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特開2022-189269情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189269
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097764
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松永 悠
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】ケアスタッフの対応状況に関する情報を出力可能な情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法を提供する。
【解決手段】管理サーバー20は、ケア対象者のイベントの発生時刻に関する情報を含むイベント情報を取得する第1取得部と、ケア対象者のイベントに対応するスタッフが、所定地点に到達する到達時刻に関する情報を含むケア情報を取得する第2取得部と、イベント情報と、ケア情報とに基づいて、スタッフの駆け付け所要時間に関する情報を出力する出力部とを含んでいる。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケア対象者のイベントの発生時刻に関する情報を含むイベント情報を取得する第1取得部と、
前記ケア対象者の前記イベントに対応するスタッフが、所定地点に到達する到達時刻に関する情報を含むケア情報を取得する第2取得部と、
前記イベント情報と、前記ケア情報とに基づいて、前記スタッフの駆け付け所要時間に関する情報を出力する出力部と
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記イベントの発生時刻は、イベントへの対応を行う旨の入力時刻を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定地点に到達する到達時刻に関する情報は、画像に基いて取得される情報を含む、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記到達時刻は、前記スタッフが前記ケア対象者の居室に入室する時刻である、請求項1~3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記イベントは、前記ケア対象者の起床、離床、転倒、転落および居室からの退室の少なくともいずれか一つを含む、請求項1~4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記スタッフ毎または前記ケア対象者毎に前記駆け付け所要時間に関する情報を出力する、請求項1~5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記イベントは、前記ケア対象者の起床および離床を含み、
前記出力部は、前記駆け付け所要時間に関する情報を、前記ケア対象者の起床から離床までに要する離床所要時間に関する情報と関連付けて出力する、請求項1~6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1取得部は、前記ケア対象者の前記イベントを検出する第1検出部からの情報に基づいて、前記イベント情報を取得する、請求項1~7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記イベントの発生時刻は、前記第1検出部により前記イベントが検出された時刻または、前記スタッフの使用するスタッフ端末に前記イベントが通知された時刻である、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2取得部は、所定地点への前記スタッフの到達を検出する第2検出部からの情報に基づいて、前記ケア情報を取得する、請求項1~9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の情報処理装置と、
前記ケア対象者の前記イベントを検出する第1検出部と、
前記スタッフの所定地点への前記スタッフの到達を検出する第2検出部と
を備える、情報処理システム。
【請求項12】
前記第1検出部は、前記ケア対象者の前記イベントを検出するセンサーおよび前記ケア対象者が前記スタッフに前記イベントを知らせるためのケアコール部の少なくとも一方を含む、請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
ケア対象者のイベントの発生時刻に関する情報を含むイベント情報を取得するステップ(a)と、
前記ケア対象者の前記イベントに対応するスタッフが、所定地点に到達する到達時刻に関する情報を含むケア情報を取得するステップ(b)と、
前記イベント情報と、前記ケア情報とに基づいて、前記スタッフの駆け付け所要時間に関する情報を出力するステップ(c)と
を含む処理をコンピューターに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項14】
ケア対象者のイベントの発生時刻に関する情報を含むイベント情報を取得するステップ(a)と、
前記ケア対象者の前記イベントに対応するスタッフが、所定地点に到達する到達時刻に関する情報を含むケア情報を取得するステップ(b)と、
前記イベント情報と、前記ケア情報とに基づいて、前記スタッフの駆け付け所要時間に関する情報を出力するステップ(c)と
