(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189319
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】充電システム、充電設備、送信装置および通知装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097845
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促す充電システム、充電設備、送信装置及び通知装置を提供する。
【解決手段】電力系統から供給される供給電力を用いて電気自動車として構成される車両30に搭載されるバッテリ32を充電する充電システム10であって、供給電力のうち自然エネルギーを電源として発電された自然エネルギー由来電力が電力系統の需要電力に対して余剰となる第1時間帯、需要電力に対する自然エネルギー由来電力の割合が所定割合以上となる第2時間帯及び供給電力を生成する過程における二酸化炭素の排出量が所定量未満となる第3時間帯、のうちの少なくとも1つの時間帯としての特定時間帯をユーザに通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統から供給される供給電力を用いて電気自動車に搭載される車載蓄電装置を充電する充電システムであって、
前記供給電力のうち自然エネルギーを電源として発電された自然エネルギー由来電力が前記電力系統の需要電力に対して余剰となる第1時間帯、および、前記需要電力に対する前記自然エネルギー由来電力の割合が所定割合以上となる第2時間帯、および、前記供給電力を生成する過程における二酸化炭素の排出量が所定量未満となる第3時間帯、のうちの少なくとも1つの時間帯としての特定時間帯をユーザに通知する、
充電システム。
【請求項2】
請求項1記載の充電システムであって、
前記供給電力を用いて前記車載蓄電装置を充電する充電設備と、
前記特定時間帯を送信する送信装置と、
前記送信装置から送信された前記特定時間帯を受信して前記ユーザに通知する通知装置と、
を備える充電システム。
【請求項3】
請求項2記載の充電システムであって、
前記特定時間帯とは異なる非特定時間帯には、前記充電設備による前記車載蓄電装置の充電が禁止されるように前記電気自動車および前記充電設備のうちの少なくとも一方を制御する制御装置
を備える充電システム。
【請求項4】
請求項1記載の充電システムであって、
前記特定時間帯と、前記特定時間帯とは異なる非特定時間帯と、前記特定時間帯における電力料金である第1料金と、前記非特定時間帯における電力料金である第2料金と、前記ユーザに通知する
充電システム。
【請求項5】
請求項4記載の充電システムであって、
前記供給電力を用いて前記車載蓄電装置を充電する充電設備と、
前記特定時間帯と、前記非特定時間帯と、前記第1、第2料金と、を送信する送信装置と、
前記送信装置から送信された前記特定時間帯と前記非特定時間帯と前記第1,第2料金とを受信して前記ユーザに通知する通知装置と、を備える
充電システム。
【請求項6】
請求項4または5記載の充電システムであって、
前記第1料金は、前記第2料金に比して安くなるように設定されている
充電システム。
【請求項7】
請求項6記載の充電システムであって、
前記第1料金は、前記供給電力の電力量に拘わらず基本料金に設定され、前記第2料金は、前記基本料金と前記供給電力に基づく追加料金との和に設定されている
充電システム。
【請求項8】
請求項1記載の充電システムに用いられ、前記供給電力を用いて前記車載蓄電装置を充電する充電設備。
【請求項9】
請求項1記載の充電システムに用いられ、前記特定時間帯を送信する送信装置。
【請求項10】
請求項1記載の充電システムに用いられ、前記特定時間帯を前記ユーザに通知する通知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システム、充電設備、送信装置および通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の充電システムとしては、自然エネルギーを用いて発電された自然エネルギー由来電力で蓄電池を充電し、蓄電池からの電力を用いて電気自動車に搭載される車載蓄電装置を充電するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、蓄電池の残存電力量と電気自動車の電力量とをユーザに表示することにより、ユーザに自然エネルギー由来電力の使用を促している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の充電システムでは、自然エネルギー由来電力を一旦蓄電池に蓄え、蓄電池からの電力で車載蓄電装置を充電することから、蓄電池の充放電時に電力損失が発生してしまう。こうした電力損失を抑制するために、自然エネルギー由来電力を一旦蓄電池に蓄えることなく、車載蓄電装置を充電システムが提案されている。この充電システムでは、二酸化炭素の排出量を小さくするために、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようユーザに促すことが重要な課題として認識されている。
