IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-制御装置、制御方法 図1
  • 特開-制御装置、制御方法 図2
  • 特開-制御装置、制御方法 図3
  • 特開-制御装置、制御方法 図4
  • 特開-制御装置、制御方法 図5
  • 特開-制御装置、制御方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189322
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/02 20060101AFI20221215BHJP
   E05F 15/659 20150101ALI20221215BHJP
   G05B 9/02 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B61D19/02 V
E05F15/659
G05B9/02 C
G05B9/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097848
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】安西 文彦
(72)【発明者】
【氏名】湯高 佳一
【テーマコード(参考)】
2E052
5H209
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA01
2E052CA05
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC03
2E052GC02
2E052GC06
5H209AA09
5H209BB07
5H209CC03
5H209FF01
5H209GG05
5H209HH15
5H209JJ05
5H209SS07
5H209TT04
(57)【要約】
【課題】冗長化された鉄道車両のドアの制御系の可用性を高めることが可能な技術を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るDCM100は、外部からDCM100及び他のDCM100に一斉に入力される制御信号に基づき鉄道車両1の一のドア20の動作を制御する常用系コントローラ110と、外部から入力される制御信号に基づき鉄道車両1の一のドア20の動作を制御可能な待機系コントローラ120と、を備え、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容、待機系コントローラ120から取得される、待機系コントローラ120により認識された制御信号の内容、及び他のDCM100から取得される、他のDCM100により認識された制御信号の内容に基づき、一のドア20の動作を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から制御装置及び他の制御装置に一斉に入力される制御信号に基づき鉄道車両の一のドアの動作を制御する第1の制御部と、
外部から入力される前記制御信号に基づき鉄道車両の一のドアの動作を制御可能な第2の制御部と、を備え、
前記第1の制御部は、前記第2の制御部、及び外部から入力される同じ前記制御信号に基づき前記鉄道車両の他のドアを制御する前記他の制御装置と通信可能に構成され、自己が認識した前記制御信号の内容、前記第2の制御部から取得される、前記第2の制御部により認識された前記制御信号の内容、及び前記他の制御装置から取得される、前記他の制御装置により認識された前記制御信号の内容に基づき、前記一のドアの動作を制御する、
制御装置。
【請求項2】
前記第1の制御部は、自己が認識した前記制御信号の内容、前記第2の制御部により認識された前記制御信号の内容、及び特定の前記他の制御装置により認識された前記制御信号の内容に基づき、前記一のドアの動作を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1の制御部は、自己が認識した前記制御信号の内容、前記第2の制御部により認識された前記制御信号の内容、及び特定の前記他の制御装置により認識された前記制御信号の内容を比較し、多数決によって、前記一のドアの動作を制御するために使用する前記制御信号の内容を決定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1の制御部は、自己が認識した前記制御信号の内容、前記第2の制御部により認識された前記制御信号の内容、及び複数の前記他の制御装置のそれぞれにより認識された前記制御信号の内容に基づき、前記一のドアの動作を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1の制御部は、前記複数の前記他の制御装置のそれぞれにより認識された前記制御信号の内容を比較し、多数決を行うと共に、自己が認識