を含む情報処理システムの制御方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢等により、介護や看護等を必要とする要介護者および要看護者等(以下、「ケア対象者」と称する)の増加が想定される。病院や老人福祉施設等の施設(以下、単に「施設」と称する)では、介護士や看護師等(以下、「ケアスタッフ」と称する)によってケア対象者へのケア等の対応が行われている(たとえば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-205847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような施設では、ケアスタッフの対応状況が容易に把握されることが望ましい。例えば、各ケアスタッフがケア対象者に対応するまでの所要時間を把握することにより、より適切なケアを行うための改善点を見出すことが可能となる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ケアスタッフの対応状況に関する情報を出力可能な情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0007】
(1)ケア対象者のイベントの発生時刻に関する情報を含むイベント情報を取得する第1取得部と、前記ケア対象者の前記イベントに対応するスタッフが、所定地点に到達する到達時刻に関する情報を含むケア情報を取得する第2取得部と、前記イベント情報と、前記ケア情報とに基づいて、前記スタッフの駆け付け所要時間に関する情報を出力する出力部とを備える、情報処理装置。
【0008】
(2)前記イベントの発生時刻は、イベントへの対応を行う旨の入力時刻を含む、上記(1)に記載の情報処理装置。
【0009】
(3)前記所定地点に到達する到達時刻に関する情報は、画像に基いて取得される情報を含む、上記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
【0010】
(4)前記到達時刻は、前記スタッフが前記ケア対象者の居室に入室する時刻である、上記(1)~(3)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0011】
(5)前記イベントは、前記ケア対象者の起床、離床、転倒、転落および居室からの退室の少なくともいずれか一つを含む、上記(1)~(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0012】
(6)前記出力部は、前記スタッフ毎または前記ケア対象者毎に前記対応所要時間に関する情報を出力する、上記(1)~(5)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0013】
(7)前記イベントは、前記ケア対象者の起床および離床を含み、前記出力部は、前記対応所要時間に関する情報を、前記ケア対象者の起床から離床までに要する離床所要時間に関する情報と関連付けて出力する、上記(1)~(6)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0014】
(8)前記第1取得部は、前記ケア対象者の前記イベントを検出する第1検出部からの情報に基づいて、前記イベント情報を取得する、上記(1)~(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0015】
(9)前記イベントの発生時刻は、前記第1検出部により前記イベントが検出された時刻または、前記スタッフの使用するスタッフ端末に前記イベントが通知された時刻である、上記(8)に記載の情報処理装置。
【0016】
(10)前記第2取得部は、所定地点への前記スタッフの到達を検出する第2検出部からの情報に基づいて、前記ケア情報を取得する、上記(1)~(9)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0017】
(11)上記(1)~(10)のいずれかに記載の情報処理装置と、前記ケア対象者の前記イベントを検出する第1検出部と、前記スタッフの所定地点への前記スタッフの到達を検出する第2検出部とを備える、情報処理システム。
【0018】
(12)前記第1検出部は、前記ケア対象者の前記イベントを検出するセンサーおよび前記ケア対象者が前記スタッフに前記イベントを知らせるためのケアコール部の少なくとも一方を含む、上記(11)に記載の情報処理システム。
【0019】
(13)ケア対象者のイベントの発生時刻に関する情報を含むイベント情報を取得するステップ(a)と、前記ケア対象者の前記イベントに対応するスタッフが、所定地点に到達する到達時刻に関する情報を含むケア情報を取得するステップ(b)と、前記イベント情報と、前記ケア情報とに基づいて、前記スタッフの駆け付け所要時間に関する情報を出力するステップ(c)とを含む処理をコンピューターに実行させるための情報処理プログラム。
【0020】
(12)ケア対象者のイベントの発生時刻に関する情報を含むイベント情報を取得するステップ(a)と、前記ケア対象者の前記イベントに対応するスタッフが、所定地点に到達する到達時刻に関する情報を含むケア情報を取得するステップ(b)と、前記イベント情報と、前記ケア情報とに基づいて、前記スタッフの駆け付け所要時間に関する情報を出力するステップ(c)とを含む情報処理システムの制御方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ケア対象者のイベントの発生時刻から対応スタッフが所定地点に到達する到達時刻までのスタッフの駆け付け所要時間に関する情報が出力される。したがって、ケアスタッフの対応状況に関する情報を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態に係る見守りシステムの全体構成を例示する図である。
図2】ケア対象者の居室のベッド周辺に設置された検出部を例示する模式図である。