【0005】
本発明の充電システムは、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の充電システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の充電システムは、
電力系統から供給される供給電力を用いて電気自動車に搭載される車載蓄電装置を充電する充電システムであって、
前記供給電力のうち自然エネルギーを電源として発電された自然エネルギー由来電力が前記電力系統の需要電力に対して余剰となる第1時間帯、および、前記需要電力に対する前記自然エネルギー由来電力の割合が所定割合以上となる第2時間帯、および、前記供給電力を生成する過程における二酸化炭素の排出量が所定量未満となる第3時間帯、のうちの少なくとも1つの時間帯としての特定時間帯をユーザに通知する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の充電システムでは、供給電力のうち自然エネルギーを電源として発電された自然エネルギー由来電力が電力系統の需要電力に対して余剰となる第1時間帯、および、需要電力に対する自然エネルギー由来電力の割合が所定割合以上となる第2時間帯、および、供給電力を生成する過程における二酸化炭素の排出量が所定量未満となる第3時間帯、のうちの少なくとも1つの時間帯としての特定時間帯をユーザに通知する。第1~第3時間帯は、自然エネルギー由来電力が豊富であると考えられることから、特定時間帯をユーザに通知することにより、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことができる。ここで、「自然エネルギー」は、化石燃料以外の自然現象を電源とするエネルギーであり、電源としては、例えば、太陽光や熱、風力、潮力、地熱などを挙げることができる。「所定割合」は、自然エネルギー由来電力が豊富であるか否かを判定するための閾値である。「所定量」は、自然エネルギー由来電力が豊富なため二酸化炭素の排出量が少ないか否かを判定するための閾値である。
【0009】
こうした本発明の充電システムにおいて、前記供給電力を用いて前記車載蓄電装置を充電する充電設備と、前記特定時間帯を送信する送信装置と、前記送信装置から送信された前記特定時間帯を受信して前記ユーザに通知する通知装置と、を備えていてもよい。こうすれば、充電設備と送信装置と通知装置とを備える充電システムにおいて、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことができる。
【0010】
この場合において、前記特定時間帯とは異なる非特定時間帯には、前記充電設備による前記車載蓄電装置の充電が禁止されるように前記電気自動車および前記充電設備のうちの少なくとも一方を制御する制御装置を備えていてもよい。こうすれば、自然エネルギー由来電力が豊富ではない時間帯において充電設備による車載蓄電装置の充電を抑制できる。
【0011】
また、本発明の充電システムにおいて、前記特定時間帯と、前記特定時間帯とは異なる非特定時間帯と、前記特定時間帯における電力料金である第1料金と、前記非特定時間帯における電力料金である第2料金と、前記ユーザに通知してもよい。特定時間帯は、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯であり、非特定時間帯は、自然エネルギー由来電力が豊富ではない時間帯であることから、特定時間帯と、非特定時間と、特定時間帯における電力料金である第1料金と、非特定時間帯における電力料金である第2料金と、をユーザに通知することにより、より強く、特定時間帯と非特定時間とをユーザに認識させて、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことができる。
【0012】
この場合において、前記供給電力を用いて前記車載蓄電装置を充電する充電設備と、前記特定時間帯と、前記非特定時間帯と、前記第1、第2料金と、を送信する送信装置と、前記送信装置から送信された前記特定時間帯と前記非特定時間帯と前記第1,第2料金とを受信して前記ユーザに通知する通知装置と、を備えていてもよい。こうすれば、充電設備と送信装置と通知装置とを備える充電システムにおいて、より強く、特定時間帯と非特定時間とをユーザに認識させて、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことができる。
【0013】
