、全て個別受信してその都度分包処理するケースもある。個別受信の場合、1回の分包毎に、錠剤分包機側の情報を最新情報に更新することが可能で、更新時期の設定はしやすい。すなわち個別の処方箋データを1件受信すると同時に錠剤カセット棚と予備庫部40の全てのカセットベースを走査して情報を更新することができる。しかし個別受信は、錠剤分包機の分包動作が止まるので効率的とも言いづらい。複数の処方箋データの一括受信であれ、個別受信であれ、最良のタイミングでカセット情報を更新させたいという要望がある。意図的にユーザーが適宜のタイミングで更新操作を行えばよいかもしれないが、当該操作を手間だと感じたり、操作漏れしたりと人為的な影響が生じる。一括受信後でも、個別受信後でも、一括後の個別受信後でも、分包前にユーザーが情報を確認できて、しかも必要な錠剤カセットが予備庫部40にあれば、錠剤カセットを移し替えるなどの事前準備も行いやすくなる。すなわち速やかに事前準備が済めば、錠剤分包機の停止時間を短縮できて、効率よく分包処理ができる。
【0021】
本発明の目的は、表示画面上で、予め患者毎の処方箋データを確認できて、しかも予備庫部材の錠剤カセットを移し替える時期が判る錠剤分包機を提供することにある。
【0022】
上記目的に加えて、本発明の他の目的は、情報更新が自動的に行われる錠剤分包機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明が改良の対象とする錠剤分包機は、錠剤を収容しうる複数の薬剤カセットを着脱可能に保持しうる複数のカセットベースを装備した複数の薬剤フィーダ格納庫と、少なくとも1つの薬剤フィーダ格納庫の前方に複数の前向きカセットベースを備えた1以上の前方薬剤フィーダ格納庫と、複数の予備用の薬剤カセットを着脱可能に保持しうる複数の予備カセットベースを装備した1以上の予備庫部と、複数の薬剤フィーダ格納庫と1以上の前方薬剤フィーダ格納庫のそれぞれに対して設けられて複数の薬剤カセットから排出された薬剤を下方へ案内して落下させる複数の上部薬剤収集機構及び複数の薬剤フィーダ格納庫の下方に設けられていて複数の上部薬剤収集機構から落下した薬剤を収集して下方の包装装置へ投入する下部薬剤収集機構と、複数の薬剤カセット及び複数の予備用の薬剤カセット内の薬剤の在庫情報を管理する在庫情報管理部と、上位のシステムから送信されるまたは入力部から入力される1以上の処方箋データを記憶する処方箋データ記憶部と、表示画面を備えた操作表示部材と、表示画面に表示する表示情報を決定して表示画面に表示する表示情報決定表示制御部とを備えている。
【0024】
表示情報決定表示制御部は、処方箋データ記憶部に記憶されている1以上の処方箋データから、次に分包する1以上の処方箋データが判るように表示画面に表示し、在庫情報管理部で管理されている情報に基づいて、次の1以上の処方箋データ中に複数の薬剤フィーダ格納庫の複数の薬剤カセット、1以上の前方薬剤フィーダ格納庫の複数の前向きカセットベースに装着された複数の薬剤カセットのいずれにも収容されていない薬剤が、予備庫部に収容されている複数の予備用の薬剤カセットに収容されている複数の薬剤の中に在る薬剤であることを判定すると、該薬剤を含む前記予備用の薬剤カセットが存在することを示す存在表示を表示画面に表示する。
【0025】