図3図1に示す検出部の概略構成を例示するブロック図である。
図4図1に示す管理サーバーの概略構成を例示するブロック図である。
図5図1に示す情報管理者端末の概略構成を示すブロック図である。
図6図1に示すスタッフ端末の概略構成を示すブロック図である。
図7図4に示す制御部の主要な機能を例示する機能ブロック図である。
図8図7に示す第1取得部および第2取得部により取得されるイベント情報およびケア情報の一例である。
図9図7に示す出力部により出力される駆け付け所要時間に関する情報の一例である。
図10図7に示す出力部により出力される駆け付け所要時間に関する情報の他の例である。
図11図7に示す出力部により出力される駆け付け所要時間に関する情報のその他の例である。
図12図7に示す出力部により出力される駆け付け所要時間に関する情報のその他の例である。
図13】一実施形態に係る情報処理方法の処理手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
図1は一実施形態に係る見守りシステム1(情報処理システム)の全体構成を例示する図であり、図2はケア対象者の居室のベッド周辺に設置された検出部を例示する模式図である。
【0025】
図1に示すように、見守りシステム1は、複数の検出部10、管理サーバー20、情報管理者端末30、および1つ以上のスタッフ端末40を含んでいる。これらは、有線や無線によって、LAN(Local Area Network)、電話網またはデータ通信網等のネットワーク50を介して、相互に通信可能に接続される。ネットワーク50は、通信信号を中継するリピーター、ブリッジ、ルーターまたはクロスコネクト等の中継機を備えてもよい。図1に示す例では、検出部10、管理サーバー20、情報管理者端末30、およびスタッフ端末40は相互に、アクセスポイント51を含む無線LAN等(例えばIEEE802.11規格に従ったLAN)のネットワーク50によって、通信可能に接続されている。
【0026】
見守りシステム1は、ケア対象者70に応じて適宜な場所に配設される。ケア対象者70は、例えば、病気や怪我等によって看護を必要とする患者、高齢による身体能力の低下等によって介護を必要とする被介護者、または一人暮らしの独居者等である。特に、早期発見および早期対処を可能にする観点から、ケア対象者70は、例えば異常状態等の所定の不都合な事象がその者に生じた場合に、その発見を必要としている者であり得る。このため、見守りシステム1は、ケア対象者70の種類に応じて、病院、老人福祉施設および住戸等の建物に好適に配設される。図1に示す例では、見守りシステム1は、複数のケア対象者70が入居する複数の部屋(居室)やケアステーションを含む複数の部屋を備える施設に配置されている。
【0027】
検出部10は、ケア対象者70の観察領域であるそれぞれの居室に配置される。図1に示す例では、4つの検出部10がケア対象者70であるAさん、Bさん、CさんおよびDさんの居室にそれぞれ配置されている。図2に示すように、検出部10の観察領域にはベッド60が含まれている。ケア対象者70に対して看護または介護等の対応(ケア)を行うケアスタッフ(スタッフ)80は、それぞれ携帯端末であるスタッフ端末40を持ち歩いている。ただし、見守りシステム1が備える各構成の位置や個数等は、図1に示す例に限定されない。例えば、管理サーバー20は、ケアステーションに配置されなくてもよく、ネットワーク50に接続されている外部のサーバーユニットであってもよい。
【0028】
また、ケアには、ケア対象者70に対してケアスタッフ80が行うケアを広く含み、例えば食事、水分摂取、排泄、入浴、掃除等の生活介助、およびバイタルチェック(体温、血圧、脈拍等の測定)を含む。
【0029】
(検出部10)
図3は、検出部の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、検出部10は、制御部11、通信部12、カメラ13、ケアコール部14、音声入出力部15および一時停止スイッチ16を含んでおり、これらはバスによって、相互に接続されている。ここでは、検出部10が、本発明の第1検出部および第2検出部の一具体例に対応する。
【0030】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、等のメモリーにより構成され、プログラムにしたがって検出部10の各部の制御および演算処理を行う。なお、制御部11は、メモリーとして、さらにHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)を備えてもよい。
【0031】
通信部12は、ネットワーク50を介して、例えば、管理サーバー20、情報管理者端末30またはスタッフ端末40等の、他の装置と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード等)である。
【0032】
カメラ13は、例えば居室の天井、または壁の上部に配置され、観察領域として真下にあるケア対象者70のベッド60を撮影し、撮影画像(画像データ)を出力する。この撮影画像には、静止画および動画を含む。カメラ13は近赤外線カメラであるが、これに換えて可視光カメラを用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0033】
制御部11は、カメラ13が撮影した撮影画像から、ケア対象者70の行動を認識する。この認識する行動には、ベッド60から起き上がる「起床」、ベッド60から離れる「離床」、床面等に転倒する「転倒」、ベッド60または車椅子等から落ちる「転落」および居室から退室する「退室」等が含まれる。
【0034】
