(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189282
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、及び情報処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20221215BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20221215BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20221215BHJP
【FI】
H04N1/00 350
G06F3/12 320
G06F3/12 356
G06F3/0484
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097782
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 宏一
【テーマコード(参考)】
5C062
5E555
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AC02
5C062AC05
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
5C062AF10
5E555AA07
5E555AA54
5E555AA63
5E555BA02
5E555BA10
5E555BA27
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5E555BB27
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5E555DB03
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5E555DC13
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5E555DD08
5E555EA07
5E555EA08
5E555EA09
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】より簡易に原稿を置く位置をユーザーに提示する。
【解決手段】原稿のスキャン処理を画像処理装置に実行させる情報処理装置のコンピュータを、前記画像処理装置が有する原稿台に関する第1情報、前記原稿台におけるスキャン原点の位置を示す第2情報、及びユーザーによって指定される原稿サイズを示す第3情報に基づき、前記原稿を前記原稿台に置く位置を案内するための情報を含むGUI画面を作成する作成手段、前記作成されたGUI画面を表示部に表示させる表示制御手段、として機能させる、ことを特徴とするプログラムである。
【選択図】
図35
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿のスキャン処理を画像処理装置に実行させる情報処理装置のコンピュータを、
前記画像処理装置が有する原稿台に関する第1情報、前記原稿台におけるスキャン原点の位置を示す第2情報、及びユーザーによって指定される原稿サイズを示す第3情報に基づき、前記原稿を前記原稿台に置く位置を案内するための情報を含むGUI画面を作成する作成手段、
前記作成されたGUI画面を表示部に表示させる表示制御手段、
として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記情報処理装置を更に、
前記第1情報を取得する第1取得手段と、
前記第2情報を取得する第2取得手段と、
前記第3情報を取得する第3取得手段と、
として機能させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記第1情報は、前記原稿台のサイズ及び向きの情報を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記GUI画面は、前記原稿を前記原稿台に置く位置を案内するためのガイドビューを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記ガイドビューに、前記原稿台の全面を表す原稿台画像が表示され、
前記原稿台画像上に、前記原稿を置く領域として原稿領域が表示される、
ことを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記GUI画面は、前記原稿サイズを前記ユーザーに指定させる第1指定部を更に有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第1指定部を介する前記ユーザーの指定に基づき、前記原稿台画像上に表示される前記原稿領域のサイズが決定される、
ことを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記GUI画面は、前記原稿の向きについて縦向きか横向きかを前記ユーザーに指定させる第2指定部を更に有する、
ことを特徴とする請求項6または7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第2指定部を介する前記ユーザーの指定に基づき、前記原稿台画像上に表示される前記原稿領域の向きが決定される、
ことを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記第2指定部は、縦向きを示す第1画像と、横向きを示す第2画像とを有し、
前記第1画像と前記第2画像との夫々において、原稿の向きを示す画像が描画され、
前記原稿領域において、原稿の向きを示す画像が描画される、
ことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記GUI画面を介し、前記情報処理装置が置かれている向きを前記ユーザーに指定させる、
ことを特徴とする請求項5乃至10の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記情報処理装置が置かれている前記向きの指定に基づき、前記ガイドビューにおける前記原稿台画像の向きと、該原稿台画像上の前記原稿領域との向きが決定される、
ことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
原稿のスキャン処理を画像処理装置に実行させる情報処理装置であって、
前記画像処理装置が有する原稿台に関する第1情報、前記原稿台におけるスキャン原点の位置を示す第2情報、及びユーザーによって指定される原稿サイズを示す第3情報に基づき、前記原稿を前記原稿台に置く位置を案内するための情報を含むGUI画面を作成する作成手段と、
前記作成されたGUI画面を表示部に表示させる表示制御手段と、
を有する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
原稿のスキャン処理を画像処理装置に実行させる情報処理装置のコンピュータの制御方法であって、
