IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車載用遮断装置および遮断方法 図1
  • 特開-車載用遮断装置および遮断方法 図2
  • 特開-車載用遮断装置および遮断方法 図3
  • 特開-車載用遮断装置および遮断方法 図4
  • 特開-車載用遮断装置および遮断方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189212
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】車載用遮断装置および遮断方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/18 20060101AFI20221215BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20221215BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221215BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221215BHJP
   B60L 3/04 20060101ALN20221215BHJP
   B60L 50/60 20190101ALN20221215BHJP
   B60L 58/10 20190101ALN20221215BHJP
【FI】
H02H7/18
H02H3/087
H02J7/00 S
B60R16/02 650V
B60L3/04 D
B60L50/60
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097671
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岩城 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 紳也
(72)【発明者】
【氏名】古川 美麻
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 健二郎
(72)【発明者】
【氏名】定行 英一
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 智明
【テーマコード(参考)】
5G004
5G053
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB02
5G004DA02
5G004DA05
5G053AA01
5G053BA02
5G053CA01
5G053EA01
5G053EB01
5G053EC01
5G053FA04
5G053FA05
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503FA06
5G503FA17
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC01
5H125CD04
5H125EE22
(57)【要約】
【課題】遮断に関する動作信頼性を向上させる。
【解決手段】車載用遮断装置1は、第1入力端2と第1出力端3と第1導電路4と、第2入力端5と第2出力端6と第2導電路7と、第1導電路4もしくは第2導電路7に流れる電流を検出可能な第1電流検出器8と、第1導電路4もしくは第2導電路7に流れる電流を検出可能な第2電流検出器9と、第1導電路4を不可逆的に遮断する動作が可能な火工遮断器10と、検出電流に対応して火工遮断器10の遮断動作に対する制御が可能な、制御部11とを含む。制御部11は、
前記第1検出信号に基づいて得られる第1電流値および前記第2検出信号に基づいて得られる第2電流値の双方が過電流閾値を超越したときに前記火工遮断器に遮断動作を実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1極性の直流電力が供給される第1入力端と、
第1出力端と、
前記第1入力端と前記第1出力端とを接続する第1導電路と、
前記第1極性とは逆極性である第2極性の直流電力が供給される第2入力端と、
第2出力端と、
前記第2入力端と前記第2出力端とを接続する第2導電路と、