した前記制御信号の内容、前記第2の制御部により認識された前記制御信号の内容、及び前記複数の前記他の制御装置のそれぞれにより認識された前記制御信号の内容の多数決の結果を比較し、多数決によって、前記一のドアの動作を制御するために使用する前記制御信号の内容を決定する、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1の制御部は、前記特定の前記他の制御装置から、前記特定の前記他の制御装置により認識された前記制御信号の内容を取得できない場合、自己が認識した前記制御信号の内容を、前記一のドアの動作を制御するために使用する前記制御信号の内容に決定する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1の制御部は、前記複数の前記他の制御装置の全てから、前記複数の前記他の制御装置のそれぞれにより認識された前記制御信号の内容を取得できない場合、又は、前記複数の前記他の制御装置のそれぞれにより認識された前記制御装置の内容の多数決の結果が同数又は所定閾値以下の僅差である場合、自己が認識した前記制御信号の内容を、前記一のドアの動作を制御するために使用する前記制御信号の内容に決定する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1の制御部は、前記第2の制御部から、前記第2の制御部により認識された前記制御信号の内容を取得できない場合、自己が認識した前記制御信号の内容を、前記一のドアの動作を制御するための前記制御信号の内容に決定する、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第1の制御部は、自己が認識した前記制御信号の内容と、前記一のドアの動作を制御するために使用する前記制御信号の内容とに基づき、自己の異常の有無を診断する、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第1の制御部は、自己が認識した前記制御信号の内容と、前記一のドアの動作を制御するために使用する前記制御信号の内容とが一致しない場合、自己の異常に関する情報を所定の記憶部に記録する、
請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
外部から制御装置及び他の制御装置に一斉に入力される制御信号に基づき鉄道車両の一のドアの動作を制御する第1の制御部と、外部から入力される前記制御信号に基づき鉄道車両の一のドアの動作を制御可能な第2の制御部と、を備え、前記第1の制御部は、前記第2の制御部、及び外部から入力される同じ前記制御信号に基づき前記鉄道車両の他のドアを制御する前記他の制御装置と通信可能に構成される制御装置が実行する制御方法であって、
前記第1の制御部が、自己が認識した前記制御信号の内容、前記第2の制御部から取得される、前記第2の制御部により認識された前記制御信号の内容、及び前記他の制御装置から取得される、前記他の制御装置により認識された前記制御信号の内容に基づき、前記一のドアの動作を制御する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両のドアの制御系を常用系及び待機系に冗長化(二重化)する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、ドア制御装置に、常用系の第1コントローラ及び待機系の第2コントローラが設けられ、第1コントローラに異常が発生すると、第2コントローラがモータの制御を引き継ぐ形態が開示されている。この際、特許文献1では、ドア制御装置の外部から入力される制御情報の第1コントローラ及び第2コントローラによる認識内容が一致しない場合、他のドア制御装置での同じ制御情報の認識内容との比較で、第1コントローラの異常の有無が判断されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5117614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、常用系のドアの制御に関する機能には異常が無い場合であっても、外部から入力される信号を受け付ける入力部の機能に問題が生じると、常用系に異常ありと判断され、待機系に切り替えられる。そのため、ドアの制御系の可用性が低下する可能性がある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、冗長化された鉄道車両のドアの制御系の可用性を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
外部から制御装置及び他の制御装置に一斉に入力される制御信号に基づき鉄道車両の一のドアの動作を制御する第1の制御部と、
外部から入力される前記制御信号に基づき鉄道車両の一のドアの動作を制御可能な第2の制御部と、を備え、
