(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189297
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】無人搬送車
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B61B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097805
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上野 俊幸
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BA01
3D101BB11
3D101BB16
3D101BB28
3D101BB36
(57)【要約】
【課題】操舵付き駆動輪を有する無人搬送車であっても、駆動輪に無理な横滑りをさせず、ガイドレールへの負荷を抑え、位置決めをスムーズに高精度に行う技術を提供すること。
【解決手段】3つ以上の車輪、シャーシ及びガイドローラ部を備える無人搬送車であって、前記ガイドローラ部は、複数のガイドローラを備え、回転機構により走行面上を前記シャーシに対して回転可能であり、前記複数のガイドローラが、並行して配置された2本のガイドレールに摺動可能である無人搬送車とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上の車輪、シャーシ及びガイドローラ部を備える無人搬送車であって、
前記ガイドローラ部は、複数のガイドローラを備え、回転機構により走行面上を前記シャーシに対して回転可能であり、
前記複数のガイドローラが、並行して配置された2本のガイドレールに摺動可能である無人搬送車。
【請求項2】
無軌道走行時には前記シャーシに対する前記ガイドローラ部の回転をロックし、
前記2本のガイドレールによる軌道誘導時には前記シャーシに対する前記ガイドローラ部のロックが解除されて回転可能とされる請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項3】
前記シャーシに設けられた操舵可能な駆動輪と、
前記シャーシに連結された前記ガイドローラ部に設けられた従動輪と、を更に備え、
前記複数のガイドローラは、前記ガイドローラ部の両側面の各々に配置され、
前記複数のガイドローラのうち前記両側面の一方のガイドローラが、前記2本のガイドレールの一方の側面に沿って摺動し、
前記複数のガイドローラのうち前記両側面の他方のガイドローラが、前記2本のガイドレールの他方の側面に沿って摺動する請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項4】
前記ガイドローラ部と重畳し、前記ガイドローラ部の回転と連動して回転するターンテーブル部を更に備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
製造及び物流において、作業の自動化が進められている。
例えば、工場及び倉庫等におけるワークの運搬には、無人搬送車が用いられる。
近年、無人搬送車の誘導には、磁気誘導方式、レーザレーダ誘導方式又はSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)誘導方式が用いられている。
従来技術の一例である特許文献1には、予め走行経路に反射板が設置され、無人搬送車に搭載されたレーザレーダ等により反射板を検知することにより無人搬送車が誘導される、レーザレーダ誘導方式が開示されている。
【0003】
ところで、ワークの運搬には正確な位置決めが要求されるため、無人搬送車の誘導には高い位置精度が求められる。
磁気誘導方式、レーザレーダ誘導方式又はSLAM誘導方式によれば、無軌道においても無人搬送車の誘導が可能であるものの、ワークの運搬においては位置精度に改善の余地がある。
従来技術の一例である特許文献2には、無人搬送車を精度よく停止位置に位置決めするために、停止位置に対応する位置に設置されたガイドレール等の矯正部材を備える位置決め装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-128750号公報
【特許文献2】特開2015-178317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本発明の課題を説明するために、比較例を挙げる。
図3は、比較例である無人搬送車を示す上面図である。
図3に示す無人搬送車は、モータ等の駆動部を有するシャーシ2と、シャーシ2に連結されたガイドローラ部4と、シャーシ2に設けられた操舵可能な駆動輪5と、ガイドローラ部4に設けられた従動輪6a,6bと、を備える。