前記画像処理装置が有する原稿台に関する第1情報、前記原稿台におけるスキャン原点の位置を示す第2情報、及びユーザーによって指定される原稿サイズを示す第3情報に基づき、前記原稿を前記原稿台に置く位置を案内するための情報を含むGUI画面を作成するステップと、
前記作成されたGUI画面を表示部に表示させるステップと、
を有する、ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スキャン対象の原稿が原稿台に置かれるスキャナの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アプリケーションプログラムのモジュールがスキャナ等の画像処理装置にアクセスし、スキャン対象の原稿のサイズ情報を取得する方法として、3つの方法がある。具体的には、画像処理装置が有する自動サイズ検出機能を利用する方法と、ユーザーが原稿サイズを自分で指定する方法と、高速スキャンによって得られる低解像度のプレビュー画面を表示し、原稿を表す画像を確認しながら領域指定を行う方法である。
【0003】
画像処理装置が前述の自動サイズ検出を行う方法としては、例えば原稿の有無を検出する光学センサーを複数の箇所に設置しておき、原稿を検出したセンサーの位置情報に基づいて、原稿サイズを導出するものがある。但し、この方法はセンサーを複数用意する必要があるため本体の製造コストが上がり、またセンサーの数を減らすと検出できる原稿サイズが限定されてしまう。
【0004】
別の方法として、原稿サイズをユーザーが指定することで所望のスキャン画像データを取得できるが、原稿台において置く場所を間違えた場合には、所望のスキャン画像データを取得できない。ユーザーが原稿をどのように設置すればよいのか分からないという問題に対応するために、原稿台の縁にA4サイズやレターサイズ等の原稿サイズに対応したマークをつける方法が採用されている。しかし、近接するサイズのマークをつけることができない等の理由により、原稿サイズの全種類のマークをつけることは難しい。
【0005】
また、コピー目的においては、印刷した結果自体を物理的に回転すればよいので、原稿台に置く際の原稿の向きが問題になることはない。しかし、スキャン目的においては、物理的には回転し辛いディスプレイへの表示を行うことがあるので、原稿台に置く際の原稿の向き(上向き、下向き等)は重要である。しかし、上記2つの方法では、このような向きに関する問題を解決できない。
【0006】
このような理由から、スキャンにおいてはプレビュー画面を表示して、画像を見ながら適切なスキャン結果が得られるように原稿サイズを選択的に決定し、必要に応じて回転等を指示してスキャンする方法が一般的に採用されてきた。原稿サイズを決定するためのプレビュー画面はユーザーが直観的に操作できるため、GUIとして優れているが、プレビュー画面作成の時間がかかる。従って、何回も続けてスキャンするような場合に、プレビューとスキャンとを何回も繰り返すことは、ユーザーにとって負担になる。
【0007】
特許文献1には、プレビュー画面を用いずに原稿を正しい位置に配置する方法として、スキャナの原稿台上に指定された原稿サイズをスキャンする場所を表示する方法が開示されている。この発明では、原稿台を液晶パネルとし、当該液晶パネルにおいて透過状態にした部分に原稿を置くことが示される。これにより、ユーザーは、原稿を置く場所を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、原稿を置く位置を視覚的に提示するための手段を、スキャナ側に設ける必要がある。従って、スキャナ本体の製造コストが上がってしまう。
【0010】
そこで本発明の一実施形態は、上記課題に鑑み、より簡易な構成で原稿を置く位置をユーザーに提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、原稿のスキャン処理を画像処理装置に実行させる情報処理装置のコンピュータを、前記画像処理装置が有する原稿台に関する第1情報、前記原稿台におけるスキャン原点の位置を示す第2情報、及びユーザーによって指定される原稿サイズを示す第3情報に基づき、前記原稿を前記原稿台に置く位置を案内するための情報を含むGUI画面を作成する作成手段、前記作成されたGUI画面を表示部に表示させる表示制御手段、として機能させる、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、より簡易な構成で原稿を置く位置をユーザーに提示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】アプリケーションプログラムによるスキャナエンジンの呼び出しを説明する図
【
図7】スキャナによって異なるスキャナ原点を示す図
【
図10】原稿サイズとしてL版サイズが指定されたスキャン設定用のGUI画面
【
図11】原稿サイズとしてL版サイズが指定されたスキャン設定用のGUI画面
【
図13】L版サイズの原稿を置いたスキャナ(SFS)の俯瞰図
【
図14】原稿を裏返すことを促すアニメーションを示す図
【
図15】原稿サイズとしてA4サイズが指定されたスキャン設定用のGUI画面
【
図16】A4サイズの原稿を置いたスキャナ(SFS)の俯瞰図
【
図20】MFPのGUI画面(ガイドビューが非表示)
【
図22】原稿台において、スキャン原点となり得る位置を示す図
【
図25】原稿向きを指定可能な、SFSのスキャン設定用のGUI画面
【
図26】L版サイズの縦長原稿を置いたスキャナ(SFS)の俯瞰図
【
図27】原稿向きを指定可能な、MFPのスキャン設定用のGUI画面
【
図28】L版サイズの縦長原稿を置いたスキャナ(MFP)の俯瞰図
【
図30】原稿向きを指定可能な、SFSのスキャン設定用のGUI画面
【
図31】L版サイズの横長原稿を置いたスキャナ(SFS)の俯瞰図
【
図32】原稿向きを指定可能な、MFPのスキャン設定用のGUI画面
【
図33】L版サイズの横長原稿を置いたスキャナ(MFP)の俯瞰図
【
図37】操作パネルに対して原稿台カバーが左側となるように設置されたスキャナ(MFP)の俯瞰図
【
図38】原稿台カバーが左側となるように設置されたスキャナ(SFS)の俯瞰図
【
図39】スキャナ向きを指定可能な、SFSのスキャン設定用のGUI画面
【
図40】スキャナ向きを指定する際に選択されるアイコン
【
図41】スキャナ向きが変更された場合のGUI画面
【
図42】スキャナ向きが変更された場合のGUI画面を見たユーザーによって、原稿が置かれたスキャナ(SFS)の俯瞰図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、好適な実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。また、以下の実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが、解決手段として必須のものとは限らない。
【0015】
[第1実施形態]
<システム構成>
以下、本実施形態におけるシステムの構成について、
図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態におけるシステムは、情報処理装置100と、画像処理装置150と、を有する。
