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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189263
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/32 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
H02B1/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097757
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中浦 聡
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016CD25
5G016CD26
(57)【要約】
【課題】スイッチギヤのアークスペースの筐体への取付が十分でなく、アークスペースの脱落、破損などが生じる恐れがある。
【解決手段】アークスペースを構成する金属板を、碍子を介して金属ボルトで筐体に締結しているため、アークスペースの絶縁耐力が向上するとともに、充分な締付トルクでアークスペースを筐体に締結することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流遮断器の遮断時に発生するホットガスを盤外に排出するアークスペースを、筐体内に配設したスイッチギヤにおいて、前記アークスペースの側板である金属板を、碍子を介して前記筐体に金属ボルトで固定したことを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項2】
前記金属板は、前部と後部に分けて配設され、前記前部と後部の金属板の間を絶縁板で繋いでいることを特徴とする請求項1に記載のスイッチギヤ。
【請求項3】
前記絶縁板は、前記金属板と金属ボルトで共締めされていることを特徴とする請求項2に記載のスイッチギヤ。
【請求項4】
前記金属板は、前記アークスペースの上側前部と上側後部、下側前部と下側後部に分けて配設され、前記下側前部と前記下側後部の金属板は前記直流遮断器の消弧室周囲に位置しており、前記上側前部と前記上側後部の金属板の間を第1の絶縁板で内側から繋いでいるとともに、前記下側前部と前記下側後部の金属板の間を内側から第2の絶縁板で繋いで形成され、前記第2の絶縁板の面積が前記第1の絶縁板の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のスイッチギヤ。
【請求項5】
前記第1の絶縁板および前記第2の絶縁板は、前記金属板と金属ボルトで共締めされていることを特徴とする請求項4に記載のスイッチギヤ。
【請求項6】
前記金属板の下部に絶縁板が配設されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のスイッチギヤ。
【請求項7】
前記アークスペースの前面の金属板に、碍子を介して制御機器を配置したことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はスイッチギヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
直流遮断器のアークスペースが絶縁板で形成され、この絶縁板を、筐体に取り付ける構造が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。なお、アークスペースを、特許文献1では消弧室3、特許文献2では、アークバリア3と記載しているが、それぞれの文献に、遮断時のアークを消弧するための箱型の大きな空間と説明されており、本願で説明するアークスペースと同じ機能を有するものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-138305号公報
【特許文献2】特開昭59-103504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、スイッチギヤをコンパクトにするため、筐体自体を縮小化する傾向に伴い、アークスペースも縮小化される。このような構成により、直流遮断器の遮断時に、縮小化されたアークスペースを構成する絶縁板が受けるホットガス(高温で導電性を有する気体)の圧力は従来よりも大きくなり、絶縁板が破損する恐れがある。
【0005】
また、特許文献1のように、アングルと引掛金具との係合により、消弧室3を筐体に取り付ける構造、あるいは、特許文献2のように、アングル同士の係合によりアークバリア3を筐体に取り付ける構造では、ホットガスの圧力による振動で、係合が緩む、または係合が外れることにより、消弧室3またはアークバリア3が、脱落あるいは破損する恐れがある。
【0006】
これを防ぐために、絶縁ボルトにより絶縁板で形成されたアークスペースを筐体に固定することも考えられるが、通常の鉄ボルトと比較して絶縁ボルトは強度が低く、充分なトルクで締結できない。そのため、アークスペース内部の圧力上昇により、絶縁ボルト締結部に応力が集中し、絶縁ボルトの緩みまたは破損が生じる恐れがある。
【0007】
本願は上述のような問題を解決するためになされたもので、絶縁耐力が向上するとともに、充分な締付トルクで筐体に締結されたアークスペースを有するスイッチギヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に開示されるスイッチギヤは、直流遮断器の遮断時に発生するホットガスを盤外に排出するアークスペースを、筐体内に配設しており、アークスペースの側板である金属板を、碍子を介して前記筐体に金属ボルトで固定している。
【発明の効果】
【0009】
本願に開示されるスイッチギヤによれば、アークスペースを構成する金属板を碍子を介して金属ボルトで筐体に締結しているため、アークスペースの絶縁耐力が向上するとともに、充分な締付トルクでアークスペースを筐体に締結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係るスイッチギヤの斜視図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】実施の形態1に係るスイッチギヤのアークスペースの構造図である。
図4図1のB-B断面の上部拡大図である。
図5】実施の形態2に係るスイッチギヤのアークスペースの構造図である。
図6】実施の形態3に係るスイッチギヤのアークスペースの構造図である。
図7】実施の形態4に係るスイッチギヤのアークスペースの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1のスイッチギヤの斜視図、図2は、図1のA-A断面図である。
