(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189241
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/60 20180101AFI20221215BHJP
F21S 41/275 20180101ALI20221215BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20221215BHJP
F21V 29/90 20150101ALI20221215BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20221215BHJP
【FI】
F21S45/60
F21S41/275
F21V23/06
F21V29/90
F21W102:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097724
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】近江 武史
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014BA03
3K014HA03
(57)【要約】
【課題】発熱部材の接続機構の劣化を抑制した融雪機能を備えた車両用灯具を提供する。
【解決手段】
前面が開口したランプボディと、透光性部材で構成され、前記ランプボディの開口部に取付けられて灯室を形成するランプカバーと、前記ランプカバーの内面に敷設され、給電されることで発熱する発熱部材と、前記発熱部材の末端部に設けられ、前記ランプカバーの内表面に、所定の面積を持って設けられる電気的接点と、前記電気的接点の表面に、少なくとも前記電気的接点の一部と面接触して固定される係止部材と、前記灯室内で前記ランプボディの前記側壁に取付けられるコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングと前記係止部材とを接続する接続部材とを備え、前記発熱部材は、前記係止部材および前記接続部材を介して給電されるように構成した。電気的接点の表面に係止部材が固定されるため、硫化が抑制される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口したランプボディと、
透光性部材で構成され、前記ランプボディの開口部に取付けられて灯室を形成するランプカバーと、
前記ランプカバーの内面に敷設され、給電されることで発熱する発熱部材と、
前記発熱部材の末端部に設けられ、前記ランプカバーの内表面に、所定の面積を持って設けられる電気的接点と、
前記電気的接点の表面に、少なくとも前記電気的接点の一部と面接触して固定される係止部材と、
前記灯室内で前記ランプボディの側壁に取付けられるコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングと前記係止部材とを接続する接続部材と、
を備え、
前記発熱部材は、前記係止部材および前記接続部材を介して給電される、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記接続部材は、フレキシブルプリントサーキットであり、
前記フレキシブルプリントサーキットは、回路が露出する接点部を有し、
前記フレキシブルプリントサーキットは、前記接点部を前記電気的接点に面接触させて、前記電気的接点の表面に一部を積層させて固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記係止部材は、表面に露出した導通部と、前記接続部材と係合可能な係合口とを有し、
前記係止部材は、前記導通部を前記電気的接点に面接触させ、前記係合口を前記側壁の方向に向けて、前記電気的接点の表面に固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記接続部材の末端部には、雄端子が加締められており、
前記係止部材は、前記雄端子に係合する雌端子であり、
前記雌端子は、前記電気的接点の表面に導通性接着剤で固定される、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記係止部材は、金属部材で構成された前記導通部と一体的に構成された樹脂製の筐体であり、
前記導通部を前記電気的接点に面接触させて、前記電気的接点の表面に固定され、
前記係止部材の端部が前記係合口に係合することで、前記導通部と前記係止部材とが電気的に結合され、
前記発熱部材は、前記係止部材の導通部および前記接続部材を介して給電される、
