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▶ 有海 明央の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189280
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】骨切り用ガイド
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/15 20060101AFI20221215BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61B17/15
A61B17/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097779
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】521256377
【氏名又は名称】有海 明央
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有海 明央
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL01
4C160LL12
4C160LL27
4C160LL28
4C160LL29
(57)【要約】
【課題】複数方向から骨切り具の刃を挿入可能な骨切り用ガイドを提供する。
【解決手段】第1本体部11と、第2本体部12と、を有し、第1本体部11が切断対象である大腿骨2の前側に配設され、第2本体部12が大腿骨2の側部側に配設され、第1本体部11にガイド孔19、20が形成され、第2本体部12にガイド孔47、48が形成されていることにより、ガイド孔19、20とガイド孔47、48に骨切り具3の刃部3Aを挿通し、複数の角度から骨切りを行う。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1本体部と、第2本体部と、を有し、
前記第1本体部が切断対象である骨の前側に配設され、
前記第2本体部が前記骨の側部側に配設され、
前記第1本体部に第1ガイド孔が形成され、
前記第2本体部に第2ガイド孔が形成されていることを特徴とする骨切り用ガイド。
【請求項2】
前記第1ガイド孔は、前記第1本体部を前後方向に貫通する細長い貫通孔であり、
前記第2ガイド孔は、前記第2本体部を左右方向に貫通する細長い貫通孔であり、
前記第1ガイド孔と前記第2ガイド孔が同一平面上に位置することを特徴とする請求項1に記載の骨切り用ガイド。
【請求項3】
前記第1ガイド孔の長手方向と前記第2ガイド孔の長手方向が直交することを特徴とする請求項1又は2に記載の骨切りガイド。
【請求項4】
前記第1本体部が連結用突起部を有し、
前記第2本体部が連結用受部を有し、
前記連結用受部には、連結挿入孔が形成され、
前記連結用突起部を前記連結挿入孔に挿脱することで前記第1本体部と前記第2本体部を着脱可能であり、
前記連結用突起部を前記連結挿入孔に挿入した状態で、前記連結用突起部が前記連結挿入孔内で上下方向に移動せず、左右方向に移動可能であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の骨切りガイド。
【請求項5】
前記第2本体部の先端部に固定ピンを挿通するピン孔が形成されていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の骨切りガイド。
【請求項6】
前記連結用突起部が前記第1本体部の下側部分に配設され、
前記連結用受部が前記第2本体部の下側部分に配設されていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の骨切りガイド。
【請求項7】
前記第1本体部は固定ピンを挿通する第1ピン孔を有し、
前記第2本体部は固定ピンを挿通する第2ピン孔を有し、
前記第1ガイド孔が平行に形成された一対のガイド孔であり、
前記第2ガイド孔が平行に形成された一対のガイド孔であり、
前記第1ピン孔が前記一対の第1ガイド孔の間に形成され、
前記第2ピン孔が前記一対の第2ガイド孔の間に形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の骨切りガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)、人工膝関節単顆置換術(UKA:Unicompartmental Knee Arthroplasty)に用いる骨切り用ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、変形性膝関節症や大腿骨骨壊死などを治療する手術療法として、異常が認められた膝関節を全て人工関節に置換する手術である人工膝関節全置換術や、変形した膝関節の一部のみを取り除いて人工関節を置換する人工膝関節単顆置換術が行われている。
【0003】
これら人工膝関節置換術において、インプラント設置の際にはまず、大腿骨及び脛骨の一部を、ボーンソー等の切除器具で切除し、そこにインプラントが設置されるが、インプラントの冠状面設置角度は、術後成績に左右する重要な要因である。したがってインプラントの最終的な冠状面・矢状面アライメントが最終決定される大腿骨又は脛骨の骨切りでは、極めて正確な操作が要求される。骨切りの一般的な方法は、大腿骨又は脛骨に骨切ガイドを固定し、骨切ガイドのスロットからボーンソーを挿入して骨切りが行われる。