【0016】
情報処理装置100は、入力インタフェース102と、CPU103と、ROM104と、RAM105と、外部記憶装置106と、出力インタフェース108と、インタフェース110と、を有するコンピュータである。CPU103は、情報処理装置100全体の制御(表示制御等)を行う。また、情報処理装置100は、入力インタフェース102を介して、キーボード101及びマウス109と接続され、また、出力インタフェース108を介して、表示部107と接続される。
【0017】
インタフェース110は、ケーブル190を介して、後述する画像処理装置150のインタフェース151と接続されている。仮にインタフェース110がネットワークインタフェースの場合、ケーブル190はネットワークケーブルである。または、仮にインタフェース110がUSBインタフェースの場合、ケーブル190はUSBケーブルである。または、仮にインタフェース110がWiFi(無線LAN)の場合、ケーブル190は物理的には存在せず、電波がその役割を担う。
【0018】
ROM104には、初期化プログラムが記憶されている。RAM105は、外部記憶装置106に記憶された各種プログラムが展開される等、ワークメモリとして使用される。外部記憶装置106には、オペレーティングシステム(以下、OSと記載)、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションと記載)123、及びその他各種データが記憶されている。
【0019】
画像処理装置150は、インタフェース151と、RAM152と、スキャナエンジン153と、ROM154と、CPU155と、を有する。本実施形態では、画像処理装置150として、具体的にはスキャナ等を想定している。インタフェース151は、ケーブル190を介して情報処理装置100のインタフェース110と接続される。RAM152は、CPU155の主メモリとワークメモリとして用いられる。また、RAM152には、画像処理装置150が受信したスキャンジョブを処理するための各種データが一時的に記憶される。
【0020】
スキャナエンジン153は、RAM152に記憶されたスキャンジョブに基づきスキャンを行う。スキャナエンジン153は、原稿をスキャンするための光学センサー、センサーを駆動するためのモーター等から構成される。尚、本実施形態では、情報処理装置100と画像処理装置150との処理分担を上記のように示したが、これは例示に過ぎない。本実施形態は、特にこの処理分担の形態に限定されず、他の形態であっても構わない。
【0021】
<アプリケーションがスキャナエンジンを呼び出す流れ>
図2は、情報処理装置100上で動作するアプリケーション123による、画像処理装置150のスキャナエンジン153の呼び出しを示す図である。アプリケーション123によって実現されるモジュールは、インタフェース110に対して、スキャナエンジン153への指示又は要求を送信する。インタフェース110は、インタフェース151に対して、アプリケーション123からの指示又は要求を転送する。この指示又は要求は、ケーブル190を介して伝達され、インタフェース151は当該伝達された指示又は要求を受信し、スキャナエンジン153が呼び出される。スキャナエンジン153は、アプリケーション123からの指示又は要求に従って、スキャン等の処理を行う。
【0022】
アプリケーションによって実現されるモジュールは、スキャナエンジンに対して、スキャナの情報(原稿台のサイズ、標準的な置き方の場合の向き、スキャン原点、原稿台カバーの位置等)を求める要求と、実際のスキャン実行を促す指示と、を送信する。また、本実施形態では、ユーザーに提示されるグラフィカルユーザーインターフェース(以下、GUIと記載)画面は、画像処理装置150ではなく、情報処理装置100においてアプリケーション123が作成する。アプリケーション123によって作成されたGUI画面は、情報処理装置100に接続された表示部107に表示される。
【0023】
<スキャナの構造>
図3は、本実施形態におけるスキャナの外観の一例を示す斜視図である。
図3(a)は、原稿台カバー200が閉じた状態を示し、
図3(b)は、原稿台カバー200が開いた状態を示す。ユーザーは、原稿台201の上にスキャンしたい原稿を置き、原稿台カバー200を閉じることで、スキャン対象の原稿をセットする。尚、原稿台カバー200を閉じることは必須ではないが、原稿台カバー200を閉じて原稿を抑えることにより、スキャン画像の品質を向上することができる。
【0024】
図4は、本実施形態におけるスキャナを上から俯瞰した概略図である。
図4に示す例では、スキャン原点208は右上にあり、原稿台201は縦長になっている。主走査方向のスキャンは、矢印210が示すように、図中の右から左に向かってなされる。従って、座標としては、主走査方向における一番右が0になり、一番左が最大幅の値になる。尚、本例における主走査方向のスキャンはラインセンサーを用いて行われるので、実際にセンサーが主走査方向に動くことはない。ラインセンサーを搭載したキャリッジをスキャナキャリッジ202という。スキャナキャリッジ202は、モーター204の駆動によってガイドローラー203のレール上を矢印209の方向に移動する。これにより、副走査方向のスキャンが実現される。
【0025】
図5は、本実施形態におけるスキャナの構造を示す図である。
図5(a)は、原稿台カバー200が閉じた状態を示し、
図5(b)は、
図5(a)の断面線Va-Vbにおける断面図である。原稿205は原稿台201のガラス上におかれ、原稿台カバー200で押さえつけられる。スキャナキャリッジ202は原稿台201のガラスの下にある。
【0026】
図6は、本実施形態におけるスキャナの構造を示す図である。
図6(a)は、原稿台カバー200が閉じた状態を示し、
図6(b)は、
図6(a)の断面線VIa-VIbにおける断面図である。スキャナキャリッジ202には、複数の光源206と解像度分のセンサー207とが設けられている。光源206から出た光は原稿台201のガラスを透過して原稿205にあたり、そのあたった光が反射してセンサー207に到達する。センサー207は、反射光を検出、デジタル化することで、セットされている原稿205を読み取る。
【0027】
図6(b)に示すように、スキャナのセンサーが原稿台の下側にあるので、ユーザーはスキャンする面を原稿台201のガラスに向くように裏返して置く(つまり、スキャンしない面が上になる)。スキャンする原稿は裏返しておくため、上から透視したイメージは原稿が鏡像反転した状態となる。
【0028】
図7の各図は、スキャンを開始するスキャン原点208が様々な場所に存在し得ることを示している。尚、
図7の各図では、ユーザーがスキャナ操作を行うために、操作パネルがある側をユーザーがいる手前側にしてスキャナを設置するものとする。
【0029】
シングルファンクションスキャナ(以下、SFSと記載)では、設置時に奥行き方向が長く、間口方向が短くなるように、操作するユーザーから見て原稿台が縦長になる設計が多い。横幅を必要最小限にすることにより設置の利便性を上げることができる。スキャナには、スキャナキャリッジが原稿台の端から端まで副走査方向に移動することを実現するために、読み出し開始位置より手前にスキャナキャリッジを格納できる余裕(以下、格納スペースと記載)が必要である。
