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特開2022-189197電力変換装置、部品間接続システム及び部品間接続方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189197
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】電力変換装置、部品間接続システム及び部品間接続方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20221215BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20221215BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20221215BHJP
   H01R 43/26 20060101ALI20221215BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20221215BHJP
【FI】
H01R13/631
H05K1/14 E
H01R13/64
H01R43/26
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097653
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】小倉 洋
(72)【発明者】
【氏名】西川 和宏
(72)【発明者】
【氏名】川北 嘉洋
(72)【発明者】
【氏名】北浦 秀敏
【テーマコード(参考)】
5E021
5E063
5E223
5E344
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC31
5E021HA10
5E021JA05
5E021JA20
5E063KA01
5E063XA02
5E223AA21
5E223AB25
5E223AB42
5E223BA27
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB25
5E223CB31
5E223CB38
5E223CB46
5E223DA05
5E223DB01
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E344AA01
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB03
5E344BB09
5E344BB10
5E344CD14
5E344DD07
5E344EE12
(57)【要約】
【課題】部品間を電気的に接続する嵌合部における嵌合部材間の嵌合位置精度を向上させること。
【解決手段】本開示に係る電力変換装置は、第1及び第2の部品と、オス型及びメス型嵌合部材をそれぞれが含む複数対の嵌合部材とを備える。第1及び第2の部品のそれぞれには、一対のアライメントキーのそれぞれが形成される。オス型嵌合部材は、差込部を有する。メス型嵌合部材は、互いに対向して配置される第1及び第2の挟持部を有する。複数対の嵌合部材のそれぞれにおいて、オス型及びメス型嵌合部材は、第1及び第2の部品のそれぞれに、一対のアライメントキーのそれぞれを基準位置として配置される。第1及び第2の部品は、一対のアライメントキーの位置的な整合が取れた状態で、複数対の嵌合部材のそれぞれにおいて、メス型嵌合部材が第1及び第2の挟持部の間に差し込まれた差込部を挟持することで結合される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1のアライメントキーの一方のアライメントキーが形成される第1の部品と、
前記一対の第1のアライメントキーの他方のアライメントキーが形成される第2の部品と、
差込部を有するオス型嵌合部材と、
互いに対向して配置される第1の挟持部及び第2の挟持部を有するメス型嵌合部材と
をそれぞれが含む複数対の嵌合部材と
を具備し、
前記複数対の嵌合部材のそれぞれにおいて、
前記オス型嵌合部材は、前記第1の部品及び前記第2の部品の一方に、前記第1のアライメントキーを基準位置として配置され、
前記メス型嵌合部材は、前記第1の部品及び前記第2の部品の他方に、前記第1のアライメントキーを基準位置として配置され、
前記第1の部品及び前記第2の部品は、前記一対の第1のアライメントキーの位置的な整合が取れた状態で、前記複数対の嵌合部材のそれぞれにおいて、前記メス型嵌合部材が前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部の間に差し込まれた前記オス型嵌合部材の前記差込部を挟持することで結合され、
前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部の各々は、互いの対向する面に向かって凸部を形成するように屈曲し、
前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部の各々の先端部には、間隙が設けられている、
電力変換装置。
【請求項2】
前記一対の第1のアライメントキーは、前記第1の部品及び前記第2の部品の互いに対向する面に形成される、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記一対の第1のアライメントキーは、前記第1の部品及び前記第2の部品のそれぞれ同じ側を向いた面に形成される、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1のアライメントキーは、前記第1の部品及び前記第2の部品のそれぞれに形成されたパターン形状である、請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記一対の第1のアライメントキーは、同一のパターン形状である、請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記一対の第1のアライメントキーの一方は、前記第1の部品に設けられた少なくとも2つの位置決め用ピンであり、
前記一対の第1のアライメントキーの他方は、前記第2の部品に設けられた少なくとも2つの穴部である、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記一対の第1のアライメントキーの一方は、前記第1の部品に設けられた少なくとも2つの位置決め用ピンのそれぞれにおいて前記第2の部品に対向する面に形成されたパターン形状であり、
前記一対の第1のアライメントキーの他方は、前記第2の部品に設けられた少なくとも2つの穴部の近傍にそれぞれ形成されたパターン形状である、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第1の部品及び前記第2の部品のそれぞれには、前記第1のアライメントキーを基準位置として形成された複数の第2のアライメントキーがさらに形成され、
前記オス型嵌合部材及び前記メス型嵌合部材のそれぞれは、前記複数の第2のアライメントキーのそれぞれに対応する位置に配置される、
請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第2の部品に結合される第3の部品をさらに備え、
前記一対の第1のアライメントキーのそれぞれは、前記第2の部品又は前記第3の部品にさらに形成され、
前記複数対の嵌合部材は、前記第2の部品と前記第3の部品との間にさらに配置され、
前記第2の部品と前記第3の部品との間に配置される前記複数対の嵌合部材のそれぞれにおいて、
前記オス型嵌合部材は、前記第2の部品及び前記第3の部品の一方に、前記第1のアライメントキーを基準位置として配置され、
前記メス型嵌合部材は、前記第2の部品及び前記第3の部品の他方に、前記第1のアライメントキーを基準位置として配置される、
請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記オス型嵌合部材の前記差込部は、略平板状の形状を有する、請求項1から請求項9のうちのいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちのいずれか一項に記載の電力変換装置の部品間を接続するシステムであって、
前記第1の部品及び前記第2の部品のそれぞれを撮影する複数のカメラと、
前記第1の部品に対する前記第2の部品の相対位置を変更する移動装置と、
前記複数のカメラを制御し、前記一対の第1のアライメントキーのそれぞれを認識する認識制御部と、
前記移動装置を制御し、前記認識制御部による前記一対の第1のアライメントキーの認識結果に基づき、前記一対の第1のアライメントキーの位置的な整合が取れる状態まで、前記第1の部品に対する前記第2の部品の相対位置を変更する移動制御部と
を含む部品間接続システム。
【請求項12】
第1の部品及び第2の部品のそれぞれに、一対のアライメントキーのそれぞれを形成するステップと、
差込部を有するオス型嵌合部材と、