本発明によれば、表示画面の表示から、次に分包する1以上の処方箋データ中に、予備庫部に収容されている予備用の薬剤カセットに収容されている薬剤があることが判る、すなわち移し替えをすべき予備用の薬剤カセットがあることが判るので、次の分包処理が始まる前に、その予備用の薬剤カセットを1以上の前方薬剤フィーダ格納庫の前向きカセットベースに移し替えることができる。その結果、薬剤手撒き装置を備えていなければ、分包動作を停止させることなく、次の分包に必要な複数の薬剤カセットをカセットベースに装着した状態を作ることができる。薬剤手撒き装置を備えている場合にも、薬剤手撒き装置の使用が連続しない限り、分包動作を停止させることなく、次の分包に必要な複数の薬剤カセットをカセットベースに装着した状態を作ることができる。薬剤手撒き装置を備えている場合に、薬剤手撒き装置の使用が連続する場合には、分包動作を停止せざるをえなくなるが、停止が頻繁でなければ作業性を悪くすることはない。なお分包動作の停止を避けるためには、表示情報決定表示制御部は、表示画面に表示する処方箋データとして、薬剤手撒き装置を使用する2以上の処方箋データが連続しないように、処方箋データの表示順序を決定すればよい。
【0026】
表示情報決定表示制御部は、該当する予備用の薬剤カセットが前向きカセットベースに装着されると、存在表示を消すのが好ましい。このようにすると存在表示の有無によって、次の分包のための準備が完了したか否かを知ることができるので、作業者は予備用の薬剤カセットの移し替えが終わっているか否かを視覚によって確認できる。
【0027】
決定表示制御部は、在庫情報管理部で管理されている情報に基づいて、次の処方箋データ中に複数の薬剤フィーダ格納庫の複数の薬剤カセット、1以上の前方薬剤フィーダ格納庫の複数の前向きカセットベースに装着された複数の薬剤カセットのいずれにも収容されていない薬剤が、予備庫部に収容されている複数の予備用の薬剤カセットに収容されている複数の薬剤の中に在る薬剤にはない薬剤であることを更に判定すると、薬剤手撒き装置の準備の必要性を示す準備表示をすることもできる。薬剤手撒き装置をさらに備えている場合には、表示情報決定表示制御部は、薬剤手撒き装置の準備が完了すると、準備表示を消すのが好ましい。このようにすれば。薬剤手撒き装置の準備が完了しているか否かを視覚によって確認することができる。なお表示画面の表示から、次に分包する処方箋データ中に、予備庫部に収容されている予備用の薬剤カセットに収容されている薬剤が無いことが判るので、次の分包処理が始まる前に、別に用意した空の薬剤カセット内にその薬剤を充填して、新たな予備用の薬剤カセットを作り、その薬剤カセットを1以上の前方薬剤フィーダ格納庫の前向きカセットベースに移し替えることもできる。
【0028】
表示情報決定表示制御部は、予備庫部内に該当する薬剤が収容されている薬剤カセットの位置情報を表示画面に表示するのが好ましい。このようにすると必要な予備用の薬剤カセットを簡単に見つけることができて、移し替え作業を短い時間で実行することができる。
【0029】
表示情報決定表示制御部は、複数の処方箋データから所定の数の処方箋データの一覧表示を前記表示画面に表示し、一覧表示には、該当する処方箋データ中に予備庫部にある複数の錠剤カセット内に在る薬剤が含まれていることが見て判る態様で一覧表示するのが好ましい。また表示情報決定表示制御部は、一覧表示から選択された1つの処方箋データの詳細表示を表示画面に表示し、詳細表示には、予備庫部内における該当する薬剤を含む錠剤カセットの位置を示す位置情報が含まれているのが好ましい。このような表示態様を採用すると、表示の選択動作及び錠剤カセットの移し替え操作をスムーズに且つ確実に行うことができる。
【0030】
在庫情報管理部の情報は、上位のシステムから1以上の処方箋データを受信した際または入力器から1以上の処方箋データが入力された際に更新されてもよく、また在庫情報管理部の情報は、1回の分包処理が完了するたびに更新されてもよく、更に在庫情報管理部の情報は、錠剤分包機の立ち上げ時に更新されてもよい。このようにすると、情報更新によって、基本的に最新情報が自動的に維持されるので、高い信頼性でユーザーは表示を確認して、分包処理が到来する前に錠剤カセットの移し替えを行える。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の薬剤分包機の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図2】操作表示部材の表示画面に表示する一覧表示としての処方表示の一例を示す図である。