前記第1導電路もしくは前記第2導電路に流れる電流を検出可能な第1電流検出器と、前記第1導電路もしくは前記第2導電路に流れる電流を検出可能な第2電流検出器と、
前記第1導電路を不可逆的に遮断する動作が可能な火工遮断器と、
前記第1電流検出器と前記第2電流検出器とから検出電流に対応して発信される第1検出信号と第2検出信号との受信が可能で、前記火工遮断器の遮断動作に対する制御が可能な、遮断制御部とを備え、
前記遮断制御部は、
前記第1検出信号に基づいて得られる第1電流値および前記第2検出信号に基づいて得られる第2電流値の双方が過電流閾値を超越したときに前記火工遮断器に遮断動作を実行させる、
車載用遮断装置。
【請求項2】
前記第1電流検出器と前記第2電流検出器とは、共に前記第1導電路に流れる電流を検出可能とした、
請求項1に記載の車載用遮断装置。
【請求項3】
前記第1電流検出器と前記第2電流検出器とは、共に前記第2導電路に流れる電流を検出可能とした、
請求項1に記載の車載用遮断装置。
【請求項4】
前記第1電流検出器は前記第1導電路に流れる電流を検出可能とし、前記第2電流検出器は前記第2導電路に流れる電流を検出可能とした、
請求項1に記載の車載用遮断装置。
【請求項5】
第1極性の直流電力が供給される第1入力端と、
第1出力端と、
前記第1入力端と前記第1出力端とを接続する第1導電路と、
前記第1極性とは逆極性である第2極性の直流電力が供給される第2入力端と、
第2出力端と、
前記第2入力端と前記第2出力端とを接続する第2導電路と、
前記第1導電路もしくは前記第2導電路に流れる電流を検出可能な第1電流検出器と、前記第1導電路もしくは前記第2導電路に流れる電流を検出可能な第2電流検出器と、
前記第1導電路を不可逆的に遮断する動作が可能な火工遮断器と、
前記第1電流検出器と前記第2電流検出器とから検出電流に対応して発信される第1検出信号と第2検出信号との受信が可能で、前記火工遮断器の遮断動作に対する制御が可能な、遮断制御部とを備え、
前記遮断制御部は、
前記第1検出信号に基づいて得られる第1電流値および前記第2検出信号に基づいて得られる第2電流値のうち少なくとも一方が過電流閾値を超越したときに前記火工遮断器に遮断動作を実行させる、
車載用遮断装置。
【請求項6】
前記第1電流検出器と前記第2電流検出器とは、共に前記第1導電路に流れる電流を検出可能とした、
請求項5に記載の車載用遮断装置。
【請求項7】
第1極性の直流電力が供給される第1入力端と、
第1出力端と、
前記第1入力端と前記第1出力端とを接続する第1導電路と、
前記第1極性とは逆極性である第2極性の直流電力が供給される第2入力端と、
第2出力端と、
前記第2入力端と前記第2出力端とを接続する第2導電路と、
前記第1導電路もしくは前記第2導電路に流れる電流を検出可能な第1電流検出器と、前記第1導電路もしくは前記第2導電路に流れる電流を検出可能な第2電流検出器と、
前記第2導電路を不可逆的に遮断する動作が可能な火工遮断器と、
前記第1電流検出器と前記第2電流検出器とから検出電流に対応して発信される第1検出信号と第2検出信号との受信が可能で、前記火工遮断器の遮断動作に対する制御が可能な、遮断制御部とを備え、
前記遮断制御部は、
前記第1検出信号に基づいて得られる第1電流値および前記第2検出信号に基づいて得られる第2電流値の双方が過電流閾値を超越したときに前記火工遮断器に遮断動作を実行させる、
車載用遮断装置。
【請求項8】
前記第1電流検出器と前記第2電流検出器とは、共に前記第1導電路に流れる電流を検出可能とした、
請求項7に記載の車載用遮断装置。
【請求項9】
前記第1電流検出器は前記第1導電路に流れる電流を検出可能とし、前記第2電流検出器は前記第2導電路に流れる電流を検出可能とした、
請求項7に記載の車載用遮断装置。
【請求項10】
第1極性の直流電力が供給される第1入力と、
第1出力と、
前記第1入力と前記第1出力とを接続する第1導電経路と、
前記第1極性とは逆極性である第2極性の直流電力が供給される第2入力と、
第2出力と、
前記第2入力と前記第2出力とを接続する第2導電経路と、
前記第1導電経路もしくは前記第2導電経路に流れる電流を検出する第1電流検出工程と、前記第1導電経路もしくは前記第2導電経路に流れる電流を検出する第2電流検出工程と、
前記第1電流検出工程と前記第2電流検出工程とによって得られる第1検出信号と第2検出信号とを用いて、前記第1検出信号に基づく第1電流値と前記第2検出信号に基づく第2電流値とを得る演算工程と、