互いに対向して配置される第1の挟持部及び第2の挟持部を有するメス型嵌合部材と
をそれぞれが含む複数対の嵌合部材を、前記複数対の嵌合部材のそれぞれにおいて、前記オス型嵌合部材及び前記メス型嵌合部材が互いに異なる部品に配置されるように、前記一対のアライメントキーのそれぞれを基準位置として前記第1の部品及び前記第2の部品に配置するステップと、
前記一対のアライメントキーのそれぞれを認識するステップと、
前記一対のアライメントキーの認識結果に基づき、前記一対のアライメントキーの位置的な整合が取れる状態まで、前記第1の部品に対する前記第2の部品の相対位置を変更するステップと、
前記複数対の嵌合部材のそれぞれにおいて、前記一対の第1のアライメントキーの位置的な整合が取れた状態で、前記メス型嵌合部材が前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部の間に差し込まれた前記オス型嵌合部材の前記差込部を挟持することで、前記第1の部品及び前記第2の部品を結合するステップと
を具備し、
前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部の各々は、互いの対向する面に向かって凸部を形成するように屈曲し、
前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部の各々の先端部には、間隙が設けられている、
部品間接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置、部品間接続システム及び部品間接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車などに搭載される電力変換装置には、DC/DCコンバータやインバータなどの回路構成が実装された複数の回路基板が設けられている。このような電力変換装置には、例えば車両への搭載性の観点から小型化が要求されている。
【0003】
このような中、複数の回路基板を積層することにより、複数の回路基板上の実装面積を維持しつつ、電力変換装置の小型化を図る技術が知られている。このような電力変換装置においては、各々の回路基板などの部品に設けられたコネクタなどの嵌合部を嵌合することにより、部品間の電気的な接続が行われる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-014128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電力変換装置の組み立て工程において、各々の嵌合部における嵌合部材間の嵌合位置精度が低い場合には、嵌合部が適切に嵌合せず、部品間の電気的な接続に不良が生じるおそれがあった。
【0006】
本開示は、部品間を電気的に接続する嵌合部における嵌合部材間の嵌合位置精度を向上させることができる電力変換装置、部品間接続システム及び部品間接続方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る電力変換装置は、第1の部品と、第2の部品と、複数対の嵌合部材とを備える。前記第1の部品には、一対の第1のアライメントキーの一方のアライメントキーが形成される。前記第2の部品には、前記一対の第1のアライメントキーの他方のアライメントキーが形成される。前記複数対の嵌合部材は、オス型嵌合部材と、メス型嵌合部材とをそれぞれが含む。前記オス型嵌合部材は、差込部を有する。前記メス型嵌合部材は、互いに対向して配置される第1の挟持部及び第2の挟持部を有する。前記複数対の嵌合部材のそれぞれにおいて、前記オス型嵌合部材は、前記第1の部品及び前記第2の部品の一方に、前記第1のアライメントキーを基準位置として配置され、前記メス型嵌合部材は、前記第1の部品及び前記第2の部品の他方に、前記第1のアライメントキーを基準位置として配置される。前記第1の部品及び前記第2の部品は、前記一対の第1のアライメントキーの位置的な整合が取れた状態で、前記複数対の嵌合部材のそれぞれにおいて、前記メス型嵌合部材が前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部の間に差し込まれた前記オス型嵌合部材の前記差込部を挟持することで結合される。前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部の各々は、互いの対向する面に向かって凸部を形成するように屈曲する。前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部の各々の先端部には、間隙が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る電力変換装置、部品間接続システム及び部品間接続方法によれば、部品間を電気的に接続する嵌合部における嵌合部材間の嵌合位置精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電力変換装置における複数のプリント回路基板の層状構造の一例を示す概略断面図である。
図2図2は、図1の一対の嵌合部材の構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、図1の一対の嵌合部材の嵌合状態の一例を示す概略断面図である。
図4図4は、図1のオス型嵌合部材の構成の一例を示す概略斜視図である。
図5図5は、図1のメス型嵌合部材の構成の一例を示す概略斜視図である。
図6図6は、それぞれにアライメントキーが設けられた図1の複数のプリント回路基板の一例を示す概略斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る部品間接続システムの構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態に係る部品間接続システムの構成の一例を示す模式図である。
図9図9は、実施形態に係る部品間接続における部品間の位置合わせの前後でのアライメントキーの位置関係の一例について説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る部品間接続における部品間の嵌合の工程の一例について説明するための図である。
図11図11は、実施形態に係る部品間接続の流れの一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係る部品間接続システムの構成の別の一例を示す模式図である。
図13図13は、実施形態に係る部品間接続における部品間の嵌合の工程の別の一例について説明するための図である。
図14図14は、実施形態に係る部品間接続システムの構成の別の一例を示す模式図である。
図15図15は、実施形態に係る部品間接続システムの構成の別の一例を示す模式図である。
図16図16は、実施形態に係るアライメントキーの別の一例を示す図である。
図17図17は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。
図18図18は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。
図19図19は、実施形態に係る部品間接続における嵌合部材Bの配置の一例について説明するための図である。
図20図20は、実施形態に係る部品間接続における嵌合部材Bの配置の別の一例について説明するための図である。
図21図21は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。
図22図22は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。
図23図23は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。
図24図24は、実施形態に係る部品間接続における部品間の位置合わせの前後でのアライメントキーの位置関係の一例について説明するための図である。
図25図25は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る部品間接続構造、電力変換装置、部品間接続システム及び部品間接続方法の実施形態について説明する。
【0011】
このように、アライメントキー31,32に代えて位置決め用ピン625a,625b及び穴部35a,35bを用いる構成であっても、上述の実施形態と同様に、嵌合部材Bの良好な嵌合を実現可能である。つまり、本変形例に係る構成によれば、上述の実施形態と同様に、嵌合部材Bの配置に係る位置精度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0012】
なお、本開示に係る部品間接続構造とは、電子部品、回路基板及び基板ユニットなどの任意の被接続対象の部品間を接続する構造である。これらの被接続対象の部品とは、例えば充電器などの電力変換装置を構成する部品である。一例として、部品間接続構造は、回路基板間の接続構造である。別の一例として、部品間接続構造は、電子部品と、回路基板又は基板ユニットとの間の接続構造である。別の一例として、部品間接続構造は、回路基板及び基板ユニットの間の接続構造である。別の一例として、部品間接続構造は、電子部品間の接続構造である。別の一例として、部品間接続構造は、基板ユニット間の接続構造である。なお、被接続対象の部品としては、冷却板が使用されても構わない。