また、この場合において、前記第1料金は、前記第2料金に比して安くなるように設定してもよい。こうすれば、より強く、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことができる。更に、この場合において、前記第1料金は、前記供給電力の電力量に拘わらず基本料金に設定され、前記第2料金は、前記基本料金と前記供給電力に基づく追加料金との和に設定されてもよい。
【0014】
本発明の充電設備は、上述の態様の充電システム、即ち、電力系統から供給される供給電力を用いて電気自動車に搭載される車載蓄電装置を充電する充電システムであっって、前記供給電力のうち自然エネルギーを電源として発電された自然エネルギー由来電力が前記電力系統の需要電力に対して余剰となる第1時間帯、および、前記需要電力に対する前記自然エネルギー由来電力の割合が所定割合以上となる第2時間帯、および、前記供給電力を生成する過程における二酸化炭素の排出量が所定量未満となる第3時間帯、のうちの少なくとも1つの時間帯としての特定時間帯をユーザに通知する、充電システムに用いられ、前記供給電力を用いて前記車載蓄電装置を充電する
ことを要旨とする。
【0015】
この本発明の充電設備では、上述の態様の充電システムに用いられることにより、上述の態様の充電システムの効果、即ち、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことができるという効果と同等の効果を奏する。
【0016】
本発明の送信装置は、上述の態様の充電システム、即ち、電力系統から供給される供給電力を用いて電気自動車に搭載される車載蓄電装置を充電する充電システムであっって、前記供給電力のうち自然エネルギーを電源として発電された自然エネルギー由来電力が前記電力系統の需要電力に対して余剰となる第1時間帯、および、前記需要電力に対する前記自然エネルギー由来電力の割合が所定割合以上となる第2時間帯、および、前記供給電力を生成する過程における二酸化炭素の排出量が所定量未満となる第3時間帯、のうちの少なくとも1つの時間帯としての特定時間帯をユーザに通知する、充電システムに用いられ、前記特定時間帯を送信する
ことを要旨とする。
【0017】
この本発明の送信装置では、上述の態様の充電システムに用いられることにより、上述の態様の充電システムの効果、即ち、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことができるという効果と同等の効果を奏する。
【0018】
本発明の通知装置は、上述の態様の充電システム、即ち、電力系統から供給される供給電力を用いて電気自動車に搭載される車載蓄電装置を充電する充電システムであっって、前記供給電力のうち自然エネルギーを電源として発電された自然エネルギー由来電力が前記電力系統の需要電力に対して余剰となる第1時間帯、および、前記需要電力に対する前記自然エネルギー由来電力の割合が所定割合以上となる第2時間帯、および、前記供給電力を生成する過程における二酸化炭素の排出量が所定量未満となる第3時間帯、のうちの少なくとも1つの時間帯としての特定時間帯をユーザに通知する、充電システムに用いられ、前記特定時間帯を前記ユーザに通知する
ことを要旨とする。
【0019】
この本発明の通知装置では、上述の態様の充電システムに用いられることにより、上述の態様の充電システムの効果、即ち、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことができるという効果と同等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例としての充電システム10のブロック図である。
【
図2】車両ECU34により実行される充電許可時間帯設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図3】系統管理サーバ18により実行される特定時間帯設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図4】車両ECU34により実行される変形例の充電許可時間帯設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0022】
図1は、本発明の一実施例としての充電システム10のブロック図である。図示するように、実施例の充電システム10は、車両30に搭載される蓄電装置(車載蓄電装置)34を充電するシステムとして構成されており、電力系統12と、系統管理サーバ18と、充電スタンド20と、スタンド管理サーバ28と、ディスプレイ33と、車両用電子制御ユニット(以下、「車両ECU」という)34と、車両管理サーバ38と、ユーザの携帯端末40とを備える。
【0023】
