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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189242
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/60 20180101AFI20221215BHJP
   F21S 41/275 20180101ALI20221215BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20221215BHJP
   F21V 29/90 20150101ALI20221215BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20221215BHJP
【FI】
F21S45/60
F21S41/275
F21V23/06
F21V29/90
F21W102:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097725
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】近江 武史
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014HA03
(57)【要約】
【課題】発熱部材と給電機構との電気的な接続が容易な融雪機能を備えた車両用灯具を提供する。
【解決手段】
ランプカバーの内側に敷設されて給電されることにより発熱する発熱部材と、発熱部材の末端部に設けられ、ランプカバー内側の縁部近傍に所定の面積を持って設けられる電気的接点と、電気的接点の背面位置で、ランプボディの側壁の内側に取付けられるコネクタハウジングと、弾性変形可能に構成され、コネクタハウジングに装着され、電気的接点に向かって付勢されて電気的接点に当接して電気的に接続される端子とを備えた車両用灯具を提供する。コネクタハウジングが側壁内側に取付けられており、ランプカバーの意匠性の確保がされる。電気的接点と端子とが、溶着工程で自然に接合がなされ、設置や組付け容易となっている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボディと、
透光性樹脂で構成され、前記ランプボディの開口部に取付けられて灯室を形成するランプカバーと、
前記ランプカバーの内側に敷設され、給電されることにより発熱する発熱部材と、
前記発熱部材の末端部に設けられ、前記ランプカバー内側の縁部近傍に所定の面積を持って設けられる電気的接点と、
前記電気的接点の背面位置で、前記灯室内で前記ランプボディの側壁に取付けられるコネクタハウジングと、
弾性変形可能に構成され、前記コネクタハウジングに装着され、前記電気的接点に向かって付勢されて前記電気的接点に当接して電気的に接続される端子と、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記電気的接点は導電性ペーストまたは導電性インクで構成され、前記ランプカバー内側に塗布されて形成され、少なくとも前記端子の幅と同等または同等以上の幅を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記端子は、前記コネクタハウジングへの取付部を固定点として、前記電気的接点の方向に揺動可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記端子は、前記ランプカバーの内壁から逆L字状に導出され、前記電気的接点の方向へ付勢された板バネ状に構成される、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載された車両用灯具。
【請求項5】
前記端子の幅は、少なくとも1mm以上である、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記電気的接点の表面の前記端子の対応位置には、前記端子の受け部材が、導電性接着剤で取付けされている、
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記ランプカバーは、前記ランプボディ側に向かって屈曲する屈曲部を有し、前記電気的接点は、前記屈曲部の近傍に設けられている、