【
図3(A)】表示画面に表示する詳細表示の一例である処方詳細の表示の一例を示す図である。
【
図3(B)】表示画面に表示する詳細表示の一例である処方詳細の表示の一例を示す図である。
【
図4】本発明の改良の対象となる既存の薬剤分包機が調剤サーバと連携していることを示すブロック図である。
【
図5】(a)は既存の薬剤分包機の全体を右斜め上から左後方へ向けて見下ろした外観斜視図であり、(b)は薬剤フィーダ格納庫の最前部分に設けられた前方薬剤フィーダ格納庫の外観斜視図である。
【
図6】(a)は既存の薬剤分包機の全体を左斜め上から右後方へ向けて見下ろした外観斜視図、(b)は既存の薬剤分包機の全体を右斜め上から左後方へ向けて見下ろした外観斜視図である。
【
図7】(a)は薬剤フィーダ格納庫及び前方薬剤フィーダ格納庫を総て薬剤収納庫に押し込んだ状態を示しており、(b)は薬剤フィーダ格納庫と前方薬剤フィーダ格納庫を薬剤収納庫から引き出した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下図面を参照して本発明の実施の形態の薬剤分包機の一例を詳細に説明する。
【0033】
本実施の形態の薬剤分包機の基本構成は、
図4乃至
図7を用いて上記に説明した従来の薬剤分包機と同じである。従来の薬剤分包機と相違するのは、調剤サーバ80内の構成である。したがって以下の説明では、
図4乃至
図7に示された部材の符号を用いて説明をする。
【0034】
図1に示した本実施の形態の調剤サーバ80は、
図4の調剤サーバと同様に薬品マスタ80Aと、状態表示手段80Bと、カセット管理80Cと案内手段80Dを備えている。さらに
図1では、調剤サーバ80が、排出管理ルーチン80Eと補充管理ルーチン80Fを備えていることを明示している。排出管理ルーチン80Eと補充管理ルーチン80Fは、従来の調剤サーバも備えていたものである。薬品マスタ80Aには薬品情報の他に、処方箋データが記憶される。本実施の形態では、薬品マスタ80A内の処方箋データ記憶部80aに上位の処方オーダリングシステムから送信されるまたは入力部INから入力される1以上の処方箋データが記憶される。
【0035】
排出管理ルーチン80Eは、上位のシステムである処方オーダリングシステムOCから薬品マスタ80Aが処方箋データを受け取って処方箋データ記憶部80aが記憶すると、その処方箋データを調剤機の種類に応じて分類する処理などを行って(例えば特許第2691859号公報を参照)、錠剤分包機に適合する部分を抽出して処方箋データをそのまま採用して、この処方箋データを纏めて又は細切れにして薬剤分包機への自動分包指令に含ませ、その指令を薬剤分包機に送信する。また、薬剤分包機から薬剤排出の検出結果が通知されたとき、カセット管理80Cの在庫情報管理部80Caの該当レコードにおける薬剤収納数の在庫管理値を減じるようにもなっている。
【0036】
補充管理ルーチン80Fは、メニュー選択等で指示されたときや、在庫管理データにおける薬剤収納数の在庫管理値が所定の閾値以下になったときなど、在庫情報管理部80Caにアクセスして補充対象を選別し、選出した薬剤カセットの装着位置やカセット識別コード値とそれに補充すべき薬剤の名称や薬剤コード値とを列記した補充リストを作成するようになっている。また、補充管理ルーチン80Fは、補充時の作業内容を時系列で蓄積保存するため、それを作業記録データ記憶部80Ccに追加で書き込むようになっている。
【0037】