【0004】
特許文献1には、大腿骨の骨切りガイドの一例が示されている。この骨切りガイドは、大腿骨遠位端部の前部にあけられたドリル孔に挿入された位置決め用ピンに嵌合するピン孔と、大腿骨に人工膝関節のための遠位設置面を形成するためにブレードカッタを案内するガイド面を有している。
【0005】
また、特許文献2には、脛骨の近位側の端部の切除方向をガイドする切除ガイド部を備える人工膝関節置換術要手術器具が開示されている。切除ガイド部には、切除器具の切除方向をガイドするスリット状のガイド溝が貫通形成されており、このガイド溝に沿って切除器具が差し込まれ、脛骨の近位側の端部の一部が切除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014―018437号公報
【特許文献2】特開2016―140487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらこの種のガイドでは、スロットと切除器具の刃との間に若干の遊びがあり、切除器具の刃が薄板状であることから、骨切り時に刃がブレたり変形することで、予想した骨切りラインから歪んでしまうという問題があった。また、特許文献1及び特許文献2に記載されたガイドでは、切除器具の刃を一方向(前側)からしか挿入することができず、ガイドから離れた後側にいくにしたがって、切除器具の刃のブレがより大きくなり易く、骨切りの切断精度が落ちるという問題があった。特に、変形を有する膝においては、膝の内側は骨硬化をきたしていることが多く、その部分の骨切りは、ガイドから離れており、刃のブレが大きくなり、精度良く切断することが困難であった。
【0008】
また、脛骨の前側から外側には、膝蓋骨や軟部組織が存在するため、その損傷を避ける必要があるが、切除器具の刃を前側から挿入した場合、刃を外側方向に向けることができないため、脛骨の前外側の骨を切ることができず、後に切り直しの作業が必要となるという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は以上の問題点を解決し、複数方向から骨切り具の刃を挿入可能な骨切り用ガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る骨切り用ガイドは、第1本体部と、第2本体部と、を有し、前記第1本体部が切断対象である骨の前側に配設され、前記第2本体部が前記骨の側部側に配設され、前記第1本体部に第1ガイド孔が形成され、前記第2本体部に第2ガイド孔が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る骨切り用ガイドは、前記第1ガイド孔が、前記第1本体部を前後方向に貫通する細長い貫通孔であり、前記第2ガイド孔が、前記第2本体部を左右方向に貫通する細長い貫通孔であり、前記第1ガイド孔と前記第2ガイド孔が同一平面上に位置することがある。
【0012】
また、本発明に係る骨切り用ガイドは、前記第1ガイド孔の長手方向と前記第2ガイド孔の長手方向が直交することがある。
【0013】
また、本発明に係る骨切り用ガイドは、前記第1本体部が連結用突起部を有し、前記第2本体部が連結用受部を有し、前記連結用受部には、連結挿入孔が形成され、前記連結用突起部を前記連結挿入孔に挿脱することで前記第1本体部と前記第2本体部を着脱可能であり、前記連結用突起部を前記連結挿入孔に挿入した状態で、前記連結用突起部が前記連結挿入孔内で上下方向に移動せず、左右方向に移動可能であることがある。
【0014】
また、本発明に係る骨切り用ガイドは、前記第2本体部の先端部に固定ピンを挿通するピン孔が形成されていることがある。
【0015】
また、本発明に係る骨切り用ガイドは、前記連結用突起部が前記第1本体部の下側部分に配設され、前記連結用受部が前記第2本体部の下側部分に配設されていることがある。
【0016】
また、本発明に係る骨切り用ガイドは、前記第1本体部は固定ピンを挿通する第1ピン孔を有し、前記第2本体部は固定ピンを挿通する第2ピン孔を有し、前記第1ガイド孔が平行に形成された一対のガイド孔であり、前記第2ガイド孔が平行に形成された一対のガイド孔であり、前記第1ピン孔が前記一対の第1ガイド孔の間に形成され、前記第2ピン孔が前記一対の第2ガイド孔の間に形成されていることがある。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る骨切り用ガイドによれば、複数の方向から骨切り具の刃を挿入することができ、大腿骨及び脛骨を複数の方向から骨切りすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態の骨切り用ガイドの正面図である。
図2】本発明の一実施形態の骨切り用ガイドの平面図である。
図3】本発明の一実施形態の骨切り用ガイドの左側面図である。
図4】本発明の一実施形態の骨切り用ガイドの右側面図である。
図5】骨切り具の斜視図である。
図6】左足の大腿骨の遠位部位の斜視図である。