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両用灯具、特に融雪機能を備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具のランプカバーに付着した雪は、適切な光の照射の妨げとなる。このため、給電により発熱する発熱部材をランプカバーに取り付け、発熱部材の発する熱で融雪させる融雪機能を備えた車両用灯具が公開されている(例えば、特許文献1)。発熱部材には、例えば抵抗熱線や、導電性フィルムや導電性インクなどが用いられ、ランプカバーの内側に密着してあるいは一体化して設けられる。発熱部材は、給電により発熱するため、給電機構に接続されて給電される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-86067号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、給電機構が灯室内に設けられている場合、両者を灯室内で電気的に結合させる必要があるが、狭い灯室中での細かい作業は容易ではない。このため、両者の電気的な接続が容易であることが望まれる。
【0005】
本発明は、これを鑑みてなされたものであり、発熱部材と給電機構との電気的な接続が容易な融雪機能を備えた車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するため、本開示の車両用灯具のある態様においては、ランプボディと、透光性樹脂で構成され、前記ランプボディの開口部に取付けられて灯室を形成するランプカバーと、前記ランプカバーの内側に敷設され、給電されることにより発熱する発熱部材と、前記発熱部材の末端部に設けられ、所定の面積をもって前記ランプカバー内側の縁部近傍に所定の面積を持って設けられる電気的接点と、前記電気的接点の背面位置で前記ランプボディの内壁に取付けられるコネクタハウジングと、弾性変形可能に構成され、前記コネクタハウジングに装着され、前記電気的接点に向かって付勢されて前記電気的接点に当接して電気的に接続される端子と、を備えるように構成した。
【0007】
この態様によれば、発熱部材は端子を介して給電され、発熱してランプカバーに付着した雪を融解させる。コネクタハウジングは車両の側壁に固定されており、電気的接点に背後に配置され、ランプカバーの意匠性を邪魔せず、設置も容易である。ランプカバー側に設けられた電気的接点と、ボディ側に設けた端子とが付勢された状態で接続されるため、接続の安定性が高く、接続のための特別な工程が不要で組付けも容易である。
【0008】
また、ある態様においては、前記電気的接点は導電性ペーストまたは導電性インクで構成され、前記ランプカバー内側に塗布されて形成され、少なくとも前記端子の幅と同等または同等以上の幅を有するように構成した。この態様によれば、組付け時の寸法差のマージンも大きく、また接触面積も大きく、接続が安定する。
【0009】
また、ある態様においては、前記端子は、前記コネクタハウジングへの取付部を固定点として、前記電気的接点の方向に揺動可能に構成されるように構成した。
【0010】
また、ある態様においては、前記端子は、前記ランプカバーの内壁から逆L字状に導出され、前記電気的接点の方向へ付勢された板バネ状に構成されるように構成した。
【0011】
また、ある態様においては、板バネ状の前記端子の幅は、少なくとも1mm以上であるように構成した。これら態様は、正面から付勢されて当接するのと同等の付勢力を確保して、接触面積を増やすことができる。
【0012】
また、ある態様においては、前記電気的接点の表面の前記端子の対応位置には、前記端子の受け部材が、導電性接着剤で取付けされているように構成した。この態様によれば、接触の安定性が向上する。また電気的接点が受け部材により覆われるため、電気的接点の硫化を抑制し、耐久性能が向上する。
【0013】
また、ある態様においては、前記ランプカバーは、前記ランプボディ側に向かって屈曲する屈曲部を有し、前記電気的接点は、前記屈曲部の近傍に設けられているように構成した。ランプカバーとランプボディの接合部位であり、コネクタハウジングがより目立たず、目隠しされる。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、電気的な接続が容易な融雪機能を備えた車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る車両用灯具の斜視図である。
図2】同車両用灯具の概略構成を説明する正面図である。
図3】ランプカバーを取りはずした状態(ランプカバーとランプボディを開いた状態)の車両用灯具である。
図4図2のIII-III線に沿った断面図である。主として、電気的な接続の構成を示す。
