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特開2022-189271ミルクコーヒーの評価方法、情報処理装置、及びミルクコーヒー評価用フレーバーホイール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189271
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ミルクコーヒーの評価方法、情報処理装置、及びミルクコーヒー評価用フレーバーホイール
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221215BHJP
   G01N 33/14 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
G01N33/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097767
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】畠山 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】
本技術は、ミルクコーヒーの評価方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本技術に従うミルクコーヒーの評価方法は、(A)ミルクコーヒーの味に関する用語群、(B)ミルクコーヒーの香りに関する用語群、及び(C)ミルクコーヒーのテクスチャーに関する用語群のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む用語リストを、ミルクコーヒーを評価する評価者に提示する提示工程、及び前記用語リストのうちから前記評価者が前記ミルクコーヒーに当てはまるとして選択した用語の集団に基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果を生成する評価結果生成工程、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルクコーヒーの評価方法であって、
(A)ミルクコーヒーの味に関する用語群、(B)ミルクコーヒーの香りに関する用語群、及び(C)ミルクコーヒーのテクスチャーに関する用語群のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む用語リストを、ミルクコーヒーを評価する評価者に提示する提示工程、及び
前記用語リストのうちから前記評価者が前記ミルクコーヒーに当てはまるとして選択した用語の集団に基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果を生成する評価結果生成工程、
を含む前記評価方法。
【請求項2】
前記用語リストに含まれる用語は、複数の消費者それぞれに複数種のミルクコーヒーを飲用させ、そして前記複数の消費者に各ミルクコーヒーを表現する用語を特定させることによって得られた用語群のうちから選択された用語である、
請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記複数の消費者は、飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者である、請求項2に記載の評価方法。
【請求項4】
前記評価結果生成工程において用いられる前記用語の集団は、前記評価者がCATA法により選択した用語の集団である、請求項1~3のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項5】
前記評価者は、飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者である、請求項1に記載の評価方法。
【請求項6】
前記(A)の用語群は、甘味に関する1以上の用語、苦味に関する1以上の用語、酸味に関する1以上の用語、コクに関する1以上の用語、雑味に関する1以上の用語、及びえぐみに関する1以上の用語のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項7】
前記(B)の用語群は、コーヒーの香りに関する1以上の用語、ミルクの香りに関する1以上の用語、ローストの香りに関する1以上の用語、フルーティーな香りに関する1以上の用語及び大豆又は麦の香りに関する1以上の用語のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項8】
前記(C)の用語群は、口当たりに関する1以上の用語を少なくとも含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項9】
前記提示工程において、嗜好性評価、感情評価、及び飲用感評価のうちの1つ又は2つ以上を前記ミルクコーヒーについて行うための評価票も前記評価者に提示される、請求項1~8のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項10】
前記評価結果生成工程において、前記評価者により前記評価票へ入力された評価結果と前記選択された用語の集団とに基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果を生成する、請求項9に記載の評価方法。
【請求項11】
(A)ミルクコーヒーの味に関する用語群、(B)ミルクコーヒーの香りに関する用語群、及び(C)ミルクコーヒーのテクスチャーに関する用語群のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む用語リストを、ミルクコーヒーを評価する評価者に提示する提示工程、及び
前記用語リストのうちから前記評価者が前記ミルクコーヒーに当てはまるとして選択した用語の集団に基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果を生成する評価結果生成工程、
を実行する情報処理装置。
【請求項12】
(A)ミルクコーヒーの味に関する用語群、(B)ミルクコーヒーの香りに関する用語群、及び(C)ミルクコーヒーのテクスチャーに関する用語群のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含むミルクコーヒー評価用フレーバーホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ミルクコーヒーの評価方法、情報処理装置、及びミルクコーヒー評価用フレーバーホイールに関し、特にはミルクコーヒーの官能特性の評価方法、前記評価方法を実行する情報処理装置、及びミルクコーヒーの官能特性を評価するために用いられるフレーバーホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食品の官能評価のための手法がこれまでにいくつか提案されている。例えば官能評価法の一つであるQDA(Quantitative descriptive analysis)法は、10~12人のトレーニングされたパネリストを用いることや、両端にアンカーのついた線尺度を使って強度評価を行うことを特徴とする。例えば下記非特許文献1には、ミルクコーヒーの官能評価をQDA法に従って実施したことが記載されている(第25頁右欄)。
【0003】
また、飲食品の種類に応じた官能評価手法も提案されている。例えば、下記特許文献1には、フォームドミルクの官能特性を評価する方法が開示されており、当該方法は、(1)撹拌機構付き容器にて液状乳を撹拌して起泡させたフォームドミルクを得る起泡工程、(2)前記フォームドミルクが泡沫層と液状層とに分離するまで静置し、分離した泡沫層を回収して評価用試料として得る分離工程、及び(3)前記評価用試料を官能評価する評価工程を含む(請求項1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-39780号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】池田三知男、外7名、「異なる製造工程で製造されたミルクコーヒーの官能評価と味覚センサ分析」、九州大学大学院システム情報科学紀要、第24巻第2号第23-28頁、令和元年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コーヒーは、しばしばミルクを添加して飲用される。上記非特許文献1には、QDA法によりミルクコーヒーを評価したことが記載されている。しかしながら、QDA法などの分析型記述分析法は、実施のための負担が大きく、製品開発には適用しにくい場合もある。そこで、本技術は、簡便かつ迅速にミルクコーヒーを評価するための手法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、特定の評価方法によってミルクコーヒーを適切に評価することができることを見出した。
【0008】
すなわち、本技術は、
ミルクコーヒーの評価方法であって、
(A)ミルクコーヒーの味に関する用語群、(B)ミルクコーヒーの香りに関する用語群、及び(C)ミルクコーヒーのテクスチャーに関する用語群のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む用語リストを、ミルクコーヒーを評価する評価者に提示する提示工程、及び
前記用語リストのうちから前記評価者が前記ミルクコーヒーに当てはまるとして選択した用語の集団に基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果を生成する評価結果生成工程、
を含む前記評価方法を提供する。
前記用語リストに含まれる用語は、複数の消費者それぞれに複数種のミルクコーヒーを飲用させ、そして前記複数の消費者に各ミルクコーヒーを表現する用語を特定させることによって得られた用語群のうちから選択された用語であってよい。
前記複数の消費者は、飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者であってよい。
前記評価結果生成工程において用いられる前記用語の集団は、前記評価者がCATA法により選択した用語の集団であってよい。
前記評価者は、飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者であってよい。
前記(A)の用語群は、甘味に関する1以上の用語、苦みに関する1以上の用語、酸味に関する1以上の用語、コクに関する1以上の用語、雑味に関する1以上の用語、及びえぐみに関する1以上の用語のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含んでよい。
前記(B)の用語群は、コーヒーの香りに関する1以上の用語、ミルクの香りに関する1以上の用語、ローストの香りに関する1以上の用語、フルーティーな香りに関する1以上の用語及び大豆又は麦の香りに関する1以上の用語のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含んでよい。
前記(C)の用語群は、口当たりに関する1以上の用語を少なくとも含んでよい。
前記提示工程において、嗜好性評価、感情評価、及び飲用感評価のうちの1つ又は2つ以上を前記ミルクコーヒーについて行うための評価票も前記評価者に提示されてよい。
前記評価結果生成工程において、前記評価者により前記評価票へ入力された評価結果と前記選択された用語の集団とに基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果を生成してよい。
また、本技術は、(A)ミルクコーヒーの味に関する用語群、(B)ミルクコーヒーの香りに関する用語群、及び(C)ミルクコーヒーのテクスチャー関する用語群のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む用語リストを、ミルクコーヒーを評価する評価者に提示する提示工程、及び
前記用語リストのうちから前記評価者が前記ミルクコーヒーに当てはまるとして選択した用語の集団に基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果を生成する評価結果生成工程、
を実行する情報処理装置を提供する。
また、本技術は、(A)ミルクコーヒーの味に関する用語群、(B)ミルクコーヒーの香りに関する用語群、及び(C)ミルクコーヒーのテクスチャーに関する用語群のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含むミルクコーヒー評価用フレーバーホイールも提供する。
