(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189202
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】空気浄化装置及び空気浄化システム
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20221215BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20221215BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20221215BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20221215BHJP
F24F 8/167 20210101ALI20221215BHJP
F24F 8/95 20210101ALI20221215BHJP
【FI】
A61L9/20
F24F8/80 300
F24F8/80 150
F24F8/22
F24F8/108
F24F8/167
F24F8/95
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097659
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】512098429
【氏名又は名称】株式会社ドゥエルアソシエイツ
(74)【代理人】
【識別番号】100142550
【弁理士】
【氏名又は名称】重泉 達志
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 浩
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA17
4C180BB08
4C180CC03
4C180CC04
4C180CC12
4C180CC15
4C180DD03
4C180DD09
4C180EA13X
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH19
4C180JJ01
4C180KK01
4C180KK10
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】紫外光によるウイルスの不活化性能を向上させ、かつ、浄化すべき空間の汚染状況が悪化した際に装置側で自動的に対応することのできる空気浄化装置及びこの空気浄化装置を備えた空気浄化システムを提供する。
【解決手段】内部空間131と外部空間132とを仕切る仕切り部130を備えた空気浄化システム100において、内部空間131及び外部空間132の一方から空気を吸入し他方へ空気を排出するよう配置された空気浄化装置1を備え、空気浄化装置1は、HEPAフィルターへ向けて紫外光を照射する紫外光照射部と、異なる粒径の粒子を検出する第1粒子センサ及び第2粒子センサと、第1粒子センサ及び第2粒子センサで検出された粒子数の差に基づいてファンの送付量を増大させるファン制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口及び排気口が形成された筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体内の空気を流通させるファンと、
前記ファンの送風量を制御するファン制御部と、
前記筐体内に配置され、空気中のウイルスを不活化するウイルス不活部と、
前記筐体外の空気中の、予め設定された第1粒径よりも大きな粒子の数を検出する第1粒子センサと、
前記筐体外の空気中の、前記第1粒径より大きく設定された第2粒径よりも大きな粒子の数を検出する第2粒子センサと、を備え、
前記ウイルス不活部は、前記空気中のウイルスを捕捉するHEPAフィルターと、前記HEPAフィルターへ向けて紫外光を照射する紫外光照射部と、を有し、
前記ファン制御部は、前記第1粒子センサで検出された第1粒子数と、前記第2粒子センサで検出された第2粒子数との差に基づいて、前記ファンの送風量を増大させる空気浄化装置。
【請求項2】
前記筐体内に配置され、ウイルスを分解するウイルス分解部を備え、
前記ウイルス分解部は、
前記空気中のウイルスを捕捉する光触媒材料からなるウイルス捕捉体と、
前記ウイルス捕捉体へ向けて励起光を照射する励起光照射部と、を有する請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記筐体外の空気中の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素検出センサを備え、
前記ファン制御部は、前記二酸化炭素検出センサで検出された二酸化炭素濃度に基づいて、前記ファンの送風量を増大させる請求項1または2に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
内部空間と外部空間とを仕切る仕切り部と、
前記内部空間及び前記外部空間の一方から空気を吸入し、他方へ空気を排出するよう配置された請求項1または2に記載の前記空気浄化装置を備え、
前記空気浄化装置の前記第1粒子センサ及び前記第2粒子センサは、前記内部空間の空気中の粒子の数をそれぞれ検出する空気浄化システム。
【請求項5】
内部空間と外部空間とを仕切る仕切り部と、
前記内部空間及び前記外部空間の一方から空気を吸入し、他方へ空気を排出するよう配置された請求項3に記載の前記空気浄化装置を備え、