前記第1電流値および前記第2電流値の双方が過電流閾値を超越したときに前記第1導電を非可逆的に破壊する遮断工程と、を有する、
遮断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種車両に使用される車載用遮断装置および遮断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の遮断装置について説明する。従来の遮断装置は、バッテリーと負荷との間に接続された火工スイッチと、火工スイッチを制御する制御回路を有していた。そして、制御回路はバッテリーから負荷へ供給される電流の検出や車両の状態を検出し、電流や車両の状態に対応して火工スイッチを点火駆動させていた。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-059202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の遮断装置では例えばバッテリーから負荷へと流れる電流が遮断を必要とする過電流状態として検出されて火工スイッチの点火駆動が必要と判定された場合、過電流に関する検知が正常動作であるかあるいは誤動作であるのかを判断することができなかった。このため、過電流が発生していないにもかかわらず過電流が発生していると検出、判断されて火工スイッチが点火駆動されてしまうことや、あるいは、過電流が発生しているにもかかわらず過電流が発生していないと検出、判断されて火工スイッチを駆動されない場合が生じ、この結果として遮断装置の動作信頼性が低下するおそれがあるとの課題を有するものであった。
【0006】
そこで本発明は、遮断に関する動作信頼性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明は、第1極性の直流電力が供給される第1入力端と、第1出力端と、前記第1入力端と前記第1出力端とを接続する第1導電路と、前記第1極性とは逆極性である第2極性の直流電力が供給される第2入力端と、第2出力端と、前記第2入力端と前記第2出力端とを接続する第2導電路と、前記第1導電路もしくは前記第2導電路に流れる電流を検出可能な第1電流検出器と、前記第1導電路もしくは前記第2導電路に流れる電流を検出可能な第2電流検出器と、前記第1導電路を不可逆的に遮断する動作が可能な火工遮断器と、前記第1電流検出器と前記第2電流検出器とから検出電流に対応して発信される第1検出信号と第2検出信号との受信が可能で、前記火工遮断器の遮断動作に対する制御が可能な、制御部とを備え、前記制御部は、前記第1検出信号に基づいて得られる第1電流値および前記第2検出信号に基づいて得られる第2電流値の双方が過電流閾値を超越したときに前記火工遮断器に遮断動作を実行させる、ことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の電流検出器を用いることによる過電流に対する検出にもとづいて遮断動作を実行することができ、車載用遮断装置の動作信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態における車載用遮断装置の構成を示す第1回路ブロック図
図2】本発明の実施の形態における車載用遮断装置の構成を示す第2回路ブロック図
図3】本発明の実施の形態における車載用遮断装置の構成を示す第3回路ブロック図
図4】本発明の実施の形態における車載用遮断装置の構成を示す第4回路ブロック図
図5】本発明の実施の形態における車載用遮断装置の構成を示す第5回路ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態における車載用遮断装置1の構成を示す第1回路ブロック図である。車載用遮断装置1は、第1入力端2と第1出力端3と第1導電路4と第2入力端5と第2出力端6と第2導電路7と第1電流検出器8と第2電流検出器9と火工遮断器10と制御部11とを含む。
【0012】
第1入力端2には第1極性の直流電力が供給される。第1導電路4は第1入力端2と第1出力端3とを接続している。第2入力端5には第1極性とは逆極性である第2極性の直流電力が供給される。第2導電路7は第2入力端5と第2出力端6とを接続している。
【0013】