【0013】
例えば、電子部品とは、半導体素子、半導体モジュール、磁性体、コンデンサ及び遮断器などの部品である。半導体モジュールは、例えば複数の半導体素子により構成される。ここで、磁性体とは、トランスやトランス一体型プリント基板、変成器、リアクトル、チョークである。遮断器とは、リレーやヒューズである。
【0014】
例えば、回路基板とは、プリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)である。プリント回路基板は、一例として、アルミニウム合金又は銅合金を母材として形成されたガラスエポキシ基板である。なお、回路基板は、トランス、変成器、リアクトル又はチョーク等の磁性部品が有する回路基板であってもよい。この磁性部品は、例えば、導体パターンが巻線を形成する基板を有し、当該基板に形成された巻線の内側及び外側に磁性体コアを貫通させて閉磁路が形成されることにより、磁性部品としての機能を有する。この場合、電子部品は、プリント基板トランス、あるいはトランス一体型プリント基板であると表現することができる。
【0015】
例えば、基板ユニットとは、結合された複数の回路基板である。なお、基板ユニットにおいて、複数の回路基板は、本開示に係る部品間接続構造により結合されていてもよいし、接着剤やネジ、ボルト等により結合されていても構わない。また、結合された回路基板の間は、電気的に接続されていてもよいし、絶縁されていてもよい。なお、基板ユニットは、電子部品が搭載された回路基板であってもよい。この場合、電子部品及び回路基板の間は、電気的に接続されていてもよいし、絶縁されていてもよいし、熱的に接続されているだけでも構わない。
【0016】
以下の説明では、複数のプリント回路基板の間を電気的に接続する基板間接続を例に本開示に係る部品間接続について説明する。
【0017】
実施形態に係る電力変換装置は、一例として、電気自動車などに搭載され、電源(外部電源)から供給される交流電力を所定の電圧の直流電力へ変換し、変換後の直流電力をリチウムイオンバッテリなどのバッテリへ出力する車載充電器である。このような電力変換装置は、DC/DCコンバータやインバータなどの回路構成が実装された、複数の回路基板を搭載する。なお、DC/DCコンバータモジュールやインバータモジュールと、回路基板との間の接続に本開示に係る部品間接続構造が適用されても構わない。
【0018】
図1は、実施形態に係る電力変換装置1における複数のプリント回路基板の層状構造の一例を示す概略断面図である。図1は、電力変換装置1の有する複数の回路基板のうちの、第1の回路基板PCB1、第2の回路基板PCB2、第3の回路基板PCB3及び第4の回路基板PCB4を例示する。
【0019】
第1の回路基板PCB1、第2の回路基板PCB2、第3の回路基板PCB3及び第4の回路基板PCB4は、それぞれプリント回路基板である。なお、以下の説明において、複数の一対の嵌合部材Bを、複数対の嵌合部材Bと記載する場合もある。また、一対の嵌合部材Bを嵌合部と表現する場合もある。
【0020】
第1の回路基板PCB1は、複数対の嵌合部材Bにより第2の回路基板PCB2に結合する。第2の回路基板PCB2は、複数対の嵌合部材Bにより第1の回路基板PCB1及び第3の回路基板PCB3の各々に結合する。第3の回路基板PCB3は、複数対の嵌合部材Bにより第2の回路基板PCB2及び第4の回路基板PCB4に結合する。第4の回路基板PCB4は、複数対の嵌合部材Bにより第3の回路基板PCB3に結合する。これにより、各基板は、複数対の嵌合部材Bの各々を介して、電気的に接続される。
【0021】
なお、電力変換装置1の有する複数の回路基板のうちの一部の回路基板だけをプリント回路基板とすることもできる。例えば、第1の回路基板PCB1、第2の回路基板PCB2、第3の回路基板PCB3及び第4の回路基板PCB4のうちの少なくとも1つの回路基板をプリント回路基板とすることができる。また、一対の嵌合部材Bによる回路基板間の接続は、必ずしも電気的な接続でなくてもよい。ただし、実施形態は、主として2つの回路基板が複数対の嵌合部材Bにより電気的に結合される場合を例示する。
【0022】
このように、実施形態に係る電力変換装置1において、積層される少なくとも2つの回路基板のうちの隣接する2つの回路基板は、複数対の嵌合部材Bにより結合される。複数対の嵌合部材Bは、オス型嵌合部材Bmと、メス型嵌合部材Bfとをそれぞれが含む。つまり、複数対の嵌合部材Bとは、複数組の一対の嵌合部材Bである。また、複数対の嵌合部材Bのそれぞれ、すなわち一対の嵌合部材Bとは、オス型嵌合部材Bmと、メス型嵌合部材Bfとの組である。ここで、積層される2つの回路基板の各々の互いに対向する主面には、それぞれ、複数対の嵌合部材Bの一方が配置される。
【0023】
オス型嵌合部材Bm又はメス型嵌合部材Bfは、アライメントキー31,32(図6参照)を原点とするなど、アライメントキー31,32を幾何学的な基準位置として各回路基板上に配置されている。
【0024】
具体的には、図1に示すように、複数対の嵌合部材Bのそれぞれにおいて、オス型嵌合部材Bmは、積層される2つの回路基板の一方に配置され、メス型嵌合部材Bfは、積層される2つの回路基板の他方に配置される。
【0025】
複数の回路基板の各々にオス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfのいずれを配置するかは任意に決定することができる。一例として、複数対の嵌合部材Bの嵌合により結合される2つの回路基板の各々には、図1に示すように、オス型嵌合部材Bmと、メス型嵌合部材Bfとのいずれか一方のみが配置される。別の一例として、複数対の嵌合部材Bの嵌合により結合される2つの回路基板の各々には、少なくとも1つのオス型嵌合部材Bmと、少なくとも1つのメス型嵌合部材Bfとが配置される。この場合、各回路基板において、一方の主面にはオス型嵌合部材Bmを配置し、他方の主面にはメス型嵌合部材Bfを配置することができる。あるいは、各回路基板において、1つの主面にオス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの両方を配置することもできる。
【0026】
また、各回路基板において、1つの主面に2以上の回路基板が結合されても構わない。
【0027】
オス型嵌合部材Bmは、差し込む側のブレード状のコネクタ(Plug)である。オス型嵌合部材Bmは、平栓刃と表現することもできる。メス型嵌合部材Bfは、差し込まれる側のコネクタ(Receptacle)である。メス型嵌合部材Bfは、ブレード受けばねと表現することもできる。
【0028】
図2は、図1の一対の嵌合部材Bの構成の一例を示す模式図である。図3は、図1の一対の嵌合部材Bの嵌合状態の一例を示す概略断面図である。図2の(a)及び図3は、一対の嵌合部材Bの嵌合状態の一例を示す。図2の(b)は、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの各々を、図1と同様にして簡易的に示す。図2の(c)及び図3は、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの各々を、具体的に示す。
【0029】
回路基板PCBに実装されたオス型嵌合部材Bmの差込部11は、メス型嵌合部材Bfの受入部20に挿入される。具体的には、差込部11が第1の挟持部21及び第2の挟持部22に接触しながら、第1の挟持部21及び第2の挟持部22の間の間隔を押し広げるように挿入される。図2の(a)及び図3に示すように、メス型嵌合部材Bfが第1の挟持部21及び第2の挟持部22の間に差し込まれたオス型嵌合部材Bmの差込部11を挟持することで、メス型嵌合部材Bfが配置された回路基板PCBと、オス型嵌合部材Bmが配置された回路基板PCBとが結合される。なお、メス型嵌合部材Bfにオス型嵌合部材Bmを差し込む長さ、すなわち挿入高さは、結合する基板間の距離などに応じて、適宜に設定することができる。
【0030】
図4は、図1のオス型嵌合部材Bmの構成の一例を示す概略斜視図である。オス型嵌合部材Bmの差込部11は、概ね平板形状の形状を有する。差込部11の先端部13は、面取りされており、先端側に向かうほど厚さが小さい。これにより、差込部11をメス型嵌合部材Bfの受入部20に差し込み易くすることができる。差込部11の接続部15は、間隙17により3つに分割された差込部11の後端側の各々である。接続部15、すなわち分割された差込部11の後端側の各々は、差込部11に対して概ね垂直方向に曲げられている。接続部15は、PCB基板上の所定の位置にはんだ接合され、差込部11とPCB基板上の配線との間を電気的に接続する。差込部11及び接続部15は、例えば1枚の金属の板材の曲げ加工によって形成することができる。
【0031】
