(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189192
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20221215BHJP
F24H 15/00 20220101ALI20221215BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20221215BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24H1/10 301Z
F24H1/10 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097625
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 卓也
【テーマコード(参考)】
3L073
【Fターム(参考)】
3L073AA02
3L073AA13
3L073AC10
3L073AD06
3L073AE08
3L073AE09
3L073AE10
(57)【要約】
【課題】不適切な制御を実行することを是正する機会を与えることができる技術を提供する。
【解決手段】制御部は、第2制御を実行することにより流量センサの検出流量がゼロになる回数をカウントし、第1制御を実行することにより循環ポンプの動作中に前記流量センサの検出流量が第1基準流量未満になる場合に前記カウントした回数をゼロにし、前記カウントした回数が所定の基準回数以上になる場合に異常を報知する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱する加熱部と、
前記加熱部に接続されており、前記加熱部に水を供給する第1給水管と、
前記加熱部に接続されており、前記加熱部で加熱された水を給湯する第1給湯管と、を備える給湯器であって、
給水源から前記第1給水管の上流端へ延びる第2給水管と、前記第1給湯管の下流端から給湯箇所へ延びる第2給湯管と、前記第2給湯管を開閉する給湯栓と、前記給湯栓より上流側の前記第2給湯管と前記第2給水管とに接続されており、前記第2給湯管の水を前記第2給水管に戻す戻り管と、を備える経路に接続され、
前記第1給水管と前記第1給湯管と前記第2給湯管と前記戻り管と前記第2給水管とにより水が循環する循環経路が構成されるものにおいて、
前記給湯器は、
前記循環経路に設けられており、前記循環経路の水を循環させる循環ポンプと、
前記第1給水管を流れる水の流量を検出する流量センサと、
制御プログラムに基づいて前記循環ポンプの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御プログラムは、
前記循環ポンプが始動してから所定の第1基準時間が経過する場合、又は、前記循環ポンプの動作中に前記流量センサの検出流量が所定の第1基準流量未満になる場合に前記循環ポンプを停止し、前記循環ポンプが停止してから所定の第2基準時間が経過する場合に前記循環ポンプを始動する第1制御と、
前記循環ポンプの動作により前記流量センサの検出流量が前記第1基準流量以上の所定の第2基準流量以上になる場合に前記循環ポンプを停止し、前記循環ポンプの停止中に前記流量センサの検出流量がゼロになる場合に前記給湯栓が閉じられたと判断して前記循環ポンプを始動する第2制御と、を前記制御部に実行させるように設定されており、
前記制御部は、前記第2制御を実行することにより前記流量センサの検出流量がゼロになる回数をカウントし、前記第1制御を実行することにより前記循環ポンプの動作中に前記流量センサの検出流量が前記第1基準流量未満になる場合に前記カウントした回数をゼロにし、前記カウントした回数が所定の基準回数以上になる場合に異常を報知する、給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クロスオーババルブを備えない循環回路に接続されている第1給湯器と、クロスオーババルブを備えた循環回路に接続されている第2給湯器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1給湯器と第2給湯器では、それぞれに適した制御がある。仮に第1給湯器において第2給湯器に適した制御が実行されると(即ち、第1給湯器にとって不適切な制御が実行されると)、第1給湯器において異常な動作が生じることがある。