【発明の効果】
【0009】
本技術により、ミルクコーヒーを適切に評価することができる。例えば、本技術の評価方法は、消費者を評価者とすることができ、簡便に且つ迅速に実行することができる。
なお、本技術の効果は、この段落に記載された効果に限定されず、本明細書内に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ミルクコーヒーの評価方法のフロー図の一例を示す。
図2】用意工程の詳細なフローの一例を示す図である。
図3】用語リストの例を示す図である。
図4】集計表の例を示す図である。
図5】ミルクコーヒー評価システムの構成例を示す図である。
図6】情報処理装置の構成例を示す図である。
図7】ミルクコーヒー評価用フレーバーホイールの構成例を示す図である。
図8】用語調査票の構成例を示す図である。
図9】評価シートの構成例を示す図である。
図10】CATA法による評価のCA分析の結果を示す図である。
図11】QDA法による評価のPCA分析の結果を示す図である。
図12】ペナルティ分析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本技術の好ましい実施形態について説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態のみに限定されず、本技術の範囲内で自由に変更することができる。
【0012】
1.ミルクコーヒー評価方法
【0013】
本技術のミルクコーヒー評価方法は、例えば図1に示されるとおり、用語リストを用意する用意工程S1、前記用語リストをミルクコーヒーの評価者に提示する提示工程S2、前記評価者により選択された用語に基づき前記ミルクコーヒーに関する評価結果を生成する評価結果生成工程S3、及び生成された評価結果を出力する出力工程S4を含んでよい。以下で、これらの工程についてそれぞれ説明する。
【0014】
1-1.用意工程S1
【0015】
用意工程S1において、ミルクコーヒーを評価するための用語リストが用意される。前記用意工程において、予め決められた用語群を含む用語リストが用意されてよく、又は、用語リストに含まれる用語群が新たに用意されてもよい。前記用意工程において、例えば、後述の提示工程S2において評価者に前記用語リストを提示する情報処理装置が、前記用語リストを例えば記録媒体から又はネットワークを介して取得してよい。当該情報処理装置の構成については、以下「2.ミルクコーヒー評価システム」において説明する。
前記用語リストに含まれる用語は、複数の消費者それぞれに複数種のミルクコーヒーを飲用させ、そして前記複数の消費者に各ミルクコーヒーを表現する用語を特定させることによって得られた用語群のうちから選択された用語であってよい。用語リストの例を以下「1-1-1.用語リスト」において説明する。また、用語リストの生成方法を以下「1-1-2.用語リストの作成方法」において説明する。
【0016】
1-1-1.用語リスト
前記用語リストは、(A)ミルクコーヒーの味に関する用語群、(B)ミルクコーヒーの香りに関する用語群、及び(C)ミルクコーヒーのテクスチャーに関する用語群のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。前記用語リストは、好ましくは前記(A)の用語群及び前記(B)の用語群、前記(A)の用語群及び前記(C)の用語群、又は前記(B)の用語群及び前記(C)の用語群を含み、より好ましくは前記(A)の用語群、前記(B)の用語群、及び前記(C)の用語群の3つを含む。
前記味に関する用語は、ミルクコーヒーを摂取したときに、味覚(特には舌に受ける感覚)を表現する用語である。前記味に関する用語として、例えば後述の(a1)~(a10)の用語を挙げることができるが、これらに限定されない。
前記香りに関する用語は、ミルクコーヒーを摂取したときに、嗅覚(特には鼻によって感じとられる感覚)を表現する用語である。前記香りに関する用語として、例えば後述の(b1)~(b14)の用語を挙げることができるが、これらに限定されない。
前記テクスチャーに関する用語は、ミルクコーヒーを摂取したときに、口又は咽頭(特には唇、歯、舌、口腔粘膜、又は咽頭)によって感じ取られるミルクコーヒーの感触又は質感を表現する用語である。前記テクスチャーに関する用語として、例えば後述の(c1)の用語を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0017】
前記用語リストに含まれる用語の総数は、好ましくは70以下、より好ましくは65以下、さらにより好ましくは60以下である。例えば、前記(A)の用語群に含まれる用語、前記(B)の用語群に含まれる用語、及び前記(C)の用語群に含まれる用語の合計が、好ましくは70以下、より好ましくは65以下、さらにより好ましくは60以下である。用語リストに含まれる用語の数は、上記の上限値以下であることによって、消費者(特には官能評価の訓練を受けていない消費者)にとって利用しやすくなる。また、ミルクコーヒーの風味や特徴は、上記上限値以下である用語数を含む用語リストによって適切に表現することができる。
前記用語リストに含まれる用語の総数は、好ましくは20以上、より好ましくは25以上、さらにより好ましくは30以上、35以上、40以上、又は45以上である。例えば、前記(A)の用語群に含まれる用語、前記(B)の用語群に含まれる用語、及び前記(C)の用語群に含まれる用語の合計が、好ましくは20以上、より好ましくは25以上、さらにより好ましくは30以上、35以上、40以上、又は45以上である。上記下限値以上である用語数を含む用語リストは、ミルクコーヒーの風味や特徴を適切に表現することができる。上記下限値以上の用語数を含む用語リストは、消費者(特には飲食品に関する評価(特には官能評価)の訓練を受けていない消費者)であっても適切に利用することができる。
【0018】
前記(A)の用語群は、例えば、
(a1)甘味(Sweetness)に関する1以上の用語、
(a2)苦味(Bitterness)に関する1以上の用語、
(a3)酸味(Acidity)に関する1以上の用語、
(a4)まろやか(Mildness)に関する1以上の用語、
(a5)渋み(Astringency)に関する1以上の用語、
(a6)コク(Body)に関する1以上の用語、
(a7)雑味(Uncleanness)関する1以上の用語、
(a8)えぐみ(Harshness)に関する1以上の用語、
(a9)塩味(Salty)に関する1以上の用語、及び
(a10)旨味(Umami)に関する1以上の用語
のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。これらの用語は、消費者(特には訓練されていない消費者)にとって、ミルクコーヒーの味を評価するために適している。
【0019】
前記(A)の用語群は、好ましくは、前記(a1)、(a2)、(a3)、(a6)、(a7)、及び(a8)のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。これらの用語は、消費者(特には訓練されていない消費者)にとって、ミルクコーヒーの味を評価するために特に適している。
【0020】
前記(a1)は、好ましくは「甘味(Sweetness)」、「砂糖の甘さ(Sugar)」、「さらっとした甘さ(Light sweetness)」、及び「さわやかな甘さ(Refreshing sweetness)」のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。
前記(a2)は、好ましくは「苦味(Bitterness)」及び「ほろ苦さ(Mild bitterness)」のうちの1つ又は2つを含む。
前記(a3)は、好ましくは「酸味(Acidity)」を含む。
前記(a4)は、好ましくは「まろやか(Mildness)」を含む。
前記(a5)は、好ましくは「渋み(Astringency)」を含む。
前記(a6)は、好ましくは「コク(Body)」を含む。
前記(a7)は、好ましくは「雑味(Uncleanness)」を含む。
前記(a8)は、好ましくは「えぐみ(Harshness)」を含む。
前記(a9)は、好ましくは「塩味(Salty)」を含む。
前記(a10)は、好ましくは「旨味(Umami)」を含む。
なお、用語リストに関して、括弧()内は、和文に対応する英語の例である。本明細書内の他の部分においても同様である。
【0021】
前記(B)の用語群は、例えば
(b1)コーヒー(Coffee)の風味に関する1以上の用語、
(b2)ミルク(Milk)の風味に関する1以上の用語、
(b3)ロースト(Roast)の風味に関する1以上の用語、
(b4)フルーティー(Fruity)な風味に関する1以上の用語、
(b5)脂肪(Fatty)の風味に関する1以上の用語、
(b6)人工的(Artificial)な風味に関する1以上の用語、
(b7)大豆(Soybean)又は麦(Barley)の風味に関する1以上の用語、
(b8)キャラメル(Caramel)風味に関する1以上の用語、
(b9)ナッツ(Nuts)風味に関する1以上の用語、
(b10)紅茶(Tea)風味に関する1以上の用語、
(b11)チョコレート(Chocolate)風味に関する1以上の用語、
(b12)青い(Green)風味に関する1以上の用語、
(b13)木(Wood)の風味に関する1以上の用語、及び
(b14)土(Soil)の風味に関する1以上の用語、
のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。これらの用語は、消費者(特には訓練されていない消費者)にとって、ミルクコーヒーの香りを評価するために適している。
【0022】
前記(B)の用語群は、好ましくは、前記(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、及び(b7)のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。これらの用語は、消費者(特には訓練されていない消費者)にとって、ミルクコーヒーの香り評価するために特に適している。
【0023】
前記(b1)は、好ましくは「コーヒー(Coffee)」、「コーヒー豆(Coffee beans)」、「エスプレッソ(Espresso)」、「インスタントコーヒー(Instant coffee)」、及び「コーヒー粉末(Ground coffee)」のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含み、より好ましくは「コーヒー」、「エスプレッソ」、及び「インスタントコーヒー」のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。
前記(b2)は、好ましくは「ミルク(Milk)」及び「練乳(Condensed milk)」のうちの1つ又は2つを少なくとも含む。
前記(b3)は、好ましくは「ロースト(Roast)」、「焦げ(Burnt)」、「スモーク(Smoke)」、「炭(Charcoal)」、及び「タバコ(Tobacco)」のうちの1つ又は2つを少なくとも含む。
前記(b4)は、好ましくは「フルーティー(Fruity)」、「花(Flower)」、「柑橘(Citrus)」、「ハチミツ(Honey)」、及び「サクランボ(Cherry)」のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含み、より好ましくは「花」、「柑橘」、及び「ハチミツ」のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。
前記(b5)は、好ましくは「脂肪(Fatty)」、「クリーム(Cream)」、及び「ポーションミルク(Coffee whitener)」のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。
前記(b6)は、好ましくは「人工的(Artificial)」及び「化学的(Chemical)」のうちの1つ又は2つを少なくとも含む。
前記(b7)は、好ましくは「大豆(Soybean)」及び「麦(特には大麦)(Barley)」のうちの1つ又は2つを少なくとも含み、より好ましくは「大豆」を少なくとも含む。
前記(b8)は、好ましくは「キャラメル(Caramel)」を少なくとも含む。
前記(b9)は、好ましくは「ナッツ(Nuts)」及び「アーモンド(Almond)」のうちの1つ又は2つを少なくとも含み、より好ましくは「ナッツ」を少なくとも含む。
前記(b10)は、好ましくは「紅茶(Tea)」を少なくとも含む。