スイッチギヤ100は、筐体1内の区切られた空間に、機器が収納されて構成されている。すなわち、筐体1には、直流遮断器(以下遮断器と称す)2が、紙面手前側に引出し可能に収納され、遮断器2の上部にアークスペース3が筐体1に取り付けられている。
【0012】
アークスペース3は、遮断器2に取り付けられた消弧室21を取囲むように、側面を金属板31a、31b、31c、31d、及び絶縁板32a、32b、正面及び背面を、金属板31e、31f及び絶縁板32c、32dにより構成されている。アークスペース3は、筐体1の天井部まで延び、天井部には排気口が形成された換気塔11が設けられている。遮断器2の背後には、母線導体4、各種ケーブル5が収納されている。
【0013】
遮断器2の前面にはフェースプレート22が取付けられ、遮断器2を引き出すための取っ手、遮断器2を手動で投入させるための手動投入ハンドルを差し込むための孔部、遮断器2本体を試験位置と接続位置との間を移動させるためのハンドルを取り付けるための孔部などが設けられている。
【0014】
図3は、図1のアークスペースの構造図、図4は、図1のB-B断面の上部拡大図である。アークスペース3は、上部側面の前部の金属板31aと上部側面の後部の金属板31bを、帯状の絶縁板32aで繋ぎ、下部側面の前部の金属板31cと下部側面の後部の金属板31dを絶縁板32bで繋ぐことにより、金属板による前後の導電性バリアの絶縁分離を形成し、直流遮断器の再点弧を防止している。
【0015】
アークスペース3の消弧室21のホットガスの噴き出し口周辺は、絶縁板32aよりも面積の大きい、アークスペース前部の絶縁板32b、側部の絶縁板32c、後部の絶縁板32dにより、消弧室21を囲むように形成され、絶縁性を高めている。金属板31c、31dは、絶縁板32bの外側を囲むように重ねて配設され、金属ボルト7で共締めされている。これにより、碍子6を介して筐体1と締結されるのは、金属板となり、絶縁板が直接筐体1と締結されておらず、筐体1への取り付けの際の絶縁板の破損などを防ぐことができる。
【0016】
直流遮断器の遮断直後のアークスペース3は、ホットガスにより、一時的に通電性能を有するため、アークスペース3は、接地されている筐体1に対して中間電位とすることにより、対地間強度を確保している。このため、図4で示すように、筐体1のフレーム8とアークスペース3との間を、碍子6を介して、鉄ボルトなどの金属ボルト7で締結する。これにより、アークスペース3を絶縁支持する碍子6により沿面長を長くし、絶縁耐力を強化できる。
【0017】
金属板31aと金属板31bとを絶縁分離する方法として、柱状の絶縁材を金属板31aと金属板31bとの間に配置し、この柱状の絶縁材を筐体1に固定して形成することも可能である。しかし、柱状の絶縁物の場合、碍子を介して筐体1に固定する構造ではなく、直接、筐体1に柱状の絶縁材を固定することとなる。このため、沿面長が足りず、地絡経路となる恐れがある。
【0018】
以上のように本実施の形態では、図5に示すように、アークスペース3の側板を構成する金属板31a、31b、31c、31dは、破線で囲んだ碍子6を介して筐体1に固定されるため、アークスペース3と筐体との間の絶縁耐力に差が生じる箇所がなく、均一に絶縁耐力を強化することができる。さらに、金属板31aと金属板31bとを絶縁板32aで繋ぎ、金属板31cと金属板31dとを絶縁板32bで繋いでいるため、導電性バリアの絶縁分離を確実に形成できる。さらに、金属板31a、31b、31c、31dは、碍子6を介して金属ボルト7で筐体1に固定するため、アークスペース3内の圧力上昇によるボルトの緩みあるいは破損が発生しない程度に充分な締付トルクでの締結が可能となる。なお、金属板31a、31b、と絶縁板32a、または金属板31c、31d、と絶縁板32bは金属ボルト7で共締めしているが、これに限るものではない。
【0019】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係るスイッチギヤ100のアークスペース3aを示す斜視図である。実施の形態1のアークスペース3と同じ構成の箇所は説明を省略する。
実施の形態1において、絶縁板32bは、絶縁性を高めるために、遮断器2の上部の周囲に配設されているが、帯状の絶縁板32aをアークスペース3aの上部から下部まで配設し、絶縁板32aに金属板31a、31b、金属板31c、31d、金属板31g、31hを絶縁板32aと繋ぐことにより絶縁分離を行ってもよい。これにより、使用する絶縁板の面積を減らすことができ、コストの削減を図ることができる。
【0020】
金属板31g、31hは、実施の形態1の絶縁板32bと同様に、遮断器2の上部のみを覆うように構成してもよく、ホットガスが筐体1内のアークスペースの外に放出するのを確実に防ぐように遮断器2の側面の上部から下部までを覆うように構成してもよい。特に遮断器2にフィンが取り付けられている場合に有効である。
【0021】
実施の形態3.
図7は、実施の形態3に係るスイッチギヤ100のアークスペース3bを示す斜視図である。絶縁板32d以外は実施の形態1と同じ構成である。実施の形態2のように金属板31g、31hを帯状の絶縁板32aで繋ぐ構造物により遮断器2の側部を覆うよりも、2枚の絶縁板32dにより遮断器2の側部を覆うことで、構成も簡素化でき、部品点数を削減できるとともに、絶縁性を向上させることが可能となる。
【0022】
実施の形態4.
図8は、実施の形態4に係るスイッチギヤ100のアークスペース3cを示す斜視図である。構造は、実施の形態2と同様、帯状の絶縁板32aをアークスペース3aの上部から下部まで配設し、絶縁板32aに金属板31a、31b、金属板31c、31d、金属板31g、31hを絶縁板32aと繋ぐことにより絶縁分離を行っている。これに加え、前面の金属板31eに碍子を介してフレームを取り付け、その上に制御盤を配設している。これにより、スイッチギヤの小型化により、制御室に配置できなくなった制御盤の一部の制御機器(例えばリレー9等)を、アークスペースの前面に配設することが可能となる。
【0023】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0024】
1:筐体、2:直流遮断器、3、3a、3b、3c:アークスペース、4:母線導体、5:ケーブル、6:碍子、7:金属ボルト、8:フレーム、9:リレー、31a、31b、31c、31d、31e、31f、31g、31h:金属板、32a、32b、32c、32d:絶縁板、100:スイッチギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7