前記空気浄化装置の前記第1粒子センサ及び前記第2粒子センサは、前記内部空間の空気中の粒子の数をそれぞれ検出し、
前記空気浄化装置の前記二酸化炭素検出センサは、前記内部空間の空気中の二酸化炭素濃度を検出する空気浄化システム。
【請求項6】
前記内部空間は、建築物内に形成された陰圧室の内側の空間であり、
前記外部空間は、前記建築物内における前記陰圧室の外側の空間である請求項4または5に記載の空気浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光を利用した空気浄化装置及びこの空気浄化装置を備えた空気浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光を利用した空気浄化装置として、吸込口と吹出口を備えた本体内に、吸込口側から順次フィルターと、紫外線殺菌装置と、送風ファンとを設けてなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。紫外線殺菌装置は、前面に流入口を、後面に流出口を形成した筐体と、筐体内に配設された紫外線ランプと、多角筒状のセルを連続的に形成し、流入口と流出口とに夫々装着された紫外線遮光部材からなっている。特許文献1の空気浄化装置によれば、前面側の紫外線遮光部材を通過して紫外線殺菌装置内に流入してきた空気は、これに含有される細菌あるいは雑菌が紫外線ランプから照射された紫外線により死滅あるいは消滅することにより、清浄化された空気となって後面側の紫外線遮光部材を通り外部に流出する、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の空気浄化装置のように、流通する空気へ紫外光を照射する構成では、ウイルスへの紫外光の照射時間が短時間であり、ウイルスの不活化の効果が不十分である。また、浄化すべき空間の汚染状況が悪化した際に、装置側で自動的に対応することができない。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、紫外光によるウイルスの不活化性能を向上させ、かつ、浄化すべき空間の汚染状況が悪化した際に装置側で自動的に対応することのできる空気浄化装置及びこの空気浄化装置を備えた空気浄化システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、
吸気口及び排気口が形成された筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体内の空気を流通させるファンと、
前記ファンの送風量を制御するファン制御部と、
前記筐体内に配置され、空気中のウイルスを不活化するウイルス不活部と、
前記筐体外の空気中の、予め設定された第1粒径よりも大きな粒子の数を検出する第1粒子センサと、
前記筐体外の空気中の、前記第1粒径より大きく設定された第2粒径よりも大きな粒子の数を検出する第2粒子センサと、を備え、
前記ウイルス不活部は、前記空気中のウイルスを捕捉するHEPAフィルターと、前記HEPAフィルターへ向けて紫外光を照射する紫外光照射部と、を有し、
前記ファン制御部は、前記第1粒子センサで検出された第1粒子数と、前記第2粒子センサで検出された第2粒子数との差に基づいて、前記ファンの送風量を増大させる空気浄化装置が提供される。
【0007】
上記空気浄化装置において、
前記筐体内に配置され、ウイルスを分解するウイルス分解部を備え、
前記ウイルス分解部は、
前記空気中のウイルスを捕捉する光触媒材料からなるウイルス捕捉体と、
前記ウイルス捕捉体へ向けて励起光を照射する励起光照射部と、を有することが好ましい。
【0008】
上記空気浄化装置において、
前記筐体外の空気中の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素検出センサを備え、
前記ファン制御部は、前記二酸化炭素検出センサで検出された二酸化炭素濃度に基づいて、前記ファンの送風量を増大させることが好ましい。
【0009】
また、本発明では、
内部空間と外部空間とを仕切る仕切り部と、
前記内部空間及び前記外部空間の一方から空気を吸入し、他方へ空気を排出するよう配置された上記空気浄化装置を備え、
前記空気浄化装置の前記第1粒子センサ及び前記第2粒子センサは、前記内部空間の空気中の粒子の数をそれぞれ検出する空気浄化システムが提供される。
【0010】
さらに、本発明では、
内部空間と外部空間とを仕切る仕切り部と、
前記内部空間及び前記外部空間の一方から空気を吸入し、他方へ空気を排出するよう配置された上記空気浄化装置を備え、
前記空気浄化装置の前記第1粒子センサ及び前記第2粒子センサは、前記内部空間の空気中の粒子の数をそれぞれ検出し、
前記空気浄化装置の前記二酸化炭素検出センサは、前記内部空間の空気中の二酸化炭素濃度を検出する空気浄化システムが提供される。
【0011】
上記空気浄化システムにおいて、
前記内部空間は、建築物内に形成された陰圧室の内側の空間であり、
前記外部空間は、前記建築物内における前記陰圧室の外側の空間であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、紫外光によるウイルスの不活化性能を向上させ、かつ、浄化すべき空間の汚染状況が悪化した際に装置側で自動的に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態を示す空気浄化システムの構成説明図である。