本明細書は、不適切な制御を実行することを是正する機会を与えることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する給湯器は、水を加熱する加熱部と、前記加熱部に接続されており、前記加熱部に水を供給する第1給水管と、前記加熱部に接続されており、前記加熱部で加熱された水を給湯する第1給湯管と、を備える。前記給湯器は、給水源から前記第1給水管の上流端へ延びる第2給水管と、前記第1給湯管の下流端から給湯箇所へ延びる第2給湯管と、前記第2給湯管を開閉する給湯栓と、前記給湯栓より上流側の前記第2給湯管と前記第2給水管とに接続されており、前記第2給湯管の水を前記第2給水管に戻す戻り管と、を備える経路に接続される。前記第1給水管と前記第1給湯管と前記第2給湯管と前記戻り管と前記第2給水管とにより水が循環する循環経路が構成される。前記給湯器は、前記循環経路に設けられており、前記循環経路の水を循環させる循環ポンプと、前記第1給水管を流れる水の流量を検出する流量センサと、制御プログラムに基づいて前記循環ポンプの動作を制御する制御部と、を備えている。前記制御プログラムは、前記循環ポンプが始動してから所定の第1基準時間が経過する場合、又は、前記循環ポンプの動作中に前記流量センサの検出流量が所定の第1基準流量未満になる場合に前記循環ポンプを停止し、前記循環ポンプが停止してから所定の第2基準時間が経過する場合に前記循環ポンプを始動する第1制御と、前記循環ポンプの動作により前記流量センサの検出流量が前記第1基準流量以上の所定の第2基準流量以上になる場合に前記循環ポンプを停止し、前記循環ポンプの停止中に前記流量センサの検出流量がゼロになる場合に前記給湯栓が閉じられたと判断して前記循環ポンプを始動する第2制御と、を前記制御部に実行させるように設定されている。前記制御部は、前記第2制御を実行することにより前記流量センサの検出流量がゼロになる回数をカウントし、前記第1制御を実行することにより前記循環ポンプの動作中に前記流量センサの検出流量が前記第1基準流量未満になる場合に前記カウントした回数をゼロにし、前記カウントした回数が所定の基準回数以上になる場合に異常を報知する。
【0006】
上記構成において、第2基準流量は給湯栓が開かれたことを検出できるように設定される。このとき、例えば、先行技術文献に記載の第2給湯器のように、クロスオーババルブを備える経路に接続された給湯器では、第1給湯器と比較して第2基準流量が小さく設定される。誤って第1給湯器に対して第2基準量を小さく設定してしまうと、第1給湯器で循環ポンプが動作して水が循環経路を循環することによって流量センサの検出流量が第2基準流量以上になり、給湯栓が開かれたと誤検知することがある。その結果、循環ポンプが停止する。循環ポンプが動作することにより流量センサの検出流量が第2基準流量以上になる場合は、第1給湯器に適した制御が実行されていない可能性が考えられる。
【0007】
上記の構成によれば、第1給湯器に対して第2給湯器に適合する制御が実行されている場合であっても、流量センサの検出流量がゼロになる回数をカウントし、カウントした回数が基準回数以上になる場合に異常を報知することにより、不適切な制御を実行していることを是正する機会を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】実施例の第1給湯器で実行される第1処理のフローチャート。
【
図4】実施例の第2給湯器で実行される第2処理のフローチャート。
【
図5】実施例の第1給湯器で実行される第3処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1給湯器2;
図1)
実施例の第1給湯器2について図面を参照して説明する。
図1に示すように、第1給湯器2は、ケーシング80と、第1給水管10と、加熱部30と、第1給湯管20と、バイパス管90と、制御部100とを備えており、供給経路150に接続される。供給経路150は、第2給水管110と、第2給湯管120と、戻り管40とを備えている。
【0010】
供給経路150の第2給水管110は、上流端が給水源(不図示)に接続されており、下流端が第1給湯器2の第1給水管10に接続されている。第2給水管110は、給水源から第1給水管10の上流端へ延びている。第2給水管110は、給水源から供給される水を第1給湯器2に供給する。
【0011】
第1給水管10は、ケーシング80内に配置されている。第1給水管10は、上流端が供給経路150の第2給水管110に接続されており、下流端が加熱部30に接続されている。第1給水管10は、第2給水管110から供給される水を加熱部30に供給する。第1給水管10には、第1給水管10を流れる水の流量を検出する流量センサ16が設けられている。流量センサ16は、後述する戻り管40と第2給水管110との接続部分44より下流側の水の流量を検出する。また、第1給水管10には、逆止弁14が設けられている。