前記(b11)は、好ましくは「チョコレート(Chocolate)」、「カカオ(Cacao)」、及び「ビターチョコレート(Bitter chocolate)」のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含み、より好ましくは「チョコレート」を少なくとも含む。
前記(b12)は、好ましくは「青い(Green)」及び「草(Grass)」のうちの1つ又は2つを少なくとも含み、より好ましくは「青い」を含む。
前記(b13)は、好ましくは「木(Wood)」を少なくとも含む。
前記(b14)は、好ましくは「土(Soil)」を少なくとも含む。
【0024】
前記(C)の用語群は、好ましくは、(c1)口当たりに関する1以上の用語を少なくとも含む。これらの用語は、消費者(特には訓練されていない消費者)にとって、ミルクコーヒーのテクスチャーを評価するために適している。
【0025】
前記(c1)は、好ましくは「キレのある口当たり(Crisp texture)」、「濃厚な口当たり(Rich texture)」、「クリーミーな口当たり(Creamy texture)」、及び「ざらついた口当たり(Rough texture)」のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。
【0026】
以上で説明した用語群を含む用語リストは、ミルクコーヒーを評価するために適しており、特には消費者、より特には官能評価に関する訓練を受けていない消費者がミルクコーヒーを評価するために適している。
【0027】
1-1-2.用語リストの作成方法
本技術の評価方法の提示工程において、以上で述べた用語リストが用いられてよいが、新たに用語リストが作成されてもよい。以下で、提示工程において用いられる用語リストの作成方法を説明する。なお、本技術は、本技術に従う評価方法において用いられる用語リストの作成方法も提供する。
【0028】
前記用語リストの作成方法は、例えば、図2に示されるように、複数種のミルクコーヒーサンプルを準備するサンプル準備工程S11、前記複数のミルクコーヒーサンプルを複数の消費者に飲用させ、そして前記複数の消費者それぞれが各ミルクコーヒーを表現する用語を特定させて、ミルクコーヒーを表現する用語を収集して用語プールを作成する用語プール作成工程S12、前記用語プールのうちから所定条件を満たす用語を選択する用語選択工程S13を含んでよい。前記用語選択工程S13において選択された用語群を含む用語リストが、前記提示工程S1において用いられる用語リストとして採用されてよい。
【0029】
前記用語リストの作成方法は、例えば図2に示されるように、前記用語選択工程S13の後に、当該用語リストが、ミルクコーヒーの評価のために適切なものであるかを確認するための確認工程S14を含んでもよい。
【0030】
以下で、これらの工程について説明する。
【0031】
(サンプル準備工程S11)
サンプル準備工程S11において、複数種のミルクコーヒーが用意される。前記複数種のミルクコーヒーは、例えばコーヒーの産地、コーヒーの焙煎度、コーヒー及びミルクの配合割合、甘味料(例えば砂糖など)の有無又は含有量、及びミルクの乳脂肪分のうちのいずれか1つ又は2つ以上において、互いに異なっていてよい。用意されるミルクコーヒーの種類の数は、例えば3~100、好ましくは5~90、より好ましくは10~80であってよい。
本明細書内において、「ミルクコーヒー」は、コーヒー豆を原料とした飲料であって、乳、乳製品、又は乳化油脂を含む前記飲料を意味する。
前記飲料は、コーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー成分を含むものであってよい。
前記乳は、動物由来の乳及び植物由来の乳のいずれであってもよい。前記動物由来の乳は、牛由来の乳(すなわち牛乳)であってよく、又は、他の動物(例えばラクダ、ロバ、ヤギ、ウマ、トナカイ、羊、水牛、又はヤクなど)由来の乳であってもよい。前記植物由来の乳は、例えば大豆由来の乳(すなわち豆乳)、オーツミルク、アーモンドミルク、ライスミルク、又はココナッツミルクミルクであってよい。
前記乳製品は、乳由来の製品、特には乳を加工して製造された製品を意味する。前記乳製品として、例えば、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、及び乳飲料を挙げることができる。これらのうちのいずれか1つ又は2つ以上が、ミルクコーヒーに含まれていてよい。
前記乳化油脂には、例えば植物性油脂食品及び植物油脂クリーミング食品が包含され、より具体的にはいわゆるコーヒーフレッシュが包含される。
本明細書内において、「ミルクコーヒー」は、コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約により定められるところの「コーヒー」、「コーヒー飲料」、「コーヒー入り清涼飲料」、「コーヒー入り炭酸飲料」、又は「カフェインレスコーヒー」のいずれかであってよい。また、本明細書内において、「ミルクコーヒー」は、飲用乳の表示に関する公正競争規約の適用を受ける飲料又は豆乳類の表示に関する公正競争規約の適用を受ける飲料であってもよい。本技術は、このようなミルクコーヒーの評価、特には官能評価のために適用されてよい。
【0032】
(用語プール作成工程S12)
用語プール作成工程S12において、複数の消費者に、前記サンプル準備工程において用意された複数種のミルクコーヒーを飲用させる。好ましくは、前記複数の消費者は、飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者である。前記複数の消費者それぞれが、各ミルクコーヒーを表現する用語(特にはミルクコーヒーの風味又は特徴を表す用語、より特には味、香り、及びテクスチャーを表す用語)を特定し、記録する。前記複数の消費者が特定した全ての用語を集め、用語プールを作成する。
前記用語の特定を行う前記複数の消費者の数は、例えば3人以上、5人以上、10人以上、20人以上、30人以上、又は50以上であってよい。前記複数の消費者の数は、例えば1000人以下、500人以下、300人以下、200人以下、又は100人以下であってよい。
前記用語プール作成工程において、例えば情報処理装置が、前記複数の消費者それぞれが特定したミルクコーヒーを表現する用語の入力を受け付ける。前記情報処理装置は、入力された用語から、用語プールデータを生成する。用語リスト作成方法を実行するために用いられる情報処理装置は、後述の提示工程S2において評価者に前記用語リストを提示する情報処理装置と異なるものであってよく、又は、同じものであってもよい。
すなわち、前記情報処理装置は、例えば、3人以上、5人以上、10人以上、20人以上、30人以上、又は50以上の消費者が特定した用語の入力を受け付けるように構成されていてよい。前記消費者の数は、例えば1000人以下、500人以下、300人以下、200人以下、又は100人以下であってよい。
【0033】
(用語選択工程S13)
用語選択工程S13において、前記用語プールのうちから、所定条件を満たす用語を選択する。例えば、前記用語プールのうちから、例えば使用度が所定値未満(例えば0.5%未満)の用語が除外されてよい。前記使用度は、「使用度(%)」=「(或る用語を選択した消費者の数)/(前記複数の消費者の総数)×100」によって算出される。例えば、前記複数の消費者の数が210人である場合、一人の消費者だけが選択した用語の使用度は、1/210×100=0.47%である。そのため、使用度0.5%未満を除外する場合、一人の消費者だけが選択した用語が除外され、二人以上の消費者が選択した用語は除外されない。
また、曖昧な用語及び/又は抽象的な用語が用語プールから除外されてよい。当該除外のために、専門家及び/又は消費者による検討が行われてもよい。
前記用語選択工程において、例えば前記情報処理装置が、前記用語プールから、所定条件を満たす用語を除外する処理を行ってもよく、例えば、使用後が所定値未満の用語を除外する処理を行ってよい。
また、前記用語選択工程において、前記情報処理装置は、前記用語プールを表示装置に表示させ、そして、前記専門家及び/又は消費者に、除外されるべき用語を選択することを促してもよい。前記情報処理装置は、前記専門家及び/又は消費者による、除外されるべき用語の選択を受け付ける。前記専門家及び/又は消費者によって、除外されるべき用語として選択された用語を、そして、前記情報処理装置は、前記用語プールから除外する処理を実行する。
このようにして前記用語プールから1以上の用語が除外されて残った用語群を含む用語リストが、前記提示工程S1において用いられる用語リストとして採用されてよい。代替的には、前記情報処理装置は、前記用語プールからの上記除外処理が行われた後の用語リストデータを受け付け、当該用語リストを、前記提示工程S1において用いられる用語リストとして使用してもよい。
【0034】
(確認工程S14)
確認工程S14において、前記用語リストを用いる評価方法によってミルクコーヒーを評価して得られた評価結果と、他の評価方法によって当該ミルクコーヒーを評価して得られた評価結果とが比較されてよい。当該比較によって、前記用語リストがミルクコーヒーの評価のために適しているかが確認されてもよい。
【0035】
前記用語リストを用いる評価方法は、例えばCATA(Check-All-That-Apply)法であってよい。前記他の評価方法は、例えばQDA法であってよいがこれに限定されず、例えば、Flavor Profile法又はSD(Semantic Differential)法であってもよい。
【0036】
前記用語リストを用いる評価方法による評価結果に対して、例えば多変量解析(特にはコレスポンデンス分析)が行われ、前記評価方法によるミルクコーヒーの識別パターン(以下「第一識別パターン」ともいう)を表すプロットデータ(以下「第一プロットデータ」ともいう)が取得される。前記第一プロットデータを取得するための分析手法は、コレスポンデンス分析以外の分析手法であってもよく、例えばMultifactor analysis、Multidimensional alignment、contingency tables、bar charts、significance testing、又はcorrelation of attributes (visualized via multidimensional scaling、MDS)であってもよい。
また、前記他の評価方法による評価結果に対して、例えば多変量解析(特には主成分分析)が行われ、前記他の評価方法によるミルクコーヒーの識別パターン(以下「第二識別パターン」ともいう)を表すプロットデータ(以下「第二プロットデータ」ともいう)が取得される。前記第二プロットデータを取得するための分析方法は、主成分分析以外の分析手法であってもよく、例えばクラスター分析、t検定、ANOVA、多重比較法、判別分析、相関分析、又はプロクラステス分析であってもよい。
前記第一プロットデータ及び前記第二プロットデータを取得するために、当技術分野で既知の統計ソフトウェアが利用されてよい。統計ソフトウェアの例として、XLSTATを挙げることができる。
【0037】
前記第一プロットデータと前記第二プロットデータとを比較して、これらデータの類似性に関する指標が取得されてよい。当該指標に基づき、前記用語リストが、ミルクコーヒーの評価のために適しているかが判定されてよい。
当該指標は例えばRV係数であるがこれに限定されない。当該RV係数が有意であることによって、前記用語リストが、ミルクコーヒーの評価のために適していると判定されてよい。前記RV係数の取得及び前記RV係数が有意であるかの決定のために、当技術分野で既知の統計ソフトウェアが利用されてよい。統計ソフトウェアの例として、XLSTATを挙げることができる。
【0038】
前記確認工程において、例えば情報処理装置が、前記用語リストを用いる評価方法によってミルクコーヒーを評価して得られた評価結果に対する前記多変量解析処理を実行して、第一プロットデータを取得してよい。
また、前記確認工程において、例えば前記情報処理装置が、前記他の評価方法によって当該ミルクコーヒーを評価して得られた評価結果に対する前記多変量解析処理を実行して、第二プロットデータを取得してよい。
前記情報処理装置は、このようにして得られた前記第一プロットデータ及び第二プロットデータを用いて、これらデータの類似性に関する指標を取得する処理を実行する。例えば、前記情報処理装置は、これらデータを用いてRV係数を算出する処理を行ってよい。当該算出処理において、RV係数の有意差に関する値を取得してもよい。
前記情報処理装置は、算出されたRV係数(及び前記有意差に関する値)を出力させる。