カセット管理80C中の在庫情報管理部80Caは、複数の薬剤カセット及び複数の予備用の薬剤カセット内の薬剤の在庫情報を管理する。例えば、複数の薬剤カセットと同数かそれより多くのレコードを持ち、各レコードには該当薬剤カセットに係るカセット識別コード値と薬剤コード値と幾つかの在庫管理値とが含まれている。その在庫管理値には、少なくとも薬剤収納数の在庫管理値が含まれており、他には、排出頻度など、補充時期の判定に役立つ適宜な値が含まれている。
【0038】
照合データ記憶部80Cbは、各薬剤カセットの装着箇所(カセットベース)と同数かそれより多くのレコードを持っており、各レコードには、該当カセットベースに係る装着位置識別コード値とカセット識別コード値と薬剤コード値とが含まれている。そのうち少なくとも装着位置識別コード値は検索キーになっている。
【0039】
作業記録データ記憶部80Ccは、調剤サーバ80が受信した作業情報を時系列で蓄積保存する。具体的には、送信されてきた情報の全てまたは適宜選択した情報にタイムスタンプを付加した情報などを追加書き込みできるようになっている。
【0040】
制御装置34は、各種の情報と薬剤分包機自体の情報とに基づいて調剤サーバ80と連携しながら操作表示部材50への画面表示や操作指示受付を行う。本実施の形態では、制御装置34内に、表示画面DSに表示する表示情報を決定して表示画面DSに表示する表示情報決定表示制御部35を備えている。この表示情報決定表示制御部35は、処方箋データ記憶部80aに記憶されている1以上の処方箋データから、次に分包する処方箋データが判るように表示画面DSに表示し、在庫情報管理部80Caで管理されている情報に基づいて、次の処方箋データ中に複数の薬剤フィーダ格納庫13A~13Hの複数の薬剤カセット、前方薬剤フィーダ格納庫14A及び14Dの複数の前向きカセットベースに装着された複数の薬剤カセットのいずれにも収容されていない薬剤が、予備庫部40に収容されている複数の予備用の薬剤カセットに収容されている複数の薬剤の中に在る薬剤であることを判定し、その旨を表示画面DSに表示する。
【0041】
表示情報決定表示制御部35は、処方箋データ記憶部80aに記憶されている複数の処方箋データから所定の数の処方箋データの一覧表示を表示画面DSに表示し、一覧表示には、該当する処方箋データ中に予備庫部40にある複数の錠剤カセット内に在る薬剤が含まれていることが見て判る態様で表示する。また表示情報決定表示制御部35は、一覧表示から選択された1つの処方箋データの詳細表示を表示画面DSに表示し、詳細表示には、予備庫部40内における該当する薬剤を含む錠剤カセットの位置を示す位置情報が含まれている。
図2は操作表示部材50の表示画面DSに表示する一覧表示としての「処方表示」の一例を示しており、
図3(A)及び(B)は表示画面DSに表示する詳細表示の一例である「処方詳細」の表示の一例を示している。
【0042】
図2の「処方表示」には、一括で受信した複数の処方箋データのうち予め定めた数(この例では4つ)の処方箋データを分包動作の進行に伴って順次表示する。この「処方表示」には、「患者ID」、「患者名」、「処方区分」、「用法」、「薬品数」、「日数」欄が表示されているが、他の処方箋情報を表示してもよい。この例では、患者ID1456と患者ID156の表示中の「薬品数」の欄の背景色を変える表示(存在表示)をすることにより、次に分包する処方箋データ中の薬剤の中に、予備庫部40に収容されている予備用の薬剤カセットに収容されている薬剤があること、または処方箋データ中に複数の薬剤フィーダ格納庫13A~13Hの横向きカセットベース16に装着された複数の薬剤カセット、1以上の前方薬剤フィーダ格納庫14A又は14Dの複数の前向きカセットベース17に装着された複数の薬剤カセットのいずれにも収容されていない薬剤であり、且つ予備庫部40に収容されている複数の予備用の薬剤カセットに収容されている複数の薬剤の中に在る薬剤でもない薬剤があることを表示している。
【0043】