【0012】
加熱部30は、ケーシング80内に配置されている。加熱部30は、水が通過する通過管32と、熱交換のためのプレート34とを備えている。通過管32は、第1給水管10と第1給湯管20に接続されている。第1給水管10から加熱部30に供給される水が通過管32を通過して第1給湯管20に供給される。プレート34は、加熱バーナ36により加熱される。加熱バーナ36は、ガスの燃焼熱によりプレート34を加熱する。加熱部30は、プレート34を介した熱交換により通過管32を通過する水を加熱する熱交換器である。加熱部30で加熱された水が第1給湯管20に供給される。
【0013】
第1給湯管20は、ケーシング80内に配置されている。第1給湯管20は、上流端が加熱部30に接続されており、下流端が供給経路150の第2給湯管120に接続されている。第1給湯管20は、加熱部30で加熱された水(湯)を第2給湯管120に給湯する。第1給湯管20には、第1給湯管20を流れる水の温度を検出する温度センサ22が設けられている。温度センサ22は、加熱部30を通過した水の温度を検出する。
【0014】
供給経路150の第2給湯管120は、上流端が第1給湯器2の第1給湯管20に接続されており、下流端が給湯箇所(例えば、カランやシャワー)に接続されている。第2給湯管120は、第1給湯管20の下流端から給湯箇所へ延びている。第2給湯管120は、第1給湯管20から供給される水(湯)を給湯箇所に給湯する。第2給湯管120には、第2給湯管120を開閉する給湯栓24が設けられている。給湯栓24が開くと第2給湯管120の水が給湯箇所に供給される。給湯栓24が閉じると、給湯箇所に水が供給されなくなる。
【0015】
戻り管40は、上流端が第2給湯管120に接続されており、下流端が第2給水管110に接続されている。戻り管40は、給湯栓24より上流側の第2給湯管120と、第2給水管110とに接続されている。戻り管40は、第2給湯管120の水を第2給水管110に戻す。第1給湯器2の第1給水管10と第1給湯管20と、供給経路150の第2給湯管120と戻り管40と第2給水管110とにより水が循環する循環経路50が構成されている。
【0016】
循環経路50には循環ポンプ42が設けられている。具体的には、ケーシング80内の第1給水管10に循環ポンプ42が設けられている。変形例では、ケーシング80外の第2給水管110や戻り管40に循環ポンプ42が設けられていてもよい。循環ポンプ42が動作すると循環経路50の水が循環する。循環ポンプ42は、第2給湯管120の水を戻り管40を通じて第2給水管110に戻すことにより、循環経路50の水を循環させる。
【0017】
第1給湯器2のバイパス管90は、上流端が第1給水管10に接続されており、下流端が第1給湯管20に接続されている。バイパス管90は、第1給水管10の水を加熱部30を迂回して第1給湯管20に送る。バイパス管90には、バイパスバルブ92が設けられている。バイパスバルブ92が開くと第1給水管10の水がバイパス管90を通じて第1給湯管20に送られる。
【0018】
制御部100は、CPU(不図示)と記憶部102を備えている。制御部100は、記憶部102に記憶されているプログラムに基づいて所定の処理や制御を実行する。例えば、記憶部102には、循環ポンプ42の動作を制御するための制御プログラムが記憶されている。制御部100は、制御プログラムに基づいて循環ポンプ42の動作を制御する。また、制御部100は、タイマ機能を備えており、時間を計時することができる。
【0019】
(第2給湯器4;
図2)
次に、実施例の第2給湯器4について図面を参照して説明する。なお、第2給湯器4のうち、上記の第1給湯器2と同様の構成については説明を省略する。
図2に示すように、第2給湯器4は、クロスオーババルブ200を備えた供給経路150に接続されている。
【0020】
クロスオーババルブ200は、第2給湯管120に設けられている。クロスオーババルブ200は、ポート201~204と、ワックスサーモ210とを備えている。ポート201は上流側の第2給湯管120に接続されており、ポート202は戻り管40に接続されている。ポート201と203はクロスオーババルブ200内で連通している。また、ポート202と204はクロスオーババルブ200内で連通している。ワックスサーモ210は、ポート201と202に接続されている。ワックスサーモ210は、第2給湯管120の水の温度が低いときに、ポート201とポート202の間にバイパス経路Pcを形成する。一方、ワックスサーモ210は、第2給湯管120の水の温度が高いときは、熱膨張力によってバイパス経路Pcを閉塞する。バイパス経路Pcの開放と閉塞が切り替わる温度は、ワックスサーモ210の材質及び構成等により設定される。