このようにして出力されたプロットデータ及びRV係数によって、前記用語リストがミルクコーヒーの評価のために適しているかを確認することができる。
【0039】
以上で述べた通り、本技術は、本技術に従う評価方法において用いられる用語リストの作成方法も提供する。当該用語リスト作成方法は、前記用意工程に含まれる1以上の工程S11~S14のうちの1つ又は2つ以上を実行することを含んでよい。例えば、当該用語リスト作成方法は、工程S12及びS13、又は、工程S12~14を実行することを含む。
また、本技術は、前記用語リスト作成方法を実行する情報処理装置も提供する。すなわち、前記情報処理装置は、前記用意工程に含まれる1以上の工程S11~S14のうちの1つ又は2つ以上を実行してよく、例えば、当該情報処理装置は、工程S12及びS13、又は、工程S12~14を実行することを含む。
【0040】
1-2.提示工程S2
【0041】
提示工程S2において、前記用語リストが、ミルクコーヒーを評価する評価者に提示される。前記評価者は、例えば消費者(特には複数の消費者)であってよく、好ましくは、飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者(特には複数の消費者)である。前記用語リストは、例えば紙又はプラスチックなどの印刷媒体上に表示されてよくよく、又は、例えばディスプレイなどの表示装置により表示されてもよい。
本明細書内において、飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者は、飲食品の官能評価を実施するために行われる訓練を受けたことがない消費者であってよい。より具体的には、飲食品の官能評価をするための属性の定義・尺度合わせを行っていない消費者であってよい。例えばQDA法による官能評価では、当該官能評価を実行するために、パネル(評価者)は予め定められた訓練を受ける。前記訓練を受けていない消費者は、このような官能評価を実行するための訓練を受けたことがない消費者であってよい。
また、前記飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者は、提示工程S2において提示される前記用語リストを、当該提示工程までに見たことが無い消費者であってもよい。すなわち、本技術は、前記評価者が、このように前記用語リスト中の用語群を初めて見る場合であっても実行することができる。
好ましくは、提示工程S2において、情報処理装置が、前記用語リストを表示装置に出力させて、評価者に提示する。前記表示装置は、前記情報処理装置の一部として構成されていてよく、又は、前記情報処理装置とは別の装置として構成されていてもよい。前記情報処理装置は、前記評価者による評価結果の入力を受け付ける。
当該評価者は、前記用語リストを参照してミルクコーヒーを評価する。当該評価の具体例を、以下「1-2-1.前記用語リストを用いた評価」において説明する。
また、前記評価者は、当該ミルクコーヒーに関して、他の評価を行ってもよい。当該比他の評価の具体例を、以下「1-2-2.他の評価」において説明する。
【0042】
1-2-1.前記用語リストを用いた評価
【0043】
前記提示工程において、上記のとおり前記用語リストを用いた評価が行われる。当該評価は、ミルクコーヒーを飲用した評価者が、前記用語リストのうちから、当該ミルクコーヒーに当てはまると感じた用語を選択するという評価であってよい。当該選択は、例えばCATA法に従い行われてよい。このようにして、評価結果生成工程S3において用いられる用語の集団が得られる。
【0044】
前記評価を実行するために、例えば前記情報処理装置が、前記用語リストに含まれる用語群のうちから各ミルクコーヒーを飲用した際に感じた特徴(風味又は特徴)として当てはまるもの全てを選択することを前記評価者に促す画面を表示装置に表示させる。当該画面は、例えば、図3に示されるような用語リスト31を含む。当該用語リストは、同図に示されるとおり、上記「1-1-1.用語リスト」において説明した前記(A)、(B)、及び(C)の用語群を含んでいる。また、各用語の横には、選択欄が表示される。当該画面において、当てはまると考える用語の選択欄を評価者が選択することで、例えば当該選択欄に選択されたことを示すチェックマークが表示されてよい。
同図において、前記用語リストに含まれる用語群の配置順番は、上記「1-1-1.用語リスト」に記載されたとおりであるが、この順番は、好ましくは評価者毎に変更されてよく、より好ましくは各評価者に提示される用語リスト中の用語群の配置は、ランダムに変更される。これにより、例えば用語選択の偏りを防ぐことができ、より適切な評価結果が得られる。すなわち、好ましい実施態様において、前記情報処理装置は、前記複数の評価者に対して同じ用語群を含む用語リストを提示するが、前記用語リストに含まれる用語群の配置を評価者毎に変更し、好ましくはランダムに変更する。
【0045】
例えば、前記情報処理装置が、前記用語リストを提示し、各評価者が、前記用語リストに含まれる用語群のうちから、ミルクコーヒーを飲用した際に感じた特徴として当てはまる用語全てを選択する(例えば用語又は用語選択欄をクリック又はチェックする)。前記情報処理装置は、選択された用語を、当該評価者が当該ミルクコーヒーの特徴として選択した用語として記録する。このような手順が、評価対象となるミルクコーヒーのそれぞれについて行われる。
【0046】
前記情報処理装置は、各ミルクコーヒーについての用語の選択結果の入力を受け付ける。前記情報処理装置は、選択結果を、各ミルクコーヒーと関連付けられた状態で受け付ける。前記選択結果の入力は、例えば、情報処理装置に備えられた入力装置(例えばキーボード又はマウス)によって行われてよい。
【0047】
前記用語リストは、用語が選択されたことを示すマークを記入可能な記入用媒体に表示されてもよい。この場合、前記記入用媒体は、例えば紙、紙状シート、又はプラスチックシートなどであってよい。評価者が、前記記入用媒体に、用語の選択結果を記入し、前記情報処理装置が、当該記入用媒体に入力された選択結果を、例えばOMR(光学式マーク読取装置)など、選択結果を読み取る装置によって取得してよい。
【0048】
前記情報処理装置は、選択された1以上の用語を、各ミルクコーヒーと関連付けられた状態で、例えば記録用媒体へと記録する。当該記録用媒体は、例えば情報処理装置であってよく、特には情報処理装置に備えられた記憶媒体又は記録媒体であってよい。前記記憶媒体は、例えばメモリであってよい。前記記録媒体は、例えば光学記録媒体又は磁気記録媒体であってよい。
【0049】
前記評価は、好ましくは、各ミルクコーヒーについて、例えば3人以上、5人以上、10人以上、20人以上、30人以上、又は50以上の評価者によって行われる。評価者の数は、例えば1000人以下、500人以下、300人以下、200人以下、又は100人以下であってよい。本技術の評価方法において、評価者は、例えば訓練されていない消費者であってよい。そのため、評価者の人数を、このように多くすることができ、これにより、より良い評価結果又はばらつきのより少ない評価結果を得ることができる。
すなわち、前記情報処理装置は、例えば、3人以上、5人以上、10人以上、20人以上、30人以上、又は50以上の評価者の評価結果を受け付けるように構成されていてよい。評価者の数は、例えば1000人以下、500人以下、300人以下、200人以下、又は100人以下であってよい。
【0050】
以上のようにして、情報処理装置は、各ミルクコーヒーについての前記用語リストを用いた評価の結果を取得する。
【0051】
1-2-2.他の評価
【0052】
前記用語リストを用いた評価に加えて、他の評価を行うための評価票が提示されてもよい。例えば、前記情報処理装置が、当該評価票を、例えば前記用語リストが前記評価者に提示された前記表示装置に表示させてよい。特には、前記情報処理装置が、前記表示装置の画面に、前記用語リスト及び前記評価票を同時に又は異なるタイミングで表示してよい。
【0053】
前記他の評価は、例えば嗜好性評価、感情評価、及び飲用感評価のうちの1つ又は2つ以上であってよい。
【0054】
前記嗜好性評価は、例えば、評価者のミルクコーヒーに対する嗜好性に関する評価である。前記嗜好性評価を行うための評価票は、例えば嗜好性に関する評価軸を有する。当該評価軸は、例えば「おいしさ」又は「好みの程度」などの嗜好性評価項目に関する評価軸であってよい。例えば、評価項目「おいしさ」に関する評価軸は、「非常においしい」、「おいしい」、「ややおいしい」、「どちらともいえない」、「あまりおいしくない」、「おいしくない」、及び「全くおいしくない」という、評価軸に関する7つの評価段階を含む。なお、評価段階の数は、7つに限られない。評価段階の数は複数であってよく、例えば2~10のうちのいずれかであってよい。
これらの評価段階のそれぞれについて、例えば「+3」、「+2」、「+1」、「0」、「-1」、「-2」、及び「-3」のスコアが割り当てられる。当該スコアが割り当てられていることで、評価結果を数値化することができる。なお、割り当てられるスコアの値や段階の数は、当業者により適宜選択されてよい。例えば5つの評価段階について、「5」、「4」、「3」、「2」、及び「1」などの5段階のスコアが割り当てられてもよい。
このように前記他の評価が、スコアを利用する評価であることによって、前記用語リストを用いた評価と組み合わせた場合における利用性が高まる。例えば、前記用語リストを用いた評価の評価結果と前記他の評価の評価結果とを用いて、2つの評価結果に基づく分析(例えばペナルティ分析)が可能となる。
【0055】
前記感情評価は、例えば、評価者がミルクコーヒーを飲用した場合に有する感情に関する評価である。前記感情評価を行うための評価票は、例えば感情に関する評価軸を有する。当該評価軸は、例えば「幸せな気持ちになる」又は「楽しい気分になる」などの感情の評価項目に関する評価軸であってよい。例えば、評価項目「幸せな気持ちになる」に関する評価軸は、「非常に幸せな気持ちになる」、「幸せな気持ちになる」、「やや幸せな気持ちになる」、「どちらともいえない」、「あまり幸せな気持ちにならない」、「幸せな気持ちにならない」、及び「全く幸せな気持ちにならない」という、評価軸に関する7つの評価段階を含む。なお、評価段階の数は、7つに限られない。評価段階の数は複数であってよく、例えば2~10のうちのいずれかであってよい。
これらの評価段階のそれぞれについて、例えば「+3」、「+2」、「+1」、「0」、「-1」、「-2」、及び「-3」のスコアが割り当てられる。当該スコアが割り当てられていることで、評価結果を数値化することができる。なお、割り当てられるスコアの値や段階の数は、当業者により適宜選択されてよい。例えば5つの評価段階について、「5」、「4」、「3」、「2」、及び「1」などの5段階のスコアが割り当てられてもよい。
【0056】
前記飲用感評価は、例えば、評価者がミルクコーヒーを飲用した場合に当該ミルクコーヒーに対して有した飲用感に関する評価である。前記飲用感評価を行うための評価票は、例えば飲用感に関する評価軸を有する。当該評価軸は、例えば「本格感」、「手作り感」、「出来たて感」、及び「新鮮感」などの飲用感の評価項目に関する評価軸であってよい。例えば、評価項目「本格感」に関する評価軸は、「非常に本格的である」、「本格的である」、「やや本格的である」、「どちらともいえない」、「あまり本格的でない」、「本格的でない」、及び「全く本格的でない」という、評価軸に関する7つの評価段階を含む。なお、評価段階は、7つに限られない。評価段階の数は複数であってよく、例えば2~10のうちのいずれかであってよい。
これらの評価段階のそれぞれについて、例えば「+3」、「+2」、「+1」、「0」、「-1」、「-2」、及び「-3」のスコアが割り当てられる。当該スコアが割り当てられていることで、評価結果を数値化することができる。なお、割り当てられるスコアの値や評価段階の数は、当業者により適宜選択されてよい。例えば5つの評価段階について、「5」、「4」、「3」、「2」、及び「1」などの5段階のスコアが割り当てられてもよい。
【0057】
例えば、前記情報処理装置が、前記評価票を提示し、評価者が、前記評価票の評価軸のうちから、ミルクコーヒーに当てはまる評価段階を選択する(クリックする又はチェックする)。前記情報処理装置は、選択された評価段階を、当該評価者が当該ミルクコーヒーに対して割り当てた評価段階として記録する。このような手順が、評価対象となるミルクコーヒーのそれぞれについて行われる。
【0058】
前記情報処理装置は、選択された評価段階を、各ミルクコーヒーと関連付けられた状態で、例えば記録用媒体へと記録する。当該記録用媒体は、上記1-2-1.において述べたものと同じであってよい。