図7】本発明の一実施形態の髄内ロッドを大腿骨に挿通した状態を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態の外反ガイドを大腿骨に取り付けた状態を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態の骨切り用ガイドを外反ガイドに取り付ける過程を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態の骨切り用ガイドを外反ガイドに取り付けた状態を示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態の前側の固定ピンを挿入して骨切り用ガイドを固定した状態を示す斜視図である。
図12】本発明の一実施形態の前側の固定ピンと側部側の固定ピンを挿入して骨切り用ガイドを固定した状態を示す斜視図である。
図13】本発明の一実施形態の骨切り用ガイドを大腿骨に固定後、髄内ロッドを取り外した状態を示す斜視図である。
図14】本発明の一実施形態の骨切り用ガイドを大腿骨に固定後、外反ガイドを取り外した状態を示す斜視図である。
図15】本発明の他の実施形態の第1本体部の平面図である。
図16】本発明の他の実施形態の第1本体部の正面図である。
図17】本発明の他の実施形態の第2本体部の平面図である。
図18】本発明の他の実施形態の第2本体部の正面図である。
図19】本発明の他の実施形態の第2本体部の左側面図である。
図20】右足の脛骨の近位部位を上側から見た図である。
図21】本発明の他の実施形態の第1本体部を脛骨に取り付けた状態を示す平面図である。
図22】本発明の他の実施形態の第2本体部を第1本体部に取り付ける過程を示す平面図である。
図23】本発明の他の実施形態の第2本体部を脛骨に取り付けた状態を示す平面図である。
図24】本発明の他の実施形態の骨切り用ガイドを使用して脛骨を切断する過程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。以下、前側、後側、上側、下側、一側、他側という場合は、骨切り用ガイド1、1Aを大腿骨2と脛骨4に取り付けたときに、患者である人間の前側、後側、上側、下側、膝の内側、膝の外側をいうものとする。
【0020】
図1図4に示す、本実施形態の骨切り用ガイド1は、人間の大腿骨2の遠位部2A(図6等参照)を切断する際に使用するガイドであり、第1本体部11と第2本体部12が一体となって形成されている。第2本体部12は、第1本体部11の下側端部15に連結しており、第1本体部11に対して直角に延設されている。
【0021】
第1本体部11は、前側端部13と、後側端部14と、下側端部15と、上側端部16と、一側端部17と、他側端部18と、を有している。また、第1本体部11には、2つのガイド孔19、20と、複数のピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bと、2つの取付溝26、27が形成されている。
【0022】
ガイド孔19、20は、第1本体部11を前後方向に貫通する細長い貫通孔であり、このガイド孔19、20にボーンソー等の骨切り具3の刃部3A(図5参照)が挿通される。ガイド孔19、20の短手方向の長さG1、G2は刃部3Aの厚さDよりも僅かに長く形成されている。すなわち、ガイド孔19、20は、薄板状の刃部3Aを挿通した場合に僅かに遊びが生じるように形成されている。
【0023】
ガイド孔19は、ピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bよりも下側端部15側に形成され、ガイド孔20は、ピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bよりも上側端部16側に形成されている。ガイド孔19、20が本発明の一対の第1ガイド孔を構成する。
【0024】
ピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bは、第1本体部11を前後方向に貫通する円形の貫通孔であり、骨切り用ガイド1を大腿骨2に固定する固定ピン28を挿通するものである。図2に示すように、ピン孔21Aとピン孔21Bは、第1本体部11の長手方向において所定の間隔M1を有して一対で形成されている。また、ピン孔22Aとピン孔22Bは、第1本体部11の長手方向において所定の間隔M2を有して一対で形成されている。また、ピン孔23Aとピン孔23Bは、第1本体部11の長手方向において所定の間隔M3を有して一対で形成されている。また、ピン孔24Aとピン孔24Bは、第1本体部11の長手方向において所定の間隔M4を有して一対で形成されている。また、ピン孔25Aとピン孔25Bは、第1本体部11の長手方向において所定の間隔M5を有して一対で形成されている。間隔M1、M2、M3、M4、M5は全て等しい長さに形成されている。なお、間隔M1、M2、M3、M4、M5は、骨切り用ガイド1を大腿骨2に確実に固定することができれば、所望の長さとすることができる。
【0025】
ピン孔22A、22Bは、ピン孔21A、21Bよりも下側端部15側に位置し、ピン孔23A、23Bは、ピン孔22A、22Bよりも下側端部15側に位置し、ピン孔24A、24Bは、ピン孔21A、21Bよりも上側端部16側に位置し、ピン孔25A、25Bは、ピン孔24A、24Bよりも上側端部16側に位置している。