【
図6】上流側照射パネルの模式断面図であり、(a)は各LED搭載部間の断面を示し、(b)は外枠の断面を示す。
【
図7】下流側照射パネルの模式断面図である。(a)は各LED搭載部間の上端側及び下端側の断面を示し、(b)は各LED搭載部間の中央側の断面を主に示し、(c)は外枠の断面を示す。
【
図8】筐体への各フィルター下部及び各照射パネル下部の取り付け状態を示す模式断面図である。
【
図10】分解フィルターの背面図であり、(a)は分解フィルター全体を示し、(b)は(a)中の一点鎖線Aで囲まれた部分を拡大して示している。
【
図11】空気浄化装置の概略制御ブロック図である。
【
図12】変形例を示す空気浄化システムの構成説明図である。
【
図13】変形例を示す空気浄化システムの構成説明図である。
【
図14】変形例を示す空気浄化システムの構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から
図11は本発明の一実施形態を示すものであり、
図1は本発明の一実施形態を示す空気浄化システムの構成説明図、
図2は空気浄化装置の正面図、
図3は空気浄化装置の背面図、
図4は空気浄化装置の分解斜視図、
図5は空気浄化装置の模式断面図、
図6は上流側照射パネルの模式断面図、
図7は下流側照射パネルの模式断面図、
図8は筐体への各フィルター下部及び各照射パネル下部の取り付け状態を示す模式断面図、
図9は分解フィルターの模式断面図、
図10は分解フィルターの背面図、
図11は空気浄化装置の概略制御ブロック図である。
【0015】
図1に示すように、この空気浄化システム100は、建築物110の内部に形成された陰圧室120に用いられる。陰圧室120は、仕切り部としての仕切り壁130により内外が仕切られて形成され、仕切り壁130の内部空間131は、外側空間132よりも気圧が低く保たれる。空気浄化システム100は、建築物110内における陰圧室120の外側の外部空間132から、陰圧室120の内側の内部空間131へ空気を導入する導入側の空気浄化装置1と、内部空間131から外部空間132へ空気を導出する導出側の空気浄化装置1と、を有する。導入側の空気浄化装置1は、仕切り壁130に形成された導入口133を通じて空気を導入し、導出側の空気浄化装置1は、仕切り壁130に形成された導出口134を通じて空気を導出する。
【0016】
図2及び
図3に示すように、空気浄化装置1は、左右寸法よりも上下寸法が大きい筐体2と、筐体2の前面23下側に形成された吸気口21と、筐体2の背面24上側に形成された排気口22と、を有し、吸気口21より吸入した空気を筐体2内で浄化した後に排気口22より吐出する。筐体2は、例えば、鉄、アルミニウム等の金属からなる。
図1に示すように、本実施形態においては、導入口133と導入側の空気浄化装置1の吸気口21が導入側ダクト135で接続され、導出口134と導出側の空気浄化装置1の排気口22が導出側ダクト136で接続される。
【0017】
本実施形態においては、
図4に示すように、筐体2の前面23は、鉛直方向へ延びる。また、筐体2の背面24は、下側が鉛直方向へ延び、上側が上方へ向かって前方へ傾斜している。
図2に示すように、吸気口21は、前面23の下側に縦長の長方形状を呈するよう形成される。また、
図3に示すように、排気口22は、背面24の傾斜部分に、間隔をおいて左右に並べて2つ形成される。
図2に示すように、前面23には、吸気口21を塞ぎ多数の通気孔25aを有する着脱自在の蓋25が設けられる。尚、各図中、通気孔25aは模式的に示している。
図3に示すように、背面24には、各排気口22に設けられ吐出される空気の方向を調整可能なノズル26が設けられる。
図4に示すように、筐体2は、前後寸法が左右寸法よりも小さく形成される。すなわち、この空気浄化装置1は、全体として、前後に薄く、かつ、縦長である。
【0018】
空気浄化装置1は、前面23の上側に設けられた、第1粒子センサ1a、第2粒子センサ1b及び二酸化炭素検出センサ1cを有する。第1粒子センサ1aは、筐体2外の空気中の、予め設定された第1粒径よりも大きな粒子の数を検出する。本実施形態においては、第1粒子センサ1aは、粒径が0.1μm以上の粒子の数を検出する。第2粒子センサ1bは、筐体2外の空気中の、第1粒径より大きく設定された第2粒径よりも大きな粒子の数を検出する。本実施形態においては、第2粒子センサ1bは、粒径が1.0μm以上の粒子の数を検出する。二酸化炭素検出センサ1cは、筐体2外の空気中の二酸化炭素濃度を検出する。
【0019】
また、空気浄化装置1は、前面23に設けられた操作部1dを有する。ユーザは、操作部1dから後述するファン8のON・OFFを操作するとともに、ファン8の送風量を設定することができる。具体的に、操作部1dは、液晶画面を含むタッチパネル式であり、空気浄化装置1の運転状態が表示される。これにより、ユーザは、空気浄化装置1の運転状態を操作部1dを通じて確認することができる。本実施形態においては、ファン8の送風量は6段階で変化させることができるものの、通常の動作では、最大送風量は使用されず、ファン8は送風量の小さな5段階で調整される。導入側の空気浄化装置1と、導出側の空気浄化装置1は、基本構成は同じであるが、ファン8の最大送風量に関して変更が加えられ、導入側の最大送風量が、導出側の最大送風量より小さくなるよう調整されている。
【0020】