ガイドローラ部4の進行方向に直交しない2つの側面の各々には、複数のガイドローラが配置されている。
具体的には、ガイドローラ部4の進行方向に直交しない2つの側面の一方である第1の側面部には、複数のガイドローラとしてガイドローラ7a1,7a2,7a3,7a4が設けられており、進行方向に直交しない2つの側面の他方であり、第1の側面部に対向する第2の側面部には、複数のガイドローラとしてガイドローラ7b1,7b2,7b3,7b4が設けられている。
図3に示す無人搬送車においては、ガイドローラ部4がシャーシ2に対して固定され、ガイドレール8aにガイドローラ7a1,7a2,7a3,7a4が接触し、ガイドレール8bにガイドローラ7b1,7b2,7b3,7b4が接触し、進行方向が矯正される。
【0006】
しかしながら、
図3に示すような、操舵付き駆動輪を有する無人搬送車に対して、ガイドレール等の軌道による矯正を行うと、ガイドローラとガイドレールとの接触部において、ガイドローラにガイドレールからの反作用の力が生じる。
この反作用の力により無人搬送車の進行方向が矯正されるが、このとき、ガイドレールと接触するガイドローラの2か所が支点及び力点となり、離れて設けられた駆動輪が作用点となるため、てこの原理によりガイドレールに大きな負荷がかかってしまう。
そのため、比較例の構成では、駆動輪が横滑り動作をするような場合に、ガイドレールに大きな負荷がかかり、又はガイドレールが破損してしまうことがある、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操舵付き駆動輪を有する無人搬送車であっても、駆動輪に無理な横滑りをさせず、ガイドレールへの負荷を抑え、位置決めをスムーズに高精度に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決して目的を達成する本発明の一態様は、3つ以上の車輪、シャーシ及びガイドローラ部を備える無人搬送車であって、前記ガイドローラ部は、複数のガイドローラを備え、回転機構により走行面上を前記シャーシに対して回転可能であり、前記複数のガイドローラが、並行して配置された2本のガイドレールに摺動可能である無人搬送車である。
【0009】
上記構成の無人搬送車において、無軌道走行時には前記シャーシに対する前記ガイドローラ部の回転をロックし、前記2本のガイドレールによる軌道誘導時には前記シャーシに対する前記ガイドローラ部のロックが解除されて回転可能とされるとよい。
【0010】
上記構成の無人搬送車において、前記シャーシに設けられた操舵可能な駆動輪と、前記シャーシに連結された前記ガイドローラ部に設けられた従動輪と、を更に備え、前記複数のガイドローラは、前記ガイドローラ部の両側面の各々に配置され、前記複数のガイドローラのうち前記両側面の一方のガイドローラが、前記2本のガイドレールの一方の側面に沿って摺動し、前記複数のガイドローラのうち前記両側面の他方のガイドローラが、前記2本のガイドレールの他方の側面に沿って摺動するとよい。
【0011】
上記構成の無人搬送車において、前記ガイドローラ部と重畳し、前記ガイドローラ部の回転と連動して回転するターンテーブル部を更に備えるとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操舵付き駆動輪を有する無人搬送車であっても、駆動輪に無理な横滑りをさせず、ガイドレールへの負荷を抑え、位置決めをスムーズに高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(A)は、実施形態1に係る無人搬送車を示す上面図であり、
図1(B)は、実施形態1に係る無人搬送車を示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す無人搬送車の位置決めに用いるガイドレールを示す上面図である。
【
図3】
図3は、比較例である無人搬送車を示す上面図である。
【
図4】
図4(A)は、無人搬送車のロック状態を示す図であり、
図4(B)は、無人搬送車のロック解除状態を示す図である。
【
図5】
図5(A)は、ガイドローラとレールとの接触時の一例を示す上面図であり、
図5(B)は、ガイドローラ部の進行後であって、ガイドローラとレールとの接触時の一例を示す上面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る無人搬送車の第1変形例である無人搬送車を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る無人搬送車の第2変形例である無人搬送車を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る無人搬送車を示す側面図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る無人搬送車において、ガイドローラ部の上面から見た概略とターンテーブル部の裏面から見た概略とを並べて示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態2におけるターンテーブル部の設計例を示す上面図である。