【0021】
クロスオーババルブ200のポート203と204は、それぞれ、中継管213と214を介して下流側の第2給湯管120に接続されている。中継管213と214には、それぞれ、手動の遮断バルブ331と332が設けられている。第2給湯器4は、遮断バルブ331、332が開放された状態で動作する。
【0022】
第2給湯器4では、循環経路50に設けられている循環ポンプ42の能力が上記の第1給湯器2の循環ポンプ42の能力と同じであっても、クロスオーババルブ200の存在により循環経路50における圧力損失が大きいので、循環ポンプ42の動作中における流量センサ16の検出流量が小さくなる。
【0023】
(第1処理;
図3)
次に、第1給湯器2で実行される第1処理(従来の処理)について説明する。第1処理は、記憶部102に記憶されている第1制御プログラムに基づいて実行される。第1処理は、例えば、第1給湯器2の電源がオンになると開始される。
図3に示すように、第1処理のS102では、制御部100が、所定のオフ時間(例えば、20分)が経過するか否かを判断する。オフ時間は循環ポンプ42を停止させている時間である。第1処理が開始された直後のS102では、制御部100は、第1処理が開始されてからの経過時間がオフ時間を超えるか否かを判断する。また、後述するS116又はS120の処理が実行された後のS102では、制御部100は、S116又はS120でオフタイマがリセットされてからの経過時間がオフ時間を超えるか否かを判断する。オフ時間は、設定変更可能であり、給湯設定温度に応じてオフ時間を変更してもよい。例えば、給湯設定温度が高い場合はオフ時間を短くし、給湯設定温度が高い場合はオフ時間を長くしてもよい。
【0024】
S102では、更に、制御部100が、即湯要求があるか否かを判断する。即湯要求は、例えば、第1給湯管20に設けられている温度センサ22の検出温度が所定の即湯基準温度未満になると生成される。S102においてオフ時間が経過したと判断され、かつ、即湯要求があると判断される場合(S102でYES)、処理はS104に進む。オフ時間が経過しない場合、又は、即湯要求がない場合(S102でNO)、処理は待機する。
【0025】
続くS104では、制御部100が、循環ポンプ42を始動する。循環ポンプ42が始動すると循環経路50の水が循環する。循環経路50を循環する水は加熱部30で加熱される。
【0026】
続くS106では、制御部100が、第1給水管10に設けられている流量センサ16の検出流量が所定の異常基準流量(例えば、1.5L/min)未満であるか否かを判断する。流量センサ16の検出流量が異常基準流量未満である場合(S106でYES)、処理はS118に進む。流量センサ16の検出流量が異常基準流量以上である場合(S106でNO)、処理はS108に進む。
【0027】
S106でYESの後のS118では、制御部100が、循環ポンプ42を停止する。また、S118では、制御部100が、第1給湯器2の異常を判定して、その異常を報知する。例えば、制御部100は、第1給湯器2が異常であることを示す異常フラグを生成して記憶部102に記憶する。また、制御部100は、異常を報知するための表示ランプ(不図示)を点灯する。また、制御部100は、異常を示す異常情報を外部装置に送信してもよい。S118の処理が終了すると第1処理が終了する。
【0028】
一方、S106でNOの後のS108では、制御部100が、上記のS104で循環ポンプ42を始動してから所定のオン時間(例えば、9分)が経過するか否かを判断する。オン時間は、設定変更可能である。また、S108では、制御部100が、温度センサ22の検出温度が所定の停止基準温度(例えば、40℃)以上であるか否かを判断する。停止基準温度は、例えば、給湯設定温度に応じて設定される。オン時間が経過する場合、又は、温度センサ22の検出温度が停止基準温度以上である場合(S108でYES)、処理はS120に進む。一方、オン時間が経過せず、かつ、温度センサ22の検出温度が停止基準温度未満である場合(S108でNO)、処理はS110に進む。
【0029】
S108でYESの後のS120では、制御部100が、循環ポンプ42の停止時間を計時するためのオフタイマをゼロにリセットする。続くS122では、制御部100が、循環ポンプ42を停止する。S122の処理が終了すると、処理はS102に戻る。