制御部11は、複数の撮影画像(動画像)から画像のシルエット(以下、「人シルエット」と称する)を検出する。人シルエットは、例えば、撮影時刻が前後する画像を差分する時間差分により差分が相対的に大きい画素の範囲を抽出することで検出され得る。人シルエットは、撮影画像から背景画像を差分する背景差分法により検出されてもよい。起床、離床、転倒の認識は、検出した人シルエットからケア対象者70の姿勢(例えば立位、座位、横臥等)、およびベッド60等の居室内の設置物との相対的な位置から起床、離床および転倒(転落)の別を認識する。これらの認識は、制御部11のCPUが処理するプログラムにより行ってもよく、組み込み型の処理回路により行うようにしてもよい。
【0035】
本実施形態においては、ケア対象者70に関する検出部10が認識した状態の変化であって、起床、離床、転倒、転落、居室からの退室および微体動異常、などのケアスタッフ80に発報(報知)を行うべき事象をイベントと称する。またこのイベントには、ケアコール部14によるケアコールが含まれる。すなわち、検出部10は、観察領域におけるケア対象者70の動きとして、ケア対象者70によるケアコールを検出してもよい。検出部10は、生じたイベントに関する情報を管理サーバー20に送信する。
【0036】
ここで、ケアスタッフ80の業務が、ケア対象者70に対する介護業務である場合に、各イベントに関する対応内容について説明する。検出部10が、イベントとして「起床」を判定し、その判定が所定時間内(施設で設定された起床時間(例えば午前7~8時))であれば、ケアスタッフ80はケア対象者70にモーニングケアを行う。このモーニングケアには、洗顔、歯磨き介助、義歯装着、着替え介助等が含まれる。また、「離床」のイベントであれば、車椅子移乗、歩行介助が必要となる場合がある。また、検出部10が判定したイベント以外の定期的(定時)なイベントとして、飲料、および食事介助、排泄介助、車椅子移乗、歩行介助、体位変換(褥瘡予防)がある。これらの定期的イベントは、ケアコール部14等により、定時になるとアラートを発生させるようにしてもよい。
【0037】
ケアコール部14は、押しボタン式のスイッチを含み、スイッチがケア対象者70によって押されることでケアコール(ナースコール)を検出する。押しボタン式のスイッチに換えて、音声マイクによりケアコールを検出してもよい。ケアコール部14のスイッチが押された場合、すなわち、ケアコールを検出した場合、制御部11は、通信部12およびネットワーク50を介して、ケアコールがあった旨の通知を管理サーバー20等に送信する。
【0038】
音声入出力部15は、例えばスピーカーとマイクであり、通信部12を介して情報管理者端末30との間で音声信号を送受信することで音声通話を可能とする。なお、音声入出力部15は検出部10の外部装置として、通信部12を介して検出部10に接続されてもよい。
【0039】
一時停止スイッチ16は、例えば、居室の出入口付近に配置される。この一時停止スイッチ16は、例えば、押しボタン式のスイッチを含み、ケアスタッフ80等が居室内に入る際に、このスイッチを操作することで、検出部10によるイベントの判定が一時的に停止される。検出部10によるイベントの判定は、例えば、再度、一時停止スイッチ16が操作されることで再開される。検出部10によるイベントの判定は、所定時間経過後に自動的に再開されるようにしてもよい。
【0040】
一時停止スイッチ16には、押しボタン式のスイッチに代えて、あるいは、押しボタン式のスイッチとともに、FeliCa(登録商標)等のNFC(近距離無線通信)方式のセンサーを用いてもよい。この一時停止スイッチ16では、例えば、ケアスタッフ80が所持するICカードを、居室の出入口に配置された読取端末にかざすことで、ON/OFFがなされる。
【0041】
また、検出部10は、ベッド60に対してマイクロ波を送受信してケア対象者70の体動(例えば呼吸動)によって生じたマイクロ波のドップラシフトを検出するドップラシフト方式の体動センサーを、さらに含んでいてもよい。この体動センサーにより、ケア対象者70の呼吸動作に伴う胸部の体動(胸部の上下動)を検出し、その胸部の体動における周期の乱れや予め設定された閾値以下である前記胸部の体動における振幅を検知すると、微体動異常であると認識する。検出部10は、ベッド60にかかる圧力を検出してケア対象者70の動きを検出する圧力センサーまたは赤外線によってケア対象者70の動きを検出する赤外線センサー等を、さらに含んでいてもよい。あるいは、検出部10は、カメラ13に代えて、ドップラシフト方式の体動センサー、圧力センサーまたは赤外線センサー等を有していてもよい。
【0042】
(管理サーバー20)
図4は、管理サーバー20の概略構成を示すブロック図である。管理サーバー20は、制御部21、通信部22、およびデータベース23を有し、情報処理装置として機能する。この管理サーバー20は、ケア対象者70用の居室と同じ建物内に設けられてもよく、遠隔地に設けられてネットワークを介して接続可能であってもよい。例えば、管理サーバー20は、インターネット等のネットワーク上に配置された複数のサーバーによって仮想的に構築されるクラウドサーバーであってもよい。各構成は、バスによって、相互に通信可能に接続されている。
【0043】
制御部21は、検出部10の制御部11と同様に、CPU、RAMおよびROM等を有している。制御部21の機能については、後述する。
【0044】
通信部22は、情報管理者端末30またはスタッフ端末40にイベントの通知を行う通知部として機能する。また、通信部22は、検出部10等から状態情報を取得する。この通信部22は、イーサーネット(登録商標)等の規格による有線通信のネットワークインターフェースまたは、Bluetooth(登録商標)およびIEEE802.11等の規格による無線通信のインターフェース等の各種ローカル接続向けのインターフェースであり、ネットワーク50に接続した各端末との通信を行う。
【0045】