【
図11】
図11は、実施形態2におけるガイドローラ部の設計例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
【0015】
(実施形態1)
図1(A)は、本実施形態に係る無人搬送車1を示す上面図であり、
図1(B)は、本実施形態に係る無人搬送車1を示す側面図である。
図1(A),(B)に示す無人搬送車1は、モータ等の駆動部を有するシャーシ2と、レーザレーダ誘導方式に用いられるレーザナビ3と、シャーシ2に回転可能に連結されたガイドローラ部4と、シャーシ2に設けられた操舵可能な駆動輪5と、ガイドローラ部4に設けられた従動輪6a,6bと、を備える。
ガイドローラ部4には、従動輪6a及び従動輪6bの車輪軸中央を回転中心とする回転機構が設けられている。
ガイドローラ部4は、当該回転機構により無人搬送車1の走行面上をシャーシ2に対して回転可能であり、ガイドローラ部4の上には、無人搬送車1の用途に応じて、ワーク又は移載装置が設けられる。
また、ガイドローラ部4の進行方向に直交しない2つの側面の各々には、複数のガイドローラが配置されている。
具体的には、ガイドローラ部4の進行方向に直交しない2つの側面の一方である第1の側面部には、複数のガイドローラとしてガイドローラ7a1,7a2,7a3,7a4が設けられており、進行方向に直交しない2つの側面の他方であり、第1の側面部に対向する第2の側面部には、複数のガイドローラとしてガイドローラ7b1,7b2,7b3,7b4が設けられている。
【0016】
図2は、
図1に示す無人搬送車1の位置決めに用いるガイドレール8を示す上面図である。
図2に示すガイドレール8は、並行して配置されたレール8aとレール8bとの間の各々の摺動面に沿って無人搬送車1を誘導することで、無人搬送車1の左右方向の位置及び角度を調整しつつ、無人搬送車1を停止位置まで誘導することを可能とする。
ガイドローラ7a1,7a2,7a3,7a4は、レール8aに沿って摺動し、ガイドローラ7b1,7b2,7b3,7b4は、レール8bに沿って摺動し、レール8aの摺動面とレール8bの摺動面とは互いに対向する。
ここで、
図2に示すように、レール8aの最奥部には車止め9aが設けられ、レール8bの最奥部には車止め9bが設けられていてもよい。
本実施形態に係る無人搬送車は、レーザレーダ誘導方式、SLAM誘導方式、磁気誘導方式等の誘導制御により自己位置を推定して所定の位置で停止するが、車止め9a,9bが設けられていることで、推定した自己位置にずれがあっても車止め9a,9bの停止位置を越えず、確実に所定の位置で停止させることが可能となる。
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、レール8a,8bには車止め9a,9bが設けられていなくてもよい。
【0017】
図1に示す無人搬送車1は、ガイドレール8が設けられていない走行面を走行するとき、すなわち無軌道走行時には、ガイドローラ部4が回転しないように固定されてロック状態とされる。
他方で、
図1に示す無人搬送車1は、ガイドレール8が設けられた走行面でガイドレール8に誘導されて走行するとき、すなわち軌道誘導時には、ガイドローラ部4がロック解除状態とされてシャーシ2に対して回転可能となる。
【0018】
図4(A)は、無人搬送車1のロック状態を示す図であり、
図4(B)は、無人搬送車1のロック解除状態を示す図である。
図4(A)に示すローラ10a,10b、ローラ支持部11c,11b、パワーシリンダ12及び台形ブロック13は、無人搬送車1の内部に設けられている。
パワーシリンダ12及び台形ブロック13は、シャーシ2内に設けられていればよい。
図4(A)に示すように、無軌道走行時には、パワーシリンダ12が台形ブロック13をガイドローラ部4に設けられたローラ10a及びローラ10bに押し込むことで、ロック状態となり、ガイドローラ部4の回転が規制される。
なお、ローラ10aはローラ支持部11aによってガイドローラ部4に支持され、ローラ10bはローラ支持部11bによってガイドローラ部4に支持される。
このとき、シャーシ2に対するガイドローラ部4の角度がずれていれば、その角度のずれが小さくなるように調整が行われる。
【0019】