この表記を見た作業者が、患者ID1004の分包動作が行われている前または後に、患者ID1456の表示中の「薬品数」の欄をクリックすると、表示画面DSの表示は
図3(A)に示す「処方詳細」に切り替わる。
図3(A)に示すように「処方詳細」の表記中においては、「カセット番号」の表示欄中の4番のカセット番号表記の背景色が変わっており、この錠剤カセットが予備用の錠剤カセットであることが明示されている。また4番の「カセット番号」の表示中には「25(S1,28)」の表記がなされている。「25(S1,28)」の表記中の25は薬剤カセット番号であり、(S1、28)は予備庫部40におけるその予備用の錠剤カセットが配置されている位置を示している。すなわち「S1」は、予備庫部40の上段を意味し「28」は予備カセットベース41の番号である。この表示を見ることにより、作業者は、次の分包処理が始まる前に、その予備カセットベース41に装着されている予備用の薬剤カセットを前方薬剤フィーダ格納庫14A又は14Dの前向きカセットベース17に移し替えることができる。このようにすると分包動作を停止させることなく、次の分包に必要な複数の薬剤カセットをカセットベースに装着した状態を作ることができる。
【0044】
なお表示情報決定表示制御部35は、該当する予備用の薬剤カセットが前向きカセットベースに装着されると、背景色を無色に変えて存在表示を消す。
図3及び
図4に示す処方詳細の表示段階において、薬剤カセットの移し替えを行えば、ベース照合によって確認できるので、情報の更新が行われて、リアルタイムで存在表示が消えることになる。このようにすると存在表示の有無によって、次の分包のための準備が完了したか否かを知ることができるので、作業者は予備用の薬剤カセットの移し替えが終わっているか否かを視覚によって確認できる。
【0045】
また作業者が、患者ID1004の分包動作が行われている前または後に、患者ID156の表示中の「薬品数」の欄をクリックすると、表示画面DSの表示は
図3(B)に示す「処方詳細」に切り替わる。
図3(B)に示すように「処方詳細」の表記中においては、「カセット番号」の表示欄中の3番のカセット番号表記の背景色が変わっており、「コンベア」と記載されている。「コンベア」の表記は、この薬剤が薬剤手撒き装置33の予備撒きカセットに入れる薬剤であることを示している。この表示を見た作業者は、この薬剤を手撒きカセットに入れる作業をする。「コンベア」の表記と背景色は、薬剤手撒き装置の準備の必要性を示す準備表示である。この場合も表示情報決定表示制御部35は、薬剤手撒き装置33の予備撒きカセットへの薬剤の投入が完了すると、準備表示を消す。このようにすれば。薬剤手撒き装置33の準備が完了しているか否かを視覚によって確認することができる。分包動作中であっても、薬剤手撒き装置33が使用されていないときには、予備手撒きカセットへの薬剤の投入作業を実施してもよく、その投入作業が完了すれば、準備表示は消える。薬剤手撒き装置を備えている場合にも、薬剤手撒き装置の使用が連続しない限り、分包動作を停止させることなく、次の分包に必要な複数の薬剤カセットをカセットベースに装着した状態を作ることができる。薬剤手撒き装置の使用が連続する場合には、分包動作を停止せざるをえなくなるが、停止が頻繁でなければ作業性を悪くすることはない。なお薬剤手撒き装置33が使用されている時には、次の手撒き作業のために、別薬品を事前に揃えて用意しておき、前の分包動作が終了した後に、別に用意した薬剤を手巻きカセットへ投入するようにすればよい。また薬剤手撒き装置を使用する場合に、分包動作の停止を避けるために、表示情報決定表示制御部35は、表示画面に表示する処方箋データとして、薬剤手撒き装置を使用する2以上の処方箋データが連続しないように、処方箋データの表示順序を工夫して出力する。
【0046】