図7(a)は、格納スペースを操作パネル220から見て奥側に設けた場合は示し、この場合スキャン原点は右上となる。逆に、
図7(b)は、格納スペースを操作パネル220側に設けた場合を示し、この場合スキャン原点は左下になる。
【0030】
図7(c)は、Multi Function Printer(以下、MFPと記載)におけるスキャン原点を示す図である。MFPはプリンタ機能を有するが、プリンタヘッダを格納できるスペースが主走査方向(図中左右方向)の両端に必要である。一方で、原稿などはロールして給紙するため、奥行き方向の長さは原稿サイズより短くてもよい。このため、ユーザーから見て間口方向(つまり主走査方向)に長い横長の筐体になる設計が多い。そして、MFPにスキャナ機能を追加する場合には、奥行き方向のサイズが大きくならないように、スキャナの構成部品を横方向に設置することが多い。例えば、右側に操作部などのメカが入る場合にはスキャナキャリッジを格納する余地があるのは左側になる。従って、
図7(c)に示すように、スキャン原点は左上になる。尚、ここで示した構造はもちろん例示である。使い勝手の向上等の別の設計指針に従って、原稿台の縦幅と横幅との関係、及びスキャナキャリッジの格納場所の位置を適宜変更してよい。スキャン原点も様々な位置になり得る。
【0031】
図8は、原稿台が縦長でスキャナキャリッジの格納場所が手前側にあるSFSを示す。このSFSにおけるスキャン原点208は、操作パネル220を手前とすると、原稿台201の左下にある。
【0032】
図9は、スキャン対象の原稿の一例を示す。図示するように、原稿のサイズはL版サイズ、原稿の向きはポートレート(縦長)の写真300であり、人が1人写っているものとする。
【0033】
図10は、アプリケーション123によって提供されるスキャン設定用画面の一例としての、
図9に示す原稿300をユーザーが余計な編集なしにスキャンすることを可能にするGUI画面を示す。まずユーザーは、原稿300の原稿サイズを指定する。原稿サイズの指定は、ユーザーがポップアップダイアログ600を介して原稿サイズ名を選択することで行う。ガイドビュー500には原稿台全面を表す画像(「原稿台画像」と称す)が表示される。その原稿台画像上に、ポップアップダイアログ600を介して選択された原稿サイズ名に応じた原稿を置くべき位置と、当該原稿のサイズと、を示す領域(ガイド情報)として、原稿領域501が表示される。
【0034】
図11は、アプリケーション123によって提供されるスキャン設定用画面の一例としての、原稿台に置いたときの原稿サイズや位置を表す画像を確認しながらユーザーが原稿サイズを選択する際に使用されるGUI画面を示す。ユーザーは、各原稿サイズに対応する画像をクリックすることで、所望の原稿サイズを指定できる。
図11に示す例では、L版サイズが選択されている。原稿サイズが選択されている事を明示するために、選択中の原稿サイズに対応する画像が枠線630で囲まれる。尚、指定したい原稿サイズが表示されていない場合には、上矢印ボタン610又は下矢印ボタン611を押下して別の原稿サイズに対応する画像を表示することができる。
【0035】
図12は、
図11で原稿サイズとして提示される具体的な内容の例を示す。原稿台全面サイズを表す画像を背景に、スキャン対象の原稿サイズがどれ位のサイズになるかを示す原稿領域が表示される。ユーザーに提示する情報としては、
図12のように原稿サイズの名前は勿論表示してよいし、実際のサイズが分かるように原稿サイズの値を表示してもよい。尚、原稿サイズの値は、ユーザーによって指定される単位(例えば、mm、inch等)の値である。
【0036】
図13は、ユーザーが
図10又は
図11に示すガイドビュー500における原稿領域501を参考にして、スキャナに実際に原稿を置いた状態を示している。
【0037】
図14は、ガイドビュー500の原稿領域501において、原稿を裏返して置くことをユーザーに促すアニメーション表示の一例を示す。このアニメーションは、アプリケーション123によって作成される。
図10等に示すように、スキャンウィンドウ400には「原稿を・・・裏返して置いて・・・」といった説明用のメッセージが表示されるが、このメッセージだけでは分かりにくい。従って、原稿領域501に裏向きに置くことが分かるような静止画を表示したり、
図14のようなアニメーション表示をしたりすることで、原稿を裏返して置くことをユーザーに明示する。
【0038】
図15は、上矢印ボタン610又は下矢印ボタン611の押下により原稿サイズの画像をスクロールし、A4サイズに対応する画像を表示させた上で、当該表示させた画像が選択された状態を示す。ユーザーによってA4サイズに対応する画像が選択されると、A4サイズの原稿を置くべき位置と、A4サイズとを示す領域として、原稿領域501がガイドビュー500に表示される。
【0039】
図16は、
図15に示すガイドビュー500の原稿領域501を参考にして、ユーザーがスキャナの原稿台201にA4サイズの原稿300を実際に置いた状態を示している。この状態で、ユーザーはスキャンボタン401を押下することで、所望するA4サイズのスキャン画像を取得できる。
【0040】
図17は、スキャナ機能を有するMFPの一例を示す。このMFPでは、原稿台201は横長であり、基準となるスキャン原点208は左上にある。
【0041】
図18は、
図17に示すMFPにおけるスキャン設定を行うためのGUI画面を示す。図示するように、ガイドビュー500は横長の原稿台201に合わせて、横長の表示になっている。また、左上のスキャン原点208に合わせるように、L版サイズに対応した原稿領域501がガイドビュー500の左上に表示されている。
【0042】
図19は、原稿台201の縦幅と横幅との関係性を、原稿サイズの画像に適用した場合のGUI画面を示す。
図18では、原稿台の縦幅と横幅との関係に基づかない、原稿サイズの画像を表示しており、原稿台201は横長であるにもかかわらず、原稿サイズの画像として縦長画像が表示されていた。
図19に示すように、ガイドビュー500と同様に、原稿台201の縦幅及び横幅並びにスキャン原点の位置に基づく、原稿サイズの画像を表示してもよい。尚、この場合、原稿サイズの画像だけで、ユーザーを案内するガイドビューの機能を実現できている。従って、
図20に示すように、スキャンウィンドウ400において、ガイドビューを表示せず、ユーザー選択用の原稿サイズの画像だけを表示してもよい。
【0043】
図21は、
図18~
図20のGUI画面が示す原稿台の位置に、ユーザーが原稿300を実際に置いた状態を示している。ユーザーは、この状態でスキャンボタン401を押下することで、所望のスキャン画像を得ることができる。
【0044】
図22は、ガイドビューの表示に影響を与えるスキャナの要素を示している。ここでは原稿台カバー200が奥側にあることを前提にしている。原稿台の向きが横長(以下、長辺型と記載)か縦長(以下、短辺型と記載)であるかは、ガイドビューにおいて原稿台の画像を横長で表示するか縦長で表示するかの判断基準となる。また、長辺型と短辺型との夫々に対して、スキャン原点208が原稿台201の4隅の何れにあるかに従って、原稿領域をどこから画定するかが決定される。