電力系統12は、発電所や事業所、工場、家庭などを含む電力系統である。系統管理サーバ18は、例えば電力会社による電力系統12の管理に用いられるサーバである。この系統管理サーバ18は、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、記憶装置(SSDやハードディスクなど)、入出力ポート、通信ポートなどを備える。系統管理サーバ18は、スタンド管理サーバ28や車両管理サーバ38と無線により通信可能となっている。系統管理サーバ18は、電力系統12における電力の需給状況や電力系統12に供給される供給電力の電源に関する情報(供給電力に対する化石燃料を電源とする発電による非自然エネルギー由来電力や自然エネルギーを電源とする発電による自然エネルギー由来電力の割合など)を時間帯ごとに記憶装置に記憶している。ここで、「自然エネルギー」は、化石燃料以外の自然現象を電源とするエネルギーであり、自然エネルギーの電源としては、例えば、太陽光や熱、風力、潮力、地熱などを挙げることができる。
【0024】
充電スタンド20は、電力系統12に接続されており、電力調節部22と、電力調節部22を制御するスタンド用電子制御ユニット(以下、「スタンドECU(Electronic Control Unit)」という)24とを備える。電力調節部22は、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されていて、電力系統12の電力を充電スタンド20を介して車両30のバッテリ32に供給してバッテリ32を充電するバッテリ充電を実行するときに、その電力を調節できるようになっている。スタンドECU24は、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートなどを備える。スタンドECU24は、スタンド管理サーバ28と無線により通信可能となっていると共に、車両30の車両用電子制御ユニット(以下、「車両ECU(Electronic Control Unit)」という)34と有線または無線により通信可能となっている。
【0025】
スタンド管理サーバ28は、充電スタンド20の所有者(例えば、充電スタンド20の管理業者)による充電スタンド20の管理に用いられるサーバである。このスタンド管理サーバ28は、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、記憶装置(SSDやハードディスクなど)、入出力ポート、通信ポートなどを備える。スタンド管理サーバ28は、系統管理サーバ18や、充電スタンド20のスタンドECU24、車両管理サーバ38と無線により通信可能となっている。
【0026】
車両30は、電気自動車として構成されており、走行用のモータと、モータと電力をやりとりするバッテリ32と、車室内に各種情報を表示するタッチパネルとして構成されたディスプレイ33と、モータを駆動したりバッテリ32を管理したりディスプレイ33を制御する車両ECU34とを備える。車両ECU34は、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートなどを備える。車両ECU34は、車両管理サーバ38と無線により通信可能となっていると共に、充電スタンド20のスタンドECU24と有線または無線により通信可能となっている。車両30は、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されているときに、上述のバッテリ充電を実行できるようになっている。
【0027】
なお、車両30は、電気自動車に限定されるものではなく、モータやバッテリ32、ディスプレイ33、車両ECU34に加えてエンジンを備えるハイブリッド自動車として構成してもよい。
【0028】
車両管理サーバ38は、車両30のユーザによる車両30の管理に用いられるサーバである。この車両管理サーバ38は、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、記憶装置(SSDやハードディスクなど)、入出力ポート、通信ポートなどを備える。車両管理サーバ38は、系統管理サーバ18やスタンド管理サーバ28、車両30の車両ECU34、携帯端末40と無線により通信可能となっている。
【0029】
携帯端末40は、スマートフォンやタブレット端末などとして構成されている。携帯端末40は、車両管理サーバ38と無線により通信可能となっている。
【0030】
次に、こうして構成された実施例の充電システム10の動作、特に、車両30でバッテリ充電を許可したり禁止したりする際の動作について説明する。
図2は、車両ECU34により実行される充電許可時間帯設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。本ルーチンは、車両30がシステム起動されたときに1日に1回実行される。
【0031】
充電許可時間帯設定ルーチンが実行されると、車両ECU34のCPUは、特定時間帯を入力する処理を実行する(ステップS100)。特定時間帯は、系統管理サーバ18で設定されたものを車両管理サーバ38を介して入力している。ここで、充電許可時間帯設定ルーチンの説明を中断して、系統管理サーバ18での特定時間帯の設定について説明する。
【0032】