図4(B)に示すように、無軌道走行の無人搬送車1が、ガイドローラ部4側を前方として走行し、ガイドローラ7a4がレール8aに到達し、又はガイドローラ7b4がレール8bに到達すると、パワーシリンダ12は台形ブロック13の押し込みを停止してロック状態を解除し、台形ブロック13をパワーシリンダ12側に引き込む。
これにより、ガイドローラ部4はシャーシ2に対して回転可能となる。
ただし、シャーシ2に対するガイドローラ部4の角度が大きく変わらないように、シャーシ2に対するガイドローラ部4の回転は、ローラ10a,10bにより所定の角度範囲に規制される。
ここで、所定の角度範囲は、例えば±5°である。
なお、ガイドローラ部4のロックとロック解除とは、レーザレーダ誘導方式、SLAM誘導方式、磁気誘導方式等の誘導制御により自己位置を推定して所定の位置で行われる。
また、ガイドローラ7a4のレール8aとの接触及びガイドローラ7b4のレール8bとの接触は、図示しないセンサ等により検出してもよい。
また、台形ブロック13は、図示する形態に限定されず、ローラ10a,10bと協働してロック状態とロック解除状態とを切り替えることが可能な構成であればよい。
【0020】
図5(A)は、ガイドローラ7b4とレール8bとの接触時の一例を示す上面図であり、
図5(B)は、ガイドローラ部4の進行後であって、ガイドローラ7b4とレール8b及びガイドローラ7a4とレール8aとの接触時の一例を示す上面図である。
図5(A)に示すように、進行方向の左右にずれがある状態でガイドローラ7b4がレール8bに接触すると、ガイドローラ部4はシャーシ2に対して回転し、従動輪6a及び従動輪6bは、左右のずれを小さくするように走行し、ガイドローラ部4はレール8aとレール8bの間の中心に向かう。
【0021】
図5(B)に示すように、ガイドローラ部4が誘導されることで、ガイドローラ7a3がレール8aに接触し、ガイドローラ7b3がレール8bに接触すると、従動輪6a及び従動輪6bは横滑り動作をして無人搬送車1の角度ずれを小さくするように調整を行う。
しかしながら、従動輪6a及び従動輪6bにかかる荷重は、駆動輪5にかかる荷重よりも小さく、力点と作用点が近いため、レール8a,8bにかかる従動輪6a及び従動輪6bの横滑りによる荷重は小さい。
【0022】
なお、ガイドローラ部4の左右ずれ及び角度ずれの調整により、ガイドローラ部4の上に設置される、図示しないワーク又は移載装置の左右ずれ及び角度ずれも、レール8a及びレール8bに沿って小さくなるように調整される。
【0023】
また、ガイドローラ部4の回転機構により、無人搬送車1は、ガイドローラ部4の左右移動に合わせて旋回するため、駆動輪5を横滑りさせる動きは発生しない。
【0024】
なお、本実施形態では、1つの駆動輪及び2つの従動輪を備える無人搬送車について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、駆動輪及び従動輪を合わせて、自立可能にするために3つ以上の車輪が設けられていればよい。
無人搬送車1は、3つ以上の車輪、シャーシ2及びガイドローラ部4を備えていればよく、ガイドローラ部4が、複数のガイドローラを備え、回転機構により走行面上をシャーシに対して回転可能であり、複数のガイドローラが並行して配置された2本のガイドレールに摺動可能であればよい。
【0025】
なお、上述のように、本実施形態に係る無人搬送車は、駆動輪及び従動輪を合わせて、3つ以上の車輪が設けられていればよい。
図6は、本実施形態に係る無人搬送車の第1変形例である無人搬送車1aを示す図である。
図6に示す無人搬送車1aは、駆動輪5a,5b及び従動輪6を備える。
【0026】
なお、本実施形態では、ガイドローラ部4の進行方向に直交しない2つの側面の各々に複数のガイドローラが配置された構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図7は、本実施形態に係る無人搬送車の第2変形例である無人搬送車1bを示す図である。
図7に示すように、ガイドローラ部4の進行方向に直交しない1つの側面に2つのガイドローラが配置されていてもよい。
図7に示す無人搬送車1bは、ガイドローラ部4の第2の側面にガイドローラ7b1,7b4を備える。
【0027】
なお、本実施形態では、1つのシャーシ2と、1つのガイドローラ部4と、を備える構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガイドローラ部4は2つ設けられていてもよい。
すなわち、2つのガイドローラ部4がシャーシ2を挟むように構成されていてもよい。
【0028】
本実施形態によれば、ガイドローラ部が回転することにより、無人搬送車の進行方向を矯正する際の回転中心はガイドローラ部の回転中心(すなわち支点)となり、力点と作用点の距離が近くなるため、操舵付き駆動輪を有する無人搬送車であっても、駆動輪に無理な横滑りをさせることなく、ガイドレールへの負荷を抑え、位置決めをスムーズに高精度に行うことができる。