【0045】
図23は、本実施形態におけるシステムによって実行される、ガイドビューを表示する処理のシーケンス図である。
【0046】
ステップS1010にて、情報処理装置100のCPU103は、アプリケーション123を用いて、画像処理装置(即ちスキャナ)150に対して、原稿台情報の送信を促す要求を送信する。尚、以下では「ステップS~」を「S~」と略記する。
【0047】
S1011にて、画像処理装置150のCPU155は、原稿台が横長か縦長かを示す原稿台情報を取得し、該取得した原稿台情報を、S1010で受信した要求に対する応答として、情報処理装置100に送信(返信)する。尚、本ステップで画像処理装置150のCPU155によって送信される原稿台情報は、ROM154等に予め記憶されていてもよいし、S1010で送信された要求の受信を契機として生成されてもよい。
【0048】
S1012にて、情報処理装置100のCPU103は、アプリケーション123を用いて、S1011で受信した原稿台情報に基づいて、ガイドビューを含むGUI画面を作成し表示する。これにより、情報処理装置100は、ガイドビューを含むGUI画面をユーザー提示する。
【0049】
S1020にて、情報処理装置100のCPU103は、アプリケーション123を用いて、S1012で提示されたGUI画面を介しユーザーにより入力された、用紙サイズを選択的に指定する指示を取得する。
【0050】
S1021にて、情報処理装置100のCPU103は、アプリケーション123を用いて、画像処理装置150に対して、スキャン原点位置の情報の送信を促す要求を送信する。
【0051】
S1022にて、画像処理装置150のCPU155は、スキャン原点位置が右上と右下と左下と左上との何れかを示す情報(以下、スキャン原点位置情報と記載)を取得する。そしてCPU155は、取得した情報を、S1021で受信した要求に対する応答として、情報処理装置100に送信(返信)する。尚、本ステップで画像処理装置150によって送信されるスキャン原点位置情報は、ROM154等に予め記憶されていてもよいし、S1010又はS1021で送信される要求の受信を契機として生成されてもよい。
【0052】
S1023にて、情報処理装置100のCPU103は、アプリケーション123を用いて、S1022で受信したスキャン原点位置情報に基づくGUI画面を作成し表示する。このGUI画面では、ガイドビューにおいて、S1020で指定された用紙サイズを示し、スキャン原点から確定される原稿領域が描画されている。本ステップにより、原稿の置き方が分かり易くユーザーに提示されることになる。
【0053】
尚、
図23では、情報処理装置(PC)のアプリケーションが画像処理装置(スキャナ)に対して、GUI画面の作成に必要な情報を要求している.しかし、本実施形態は、このような形態に限定されない。例えば、PCはスキャナと通信せず、スキャナの機種別情報をROM104等に予め記憶し、必要に応じて取得するようにしてもよい。或いは、インターネットなどを通じて情報を取得するようにしても構わない。
【0054】
図24は、情報処理装置100のCPU103が、アプリケーション123を用いて、ガイドビューを含むGUI画面を作成し、該作成したGUI画面を表示部107に表示する際に実行する処理のフローチャートである。
【0055】
S1100にて、CPU103は、画像処理装置150によって送信された原稿台情報を取得する。
【0056】
S1101にて、CPU103は、S1100で取得した原稿台情報に基づいて、原稿台が縦長の短辺型か判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1110に進む。一方、本ステップの判定結果が偽の場合(つまり、原稿台が横長の長辺型の場合)、S1130に進む。
【0057】
まず、原稿台が縦長の短辺型の場合を説明する。
【0058】
この場合、S1110にてCPU103は、GUI画面における縦長のガイドビューを描画する。
【0059】
S1111にてCPU103は、スキャン原点位置情報を取得する。
【0060】
S1112にてCPU103は、S1111で取得したスキャン原点位置情報に基づき、スキャン原点が右下と、右上と、左下と、左上との何れかを判定する。スキャン原点が右下の場合、S1113に進む。スキャン原点が右上の場合、S1114に進む。スキャン原点が左下の場合、S1115に進む。スキャン原点が左上の場合、S1116に進む。
【0061】
S1113にてCPU103は、ガイドビューの右下を始点とする矩形の原稿領域を確定し、該確定した原稿領域を、S1110で描画したガイドビュー上に描画する。本ステップで確定する原稿領域において、右下の点から上方向に伸長する長辺の長さが指定原稿サイズの縦方向の長さに対応する。また、右下の点から左方向に伸長する短辺の長さが指定原稿サイズの横方向の長さに対応する。
【0062】
S1114にてCPU103は、ガイドビューの右上を始点とする矩形の原稿領域を確定し、該確定した原稿領域を、S1110で描画したガイドビュー上に描画する。本ステップで確定する原稿領域において、右上の点から下方向に伸長する長辺の長さが指定原稿サイズの縦方向の長さに対応する。また、右上の点から左方向に伸長する短辺の長さが指定原稿サイズの横方向の長さに対応する。
【0063】
S1115にてCPU103は、ガイドビューの左下を始点とする矩形の原稿領域を確定し、該確定した原稿領域を、S1110で描画したガイドビュー上に描画する。本ステップで確定する原稿領域において、左下の点から上方向に伸長する長辺の長さが指定原稿サイズの縦方向の長さに対応する。また、左下の点から右方向に伸長する短辺の長さが指定原稿サイズの横方向の長さに対応する。
【0064】
S1116にてCPU103は、ガイドビューの左上を始点とする矩形の原稿領域を確定し、該確定した原稿領域を、S1110で描画したガイドビュー上に描画する。本ステップで確定する原稿領域において、左上の点から下方向に伸長する長辺の長さが指定原稿サイズの縦方向の長さに対応する。また、左上の点から右方向に伸長する短辺の長さが指定原稿サイズの横方向の長さに対応する。
【0065】
続けて、原稿台が横長の長辺型の場合を説明する。
【0066】
この場合、この場合、S1130にてCPU103は、GUI画面における横長のガイドビューを描画する。
【0067】
S1131にてCPU103は、スキャン原点位置情報をする。
【0068】
S1132にてCPU103は、S1131で取得したスキャン原点位置情報に基づき、スキャン原点が左上と、左下と、右下と、右上との何れかを判定する。スキャン原点が左上の場合、S1133に進む。スキャン原点が左下の場合、S1134に進む。スキャン原点が右下の場合、S1135に進む。スキャン原点が右上の場合、S1136に進む。
【0069】
S1133にてCPU103は、ガイドビューの左上を始点とする矩形の原稿領域を確定し、該確定した原稿領域を、S1130で描画したガイドビュー上に描画する。本ステップで確定する原稿領域において、左上の点から右方向に伸長する長辺の長さが指定原稿サイズの横方向の長さに対応する。また、左上の点から下方向に伸長する短辺の長さが指定原稿サイズの縦方向の長さに対応する。