なお、オス型嵌合部材Bmの差込部11の後端側の分割数は、2つ以上の分割数で任意に設計可能である。一例として、差込部11の長さが大きいほど分割数を大きくする。
【0032】
図5は、図1のメス型嵌合部材Bfの構成の一例を示す概略斜視図である。メス型嵌合部材Bfは、受入部20に差し込まれたオス型嵌合部材Bmの差込部11を挟持する。メス型嵌合部材Bfは、例えば1枚の金属の板材の曲げ加工によって形成される。メス型嵌合部材Bfは、側面側、すなわち第1の基部26a又は第2の基部26bの側から見て、先端側が開いた概ねY字状あるいはX字状の形状を有する。
【0033】
具体的には、メス型嵌合部材Bfは、第1の挟持部21及び第2の挟持部22を有する。第1の挟持部21及び第2の挟持部22は、互いに対向して配置される。第1の挟持部21の第2の挟持部22に対向する面と、第2の挟持部22の第1の挟持部21に対向する面とは、受入部20を形成する。つまり、第1の挟持部21及び第2の挟持部22は、受入部20を介して対向する。メス型嵌合部材Bfは、第1の挟持部21及び第2の挟持部22の間の受入部20に差し込まれたオス型嵌合部材Bmの差込部11を挟持する。第1の挟持部21は、第1の屈曲部23aにおいて、対向する第2の挟持部22に向かって凸となる形状に屈曲する。同様に、第2の挟持部22は、第1の屈曲部23aにおいて、対向する第1の挟持部21に向かって凸となる形状に屈曲する。換言すれば、第1の挟持部21及び第2の挟持部22の各々は、第1の屈曲部23aにおいて、互いの対向する面に向かって凸部を形成するように屈曲する。第1の挟持部21の第1の屈曲部23aと、第2の挟持部22の第1の屈曲部23aとは、受入部20を介して離間する。第1の挟持部21の第1の屈曲部23aと、第2の挟持部22の第1の屈曲部23aとの間の距離は、オス型嵌合部材Bmの差込部11の厚さより小さい。
【0034】
第1の挟持部21及び第2の挟持部22の各々には、先端側から後端側まで、間隙27が設けられている。つまり、第1の挟持部21及び第2の挟持部22の各々は、間隙27により2分割される。換言すれば、メス型嵌合部材Bfの先端部は、間隙27により4分割される。具体的には、第1の挟持部21は、間隙27により分割された第1の弾性部21a及び第2の弾性部21bを含む。同様に、第2の挟持部22は、間隙27により分割された第3の弾性部22a及び第4の弾性部22bを含む。ここで、第1の弾性部21a及び第2の弾性部21bは、間隙27を介して離間すると表現することもできる。同様に、第3の弾性部22a及び第4の弾性部22bは、間隙27を介して離間すると表現することもできる。
【0035】
なお、図5は、間隙27により4分割されたメス型嵌合部材Bfを例示するが、これに限らない。間隙27による分割数は、5つ以上であってもよい。ただし、第1の挟持部21の分割数と、第2の挟持部22の分割数とが等しいことが好ましく、間隙27による分割数は、例えば6つ以上の偶数である。後述する一対の嵌合部材Bの間の相対的な回転位置ずれは、いずれの方向にも生じる可能性がある。このため、第1の挟持部21の分割数と、第2の挟持部22の分割数とを等しくすることにより、回転位置ずれの方向によらず、嵌合部の幾何学的な許容範囲を拡大することができる。
【0036】
第1の弾性部21a及び第3の弾性部22aの各々は、第1の基部26aから延設される。換言すれば、第1の弾性部21a及び第3の弾性部22aの各々は、第2の屈曲部23bを介して、第1の基部26aに連続一体に連結されている。また、第2の弾性部21b及び第4の弾性部22bの各々は、第2の基部26bから延設される。換言すれば、第2の弾性部21b及び第4の弾性部22bの各々は、第2の屈曲部23bを介して、第2の基部26bに連続一体に連結されている。また、第1の基部26a及び第2の基部26bの各々は、プリント回路基板への接続部25から延設される。換言すれば、第1の基部26a及び第2の基部26bの各々は、第3の屈曲部23cを介して、接続部25に連続一体に連結されている。
【0037】
したがって、第1の弾性部21a、第2の弾性部21b、第3の弾性部22a及び第4の弾性部22bの各々は、第1の挟持部21又は第2の挟持部22を分割した形状に相当するため、差込部11との接触状態に応じて独立して変形することができる。
【0038】
なお、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfは、それぞれ金属材料により形成される。一例として、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfは、銅、真鍮を含む銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成される。
【0039】
また、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの表面領域のうちの一部又は全部の領域には、導体メッキが施されている。導体メッキとしては、例えば錫メッキ、銀メッキ又は金メッキが適宜利用可能である。
【0040】
ここで、錫は、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの下地に使用されるニッケルと合金化しやすい性質を有する。周囲温度が高くなると錫及びニッケルの合金化が進行し、抵抗値が1[mΩ]以上となる。一方で、銀や金は、ニッケルとの合金化は進行しにくいが、使用するとコストが高い。オス型嵌合部材Bmと、メス型嵌合部材Bfとの間の接触抵抗が大きいと、オス型嵌合部材Bmと、メス型嵌合部材Bfとの接触部位において温度上昇が生じる。そこで、実施形態に係る電力変換装置1においては、オス型嵌合部材Bmと、メス型嵌合部材Bfとの接触部位における接触抵抗を1[mΩ]以下とする。換言すれば、一対の嵌合部材Bが嵌合した状態における、オス型嵌合部材Bmの差込部11と、第1の挟持部21又は第2の挟持部22の凸部との間の接触抵抗は、1[mΩ]以下とする。
【0041】
接触抵抗の大きさは、「接触圧力(接圧)」、「材料(表面の錫など)」及び「接触面積」によって規定される。そこで、実施形態に係る電力変換装置1においては、一例として、メス型嵌合部材Bfの4つの弾性部の弾性力を調整することにより、接触抵抗を1[mΩ]以下に調整する。換言すれば、実施形態に係るメス型嵌合部材Bfは、接触抵抗が1[mΩ]以下になるように、4つの弾性部の弾性力が設計される。なお、4つの弾性部の弾性力は、例えばメス型嵌合部材Bfの材料(母材)と、その形状とに依存する。
【0042】
なお、実施形態に係るオス型嵌合部材Bmの差込部11は、略平板状の形状を有する。また、実施形態に係るメス型嵌合部材Bfは、差し込まれた略平板形状の差込部11を挟持することによりオス型嵌合部材Bmと嵌合するように構成されている。これにより、実施形態に係る基板間接続構造は、例えばピン形状の差込部を有するオス型嵌合部材を用いて実現される基板間接続構造と比較して、一対の嵌合部材Bの間での接触面積を大きくすることができるため、接触抵抗を低減することができる。一対の嵌合部材Bの間での接触抵抗の低減化は、一対の嵌合部材Bにおける発熱や電力ロスの抑制、メス型嵌合部材Bfの形状や材料に関する自由度の向上、接続状態の判定の簡単化などに寄与する。
【0043】
例えば、ピン形状の直径と、平板形状の厚さとを同一としたとき、平板形状の幅は任意に設定可能であることから、平板形状のオス型嵌合部材Bmは、同じ長さのピン形状のオス型嵌合部材より、メス型嵌合部材Bfとの接触面積を大きくすることができる。また、例えば、ピン形状と、平板形状との基板に平行な断面での断面積を同一としたとき、平板形状の厚さ及び幅を適切に設定することにより、平板形状の主面の面積を、同じ長さのピン形状の表面積より大きくすることができる。つまり、平板形状のオス型嵌合部材Bmは、同じ長さのピン形状のオス型嵌合部材より、メス型嵌合部材Bfとの接触面積を大きくすることができる。
【0044】
ここで、差込部11の厚さとは、図1に示す状態での差込部11の左右方向の大きさであるとする。また、差込部11の長さとは、図1に示す状態での差込部11の上下方向の大きさであるとする。また、差込部11の幅とは、図1に示す状態での差込部11の紙面に垂直な方向の大きさであるとする。
【0045】
なお、本開示は、略平板形状の差込部11を有するオス型嵌合部材Bmを例示するが、これに限らない。例えば、オス型嵌合部材Bmは、ピン形状などの略円筒形状の差込部11を有していても構わない。この場合であっても、実施形態に係るメス型嵌合部材Bfの複数の弾性部は、略円筒形状の差込部11との接触状態に応じて独立して変形することができる。なお、メス型嵌合部材Bfの複数の弾性部は、差し込まれた略円筒形状の差込部11を挟持することによりオス型嵌合部材Bmと嵌合するように、例えば環状に配置され得る。
【0046】