図4に示すように、空気浄化装置1は、空気を浄化するための複数のフィルター3,4,5,6を有する。本実施形態においては、吸気口21の近傍に、プレフィルター3、カーボンフィルター4、HEPAフィルター5、及び、分解フィルター6が、空気の流通方向についてこの順に並んでいる。プレフィルター3は、主として、空気中の髪の毛や比較的大きな塵埃を除去する。カーボンフィルター4は、主として、空気中のホルムアルデヒド等の化学物質を吸着して除去する。HEPAフィルター5は、例えばグラスウールからなり、主として、空気中のウイルス、PM2.5、花粉等の比較的小さな塵埃を除去する。ウイルス分解部としての分解フィルター6は、光触媒材料を含み、主として空気中の細菌、ウイルス、有機物等を捕捉し、主に水と二酸化炭素に分解する。
【0021】
また、空気浄化装置1は、空気の流通方向についてHEPAフィルター5の上流側近傍に間隔をおいて配置され、HEPAフィルター5へ紫外光を照射する上流側照射パネル10と、HEPAフィルター5の下流側近傍に間隔をおいて配置され、HEPAフィルター5へ紫外光を照射する下流側照射パネル15と、を有している。下流側照射パネル15は、HEPAフィルター5と分解フィルター6の間に配置される。本実施形態においては、HEPAフィルター5と各照射パネル10,15とでウイルスを不活化するウイルス不活部を構成している。
【0022】
また、下流側照射パネル15は、空気の流通方向の下流側から分解フィルター6へ光触媒の励起光を照射する。本実施形態においては、下流側照射パネル15及び後述するLED62が励起光照射部をなし、分解フィルター6と下流側照射パネル15及びLED62でウイルスを分解するウイルス分解部を構成している。
【0023】
さらに、
図5に示すように、空気浄化装置1は、イオンを放出するイオン発生器7を有する。本実施形態においては、イオン発生器7は、空気の流通方向について、各フィルター3,4,5,6の下流側で、各排気口22の上流側に配置される。
【0024】
空気浄化装置1は、筐体2内の下側後方に、筐体2内の空気を流通させるファン8が配置される。筐体2内は、内部仕切壁27により、吸気口21と連続的に形成され各フィルター3,4,5,6が配置される前側下部のフィルター室101と、各排気口22と連続的に形成されイオン発生器7が配置される吐出準備室102と、に仕切られる。本実施形態においては、内部仕切壁27は、筐体2内を前後に仕切る上下延在部27aと、上下延在部27aの上端から前方へ延びる上壁部27bと、上下延在部27aの下端から前方へ延びる下壁部27cと、を有している。フィルター室101と、吐出準備室102とは、上下延在部27aに形成された連通孔27dにより連通している。内部仕切壁27の連通孔27dから後方へ延びる導風路27eが形成され、導風路27eの後端にファン8が配置される。本実施形態においては、連通孔27d及び導風路27eは、正面視円形に形成される。
【0025】
図6(a)に示すように、上流側の紫外光照射部としての上流側照射パネル10は、板状の基体11と、基体11に搭載される複数のLED12と、を有する。具体的に、基体11は、絶縁性材料からなり、上下に延びる複数のLED搭載部11aと、各LED搭載部11aの上端及び下端を連結し照射部の外縁をなす外枠部11bと、を有する。各LED搭載部11aのHEPAフィルター5側の表面には、複数のLED12が上下に間隔をおいて搭載される。各LED搭載部11aは、左右に等間隔に配置される。本実施形態においては、各LED12のピーク波長は385nmである。
【0026】
図6(b)に示すように、上流側照射パネル10は、基体11内に導電性材料からなる配線部13を有する。基体11のHEPAフィルター5と反対側の表面には、筐体2の電源コネクタ28と着脱自在に接続される接続コネクタ14が設けられる。配線部13は、接続コネクタ14と各LED12とを電気的に接続する。電源コネクタ28は、筐体2の電源供給ボード(図示せず)に接続される。
【0027】
図7(a)に示すように、上流側の紫外光照射部としての下流側照射パネル15は、板状の基体16と、基体16に搭載される複数のLED17と、を有する。具体的に、基体16は、絶縁性材料からなり、上下に延びる複数のLED搭載部16aと、各LED搭載部16aの上端及び下端を連結し照射部の外縁をなす外枠部16bと、を有する。各LED搭載部16aのHEPAフィルター5側の表面には、複数のLED17が上下に間隔をおいて搭載される。また、
図7(b)に示すように、各LED搭載部16aの上下中央側では分解フィルター6側の表面にも、複数のLED17が上下に間隔をおいて搭載される。各LED搭載部16aは、左右に等間隔に配置される。本実施形態においては、各LED17のピーク波長は385nmである。
【0028】
図7(c)に示すように、下流側照射パネル15は、基体16内に導電性材料からなる配線部18を有する。基体11の分解フィルター6側の表面には、筐体2の電源コネクタ29と着脱自在に接続される接続コネクタ19が設けられる。配線部18は、接続コネクタ19と各LED17とを電気的に接続する。電源コネクタ29は、筐体2の電源供給ボード(図示せず)に接続される。
【0029】