前記第1の制御部は、前記第2の制御部、及び外部から入力される同じ前記制御信号に基づき前記鉄道車両の他のドアを制御する前記他の制御装置と通信可能に構成され、自己が認識した前記制御信号の内容、前記第2の制御部から取得される、前記第2の制御部により認識された前記制御信号の内容、及び前記他の制御装置から取得される、前記他の制御装置により認識された前記制御信号の内容に基づき、前記一のドアの動作を制御する、
制御装置が提供される。
【0008】
また、本開示の他の実施形態では、
外部から制御装置及び他の制御装置に一斉に入力される制御信号に基づき鉄道車両の一のドアの動作を制御する第1の制御部と、外部から入力される前記制御信号に基づき鉄道車両の一のドアの動作を制御可能な第2の制御部と、を備え、前記第1の制御部は、前記第2の制御部、及び外部から入力される同じ前記制御信号に基づき前記鉄道車両の他のドアを制御する前記他の制御装置と通信可能に構成される制御装置が実行する制御方法であって、
前記第1の制御部が、自己が認識した前記制御信号の内容、前記第2の制御部から取得される、前記第2の制御部により認識された前記制御信号の内容、及び前記他の制御装置から取得される、前記他の制御装置により認識された前記制御信号の内容に基づき、前記一のドアの動作を制御する、
制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述の実施形態によれば、冗長化された鉄道車両のドアの制御系の可用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】鉄道車両の構成の一例を示すブロック図である。
図2】ドアの制御系の構成の一例を示す図である。
図3】DCMによるドアの制御に使用する制御信号の内容を決定する処理の一例を示す図である。
図4】DCMによるドアの制御に使用する制御信号の内容を決定する処理の他の例を示す図である。
図5】ドアの制御系の構成の他の例を示す図である。
図6】DCMによるドアの制御に使用する制御信号の内容を決定する処理の更に他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0012】
[鉄道車両のドアの開閉動作に関する構成]
図1を参照して、鉄道車両1のドア20の開閉動作に関する構成について説明する。
【0013】
図1は、鉄道車両1のドア20の開閉動作に関する構成の一例を示す図である。以下、鉄道車両1の運行時の主たる進行方向、即ち、運転席が存在する側を便宜的に前と規定して説明を行う。
【0014】
図1に示すように、鉄道車両1は、例えば、先頭及び最後尾の車両1A,1Bと、車両1A,1Bの間に連結される車両1Cと、を含み、複数の車両が連結される列車として構成される。車両1A,1Bは、いわゆる制御車であり、運転席が設けられる。以下、車両1A~1Cを区別しない場合、車両1A~1Cを包括的に、或いは、個別に「車両1X」と称する場合がある。
【0015】
尚、鉄道車両1は、2両編成の列車であってもよい。この場合、車両1A,1Bが直接接続される。また、鉄道車両1は、一両編成であってもよい。この場合、鉄道車両1の前端及び後端の双方に運転席(運転室)が設けられてよい。
【0016】
鉄道車両1は、ドア20の開閉動作に関する構成として、車両制御装置10と、ドア20と、スイッチ30A,30Bと、信号線35と、スイッチ40A,40Bと、信号線45と、伝送装置50と、通信線55と、DCM(Door Control Module)100とを含む。
【0017】
車両制御装置10は、鉄道車両1の運行に関する制御を行う。例えば、鉄道車両1が複数の車両が連結される列車の場合、車両制御装置10は、先頭の車両1Aの運転室に設けられる。また、例えば、鉄道車両1が複数の車両が連結される列車の場合、車両制御装置10は、最後尾の車掌室にも設けられる。また、例えば、鉄道車両1が一両編成で運行される場合、車両制御装置10は、鉄道車両1の前後端の運転室に1つずつ設けられる。
【0018】
車両制御装置10は、所定の入力装置を通じた運転手や車掌からの入力や各種条件に応じて、ドア20の開閉動作に関する指令をDCM100に向けて出力する。車両制御装置10は、運転手や車掌からの入力に応じて、ドア20の開指令及び閉指令を出力する。
【0019】
ドア20は、鉄道車両1(車両1A~1C)の左右の側面の開口部に設けられる両開き式の引き戸であり、鉄道車両1の乗客の乗降のために用いられる。本例では、車両1Xは、その左右に4つずつの開口部を有し、それぞれの開口部にドア20が設けられる。即ち、本例では、車両1Xには、その左右の側面のそれぞれに4つのドア20が設けられる。また、車両1Xの左右の側面に設けられるドア20は、3以下であってもよい。例えば、車両1Xには、その左右の側面のそれぞれに前端部及び後端部の2つのドア20が設けられてもよい。また、車両1Xの左右の側面に設けられるドア20は、5以上であってもよい。例えば、車両1Xには、その左右の側面のそれぞれに6つのドア20が設けられてもよい。