なお、メス型嵌合部材Bfの外周部には、絶縁部が設けられている。一例として、絶縁部とは、メス型嵌合部材Bfの外周部に形成されている絶縁体の層である。絶縁体の層は、絶縁体をメス型嵌合部材Bfの外周部に塗布することにより形成されてもよいし、絶縁体により形成された絶縁フィルムをメス型嵌合部材Bfの外周部に貼付することにより形成されても構わない。一例として、絶縁体は、樹脂である。ここで、メス型嵌合部材Bfの外周部とは、第1の挟持部21の第2の挟持部22に対向する側の領域と、第2の挟持部22の第1の挟持部21に対向する側の領域と、接続部25のプリント回路基板に接触する領域とを除くメス型嵌合部材Bfの表面領域である。これにより、差込部11と受入部20との位置のずれに起因して、一対のオス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの嵌合に不具合が生じた場合に、電気的検査によりその接続不良を検出することができる。ここで、電気的検査とは、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの間の接触部位を介した抵抗値の計測である。
【0047】
図6は、それぞれにアライメントキーが設けられた図1の複数の回路基板の一例を示す概略斜視図である。本実施形態に係る複数の回路基板の各々には、図6に示すように、各主面にアライメントキー31,32が設けられている。例えば、各回路基板は、表面側にアライメントキー31を有し、裏面側にアライメントキー32を有している。例えば、図6に示す例では、第1の回路基板PCB1の第2の回路基板PCB2側の主面上にアライメントキー31が設けられている。また、第2の回路基板PCB2の第1の回路基板PCB1側の主面上にアライメントキー32が設けられている。つまり、一対のアライメントキー31,32は、第1の回路基板PCB1及び第2の回路基板PCB2の互いに対向する面に形成される。また、一対のアライメントキー31,32は、それぞれ、結合される2つの回路基板上の、当該2つの回路基板が結合された状態で対向する位置に設けられている。
【0048】
なお、第1の回路基板PCB1の第2の回路基板PCB2とは反対側の主面上と、第4の回路基板PCB4の第3の回路基板PCB3とは反対側の主面上とにおいては、アライメントキー31,32は、設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。つまり、複数の回路基板の各々には、少なくとも結合される他の回路基板と対向する主面上にアライメントキー31,32が設けられている。
【0049】
アライメントキー31,32とは、オス型嵌合部材Bm又はメス型嵌合部材Bfを、各回路基板上に配置する際の原点位置などの幾何学的な基準位置として用いられる目印である。
【0050】
また、アライメントキー31,32とは、各回路基板を結合する流れにおいて、アライメントの際に用いる、位置調整用の目印である。アライメントキー31,32は、アライメントマークと呼称される場合もあり得る。アライメントキー31,32は、結合される2つの回路基板のそれぞれに形成されたパターン形状である。ここで、結合される2つの回路基板のアライメント用の一対のアライメントキー31,32のそれぞれは、第1のアライメントキーの一例である。
【0051】
ここで、アライメントとは、詳細は後述するが、アライメントキー31,32を基に、各回路基板を結合する流れにおいて、各回路基板の位置決め及び整列配置を行うことである。各回路基板の位置決め及び整列配置とは、各回路基板を把持するステージ62(図9参照)を移動することで、結合する他方の回路基板の鉛直方向上方に移動させることを言う。
【0052】
図7は、実施形態に係る部品間接続システム4の構成の一例を示すブロック図である。図8は、実施形態に係る部品間接続システムの構成の一例を示す模式図である。図9は、実施形態に係る部品間接続における部品間の位置合わせの前後でのアライメントキー31,32の位置関係の一例について説明するための図である。図10は、実施形態に係る部品間接続における部品間の嵌合の工程の一例について説明するための図である。
【0053】
部品間接続システム4は、例えば車載充電器などの電力変換装置1の部品間を接続するシステムである。つまり、部品間接続システム4は、電力変換装置1の組み立て工程において使用され得る。部品間接続システム4は、図7に示すように、制御装置40、アライメントキー認識装置50及び基板移動装置60を含む。
【0054】
制御装置40は、プロセッサ41及びメモリ43を有する。
【0055】
プロセッサ41は、制御装置40の全体の動作を制御する。プロセッサ41としては、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の各種のプロセッサが適宜利用可能である。
【0056】
メモリ43は、制御装置40で使用される各種のデータやプログラムを記憶する。メモリ43としては、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、Flashメモリ等の各種の記憶媒体や記憶装置が適宜利用可能である。また、メモリ43には、一時的に作業中のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)がさらに設けられる。なお、メモリ43としては、電気通信回線を介して制御装置40に接続された外部記憶装置が利用されても構わない。
【0057】
制御装置40は、認識制御部411及び移動制御部413としての機能を有する。制御装置40は、例えばメモリ43にロードされた部品間接続プログラムをプロセッサ41が実行することにより、認識制御部411及び移動制御部413としての機能を実現する。
【0058】
認識制御部411は、アライメントキー認識装置50の動作を制御する。例えば、認識制御部411は、複数のカメラ53が搭載された支持部材51を移動させ、結合する2つの回路基板の間に挿入する。また、認識制御部411は、複数のカメラ53により、結合する2つの回路基板のそれぞれに設けられたアライメントキー31,32を認識する。認識制御部411は、アライメントキー31,32の認識結果を移動制御部413に出力する。
【0059】
移動制御部413は、認識制御部411によるアライメントキー31,32の認識結果に基づき、結合する2つの回路基板の一方を搭載するステージ61に対する、結合する2つの回路基板の他方を搭載するステージ62の移動量を算出する。移動制御部413は、例えば図9の(a)に示すように認識されたアライメントキー31,32の位置的な整合が取れていないとき、認識されたアライメントキー31,32のずれ方向及びずれ量に基づき、ステージ62の移動量を算出する。つまり、移動制御部413は、図9の(b)に示すようにアライメントキー31,32の位置的な整合が取れた状態を目標位置として、ステージ62の移動量を算出する。
【0060】
また、移動制御部413は、算出された移動量に基づき、ステージ62を移動させて結合する2つの回路基板間の位置的整合を取りアライメントを完成させる。その後、移動制御部413は、図11に示すように、ステージ62をステージ61に近づけるように垂直方向D1に移動させ、複数対の嵌合部材Bを嵌合させることにより2つの回路基板を結合する。
【0061】
なお、2つの回路基板間の位置的整合を取るとは、例えばアライメントキー32の隙間にアライメントキー31が収まるように相対位置を変更することを言うが、これに限らない。例えば、アライメントキー31,32が予め定められた距離だけ離間し、かつ、向きが一致するように相対位置を変更することを、2つの回路基板間の位置的整合を取るとしてもよい。
【0062】
アライメントキー認識装置50は、回路基板の組み立て工程において、結合する2つの回路基板のそれぞれに設けられたアライメントキー31,32を認識する装置である。アライメントキー認識装置50は、図8に示すように、支持部材51及び複数のカメラ53を有する。複数のカメラ53は、支持部材51に設けられている。複数のカメラ53は、支持部材51が2つの回路基板間に挿入されたとき、当該2つの回路基板のそれぞれに対向する位置にそれぞれ設けられた少なくとも2つのカメラ53を有する。これらのカメラ53は、対向する回路基板に設けられたアライメントキー31,32を撮影可能に構成されている。複数のカメラ53の支持部材51における位置は、予めメモリ43等に記憶されているとする。なお、複数のカメラ53の数や配置は、アライメントキー31,32が設けられた回路基板に応じて適宜決定されればよい。
【0063】
なお、第1の回路基板PCB1及び第2の回路基板PCB2の間と、第2の回路基板PCB2及び第3の回路基板PCB3の間とでは、アライメントキー31,32の配置が異なっていてもよい。この場合、結合する2つの回路基板のアライメントキー31,32の配置に応じて、異なるアライメントキー認識装置50が使用されてもよい。また、結合する2つの回路基板のアライメントキー31,32の配置に応じて複数のカメラ53の位置が変更可能であっても構わない。
【0064】
図8に示す例では、複数のカメラ53は、第1の回路基板PCB1の第2の回路基板PCB2側に設けられたアライメントキー31と、第2の回路基板PCB2の第1の回路基板PCB1側に設けられたアライメントキー32とを認識する。図8に示す例では、第1の回路基板PCB1の第2の回路基板PCB2側に設けられたアライメントキー31を認識するカメラ53と、第2の回路基板PCB2の第1の回路基板PCB1側に設けられたアライメントキー32を認識するカメラ53とは、各撮像軸が同軸上に位置するように配置されている。