図8に示すように、筐体2の内部仕切壁27の下壁部27cには、各フィルター3,4,5及び各照射パネル10,15を受容する第1溝部27c1,第2溝部27c2,第3溝部27c3及び第4溝部27c4が形成される。各フィルター3,4,5及び各照射パネル10,15は、溝部27c1,27c2,27c3,27c4に対して挿抜自在となっており、これにより、各フィルター3,4,5及び各照射パネル10,15は、筐体2に対して着脱自在となっている。本実施形態においては、プレフィルター3及びカーボンフィルター4を受容する第1溝部27c1,上流側照射パネル10を受容する第2溝部27c2,HEPAフィルター5を受容する第3溝部27c3,下流側照射パネル15を受容する第4溝部27c4が、上流側からこの順で形成される。すなわち、第1溝部27c31がプレフィルター3及びカーボンフィルター4のフィルター位置決め部をなし、第2溝部27c2が上流側照射パネル10のパネル位置決め部をなし、第3溝部27c3がHEPAフィルター5のフィルター位置決め部をなし、第4溝部27c4が下流側照射パネル15のパネル位置決め部をなす。
【0030】
分解フィルター6は、連通孔27aの直前に配置され、複数のブラケット9を介して仕切壁27に固定される。
図9に示すように、分解フィルター6は、空気中のウイルスを捕捉する複数の略球状のウイルス捕捉体61を有し、下流側照射部12のLED17とは別個に設けられ各ウイルス捕捉体61へ向けて紫外光を照射する複数のLED62と、を有する。また、分解フィルター6は、空気の流通方向へ貫通する複数の孔部63が形成された分解部本体64を有し、各孔部63に複数のウイルス捕捉体61がそれぞれ収容される。
【0031】
分解部本体64の材質は任意であるが、紫外光に対する反射率を高めるため、金属とすることが好ましく、本実施形態においてはアルミニウムからなる。
図10(a)に示すように、分解部本体64は、正面視にて、横長の長方形状に形成され、各孔部63が空気の流通方向である前後方向へ延びるよう配置される。
図10(b)に示すように、本実施形態においては、分解部本体64はいわゆるハニカム構造であり、各孔部63は正面視にて正六角形状を呈する。
【0032】
各ウイルス捕捉体61は、20nm以上で50nm以下の粒径の吸着粒子61aを、必要に応じて加熱しながら、3.0mm以上で10.0mm以下の直径の球状に圧縮することにより作製される。尚、
図10(b)においては、各ウイルス捕捉体61及び各吸着粒子61aを模式的に示している。本実施形態においては、各ウイルス捕捉体61の直径は3.0mmで、正面視にて一辺が6.0mmの正六角形の各孔部63に収容される。このように、各ウイルス捕捉体61の直径を、孔部63の正六角形の一辺の長さの1/2以上とすることにより、孔部63内の空気の流路を十分に確保することができる。
【0033】
本実施形態においては、各吸着粒子61aは光触媒材料である酸化チタンであり、各ウイルス捕捉体61には有機バインダーが含まれていない。各ウイルス捕捉体61は、構成する各吸着粒子61aの形状に起因して、表面に凹凸が形成される。各吸着粒子61aは酸化チタンであることから、410nm以下の波長の光で光触媒反応としての励起が可能である。本実施形態においては、各LED62のピーク波長は385nmである。
【0034】
また、
図9に示すように、分解フィルター6は、分解部本体64の前面及び後面を覆う網部材65を有する。すなわち、網部材65は、空気の流通方向について、分解部本体64の上流側及び下流側を覆っている。網部材65は、網目が各ウイルス捕捉体61の直径よりも大きく形成され、空気の流通を許容しつつ、各ウイルス捕捉体61の孔部63外部への移動を阻止する。本実施形態においては、網部材65は、金属からなり、紫外光の劣化が比較的小さい。
【0035】
また、分解フィルター6は、正面視にて、分解部本体64の外縁を支持する枠体66を有する。本実施形態においては、枠体66は、絶縁性材料からなり、各ブラケット9が接続される。枠体66は、空気の流通方向について、分解部本体64の下流側に上下に延びる前後一対の複数のLED搭載部66aを有する。各LED搭載部66aには、複数のLED62が上下に間隔をおいて搭載される。各LED搭載部66aは、左右に等間隔に配置される。
【0036】
図9に示すように、分解フィルター6は、枠体66内に導電性材料からなる配線部67を有する。
図10(a)に示すように、枠体66の分解部本体64と反対側の表面には、筐体2の電源コネクタ(図示せず)と接続される接続コネクタ68が設けられる。配線部67は、接続コネクタ68と各LED62とを電気的に接続する。
【0037】
図10に示すように、空気浄化装置1は、第1粒子センサ1a及び第2粒子センサ1bにて検出された粒子数に基づいて、ファン8の送風量を制御するファン制御部200を備えている。ファン制御部200は、システムバスで相互に接続された演算部210及び記憶部220を有し、記憶部220に記憶されたファン制御プログラム230に従ってファン8の送風量を制御する。本実施形態においては、各空気浄化装置1のファン制御部200は連携しており、内部空間131への空気の導入量が、外部空間132への空気の導出量を上回らないように、各ファン8の送風量が調整される。
【0038】
図11に示すように、ファン制御部200は、通常、操作部1dで設定された送風量となるようにファン8の送風量を制御する。本実施形態においては、ファン制御部200は、操作部1dで設定された送風量について、導入側のファン8の送風量が導出側のファン8の送風量を上回ることとなる場合は、操作部1dの液晶画面にその旨を表示してファン8の送風量の変更は行わない。
【0039】