ことを特徴とする、請求項3に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両用灯具、特に融雪機能を備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具のランプカバーに付着した雪は、適切な光の照射の妨げとなる。このため、ランプカバーに発熱部材を取り付け、給電されて発熱した発熱部材の熱で融雪する機能を備えた車両用灯具が公開されている(例えば、特許文献1)。発熱部材には、例えば導電性フィルムや導電性インクなどが用いられ、ランプカバーの内側に密着して、あるいは一体化して設けられる。発熱部材は給電により発熱するため、発熱部材の端部には給電用の電気的接点が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電気的接点は露出して設けられることがままあるが、露出して設けられると、硫化により電気的に劣化することが問題となっている。
【0005】
本発明は、これを鑑みてなされたものであり、接続機構の劣化を抑制した融雪機能を備えた車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するため、本開示の車両用灯具のある態様においては、前面が開口したランプボディと、透光性部材で構成され、前記ランプボディの開口部に取付けられて灯室を形成するランプカバーと、前記ランプカバーの内面に敷設され、給電されることで発熱する発熱部材と、前記発熱部材の末端部に設けられ、前記ランプカバーの内表面に、所定の面積を持って設けられる電気的接点と、前記電気的接点の表面に、少なくとも前記電気的接点の一部と面接触して固定される係止部材と、前記灯室内で前記ランプボディの前記側壁に取付けられるコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングと前記係止部材とを接続する接続部材とを備え、前記発熱部材は、前記係止部材および前記接続部材を介して給電されるように構成した。
【0007】
この態様によれば、発熱部材は、係止部材および接続部材を介して電気的接点から給電され、発熱してランプカバーに付着した雪を融解させる。電気的接点の少なくとも一部は係止部材に覆われて、灯室内に露出せず、硫化が防止され、接続機構の劣化が抑制される。また面接触により接続面積も大きく、接続の安定性も高い。ハウジングは車両の側壁に固定されており、側壁から接続部がL字状に導出されて電気的接点に接続されるため、ランプカバーの意匠性を邪魔しない。
【0008】
また、ある態様においては、前記接続部材は、フレキシブルプリントサーキットであり、前記フレキシブルプリントサーキットは、プリントされた回路が露出する接点部を有し、前記フレキシブルプリントサーキットは、前記接点部を前記電気的接点に面接触させて、前記電気的接点の表面に一部を積層させて固定されるように構成した。
【0009】
この態様によれば、電気的接点の少なくとも一部は、接点部のあるフレキシブルプリントサーキットに覆われるため、硫化が抑制される。フレキシブルプリントサーキットを介して、電気的接点から発熱部材に電流が供給される。積層されて固定されるため、接続の安定性が高い。
【0010】
また、ある態様によれば、前記係止部材は、露出した導通部と、前記接続部材と係合可能な係合口とを有し、前記係止部材は、前記導通部を前記電気的接点に面接触させ、前記係合口を前記側壁の方向に向けて、前記電気的接点の表面に固定されるように構成した。係止部材に覆われた部分は硫化が抑制される。
【0011】
また、ある態様によれば、前記接続部材の末端部には、雄端子が加締められており、前記係止部材は、前記雄端子に係合する雌端子であり、前記雌端子は、前記電気的接点の表面に導通性接着剤で固定されるように構成した。端子で接続されるために、係合/係合解除が容易である。
【0012】
前記係止部材は、金属部材で構成された前記導通部と一体的に構成された樹脂製の筐体であり、前記導通部を前記電気的接点に面接触させて、前記電気的接点の表面に固定され、前記係止部材が前記係合口と係合することで、前記導通部と前記係止部材とが電気的に結合され、前記発熱部材は、前記係止部材の導通部および前記接続部材を介して給電されるように構成した。筐体は、導通部を電気的接点に面接触して固定されており、電気的接点の硫化が抑制される。また、導通部を設けることで、接続の方法や係止部材の形態を多様なものとできる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、接続機構の硫化を抑制した融雪機能を備えた車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係る車両用灯具の斜視図である。
【
図2】同車両用灯具の概略構成を説明する正面図である。
【
図3】ランプカバーを取りはずした状態(ランプカバーとランプボディを開いた状態)の車両用灯具である。
【
図4】
図2のIV-IV線に沿った断面図である。主として、電気的な接続の構成を示す。
【
図6】第2の実施形態に係る車両用灯具の主要部を示す断面図である。
図4に対応する。
【
図7】第3の実施形態に係る車両用灯具の主要部を示す断面図である。