第1電流検出器8は第1導電路4もしくは第2導電路7に流れる電流を検出可能である。また、第2電流検出器9は第1導電路4もしくは第2導電路7に流れる電流を検出可能である。火工遮断器10は第1導電路4を不可逆的に遮断可能なように配置されている。制御部11は、検出電流に対応して第1電流検出器8から発信される第1検出信号S1と、検出電流に対応して第2電流検出器9から発信される第2検出信号S2との受信が可能である。また制御部11は、火工遮断器10の遮断動作に対する制御が可能である。
【0014】
制御部11は、第1検出信号S1に基づいて得られる第1電流値I1および第2検出信号S2に基づいて得られる第2電流値I2の双方が過電流閾値Ithを超越したときに火工遮断器10に遮断動作を実行させる。
【0015】
以上の構成および動作により、第1電流検出器8と第2電流検出器9との複数の電流検出器を用いることで過電流に対する検出を実行可能とし、複数の検出結果にもとづいて遮断動作を実行することができる。この結果、車載用遮断装置1の動作信頼性の向上が可能となる。
【0016】
以下で、車載用遮断装置1の詳細について説明する。先にも述べたように、車載用遮断装置1は、第1入力端2と第1出力端3と第1導電路4と第2入力端5と第2出力端6と第2導電路7と第1電流検出器8と第2電流検出器9と火工遮断器10と制御部11とを含む。
【0017】
車載用遮断装置1は、車両12の車体13に配置されている。車体13には車両電源14と車両負荷15が配置されている。車両電源14は主に車両12を推進駆動させることに用いる電源であり、リチウムバッテリーなどが蓄電素子として用いられる。車両負荷15は主に車両12を推進駆動させるための負荷であり、車両負荷15は主に、車両電源14から供給された直流電力を三相交流電力に変換するインバータ装置(図示せず)や、インバータ装置(図示せず)から供給された三相交流電力によって駆動されるモータ(図示せず)の一部や全てに相当する。
【0018】
車載用遮断装置1は、車両電源14と車両負荷15とに接続されている。車両電源14の第1極14Aは第1入力端2に接続されている。車両電源14の第2極14Bは第2入力端5に接続されている。第1極14Aは正電極であり、第2極14Bは負電極である。車両負荷15の第1極15Aは第1出力端3に接続されている。車両負荷15の第2極15Bは第2出力端6に接続されている。
【0019】
第1導電路4は第1入力端2と第1出力端3とを接続している。第2導電路7は第2入力端5と第2出力端6とを接続している。第1電流検出器8は第1導電路4に流れる電流を検出可能なように設けられている。第2電流検出器9は第1導電路4に流れる電流を検出可能なように設けられている。火工遮断器10は正電位側の第1導電路4を不可逆的に遮断可能なように配置されている。
【0020】
制御部11は、第1導電路4に流れる検出対象の電流に対応して第1電流検出器8から発信される第1検出信号S1と、検出対象の電流に対応して第2電流検出器9から発信される第2検出信号S2との受信が可能である。また制御部11は、火工遮断器10の遮断動作に対する制御が可能である。
【0021】
ここで、第1電流検出器8によって第1検出信号S1を得るステップを第1電流検出工程とする。また、第2電流検出器9によって第2検出信号S2を得るステップを第2電流検出工程とする。
【0022】
制御部11は、第1検出信号S1にもとづく第1電流I1の決定、第2検出信号S2にもとづく第2電流I2の決定を実行する演算機能や、演算結果を記憶する記憶機能や、火工遮断器10に対する命令の機能などの全てを含めた機能要素であってよい。また制御部11の機能は単一の素子として設けられていても、あるいは、分散された複数の素子として設けられていてもよい。
【0023】
ここで、第1検出信号S1にもとづく第1電流I1の決定、第2検出信号S2にもとづく第2電流I2の決定を実行するステップを演算工程とする。
【0024】
また、第1電流検出器8と第2電流検出器9とが発信する第1検出信号S1や第2検出信号S2はシャント抵抗やホール素子から発せされるアナログデータ信号であっても、シャント抵抗やホール素子から発せされるアナログ信号が処理されてデジタル変換されたデジタルデータ信号であってもよい。
【0025】