【0065】
基板移動装置60は、回路基板の組み立て工程において、結合する2つの回路基板のアライメントを実施する装置である。基板移動装置60は、図8に示すように、結合する2つの回路基板のそれぞれを把持するステージ61,62を有する。ステージ61,62は、互いに対向する面が平行になるように構成されている。ステージ61は、例えば固定ステージである。ステージ62は、例えば可動ステージである。ステージ62は、例えば、上下左右方向に移動可能な3軸ステージである。ステージ62は、把持する回路基板をチルト可能に構成されていても構わない。
【0066】
図8に示す例では、基板移動装置60のステージ61は、第1の回路基板PCB1を把持する。また、ステージ62は、第2の回路基板PCB2を水平方向Dに移動可能に把持する。基板移動装置60は、ステージ62をステージ61に対して平行移動させることにより、第1の回路基板PCB1に対する第2の回路基板PCB2のアライメントを実施する。また、基板移動装置60は、図10に示すように、ステージ62をステージ61に対して垂直移動させることにより、第1の回路基板PCB1に第2の回路基板PCB2を結合する。
【0067】
なお、基板移動装置60は、固定ステージとして構成されるステージ61を有していなくてもよい。この場合、基板移動装置60は、ステージ61に代えて、電力変換装置1を構成するアルミダイカストやステンレス製プレート等の電力変換装置1の筐体を利用してもよい。あるいは、基板移動装置60は、筐体に結合された第1の回路基板PCB1に対して、第2の回路基板PCB2をアライメントする装置として実現される。つまり、本開示においては、ステージ61を、電力変換装置1の組み立て工程における被接続対象の一対の部品の一方として適宜読み替えることが可能である。なお、当該被接続対象の一対の部品の他方がステージ62により移動される点は、ステージ61が使用される場合であっても、ステージ61に代えて電力変換装置1の筐体などの部品が使用される場合であっても同様である。
【0068】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る部品間接続の流れの一例を説明する。図11は、実施形態に係る部品間接続の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、図8及び図10に示すように、第1の回路基板PCB1に第2の回路基板PCB2を結合する場合を例に説明する。
【0069】
まず、アライメントキー31を基準として、第1の回路基板PCB1の第2の回路基板PCB2側の主面にオス型嵌合部材Bmを配置する(S101)。また、アライメントキー32を基準として、第2の回路基板PCB2の第1の回路基板PCB1側の主面にメス型嵌合部材Bfを配置する(S102)。このように、アライメントキー31,32を基準の位置としてオス型嵌合部材Bm又はメス型嵌合部材Bfを配置することにより、アライメントキー31,32を用いたアライメントの実施により、各回路基板の位置的な整合を取ることができる。
【0070】
次に、各回路基板の結合側の主面がそれぞれ対向するように、各回路基板を基板移動装置60にセットする(S103)。具体的には、第1の回路基板PCB1をステージ61により把持する。また、第2の回路基板PCB2をステージ62により把持する。
【0071】
その後、認識制御部411は、結合する2つの回路基板の間に支持部材51を挿入し、複数のカメラ53により、結合する2つの回路基板のそれぞれに設けられたアライメントキー31,32を認識する(S104)。認識制御部411は、アライメントキー31,32を認識した後、結合する2つの回路基板の間から支持部材51を抜去する。
【0072】
結合する2つの回路基板の間から支持部材51が移動された後、移動制御部413は、認識制御部411によるアライメントキー31,32の認識結果に基づきステージ61に対してステージ62を移動させて、第1の回路基板PCB1及び第2の回路基板PCB2を結合する(S203)。具体的には、移動制御部413は、認識制御部411によるアライメントキー31,32の認識結果に基づきアライメントに係るステージ62の移動量を算出する。また、移動制御部413は、算出された移動量に基づきステージ62を平行移動させてアライメントを完成させる。アライメントが完成した後、移動制御部413は、ステージ62をステージ61に向けて近づけることにより、複数対の嵌合部材Bのそれぞれを嵌合させる。
【0073】
なお、ステップS203において移動制御部413は、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの接触がセンサで検知された後に、片方のプリント回路基板を他方のプリント基板に対し押し込むことで、層状構造の定置状態を形成する。センサとしては、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの間の接触部位を介した抵抗値を計測するセンサ等が利用可能である。メス型嵌合部材Bfは、オス型嵌合部材Bmの差込部11の挿入方向とは反対側に弾性力(ばね力)を有する。このため、複数のオス型嵌合部材Bmを同時に複数のメス型嵌合部材Bfに押し込むと、いくつかのオス型嵌合部材Bmがメス型嵌合部材Bfの受入部20から外れてしまう場合がある。そこで、本ステップでは、確実な嵌合状態を一度作った後、さらに片方のプリント回路基板を他方のプリント基板に押し込むことで、良好な嵌合を実現する。ここで、確実な嵌合状態とは、例えば1mm程度、差込部11が受入部20に押し込まれた定常状態をいう。
【0074】
上述したように、それぞれに実装されたオス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfが嵌合することにより、2つの回路基板が結合される。しかしながら、オス型嵌合部材Bm又はメス型嵌合部材Bfを回路基板に実装する際に、意図した位置からずれて配置される場合がある。このような場合、一対の嵌合部材Bが適切に嵌合せず、基板間の接続不良が生じるおそれがある。また、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの各々が所定の配置で実装された場合であっても、組み立てる際の位置精度によっては、一対の嵌合部材Bが適切に嵌合せず、基板間の接続不良が生じるおそれがある。
【0075】
このような中、実施形態に係る部品間接続構造において、オス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfは、回路基板上に設けられたアライメントキー31,32を基準位置として配置されている。また、結合する2つの回路基板のアライメントは、アライメントキー31,32の認識結果に基づき実施される。このように、回路基板上にアライメントキー31,32を設けることにより、アライメントキー31,32の認識結果に基づく回路基板のアライメントにより複数対の嵌合部材Bを適切に嵌合させることができる。また、アライメントキー認識装置50は、回路基板上の所定の位置に設けられたアライメントキー31,32を、アライメントキー31,32の配置に応じた位置に撮像軸が同軸になるように配置された複数のカメラ53により認識するように構成されている。この構成によれば、結合する2つの回路基板の大きさが異なる場合であっても、アライメントキー31,32により結合する2つの回路基板のアライメントを実施することができる。
【0076】
以上説明したように、実施形態に係る部品間接続方法によれば、部品間を電気的に接続する嵌合部における嵌合部材間の嵌合位置精度を向上させることができる。これにより、複数の回路基板を適切に積層することができるため、電力変換装置1の小型化を達成することができる。
【0077】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る部品間接続構造、電力変換装置、部品間接続システム及び部品間接続方法の各変形例について説明する。なお、以下の説明では、主として上述の実施形態又は各変形例との相違点を説明し、重複する説明については適宜省略する。
【0078】
(第1の変形例)
上述の実施形態では、ステージ61上の回路基板のアライメントキーを認識するカメラ53と、ステージ62上の回路基板のアライメントキーを認識するカメラ53との各撮像軸が同軸上である場合を例示したが、これに限らない。
【0079】
図12は、第1の変形例に係る部品間接続システム4の構成の別の一例を示す模式図である。図13は、第1の変形例に係る部品間接続における部品間の嵌合の工程の別の一例について説明するための図である。
【0080】