図4に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。また、以下の実施形態および変形例の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。なお、各図においては、寸法や比率は実際の数値を反映したものではなく、構成を模式的に表して、特徴を分かりやすく示している。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両用灯具1の斜視図である。
図2は、車両用灯具1の概略構成を示す正面図である。
【0017】
図1および
図2に示すように、車両用灯具1は前照灯であり、車両の前部の左右両側にそれぞれ装着される。車両用灯具1は、ランプボディ2と、ランプカバー4を備える。
【0018】
ランプボディ2は、前方が開口した筐体であり、背面と、背面の全周縁から前方に一体に延設されている側壁2bとを有する。開口部には、全周に亘って溶着用のフランジ部2aが設けられている。
【0019】
ランプカバー4は、いわゆるアウターカバーであり、例えばポリカーボネイトなどの透光性を有する樹脂やガラスなどで形成された、ほぼ素通しのレンズである。ランプボディ2と同様に、ランプカバー4は、ほぼ平面状に形成される正面と、正面から僅かに後方に一体的に延設される側壁4bとを有し、側壁4b端部には、全周に亘ってフランジ部4aが形成されている。ランプカバー4がランプボディ2の開口部に取付けられ、フランジ部(2a,4a)同士が溶着されることで、内側には灯室Sが形成される。
【0020】
画成された灯室S内には、ハイビーム用のランプユニットHiとロービーム用のランプユニットLoとが、車両幅方向に並置されて収容されている。ハイビーム用のランプユニットHiおよびロービーム用のランプユニットLoは、光源からの出射光を車両前方に照射して、ハイビーム配光/ロービーム配光を形成するよう構成された光学ユニットである。各ランプユニット(Hi,Lo)には、従来周知の構成、例えば反射型、プロジェクタ型等の灯具ユニットが用いられており、その種類は問わない。また、各ランプユニットLo,Hiに用いられる光源も、ハロゲンバルブなどの白熱バルブ等の他、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、EL(Electro Luminescence)素子などの発熱を伴わない光源を使用することが可能である。
【0021】
ランプカバー4の内表面には、給電されることで発熱する発熱部材21が敷設されている。発熱部材21は線状に構成され、所定の布線パターンで、ランプカバー4の内表面のほぼ全面に設けられている。発熱部材21の発生する熱により、ランプカバー4に付着した雪や氷が融かされ、また内外に生じた曇りが解消され、適切な配光が確保される。発熱部材21により、車両用灯具1に融雪機能が実装される。
【0022】
発熱部材21には、例えば、抵抗熱線が用いられ、所望の布線パターンでランプカバー4の内表面に粘着剤または接着剤により固定される。粘着剤または接着剤は、熱硬化型や紫外線硬化型を用いることもでき、光透過性を有するものが好ましい。抵抗熱線は、導電性ペーストや導電性インクを用いて、転写やスクリーン印刷によって布線されてもよい。抵抗熱線には、タングステン、モリブデン、ニッケルクロムなどの比較的導電率の低い部材を含んで構成される。抵抗熱線への給電により抵抗熱線が抵抗加熱され、これによって、抵抗熱線が融雪可能な温度まで上昇する。発熱部材21の線径は極小であるために目立たず、布線によるランプカバー4の透過性減少は抑えられ、車両用灯具1の光照射機能が損なわれることはない。
【0023】
また、発熱部材21には透明フィルムヒーターを用いてもよい。透明フィルムヒーターは、透光性を有する薄膜の発熱体であり、透明PETフィルムなどの透明部材の上に、視認できないほどの極細の金属線をメッシュ状に配置したもの、あるいは微粒子状の金属を蒸着させたものである。フィルム状の透明部材の表面に、金属が極薄く配置されており、光の透過率が非常に高い。透明フィルムヒーターは、ランプカバー4の内表面に、前記粘着剤または接着剤により接着される。
【0024】
透明フィルムヒーターは、上記構成に限られず、ITO膜(酸化インジウムスズ膜)による透明な発熱膜を用いてもよい。また透明フィルムに導電性インクを用いたフレキシブルプリントサーキット(FPC)を用いてもよい。ランプカバー4の内表面に透明フィルムヒーターがダイレクト成膜されてもよい。
【0025】
ランプカバー4の外表面には、揮発性を有する膜(撥水コート)をコーティングしてもよい。これによりランプカバー4の外表面に付着した雪や氷が、ランプカバー4との界面の溶融により、速やかに除去される。
【0026】
発熱部材21への給電は、適宜の時期に成されればよい。例えば、ランプユニットHi,Loへの通電時、エンジンの始動時、運転者が所望する時期に給電が成されればよい。また、本実施形態においては、発熱部材21はランプカバー4の内表面のほぼ全面にわたって配設されているが、必要な領域のみ配設されてもよい。
【0027】