【0059】
1-2-3.提示工程において用いられるミルクコーヒー及び材料
【0060】
(ミルクコーヒー)
前記ミルクコーヒーは、当該ミルクコーヒーの想定飲用温度へと温度調節された状態で、前記評価者に飲用される。いずれの評価者も、同じ温度のミルクコーヒーが提供される。
冷たい状態で購入者が飲用することが想定される場合は、当該ミルクコーヒーの温度は、例えば15℃以下、特には12℃以下、より特には10℃以下に調節された状態で評価者に飲用される。また、当該温度は、例えば1℃以上、特には2℃以上、より特には4℃以上であってよい。
暖かい状態で購入者が引用することが想定される場合は、当該ミルクコーヒーの温度は、例えば40℃以上、特には45℃以上、より特には50℃以上に調節された状態で評価者に飲用される。また、当該温度は、例えば70℃以下、特には65℃以下、より特には60℃以下であってよい。
なお、ミルクコーヒーは、常温で評価者に飲用されてもよく、例えば15℃~40℃で評価者に飲用されてもよい。
【0061】
(容器)
前記ミルクコーヒーは、容器に入った状態で、前記評価者により飲用される。前記容器は、例えばカップであり、特にはプラスチックカップである。当該カップは、蓋がされていてよい。当該カップは、ミルクコーヒーが例えば20ml~200ml、特には30ml~150ml入るように構成されていてよい。
当該カップの開口部のサイズ(開口が円形の場合は直径、開口が矩形の場合は長辺の長さ)は、例えば40mm~100mm、特には50mm~80mmである。当該カップの底部(底部が円形の場合は直径、開口が矩形の場合は長辺の長さ)は、例えば20mm~80mm、特には30mm~60mmである。また、当該カップの高さは、例えば30mm~100mm、特には30mm~70mmである。
【0062】
(ストロー)
前記ミルクコーヒーは、例えばストローで飲用されてよい。例えばミルクコーヒーが入った蓋つきカップが用意され、前記蓋にストローを刺し、そして、当該ストローを介して前記ミルクコーヒーが飲用されてよい。
当該ストローの長さは、例えば10cm~30cm、特には12cm~25cmであってよい。当該ストローの直径は、例えば2mm~15mm、特には3mm~10mmであってよい。
【0063】
(温度調節設備)
ミルクコーヒーは、好ましくは、温度を調節する温度調節設備において温度調節されていることが好ましい。当該設備は、例えば加熱設備、恒温設備、又は冷蔵設備であってよい。当該ミルクコーヒーは、所定の温度で評価者に飲用されてよい。代替的には、当該組成物は、前記設備から出した後に、例えば室温で所定時間経過した後に、評価者に飲用されてもよい。これら温度及び時間は、適宜選択されうる。
【0064】
(提示工程を行う実体)
提示工程S2において、前記情報処理装置が、当該装置内に記憶されている前記用語リストを前記表示装置に提示させてよい。当該情報処理装置の構成例は、以下の2.において説明する。
また、前記用語リストが表示された媒体が、前記用語リストの評価者への提示を行ってもよい。前記媒体は、前記リストが記載された紙、紙状シート、又はプラスチックシートなどの印刷媒体であってよい。
【0065】
1-3.評価結果生成工程S3
【0066】
評価結果生成工程S3において、前記用語リストのうちから前記評価者が前記ミルクコーヒーに当てはまるとして選択した用語の集団に基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果が生成される。例えば、前記提示工程S2において、「1-2-1.前記用語リストを用いた評価」において述べた評価が行われた場合、当該評価における選択結果に基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果が生成される。
【0067】
評価結果生成工程S3において、各ミルクコーヒーについて、前記用語リストに含まれる各用語が評価者によって選択された回数がカウントされる。前記選択された回数を用いて、集計表が生成される。
例えば前記提示工程において入力された評価結果を取得した情報処理装置が、表頭をミルクコーヒーの種類とし且つ表側を用語とする集計表、又は、表頭を用語とし且つ表側をミルクコーヒーの種類とする集計表を生成する。当該集計表において、前記選択された回数が、度数である。このように、前記情報処理装置は、前記集計表を生成する。前記集計表はクロス集計表とも呼ばれる。前記集計表の例が図4に示されている。同図に示される集計表には、表頭にミルクコーヒーの種類(サンプルNo.1~n)が記載され、表側に用語(甘味~ざらついた口当たり)が記載されている。また、各サンプルについて、選択された回数が示されている。
【0068】
評価結果生成工程S3において、前記集計表を用いた分析が行われてよい。当該分析は例えばコレスポンデンス分析である。当該分析によって、プロットデータ(例えば二軸の散布図プロットデータ)が生成される。プロットデータの例は、後述の実施例において説明されている。当該分析及び当該プロットデータの生成は、例えば例えば前記情報処理装置によって実行されてよい。
当該プロットデータから、2つのミルクコーヒー間の相対的な距離が得られる。当該距離に基づき、例えば、特徴が似ている2以上のミルクコーヒー又は特徴が似ていない2以上のミルクコーヒーを特定することができる。すなわち、前記情報処理装置は、当該プロットデータから2つのミルクコーヒー間の相対的な距離を取得する処理を行ってよい。当該距離が、工程S3において生成されるミルクコーヒー評価結果に含まれてよい。
また、当該プロットデータから、各ミルクコーヒーと用語との関係性を確認することができる。例えば或るミルクコーヒーを特徴づける用語を特定することができる。すなわち、前記情報処理装置は、前記関係性に基づき、各ミルクコーヒーを特徴付ける1以上の用語を特定する処理を行ってよい。当該特定された1以上の用語が、工程S3において生成されるミルクコーヒー評価結果に含まれてよい。
【0069】
以上の通り、評価結果生成工程S3において、前記集計表及び/又は前記プロットデータが、ミルクコーヒーの評価結果として生成される。
【0070】
前記提示工程S2において、「1-2-1.前記用語リストを用いた評価」において述べた評価に加えて、「1-2-2.他の評価」において述べた評価が実行された場合、前者の評価による評価結果と後者の評価による評価結果とに基づく分析が実行されてよい。
【0071】
例えば、後者の評価において、各ミルクコーヒーについて各評価者が選択したスコアに基づき、各ミルクコーヒーの評価結果が生成される。当該評価結果は、例えば、選択されたスコア群の平均値であってよい。例えば、前記情報処理装置が、各ミルクコーヒーについて各評価者が選択したスコアに基づき、各ミルクコーヒーの評価結果を生成する。
【0072】
嗜好性評価が行われた場合は、各ミルクコーヒーについて、評価者が選択した嗜好性スコアの平均値が算出され、当該平均値が、ミルクコーヒーの嗜好性評価結果として利用される。
同様に、感情評価又は飲用感評価が行われた場合は、各ミルクコーヒーについて、評価者が選択した感情評価スコア又は飲用感評価スコアの平均値が算出され、当該平均値が、ミルクコーヒーの感情評価結果又は飲用感評価結果として利用される。
【0073】
前記前記用語リストを用いた評価の評価結果と前記嗜好性評価、感情評価、又は飲用感評価の評価結果とに基づき、ミルクコーヒーを表現する用語とミルクコーヒーに関する嗜好性、感情、又は飲用感との関連性を見出すことができる。そのため、これらの評価結果は、ミルクコーヒーの開発のために有用である。当該関連性を見出すために、例えば、ペナルティ分析、Comparison of products with ideal、又はPenalty lift analysisが実行されてよい。
【0074】
例えば、前記用語リストを用いた評価の評価結果と前記嗜好性評価の評価結果とに基づき、嗜好性の高い又は低いミルクコーヒーと当該ミルクコーヒーを表現するために選択された用語との関係を見出すことができる。同様に、前記前記用語リストを用いた評価の評価結果と前記感情評価又は飲用感評価の評価結果とに基づき、ミルクコーヒーを摂取した際の感情又は飲用感と当該ミルクコーヒーを表現するために選択された用語との関係を見出すことができる。
このように、評価結果生成工程S3において、前記評価者により前記他の評価を行うための評価票へ入力された評価結果と前記選択された用語の集団とに基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果が生成されてよい。
【0075】
例えば、前記情報処理装置が、前記評価者により前記評価票へ入力された評価結果と前記前記用語リストを用いた評価における選択結果とに基づき、例えばペナルティ分析などの分析処理を実行する。前記情報処理装置が、当該分析処理の結果を、前記ミルクコーヒーの評価結果として生成してよい。
【0076】
(評価結果生成工程を実行する実体)
評価結果生成工程S3を実行する情報処理装置は、提示工程S2を実行する情報処理装置であってよいが、別の情報処理装置であってもよい。
【0077】
1-4.出力工程S4
【0078】
本技術に従う評価方法は、評価結果生成工程S3において生成された評価結果を出力する出力工程S4を含んでもよい。出力工程S4において、当該評価結果が、紙又はプラスチックシートなどの印刷媒体に出力されてよく、又は、表示装置などの表示媒体に出力されてもよい。例えば、評価結果生成工程S3を実行した情報処理装置が、出力工程S4を実行してよい。
【0079】
2.ミルクコーヒー評価システム
【0080】
本技術は、ミルクコーヒー評価システムも提供する。当該テクスチャー評価システムは、上記1.において述べた工程S1~S4のうちの1つ、2つ、3つ、又は4つを実行するように構成されていてよく、特には上記1.において述べた工程S2~S3又は工程S2~S4を実行するように構成される。
【0081】
本技術のミルクコーヒー評価システムの例を図5に示す。同図に示されるとおり、ミルクコーヒー評価システム1は、例えば情報処理装置10、用語リストが記載された媒体11を含んでよい。前記媒体11には、前記他の評価のために用いられる評価票が含まれていてもよい。
さらに、ミルクコーヒー評価システム1は、評価対象となるミルクコーヒーを飲用するために用いられる器具(例えば前記(図示されていない)、ストローなど)、当該ミルクコーヒーの温度を調節する設備、又は当該器具及び当該設備の両方を含んでもよい。
これらの構成要素について、以下で説明する。
【0082】
情報処理装置10は、例えば工程S2及び/又は工程S3を実行するように構成されてよい。情報処理装置10は、さらに、工程S1及び/又は工程S4を実行するように構成されていてもよい。
情報処理装置10は、工程S2を実行する1以上の情報処理装置(以下「第一情報処理装置」ともいう)と工程S3を実行する1以上の情報処理装置(以下「第二情報処理装置」ともいう)を含んでもよい。工程S2を実行して評価者による評価結果を取得した1以上の(特には複数の)第一情報処理装置が、当該評価結果を、工程S3を実行する1つの第二情報処理装置に送信する。そして、前記第二情報処理装置が、工程S3を実行する。必要に応じて、前記第二情報処理装置は工程S4を実行する。これにより、複数の評価者が同時にミルクコーヒーを評価することができ、効率的な評価が可能となる。
【0083】
本明細書内で言及される情報処理装置の構成例を図6に示す。同図に示される情報処理装置10は、処理部101、記憶部102、入力部103、出力部104、及び通信部105を備えている。情報処理装置10は、例えば汎用のコンピュータにより構成されてよい。
【0084】
処理部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びRAMを含みうる。CPU及びRAMは、例えばバスを介して相互に接続されていてよい。バスには、さらに入出力インタフェースが接続されていてよい。バスには、当該入出力インタフェースを介して、入力部103、出力部104、及び通信部105が接続されていてよい。
【0085】
処理部101は、さらに、記憶部102からデータを取得し又は記憶部102にデータを記録できるように構成されていてよい。記憶部102は、各種データを記憶する。記憶部102は、例えば、以下のデータのうちのいずれか1つ又は複数を記憶できるように構成されていてよい:
提示工程S2において提示される用語リストデータ、
提示工程S2において、ミルクコーヒーの種類と当該ミルクコーヒーについて選択された用語とを含む選択結果データ、及び
評価結果生成工程S3において生成された評価結果データ、
などを記憶できるように構成されていてよい。
【0086】