データベース23は、記憶部として機能し、イベントリスト、ケア対象者70に関する情報、ケアスタッフ80に関する情報およびケア記録等を記憶する。
【0046】
イベントリストには、ケア対象者70の事故に繋がる可能性がある所定のイベント(例えば転落、転倒のイベント)を含む各種のイベントに関する情報が含まれる。ケア対象者70に関する情報には、例えば、ケア対象者70の氏名、生年月日、ID番号、部屋番号、普段の食事の量、食事以外の水分の摂取量、既往症、要介護度、現在の通院状況等の情報が含まれる。ケアスタッフ80に関する情報には、例えば、ケアスタッフ80の氏名、スタッフID、生年月日、勤続年数(キャリア年数)、ケアに関するスキルレベル等の情報が含まれる。
【0047】
ケア記録は、施設のケア対象者70に対するケアに関する情報を記録した文書である。例えば、ケアスタッフ80は、各々のケア対象者70について用意された介護計画書に基づいて、ケア対象者70に対して、食事、水分摂取、排泄、入浴、掃除等の各種の生活介助、およびバイタルチェック(体温、血圧、脈拍等の測定)を行う。ケアスタッフ80がケア対象者70に対して行った介助やバイタルチェック等のケア、およびケア対象者70の行動や様子は、ケア記録に記録される。ケア記録は、ケア対象者70に対するケアの情報がケアスタッフ80により入力されることにより更新される。ケア記録の入力は、例えば、スタッフ端末40の入力部44を通じて行われる。
【0048】
管理サーバー20は、単独で、または検出部10と協働することで、検出部10が検出した、起床、離床、転倒、ケアコール等のイベントが、どのケア対象者70に関するものであるかを判定(識別)する。この判定は、イベントを検出した検出部10が設置されている部屋番号から、これに対応付けられているケア対象者70(すなわち、部屋の入居者)を判定する。そして、判定したイベントの種類とケア対象者70とを関連付けてデータベース23のイベントリストに追加する。なお、本実施形態では、ケア対象者70の判定は、ケア対象者70がICタグを携帯している場合には、このICタグを各部屋に設けたRFIDリーダーで読み取ることにより、判定してもよい。なお、相部屋等で、1つの部屋に複数のケア対象者70が存在する場合には、ベッド60毎に検出部10を配置することで、ケア対象者70を判定してもよい。
【0049】
(情報管理者端末30)
図5は、情報管理者端末30の概略構成を示すブロック図である。情報管理者端末30は、いわゆるPC(Personal Computer)であり、制御部31、通信部32、表示部33、入力部34、および音声入出力部35を備え、これらはバスにより相互に接続される。制御部31は、検出部10の制御部11と同様の構成として、CPU、RAM、ROM等を備える。
【0050】
通信部32は、イーサネット(登録商標)等の規格による有線通信のネットワークインターフェースや、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の規格による無線通信のインターフェース等の各種ローカル接続向けのインターフェースであり、ネットワーク50に接続した各端末との通信を行う。
【0051】
表示部33は、例えば液晶ディスプレイであり、各種情報を表示する。表示部33は、例えば、検出部10による撮影画像を表示する。
【0052】
入力部34は、キーボード、テンキー、マウス等を備えており、各種情報の入力を行う。
【0053】
音声入出力部35は、例えばスピーカーとマイクを備えたヘッドセットである。
【0054】
情報管理者端末30は、例えば、情報管理者90用の端末として用いられ、情報管理者90へ施設内の各種情報を表示し、指示を受け付ける。また、通信部32を介して検出部10またはスタッフ端末40との間で音声信号を送受信することでケアスタッフ80等との音声通話を可能にする。ここで、情報管理者90は、複数のケアスタッフ80を統括する管理者である。情報管理者90は1つの施設だけでなく、複数の施設で働くケアスタッフ80を統括的に管理するようにしてもよい。
【0055】
また、ケアスタッフ80または技術スタッフ等は、情報管理者端末30を通じて、検出部10を各部屋(居室)に取り付けたときに、部屋番号と検出部10の対応付けをしたり、ベッド60等の居室内の設置物の位置情報、すなわち、天井のカメラ13による上方視の輪郭情報の校正、指定を行ったりする。また、入院または入居しているケア対象者70の氏名、ID番号等の識別情報と、各部屋番号との対応付けも行う。
【0056】
(スタッフ端末40)
図6は、スタッフ端末40の概略構成を示すブロック図である。スタッフ端末40は、制御部41、無線通信部42、表示部43、入力部44、および音声入出力部45を含んでおり、これらはバスにより相互に接続される。
【0057】
制御部41は、検出部10の制御部11と同様の構成として、CPU、RAM、ROM等を有している。
【0058】
無線通信部42により、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)等の規格を用いた無線通信が可能であり、アクセスポイント51を経由して、または直接的に各装置と無線通信する。
【0059】
表示部43、および入力部44は、タッチパネルであり、液晶等で構成される表示部43の表示面に、入力部44としてのタッチセンサーを重畳させたものである。表示部43、入力部44によって、ケアスタッフ80に対して、イベントリストに含まれる複数のイベントを一覧表示した各種の操作画面を表示したり、操作画面を通じて各種の操作を受け付けたりする。また、表示部43は、管理サーバー20の通信部22によって通知された、ケア対象者70の行動内容、および通知内容を表示する。検出部10によりケア対象者70のイベントが検出されると、管理サーバー20を介してスタッフ端末40にこのイベントに関するイベントの情報が通知される。イベントの情報は、全てのケアスタッフ80のスタッフ端末40に通知されてもよく、所定のグループに属するケアスタッフ80のスタッフ端末40に通知されてもよい。また、ケアスタッフ80は、ケア対象者70に対してケアを行った場合、入力部44を通じて、ケア対象者70に対するケアに関する情報をケア記録に入力する。