【0026】
ピン孔22A、22Bは、ピン孔21A、21Bに対して下側端部15側に2mm、他側端部18側に4mmずれた位置に形成されている。ピン孔23A、23Bは、ピン孔22A、22Bに対して下側端部15側に2mm、他側端部18側に4mmずれた位置に形成されている。ピン孔24A、24Bは、ピン孔21A、21Bに対して上側端部16側に2mm、他側端部18側に4mmずれた位置に形成されている。ピン孔25A、25Bは、ピン孔24A、24Bに対して上側端部16側に2mm、他側端部18側に4mmずれた位置に形成されている。なお、本実施形態では、ピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bのずれ量を上記のように2mmと4mmとしているが、1mmと2mmや、2mmと3mm等、所望のずれ量とすることができる。
【0027】
取付溝26、27は、後述する外反ガイド52を取り付ける部分であり、有底の溝形状を有している。図3及び図4に示すように、取付溝26、27は、一側端部17側及び他側端部18側から見た場合に、縦溝部29、30と横溝部31、32を有する倒T字形状を有し、取付溝26は、下側端部15側と一側端部17側と他側端部18側が開口するように形成され、取付溝27は、上側端部16側と一側端部17側と他側端部18側が開口するように形成されている。
【0028】
図2及び図4に示すように、ガイド溝19は、ピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bよりも下側端部15側に位置し、取付溝26よりも上側端部16側に位置している。また、ガイド溝20は、ピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bよりも上側端部16側に位置し、取付溝27よりも下側端部15側に位置している。
【0029】
第2本体部12は、前側端部(図示せず)と、後側端部42と、下側端部43と、上側端部44と、内側端部45と、外側端部46と、を有している。上側端部は、第1本体部11の後側端部14に連結されており、第1本体部11の一側端部17と第2本体部12の外側端部46は面一となっている。また、第2本体部12には、2つのガイド孔47、48と、一対のピン孔49A、49Bが形成されている。
【0030】
図3及び図4に示すように、ガイド孔47、48は、第2本体部12を内外方向(左右方向)に貫通する細長い貫通孔であり、このガイド孔47、48に骨切り具3の刃部3Aが挿通される。ガイド孔47、48の短手方向の長さG3、G4は刃部の厚さDよりも僅かに長く形成されている。本実施形態では、ガイド孔47、48の短手方向の長さG3、G4とガイド孔19、20の短手方向の長さG1、G2は同一である。ガイド孔47、48が本発明の一対の第2ガイド孔を構成する。
【0031】
ガイド溝19とガイド孔47は連通していないが、同一平面上に位置し、ガイド溝19の長手方向とガイド孔47の長手方向は直交する。また、ガイド溝20とガイド孔48は連通していないが、同一平面上に位置し、ガイド溝20の長手方向とガイド孔48の長手方向は直交する。
【0032】
ピン孔49A、49Bは、第2本体部12を内外方向(左右方向)に貫通する円形の貫通孔であり、骨切り用ガイド1を大腿骨2に固定する固定ピン28を挿通するものである。ピン孔49Aとピン孔49Bは、第2本体部12の長手方向において所定の間隔M6を有して一対で形成されている。なお、間隔M6は、ピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bの間隔M1、M2、M3、M4、M5との関係で、骨切り用ガイド1を大腿骨2に確実に固定することができれば、所望の長さとすることができる。
【0033】
ここで、左足の大腿骨2の骨切り時の骨切り用ガイド1の使用方法について説明する。先ず、図6に示すように、大腿四頭筋腱、膝蓋腱、膝蓋骨等を切開し、大腿骨2の遠位部2Aを露出させた状態で、図7に示すように、大腿骨2の髄腔2Bに髄内ロッド51を挿入する。
【0034】
次に、図8に示すように、髄内ロッド51に外反ガイド52を取り付ける。外反ガイド52は、大腿骨2の遠位関節面2Cに当接させる板状のパドル53と、骨切り用ガイド1を外反ガイド52に取り付ける取付部54と、パドル53と取付部54を連結する連結部55を有する。パドル53は、遠位関節面2Cに対する内外反角度を調節可能であり、パドル53の角度を調節することで骨切り用ガイド1の取り付け角度が決定される。パドル53の取り付け角度を調節後、角度固定部56により外反ガイド52を固定する。取付部54は、縦板部57と横板部58を有する倒T字形状に形成されている。
【0035】
次に、図9に示すように、取付部54に骨切り用ガイド1を取り付ける。このとき、縦板部57が縦溝部29に配置され、横板部58が横溝部31に配置されるように、取付部54を取付溝26にスライドさせて挿入する。また、図10に示すように、第2本体部12を大腿骨2に接近させることにより、固定ピン28の固定精度を向上させることができる。
【0036】