また、記憶部102には、オペレーティング・システム(例えば、WINDOWS(登録商標)、UNIX(登録商標)、又はLINUX(登録商標)など)、本技術に従うミルクコーヒー評価方法(特には当該方法に含まれる少なくとも一つの工程)を情報処理装置10(特には処理部)に実行させるためのプログラム、及び他の種々のプログラムが格納されうる。なお、これらのプログラムは、記憶部102に限らず、記録媒体に記録されていてもよい。
【0087】
入力部103は、各種データの入力を受け付けることができるように構成されているインタフェースを含みうる。入力部103は、そのような操作を受けつける装置として、例えばマウス、キーボード、及びタッチパネルなどを含みうる。入力部103は、前記用語リストを用いた評価における評価者による用語の選択結果の入力を受け付ける。また、入力部103は、前記他の評価の評価結果の入力を受け付けてよい。
【0088】
出力部104は、各種データの出力を行うことができるように構成されているインタフェースを含みうる。例えば、出力部104、前記用語リストを用いた評価のための用語リスト(及び任意的に前記他の評価のための評価票)を出力する。また、出力部104は、前記出力工程において、ミルクコーヒーの評価結果を出力してもよい。出力部104は、当該出力を行う装置として例えば表示装置及び/又は印刷装置などを含んでよい。
【0089】
通信部105は、情報処理装置10をネットワークに有線又は無線で接続するように構成されうる。通信部105によって、情報処理装置10は、ネットワークを介して各種データを取得することができる。取得したデータは、例えば記憶部102に格納されうる。通信部105の構成は当業者により適宜選択されてよい。
【0090】
情報処理装置10は、例えばドライブ(図示されていない)などを備えていてもよい。ドライブは、記録媒体に記録されているデータ(例えば上記で挙げた各種データ)又はプログラムを読み出して、RAMに出力することができる。記録媒体は、例えば、microSDメモリカード、SDメモリカード、又はフラッシュメモリであるが、これらに限定されない。
【0091】
また、本技術は、本技術のミルクコーヒー評価方法を実行する情報処理装置も提供する。本技術に従う情報処理装置は、上記で述べた情報処理装置10であってよく、例えば前記工程2、前記工程3、又は前記工程2及び3を実行する。本技術に従う情報処理装置は、前記工程1及び/又は前記工程4をさらに実行してもよい。
【0092】
3.ミルクコーヒー評価用フレーバーホイール
【0093】
本技術は、ミルクコーヒー評価用フレーバーホイールも提供する。前記フレーバーホイールは、(A)ミルクコーヒーの味に関する用語群、(B)ミルクコーヒーの香りに関する用語群、及び(C)ミルクコーヒーのテクスチャーに関する用語群のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも含む。本技術に従うフレーバーホイールは、例えば消費者がミルクコーヒーを飲用した際に感じた風味や特徴などを表現する際に参照されてよく、これにより、当該消費者が、当該ミルクコーヒーを表現するための適切な表現用語を効率的に見つけることができる。
前記フレーバーホイールは、情報処理装置に記憶されていてよく、例えば当該情報処理装置が表示装置に当該フレーバーホイールを表示させてよい。また、前記フレーバーホイールは、紙又はプラスチックシートなどの印刷媒体に表示されていてもよい。すなわち、本技術は、前記フレーバーホイールを表示する情報処理装置、表示装置、又は印刷媒体も提供する。
【0094】
前記フレーバーホイールの構成例を、図7を参照しながら説明する。同図に示されるフレーバーホイールは、三層の円周領域を有する。中心Cから外側に向かって、第一円周領域201、第二円周領域202、及び第三円周領域203を有する。
【0095】
(第一円周領域)
第一円周領域は、前記(A)の用語群をまとめた用語として「味」と表示された領域、前記(B)の用語群をまとめた用語として「香り」と表示された領域、及び前記(C)の用語群をまとめた用語として「テクスチャー」と表示された領域に分けられている。
このように、前記第一円周領域は、前記(A)の用語群を表す用語が表示された領域、前記(B)の用語群を表す用語が表示された領域、及び前記(C)の用語群を表す用語が表示された領域のうちの1つ又は2つ以上を含む。
【0096】
(第二円周領域)
第二円周領域は、前記(A)の用語群をより細かく分類した用語群の領域、前記(B)の用語群をより細かく分類した用語群の領域、及び、前記(C)の用語群をより細かく分類した用語群の領域に分けられている。
【0097】
前記第一円周領域のうち、領域Aの円弧に、前記第二円周領域のうちの前記(A)の用語群をより細かく分類した用語群の領域a1~a10が接している。領域a1~a10は、上記で述べた用語群(a1)~(a10)にそれぞれ対応するものである。同図においては、多くの文字が細かく記載されることによる読みにくくなることを防ぐために「a1」~「a10」という符号が表記されているが、実際のフレーバーホイールにおいては、これらの符号に替えて用語群を表す表現用語が記載される。例えば領域a1には、「甘味」などの表現用語が記載される。このように他の領域それぞれにも、各用語群を表す表現用語が記載される。
このように、前記第二円周領域は、上記で述べた用語群(a1)~(a10)を表す用語が表示された領域のうちの1つ又は2つ以上を含んでよい。
【0098】
同様に、領域Bの円弧に、前記第二円周領域のうちの前記(B)の用語群をより細かく分類した用語群の領域b1~b14が接している。領域b1~a14は、上記で述べた用語群(b1)~(b14)にそれぞれ対応するものである。領域b1~b14及についても、実際のフレーバーホイールにおいては、これらの符号に替えて用語群を表す表現用語が記載される。
このように、前記第二円周領域は、上記で述べた用語群(b1)~(b14)を表す用語が表示された領域のうちの1つ又は2つ以上を含んでよい。
【0099】
同様に、領域Cの円弧に、前記第二円周領域のうちの前記(C)の用語群をより細かく分類した用語群の領域c1が接している。領域c1は、上記で述べた用語群(c1)に対応するものである。領域c1についても、実際のフレーバーホイールにおいては、これらの符号に替えて用語群を表す表現用語が記載される。
このように、前記第二円周領域は、上記で述べた用語群(c1)を表す用語が表示された領域を含んでよい。
【0100】
(第三円周領域)
前記第三円周領域は、具体的な表現用語が記載される領域である。前記第三円周領域は、フレーバーホイールに含まれる表現用語の数に分類される。
前記第二円周領域のうち、領域a1の円弧に、前記第三円周領域のうちの前記(a1)の用語群に含まれる表現用語の領域群a1-1~a1-4が接している。領域a2~a10についても同様である。
前記第三円周領域中の領域群a1-1~a1-4は、例えば上記で述べた表現用語「甘味」、「砂糖の甘さ」、「さらっとした甘さ」、及び「さわやかな甘さ」にそれぞれ対応するものである。同図においては、多くの文字が細かく記載されることによる読みにくくなることを防ぐために「a1-1」~「a1-4」という符号が表記されているが、実際のフレーバーホイールにおいては、これらの符号に替えて「甘味」、「砂糖の甘さ」、「さらっとした甘さ」、及び「さわやかな甘さ」がそれぞれ記載されてよい。例えば領域a1-1には「甘味」と記載される。このように、他の領域それぞれにも、各表現用語が記載される。
【0101】
同様に、前記第二円周領域のうち、領域群b1の円弧に、前記第三円周領域のうちの前記(b1)の用語群に含まれる表現用語の領域群b1-1~b1-5が接している。領域群b2~b14についても同様である。
前記第三円周領域中の領域群b1-1~b1-5は、例えば上記で述べた表現用語「コーヒー」、「コーヒー豆」、「エスプレッソ」、「インスタントコーヒー」、及び「コーヒー粉末」にそれぞれ対応するものである。同図においては、多くの文字が細かく記載されることによる読みにくくなることを防ぐために「b1-1」~「b1-5」という符号が表記されているが、実際のフレーバーホイールにおいては、これらの符号に替えて「コーヒー」、「コーヒー豆」、「エスプレッソ」、「インスタントコーヒー」、及び「コーヒー粉末」がそれぞれ記載されてよい。このように、他の領域それぞれにも、各表現用語が記載される。
【0102】
同様に、前記第二円周領域のうち、領域群c1の円弧に、前記第三円周領域のうちの前記(c1)の用語群に含まれる表現用語の領域群c1-1~c1-5が接している。
前記第三円周領域中の領域群c1-1~c1-5は、例えば上記で述べた表現用語にそれぞれ対応するものである。同図においては、「c1-1」~「c1-5」という符号が表記されているが、実際のフレーバーホイールにおいては、これらの符号に替えて「キレ」、「濃厚」、「クリーミー」、及び「ざらついた」がそれぞれ記載されてよい。
【0103】
本技術に従うフレーバーホイールは、上記のとおり3層構造であってよいが、2層構造であってもよい。例えば、本技術に従うフレーバーホイールは、前記第一円周領域と前記第三円周領域とからなる2層構造であってよく、前記第二円周領域と前記第三円周領域とからなる2層構造であってよく、又は、前記第二円周領域と前記第三円周領域を含む2層構造であってもよく、前記第二円周領域と前記第三円周領域とからなる2層構造であってもよい。
【0104】
以下で実施例を参照して本技術をより詳しく説明するが、本技術はこれら実施例に限定されるものではない。
【0105】
4.実施例
【0106】
本技術に従うテクスチャー評価方法は、例えば以下のとおりに行われてよい。
【0107】
4-1.ミルクコーヒーサンプルの作成、評価、及び分析
【0108】
4-1-1.コーヒーのサンプルと焙煎
ブラジル,コロンビア,エチオピア,インドネシア,ベトナム産のコーヒー生豆(商品名:ブラジルNo.2,コロンビアスプレモ,エチオピアシダモグレード4,インドネシアマンデリンググレード1,ベトナムロブスタグレード1。いずれも東京アライドコーヒーロースターズ株式会社)を,プロバットL-5ロースター(ドイツ,エメリッヒ社)を用いて、L値が18又は23になるように焙煎した。L値は、粉砕した焙煎コーヒー豆を用いて、色差計ZE-2000(日本電色工業株式会社)で測定した。抽出のために、焙煎コーヒー豆を粉砕機GRN-1041(日本グラニュレーター株式会社)を用いて粒径が1000~2000μmとなるように粉砕して、コーヒー粉末を得た。
10.5L容量のカラム型抽出機(株式会社トーワテクノ)を用いて、2100gのコーヒー粉末から、以下の条件でコーヒー液を抽出した。
・コーヒー粉末量:2100g
・抽出倍率:4倍
・抽出温度:100℃
抽出されたコーヒー液は直ちに10℃以下に冷却された。
以上のとおり、5種のコーヒー豆それぞれについて2種の焙煎度のコーヒー粉末を調製し、すなわち合計で10種のコーヒー粉末が得られた。そして、10種のコーヒー粉末それぞれから、上記のとおりの抽出操作によってコーヒー液を得た。このようにして、10種のコーヒー液が得られた。
【0109】
4-1-2.ミルクコーヒーサンプルの調製
前記10種のコーヒー液を用いて、以下の表1に示される配合比で60種のミルクコーヒーサンプルを調製した。
【表1】
【0110】
上記表中のグラニュー糖(北海道糖業株式会社)は逆浸透膜水に溶解して用いられた。また、成分無調整牛乳(乳固形分無脂分:8.3%、乳脂肪分:3.5%)及び低脂肪牛乳(乳固形分無脂分:8.4%、乳脂肪分:1.5%)は、市販のもの(森永乳業株式会社)であり、プレート式殺菌機を用いて130℃で2秒間殺菌されたものであった。各コーヒー液、牛乳、砂糖、及び逆浸透膜水を混合してミルクコーヒーサンプルを得た。ミルクコーヒーサンプルは、使用するまで5℃以下の暗所で保存された。
【0111】
4-1-3.用語プールの作成
20代~50代の消費者203名に、白いプラスチックのカップに入った上記ミルクコーヒーサンプルをそれぞれ飲用させた。これらの消費者はいずれも、飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者であった。また、前記カップには蓋がされており、ランダムにラベルが貼られていた。すなわち、消費者は、カップ内部のミルクコーヒーを見ることができなかった。各カップ内のミルクコーヒーサンプルの量は約80mlであり、サンプルの温度は10℃以下であった。パネラーはプラスチックストローでサンプルを飲用し、味の特徴を図8に示されるような記入欄を含む調査票に自由に記入した。評価は静かな部屋で行われた。室温は24℃、湿度は55%であった。
【0112】