図12に示すように、本変形例に係るアライメントキー認識装置50において、ステージ61上の回路基板のアライメントキーを認識するカメラ53の撮像軸と、ステージ62上の回路基板のアライメントキーを認識するカメラ53の撮像軸とは、同軸上に位置しない。ここで、ステージ61上の回路基板のアライメントキーを認識する2つのカメラ53の撮像軸間の距離L1と、ステージ62上の回路基板のアライメントキーを認識する2つのカメラ53の撮像軸間の距離L2とは、等しいとする。これにより、ステージ61,62のそれぞれを向いた複数のカメラ53の撮像軸が同軸上にない場合であっても、対応するアライメントキー31,32を認識することができる。
【0081】
なお、上述の実施形態と同様に、結合する2つの回路基板の間でアライメントキーの位置が対応していればよく、図12及び図13に示すように、結合する2つの回路基板の大きさが異なっていても構わない。
【0082】
図13に示すように、本変形例に係る基板移動装置60は、上述の実施形態と同様に制御装置40の制御の下、アライメントキー認識装置50の認識結果に基づき、ステージ62を水平方向D11に移動させてアライメントを完成させる。また、基板移動装置60は、制御装置40の制御の下、ステージ62を垂直方向D12に移動させて第1の回路基板PCB1及び第2の回路基板PCB2を結合する。
【0083】
この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
(第2の変形例)
上述の実施形態及び第1の変形例では、1つのアライメントキー認識装置50によりステージ61上の回路基板のアライメントキーと、ステージ62上の回路基板のアライメントキーとをそれぞれ認識する場合を例示したが、これに限らない。
【0085】
図14は、実施形態に係る部品間接続システム4の構成の別の一例を示す模式図である。図14に示すように、本変形例に係る部品間接続システム4は、アライメントキー認識装置50aと、アライメントキー認識装置50bとを有する。アライメントキー認識装置50aは、ステージ61上の回路基板のアライメントキーを認識する。アライメントキー認識装置50bは、ステージ62上の回路基板のアライメントキーを認識する。
【0086】
なお、アライメントキー認識装置50の数は、3以上の複数であっても構わない。例えば、第1の回路基板PCB1の一方の主面に第2の回路基板PCB2及び第3の回路基板PCB3を結合するといった場合もあり得る。このような場合、第1の回路基板PCB1、第2の回路基板PCB2及び第3の回路基板PCB3のそれぞれのアライメントキーを認識する3つのアライメントキー認識装置50が使用され得る。
【0087】
これらの構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
(第3の変形例)
上述の実施形態及び各変形例では、結合する2つの回路基板の間に複数のカメラ53を挿入する場合を例示したが、これに限らない。
【0089】
図15は、実施形態に係る部品間接続システム4の構成の別の一例を示す模式図である。図15に示すように、本変形例に係る部品間接続システム4において、ステージ62は、透過部621を有する。透過部621は、ステージ62により把持される回路基板のアライメントキー31に対向する位置に設けられている。透過部621は、ステージ62を介してカメラ53によりアライメントキー31を認識可能に構成されていればよく、貫通穴により構成されていてもよいし、ガラスなどの透明部材により構成されていても構わない。
【0090】
また、本変形例に係るステージ62は、把持する回路基板側に凹部623を有する。凹部623は、ステージ62により把持される回路基板に設けられたオス型嵌合部材Bm又はメス型嵌合部材Bfに対向する位置に設けられている。
【0091】
本変形例に係る移動制御部413は、第1の回路基板PCB1のアライメントキー31と、第2の回路基板PCB2のアライメントキー31とに基づき、ステージ62の移動量を算出する。ここで、第1の回路基板PCB1のアライメントキー31と、第2の回路基板PCB2のアライメントキー31とは、同一のパターン形状であり、第1の回路基板PCB1及び第2の回路基板PCB2のそれぞれ同じ側を向いた面に形成される一対のアライメントキーの一例である。なお、同様に、アライメントキー32同士を用いてアライメントを実施することも可能である。
【0092】
この構成によれば、上述の実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。例えば、複数の回路基板を積層する場合、中間層を形成する回路基板には、両側の主面にオス型嵌合部材Bm及びメス型嵌合部材Bfの少なくとも一方が設けられている。このような中、本変形例に係る構成によれば、アライメントキー認識装置50の支持部材51を結合する2つの回路基板の間に挿入しなくてもアライメントキー31を認識できるため、回路基板に設けられた嵌合部材Bと、支持部材51との干渉を抑制することができる。
【0093】
(第4の変形例)
上述の実施形態及び各変形例では、一対のアライメントキーとして、十字状の形状のアライメントキー31と、十字状の隙間を有する、4つの矩形状のアライメントキー32との組を用いる場合や十字状のアライメントキー31同士を用いる場合を例示したが、これに限らない。
【0094】
図16は、実施形態に係るアライメントキーの別の一例を示す図である。図16に示すように、アライメントキーとしては、種々の形状を用いることができる。例えば、図16の(a)に示すように、アライメントキーは、アライメントキー31,32をそれぞれ回転させた形状を有していてもよい。例えば、図16の(b)に示すように、アライメントキーは、*(アスタリスク)状の形状と、当該アスタリスク状の隙間を有する、6つの三角形状との組であってもよい。例えば、図16の(c)に示すように、アライメントキーは、円又は楕円状の形状と、当該円又は楕円状の隙間を有するリング状の形状との組であってもよい。例えば、図16の(d)に示すように、アライメントキーは、2つの矩形を組み合わせた形状と、当該2つの矩形を組み合わせた形状の隙間を有する形状との組であってもよい。なお、アライメントキーの形状としては、図16に示す各形状に限らず、三角形や四角形などの任意の多角形の形状を用いることもできる。
【0095】
また、アライメントキーとしては、回路基板に形成された導電性のメッキ膜が形成されているスルーホールなどの貫通孔が使用されてもよい。例えば、図16の(c)に示すアライメントキーの形状のいずれか一方、あるいは両方を、プリント回路基板におけるスルーホールとして形成することもできる。
【0096】
また、アライメントキーとしては、回路基板上に設けられたオス型嵌合部材Bm又はメス型嵌合部材そのものが用いられても構わない。一例として、アライメントキー31と、メス型嵌合部材Bfの4つの弾性部との整合を取るように、アライメントを実施することも可能である。
【0097】
これらの構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
(第5の変形例)
上述の実施形態及び各変形例では、2つの回路基板の結合に着目して説明したが、これに限らない。
【0099】
図17は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。図17に示すように、上述の実施形態及び各変形例に係る技術は、1つの回路基板に複数の回路基板を結合する場合にも適用することができる。図17に示す例では、第1の回路基板PCB1には、第2の回路基板PCB2が積層されている。第2の回路基板PCB2には、第3の回路基板PCB3及び第4の回路基板PCB4が積層されている。第2の回路基板PCB2への第3の回路基板PCB3の結合と、第2の回路基板PCB2への第4の回路基板PCB4の結合とは、それぞれ、上述した部品間接続と同様にして行われればよい。なお、1つの回路基板に複数の回路基板を結合する場合、回路基板の大きさは、回路基板ごとに異なっていても構わない。
【0100】
なお、アライメントキーの形状は、結合する2つの回路基板ごとに異なっていてもよい。例えば、1つの回路基板に複数の回路基板を結合する場合など、アライメントキーの形状により、結合する回路基板が認識できるように構成することもできる。
【0101】
これらの構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、結合する回路基板ごとに異なるアライメントキーを用いる場合には、他の回路基板との結合のために設けられたアライメントキーと区別できるため、部品間を電気的に接続する嵌合部における嵌合部材間の嵌合位置精度をさらに向上させることができる。
【0102】
(第6の変形例)
図18は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。図19は、実施形態に係る部品間接続における嵌合部材Bの配置の一例について説明するための図である。
【0103】