次に、電動ドリル等の穿孔治具(図示せず)に固定ピン28を取り付けた状態で、固定ピン28をピン孔21Aに挿入し、穿孔治具を駆動させ、固定ピン28により大腿骨2を削りながら大腿骨2に固定ピン28を挿し込んで固定する。同様に、ピン孔21Bにも固定ピン28を挿入し、大腿骨2に固定ピン28を挿し込で固定する(図11参照)。
【0037】
次に、穿孔治具に取り付けた固定ピン28をピン孔49A、49Bに順次挿入し、穿孔治具を駆動させ、固定ピン28により大腿骨2を削りながら大腿骨2に固定ピン28を挿し込で固定する(図12参照)。このように、骨切り用ガイド1は、前側と側部側(膝の内側)の二方向から固定ピン28により大腿骨2に固定されるため、確実に固定される。
【0038】
次に、図13及び図14に示すように、髄内ロッド51を髄腔2Bから引き抜き、角度固定部56を取り外すと共に外反ガイド52を骨切り用ガイド1から取り外すと骨切り用ガイド1の設置が完了する。この状態で、骨切り具3の刃部3Aをガイド孔19、47に挿入し、大腿骨2の遠位部2Aを切断し、遠位部2Aの一部を切除する。第1本体部11のガイド孔19と、第2本体部12のガイド孔47は、同一平面上に位置するため、骨切り具3の刃部3Aをガイド孔19に挿入して大腿骨2を切断した場合の切断面と、刃部3Aをガイド孔47に挿入して大腿骨2を切断した場合の切断面は同一面となる。なお、第1本体部11のガイド孔20と、第2本体部12のガイド孔48が同一平面上に位置する。骨切り終了後、固定ピン28を全て引き抜き、骨切り用ガイド1を取り外す。
【0039】
なお、症例によっては上述の方法で大腿骨2の遠位部2Aの一部を切除した後、さらに遠位部2Aの骨切り量を多くしたい場合がある。そのような場合には、ピン孔49A、49Bから側部側の固定ピン28を引き抜き、前側の固定ピン28を大腿骨2に固定した状態で、骨切り用ガイド1を前側の固定ピン28から取り外す。切り足したい量に応じて、ピン孔22A、22B又はピン孔23A、23Bの何れかを選択し、選択したピン孔22A、22B又はピン孔23A、23Bに前側の固定ピン28を挿通することで、骨切り用ガイド1を再度前側の固定ピン28に取り付ける。切り足し量が2mmの場合はピン孔22A、22Bを使用し、切り足し量が4mmの場合はピン孔23A、23Bを使用する。その後、側部側の固定ピン28をピン孔49A、49Bと挿入孔に挿入する。この状態で骨切り具3の刃部3Aをガイド孔19、47に挿入し、大腿骨2の遠位部2Aを切り足す。
【0040】
骨切り用ガイド1は、右足の大腿骨2の骨切りにおいても使用できる左右兼用のガイドである。右足の大腿骨2の骨切りに使用する場合には、第2本体部12が右足の膝の内側に配置されるように骨切り用ガイド1を大腿骨2に固定する。このとき、外反ガイド52は、取付溝27を使用して取り付ける。そして、骨切り具3の刃部3Aをガイド孔20、48に挿入し、大腿骨2の遠位部2Aを切断する。遠位部2Aの切り足しをする場合には、ピン孔24A、24B又はピン孔25A、25Bを使用する。
【0041】
上述のような使用するピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bの変更は、切り足し時に限らず、大腿骨2の骨切り前に行うこともある。また、通常、ピン孔21A、21Bを使用し、第2本体部12を大腿骨2の内側に接近させた位置で骨切り用ガイド1を大腿骨2に取り付ける。そのため、使用するピン孔を変更し、骨切り用ガイド1の位置を大腿骨2の近位方向に移動させる場合に、骨切り用ガイド1(第2本体部12)が大腿骨2に当接し、一方向(図2の白抜き矢印Y1又は白抜き矢印Y2の方向)に平行移動させることができない場合がある。そのため、本実施形態のピン孔22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bは、ピン孔21A、21Bよりも他側端部18側に形成されており、ピン孔21A、21Bからピン孔22A、22B、23A、23Bに変更する場合、第2本体部12が大腿骨2から僅かに離れる方向と前記一方向(図2の白抜き矢印Y1の方向)に骨切り用ガイド1を斜め方向(図2の白抜き矢印Y3の方向)に平行移動させて取り付けることができるようになっている。また、ピン孔21A、21Bからピン孔24A、24B、25A、25Bに変更した場合、第2本体部12が大腿骨2から僅かに離れる方向と前記一方向(図2の白抜き矢印Y2の方向)に骨切り用ガイド1を斜め方向(図2の白抜き矢印Y4の方向)に平行移動させて取り付けることができるようになっている。
【0042】
以上のように、本実施形態の骨切り用ガイド1は、第1本体部11と、第2本体部12と、を有し、第1本体部11が切断対象である大腿骨2の前側に配設され、第2本体部12が大腿骨2の側部側に配設され、第1本体部11にガイド孔19、20が形成され、第2本体部12にガイド孔47、48が形成されていることにより、ガイド孔19、20を使用して骨切り具3の刃部3Aを前側から挿入して大腿骨2を前側から切断することができると共に、ガイド孔47、48を使用して骨切り具3の刃部3Aを側部側(膝の内側)から挿入して大腿骨2を側部側(膝の内側)から切断することができる。そのため、大腿骨2の内側が骨硬化している場合であっても、第2本体部12が大腿骨2の内側に接近しているため、刃部3Aがブレ難く、精度良く大腿骨2の内側部分を切断することができる。