図5】変形例である。
図6】変形例である。
図7】第2の実施形態に係る車両用灯具の主要部を示す断面図である。図4に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。また、以下の実施形態および変形例の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。なお、各図においては、寸法や比率は実際の数値を反映したものではなく、構成を模式的に表して、特徴を分かりやすく示している。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両用灯具1の斜視図である。図2は、車両用灯具1の概略構成を示す正面図である。
【0018】
図1および図2に示すように、車両用灯具1は前照灯であり、車両の前部の左右両側にそれぞれ装着される。車両用灯具1は、ランプボディ2と、ランプカバー4を備える。
【0019】
ランプボディ2は、前方が開口した筐体であり、背面と、背面の全周縁から前方に一体に延設されている側壁2bとを備える。開口部の周縁には溶着用のフランジ部2aが設けられている。
【0020】
ランプカバー4は、いわゆるアウターカバーであり、例えばポリカーボネイトなどの透光性を有する樹脂やガラスなどで形成された、ほぼ素通しのレンズである。ランプカバー4は僅かに後方に延設される側壁4bと、側壁4bの端部の全周縁に形成されたフランジ部4aとを有する。ランプボディ2のフランジ部2aと、ランプカバー4のフランジ部4aとが溶着されることで、ランプカバー4がランプボディ2の開口部に取付けられ、内側には灯室Sが形成される。
【0021】
画成された灯室S内には、ハイビーム用のランプユニットHi、およびロービーム用のランプユニットLoが収容されている。ハイビーム用のランプユニットHiおよびロービーム用のランプユニットLoは、光源からの出射光を前方に照射して、車両前方にハイビーム配光/ロービーム配光を形成するよう構成された光学ユニットである。各ランプユニット(Hi,Lo)には、従来周知の構成、例えば反射型、プロジェクタ型等の灯具ユニットが用いられており、その種類は問わない。また、各ランプユニットLo,Hiに用いられる光源も、ハロゲンバルブなどの白熱バルブ等や、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、EL(Electro Luminescence)素子などの発熱を伴わない光源を使用することが可能である。
【0022】
ランプカバー4の内表面には、給電されることで発熱する発熱部材21が敷設されている。発熱部材21は線状に構成され、所定の布線パターンで、ランプカバー4の内表面のほぼ全面に設けられている。ランプカバー4の外表面に付着した雪はランプユニット(Hi,Lo)の適切な光の照射の妨げとなる。発熱部材21の発生する熱により、ランプカバー4に付着した雪や氷が融かされ、また内外に生じた曇りが解消され、適切な配光が確保される。発熱部材21により、車両用灯具1の融雪機能が実装される。
【0023】
発熱部材21には、例えば、抵抗熱線が用いられ、所望の布線パターンでランプカバー4の内表面に粘着剤または接着剤により固定されている。粘着剤または接着剤は、熱硬化型や紫外線硬化型でもよく、光透過性を有するものが好ましい。抵抗熱線は、導電性ペーストや導電性インクを用いて、転写やスクリーン印刷によって布線されてもよい。抵抗熱線は、タングステン、モリブデン、ニッケルクロムなどの比較的導電率の低い部材を含んで構成される。抵抗熱線への給電により抵抗熱線が抵抗加熱され、これによって、抵抗熱線が融雪可能な温度まで上昇する。発熱部材21の線径は極小であるために目立たず、ランプカバー4の透過性減少は抑えられ、車両用灯具1の光照射機能が損なわれることはない。
【0024】
また、発熱部材21には透明フィルムヒーターを用いてもよい。透明フィルムヒーターは、透光性を有する薄膜の発熱体であり、透明PETフィルムなどの透明部材の上に、視認できないほどの極細の金属線をメッシュ状に配置したもの、あるいは微粒子状の金属を蒸着させたものである。フィルム状の透明部材の表面に、金属が極薄く配置されており、光の透過率が非常に高い。あるいは、ITO膜(酸化インジウムスズ膜)による透明な発熱膜を用いてもよい。透明フィルムに導電性インクを用いたFPCでもよい。透明フィルムヒーターは、ランプカバー4の内表面に、前記粘着剤または接着剤により接着される。ランプカバー4の内表面に透明フィルムヒーターがダイレクト成膜されてもよい。