【0030】
一方、S108でNOの後のS110では、制御部100が、流量センサ16の検出流量が所定の第2基準流量(例えば、20L/min)以上になるか否かを判断する。第2基準流量は、上記の異常基準流量(S106参照)以上の値である。なお、第1基準流量については後述する。第1給湯器2では、第2給湯管120に設けられている給湯栓24が開かれることにより第2給湯管120の水が給湯箇所に給湯されると、それに伴って、第1給水管10を流れる水の流量が多くなり、流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になることがある。流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になる場合(S110でYES)、処理はS112に進む。流量センサ16の検出流量が第2基準流量未満である場合(S110でNO)、処理はS108に戻る。
【0031】
S112では、制御部100が、循環ポンプ42を停止する。循環ポンプ42が停止すると、給湯栓24が開いていない(閉じている)状態では、循環経路50の水が循環しなくなる。そのため、流量センサ16の検出流量がゼロになる。一方、循環ポンプ42が停止したとしても、給湯栓24が開いている状態では、第2給湯管120の水が給湯箇所に給湯されるので、流量センサ16の検出流量がゼロにならない。
【0032】
続くS114では、制御部100が、流量センサ16の検出流量がゼロになるか否かを判断する。給湯栓24が閉じられると流量センサ16の検出流量がゼロになる。流量センサ16の検出流量が極めて小さい閾値(ゼロに近い閾値)未満になる場合に、流量センサ16の検出流量がゼロになると判断する。流量センサ16の検出流量がゼロになる場合(S114でYES)、処理はS116に進む。流量センサ16の検出流量がゼロにならない場合(S114でNO)、処理は待機する。流量センサ16の検出流量がゼロにならない場合は、給湯栓24が開いている状態である。
【0033】
S116では、制御部100が、循環ポンプ42の停止時間を計時するためのオフタイマをゼロにリセットする。S116の処理が終了すると、処理はS102に戻る。以上、第1処理について説明した。
【0034】
(第2処理;
図4)
次に、第2給湯器4で実行される第2処理(従来の処理)について説明する。第2処理は、記憶部102に記憶されている第2制御プログラムに基づいて実行される。第2処理は、例えば、第2給湯器4の電源がオンになると開始される。
図4に示すように、第2処理のS202では、制御部100が、所定のオフ時間(例えば、10分)が経過するか否かを判断する。第2処理が開始された直後のS202では、制御部100は、第2処理が開始されてからの経過時間がオフ時間を超えるか否かを判断する。また、後述するS214の処理が実行された後のS202では、制御部100は、S214でオフタイマがリセットされてからの経過時間がオフ時間を超えるか否かを判断する。オフ時間は、設定変更可能である。第2処理におけるオフ時間は、上述した第1処理(
図3参照)のにおけるオフ時間(S102参照)より短い時間に設定されている。第2処理におけるオフ時間は、給湯設定温度にかかわらず一定の時間(例えば、10分)に設定される。第2給湯器4では、第2給湯管120の水の温度が低くなるとクロスオーババルブ200のバイパス経路Pcが形成される。クロスオーババルブ200のバイパス経路Pcが形成されるタイミング(第2給湯管120の水の温度が低くなるタイミング)で循環ポンプ42が始動することが好ましいが、クロスオーババルブ200のバイパス経路Pcが形成されるタイミングは把握し難い。そこで、第2処理では、オフ時間が一律で短い時間に設定されている。なお、変形例では、給湯設定温度に応じてオフ時間を変更してもよい。例えば、給湯設定温度が高い場合はオフ時間を短くし、給湯設定温度が高い場合はオフ時間を長くしてもよい。
【0035】
S202では、更に、制御部100が、即湯要求があるか否かを判断する。即湯要求は、例えば、温度センサ22の検出温度が所定の即湯基準温度未満になると生成される。S202においてオフ時間が経過したと判断され、かつ、即湯要求があると判断される場合(S202でYES)、処理はS204に進む。オフ時間が経過しない場合、又は、即湯要求がない場合(S202でNO)、処理は待機する。
【0036】
続くS204では、制御部100が、循環ポンプ42を始動する。循環ポンプ42が始動すると、循環経路50の水が循環する。循環経路50を循環する水は加熱部30で加熱される。
【0037】