ここで、第1電流検出器8や第2電流検出器9にシャント抵抗が用いられた検出方法である場合は高精度の電流検出が可能となる。そして、寄生インダクタンスが生じ難い直線状の第1導電路4や第2導電路7における電流検出、あるいは第1導電路4と第2導電路7とにおいて比較のうえで短い形状となる第1導電路4もしくは第2導電路7における電流検出に、シャント抵抗が用いられるとよい。
【0026】
また、第1電流検出器8や第2電流検出器9にホール素子が用いられた検出方法である場合は即応性が高い電流検出が可能となる。よって、電流検出に求められる特性に対応して第1電流検出器8や第2電流検出器9にシャント抵抗、あるいはホール素子が選択的に適用されるとよい。
【0027】
さらに正電位側の第1導電路4には第1リレー16が設けられていて、第1リレー16は制御部11からの命令によって車両電源14から車両負荷15への電力の供給、遮断が実行される。同様に、負電位側の第2導電路7には第2リレー17が設けられていて、第2リレー17は制御部11からの命令によって車両電源14から車両負荷15への電力の供給、遮断が実行される。
【0028】
制御部11は、第1検出信号S1に基づいて得られる第1電流値I1および第2検出信号S2に基づいて得られる第2電流値I2の双方が過電流閾値Ithを超越したときに火工遮断器10に遮断動作を実行させる。ここで、第1電流値I1および第2電流値I2の双方が過電流閾値Ithを超越したときに火工遮断器10に遮断動作を実行させるステップを遮断工程とする。
【0029】
以上の構成および動作により、第1電流検出器8と第2電流検出器9との複数の電流検出器を用いることで過電流に対する検出を実行可能とし、複数の検出結果にもとづいて遮断動作を実行することができる。さらに第1電流検出器8と第2電流検出器9との双方で過電流が検出されたことにより、制御部11は過電流が発生していると判定する。このため、第1導電路4に流れる検出対象の電流に過電流となっている蓋然性は高くなり、制御部11は過電流の発生を正しく判定することが可能となる。この結果、車載用遮断装置1の動作信頼性の向上が可能となる。
【0030】
ここで、図2の本発明の実施の形態における車載用遮断装置1の構成を示す第2回路ブロック図に示すように、第1電流検出器8は第2導電路7に流れる電流を検出可能なように設けられている。第2電流検出器9は第2導電路7に流れる電流を検出可能なように設けられている。
【0031】
特にここでは、第1電流検出器8と第2電流検出器9とはいずれも負電位の導電路である第2導電路7に流れる電流を検出したうえで、制御部11が第1電流値I1と第2電流値I2とに基づいて判定を実行する。これにより、第1電流検出器8および第2電流検出器9と火工遮断器10とが、第2導電路7と第1導電路4とに分散して配置され、第1導電路4と第2導電路7との導体長の抑制が可能となる。
【0032】
この結果、第1導電路4と第2導電路7とに生じる寄生インダクタンスおよびインピーダンスを抑制することが可能となり、急激な電流変動が生じた際の電流検出の精度が向上することで車載用遮断装置1および火工遮断器10の動作信頼性は向上する。また、第1導電路4と第2導電路7とにおけるインピーダンスの平衡も得やすくなることで、第1導電路4や第2導電路7に流れる電流のリップルやノイズに起因するコモンモードノイズの抑制が可能となる。これにより、第1電流検出器8と第2電流検出器9における電流検出精度が向上し、車載用遮断装置1および火工遮断器10の動作信頼性は向上する。
【0033】
また、図3の本発明の実施の形態における車載用遮断装置1の構成を示す第3回路ブロック図に示すように、第1電流検出器8は第1導電路4に流れる電流を検出可能なように設けられている。第2電流検出器9は第2導電路7に流れる電流を検出可能なように設けられている。
【0034】
特にここでは、第1電流検出器8は正電位の導電路である第1導電路4に流れる電流を検出し、第2電流検出器9は負電位の導電路である第2導電路7に流れる電流を検出したうえで、制御部11が第1電流値I1と第2電流値I2とに基づいて判定を実行する。これにより、車両負荷15からのコモンモードノイズによる影響が抑制され、車載用遮断装置1の動作および火工遮断器10の動作の信頼性を向上させることが可能となる。
【0035】