【0043】
また、本実施形態の骨切り用ガイド1は、ガイド孔19、20は、第1本体部11を前後方向に貫通する細長い貫通孔であり、ガイド孔47、48は、第2本体部12を左右方向に貫通する細長い貫通孔であり、ガイド孔19、20と第2ガイド孔47、48が同一平面上に位置することにより、骨切り具3の刃部3Aをガイド孔19に挿入して大腿骨2を切断した場合の切断面と、刃部3Aをガイド孔47に挿入して大腿骨2を切断した場合の切断面は同一面となる。また、骨切り具3の刃部3Aをガイド孔20に挿入して大腿骨2を切断した場合の切断面と、刃部3Aをガイド孔48に挿入して大腿骨2を切断した場合の切断面は同一面となる。
【0044】
また、本実施形態の骨切り用ガイド1は、ガイド孔19、20の長手方向とガイド孔47、48の長手方向が直交することにより、骨切り具3の刃部3Aを90度異なる角度からガイド孔19、20とガイド孔47、48に挿入して大腿骨2を切断することができる。そのため、大腿骨2のうち、骨切り用ガイド1から離れた位置で切断する部分が少なくなり、切断精度を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態の骨切り用ガイド1は、第1本体部11は固定ピン28を挿通するピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bを有し、第2本体部12は固定ピン28を挿通するピン孔49A、49Bを有し、ガイド孔19、20が平行に形成された一対のガイド孔19、20であり、ガイド孔47、48が平行に形成された一対のガイド孔47、48であり、第1ピン孔21A、21B、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25Bが一対のガイド孔19、20の間に形成され、ピン孔49A、49Bが一対のガイド孔47、48の間に形成されていることにより、左右の大腿骨2の骨切りに使用することができる。
【0046】
図15図24は、他の実施形態を示しており、図15図19に示す本実施形態の骨切り用ガイド1Aは、人間の脛骨4の近位部4Aを切断する際に使用するガイドであり、第1本体部61と第2本体部62を有して構成されている。
【0047】
図15及び図16に示すように、第1本体部61は、前側ガイド部63と連結用突起部64を一体に有している。前側ガイド部63は、前側端部65と、後側端部66と、上側端部67と、下側端部68と、他側端部69と、を有している。前側端部65は、後側に湾曲した前側湾曲部70を有し、後側端部66は後側に湾曲した後側湾曲部71を有している。前側湾曲部70と後側湾曲部71は、他側端部69と反対側の端部で連結しており、この連結部分である一側端部72は、図15に示す平面視において先細り形状を有している。また、前側ガイド部63には、1つのガイド孔73と、2つのピン孔74A、74Bが形成されている。
【0048】
ガイド孔73は、前側ガイド部63を前後方向に貫通する細長い貫通孔であり、このガイド孔73に骨切り具3の刃部3A(図5参照)が挿通される。ガイド孔73の短手方向の長さG5は、刃部3Aの厚さDよりも僅かに長く形成されている。すなわち、ガイド孔73は、薄板状の刃部3Aを挿通した場合に僅かに遊びが生じるように形成されている。
【0049】
ガイド孔73は、ピン孔74A、74Bよりも上側端部67側に形成されており、前側ガイド部63の長手方向の長さの約90%程度の長さを有する。
【0050】
ピン孔74A、74Bは、前側ガイド部63を前後方向に貫通する円形の貫通孔であり、前側ガイド部63を脛骨4に固定する固定ピン28を挿通するものである。
【0051】
連結用突起部64は、前側湾曲部70の下側部分から前側に突設されている。連結用突起部64は、前側ガイド部63の長手方向と略直角を成す方向に延設されている。連結用突起部64は、前側面部75、後側面部(図示せず)、上側面部76、下側面部77、内側面部78、外側面部79と、を有している。連結用突起部64は、図16に示す正面視において横長の矩形状に形成されている。連結用突起部64の厚さH1は、前側ガイド部63の厚さH2の1/4程度であり、連結用突起部64の下側面部77は、前側ガイド部63の下側端部68と面一となっている。連結用突起部64の先端角部80A、80Bは、図15に示す平面視に置いて円弧状に形成されている。連結用突起部64の後側面部が前側ガイド部63の前側湾曲部70に連結されている。本実施形態の連結用突起部64は、幅W1が10mm、長さLが最も長い部分で20mm、厚さH1が3mmに形成されているが、第1本体部61と第2本体部62を確実に着脱可能であれば、その寸法は変更してもよい。
【0052】
図17図19に示すように、第2本体部62は、内側ガイド部81と連結用受部82を一体に有している。内側ガイド部81は、上側端部83と、下側端部84と、一側端部85と、他側端部86と、後側端部87と、を有している。一側端部85の前側部分(連結用受部82側部分)には、湾曲した一側湾曲部88が形成され、他側端部86の前側部分(連結用受部82側部分)には、湾曲した他側湾曲部89が形成されている。図18に示すように、内側ガイド部81は、他側端部86側よりも一側端部85側が薄くなるように下側端部84が傾斜している。
【0053】