発熱部材21は、左右方向にジグザグに蛇行しながらほぼ平行に連続する布線パターンで敷設されており、その両端部は左下隅に位置する。発熱部材21の布線パターンはこれに限られず、ランプカバー4の通光部(ランプユニット前方)を主として、ランプカバー4の内表面に網羅的に敷設されればよい。
【0028】
発熱部材21の端部には、電気的接点22が形成されており、発熱部材21は電気的接点22を介して接続された車両用バッテリーから給電される。発熱部材の21の端部である二つの電気的接点22,22のうち、一方はプラス電極、もう一方がマイナス極である。二つの電気的接点22,22は、配光を邪魔しない位置で、ランプカバー4内表面の側壁2b近傍に、互いに近接して設けられている。
【0029】
電気的接点22は、導電性ペーストまたは導電性インクであって、例えば、銀ペースト、金ペースト、銅ペースト、アルミペーストなどの金属ペーストが用いられる。発熱部材21が敷設されたランプカバー4の内表面に、銅電線ペーストまたは銅電線インクが塗布されることで、所定の面積を持った電気的接点22が形成される。
【0030】
(給電機構30)
次に、電気的接点22へ給電する給電機構30について説明する。給電機構30は、灯室S内に設けられる。
【0031】
図3は、ランプカバー4を取りはずした状態(ランプカバー4とランプボディ2を開いた状態)の車両用灯具1である。
図4は、
図2のIV-IV線に沿った断面図である。
【0032】
図3および
図4に示すように、給電機構30は、コネクタハウジング31と、接続部材32とを備える。
【0033】
コネクタハウジング31は端子を係止可能なコネクタ口31aを有する樹脂製のコネクタであり、コネクタ口31aをランプカバー4側に向けて、例えばランス係合や凹凸係合など、図示しない従来の方法によって、ランプボディ2の側壁2bに固定されている。
【0034】
接続部材32は、フレキシブルプリントサーキット(FPC)であり、薄膜状の絶縁体であるベースの上に導体箔で回路が形成され、さらにその上を絶縁膜で覆われた層状構成で、柔軟性を有する膜状の配線である。
【0035】
一方向に長く形成された接続部材32の一方の末端部には、端子33が設けられており、端子33がコネクタハウジング31のコネクタ口31aに挿入されて係止されている。
【0036】
接続部材32のもう一方の末端部には、接点部34が設けられている。接点部34は、絶縁膜に覆われておらず、回路の導体箔が露出した、フレキシブルプリントサーキットの電気的接点である。接点部34は所定の面積を有し、接点部34の設けられた一面が、電気的接点22に重ねられ、フレキシブルプリントサーキットの端部が、電気的接点22と積層した状態で、図示しない導通性接着剤で固定されている(
図4参照)。
【0037】
コネクタハウジング31の背面側には、車両バッテリーに接続されたリード線Lが装着されて端子33と結合している。車両バッテリーから供給された電流は、リード線L、端子33、接続部材32、接点部34、電気的接点22と順に通過して、発熱部材21に供給される。
【0038】
(作用効果)
接点部34は所定の面積を持ち、電気的接点22と面接触しており、接触面積が大きい。このため、電気的接続の安定性が高い。
【0039】
電気的接点22は膜状のフレキシブルプリントサーキットに覆われているため、表面が灯室S内に露出せず、硫化による導電性の低下が抑制される。
【0040】
柔軟性のあるフレキシブルプリントサーキットを接続部材32に用いており、車両走行時の振動などで、剥離や断線、瞬断が発生することがなく耐振動性能が高い。
【0041】
電気的接点22の背面の側壁2bにコネクタハウジング31が固定されており、給電機構30はランプカバー4の意匠性を邪魔しない。
【0042】
接続部材32がコネクタハウジング31からL字状に導出され、灯室S内壁に沿って配設されて電気的接点22に接続されるため、正面から目視され難い。このため、エクステンションなどの機構を遮蔽する目隠し部材を設ける必要が無い。電気的接点22は、ランプカバー4の側壁4bの傍、即ち、ランプカバー4の屈曲した部分近傍に設けられており、電気的接点22の背面に配置される給電機構30も正面から目視され難い構成となっている。
【0043】
車両用灯具1を組立の際は、まずランプカバー4の電気的接点22に接点部34を接触させて、接続部材32の端部が電気的接点22に固定される。接続部材32の一方の端部(接点部34)がランプカバー4に固定され、もう一方の端部の端子33は係止されないままの状態で、ランプボディ2とランプカバー4とが両フランジ部2a,4aで溶着あるいは接着される。溶着後、例えば、ランプボディ2の図示しない穴などから作業者が手を入れて作業することで、灯室S内で端子33がコネクタハウジング31のコネクタ口31aに挿入される。
【0044】
(変形例)
図5に変形例として給電機構30Aを示す。
【0045】
図5に示すように、給電機構30Aは基板35を備える。基板35は側壁2bに沿って固定されており、コネクタハウジング31は基板35の表面に固定されている。このように、コネクタハウジング31は側壁2bへの直接固定に限られず、基板35などを介して固定されてもよい。基板35には、発熱部材21の制御回路CONや車両バッテリーからのリード線Lも装着されており、機能が集約されている。