【0070】
S1134にてCPU103は、ガイドビューの左下を始点とする矩形の原稿領域を確定し、該確定した原稿領域を、S1130で描画したガイドビュー上に描画する。本ステップで確定する原稿領域において、左下の点から右方向に伸長する長辺の長さが指定原稿サイズの横方向の長さに対応する。また、左下の点から上方向に伸長する短辺の長さが指定原稿サイズの縦方向の長さに対応する。
【0071】
S1135にてCPU103は、ガイドビューの右下を始点とする矩形の原稿領域を確定し、該確定した原稿領域を、S1130で描画したガイドビュー上に描画する。本ステップで確定する原稿領域において、右下の点から左方向に伸長する長辺の長さが指定原稿サイズの横方向の長さに対応する。また、右下の点から上方向に伸長する短辺の長さが指定原稿サイズの縦方向の長さに対応する。
【0072】
S1136にてCPU103は、ガイドビューの右上を始点とする矩形の原稿領域を確定し、該確定した原稿領域を、S1130で描画したガイドビュー上に描画する。本ステップで確定する原稿領域において、右上の点から左方向に伸長する長辺の長さが指定原稿サイズの横方向の長さに対応する。また、右上の点から下方向に伸長する短辺の長さが指定原稿サイズの縦方向の長さに対応する。
【0073】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、原稿を置く位置をユーザーに分かり易く提示する手段を、該ユーザーがスキャン指示を行うGUI画面上で実現することが可能になる。
【0074】
[第2実施形態]
第1実施形態によれば、原稿を置く位置をユーザーに分かり易く提示する手段を、該ユーザーがスキャン指示を行うGUI上で実現することが可能になる。しかし、その位置における原稿の置き方によっては、ユーザーが所望する通りの結果とならないことがある。例えば、画像の上下が反転してしまったり、横長原稿をスキャンした場合に縦長のスキャン画像を取得してしまったりする。
【0075】
取得したスキャン画像に基づく印刷が目的の場合は、原稿の向きがどのようになっていても、出力された印刷物自体を回転すればよい。そのため、複写機などにおいては、第1実施形態に記載したように、原稿サイズと、原稿を置く位置とを考慮すれば足りる。しかし、取得したスキャン画像に基づいてディスプレイへの表示を行うような場合には、画像を置く際に正しい向きが求められる。そこで本実施形態では、原稿を置く際の正しい位置及び正しい向きを分かり易く示すことが可能なガイドビューを、GUI画面上で実現する。
【0076】
図25は、本実施形態における、原稿向きを指定可能なスキャンウィンドウ400を示す図である。第1実施形態で説明したスキャンウィンドウ(
図11等)と比較すると、原稿向き指定部700が追加されており、また、ガイドビュー500上の原稿領域501において、向きを示す画像が、追加的に描画されている。ユーザーは、原稿向き指定部700に表示されている画像701と画像702との何れかを選択することで、スキャン対象の原稿がポートレート(縦長)か、それともランドスケープ(横長)かを指定する。
【0077】
本実施形態のスキャンウィンドウ400を介して、ポートレートかランドスケープかを選択させることによって、スキャン画像の90度回転又は270度回転を防ぐことはできる。しかし、スキャン画像の上下が逆さまになってしまうことは防げない。そこで、このポートレートかランドスケープかの選択用の画像に、原稿の上方向がどちらかを示す情報を追加する。具体的には、画像701では、情報として、人のマーク(頭が上)、矢印(矢印の先が上)、文字(可読できる方向が上)など、原稿の上方向がわかる画像を配置する。また、画像702では、人の代わりに、風景をイメージさせる画像に変更している。尚、ここで挙げた画像以外に、文字原稿と考えらえるA4サイズ原稿などが選択された場合にはドキュメントの画像に切り替えるなど、ユーザーが上方向を直観的に把握できる画像を適宜採用して構わない。
【0078】
ガイドビュー500において、原稿サイズに応じて表示された原稿領域501内に、原稿を置くべき向きを示す画像を表示する。尚、第1実施形態でも説明したように、原稿を置く場合は裏返して原稿台側にスキャン面が来るようにする必要がある。従って、ガイドビュー500に表示する画像は、原稿向き指定部700に表示する画像を鏡像反転した画像とする。その上で、例えばスキャン原点が左下にある場合には、原稿台の下側が原稿の上に対応するため、鏡像反転後の画像を180度回転して原稿領域501内に表示する。
【0079】
図26は、
図25に示すガイドビュー500を提示されたユーザーが、L版サイズ、縦長の写真原稿を原稿台201に置いた状態を示す。尚、正確にはスキャンする面は裏側になるので上側から画像を見ることはできないが、ここでは便宜的に裏側の画像が透過しているものとして示している。ユーザーは、この状態でスキャンボタン401を押下することで、正しい向きのスキャン画像を取得することができる。
【0080】
図27は、本実施形態におけるGUI画面の一例を示す。このGUI画面は、
図17のMFPを用いて、
図9のL版サイズ、縦長の写真原稿をスキャンする際に表示されるスキャン設定用のGUI画面である。設定の内容自体は、原稿サイズ「L版」、原稿の上方向「縦置き」である。
図17に示すように、MFPの原稿台は横長であるので、スキャンウィンドウ400において、原稿台に対応するガイドビュー500も横長で表示される。また、スキャン原点が左上となるため、原稿領域501がガイドビュー500の左上から確定される。また、原稿が縦長の場合、原稿における上方向は原稿台における左方向に対応するので、ガイドビュー500の左辺が原稿領域501の上辺と一致する置き方が提示される。
【0081】
図28は、
図27に示すガイドビュー500における原稿領域501を参考にして、原稿台201に実際に原稿300を置いた状態を示している。この状態で
図27のスキャンボタン401を押下することで、ユーザーは所望のスキャン画像を取得することができる。
【0082】
図29は、スキャン対象の一例として、L版サイズ、横長(ランドスケープ)の写真原稿301を示す。図示するように、内容は横並びに2人が写っているものとする。以下、この写真原稿をスキャンする方法について説明する。
【0083】
図30は、
図8に示すSFSのGUI画面であるスキャンウィンドウ400を介して、L版サイズ、横長の原稿が選択された状態を示している。ここでは、横長原稿が指定された場合には、原稿台の左側の辺と原稿の上辺とを合わせるようにしている。従って、ガイドビュー500の原稿領域501に表示される画像は、横長原稿の画像702を鏡像反転した上で270度回転したものとなる。
【0084】
図31は、
図30に示すガイドビュー500における原稿領域501を参考にして、原稿台201に実際に原稿301(
図29参照)を置いた状態を示している。この状態で
図30のスキャンボタン401を押下することで、ユーザーは所望する向きのスキャン画像を取得することができる。
【0085】
図32は、