さらに、別に独立式の薬剤手撒き装置がある場合は、薬剤分包機と独立式の薬剤手撒き装置とを、患者情報と撒いた薬品の情報と予備撒きカセットの識別情報とをデータ利用において紐付けを行うようにしてもよい。この場合には、独立式の薬剤手撒き装置で薬剤の投入が完了したら、表示画面の準備表示を消すようにすればよい。
【0047】
図2の表示においては、予備用の薬剤カセット中に必要な薬剤カセットがある場合も、薬剤手撒き装置を使用しなければならない場合も、薬品数の背景色は同じにしているが、それぞれの場合において背景色を変えるようにすれば、作業者に事前準備の手撒きカセットの使用があることを早期に知らせることができる。また背景色を上下二段に色分けして、予備用の薬剤カセット中に必要な薬剤カセットがある場合及び薬剤手撒き装置の使用がある場合の両方を事前に作業者に伝えることができるようにしてもよい。
【0048】
なお表示画面DSの表示から、次に分包する処方箋データ中に、予備庫部に収容されている予備用の薬剤カセットに収容されている薬剤が無いこと及び必要な薬剤の量が多いことが判ったときには、次の分包処理が始まる前に、別に用意した空の薬剤カセット内にその薬剤を充填して、新たな予備用の薬剤カセットを作り、その薬剤カセットを1以上の前方薬剤フィーダ格納庫の前向きカセットベースに移し替えるようにしてもよい。このようにすると分包動作を停止させることなく、次の分包に必要な複数の薬剤カセットをカセットベースに装着した状態を作ることができる。
【0049】
在庫情報管理部80Caの情報は、処方オーダリングシステムOCから1以上の処方箋データを受信した際または入力部INから1以上の処方箋データが入力された際に更新されるようにしてもよい。在庫情報管理部80Caの情報は、1回の分包処理が完了するたびに更新されるようにしてもよい。更に在庫情報管理部80Caの情報は、錠剤分包機の立ち上げ時に更新されてもよい。さらに本実施の携帯では、
図2の処方表示で選択動作をして、
図3(A)及び(B)の処方詳細に切り替える前に、在庫情報管理部80Caの情報を更新するようにしてもよい。このようにすると、情報更新によって、基本的に最新情報が自動的に維持されるので、高い信頼性でユーザーは表示を確認して、次の分包処理が到来する前に錠剤カセットの移し替えを行える。本実施の形態では、在庫情報に、薬剤カセットが配置されている位置についての位置情報が含まれているので、錠剤カセットの位置情報を表示画面に表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、表示画面の表示から、次に分包する1以上の処方箋データ中に、予備庫部に収容されている予備用の薬剤カセットに収容されている薬剤があることが判るので、次の分包処理が始まる前に、その予備用の薬剤カセットを1以上の前方薬剤フィーダ格納庫の前向きカセットベースに移し替えることができる。その結果、分包動作を停止させることなく、次の分包に必要な複数の薬剤カセットをカセットベースに装着した状態を作ることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 薬剤分包機
11 薬剤収納庫
12 引出部材
13A~13H 薬剤フィーダ格納庫
14A及び14D 前方薬剤フィーダ格納庫
14B及び14C 前方パネル
15 薬剤カセット
16 横向きカセットベース
17 前向きカセットベース
31 下部薬剤収集機構
32 包装装置
33 薬剤手撒き装置
34 制御装置
40 予備庫部
41 カセット着座部
50 操作表示部材(表示部材)
50A及び50B 分散操作表示部材(表示部材)
80 調剤サーバ
80A 薬品マスタ
80B 状態表示手段
80C カセット管理
80D 案内手段を
80E 排出管理ルーチン
80F 管理ルーチン
80a 処方箋データ記憶部
80Ca 在庫情報管理部
80Cb 照合データ記憶部
80Cc 作業記録データ