また、ファン制御部200は、第1粒子センサ1aで検出された第1粒子数と、第2粒子センサ1bで検出された第2粒子数との差の所定時間あたりの変化量が、予め設定されて記憶部220に記憶されている許容粒子変化量240を超えた場合に、操作部1dの液晶画面にその旨を表示してファン8の送風量を増大させる。本実施形態においては、初期設定として、変化量を監視する所定時間は1秒、許容粒子変化量240は0に設定されている。尚、変化量を監視する所定時間及び許容粒子変化量240は、操作部1dにより変更可能となっている。ここで、第1粒子数と第2粒子数との差は、第1粒子センサ1aで検出された全粒子数のうち、第2粒子センサ1bで検出された比較的大きな粒径の粒子数が差し引かれたものである。すなわち、この差は、空気中に含まれる、第1粒径以上で第2粒径未満の粒子数を意味し、本実施形態においては、第1粒径が0.1μmで第2粒径が1.0μmであることから、0.1μm以上1.0μm未満の粒子数である。COVID-19のコロナウイルスの疾患者の規則的な呼吸の飛沫は、ほとんどが1.0μm以下であり、また、COVID-19のコロナウイルスの粒径が0.1μmであることから、第1粒子数と第2粒子数との差を監視することで、陰圧室120内にウイルス疾患者が存在するか否かを評価することができる。本実施形態においては、ファン制御部200は、第1粒子数と第2粒子数の差の所定時間あたりの変化量が許容粒子変化量240を超えると、ファン8の送風量を最大送風量とする。本実施形態においては、各空気浄化装置1のファン制御部200は連携しており、いずれか一方の空気浄化装置1で粒子数の差の変化量が許容粒子変化量240を超えると、両方の空気浄化装置1のファン8の送風量を最大送風量とする。
【0040】
さらに、ファン制御部200は、二酸化炭素検出センサ1cで検出された二酸化炭素濃度が、予め設定され記憶部220に記憶されている許容濃度250を超えた場合にも、操作部1dの液晶画面にその旨を表示してファン8の送風量を増大させる。本実施形態においては、初期設定として、許容濃度250は1000ppmに設定されている。尚、許容濃度250は、操作部1dにより変更可能となっている。空気中の二酸化炭素の濃度を監視することにより、陰圧室120内の人数が増加したか否かを評価することができる。本実施形態においては、ファン制御部200は、検出された二酸化炭素濃度が許容濃度250を超えると、ファン8の送風量を最大送風量とする。本実施形態においては、各空気浄化装置1のファン制御部200は連携しており、いずれか一方の空気浄化装置1で検出された二酸化炭素濃度が許容濃度250を超えると、両方の空気浄化装置1のファン8の送風量を最大送風量とする。
【0041】
以上のように構成された空気浄化システム100は、各空気浄化装置1のファン8を作動させることにより、陰圧室120について外部空間132から内部空間131への空気の導入、並びに、内部空間131から外部空間132への導出が行われる。前述のように、各空気浄化装置1のファン制御部200は連携しており、内部空間131への空気の導入量が、外部空間132への空気の導出量を上回らないように、各ファン8の送風量が調整される。これにより、陰圧室120内の気圧が、外部よりも低く保たれる。
【0042】
各空気浄化装置1は、ファン8を作動させた際に、空気中の細菌、ウイルス等をHEPAフィルター5及び分解フィルター6で捕捉する。また、HEPAフィルター5及び分解フィルター6で捕捉された細菌、ウイルス等は、各LED12、各LED17,LED62から照射される紫外光により不活化される。これにより、フィルターを利用せずに空気へ紫外光を照射する従来の空気清浄機のように、ウイルスの不活化が不十分となることはない。
【0043】
本実施形態においては、各照射部10,15をHEPAフィルター5の上流側と下流側の両方に配置したので、HEPAフィルター5に紫外光が上流側と下流側から照射され、HEPAフィルター5の広い範囲でウイルスの不活化作用を得ることができる。また、分解フィルター6についても、各LED17,各LED62を各ウイルス捕捉体61が収容される分解部本体64の上流側と下流側の両方に配置したので、各ウイルス捕捉体61の表面全体に紫外光を確実に行き渡らせることができる。
【0044】
また、各ウイルス捕捉体61が光触媒材料であることから、紫外光により励起されると光触媒として機能する。これにより、各ウイルス捕捉体61の表面に捕捉され不活化された細菌、ウイルス等は、水及び二酸化炭素に分解され、空気中に放散される。従って、分解フィルター6を交換することなく、各ウイルス捕捉体61の細菌、ウイルス等の捕捉性能を長期にわたって維持することができる。すなわち、不活化されたウイルスが各捕捉体61の表面に堆積して、定期的な除去作業が必要となることはなく、メンテナンス性に優れている。
【0045】
従って、本実施形態の空気浄化装置1によれば、吸気口21から取り込まれた空気を各フィルター3,4,5,6で浄化し、不活化させた細菌、ウイルスならびに有機物を主に水と二酸化炭素に分解した状態で各排気口22から排出することができる。これに加え、イオン発生器7を作動させることにより、イオンを含んだ空気を排出することができる。すなわち、導入側の空気浄化装置1により、陰圧室120の内部空間131に浄化された空気を導入するとともに、導出側の空気浄化装置1により、陰圧室120の外部空間132に浄化された空気を導出することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、ファン制御部200は、第1粒子数と第2粒子数との差の所定時間あたりの変化量が、許容粒子変化量240を超えた場合に、ファン8の送風量を増大させるようにしたので、内部空間131における第1粒径以上で第2粒径未満の粒子数が許容量を超えて増大した際に、陰圧室120の換気及び空気浄化を自動的に促進させることができる。