図17に示すMFPのGUI画面であるスキャンウィンドウ400を介して、L版サイズ、横長が選択された状態を示している。本実施形態では、スキャン原点が左上となるため、横長の原稿領域501の上辺をガイドビュー500の上側の辺に合わせている。原稿領域501に表示される画像は、横長原稿の画像702を鏡像反転したものである。
【0086】
図33は、
図32に示すガイドビュー500における原稿領域501を参考にして、原稿台201に実際に原稿301(
図29参照)を置いた状態を示している。この状態で
図32のスキャンボタン401を押下することで、ユーザーは所望する向きのスキャン画像を取得することができる。
【0087】
図34は、本実施形態におけるガイドビュー表示処理のシーケンス図である。第1実施形態(
図23)と比較すると、S1010~S1023は同様だが、S1030及びS1031を更に有する点で相違する。
【0088】
S1030にて、情報処理装置100のCPU103は、S1023で提示されたGUI画面を介しユーザーにより入力された、原稿の向きを指定する指示を取得する。
【0089】
S1031にて、情報処理装置100のCPU103は、S1030で受信した指示の内容に基づく更新の結果、原稿を置く際の向きが表示されたGUI画面を表示する。
【0090】
図35は、本実施形態におけるガイドビュー表示処理のフローチャートである。かかるガイドビュー表示処理は、第1実施形態と同様、情報処理装置100のCPU103がアプリケーション123を用いて実行する処理であって、S1100~S1116及びS1130~S1136を有する(
図24参照)。但し、S1117~S1124及びS1137~S1144を更に有する点で、本実施形態は第1実施形態と相違する。尚、以下では、前述の実施形態の内容については適宜省略し、異なる内容を中心に説明する。
【0091】
S1113の後、S1117にてCPU103は、原稿向きが縦向きか横向きか判定する。原稿向きが縦向きの場合、S1124に進む。一方、原稿向きが横向きの場合、S1121に進む。
【0092】
S1114の後、S1118にてCPU103は、原稿向きが縦向きか横向きか判定する。原稿向きが縦向きの場合、S1122に進む。一方、原稿向きが横向きの場合、S1121に進む。
【0093】
S1115の後、S1119にてCPU103は、原稿向きが縦向きか横向きか判定する。原稿向きが縦向きの場合、S1124に進む。一方、原稿向きが横向きの場合、S1123に進む。
【0094】
S1116の後、S1120にてCPU103は、原稿向きが縦向きか横向きか判定する。原稿向きが縦向きの場合、S1122に進む。一方、原稿向きが横向きの場合、S1123に進む。
【0095】
S1121にてCPU103は、横向き画像を鏡像反転した上で270度回転し、S1113又はS1114で描画された原稿領域501に収まるようにリサイズして、ガイドビュー500上に描画する。
【0096】
S1122にてCPU103は、縦向き画像を鏡像反転し、S1114又はS1116で描画された原稿領域501に収まるようにリサイズして、ガイドビュー500上に描画する。
【0097】
S1123にてCPU103は、横向き画像を鏡像反転した上で90度回転し、S1115又はS1116で描画された原稿領域501に収まるようにリサイズして、ガイドビュー500上に描画する。
【0098】
S1124にてCPU103は、縦向き画像を鏡像反転した上で180度回転し、S1113又はS1115で描画された原稿領域501に収まるようにリサイズして、ガイドビュー500上に描画する。
【0099】
S1133の後、S1137にてCPU103は、原稿向きが縦向きか横向きか判定する。原稿向きが縦向きの場合、S1142に進む。一方、原稿向きが横向きの場合、S1141に進む。
【0100】
S1134の後、S1138にてCPU103は、原稿向きが縦向きか横向きか判定する。原稿向きが縦向きの場合、S1142に進む。一方、原稿向きが横向きの場合、S1143に進む。
【0101】
S1135の後、S1139にてCPU103は、原稿向きが縦向きか横向きか判定する。原稿向きが縦向きの場合、S1144に進む。一方、原稿向きが横向きの場合、S1143に進む。
【0102】
S1136の後、S1140にてCPU103は、原稿向きが縦向きか横向きか判定する。原稿向きが縦向きの場合、S1144に進む。一方、原稿向きが横向きの場合、S1141に進む。
【0103】
S1141にてCPU103は、横向き画像を鏡像反転し、S1133又はS1136で描画された原稿領域501に収まるようにリサイズして、ガイドビュー500上に描画する。
【0104】
S1142にてCPU103は、縦向き画像を鏡像反転した上で270度回転し、S1133又はS1134で描画された原稿領域501に収まるようにリサイズして、ガイドビュー500上に描画する。
【0105】
S1143にてCPU103は、横向き画像を鏡像反転した上で180度回転し、S1134又はS1135で描画された原稿領域501に収まるようにリサイズして、ガイドビュー500上に描画する。
【0106】
S1144にてCPU103は、縦向き画像を鏡像反転した上で90度回転し、S1135又はS1136で描画された原稿領域501に収まるようにリサイズして、ガイドビュー500上に描画する。
【0107】
図36は、ユーザーがスキャンボタン401を押下した場合に、アプリケーション123に従って実行される処理のフローチャートである。
【0108】
S1200にて、情報処理装置100のCPU103は、ユーザーによってスキャンボタンが押下されたことを示す情報を取得し、当該取得に応じて、画像処理装置150に対するスキャン処理の実行を指示する。
【0109】
S1201にて、画像処理装置150のCPU155は、スキャナエンジン153を用いて、スキャン原点を基準として確定される原稿領域(横方向の幅が短辺に対応し、縦方向の高さが長辺に対応する)に対するスキャン処理を実行する。本ステップで取得された画像データは、情報処理装置100に送信される。
【0110】
S1202にて、情報処理装置100のCPU103は、原稿向きの設定情報を用いて、原稿向きが横長か判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1203に進む一方、該判定が偽の場合、S1204に進む。
【0111】
S1203にて、情報処理装置100のCPU103は、スキャン結果の画像を90度回転する。尚、原稿向きが縦長の場合には(S1202でNO)、本ステップの回転は実行されない。
【0112】
最後にS1204にて、情報処理装置100のCPU103は、スキャン結果の画像データを、ROM104、RAM105、又は外部記憶装置106等に記憶する。
【0113】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、正しい向きのスキャン画像を取得可能なガイドビューをGUI画面上で実現することが可能になる。
【0114】
[第3実施形態]
前述の実施形態では、