続くS206では、制御部100が、S204で循環ポンプ42を始動してから所定のオン時間(例えば、9分)が経過するか否かを判断する。オン時間は、設定変更可能である。また、S206では、制御部100が、流量センサ16の検出流量が所定の第1基準流量(例えば、1L/min)未満であるか否かを判断する。オン時間が経過する場合、又は、流量センサ16の検出流量が第1基準流量未満である場合(S206でYES)、処理はS214に進む。一方、オン時間が経過せず、かつ、流量センサ16の検出流量が第1基準流量以上である場合(S206でNO)、処理はS208に進む。
【0038】
S206でYESの後のS214では、制御部100が、循環ポンプ42の停止時間を計時するためのオフタイマをゼロにリセットする。続くS216では、制御部100が、循環ポンプ42を停止する。S216の処理が終了すると、処理はS202に戻る。
【0039】
一方、S206でNOの後のS208では、制御部100が、流量センサ16の検出流量が所定の第2基準流量(例えば、6L/min)以上になるか否かを判断する。第2基準流量は、上記の第1基準流量(S206参照)以上の値である。第2処理における第2基準流量は、上述した第1処理(
図3参照)における第2基準流量(S110参照)未満の値である。第2給湯器4では、給湯栓24が開かれることにより第2給湯管120の水が給湯箇所に給湯されると、それに伴って、第1給水管10を流れる水の流量が多くなり、流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になることがある。流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になる場合(S208でYES)、処理はS210に進む。流量センサ16の検出流量が第2基準流量未満である場合(S208でNO)、処理はS206に戻る。
【0040】
S210では、制御部100が、循環ポンプ42を停止する。循環ポンプ42が停止すると、給湯栓24が開いていない(閉じている)状態では、循環経路50の水が循環しなくなる。そのため、流量センサ16の検出流量がゼロになる。一方、循環ポンプ42が停止したとしても、給湯栓24が開いている状態では、第2給湯管120の水が給湯箇所に給湯されるので、流量センサ16の検出流量がゼロにならない。
【0041】
続くS212では、制御部100が、流量センサ16の検出流量がゼロになるか否かを判断する。給湯栓24が閉じられると流量センサ16の検出流量がゼロになる。流量センサ16の検出流量がゼロになる場合(S212でYES)、処理はS204に戻る。流量センサ16の検出流量がゼロにならない場合(S212でNO)、処理は待機する。以上、第2処理について説明した。
【0042】
上記の第2処理(
図4参照)は第2給湯器4(
図2参照)に適した制御であり、第2給湯器で実行されるべきであるが、この第2処理が第1給湯器2(
図1参照)で実行されると、第1給湯器2には不適切な制御であるため第1給湯器2が異常な動作をすることがある。例えば、第1給湯器2が接続される供給経路150はクロスオーババルブ200を備えていないので、循環ポンプ42が動作すると、給湯栓24が開いていなくても、流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になることがある(S208でYES)。そうすると、循環ポンプ42が停止する(S210)と共に、給湯栓24が開いていないので流量センサ16の検出流量がゼロになり(S212でYES)、その結果、循環ポンプ42が再び始動する(S204)。しかしながら、循環ポンプ42が動作すると、再び流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になり(S208でYES)、その結果、循環ポンプ42が再び停止する(S210)。そのため、循環ポンプ42が停止と始動を何度も繰り返すことになる。
【0043】
(第3処理;
図5)
次に、第3処理について説明する。第3処理は、本来、第2給湯器4で実行されるのに適切な制御であるが、ここでは第1給湯器2で実行された場合、すなわち第1給湯器2に不適切な制御が実行される場合について説明する。第3処理は、記憶部102に記憶されている第3制御プログラムに基づいて実行される。第3処理は、上記の問題を解決するために実行される。第3処理は、例えば、第1給湯器2の電源がオンになると開始される。
【0044】