【0060】
音声入出力部45は、例えばスピーカーとマイクであり、無線通信部42を介して他のスタッフ端末40との間でケアスタッフ80による音声通話を可能にする。スタッフ端末40は、見守りシステム1のユーザーインターフェースとして機能する機器であり、例えば、タブレット型コンピューター、スマートフォンまたは携帯電話等の、持ち運び可能な通信端末機器によって構成できる。
【0061】
ケアスタッフ80は、業務開始時に、割り当てられたスタッフ端末40を通じて、ログイン認証処理を行う。ケアスタッフ80は、スタッフ端末40のタッチパネル(表示部43、入力部44)を通じて、スタッフID、パスワードを入力し、これを管理サーバー20に送信する。管理サーバー20は、データベース23に記憶している認証情報を突き合わせ、ケアスタッフ80の権限に応じた認証結果をスタッフ端末40に送信することで、ログイン認証が終了する。
【0062】
また、スタッフ端末40は、GPS(Global Positioning System)やBluetooth等を使用して、スタッフ端末40がある位置を特定する機能を有する。これにより、管理サーバー20は、スタッフ端末40を携帯しているケアスタッフ80がいる位置を特定できる。
【0063】
なお、検出部10、管理サーバー20、情報管理者端末30およびスタッフ端末40は、上記の構成要素以外の構成要素を含んでもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部を含まなくてもよい。
【0064】
(制御部21の機能)
ここで、管理サーバー20の制御部21の機能について説明する。
【0065】
図7は、制御部21の機能の一例を表すブロック図である。制御部21は、例えば、CPUが情報処理プログラムを実行することにより、第1取得部211、第2取得部212、算出部213および出力部214として機能する。
【0066】
第1取得部211は、ケア対象者70のイベントの発生時刻に関する情報を含むイベント情報を取得する。イベントの発生時刻とは、例えば、検出部10によりケア対象者70に関するイベントが検知された時刻であってもよく、管理サーバー20からスタッフ端末40にイベントに関する情報が通知された時刻であってもよく、スタッフ端末40にケア対象者70への対応指示が通知された時刻であってもよく、スタッフ端末40から所定の入力がされた時刻であってもよい。スタッフ端末40からの所定の入力がされた時刻は、入力による時刻であってもよく、通知を受け取ったケアスタッフ80がイベントへの対応を行う旨の入力時刻(自分が担当する、対応する、確認する等の入力時刻)であってもよい。イベントの発生時刻は、イベントへの対応を行う旨の入力時刻(自分が担当する、対応する、確認する等の入力時刻)であることが、より適切なケアを行うための改善点を見出す観点から好ましい。第1取得部211は、例えば、検出部10から通信部22を介してイベント情報を取得する。第1取得部211は、全てのイベントのイベント情報を取得してもよく、特定のイベントのイベント情報を取得してもよい。
【0067】
第2取得部212は、各イベントに対応するケアスタッフ80が、イベントの発生に基づいて移動し、所定地点に到達する到達時刻に関する情報を含むケア情報を取得する。所定地点に到達する到達時刻は、ケアスタッフ80の所定地点への到達時刻(到着時刻)であってもよく、ケアスタッフ80の所定地点における時刻であってもよい。
【0068】
所定地点は例えば、ケア対象者70の居室であってもよく、ケア対象者70とケアスタッフ80との所定の距離となった地点であってもよい。到達時刻は例えば、この居室にケアスタッフ80の入室時刻であってもよく、ケア対象者70とケアスタッフ80とが所定の距離内になった時刻であってもよい。所定地点に到達する到達時刻に関する情報は、画像に基いて取得される情報であることが、より適切なケアを行うための改善点を見出す観点から好ましい。
【0069】
制御部21は、例えば検出部10によりケア対象者70の居室内に複数人が存在することが検出されたとき、ケアスタッフ80がケア対象者70の居室に入室したと判定する。居室内に複数人が存在することは、例えば、検出部10のカメラ13の画像に基づいて検出される。制御部21は、検出部10の一時停止スイッチ16が操作されたとき、ケアスタッフ80がケア対象者70の居室に入室したと判定してもよい。換言すれば、到達時刻は、検出部10のカメラ13の画像に基づき、居室内に複数人が存在することが検出された時刻または一時停止スイッチ16が操作された時刻であってもよい。あるいは、ケア対象者70とケアスタッフ80とが所定の距離内になったことが、センサー等により検知された時刻が到達時刻であってもよい。第2取得部212は、例えば、検出部10からケア情報を取得する。
【0070】
図8は、第1取得部211により取得されるイベント情報および第2取得部212により取得されるケア情報の一例を表している。例えば、図8に示したイベント情報およびケア情報は、5月1日10時30分24秒(イベントの発生時刻)に、201号室のケア対象者Aさんの起床が検知または通知され、これに対応するため、ケアスタッフXが5月1日10時30分55秒(ケアスタッフ80の到達時刻)に201号室に入室したことを表している。また、5月1日11時20分00秒(イベントの発生時刻)に、203号室のケア対象者Cさんのケアコールが検知または通知され、これに対応するため、ケアスタッフYが5月1日11時21分34秒(ケアスタッフ80の到達時刻)に203号室に入室したことを表している。