【0025】
ランプカバー4の外表面には、揮発性を有する膜(撥水コート)をコーティングしてもよく、これによりランプカバー4の外表面に付着した雪や氷が、ランプカバー4との界面の溶融により、速やかに除去される。
【0026】
発熱部材21への給電は、適宜の時期になされればよい。例えば、ランプユニットHi,Loへの通電時、エンジンの始動時、運転者が所望する時期に給電が成されればよい。また、本実施形態においてはランプカバー4の内表面のほぼ全面にわたって発熱部材21を配設しているが、必要な領域のみ配設してもよい。
【0027】
発熱部材21の末端部には、電気的接点22が設けられており、発熱部材21は電気的接点22を介して接続された車両用バッテリーから給電される。本実施形態においては、線状の発熱部材21は、左右方向にジグザグに蛇行しながらほぼ平行に連続する布線パターンで敷設されており、発熱部材21の末端部となる上部左端および下部左端の二か所に、電気的接点22,22が形成されている。
【0028】
発熱部材21の布線パターンはこれに限られず、ランプカバー4の内表面の通光部(ランプユニット前方)を主として、網羅的に敷設されればよい。電気的接点22,22は、配光を邪魔しない位置で、側壁2b近傍に設けられる。二か所の電気的接点22,22は、対向する側壁2bに設けても、同じ側壁2bに近接して設けてもよい。
【0029】
電気的接点22は、導電性ペーストまたは導電性インクであって、例えば、銀ペースト、金ペースト、銅ペースト、アルミペーストなどの金属ペーストが用いられる。これらがランプカバー4の内表面に塗布されることで、薄肉に所定の面積を持った電気的接点22がランプカバー4の内表面上に形成される。
【0030】
(給電機構30)
図2に示すように、車両用灯具1は、発熱部材21に給電するためのランプボディ2側の機構として、電気的接点22と電気的に接続される給電機構30を備える。給電機構30は、電気的接点22の背面側、灯室S内のランプボディ2の側壁2bに設けられる。
【0031】
図3は、ランプカバー4を取りはずした状態(ランプカバー4とランプボディ2を開いた状態)の車両用灯具1である。図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。
【0032】
図3および図4に示すように、電気的接点22はランプカバー4に設けられ、給電機構30は、電気的接点22の位置に対応したランプボディ2の開口部近傍に設けられる。
【0033】
給電機構30は、コネクタハウジング31と、コネクタハウジング31に装着された板バネ状の端子32とを備える。コネクタハウジング31はコネクタ筐体であり、端子32を装着可能に構成され、ランプボディ2の側壁2bに、例えばランス係合や凹凸係合などの図示しない従来の方法によって固定されている。
【0034】
端子32は、コネクタハウジング31に挿入されて固定される固定部33と、コネクタハウジング31から露出して電気的接点22へ向かって突出する突出部34とを備える。板バネ状の端子32は厚み方向を左右方向として配置され、一方の端部が固定部33としてコネクタハウジング31に正面から挿入される。固定部33から連続して前上方向に向かって屈曲し、さらに屈曲して電気的接点22に向かって突き出だして、突出部34となる。端子32の露出部分は、電気的接点22に向かって突出しており、全体として略逆L字状に構成される。この形状により、端子32は、固定部33を支点として、電気的接点22との対向方向(前後方向)に弾性変形(揺動)可能に構成される。
【0035】
設置状態で、突出部34は電気的接点22に当接して保持され、かつ電気的接点22と電気的に結合される。突出部34のコネクタハウジング31からの突出長さは、コネクタハウジング31と電気的接点22までの距離よりも長いため、突出部34は電気的接点22に向かって(図4の矢印参照)付勢された状態で、保持されている。
【0036】
コネクタハウジング31の背面側には、図示しない車両バッテリーに接続されたリード線端子が装着されて端子32と結合しており、車両バッテリーから供給される電流は、リード線、端子32、電気的接点22と順に通って、発熱部材21に供給される。
【0037】
車両用灯具1を組立の際には、まずランプカバー4とランプボディ2との溶着の前工程にて、給電機構30はランプボディ2の側壁2bに取付けられる。同様に、溶着の前工程にて発熱部材21および電気的接点22もランプカバー4の内表面に設けられる。ついで、ランプカバー4とランプボディ2との溶着工程として、両フランジ部2a,4aが合わせられる。これにより、突出部34は電気的接点22に当接して、電気的接点22からコネクタハウジング31側へ押された状態で保持される。端子32と電気的接点22と電気的に結合され、発熱部材21は、給電機構30を介して給電される。