図5に示すように、第3処理のS302では、制御部100が、所定のオフ時間(第2基準時間の一例、例えば、10分)が経過するか否かを判断する。第3処理が開始された直後のS302では、制御部100は、第3処理が開始されてからの経過時間がオフ時間を超えるか否かを判断する。また、後述するS320又はS324の処理が実行された後のS302では、制御部100は、S320又はS324でオフタイマがリセットされてからの経過時間がオフ時間を超えるか否かを判断する。オフ時間は、設定変更可能である。
【0045】
S302では、更に、制御部100が、即湯要求があるか否かを判断する。即湯要求は、例えば、温度センサ22の検出温度が所定の即湯基準温度未満になると生成される。S302においてオフ時間が経過したと判断され、かつ、即湯要求があると判断される場合(S302でYES)、処理はS304に進む。オフ時間が経過しない場合、又は、即湯要求がない場合(S302でNO)、処理は待機する。
【0046】
続くS304では、制御部100が、循環ポンプ42を始動する。循環ポンプ42が始動すると、循環経路50の水が循環する。循環経路50を循環する水は加熱部30で加熱される。
【0047】
続くS306では、制御部100が、S304で循環ポンプ42を始動してから所定のオン時間(第1基準時間の一例、例えば、9分)が経過するか否かを判断する。オン時間は、設定変更可能である。また、S306では、制御部100が、流量センサ16の検出流量が所定の第1基準流量(例えば、1L/min)未満であるか否かを判断する。オン時間が経過する場合、又は、流量センサ16の検出流量が第1基準流量未満である場合(S306でYES)、処理はS320に進む。オン時間が経過せず、かつ、流量センサ16の検出流量が第1基準流量以上である場合(S306でNO)、処理はS308に進む。
【0048】
S306でYESの後のS320では、制御部100が、循環ポンプ42の停止時間を計時するためのオフタイマをゼロにリセットする。また、S320では、制御部100が、流量センサ16の検出流量がゼロになる回数をカウントした累積回数(後述のS314、S316参照)をゼロにリセットする。続くS322では、制御部100が、循環ポンプ42を停止する。S322の処理が終了すると、処理はS302に戻る。
【0049】
一方、S306でNOの後のS308では、制御部100が、流量センサ16の検出流量が所定の第2基準流量(例えば、6L/min)以上になるか否かを判断する。第2基準流量は、上記の第1基準流量(S306参照)以上の値である。第3処理が実行されている給湯器が第1給湯器2である場合、第2給湯管120に設けられている給湯栓24が開かれることにより第2給湯管120の水が給湯箇所に給湯されると、それに伴って、第1給水管10を流れる水の流量が多くなり、流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になることがある。また、第3処理が実行されている給湯器が第1給湯器2である場合、給湯栓24が開いていない(閉じている)状態であっても、循環ポンプ42が動作している状態では、循環経路50の水が循環することにより流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になることがある。流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になる場合(S308でYES)、処理はS310に進む。流量センサ16の検出流量が第2基準流量未満である場合(S308でNO)、処理はS306に戻る。
【0050】
第3処理が実行されている給湯器が仮に第2給湯器4である場合、流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になる場合は、給湯栓24が開いていると判断することができる。第2給湯器4では、給湯栓24が開いていない(閉じている)状態では、循環ポンプ42が動作している状態であっても、クロスオーババルブ200の存在により、流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上にならない。
【0051】
S308でYESの後のS310では、制御部100が、循環ポンプ42を停止する。循環ポンプ42が停止すると、給湯栓24が開いていない(閉じている)状態では、循環経路50の水が循環しなくなる。そのため、流量センサ16の検出流量がゼロになる。一方、循環ポンプ42が停止したとしても、給湯栓24が開いている状態では、第2給湯管120の水が給湯箇所に給湯されるので、流量センサ16の検出流量がゼロにならない。
【0052】