【0071】
算出部213は、第1取得部211により取得されたイベント情報と、第2取得部212により取得されたケア情報とに基づいて、イベントの発生時刻からケアスタッフ80が所定地点に到達する到達時刻までのケアスタッフ80の駆け付け所要時間を算出する。駆け付け所要時間は、例えば、イベントの発生時刻から、このイベントに対応するためにケアスタッフ80がケア対象者70の居室に入室するまでの時間である。例えば、第1取得部211および第2取得部212が、図8に示したイベント情報およびケア情報を取得したとき、算出部213は、ケア対象者AさんへのケアスタッフXの駆け付け所要時間を31秒、ケア対象者CさんへのケアスタッフYの駆け付け所要時間を94秒と算出する。
【0072】
出力部214は、例えば、算出部213により算出されたケアスタッフ80の駆け付け所要時間に関する情報を出力する。
【0073】
図9および図10は、出力部214により出力される情報の一例を表している。出力部214は、例えば、各ケアスタッフ80と各ケア対象者70とのそれぞれの組み合わせについて、所定期間における駆け付け所要時間の平均値を出力する。出力部214は、表形式で駆け付け所要時間に関する情報を出力してもよく(図9)、棒グラフ等のグラフ形式で駆け付け所要時間に関する情報を出力してもよい(図10)。出力部214は、ケアスタッフ80毎に駆け付け所要時間に関する情報を出力してもよい(図10)。施設では、このようなケアスタッフ80の駆け付け所要時間に関する情報から、例えば、他のケアスタッフ80に比べて、特定のケアスタッフ80(ケアスタッフZ)の駆け付け所要時間が長くなっていることを把握することができる。
【0074】
図11は、出力部214により出力される情報の他の例を表している。出力部214は、駆け付け所要時間に関する情報を、ケア対象者70の起床から離床までに要する離床所要時間に関する情報と関連付けて出力してもよい。図11では、ケア対象者70毎に、ケアスタッフ80の駆け付け所要時間およびケア対象者70の離床所要時間が箱ひげ図で表されている。施設では、このように出力された情報から、例えば、ケア対象者のDさんについて、離床所要時間に比べて駆け付け所要時間が長くなる傾向があることが確認できる。これにより、施設の管理者等は、例えば、離床の際のケアが間に合わずにDさんが転倒するリスクを把握することができる。
【0075】
出力部214は、第1取得部211により取得されたイベント情報および第2取得部212により取得されたケア情報に基づいて、制御部21により解析された情報を出力してもよい。
【0076】
図12は、出力部214により出力される情報のその例を表している。図12は、ケア対象者70の離床前に、ケアスタッフ80がケア対象者70の居室に入室した回数およびその割合が示されている。割合(%)は、離床前に入室した回数を、離床前に入室した回数および離床後に入室した回数の和で除したものである。制御部21は、例えば、第1取得部211により取得されたケア対象者70の離床の時刻に関する情報と、第2取得部212により取得されたケアスタッフ80が居室に入室した時刻に関する情報とを比較して、ケア対象者70が離床する前に、ケアスタッフ80がケア対象者70の居室に入室したか否かを判定する。制御部21は、ケアスタッフ80の駆け付け所要時間とケア対象者70の離床所要時間との比較に基づいて、ケア対象者70の離床前に、ケアスタッフ80がケア対象者70の居室に入室したか否かを判定してもよい。施設では、このような情報から、例えば、ケア対象者のBさんについて、離床前のケアスタッフ80の入室の割合が低いことを把握することができる。
【0077】
(情報処理方法)
次に、図13を参照して、本実施形態の情報処理方法の処理手順の概要について説明する。図13は、本実施形態の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。同図のフローチャートの処理は、例えば、制御部21のCPUが情報処理プログラムを実行することにより実現される。
【0078】
制御部21は、まず、各ケア対象者70のイベント情報を取得する(ステップS101)。制御部21は、たとえば、検出部10からイベント情報を取得する。このイベント情報には、ケア対象者70のイベントの発生時刻に関する情報が含まれている。取得されたイベント情報は、例えば、制御部21のRAMに保存される。
【0079】
次に、制御部21はケア情報を取得する(ステップS102)。制御部21は、たとえば、検出部10からケア情報を取得する。このケア情報には、各ケア対象者70のイベントに対応するケアスタッフ80が、イベントの発生に基づいて移動し、所定地点に到達する到達時刻(例えば、ケア対象者70の居室への入室時刻)に関する情報が含まれている。取得されたケア情報は、例えば、制御部21のRAMに保存される。ステップS101およびステップS102は、その順序が逆であってもよく、同時になされてもよい。
【0080】
次に、制御部21はステップS101で取得されたイベント情報およびステップS102で取得されたケア情報に基づいて、ケアスタッフ80の駆け付け所要時間を算出する(ステップS103)。駆け付け所要時間は、ケア対象者70のイベントの発生時刻からケアスタッフ80の到達時刻までの時間である。例えば、制御部21は、ケア対象者70の起床が検知または通知された時刻から、ケアスタッフ80がモーニングケアを行うためにケア対象者70の居室に入室する時刻までの所要時間を算出する。算出された所要時間に関する情報は、例えば、制御部21のRAMに保存される。
【0081】
制御部21は、駆け付け所要時間を算出した後、駆け付け所要時間に関する情報を出力して(ステップS104)処理を終了する。
【0082】
(見守りシステムの作用効果)