【0038】
(作用効果)
車両用灯具1は、ランプボディ2とランプカバー4とが溶着される工程にて、自然に電気的接点22と端子32とが電気的に結合される構成であるため、両者の電気的な結合作業が不要となっている。半田付けなどの電気的結合のための追加工程が不要であり、従来の組付け手順だけで電気的接続が成され、組付けが容易である。
【0039】
所定の面積を持った電気的接点22と所定幅の板バネ状の端子32とが接続されるため、接触面積が大きく、接触不良が抑制される。また接着や嵌合などによる完全固定による接続ではないため、耐振動性能が高い。端子32の電気的接点22への付勢されており、車両が振動しても端子32は電気的接点22に継続して当接するため、剥離や脱落(瞬断)の発生も抑制される。
【0040】
給電機構30はランプボディ2に取付けられており、ランプカバー4の意匠性を邪魔しない。またコネクタハウジング31はランプボディ2の側壁2bに取付けされており、これに装着される板バネ状の端子32が側壁2bから逆L字状に導出しており、電気的接点22の背面に最小限の構成で配置される。この構成により、接触面積が確保され、継続して当接しつづけ、また意匠性や視認性への影響が最小限に抑えられる。
【0041】
給電機構30は側壁2bに固定されることから、電気的接点22は車両用灯具1の側方近傍に設けられるため、電気的接点22の後方配置される給電機構30も目立たずに視認され難く、配光を邪魔しない。エクステンションなどの機構を遮蔽する目隠し部材を設ける必要が無く、組付けが容易である。
【0042】
ランプカバー4は側壁4bを備え、電気的接点22は、ランプカバー4の正面から後方に延設された部分、即ち屈曲した部分の近傍に設けられている。これにより、コネクタハウジング31や端子32をより目立たなくなくしている。光の通過する正面内側に電気的接点22が設けられればよく、側壁4bを持たず(屈曲部のない)曲面状または平面状に構成されるランプカバーにも、本開示の構成は適用可能である。
【0043】
電気的接点22は、所定の面積をもって設けられているが、その幅は端子32の幅よりも同等、もしくはそれ以上であると好ましい。接触面積が増加して電気的結合が安定する。板バネ状の端子32の幅は、少なくとも1mm以上であると好ましい。付勢力を確保しつつ、接触面積が増加する。
【0044】
車両用灯具1においては、給電機構30および電気的接点22は、車両用灯具1の左側方の上方および下方の二か所に設けられているが、電気的接点22の配置はこれに限られず、二つの電気的接点22,22が離間せず、近接して設けられてもよい。またコネクタハウジングを1つにして、二つの板バネ状の端子32が離間して1のコネクタハウジングに装着される構成でもよい。
【0045】
また、ランプボディ2とランプカバー4とは溶着によって接合されるが、光源の交換などを考慮した場合、両者の間にパッキングなどのシール材を介在させたネジ止めにより着脱可能な結合としてもよい。
【0046】
本実施形態においては、端子32は板バネ状に構成されたが、弾性変形特性をもち、電気的接点22に向かって付勢されて電気的接点22と接続されれば、その他の構成を用いてもよい。
【0047】
(変形例)
図5および図6に変形例として給電機構30A,30B,30Cを示す。
【0048】
図5に示すように、給電機構30Aは基板39を備える。基板39は側壁2bに沿って固定されており、コネクタハウジング31は基板39の表面に固定されている。このように、コネクタハウジング31は側壁2bへの直接固定に限られず、基板39などを介して固定されてもよい。基板39には、発熱部材21の制御回路や車両バッテリーからのリード線も装着するなど、機能を集約してもよい。
【0049】
基板39は側壁2bに沿って配置されているため、ランプカバー4の意匠性を邪魔せず、最小限の構成により、照明効果の低下も抑制され、接続の安定性も確保される。あらかじめ組み立てられた基板39を灯室S内で側壁2bに設置すればよく、組付けも容易である。
【0050】
図6(A)に示すように、給電機構30Bは、コネクタハウジング31と、コネクタハウジング31に挿入される板バネ状の端子32Bを備える。端子32Bは、側方視して略三角形に構成され、一方の端部が固定部33としてコネクタハウジング31に下方から挿入されて固定され、固定部33から折り返すように屈曲して連続する傾斜部が、突出部34の一部として電気的接点22へ向かって延出する形状となっている。金属の弾性特性から、突出部34は固定部33との屈曲点を支点として、前後方向に揺動可能に構成される。突出部34は、電気的接点22方向へ付勢された状態で、電気的接点22に当接して保持され、電気的接点22と電気的に結合する。