ここでは第1電流検出器8は正電位の導電路である第1導電路4に流れる電流を検出し、第2電流検出器9は負電位の導電路である第2導電路7に流れる電流を検出する。このため、インバータ回路などをはじめとした車両負荷15で発生したノイズが起因となる同相ノイズが、第1検出信号S1と第2検出信号S2とにおいて相殺される。これにより検出された第1電流値I1と第2電流値I2に含まれるノイズの抑制が可能となる。この結果として第1電流検出器8や第2電流検出器9から発せられる第1検出信号S1や第2検出信号S2は信頼性の高い信号となり、車載用遮断装置1の動作および火工遮断器10の動作の信頼性は向上する。
【0036】
またさらに、第1電流検出器8および第2電流検出器9にはシャント抵抗の電位差に基づいて電流検出器を実行するとよい。そして、第1電流検出器8および第2電流検出器9が有するそれぞれの抵抗値を異なる値に設定し、第1電流検出器8および第2電流検出器9で検出した値の差分を演算することで寄生インダクタンスの影響が抑制される。この結果として特に単位時間当たりの変化が大きな過電流を高い精度で検出することができ、車載用遮断装置1の動作および火工遮断器10の動作の信頼性は向上する。 以上の説明では、第1電流検出器8と第2電流検出器9との双方で過電流が検出されたことにより、制御部11は過電流が発生していると判定していた。これに対して、第1電流検出器8と第2電流検出器9との少なくとも何れかの一方で過電流が検出されたことにより、制御部11は過電流が発生していると判定してもよい。このため、第1導電路4に流れる検出対象の電流が過電流となっている場合に、即応性の良好な第1電流検出器8もしくは第2電流検出器9の何れかが過電流を検知した時点で、制御部11は過電流が発生したと判定することが可能となる。この結果、車載用遮断装置1の動作信頼性の向上が可能となる。
【0037】
ここで第1電流検出器8は第1導電路4もしくは第2導電路7に流れる電流を検出可能である。また、第2電流検出器9は第1導電路4もしくは第2導電路7に流れる電流を検出可能である。特にここで、図1に示すように、第1電流検出器8と第2電流検出器9とはいずれも正電位の導電路である第1導電路4に流れる電流を検出したうえで、制御部11が第1電流値I1と第2電流値I2とに基づいて判定を実行する。
【0038】
これにより、第1電流検出器8もしくは第2電流検出器9の何れかが故障した場合であっても、正常動作可能な第1電流検出器8もしくは第2電流検出器9の何れかによって過電流を検知できるので、第1電流検出器8もしくは第2電流検出器9の何れかにおける故障発生時の動作安全性が向上する。また、車載用遮断装置1全体での電流検出機能の故障率を悪化させずに信頼性の高い検出機能を実現できる。
【0039】
例えば電流検出機能の故障として、第1電流検出器8もしくは第2電流検出器9から発せられる第1検出信号S1もしくは第2検出信号S2の何れかが、過電流閾値Ithを超越した過電流検知状態を誤認識した信号となるハイ固定モード故障となった場合、第1電流検出器8もしくは第2電流検出器9の何れかでは過電流を正しく検出できず誤動作する。しかしながら上記の構成と動作によって正常な第1電流検出器8もしくは第2電流検出器9の何れかによって電流検出機能を維持することができる。
【0040】
その結果、車載用遮断装置1、特に火工遮断器10の動作信頼性は向上する。車載用遮断装置1の内外で発生したノイズの影響により、第1電流検出器8もしくは第2電流検出器9の何れかが誤検出信号として第1検出信号S1もしくは第2検出信号S2を出力した場合でも、第1電流検出器8および第2電流検出器9に同時にノイズが入らなければノイズの影響を抑制でき、火工遮断器10の誤点火を防止できる。いいいかえると、第1電流検出器8および第2電流検出器9は、シャント抵抗とホール素子などの異なる電流検出方式を適用することで、ノイズに対する特性を異なった状態とすることができ、車載用遮断装置1におけるノイズに対する影響の抑制が可能となる。
【0041】
また、図2に示すように第1電流検出器8と第2電流検出器9とはいずれも負電位の導電路である第2導電路7に流れる電流を検出したうえで、制御部11が第1電流値I1と第2電流値I2とに基づいて判定を実行してよい。
【0042】
またさらに、図3に示すように第1電流検出器8は正電位の導電路である第1導電路4に流れる電流を検出し、第2電流検出器9は負電位の導電路である第2導電路7に流れる電流を検出したうえで、制御部11が第1電流値I1と第2電流値I2とに基づいて判定を実行すしてよい。
【0043】