内側ガイド部81には、1つのガイド孔90と、1つのピン孔91が形成されている。ガイド孔90は、内側ガイド部81を内外方向(左右方向)に貫通する細長い貫通孔であり、このガイド孔90に骨切り具3の刃部3A(図5参照)が挿通される。ガイド孔90の短手方向の長さG6は、刃部3Aの厚さDよりも僅かに長く形成されている。すなわち、ガイド孔90は、薄板状の刃部3Aを挿通した場合に僅かに遊びが生じるように形成されている。ガイド孔90は、ピン孔91よりも上側端部83側に形成されており、内側ガイド部81の長手方向の長さの約90%程度の長さを有する。
【0054】
ガイド溝73とガイド孔90は連通していないが、同一平面上に位置し、ガイド溝73の長手方向とガイド孔90の長手方向は直交する。
【0055】
ピン孔91は、内側ガイド部81の先端部81Aに形成され、内側ガイド部81を内外方向(左右方向)に貫通する円形の貫通孔であり、第2本体部62を脛骨4に固定する固定ピン28を挿通するものである。
【0056】
連結用受部82は、第2本体部62の下側部分に配設され、上側面部92と、下側面部93と、内側面部94と、外側面部95と、前側面部96と、後側面部97と、を有している。また、連結用受部82には、連結用受部82を前後方向に貫通する矩形状の貫通孔である連結挿入孔98が形成されている。後側端部97は、図17に示す平面視において湾曲して形成され、他側端部95側よりも一側端部94側が前後方向に長く形成されている。また、連結用受部82と連結挿入孔98は、図18に示す正面視において横長の矩形状に形成されている。
【0057】
連結挿入孔98は、連結用突起部64の外形よりも大きく形成されている。連結用突起部64を連結挿入孔98に挿入した際に、連結用突起部64が連結挿入孔98内で左右方向には移動可能となっているが、上下方向はガタつかないように、連結用突起部64の上側面部76と下側面部77が連結挿入孔98の内面に当接する。本実施形態では、連結挿入孔98の左右方向の長さW2は、連結用突起部64の左右方向の幅W1の1.5倍程度の長さ(約15mm)に形成されているが、この寸法は、約15mmに限らず、連結用突起部64の幅W1との関係で適宜決定されるものである。
【0058】
連結用受部82の厚さH3は、内側ガイド部81の最も厚い部分の厚さH4の1/3程度であり、連結用受部82の下側面部93は、内側ガイド部81の下側端部84に連続している。
【0059】
ここで、右足の脛骨4の骨切り時の骨切り用ガイド1Aの使用方法について説明する。先ず、図20に示すように、大腿四頭筋腱、膝蓋腱、膝蓋骨等を切開し、脛骨4の近位部4Aを露出させた状態で、図示しない調節具を使用し、第1本体部61の取り付け位置を決定する。この調節具は、従来から使用されているものを使用することができ、図示しないが、第1本体部61は調節具に取り付け可能な機構を有している。
【0060】
次に、図21に示すように、取り付け位置に第1本体部61を配置し、穿孔治具に取り付けた固定ピン28をピン孔74A、74Bに順次挿入し、穿孔治具を駆動させ、固定ピン28により脛骨4を削りながら脛骨4に固定ピン28を挿し込で固定する。
【0061】
次に、図22に示すように、第2本体部62を白抜き矢印Y5の方向に移動させて連結挿入孔98に連結用突起部64を挿入し、第2本体部62を第1本体部61に取り付ける。このとき、内側ガイド部81の後側端部87で、脛骨4の内側の軟部組織(図示せず)を押しよけることができる。連結用突起部64は、前側ガイド部63の前側湾曲部70と連結用受部82の後側面部97が当接するように、連結挿入孔98に完全に挿入することが好ましいが、後側端部87が軟部組織等に干渉し、連結用突起部64が連結挿入孔98に完全に挿入できない場合には、途中で止めてもよい。
【0062】
次に、図23に示すように、第2本体部62を白抜き矢印Y6の方向に移動させて第2本体部62の内外方向(左右方向)の位置を調節し、穿孔治具に取り付けた固定ピン28をピン孔91に挿入し、穿孔治具を駆動させ、固定ピン28により脛骨4を削りながら脛骨4に固定ピン28を挿し込で固定する。このように、骨切り用ガイド1Aは、前側と側部側(膝の内側)の二方向から固定ピン28により脛骨4に固定されるため、確実に固定される。これで、骨切り用ガイド1Aの設置が完了する。なお、固定ピン28は、第2本体部62を固定すると共に、脛骨4の内側の軟部組織に対するリトラクターとして機能させることも可能である。
【0063】
この状態で、骨切り具3の刃部3Aをガイド孔73、90に挿入し、脛骨4の近位部4Aを切断し、金位部4Aの一部を切除する。図24に示すように、刃部3Aをガイド孔90に挿入することで、脛骨4の前外側に存在する軟部組織(図示せず)側に刃部3Aの先端を向けて骨切りを行うことができる。そのため、軟部組織を損傷させることなく軟部組織に接近した位置まで骨切りを行うことができる。骨切り用ガイド1Aを設置した状態では、第1本体部61のガイド孔73と、第2本体部62のガイド孔90が同一平面上に位置する。そのため、骨切り具3の刃部3Aをガイド孔73に挿入して脛骨4を切断した場合の切断面と、刃部3Aをガイド孔90に挿入して脛骨4を切断した場合の切断面が同一面となる。骨切り終了後、固定ピン28を全て引き抜き、骨切り用ガイド1Aを取り外す。
【0064】