本実施形態の見守りシステム1(管理サーバー20)では、ケア対象者70のイベントの発生時刻からこのイベントに対応するケアスタッフ80が所定地点に到達する到達時刻までのケアスタッフ80の駆け付け所要時間に関する情報が出力される。即ち、ケアスタッフ80の対応状況に関する情報が出力される。これにより、施設では、ケアスタッフ80の対応状況を容易に把握することができるので、より適切なケアを行うための効果的な改善策を立てることが可能となる。
【0083】
例えば、見守りシステムが駆け付け所要時間を算出しない場合、施設の管理者等が各ケアスタッフの対応状況を効率的に把握することは困難である。例えば、イベント発生時にケア対象者のもとに駆け付けるまでの時間がケアスタッフによってばらついていることを管理者等が感じていたとしても、感覚的な判断では効果的な改善策を立てることは困難である。
【0084】
これに対し、見守りシステム1では、各ケアスタッフ80の駆け付け所要時間に関する情報が出力される。したがって、施設の管理者等は、各ケアスタッフ80のケア対象者70へのケアの対応状況を容易に把握することができ、例えば、ケア対象者70への対応に改善を要するケアスタッフ80を特定しやすくなる。また、施設の管理者等は、駆け付け所要時間が長くなりやすい時間帯またはケア対象者70(居室)等の条件を抽出することもできる。よって、より適切なケアを行うための効果的な改善策を立てることが可能となる。
【0085】
また、見守りシステム1は、ケアスタッフ80の駆け付け所要時間とケア対象者70の離床所要時間とを関連付けて出力することができる。これにより、施設の管理者等は、離床の際の転倒リスクの高いケア対象者70(居室)および時間帯等の条件を抽出しやすくなり、転倒防止のための効果的な改善策を立てることが可能となる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の見守りシステム1(管理サーバー20)によれば、ケア対象者70のイベントの発生時刻からこのイベントに対応するケアスタッフ80が所定地点に到達する到達時刻までの駆け付け所要時間に関する情報が出力される。よって、ケアスタッフ80の対応状況に関する情報を出力することができる。
【0087】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0088】
例えば、上述の実施形態では、ケア情報が、ケアスタッフ80がケア対象者70の居室に入室する時刻に関する情報を含んでいる例を説明したが、ケア情報は、これに代えて、あるいは、これとともに、他の時刻に関する情報を含んでいてもよい。たとえば、ケア情報は、ケアスタッフ80がケア対象者70の居室の周囲の所定距離に到達する時刻に関する情報を含んでいてもよく、ケア対象者70へのケアのために居室以外の部屋(例えば、オムツの収納部屋等)に入室またはその周囲に到達する時刻に関する情報を含んでいてもよい。
【0089】
また、上述の実施形態では、管理サーバー20が、ケアスタッフ80の駆け付け所要時間に関する情報に、ケア対象者70の離床所要時間に関する情報を関連付けて出力する例を説明したが、管理サーバー20は、駆け付け所要時間に関する情報に、他の情報を関連付けて出力してもよい。例えば、管理サーバー20は、駆け付け所要時間に関する情報を、ケア対象者70の離床から退室までに要する退室所要時間に関する情報と関連付けて出力してもよい。これにより、居室からの退出に起因する転倒または徘徊等を防ぐための改善策を立てることが可能となる。
【0090】
また、上述の実施形態では、管理サーバー20が情報処理装置として機能する場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されず、情報管理者端末30が情報処理装置として機能するように構成されてもよい。また、検出部10の制御部11のCPUが情報処理プログラムを実行することで、検出部10が情報処理装置として機能するように構成されてもよい。
【0091】
また、上記の実施形態におけるフローチャートの処理単位は、各処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方によって、本願発明が制限されることはない。各処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0092】
また、情報処理プログラムは、USBメモリー、フレキシブルディスク、CD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、メモリーやストレージ等に転送され記憶される。また、この情報処理プログラムは、例えば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、サーバーの一機能としてその各装置のソフトウェアに組み込んでもよい。
【0093】
また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行されうる。
【符号の説明】
【0094】
1 見守りシステム、
10 検出部、
11 制御部、
12 通信部、
13 カメラ、
14 ケアコール部、
15 音声入力部、
16 一時停止スイッチ、
20 管理サーバー、
21 制御部、
211 第1取得部、
212 第2取得部、
213 算出部、
214 出力部、
22 通信部、
23 データベース、
30 情報管理者端末、
40 スタッフ端末、
41 制御部、
42 無線通信部、
43 表示部、
44 入力部、
45 音声入出力部、
50 ネットワーク、
51 アクセスポイント、
60 ベッド、
70 ケア対象者、
80 ケアスタッフ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13