各回路基板には、図18に示すように、回路基板上に嵌合部材Bを整列配置するためのアライメントキー33が設けられていてもよい。嵌合部材Bの配置用のアライメントキー33は、回路基板のアライメントキー31,32を例えば原点などの基準位置として設けられる。ここで、複数対の嵌合部材Bのアライメント用の複数のアライメントキー37のそれぞれは、第2のアライメントキーの一例である。各嵌合部材Bは、アライメントキー33との相対位置をカメラ等で確認しながら移動され、例えば図19に示すように、アライメントキー33に対して予め定められた位置にはんだ実装される。図18及び図19は、メス型嵌合部材Bfを、4つの弾性部とアライメントキー33とが所定の距離だけ離間し、かつ、傾きが一致するように整列配置する場合を例示している。
【0104】
なお、図19は、アライメントキー33に対して予め定められた位置として、アライメントキー33から所定の距離だけ離間し、かつ、傾きが一致する位置を例示するが、これに限らない。図20は、実施形態に係る部品間接続における嵌合部材Bの配置の別の一例について説明するための図である。嵌合部材Bは、図20に示すように、アライメントキー31,32によるアライメントと同様にして、4つの弾性部とアライメントキー33とが整合するように配置することもできる。
【0105】
また、アライメントキー33に対応するアライメントキーを嵌合部材Bそのものに設ける構成も実現可能である。この場合、アライメントキー33と、嵌合部材Bに設けられたアライメントキーとの間でアライメントが実施されて、嵌合部材Bが回路基板上の所定の位置に配置される。
【0106】
なお、本変形例では、メス型嵌合部材Bfを例に説明したが、オス型嵌合部材Bmもまた、アライメントキー33を用いて同様に配置することができる。
【0107】
これらの構成によれば、上述の実施形態で得られる効果に加えて、嵌合部材Bの配置に係る位置精度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0108】
(第7の変形例)
図21及び図22は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。図21は、回路基板の結合前の状態を模式的に示す。図22は、回路基板を結合した状態を模式的に示す。
【0109】
本変形例に係るステージ61は、電力変換装置1の筐体の一部であるとする。筐体には、ダウエルピンやノックピン、あるいは平行ピンなどの位置決め用ピン625a,625bが設けられている。なお、位置決め用ピン625a,625bは、各回路基板を結合する流れにおいて、アライメントの際に用いる、位置調整用の目印であるから、第1のアライメントキーの一例であると表現することもできる。本変形例に係る各回路基板には、アライメントキー31,32に代えて、穴部35a,35bが設けられている。なお、穴部35a,35bは、各回路基板を結合する流れにおいて、アライメントの際に用いる、位置調整用の目印であるから、第1のアライメントキーの一例であると表現することもできる。各回路基板の穴部35a,35bは、それぞれ筐体の位置決め用ピン625a,625bに対応する位置に設けられている。各回路基板の穴部35a,35bは、位置決め用ピン625a,625bの直径より僅かに大きい直径を有する。各回路基板において、嵌合部材Bは、穴部35a,35bを基準位置として配置される。
【0110】
本変形例に係る認識制御部411は、アライメントキー認識装置50により、位置決め用ピン625a,625b及び穴部35a,35bを認識する。移動制御部413は、位置決め用ピン625a,625b及び穴部35a,35bの認識結果に基づき、各基板を水平方向に移動させてアライメントを完成させる。移動制御部413は、アライメントが完成した後、図22に示すように、各基板の穴部35a,35bを位置決め用ピン625a,625bに沿わせながら各基板を垂直方向に移動させて各基板を順に結合する。
【0111】
このように、アライメントキー31,32に代えて位置決め用ピン625a,625b及び穴部35a,35bを用いる構成であっても、上述の実施形態と同様に、嵌合部材Bの良好な嵌合を実現可能である。つまり、本変形例に係る構成によれば、上述の実施形態と同様に、嵌合部材Bの配置に係る位置精度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0112】
(第8の変形例)
図23は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。図23は、回路基板の結合前の状態を模式的に示す。図24は、実施形態に係る部品間接続における部品間の位置合わせの前後でのアライメントキーの位置関係の一例について説明するための図である。
【0113】
本変形例に係るステージ61は、第7の変形例と概ね同様である。ステージ61は、電力変換装置1の筐体の一部であり、ダウエルピンやノックピン、あるいは平行ピンなどの位置決め用ピン625a,625bを有する。本変形例に係る位置決め用ピン625a,625bのそれぞれの上面には、第7の変形例とは異なり、アライメントキー37が設けられている。ここで、結合される2つの回路基板のアライメント用の一対のアライメントキー37のそれぞれは、第1のアライメントキーの一例である。本変形例に係る各回路基板には、第7の変形例とは異なり、アライメントキー32に加えて、穴部35a,35bが設けられている。各回路基板の穴部35a,35bは、それぞれ筐体の位置決め用ピン625a,625bに対応する位置に設けられている。各回路基板において、嵌合部材Bは、穴部35a,35b又はアライメントキー32を基準位置として配置される。
【0114】
本変形例に係る認識制御部411は、アライメントキー認識装置50により、回路基板上に設けられたアライメントキー32と、位置決め用ピン625a,625bに設けられたアライメントキー37とを認識する。移動制御部413は、アライメントキー32,37の認識結果に基づき、各基板を水平方向に移動させてアライメントを完成させる。移動制御部413は、アライメントが完成した後、上述の実施形態と同様にして、各基板を垂直方向に移動させて各基板を順に結合する。
【0115】
なお、本変形例の構成において、アライメントキー32に代えて、アライメントキー31などの他のアライメントキーの形状が適宜利用されても構わない。
【0116】
第7の変形例では、穴部35a,35bを位置決め用ピン625a,625bに沿わせながら各基板を垂直方向に移動させるために、位置決め用ピン625a,625bの直径より僅かに大きい直径を有する穴部35a,35bを例示した。一方で、本変形例では、位置決め用ピン625a,625bの上面にアライメントキー37が設けられているため、穴部35a,35bを位置決め用ピン625a,625bに沿わせながら各基板を垂直方向に移動させる必要はない。このため、本変形例に係る構成によれば、穴部35a,35b及び位置決め用ピン625a,625bの寸法的拘束を第7の変形例の構成より緩めることができる。
【0117】
(第9の変形例)
図25は、実施形態に係る部品間接続の別の一例を示す模式図である。図25に示すように、第8の変形例に係る構成において、電力変換装置1の筐体の一部としてのステージ61には、位置決め用ピン625a,625bが設けられていなくても構わない。この場合、図25に示すように、第8の変形例に係る構成において位置決め用ピン625a,625bが設けられていたステージ61上の位置に、アライメントキー37が設けられる。
【0118】
この構成によれば、アライメントキー33,37に基づいて回路基板のアライメントを実施することができるため、第8の変形例に係る構成とは異なり、位置決め用ピン625a,625bを不要とすることができる。位置決め用ピン625a,625bを設けないことは、電力変換装置1の部品点数を削減し、コストを削減することに寄与する。
【0119】
以上説明したように、本開示に係る部品間接続構造、電力変換装置1、部品間接続システム4及び部品間接続方法によれば、部品間を電気的に接続する嵌合部における嵌合部材間の嵌合位置精度を向上させることができる。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0121】
1 電力変換装置
4 部品間接続システム
11 差込部
13 先端部
15 接続部
17 間隙
20 受入部
21 第1の挟持部
21a 第1の弾性部
21b 第2の弾性部
22 第2の挟持部
22a 第3の弾性部
22b 第4の弾性部
23a 第1の屈曲部
23b 第2の屈曲部
23c 第3の屈曲部
26a 第1の基部
26b 第2の基部
25 接続部
27 間隙
31,32,33,37 アライメントキー
35a,35b 穴部
40 制御装置
41 プロセッサ
411 認識制御部
413 移動制御部
43 メモリ
50,50a,50b アライメントキー認識装置
51 支持部材
53 カメラ
60 基板移動装置
61,62 ステージ
621 透過部
623 凹部
625a,625b 位置決め用ピン
B 一対の嵌合部材
Bf メス型嵌合部材
Bm オス型嵌合部材
PCB1 第1の回路基板
PCB2 第2の回路基板
PCB3 第3の回路基板
PCB4 第4の回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25