【0020】
尚、図1では、便宜的に、車両1Cのドア20及びこれに関連する構成(信号線35,45、伝送装置50、通信線55、及びDCM100)が描画されるが、車両1A,1Bについても同様のドア20及びこれに関連する構成を有する。
【0021】
スイッチ30A,30Bは、鉄道車両1(車両1X)の左側の側面のドア20(以下、便宜的に「左側のドア20」)を開けることを許可するために用いられる。スイッチ30A,30Bは、それぞれ、例えば、車両1Aの運転室及び車両1Cの車掌室に設けられ、運転手や車掌の操作に応じて、オン・オフされる。例えば、運転手や車掌は、鉄道車両1の左側に乗降用のプラットフォームが隣接する停車駅に停車する直前に、スイッチ30A,30Bをオン操作する。
【0022】
信号線35は、所定の直流電源と左側の側面のドア20を制御する複数のDCM100(以下、便宜的に「左側のDCM100」)のそれぞれとの間を並列に接続する。具体的には、信号線35は、所定の直流電源からスイッチ30A,30Bのそれぞれを経由して、左側のDCM100のそれぞれに並列接続される2つの信号経路を有する。これにより、スイッチ30A,30Bの双方がオフ状態の場合、左側のDCM100には、それぞれ、L(Low)レベルの信号(オフ信号)が入力される。一方、スイッチ30A,30Bの何れか一方がオン状態の場合、直流電源と左側のDCM100との間が導通し、左側のDCM100には、それぞれ、H(High)レベルの信号(オン信号)が入力される。そのため、信号線35は、スイッチ30A,30Bのオン・オフ状態に応じて、左側のドア20を開けることを許可するための信号(以下、「開許可信号」)を左側のDCM100に伝達することができる。
【0023】
スイッチ40A,40Bは、鉄道車両1(車両1X)の右側の側面のドア20(以下、便宜的に「右側のドア20」)を開けることを許可するために用いられる。スイッチ40A,40Bは、それぞれ、例えば、車両1Aの運転室及び車両1Cの車掌室に設けられ、運転手や車掌の操作に応じて、オン・オフされる。例えば、運転手や車掌は、鉄道車両1の右側に乗降用のプラットフォームが隣接する停車駅に停車する直前に、スイッチ40A,40Bをオン操作する。
【0024】
信号線45は、所定の直流電源と右側の側面のドア20を制御する複数のDCM100(以下、便宜的に「右側のDCM100」)のそれぞれとの間を並列に接続する。具体的には、信号線45は、所定の直流電源からスイッチ40A,40Bのそれぞれを経由して、右側のDCM100のそれぞれに並列接続される2つの信号経路を有する。これにより、スイッチ40A,40Bの双方がオフ状態の場合、右側のDCM100には、それぞれ、L(Low)レベルの信号(オフ信号)が入力される。一方、スイッチ40A,40Bの何れか一方がオン状態の場合、直流電源と右側のDCM100との間が導通し、右側のDCM100には、それぞれ、H(High)レベルの信号(オン信号)が入力される。そのため、信号線45は、スイッチ40A,40Bのオン・オフ状態に応じて、右側のドア20を開けることを許可するための信号(開許可信号)を右側のDCM100に伝達することができる。
【0025】
伝送装置50は、車両1Xに設けられ、車両制御装置10から出力される指令を同じ車両1XのDCM100に伝送したり、同じ車両1XのDCM100から出力される信号を車両制御装置10に伝送したりする。
【0026】
通信線55は、車両1Xの伝送装置50と複数(本例では、8つ)のDCM100との間を並列に接続する。これにより、伝送装置50は、通信線55を通じて、DCM100に車両制御装置10からの指令を伝送したり、DCM100からの信号を受信し車両制御装置10に中継したりすることができる。通信線55は、例えば、RS-485等の規格に基づくシリアル通信のための通信線である。また、通信線55は、パラレル通信のための通信線であってもよい。
【0027】
DCM100は、鉄道車両1のドア20ごとに設けられ、対応するドア20の開閉動作に関する制御を行う。
【0028】
DCM100(制御装置の一例)は、例えば、車両制御装置10からドア20の開指令が受信されると、開許可信号がオンである場合に、制御対象のドア20を開かせる。これにより、DCM100は、左側及び右側のドア20のうちのスイッチ30A,30B或いはスイッチ40A,40Bによって、ドア20を開くことが許可された一方のドア20だけを開くことができる。
【0029】
[ドアの制御系の構成の一例]
次に、図2を参照して、ドア20の制御系の構成の一例について説明する。
【0030】
図2は、ドア20の制御系の構成の一例を示す図である。
【0031】