図8等に示すように、操作パネルと反対側に原稿台カバーが取り付けられ、操作パネルがユーザーにとって「前」側に位置する一方、原稿台カバーが「奥」側に位置するといったように、装置を標準的な置き方で設置することを前提にする。しかしながら、ユーザーの都合によってスキャナを標準的ではない置き方で設置したいケースや、設計者側の都合によって操作パネルの反対側に原稿台カバーを配置しないケースが考えられる。そこで本実施形態では、このようなケースにも対処可能なガイドビューを、GUI画面上で実現する。
【0115】
図37は、操作パネル220に対して原稿台カバー200が「左」側にあり、原稿台カバーは縦長になっているため、原稿台情報としては縦長として定義され、ガイドビューにおいてスキャン原点は左上になるケースを示している。このようなケースでは、設置中のスキャナの状態とガイドビューの表示内容とが一致せず、ユーザーにとって分かりにくい。
【0116】
図38は、操作パネルが「前」側に位置し、原稿台カバーが「奥」側に位置する置き方が標準の縦長SFS(
図7(b)参照)が、ユーザーによって、原稿台カバーが「左」側となるように設置された状態を示している。このように設置すると、設置中のスキャナの状態と、ガイドビューの表示内容とが一致せず、ユーザーにとって分かりにくくなってしまう。
【0117】
図39は、SFSが標準的な置き方で設置されるときのGUI画面を示している。このとき、
図39に示すように、ガイドビュー500は縦長で表示される一方で、
図38に示すように、原稿台カバーが「左」側で原稿台が横長となるようにSFSが設置されている場合に問題となる。このような場合、ガイドビューの表示内容と、設置中のSFSの状態とが対応していない。
【0118】
このような課題に対処するため、本実施形態のGUI画面には、
図39に示すように、スキャナ向き指定ボタン800が設けられている。ユーザーがスキャン向き指定ボタン80)を押下すると、
図40に示すように、ポップアップウィンドウ801が表示される。ポップアップウィンドウ801では、原稿台カバーと原稿台との位置関係を用いることで、スキャナをユーザーから見てどのように配置しているかを示す4つのアイコンが並んでいる。標準の状態では、原稿台カバーが「奥」側にある左上のアイコンが選択されているが、例えば、
図38に示す置き方に合わせて原稿台カバーが「左」側にある左下のアイコンを選択する等、ユーザーは、実際の置き方に合うアイコンを選択できる。
【0119】
図41は、原稿台カバーが「左」側にあるようにスキャナを置いた上で、
図40のアイコン803が選択された場合のスキャンウィンドウ400を示す。このスキャンウィンドウ400では、ガイドビュー500が270度回転して表示される結果、原稿台は横長、且つ、スキャン原点が右下になるように表示されている。このように、置かれているスキャナの状態と、ガイドビューの表示内容とが一致するため、ユーザーにとって分かり易い。
【0120】
図42は、
図41に示すガイドビュー500における原稿領域501を参考にして、原稿台201に実際に原稿300を置いた状態を示している。この状態で
図41のスキャンボタン401を押下することで、ユーザーは所望のスキャン画像を取得することができる。
【0121】
図43は、本実施形態のGUI画面(
図39、
図40等参照)を介したスキャナ向きの指定に応じて、ガイドビューの表示がどのように変わるかを示している。尚、本実施形態において、「スキャナ向き」とは、原稿台と原稿台カバーとの取り付け箇所を基準に原稿台が伸びる方向を意味する。例えば、スキャナ方向が「手前」とは、原稿台が「奥」側から「手前」側に向けて伸びることを意味する。
【0122】
図44は、本実施形態におけるスキャナ向きの指定を伴うガイドビュー表示処理のシーケンス図である。第2実施形態(
図34)と比較すると、S1010~S1031は同様だが、S1050及びS1051を更に有する点で相違する。
【0123】
S1050にて、情報処理装置100のCPU103は、ポップアップウィンドウ801(
図40参照)を用いて指定されたスキャナ向きを示す情報を取得する。
【0124】
S1051にて、情報処理装置100のCPU103は、S1050で取得したスキャナ向き情報に基づき、必要に応じてガイドビュー500が回転されたGUI画面を表示する。尚、本ステップの回転処理については、
図45を用いて説明する。
【0125】
図45は、スキャナ向きが変更された場合の処理を示すフローチャートである。S1300にて、情報処理装置100のCPU103は、ユーザーによって指定されたスキャナ向きを示す情報を取得する。本ステップで取得する情報は、S1050(
図44参照)で情報処理装置100が受信した情報である。
【0126】
S1301にて、情報処理装置100のCPU103は、S1300で取得した情報に基づいて、スキャナ向きが「手前」か判定する。本ステップの判定結果が真の場合、一連の処理は終了する一方、該判定結果が偽の場合(つまり、スキャナ向きが「奥」か「右」か「左」の場合)、S1302に進む。
【0127】
S1302にて、情報処理装置100のCPU103は、S1300で取得した情報に基づいて、スキャナ向きが「右」と「奥」と「左」との何れかを判定する。本ステップの判定の結果、スキャナ向きが「右」の場合S1303に進み、スキャナ向きが「奥」の場合S1304に進み、スキャナ向きが「左」の場合、S1305に進む。
【0128】
S1303にて、情報処理装置100のCPU103は、スキャンウィンドウ400においてガイドビュー500を90度回転して表示する。
【0129】
S1305にて、情報処理装置100のCPU103は、スキャンウィンドウ400においてガイドビュー500を180度回転して表示する。
【0130】
S1305にて、情報処理装置100のCPU103は、スキャンウィンドウ400においてガイドビュー500を270度回転して表示する。
【0131】
<本実施形態の効果等>
尚、本実施形態では、ガイドビューを回転する形態を説明したが、ガイドビューの回転に合わせて原稿領域の表示形態も変更してもよい。また、本実施形態では、ガイドビューそのものである画像を作成し、当該作成した画像を回転させていた。しかし理論的には、回転後の情報に基づき原稿台とスキャン原点とを示す情報を書き変え、当該書き換えた情報に基づいて、ガイドビューそのものである画像を作成しても構わない。
【0132】
本実施形態によれば、装置が標準的ではない置き方で設置されるような場合であっても、原稿を置く位置がユーザーに分かり易く提示され、正しい向きのスキャン画像を取得可能なガイドビューをGUI画面上で実現することが可能になる。
【0133】
例えば、原稿台カバーが「奥」側となるような置き方が標準の縦長SFS(スキャン原点は左下)を、
図38に示すように、原稿台カバー200が「左」側となるように設置した場合に有効である。この場合、
図40に示すポップウィンドウ801上で画像803を選択することで、以降、横長の原稿台、スキャン原点が右下にあるものとして処理を継続することが可能である。
【0134】
[他の実施形態]
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。尚、前述の実施形態の内容を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0135】
100 情報処理装置
103 CPU
150 画像処理装置
201 原稿台
208 スキャン原点