以上では、火工遮断器10は正電位側の第1導電路4を不可逆的に遮断可能なように配置されている形態で説明した。ここで、図4の本発明の実施の形態における車載用遮断装置1の構成を示す第4回路ブロック図に示すように、火工遮断器10は負電位側の第2導電路7を不可逆的に遮断可能なように配置されていてよい。
【0044】
ここでは第1電流検出器8と第2電流検出器9との複数の電流検出器を用いることで過電流に対する検出を実行可能とし、複数の検出結果にもとづいて遮断動作を実行することができる。さらに第1電流検出器8と第2電流検出器9との双方で過電流が検出されたことにより、制御部11は過電流が発生していると判定する。このため、第1導電路4に流れる検出対象の電流に過電流となっている蓋然性は高くなり、制御部11は過電流の発生を正しく判定することが可能となる。この結果、車載用遮断装置1の動作信頼性の向上が可能となる。
【0045】
特に、第1電流検出器8と第2電流検出器9とはいずれも正電位の導電路である第1導電路4に流れる電流を検出したうえで、制御部11が第1電流値I1と第2電流値I2とに基づいて判定を実行する。これにより、第1電流検出器8および第2電流検出器9と火工遮断器10とが、第2導電路7と第1導電路4とに分散配置され、第1導電路4と第2導電路7との導体長の抑制が可能となる。
【0046】
この結果、第1導電路4と第2導電路7とに生じる寄生インダクタンスおよびインピーダンスを抑制することが可能となり、急激な電流変動が生じた際の電流検出の精度が向上することで車載用遮断装置1および火工遮断器10の動作信頼性は向上する。また、第1導電路4と第2導電路7とにおけるインピーダンスの平衡も得やすくなることで、第1導電路4や第2導電路7に流れる電流のリップルやノイズに起因するコモンモードノイズの抑制が可能となる。これにより、第1電流検出器8と第2電流検出器9における電流検出精度が向上し、車載用遮断装置1および火工遮断器10の動作信頼性は向上する。
【0047】
また、図5の本発明の実施の形態における車載用遮断装置1の構成を示す第5回路ブロック図に示すように、ここでも火工遮断器10は負電位側の第2導電路7を不可逆的に遮断可能なように配置されていて、第1電流検出器8は正電位の導電路である第1導電路4に流れる電流を検出し、第2電流検出器9は負電位の導電路である第2導電路7に流れる電流を検出する。そして、制御部11が第1電流値I1と第2電流値I2とに基づいて判定を実行する。これにより、車両負荷15からのコモンモードノイズによる影響が抑制され、車載用遮断装置1の動作および火工遮断器10の動作の信頼性を向上させることが可能となる。
【0048】
ここでは第1電流検出器8は正電位の導電路である第1導電路4に流れる電流を検出し、第2電流検出器9は負電位の導電路である第2導電路7に流れる電流を検出する。このため、インバータ回路などをはじめとした車両負荷15で発生した同相ノイズが相殺されることで抑制が可能となる。この結果として第1電流検出器8や第2電流検出器9から発せられる第1検出信号S1や第2検出信号S2は信頼性の高い信号となり、車載用遮断装置1の動作および火工遮断器10の動作の信頼性は向上する。
【0049】
またさらに、第1電流検出器8および第2電流検出器9にはシャント抵抗の電位差に基づいて電流検出器を実行するとよい。そして、第1電流検出器8および第2電流検出器9が有するそれぞれの抵抗値を異なる値に設定し、第1電流検出器8および第2電流検出器9で検出した値の差分を演算することで寄生インダクタンスの影響が抑制される。この結果として特に単位時間当たりの変化が大きな過電流を高い精度で検出することができ、車載用遮断装置1の動作および火工遮断器10の動作の信頼性は向上する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の車載用遮断装置は、遮断に関する動作信頼性を向上させるという効果を有し、各種車両において有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 車載用遮断装置
2 第1入力端
3 第1出力端
4 第1導電路
5 第2入力端
6 第2出力端
7 第2導電路
8 第1電流検出器
9 第2電流検出器
10 火工遮断器
11 制御部
12 車両
13 車体
14 車両電源
14A 第1極
14B 第2極
15 車両負荷
15A 第1極
15B 第2極
16 第1リレー
17 第2リレー
図1
図2
図3
図4
図5