図3は、系統管理サーバ18により実行される特定時間帯設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。特定時間帯設定ルーチンは、系統管理サーバ18のCPUにより1日に1度実行される。
【0033】
特定時間帯設定ルーチンが実行されると、系統管理サーバ18のCPUは、時間帯ごとに、電力系統12の電力のうち自然エネルギー由来電力と電力系統12の需要電力とを比較して、自然エネルギー由来電力が需要電力に対して余剰となる時間帯(第1時間帯)を特定時間帯に設定して(ステップS200)、設定した特定時間帯を車両管理サーバ38に送信して(ステップS210)、特定時間帯設定ルーチンを終了する。ここで、時間帯ごとの自然エネルギー由来電力や電力系統12の需要電力は、過去の所定期間(例えば、1週間~1ヶ月程度)のデータに基づいて推定され、例えば、過去の所要期間の平均値として推定されたり、更に気温や天気、風などを考慮して推定されたりする。特定時間帯は、例えば、晴れる日中で太陽光発電による発電力が大きい時間帯や、風があって風力発電による発電力が大きい時間帯などであり、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯である。以上、系統管理サーバ18での特定時間帯の設定について説明した。
【0034】
図2の充電許可時間帯設定ルーチンの説明に戻る。車両ECU34のCPUは、特定時間帯を入力すると、入力した特定時間帯をおすすめ充電時間帯としてディスプレイ33に表示する(S110)。こうしておすすめ充電時間帯をディスプレイ33に表示することにより、おすすめ充電時間帯、即ち、自然エネルギー由来電力が豊富な特定時間帯に車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとを接続してバッテリ32を充電するようにユーザを促すことができる。
【0035】
続いて、おすすめ時間帯を充電許可時間帯へ反映することをユーザが希望しているか否かを判定する(ステップS120)。ステップS120は、「おすすめ充電時間帯での充電を許可し、そのほかの時間帯での充電を禁止しますか?」と「します」と「しません」の文字をディスプレイ33に表示し、「します」に接触が検知されたときにはおすすめ時間帯の充電許可時間帯への反映をユーザが希望していると判定し、「しません」に接触が検知されたときにはおすすめ時間帯の充電許可時間帯への反映をユーザが希望しないと判定する。
【0036】
ステップS120でおすすめ時間帯の充電許可時間帯への反映をユーザが希望していないと判定したときには、充電許可時間帯設定ルーチンを終了する。この場合、車両ECU34は、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されているときに、バッテリ充電を実行する。
【0037】
ステップS120でおすすめ時間帯の充電許可時間帯への反映をユーザが希望していると判定したときには、特定時間帯を充電許可時間帯に設定して(ステップS130)、充電許可時間帯設定ルーチンを終了する。充電許可時間帯が設定されると、車両ECU34は、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されたときが充電許可時間帯に含まれるとき、即ち、特定時間帯に含まれるときには、上述のバッテリ充電を許可してバッテリ充電を実行し、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されたときが充電許可時間帯に含まれないとき、即ち、特定時間帯と異なる非特定時間帯であるときには、上述のバッテリ充電を禁止してバッテリ充電を実行しない。これにより、非特定時間帯、つまり、自然エネルギー由来電力が豊富ではない時間帯においてバッテリ充電が実行されることを抑制でき、電力系統12での発電からバッテリ充電を実行するまでの二酸化炭素の排出量の増加を抑制できる。なお、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されたときが充電許可時間帯に含まれないときでも、その後に、車両側コネクタとスタンド側コネクタとの接続が保持されていて充電許可時間帯に至ると、バッテリ充電を許可してバッテリ充電を実行する。
【0038】
以上説明した実施例の充電システム10によれば、供給電力のうち自然エネルギーを電源として発電された自然エネルギー由来電力が電力系統12の需要電力に対して余剰となる第1時間帯としての特定時間帯をユーザに通知することにより、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯にバッテリ32を充電するようにユーザを促すことができる。
【0039】