本実施形態の骨切り用ガイド1Aは、連結用突起部64が第1本体部61の下側部分に設けられている。そのため、図5に示す骨切り具3を使用し、刃部3Aをガイド孔73に挿入して骨切りを行う場合、骨切り具3の刃保持部3Bが第2本体部62に当たってしまうことがある。その場合、骨切り具3を上下反転させて使用することで、刃保持部3Bよりも高さが低い刃取付部3Cが下側となり、第2本体部62に当たり難くなる。なお、大腿骨2及び脛骨4は、図5に示すような骨切り具3に限らず、他の骨切り具を使用して切断してもよい。
【0065】
以上のように、本実施形態の骨切り用ガイド1Aは、第1本体部61と、第2本体部62と、を有し、第1本体部61が切断対象である脛骨4の前側に配設され、第2本体部62が脛骨の側部側に配設され、第1本体部61にガイド孔73が形成され、第2本体部62にガイド孔90が形成されていることにより、ガイド孔73を使用して骨切り具3の刃部3Aを前側から挿入して脛骨4を前側から切断することができると共に、ガイド孔90を使用して骨切り具3の刃部3Aを側部側(膝の内側)から挿入して脛骨4を側部側(膝の内側)から切断することができる。そのため、脛骨4の内側が硬化している場合であっても、第2本体部62が脛骨4の内側に接近しているため、刃部3Aがブレ難く、精度良く脛骨4の内側部分を切断することができる。また、脛骨4の前側から外側に存在する膝蓋腱等の軟部組織に刃部3Aの先端を向けることができるため、軟部組織を損傷させることなく骨切りを行うことができる。
【0066】
また、本実施形態の骨切り用ガイド1Aは、ガイド孔73が、第1本体部61を前後方向に貫通する細長い貫通孔であり、ガイド孔90が、第2本体部62を左右方向に貫通する細長い貫通孔であり、ガイド孔73とガイド孔90が同一平面上に位置することにより、骨切り具3の刃部3Aをガイド孔73に挿入して脛骨4を切断した場合の切断面と、刃部3Aをガイド孔90に挿入して脛骨4を切断した場合の切断面は同一面となる。
【0067】
また、本実施形態の骨切り用ガイド1Aは、ガイド孔73の長手方向とガイド孔90の長手方向が直交することにより、骨切り具3の刃部3Aを90度異なる角度からガイド孔73とガイド孔90に挿入して脛骨4を切断することができる。そのため、脛骨4のうち、骨切り用ガイド1Aから離れた位置で切断する部分が少なくなり、切断精度を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態の骨切り用ガイド1Aは、第1本体部61が連結用突起部64を有し、第2本体部62が連結用受部82を有し、連結用受部82には、連結挿入孔98が形成され、連結用突起部64を連結挿入孔98に挿脱することで第1本体部61と第2本体部62を着脱可能であり、連結用突起部64を連結挿入孔98に挿入した状態で、連結用突起部64が連結挿入孔98内で上下方向に移動せず、左右方向に移動可能であることにより、第1本体部61を脛骨4の前側に固定した後、第2本体部62の位置を左右方向に調節することができる。そのため、大きさに個人差がある脛骨4であっても、脛骨4の大きさに適応させた位置決めが容易となる。
【0069】
また、本実施形態の骨切り用ガイド1Aは、第2本体部62の先端部81Aに固定ピン28を挿通するピン孔91が形成されていることにより、第2本体部62の先端部81Aで軟部組織を押しよけ、ピン孔91に挿入した固定ピン28を軟部組織に対するリトラクターとして機能させることができる。
【0070】
また、本実施形態の骨切り用ガイド1Aは、連結用突起部64が第1本体部61の下側部分に配設され、連結用受部82が第2本体部62の下側部分に配設されていることにより、骨切り具3の刃部3Aをガイド孔73に挿入して骨切りを行う際に、骨切り具3の刃保持部3Bや刃取付部3Cが第2本体部62に接触し難くすることができる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。そのため、同様の作用・効果を奏するものであれば、例えば、骨切り用ガイドを把持し易い形状にしたり、角部に面取りを施す等、機能を損なわない外形の変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 骨切り用ガイド
1A 骨切り用ガイド
2 大腿骨(骨)
4 脛骨(骨)
11 第1本体部
12 第2本体部
19 ガイド孔(第1ガイド孔)
20 ガイド孔(第1ガイド孔)
21A ピン孔(第1ピン孔)
21B ピン孔(第1ピン孔)
22A ピン孔(第1ピン孔)
22B ピン孔(第1ピン孔)
23A ピン孔(第1ピン孔)
23B ピン孔(第1ピン孔)
24A ピン孔(第1ピン孔)
24B ピン孔(第1ピン孔)
25A ピン孔(第1ピン孔)
25B ピン孔(第1ピン孔)
28 固定ピン
47 ガイド孔(第2ガイド孔)
48 ガイド孔(第2ガイド孔)
49A ピン孔(第2ピン孔)
49B ピン孔(第2ピン孔)
61 第1本体部
62 第2本体部
64 連結用突起部
81A 先端部
82 連結用受部
91 ピン孔
98 連結挿入孔
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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