尚、左側のDCM100及び右側のDCM100は、前者が信号線35に接続され、後者が信号線45に接続される以外、同様の構成を有するため、図2では、代表して、左側のDCM100が描画される。そのため、右側のDCM100の場合、図2の信号線35が信号線45に置換される。以下、後述の図5の場合についても同様である。
【0032】
図2に示すように、DCM100は、常用系コントローラ110と、待機系コントローラ120と、出力切替回路130とを含む。
【0033】
常用系コントローラ110(第1の制御部の一例)は、ドア20の開閉動作に関する制御を行う。
【0034】
待機系コントローラ120(第2の制御部の一例)は、ドア20の開閉動作に関する制御を実行可能に構成され、常用系コントローラ110のバックアップ機能を果たす。これにより、DCM100は、常用系コントローラ110に加えて、待機系コントローラ120が設けられることで、ドア20の開閉動作に関する制御系の冗長化を図ることができる。具体的には、待機系コントローラ120は、常用系コントローラ110に異常が生じると、常用系コントローラ110に代わり、ドア20の開閉動作に関する制御を行う。
【0035】
常用系コントローラ110の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、常用系コントローラ110は、補助記憶装置111と、メモリ装置112と、CPU113と、インタフェース装置114と、駆動装置115とを含む。
【0036】
補助記憶装置111は、例えば、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶手段であり、インストールされた各種プログラムを格納すると共に、各種処理に必要なデータ等を格納する。
【0037】
メモリ装置112は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶手段であり、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置111からプログラムを読み出して格納する。
【0038】
CPU113は、補助記憶装置111からメモリ装置112にロードされた各種プログラムを実行し、プログラムに従ってドア20の開閉動作に関する各種機能を実現する。CPU113は、補助記憶装置111からメモリ装置112にロードされたプログラムを実行することにより実現される機能部として、信号内容決定部1131と、制御部1132とを含む。
【0039】
インタフェース装置114は、外部との間の信号やデータ等の入出力に用いられる。インタフェース装置114は、フォトカプラ114Aと、通信インタフェース114Bとを含む。
【0040】
フォトカプラ114Aは、信号線35或いは信号線45と接続され、信号線35或いは信号線45により伝達される信号(開許可信号)を受信し、受信した信号を電気的に絶縁してCPU113に出力する。信号線35,45のオン信号の電圧が、DCM100の駆動電圧に比して、非常に高いからである。
【0041】
通信インタフェース114Bは、通信線55と接続され、伝送装置50を通じて伝送される車両制御装置10からの指令等を受信したり、CPU113の制御下で、車両制御装置10に伝送装置50を通じて、常用系コントローラの状態を表すデータ(以下、「状態データ」)を送信したりする。状態データは、例えば、車両制御装置10から受信される指令に対する応答として車両制御装置10に送信されてもよいし、所定の周期ごとに車両制御装置10に送信されてもよい。
【0042】
CPU113は、フォトカプラ114Aから取り込まれる信号から開許可信号の内容(オン状態或いはオフ状態)を認識する。また、CPU113は、自己が認識した開許可信号の内容を待機系コントローラ120(CPU123)に送信する。また、CPU113は、待機系コントローラ120(CPU123)により認識された開許可信号の内容を待機系コントローラ120から取り込む。この際、CPU113は、DCM100の内部の通信経路を通じて、自己が認識した開許可信号の内容を待機系コントローラ120に送信したり、待機系コントローラ120により認識された開許可信号の内容を待機系コントローラ120から受信したりしてよい。また、CPU113は、通信インタフェース114Bを制御し、通信線55を通じて、自己が認識した開許可信号の内容を待機系コントローラ120に送信したり、待機系コントローラ120により認識された開許可信号の内容を待機系コントローラ120から受信したりしてもよい。また、CPU113は、通信インタフェース114Bを制御し、自己が認識した開許可信号の内容を含む状態データを、通信線55及び伝送装置50を通じて、車両制御装置10に送信する。CPU113は、常用系コントローラ110がドア20の開閉動作に関する制御を行うアクティブな状態の場合のみ、状態データを車両制御装置10に送信してもよいし、常用系コントローラ110がアクティブな状態か否かに依らず、送信してもよい。また、CPU113は、通信インタフェース114Bを通じて、通信線55を伝送される他のDCM100の状態データを受信(傍受)する。これにより、CPU113は、他のDCM100(常用系コントローラ110のCPU113或いは待機系コントローラ120のCPU123)が認識した開許可信号の内容を取得することができる。