また、充電スタンド20は、供給電力を用いてバッテリ32を充電し、系統管理サーバ18は、特定時間帯を送信し、車両管理サーバ38と車両ECU34とディスプレイ33とは、系統管理サーバ18から送信された特定時間帯を受信してユーザに通知するから、充電スタンド20と系統管理サーバ18と車両管理サーバ38と車両ECU34とディスプレイ33とを備える充電システムにおいて、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯にバッテリ32を充電するようにユーザを促すことができる。
【0040】
更に、非特定時間帯には、バッテリ充電を禁止するから、自然エネルギー由来電力が豊富ではない時間帯においてバッテリ充電が実行されることを抑制できる。
【0041】
実施例の充電システム10では、
図3に例示する特定時間帯設定ルーチンのステップS200で、自然エネルギー由来電力が需要電力に対して余剰となる時間帯(第1時間帯)を特定時間帯に設定している。しかしながら、需要電力に対する自然エネルギー由来電力の割合が所定割合以上となると自然エネルギー由来電力が豊富であると判断でき、自然エネルギー由来電力が豊富なときには供給電力を生成する過程における二酸化炭素の排出量が所定量未満となることから、第1時間帯に代えて、需要電力に対する自然エネルギー由来電力の割合が所定割合以上となる時間帯(第2時間帯)や、供給電力を生成する過程における二酸化炭素の排出量が所定量未満となる時間帯(第3時間帯)を、特定時間帯に設定してもよい。また、第1~第3時間帯のうちの複数を特定時間帯に設定してもよい。ここで、「所定割合」は、自然エネルギー由来電力が豊富であるか否かを判定するための閾値である。「所定量」は、自然エネルギー由来電力が豊富なため二酸化炭素の排出量が少ないか否かを判定するための閾値である。
【0042】
実施例の充電システム10では、
図2に例示する充電許可時間帯設定ルーチンのステップS120、S130で、おすすめ充電時間帯の充電許可時間帯への反映をユーザが希望するか否かを判定したり、特定時間帯を充電許可時間帯に設定したりする。しかしながら、ステップS120、S130を実行しなくてもよい。
【0043】
実施例の充電システム10では、
図3に例示する特定時間帯設定ルーチンのステップS200で、自然エネルギー由来電力が需要電力に対して余剰となる時間帯としての特定時間帯を送信している。しかしながら、
図3に例示する特定時間帯設定ルーチンに代えて、特定時間帯と、特定時間帯とは異なる非特定時間帯と、特定時間帯における電力料金である第1料金と、非特定時間帯における電力料金である第2料金と、を含む電力料金体系を設定して、設定した電力料金体系を車両管理サーバ38に送信してもよい。電力料金体系では、第1料金を第2料金に比して安くなるように設定しており、例えば、第1料金を、供給電力の電力量に拘わらない基本料金に設定し、第2料金を、基本料金と追加料金との和に設定してもよい。追加料金は、一律の料金でもよいし、供給電力の電力量に基づく可変の料金としてもよい。
【0044】
この場合において、車両ECU34のCPUは、
図2に例示する充電許可時間帯設定ルーチンに代えて、
図4に例示する充電許可時間帯設定ルーチンを実行すればよい。
図4の充電許可時間帯設定ルーチンでは、車両ECU34のCPUは、電力料金体系を入力する処理を実行し(ステップS300)、入力した電力料金体系、つまり、特定時間帯と、特定時間帯とは異なる非特定時間帯と、特定時間帯における電力料金である第1料金と、非特定時間帯における電力料金である第2料金と、をディスプレイ33に表示する(ステップS310)。特定時間帯は、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯であり、非特定時間帯は、自然エネルギー由来電力が豊富ではない時間帯であることから、特定時間帯と、非特定時間と、特定時間帯における電力料金である第1料金と、非特定時間帯における電力料金である第2料金と、をユーザに通知することにより、より強く、特定時間帯と非特定時間とをユーザに認識させて、自然エネルギー由来電力が豊富な時間帯に車載蓄電装置を充電するようにユーザを促すことができる。
【0045】
こうして電力料金をディスプレイ33に表示したら、電力料金体系を充電許可時間帯へ反映することをユーザが希望しているか否かを判定する(ステップS320)。ステップS320は、「電力料金が基本料金のときには充電を許可し、そのほかの時間帯での充電を禁止しますか?」と「します」と「しません」の文字をディスプレイ33に表示し、「します」に接触が検知されたときには電力料金体系の充電許可時間帯への反映をユーザが希望していると判定し、「しません」に接触が検知されたときにはおすすめ時間帯の充電許可時間帯への反映をユーザが希望しないと判定する。
【0046】
ステップS320で電力料金体系の充電許可時間帯への反映をユーザが希望していないと判定したときには、充電許可時間帯設定ルーチンを終了する。この場合、車両ECU34は、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されているときに、バッテリ充電を実行する。