続くS312では、制御部100が、流量センサ16の検出流量がゼロになるか否かを判断する。流量センサ16の検出流量がゼロになる場合(S312でYES)、処理はS314に進む。流量センサ16の検出流量がゼロにならない場合(S312でNO)、処理はS324に進む。
【0053】
S314では、制御部100が、流量センサ16の検出流量がゼロになる回数を+1カウントする。続くS316では、制御部100が、S314でカウントした回数の累積が所定の基準回数以上であるか否かを判断する。累積回数が基準回数以上である場合(S316でYES)、処理はS318に進む。累積回数が基準回数未満である場合(S316でNO)、処理はS304に戻る。
【0054】
S318では、制御部100が、第1給湯器2の異常を判定して、その異常を報知する。例えば、制御部100は、第1給湯器2における設定が異常であることを示す異常フラグを生成して記憶部102に記憶する。また、制御部100は、設定の異常を報知するための表示ランプ(不図示)を点灯する。また、制御部100は、設定の異常を示す異常情報を外部装置に送信してもよい。S318の処理が終了すると第3処理が終了する。
【0055】
上記のS312でNOの後のS324では、制御部100が正常判定をする。例えば、制御部100は、第1給湯器2における設定が正常であることを示す正常フラグを生成して記憶部102に記憶する。S312でNOとなる場合は、実際に給湯栓24が開かれたことによりS308で検出流量が第2基準流量以上となった可能性があるためである。また、制御部100は、設定が正常であることを示す正常情報を外部装置に送信してもよい。
【0056】
また、S324では、制御部100が、循環ポンプ42の停止時間を計時するためのオフタイマをゼロにリセットする。S324の処理が終了すると、処理はS302に戻る。
【0057】
以上、実施例の第1給湯器2と第3処理について説明した。上記の説明から明らかなように、第1給湯器2は、循環経路50の水を循環させる循環ポンプ42と、第1給水管10を流れる水の流量を検出する流量センサ16とを備えている。制御部100は、第3制御プログラムに基づいて循環ポンプ42の動作を制御する。第3制御プログラムは、循環ポンプ42が始動してから第1基準時間が経過する場合、又は、循環ポンプ42の動作中に流量センサ16の検出流量が第1基準流量未満になる場合に循環ポンプ42を停止し、循環ポンプ42が停止してから第2基準時間が経過する場合に循環ポンプ42を始動する第1制御を制御部100に実行させるように設定されている(S306でYES、S322、S302)。また、第3制御プログラムは、循環ポンプ42の動作により流量センサ16の検出流量が第2基準流量以上になる場合に循環ポンプ42を停止し、循環ポンプ42の停止中に流量センサ16の検出流量がゼロになる場合に給湯栓24が閉じられたと判断して循環ポンプ42を始動する第2制御を制御部100に実行させるように設定されている(S308でYES、S310、S312でYES、S316でNO、S304)。制御部100は、第2制御を実行することにより流量センサ16の検出流量がゼロになる回数をカウントし(S314)、第1制御を実行することにより循環ポンプ42の動作中に流量センサ16の検出流量が第1基準流量未満になる場合にカウントした回数をゼロにし(S320)、カウントした回数が所定の基準回数以上になる場合に異常を報知する(S316でYES、S318)。
【0058】
この構成によれば、第1給湯器2において第2給湯器4に適した第3制御プログラムが実行されたとしても、流量センサ16の検出流量がゼロになる回数をカウントして累積回数を基準回数と比較することにより、不適切な制御が実行されていることをユーザに報知することができる。これにより、不適切な制御を実行することを是正する機会を与えることができる。
【0059】
(変形例)
制御部100は、第3処理(
図5参照)のS318の処理を実行する場合に、オフ時間(S302参照)を給湯設定温度に応じて設定変更してもよい。例えば、給湯設定温度が高い場合はオフ時間を短くし、給湯設定温度が高い場合はオフ時間を長くしてもよい。
【0060】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0061】
2:第1給湯器、4:第2給湯器、10:給水管、16:流量センサ、20:給湯管、22:温度センサ、24:給湯栓、30:加熱部、32:通過管、34:プレート、36:加熱バーナ、40:戻り管、42:循環ポンプ、44:接続部分、50:循環経路、80:ケーシング、90:バイパス管、92:バイパスバルブ、100:制御部、102:記憶部、200:クロスオーババルブ、210:ワックスサーモ