【0051】
このように、電気的接点22に電気的に結合される端子は、電気的接点22の方向へ弾性変形可能に構成され、電気的接点22へ付勢された状態で電気的接点22に当接して保持されればよく、その形態は問わない。
【0052】
例えば、1の電気的接点22のために2以上の端子32を用いてもよい。複数の端子32を用いることで、接触的面積が増加し、電気的な結合の安定性が向上する。複数の端子32は同一のコネクタハウジング31に保持されると、省スペースとなり好ましい。加えて、複数の端子32には異なる形態のものを用いると、耐振動性能が向上し、電気的な結合の安定性が向上するためより好ましい。例えば、図7(B)に示す給電機構30Cは、1のコネクタハウジング31Cに二つの端子32Bが装着されている。一方の端子32Bは下方からコネクタハウジング31Cに挿入されて固定され、他方の端子32Bは上方からコネクタハウジング31Cに挿入されて固定されている。どちらも電気的接点22方向(前後方向)に弾性変形可能に構成されているが、支点位置が異なることから二つの主耐振動方向が異なるため、耐振動性能が高い。
【0053】
(第2実施形態)
図7は第2実施形態に係る車両用灯具101の断面図であり、主として、電気的接点22と給電機構130の形態を示す。図7図4に対応する。
【0054】
図7に示すように、給電機構130は、コネクタハウジング131とコネクタハウジング131に装着される端子132を備える。端子132は先端部が突没可能に構成されたポゴピンであり、図示しないリード線により車両バッテリーと電気的に接続されている。端子132は電気的接点22に対向配置され、電気的接点22への方向(前後方向)に弾性変形可能に構成される。
【0055】
電気的接点22の表面には、金メッキを施した受け部材125が装着されたコネクタ126が、同じ金属組成を持つ導電性接着剤(図示せず)により固定されている。受け部材125は、ポゴピンである端子132の受け部材であり、端子132の先端部と対向して配置される。本実施形態においては、受け部材125はコネクタ126に装着されて、コネクタ126を介して電気的接点22に固定されているが、受け部材125は電気的接点22に導電性接着剤で直接固定されてもよい。
【0056】
端子132の無負荷状態での最大突出長が、受け部材125までの距離よりも長く設定されており、設置状態で、端子132は負荷状態で受け部材125に当接して保持され、電気的接点22と電気的に結合される。
【0057】
端子132が電気的接点22方向に付勢された状態で、受け部材125を介して電気的接点22と電気的に結合されるため、電気的な接続が安定する。また、受け部材125が電気的接点22の表面に取付けされることから、電気的接点22が灯室S内に露出せず、電気的接点22の硫化が抑制される。このため、耐久性能が高い。ランプボディ2とランプカバー4の溶着の前工程にて、コネクタ126が電気的接点22に装着され、コネクタハウジング131もランプボディ2の側壁2b内側に取付される。溶着工程にて、ランプボディ2とランプカバー4が組み合わせられると、端子132と受け部材125が対向配置されて、端子132の電気的接点22への付勢力により自然に両者が電気的に結合されるため、電気的な結合の作業は不要で組付けが容易である。
【0058】
図7に示すように、本実施形態においては、受け部材125の端子132との当接面は平面に構成されるが、ポゴピン先端部の曲面形状(半円球形状)に合わせて、曲面状に構成されてもよい。また受け部材125をコネクタ126に突没可能に構成し、受け部材125と端子132の両方に弾性特性を与えると、接続がより安定するため好ましい。
【0059】
本開示の構成は、前照灯に限らず、寒冷地仕様として融雪機能を備えた標識灯や、リアランプなどにも好適である。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 :車両用灯具
2 :ランプボディ
2b :側壁
4 :ランプカバー
21 :発熱部材
22 :電気的接点
30 :給電機構
31 :コネクタハウジング
32 :端子
125 :受け部材
S :灯室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7