【0047】
ステップS320で電力料金体系の充電許可時間帯への反映をユーザが希望していると判定したときには、特定時間帯を充電許可時間帯に設定して(ステップS330)、充電許可時間帯設定ルーチンを終了する。充電許可時間帯が設定されると、車両ECU34は、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されたときが充電許可時間帯に含まれるとき、即ち、特定時間帯に含まれるときには、上述のバッテリ充電を許可してバッテリ充電を実行し、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されたときが充電許可時間帯に含まれないとき、即ち、非特定時間帯に含まれるときには、上述のバッテリ充電を禁止してバッテリ充電を実行しない。これにより、非特定時間帯、つまり、自然エネルギー由来電力が豊富ではない時間帯においてバッテリ充電が実行されることを抑制でき、二酸化炭素の排出量の増加を抑制できる。
【0048】
この場合において、ステップS320、S330で、電力料金体系の充電許可時間帯への反映をユーザが希望するか否かを判定したり、特定時間帯を充電許可時間帯に設定したりする。しかしながら、ステップS320、S330を実行しなくてもよい。
【0049】
実施例や変形例の充電システム10では、
図2や
図4に例示する充電許可時間帯設定ルーチンを車両ECU34で実行している。しかしながら、
図2や
図4に例示する充電許可時間帯設定ルーチンを携帯端末40で実行してもよい。この場合、ステップS130やS330で、設定した充電許可時間帯を車両管理サーバ38を介して車両30が受信して、車両30が受信した充電許可時間帯に基づいてバッテリ充電を実行すればよい。
【0050】
実施例や変形例の充電システム10では、
図2や
図4に例示する充電許可時間帯設定ルーチンのステップS130、S330で、特定時間帯を充電許可時間帯に設定したときには、車両ECU34で、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されたときが充電許可時間帯に含まれるときには、上述のバッテリ充電を許可し、車両30の車両側コネクタと充電スタンド20のスタンド側コネクタとが接続されたときが充電許可時間帯に含まれないとき、即ち、特定時間帯と異なる非特定時間帯に含まれるときには、上述のバッテリ充電を禁止している。しかしながら、ステップS130、S330で、特定時間帯を充電許可時間帯に設定したときには、充電許可時間帯をスタンドECU24に送信し、スタンドECU24で、充電スタンド20から車両30への電力の供給を許可してバッテリ充電が実行されるように電力調節部22を制御したり、充電スタンド20から車両30への電力の供給を禁止してバッテリ充電が実行されないように電力調節部22を制御してもよい。
【0051】
実施例や変形例の充電システム10では、系統管理サーバ18と、充電スタンド20と、スタンド管理サーバ28と、ディスプレイ33と、車両ECU34と、車両管理サーバ38と、を備えるものとした。しかしながら、これらのうちの少なくとも2つは、一体に構成されていてもよい。例えば、系統管理サーバ18と充電スタンド20とスタンド管理サーバ28とが一体で、ディスプレイ33と車両ECU34と車両管理サーバ38とが一体に構成されていてもよい。
【0052】
実施例や変形例の充電システム10では、車両30は、蓄電装置としてバッテリ32を備えている。しかしながら、車両30は、バッテリ32に代えてコンデンサを備えていてもよい。
【0053】
実施例では、本発明を、充電システム10の形態として説明した。しかしながら、充電システムに用いられ、供給電力を用いてバッテリ32を充電する充電設備の形態や、充電システムに用いられ、特定時間帯を送信する送信装置の形態、充電システムに用いられ、特定時間帯をユーザに通知する通知装置の形態としてもよい。
【0054】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、充電スタンド20と、系統管理サーバ18と、車両管理サーバ38と、車両ECU34と、ディスプレイ33とが「充電システム」に相当する。また、充電スタンド20が「充電設備」に相当する。更に、系統管理サーバ18が「送信装置」に相当する。そして、ディスプレイ33と車両ECU34と車両管理サーバ38とが「通知装置」に相当する。
【0055】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0056】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
10 充電システム、12 電力系統、18 系統管理サーバ、20 充電スタンド、22 電力調節部、24 スタンドECU、28 スタンド管理サーバ、30 車両、32 バッテリ、33 ディスプレイ、34 車両ECU、38 車両管理サーバ、40 携帯端末。