すなわち、浄化すべき内部空間131の汚染状況が悪化した際に装置側で自動的に対応することができる。これにより、ウイルス疾患者から排出されたコロナウイルスにより陰圧室120内の空気中に含まれるコロナウイルスの量が増大した際に、陰圧室120の換気及び空気浄化を促進させ、陰圧室120内のウイルス疾患者以外の人間へのコロナウイルスの暴露量を低減させることができる。本実施形態においては、許容粒子変化量240を0とすることにより、第1粒子数と第2粒子数の差が僅かでも増大したら、陰圧室120の換気及び空気浄化を即座に行うことができる。このとき、ファン制御部200は、ファン8の送風量を最大とするので、各空気浄化装置1の換気能力を最大限に発揮させることができる。
【0047】
さらに、本実施形態においては、ファン制御部200は、検出された二酸化炭素濃度が許容濃度250を超えた場合に、ファン8の送風量を増大させるようにしたので、内部空間131の人数が増加して空気中に含まれる二酸化炭素が許容量を超えて増大した際に、陰圧室120の換気及び空気浄化を自動的に促進させることができる。これにより、万が一、陰圧室120に入室した人間にウイルス疾患者が含まれていたとしても、陰圧室120内のウイルス疾患者以外の人間へのコロナウイルスの暴露量を低減させることができる。このとき、ファン制御部200は、ファン8の送風量を最大とするので、各空気浄化装置1の換気能力を最大限に発揮させることができる。
【0048】
また、本実施形態の空気浄化装置1によれば、HEPAフィルター5が目詰まりにより性能が低下した際、HEPAフィルター5を交換することで性能を回復させることができる。また、各照射パネル10,15を筐体2に対して着脱自在としたので、HEPAフィルター5の交換時に、HEPAフィルター5近傍の各照射パネル10,15を取り外すことができ、HEPAフィルター5の交換に支障をきたすことはない。このとき、HEPAフィルター5近傍の各照射パネル10,15は、各溝部27c2,27c3,27c4で位置決めされるので、HEPAフィルター5及び各照射パネル10,15が所定の位置からずれることはない。
【0049】
本実施形態においては、各ウイルス捕捉体61を略球状に形成したので、各ウイルス捕捉体61の周囲の空気の流れが乱される。特に、本実施形態においては、各ウイルス捕捉体61の表面の凹凸によっても空気の流れが乱されるとともに、表面積が増大しより多くの細菌、ウイルス、有機物等が捕捉される。この結果、空気の流れが、各ウイルス捕捉体61の上流側の表面近傍だけでなく、下流側の表面近傍にも生じ、各ウイルス捕捉体61全体の表面近傍に空気を流通させることができる。従って、各ウイルス捕捉体61による細菌、ウイルス等の捕捉を的確に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態においては、各ウイルス捕捉体61は光触媒材料のみからなり、有機バインダーが含まれていないことから、光触媒粒子を有機バインダーに含有させた従来のもののように、紫外光により有機バインダーが劣化することはない。これによっても、各ウイルス捕捉体61の細菌、ウイルス等の捕捉性能を長期にわたって維持することができる。
【0051】
本実施形態においては、吸気口21よりも各排気口22が小さく形成されているため、各排気口22から吐出される空気の流速を比較的大きくすることができる。従って、筐体2内で浄化された空気を、空気浄化装置1から比較的離れた場所まで送出することができ、比較的広範囲の空間の空気の浄化を行うことができる。
【0052】
本実施形態においては、イオン発生器7を各フィルター3,4,5,6の下流側に配置することにより、各フィルター3,4,5,6で細菌、ウイルス等が完全に捕捉、分解等されなかったとしても、イオンにより残存している細菌、ウイルス等の不活化を行うことができる。ここで、イオン発生器7は、各フィルター3,4,5,6よりも小型であることから、空気の流通抵抗を増大させることなく、筐体2内の比較的自由な位置に設置することができる。
【0053】
また、本実施形態においては、各孔部63の壁面がアルミニウムであるので、壁面へ入射する紫外光を効率よく反射させることができる。これにより、各ウイルス捕捉体61へ入射する紫外光量を増大させることができ、分解フィルター6の性能を向上させることができる。
【0054】
尚、前記実施形態においては、第1粒子数と第2粒子数の差の所定時間あたりの変化量と許容粒子変化量240を比較するものを示したが、ファン制御部200は第1粒子数と第2粒子数の差に基づいてファン8の送風量を増大させればよく、例えば、第1粒子数と第2粒子数の差と、予め設定される許容粒子数とを比較するようにしてもよい。また、前記実施形態においては、第1粒子センサ1aが0.1μm以上の粒子の数を検出し、第2粒子センサ1bが1.0μm以上の粒子の数を検出するものを示したが、検出対象の粒子の大きさは適宜変更することができ、例えば第1粒子センサが0.05μm以上の粒子の数を検出するようにしてもよい。また、前記実施形態においては、検出された二酸化炭素濃度と許容濃度250を比較するものを示したが、ファン制御部200は検出された二酸化炭素濃度に基づいてファン8の送風量を増大させればよく、例えば、検出された二酸化炭素濃度の所定時間あたりの変化量と、予め設定される許容濃度変化量とを比較するようにしてもよい。