【0029】
(実施形態2)
本実施形態においては、実施形態1に対して更に構成を追加した形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る無人搬送車1cを示す側面図である。
図8に示す無人搬送車1cは、昇降可能なフォーク部20を備える点が実施形態1の無人搬送車1と異なり、その他の構成については無人搬送車1と同じである。
フォーク部20は、ガイドローラ部4と重畳する位置に配置され、フォーク部20の端にはターンテーブル部21が設けられている。
ターンテーブル部21には、無人搬送車1cの用途に応じて、ワーク又は移載装置が載せられる。
無人搬送車1cは、フォーク部20により、ワーク又は移載装置の昇降が可能な構成である。
なお、ガイドローラ部4とターンテーブル部21とは、ワイヤ22によって接続されている。
【0030】
図9は、本実施形態に係る無人搬送車1cにおいて、ガイドローラ部4の上面から見た概略とターンテーブル部21の裏面から見た概略とを並べて示す図である。
図9に示すように、ガイドローラ部4の上面とターンテーブル部21の裏面とは、交差された2本のアウタ付きワイヤ22によって接続されている。
これにより、ガイドローラ部4が回転すると、ターンテーブル部21は、ガイドローラ部4と同じ方向に、略同じ角度で回転する。
また、ワイヤ22はアイドルローラ23に接触し、アイドルローラ23はアイドルローラ支持部24に支持されていてもよい。
【0031】
図10は、本実施形態におけるターンテーブル部21の設計例を示す上面図であり、
図11は、本実施形態におけるガイドローラ部4の設計例を示す上面図である。
図10に示すターンテーブル部21の回転は、所定の角度範囲となるようにストッパー25によって規制される。
ここで、所定の角度範囲は、例えば±7°である。
図11に示すガイドローラ部4の回転は、所定の角度範囲となるように、実施形態1において
図4(B)を参照して説明したように規制される。
ここで、所定の角度範囲は、上述したように、例えば±5°である。
なお、ワイヤ22の一端は
図10に示すワイヤ固定端に固定され、ワイヤ22の他端は
図11に示すワイヤ固定端に固定される。
ワイヤ22のアウタは、アウタ固定部に固定される。
【0032】
上述のように、ターンテーブル部21の角度範囲をガイドローラ部4の角度範囲よりも大きくすると、ワイヤ22の負荷を抑えることができる。
ただし、ターンテーブル部21の角度範囲を過度に大きくすると、ワイヤ22が切断した際にターンテーブル部21が大きく回転してしまい、無人搬送車1の周囲の構造物に衝突するおそれがある。
そのため、ここでは、ターンテーブル部21の回転の好ましい角度範囲として、±7°を例示している。
【0033】
図10に示すようにターンテーブル部21の近傍には、ワイヤ22の張りを維持するためのアイドルローラ23及びアイドルローラ23を支持するアイドルローラ支持部24が配置されている。
このような構成により、ワイヤ22の切断時にはアイドルローラ23が飛び出し、この飛び出しを図示しないセンサが検出することで、無人搬送車1の自動停止が可能である。
【0034】
また、アイドルローラ23の押し込み側では、ワイヤ22の微小移動、例えば1mmの移動により図示しないストッパーに接触するように位置調整が行われ、動作時に2本のワイヤ22の張力の差によってアイドルローラ23が大きく動き、上下の同期誤差を小さくしている。
また、ワイヤ22には、定圧の与圧による張りが与えられるが、これは、ワイヤ22に予め張力を付与することで、ワイヤ22の剛性を上げ、同期ずれを減少させ、ワイヤ22の張り過ぎによる破断を防止するためである。
【0035】
本実施形態によれば、実施形態1の効果に加えて、ワーク又は移載装置の昇降を可能とし、ガイドローラ部とターンテーブル部との連動を可能とすることができる。
【0036】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、上述の構成に対して、構成要素の付加、削除又は転換を行った様々な変形例も含むものとする。
【符号の説明】
【0037】
1,1a,1b,1c 無人搬送車
2 シャーシ
3 レーザナビ
4 ガイドローラ部
5,5a,5b 駆動輪
6,6a,6b 従動輪
7a1,7a2,7a3,7a4,7b1,7b2,7b3,7b4 ガイドローラ
8 ガイドレール
8a,8b レール
9a,9b 車止め
10a,10b ローラ
11c,11b ローラ支持部
12 パワーシリンダ
13 台形ブロック
20 フォーク部
21 ターンテーブル部
22 ワイヤ
23 アイドルローラ
24 アイドルローラ支持部
25 ストッパー