【0046】
基板35は側壁2bに沿って配置されているため、ランプカバー4の意匠性を邪魔せず、最小限の構成により、照明効果の低下も抑制され、接続の安定性も確保される。あらかじめ組み立てられた基板35を灯室S内で側壁2bに設置すればよく、組付けも容易である。
【0047】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態に係る車両用灯具101の断面図であり、主として、電気的接点22への給電機構130の形態を示す。
図6は
図4に対応する。
【0048】
給電機構130は、接続部材132、コネクタハウジング31、および雌端子134を備える。
【0049】
電気的接点22の表面に、電気的接点22と同じ金属組成を持つ導通性接着剤(図示せず)が塗布され、その上に雌端子134が搭載される。この時、雌端子134の係合口134aは、コネクタハウジング31が固定された側壁2bの方向へ向けられれて配置される。雌端子134が搭載された状態で導通性接着剤が硬化され、電気的接点22の表面上に雌端子134が固定される。
【0050】
接続部材132は電線である。接続部材132の一方の端部には端子33が加締められており、該端子33はコネクタハウジング31のコネクタ口31aに挿入される。接続部材132のもう一方の端部には雌端子134に係合する雄端子136が加締められており、雄端子136は雌端子134に挿入されて係合する。
【0051】
コネクタハウジング31の背面側には、リード線Lが装着されて端子33と結合している。車両バッテリーから供給された電流は、リード線L、端子33、接続部材132、雄端子136、雌端子134、電気的接点22と順に通過して、発熱部材21に供給される。
【0052】
金属製の雌端子134が、電気的接点22の表面に固定されるため、接触面積が大きい。このため、電気的結合の安定性が高い。また電気的接点22が灯室S内に露出せず、接続が継続されるため、硫化による電気的接合の劣化が抑制される。係止部材である雌端子134に雄端子136を抜き差しするだけで、電気的な結合を実施でき、接続/接続解除が容易である。
【0053】
第1実施形態と同様に、接続部材32が側壁2bからL字状に導出されて接続部材132は灯室S内で内壁に沿って配置されるため目立たず、ランプカバー4の意匠性を邪魔しない。
【0054】
(第3実施形態)
図7は第3実施形態に係る車両用灯具201の断面図であり、主として、電気的接点22への給電機構230の形態を示す。
図7は
図4に対応する。
【0055】
給電機構230は、コネクタハウジング31、接続部材132、および係止部材239を備える。接続部材132の両端部には、端子33,雄端子136が加締められている。
【0056】
係止部材239は、例えばコネクタハウジングなどの、樹脂部材で構成された筐体であり、金属部材234と二色成形、もしくは嵌合により一体化している。金属部材234の一部は、係止部材239の表面に露出しており、係止部材239の導通部として作用する。係止部材239は、雄端子136を係止可能な係合口239aを有する。
【0057】
電気的接点22の表面に、電気的接点22と同じ金属組成を持つ導電性接着剤(図示せず)が塗布され、その上に係止部材239が搭載される。この時、金属部材234の露出部が電気的接点22に接触し、かつ係合口239aは側壁2bが側へ向けられて配置される。係止部材239が搭載された状態で導通性接着剤が硬化され、電気的接点22の表面上に係止部材239が固定される。
【0058】
雄端子136が係合口239aに挿入されると、雄端子136は金属部材234と電気的に結合するように構成されている。コネクタハウジング31の背面側には、リード線Lが装着されて端子33と結合している。車両バッテリーから供給された電流は、リード線L、端子33、接続部材132、雄端子136、金属部材234、電気的接点22と順に通過して、発熱部材21に供給される。
【0059】
導通部が電気的接点22に接触した状態で、電気的接点22の表面に係止部材239
が固定されることで、接続を確保しつつ、電気的接点22の硫化を防止した。また雌端子134と同様に、係止部材239の係合口239aに雄端子136を抜き差しするだけで、電気的な結合を実施でき、接続が容易である。樹脂部材で形成された係止部材239に金属部材234を一体化させることで、係止部材239の形態を多様にできる。
【0060】
本開示の構成は、前照灯に限らず、寒冷地仕様として融雪機能を備えた標識灯や、リアランプなどにも好適である。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 :車両用灯具
2 :ランプボディ
2b :側壁
4 :ランプカバー
21 :発熱部材
22 :電気的接点
30 :給電機構
31 :コネクタハウジング
32 :接続部材
33 :端子
34 :接点部
134 :雌端子
134a :係合口
136 :雄端子
239 :係止部材
S :灯室