なお、203人の消費者それぞれが60サンプルすべてを評価するのでなく、1サンプルあたり、前記203人の消費者のうちの消費者40人が評価することとした。
【0113】
4-1-4.スクリーニング
消費者が調査票への記入を終了した後に、調査票に記入された表現用語が回収された。調査票から収集された表現用語は、合計で456語であった。これら456語に対して定性的スクリーニング及び定量的スクリーニングが行われて、53語が選択された。
【0114】
当該定性的スクリーニングは、飲料開発に携わる専門家12名により行われた。当該訂正的スクリーニングでは、重複している用語が除外された。また、抽象的な用語及びミルクコーヒーの風味又は特徴を表現するために不要と考えられる用語も除外された。当該定量的スクリーニングでは、使用度が0.5%未満である用語が除外された。使用度0.5%未満の用語は、203名の前記消費者のうち1名しか使用していない用語である。定性的スクリーニングでは394語、定量的スクリーニングでは9語の用語が除外された。
【0115】
選択された53の用語は、前記12名の専門家により、階層構造に整理された。階層構造への整理のために、Lawless et al. 2013(Developing Lexicons: A Review, Journal of Sensory Studies, 28(4), 270-281. https://doi.org/10.1111/joss.12050)が参照された。階層構造に整理されたこれら用語を以下表2に示す。
【0116】
【表2】
【0117】
まず、53の用語は、第二サブカテゴリー階層に割り当てられた。次に、用語間の類似性が議論され、類似である用語をまとめて、第一サブカテゴリー階層の用語群としてグループ化された。同表において、第一サブカテゴリー階層における第二階層サブカテゴリーの用語群は上から順番に並んでいるが、この順番は、各用語が選択された頻度に基づき決定された。より上位に位置する用語が、より頻度が高い。第一サブカテゴリー階層の用語群の名称は、含まれる用語の中で最も頻度の高い用語の名称とした。さらに、第一サブカテゴリー階層を、同表に示されるように、3つの「カテゴリー」に分類した。各カテゴリー内での第一サブカテゴリー階層の用語群の順番は、含まれる第二サブカテゴリー階層の用語群が選択された頻度の合計に基づき決定された。より上位に位置する第一サブカテゴリー階層が、より頻度が高い。
【0118】
4-1-5.CATA(Check-All-That-Apply)法による評価
前記60種のサンプルのうち、6つのミルクコーヒーサンプルについて、CATA法による評価を行った。当該評価において、20代から50代の消費者74人(男性34人及び女性40人)に、前記60種のサンプルのうち、6つのミルクコーヒーサンプルを白いプラスチックのカップに入れて、上記「4-1-3.用語プールの作成」で説明したように飲用させた。
【0119】
当該6つのミルクコーヒーサンプルは以下のとおりであり、具体的な組成は以下の表3に示されている。
サンプル1:L値18のブラジルNo.2と成分無調整牛乳(無糖)のミルクリッチタイプ(BL18)、
サンプル2:L値18のブラジルNo.2と成分無調整牛乳(無糖)のコーヒーリッチタイプ(BL18-2)
サンプル3:L値23のブラジルNo.2と成分無調整牛乳(無糖)のミルクリッチタイプ(BL23)、
サンプル4:L値18のブラジルNo.2と成分無調整牛乳(有糖)のミルクリッチタイプ(BL18S)、
サンプル5:L値18のエチオピアシダモグレード4と成分無調整牛乳(無糖)のミルクリッチタイプ(EL18)、及び
サンプル6:L値23のエチオピアシダモグレード4と成分無調整牛乳(無糖)のミルクリッチタイプ(EL23)
【0120】
【表3】
【0121】
図9に示されるような用語リスト50及び評価票51を含む評価シートが用意された。前記用語リスト及び前記評価票は、同図に示されるように、各問に含まれるように表示されていた。各評価者は、当該評価シートに、各サンプルについての評価結果を入力した。
同図に示されるとおり、当該評価シートは、前記選択された53の用語を含み、消費者に対し、感じた風味特徴を選択することを促すものであった。
また、当該評価シートは、同図に示されるとおり、嗜好性評価を行うための評価票も含んでいた。評価票は、同図に示されるとおり、「非常においしい」~「全くおいしくない」までの7段階のヘドニックスケールを有するものであった。当該評価シートは、各サンプルについて、各サンプルが、当該7段階のうちのいずれに該当するかを消費者に選択させることを促すものであった。
前記評価シートは、FIZZ software version 2.51 (Biosystems, Coutemon, France)を用いて作成された。前記評価シート内の、前記53の用語は、評価者に提示されるときに、ランダムに配置されるように設定された。
【0122】
当該評価シートは、表示装置の画面に表示されて各評価者に提示された。そして、各評価者は、当該画面を介して評価結果を入力した。前記評価は、専用の官能評価ブースで行われた。ブース内の温度は25℃、湿度は55%であった。
【0123】
4-1-6.QDA(Quantitative Descriptive Analysis)による評価
前記CATA法による評価結果の妥当性を確認するために、前記6つのミルクコーヒーサンプルに対してQDA法による評価を行った。当該評価は、ミルクコーヒーの評価に関する訓練を受けた20名からなるパネルによって行われた。当該パネルは、Stone and Sidel (2004)(Descriptive analysis. In S.L. Tailor (Ed.) Sensory evaluation practices (pp. 201-245). (3rd ed.) San Diego, CA, USA: Academic Press.)に従い運用された。当該パネルの各メンバーは、市販のミルクコーヒー8製品を飲用し、ミルクコーヒーの官能特性に関する125の用語を、「香り」、「味」、「テクスチャー」、及び「後味」の4つのカテゴリーに分けて挙げた。これら125の用語のうち、1)すべてのパネルメンバーがその用語の意味する味の特徴を共通に理解している、2)その用語がサンプルから認識される、3)サンプル間の味の特徴の違いを表現するために必要であると考えられる、という3つ条件を満たす用語が選択され、ミルクコーヒーの官能特性を表す用語として、以下表4に示される22の用語が選ばれた。
【0124】
【表4】
【0125】
これらの用語及び「weak」(0) から「strong」(15) までの15cmの非構造化スケールの使用方法(Fizz software version 2.51)を記憶するために、パネルメンバーは20のミルクコーヒーサンプルを用いて訓練された。当該訓練のセッションは1回当たり約2時間であり、当該訓練は、2週間に1回、合計で6回行われた。
当該訓練の後に、CATA法によって評価された6つのミルクコーヒーサンプルについて、評価が行われた。各サンプルの量は約100mlであり、その温度は10℃以下であった。サンプルを飲用する順番はランダムにした。評価は、専用の官能評価ブース内で、各サンプルについて3重に行われた。ブース内の温度は24℃、湿度は39%であった。
【0126】
4-1-7.統計解析
前記CATA法による評価結果について、Tukey-KramerのHSD(honestly significant difference)検定、コクランのQ検定、コレスポンデンス分析(以下「CA」ともいう)、及びペナルティ分析が、XLSTAT(Ver. 2020. 5. 1. 1060、マインドウエア総研株式会社)を用いて行われた。また、前記QDA法による評価結果について、主成分分析(以下「PCA」ともいう)が、XLSTAT (Ver. 2019.1. 3. 58209、マインドウエア総研株式会社)を用いて行われた。CAとPCAとの間のRV係数が、XLSTAT(Ver. 2020. 5. 1. 1060)を用いて算出された。RV係数は、CAによる分析結果とPCAによる分析結果との間の類似性を表す指標である。
【0127】
4-2.結果及び考察
【0128】
(CATA法によるCAの結果)
図10は、CATA法により得られたデータのCAの結果を示している。同図において、軸F1及びF2の寄与率は、それぞれ68.91%及び21.18%であった。
BL18Sに関して特徴的な用語は、「チョコレート」、「キャラメル」、及び「ハチミツ」であり、また、BL18Sの位置は、他のサンプルよりも「甘味」、「砂糖」、及び「練乳」に比較的近い位置にあった。
BL18-2は、「タバコ(Tobacco)」及び「焦げ(Charcoal)」などの特徴があることが分かり、深煎りの強いコーヒーの風味が感じられることが分かる。
ブラジルNo.2の代わりにエチオピアシダモグレード4を使用したEL18はBL18に近い位置にあった。
深煎りのコーヒー(L値18)の代わりに中煎りのコーヒー(L値23)を使用したBL23及びEL23は、BL18及びEL18のクラスターからF1軸のプラス側(つまり右側)に位置しており、焙煎度に由来する風味の違いが評価者によって感じられたことがわかる。
また、BL23及びEL23の間の距離は、BL18及びEL18の間の距離よりも長く、ブラジルNo.2とエチオピアシダモグレード4の香味の違いが中煎りでより感じられるようになったことが示されている。
EL23は、BL23よりもF2軸の負側(下側)に位置し、他のサンプルよりも比較的「ナッツ」と「花」に近い位置にあった。
【0129】
(QDA法によるPCAの結果)
図11は、QDA法により得られたデータのPCAの結果を示している。同図において、F1軸の寄与率は85.34%であり、F2軸の寄与率は11.03%であった。F1軸の正の方向は、強い苦味、酸味、コーヒーの風味を示していた。また、F1軸の負の方向は、強い甘み、ミルクの風味、キャラメルの風味を示していた。
BL18Sは、F1軸の負の方向に離れており、すなわち、甘味及びミルクフレーバーの特徴があることが示されている。
BL18-2は、F1軸の正の方向に離れており、すなわち、苦味及びコーヒーフレーバーの特徴があることが示されている。
EL18及びBL18のクラスター(C18という)及びEL23及びBL23のクラスター(C23という)が存在した。C18は軸の交点付近に位置していた。C23はC18よりもF2軸のマイナス側に位置していた。焙煎度に違いがあるC18及びC23の差は、コーヒー豆の違いであるブラジルNo.2とエチオピアシダモグレード4の差よりも大きかった。EL23及びBL23の間の距離はEL18及びBL18の間の距離よりも長く、これは、ブラジルNo.2とエチオピアシダモグレード4の味の違いが、中煎りでより感じられるようになったことを示している。
【0130】
(CATA法及びQDA法の分析結果の比較)
以上で述べたCATA法のCAの結果及びQDA法のPCAの結果を比較すると、F1軸は反転しているものの、6つのサンプルの位置関係は類似している。なお、QDAでは、ミルクコーヒーの「甘味」「苦味」「ミルク感」などの香味属性の強さを、「香り」「味」「口当たり」「後味」の4つのカテゴリーに分けて定量的に評価している。一方で、CATAでは、複数の表現用語を用いてサンプルを特徴づけている。このように評価方法は異なるが、2つの評価方法では、上記のとおり同様の位置関係が得られた。
これらの評価結果についてRV係数を算出したところ、RV係数は0.944(P値0.013)であり、有意であった。算出されたRV係数は0.95に非常に近く、十分に高い値であった。そのため、CATA法は、QDA法と同様に、サンプルの違いを適切に判別していることが分かる。
以上のとおりであるので、本技術に従う評価方法では、評価者として消費者、特には飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者を採用することができ、また、当該消費者に評価されたとしても、訓練されたパネルによるQDA法と同様に、適切にミルクコーヒーの風味又は特徴を評価することができることが分かる。
【0131】
(カテゴリーについて)
QDA法では、用語群が「香り」、「味」、「テクスチャー」、及び「後味」の4つのカテゴリーに分けられた。さらに、用語リスト中には、似たような用語(「甘い香り」、「甘味」、「甘い後味」など)も含まれていた。このようにカテゴリー分けされた評価項目を用いて評価することは、消費者(特には飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者)にとっては難しい。一方で、CATA法では、上記のとおり、評価シート上の用語リストは用語群をこのようにカテゴリー分けされておらず、サンプルに当てはまると消費者が感じた用語を選択する。そのため、サンプルに当てはまると消費者が感じた用語を選択する可能性が低下することを防ぐことができる。