【0055】
また、前記実施形態においては、各空気浄化装置1のファン制御部200が連携してファン8を制御するものを示したが、互いに独立してファン8を制御するものであってもよい。また、各空気浄化装置1のうち、一方の空気浄化装置1のセンサ1a,1b,1cを省略し、他方の空気浄化装置1のセンサ1a,1b,1cから得られる情報に基づいて、一方の空気浄化装置1のファン8の送風量を制御するようにしてもよい。
【0056】
また、前記実施形態においては、陰圧室120の空気の導入側と導出側の両方に空気浄化装置1を配置したものを示したが、少なくとも一方に配置されていればよく、例えば、
図12に示すように導出側のみに配置してもよいし、
図13に示すように導入側のみに配置してもよい。
図12の空気浄化システム300では導入側の空気浄化装置1に代えて換気ファン310が設けられている。
図13の空気浄化システム400では導出側の空気浄化装置1に代えて換気ファン410が設けられている。導入側または導出側の空気浄化装置1のファン制御部200は、装置内部のファン8と換気ファン310,410とを連携して制御することができる。
【0057】
また、前記実施形態においては、陰圧室120に空気浄化装置1を設置したものを示したが、例えば、
図14に示すように、空気浄化装置501をクリーンルーム等の内部空間531と外部空間532の仕切り部530をなす天井に設置することもできる。
図14の空気浄化システム500では、天井から内部空間531へ導入された空気は、床に形成された通気口を通じて下方へ流出した後、導出口534に設けられた換気ファン510により外部空間532へ導出される。
【0058】
このように、空気浄化システムにおいて、空気浄化装置は、内部空間及び外部空間の一方から空気を吸入し、他方へ空気を排出するよう配置されていればよい。尚、空気浄化装置を、外部空間と関わりなく、内部空間で吸気及び排気を行うようにしたとしても、換気作用が得られないものの空気浄化作用を得ることができ、内部空間の空気は浄化される。
【0059】
また、前記実施形態においては、HEPAフィルター5の上流側と下流側の両方に照射部10,15を配置したものを示したが、照射部がいずれか一方に配置されるものであってもよい。また、分解フィルター6についても、各LED17,各LED62を、各ウイルス捕捉体61が収容される分解部本体64の上流側と下流側の両方に配置したものを示したが、いずれか一方に配置されるものであってもよい。また、HEPAフィルター5及び分解フィルター6の紫外光の発光体をLEDでなくブラックライト等の他の発光装置とすることもできる。さらに、発光体の波長は、紫外領域であれば任意に変更することができ、例えば、250nm、270nm等としても差し支えない。
【0060】
また、前記実施形態においては、各溝部27c1,27c2,27c3,27c4により各フィルター3,4,5及び各照射パネル10,15の位置決めを行うものを示したが、他の手段で位置決めを行うようにしてもよい。また、HEPAフィルター5と各照射パネル10,15を独立して配置したものを示したが、これらが一体的に設けられたユニットを筐体2に対して着脱自在となるよう構成することも可能である。さらには、HEPAフィルター5が交換可能であれば、各照射パネル10,15を筐体2に着脱不能に設けても問題はない。
【0061】
また、前記実施形態においては、各ウイルス捕捉体61の表面に凹凸が形成されるものを示したが、表面に凹凸が形成されていなくともよい。また、各ウイルス捕捉体61が略球状に形成されるものを示したが、例えば、多面体状に形成されていてもよい。要は、各孔部63を流通する空気の流れが乱されればよい。
【0062】
また、前記実施形態においては、分解フィルター6の各孔部63が正面視にて正六角形状に形成されるものを示したが、他の多角形状、円形状、楕円状等に形成することもできる。また、分解フィルター6の分解部本体64がアルミニウムからなるものを示したが、他の金属からなってもよく、さらには、セラミック、樹脂等からなっていてもよい。
【0063】
また、前記実施形態においては、分解部本体64の上流側及び下流側を覆う網部材65を設けたものを示したが、各ウイルス捕捉体61が各孔部63の壁面に固着されている等により各ウイルス捕捉体61が孔部63外へ移動するおそれがなければ、網部材65を省略してもよい。
【0064】
また、前記実施形態においては、分解フィルター6を設けてウイルスの分解を行うようにしたものを示したが、分解フィルターを備えずとも、HEPAフィルターとこれに紫外光を照射する照射部を有していれば、ウイルスの不活化作用を得ることができる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0066】
1 空気浄化装置
1a 第1粒子センサ
1b 第2粒子センサ
1c 二酸化炭素検出センサ
2 筐体
5 HEPAフィルター
6 分解フィルター
8 ファン
10 上流側照射パネル
12 LED
15 下流側照射パネル
17 LED
21 吸気口
22 排気口
27c2 溝部
27c3 溝部
27c4 溝部
61 ウイルス捕捉体
62 LED
63 孔部
64 分解部本体
65 網部材
100 空気浄化システム
110 建築物
120 陰圧室
130 仕切り壁
131 内部空間
132 外部空間
200 ファン制御部
300 空気浄化システム
400 空気浄化システム
500 空気浄化システム
501 空気浄化装置