従って、本技術において、提示工程において評価者に提示される用語リストは、カテゴリー分けされていなくてよい。例えば、提示工程において評価者に提示される用語リストは、上記のとおり、前記(A)の用語群、前記(B)の用語群、及び前記(C)の用語群の1以上を含むが、提示される用語リストには、これらの用語群に含まれる各用語が前記(A)、前記(B)、及び前記(C)のいずれに属するかが記載されていなくてよい。例えば、提示工程において、用語リストに含まれる用語群は、前記(A)、前記(B)、及び前記(C)に関係なく、ランダムに配置されてよい。用語がランダムに配置されることによって、バイアス(特定の位置が選択されやすい、など)を除くことができ、より良い評価結果を得ることができる。
【0132】
(用語リスト生成の省略について)
QDA法ではパネルの訓練に時間を要するが、CATA法ではそのような時間は不要である。CATA法では用語リストの生成に時間を要するもの、いったん用語リストが生成されれば、その用語リストを使用して繰り返し評価を実行することができる。
従って、本技術の評価方法では、提示工程において、予め用意された用語リストを使用することができる。これにより、評価に要する時間の短縮が可能である。
【0133】
(用語リストに含まれる用語の数について)
Spencer et al. (2016) (Using Single Free Sorting and Multivariate Exploratory Methods to Design a New Coffee Taster’s Flavor Wheel, Journal of Food Science, 81(12), S2997-S3005. https://doi.org/10.1111/1750-3841.13555)に開示されているフレーバーホイールは、99語を含む。Hayakawa et al. (2010) (SENSORY LEXICON OF BREWED COFFEE FOR JAPANESE CONSUMERS, UNTRAINED COFFEE PROFESSIONALS AND TRAINED COFFEE TASTERS, Journal of Sensory Studies, 25(6), 917-939. https://doi.org/10.1111/j.1745-459X.2010.00313.x)には、127の用語からなるコーヒーの感覚レキシコンが開示されている。Chambers IV et al. (2016) (Development of a “living” lexicon for descriptive sensory analysis of brewed coffee, Journal of Sensory Studies, 31(6), 465-480. https://doi.org/10.1111/joss.12237)には、110語のフレーバーレキシコンが開示されている。これらレキシコンは、主にブラックコーヒー用である。コーヒーのアロマ成分として、1000種類以上の揮発性成分と70種類の強力な臭気成分が確認されている。これらの多数の化合物が、コーヒーの多様な風味特徴に寄与しており、コーヒーの風味特徴を表現するための用語は、上記のとおり多くなる傾向にある。用語リストに含まれる用語数が多いことは、風味特徴の表現に慣れていない消費者にとっては利用しにくいと考えられる。
一方で、上記で述べたとおり、CATA法では53の用語によって、QDA法と同等の評価を行うことができることが分かった。
従って、本技術の評価方法において提示される用語リストに含まれる用語の総数は、例えば70以下、65以下、又は60以下であってよい。また、前記用語リストに含まれる用語の総数は、例えば20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、又は45以上であってよい。このような数値範囲にある用語数を含む用語リストは、訓練されていない消費者にとって利用しやすい。
また、評価対象がミルクコーヒーであるということも、このように比較的少ない用語数の用語リストでも適切に評価ができることに貢献していると考えられる。ミルクのコーヒーへの添加はフレーバーリリースを抑制し、特にミルクコーヒーのスモーク風味又はロースト風味に影響を与える。そのため、評価対象がミルクコーヒーであること及び用語リストに含まれる用語の数が上記範囲内にあること(並びに評価者が消費者、特には訓練されていない消費者であること)が、本技術の評価方法によって適切な評価を可能とすることに貢献していると考えられる。
また、53語という用語数は、一般的なCATA法において用いられる用語リストに含まれる用語数よりも多い。用語数の多さは評価者にとって負担となる可能性もある。しかしながら、上記のとおり、用語が消費者(特には訓練されていない消費者)により選択されたものであることによって、その用語を含む用語リストを評価する評価者が評価しやすいと考えられ、特に評価者が訓練されていない消費者であっても評価しやすいと考えられる。
【0134】
(用語リストに含まれる用語の選択結果について)
CATA法において用いられた用語リストに含まれる用語群は、上記のとおり、消費者、特には訓練されていない消費者が特定した用語であった。
従って、好ましくは、前記用語リストに含まれる用語は、複数の消費者それぞれに複数種のミルクコーヒーを飲用させ、そして前記複数の消費者に各ミルクコーヒーを表現する用語を特定させることによって得られた用語群のうちから選択された用語である。さらにより好ましくは、前記複数の消費者は、飲食品の評価に関する訓練を受けていない消費者である。このように選択された用語を含む用語リストによって、評価者が、訓練されていない消費者であっても、適切な評価が可能となる。
【0135】
(表示装置による用語リストの提示)
CATA法による評価において、上記のとおり、情報処理装置が用語リストは表示装置に表示させ、評価者が、当該表示装置に表示された用語リストのうちからサンプルを表す表現用語として該当すると考えられるものを選択した。評価者は、当該選択を、マウスのクリックによって行った。このように情報処理装置及び表示装置を利用することによって、評価者は簡単に用語を選択することができるので、用語リストに含まれる用語の数が53と多くても、選択されるべき用語が選択されない可能性を減らすことができる。
各用語の選択頻度が以下の表5に示されている。
【0136】
【表5】
【0137】
同表に示されるとおり、上記CATA法による評価において、53の用語が全て1回以上選択された。
【0138】
(53の用語群の選択頻度)
上記のとおり、53の用語全てが1回以上選択されたが、表5に示されるように、このうち42語については、サンプル間で選択頻度に有意差があった(コクランのQ検定におけるP値が<0.05)。他の11の用語については有意差がなかったが、これは、これら11の用語が不要であることを示唆しているのではない。上記CATA法による評価では、用語出しで用いた60サンプルの内、わずか6サンプルが評価された。当該6サンプルについて、53語のうち42語で有意差があったが、他の6サンプルを選んだ場合には異なる結果になると考えられ、例えば上記11の用語に関して有意差が確認される可能性もある。すなわち、わずか6サンプルだけの評価において、53語中42語で有意差がこれだけ確認されたということは、これら53語が、ミルクコーヒーの評価のための用語として適切であるということを示していると考えられる。
【0139】
(用語リストの特徴)
用語リストは、「味」に関する用語14語、「香り」に関する用語35語、及び「口当たり」に関する用語4語の3つのカテゴリーに分けられる。
これらのうち、「味」に関する用語14語には、「甘味」に関する用語群が含まれている。
また、「雑味」は、例えば、本来の味を損なう何かを感じたときに使用される用語である。また、「えぐみ」は、舌や喉に不快感を感じたときに使用される用語である。これらの用途であり、日本の消費者はこれらの用語に慣れ親しんでいる。そのため、これらの用語のうちの1つ又は2つを含む用語リストは、評価者が日本の消費者である場合に適している。
また、「大豆」は、上記Spencer et al.(2016)及びChamber IV et al.(2016)に開示された用語リストには含まれていない。「大豆」の使用頻度は、サンプル間で有意な差がみられた。また、「大豆」と「さわやかな甘さ」の相関係数は-0.811、「砂糖」との相関関係は-0.824、「練乳」との相関関係は-0.748であった。これらの結果から、「大豆」は日本人にとってポピュラーな表現であり、砂糖の入っていない中煎りのコーヒーをミルクと混ぜたときに感じられやすい特徴であると考えられる。そのため、「大豆」を含む用語リストは、ミルクコーヒーの評価のために有効である。
また、用語リストには、「ミルク」に関連する用語として、「ミルク」、「練乳」、「脂肪」、「クリーム」、及び「ポーションミルク」がある。また、「キャラメル」及び4つのテクスチャーに関する用語は、ミルク味及びコーヒー味の両方に関連していると考えられる。そのため、ミルクコーヒー評価用の用語リストには、既存のコーヒー用の用語リストにみられる用語だけでなく、ミルクコーヒーに特徴的な風味や特徴を表現するための用語が含まれることが好ましい。また、日本人に特有の用語が含まれていてもよい。これにより、ミルクコーヒーの適切な評価が可能となり、また、日本の消費者に適した用語リストを提供することもできる。
【0140】
(CATA及び嗜好性評価)
表5に各サンプルの嗜好性評価結果の平均値も示されている。同表には、Tukey-Kramer HSD検定の結果も示されている。当該検定結果は、同じ文字を有さないサンプル間で有意差があったことを示している。
同表に示されるとおり、BL18Sの嗜好性評価結果の平均値は4.78であり、サンプルの中で最も高かった。2番目はBL18及びEL18で、平均値はそれぞれ4.20と4.12であった。有意差はなかったが、3番目はBL23及びEL23であり、それぞれ3.86と3.57であった。BL18-2の平均値は2.68で、各サンプルの中で有意に低かった(P<0.05、Tukey-Kramer HSD検定)。深煎りで甘みのあるサンプルが好まれる傾向にあった。
【0141】
図12に、ペナルティ分析の結果を示す。当該ペナルティ分析は、嗜好性評価結果とCATA法により選択された用語との有意な関係を示す(P<0.05)。有意な関係が示された17の用語のうち、プラスの分析結果が得られた用語は8個であり、マイナスの分析結果が得られた用語は9個であった。前者の用語には、例えば「まろやか」、「ボディ」、「ミルク」、及び「クリーミー」が含まれており、これらはマイルドさとミルクの風味に関連していた。また、「ほろ苦さ」はポジティブであったが、「苦味」はネガティブであった。「スモーク」、「炭」、及び「焦げ」は、深煎りで強いコーヒーの風味に特徴的であるが、これらはネガティブな結果であった。これらの結果から、嗜好性の高いミルクコーヒーを提供するためには、ミルクの風味のある程度の強さと豊かさ及びコーヒーの穏やかな苦味が重要であることが示唆された。つまり、ミルクコーヒーの高い嗜好性には、ミルクとコーヒーのバランスが重要であることがわかった。
【0142】
以上のとおり、本技術に従う評価方法において、前記用語リストを用いた評価(特にはCATA法による評価)と嗜好性評価とを組み合わせることによって、ミルクコーヒーの嗜好性評価を高めるために有用な情報が得られることが分かる。さらに、嗜好性評価だけでなく例えば感情評価又は飲用感評価などの他のいずれか1つ以上の評価を、前記用語リストを用いた評価と組み合わせることによって、ミルクコーヒーの分析又は改善など、ミルクコーヒーの開発のために有益な知見が得られることも分かる。
そのため、本技術のこのましい実施態様において、前記提示工程において、嗜好性評価、感情評価、及び飲用感評価のうちの1つ又は2つ以上を前記ミルクコーヒーについて行うための評価票も前記評価者に提示されてよい。そして、前記評価結果生成工程において、前記評価者により前記評価票へ入力された評価結果と前記選択された用語の集団とに基づき、前記ミルクコーヒーの評価結果を生成することが行われてよい。例えば、前記情報処理装置が、前記評価者により前記評価票へ入力された評価結果と前記選択された用語の集団とに基づき、例えばペナルティ分析などの分析処理を実行する。前記情報処理装置が、当該分析処理の結果を、前記ミルクコーヒーの評価結果として生成してよい。

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