【0043】
駆動装置115は、所定の電源から供給される電力を用いて、ドア20の開閉動作に関するアクチュエータを駆動する。駆動装置115は、モータ22を駆動するモータ駆動装置と、ソレノイド24を駆動するソレノイド駆動装置を含む。
【0044】
モータ22は、ドア20の開閉機構を駆動し、ドア20の開閉を行う。駆動装置115(モータ駆動装置)は、モータ22を駆動することで、ドア20を開閉させることができる。
【0045】
ソレノイド24は、ドア20の施錠機構を駆動し、ドア20を施錠したり解錠したりする。ソレノイド24は、例えば、施錠用のソレノイドと、解錠用のソレノイドとを含む。駆動装置115(ソレノイド駆動装置)は、施錠用のソレノイドを通電させることにより、ドア20を施錠させることができる。また、駆動装置115(ソレノイド駆動装置)は、解錠用のソレノイドを通電させることにより、ドア20を解錠させることができる。また、ソレノイド24は、施錠用及び解錠用の何れか一方のみの機能を有し、他方の機能はドア20の施錠機構を施錠状態及び解錠状態の何れか一方に維持させる付勢部材(例えば、バネ)に置き換えられてもよい。
【0046】
尚、ドア20の施錠機構は、自己保持型であってよく、ソレノイド24が非通電に移行しても、ドア20の施錠状態或いは解錠状態を維持させることができる。
【0047】
信号内容決定部1131は、制御部1132によりドア20の開閉動作に関する制御に使用される制御信号の内容を決定する。制御信号は、DCM100の外部から入力され、ドア20の開閉動作に関する制御に使用される信号を意味する。制御信号は、例えば、上述の開許可信号を含む。また、制御信号は、例えば、鉄道車両1が所定の速度(例えば、5km/h)に到達したことを表す信号を含んでもよい。また、制御信号は、例えば、鉄道車両1の全ての車両1X或いは特定の車両1Xの全てのドア20を開かせるための信号を含んでもよい。以下、制御信号が開許可信号である場合を中心に説明を行う。信号内容決定部1131は、常用系コントローラ110がアクティブな状態の場合のみ、制御部1132により使用される制御信号の内容を決定してもよいし、常用系コントローラ110がアクティブな状態であるか否かによらず、当該処理を実行してもよい。
【0048】
信号内容決定部1131は、CPU113が認識した開許可信号の内容、待機系コントローラ120により認識された開許可信号の内容、及び他のDCM100により認識された開許可信号の内容に基づき、制御部1132が使用する開許可信号の内容を決定する。
【0049】
制御部1132は、駆動装置115を制御し、ドア20の開閉動作に関する制御を行う。具体的に、制御部1132は、外部からの制御信号や車両制御装置10からの停車信号、開指令、及び閉指令等に応じて、ドア20の開閉動作に関するシーケンス制御を行う。また、制御部1132は、図示しないエンコーダ、DCS(Door Close Switch)、及びDLS(Door Lock Switch)等の出力に基づき、ドア20の開閉状態、開閉方向の位置、及び施錠の有無等を把握しながら、ドア20の開閉動作に関するシーケンス制御を行う。
【0050】
待機系コントローラ120の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、待機系コントローラ120は、補助記憶装置121と、メモリ装置122と、CPU123と、インタフェース装置124と、駆動装置125とを含む。
【0051】
補助記憶装置121は、例えば、ROM等の不揮発性の記憶手段であり、インストールされた各種プログラムを格納すると共に、各種処理に必要なデータ等を格納する。
【0052】
メモリ装置122は、例えば、RAM等の揮発性の記憶手段であり、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置121からプログラムを読み出して格納する。
【0053】
CPU123は、補助記憶装置121からメモリ装置122にロードされた各種プログラムを実行し、プログラムに従ってドア20の開閉動作に関する各種機能を実現する。CPU123は、補助記憶装置121からメモリ装置122にロードされたプログラムを実行することにより実現される機能部として、信号内容決定部1231と、制御部1232とを含む。
【0054】
インタフェース装置124は、外部との間の信号やデータ等の入出力に用いられる。インタフェース装置124は、フォトカプラ124Aと、通信インタフェース124Bとを含む。
【0055】
フォトカプラ124Aは、信号線35或いは信号線45と接続され、信号線35或いは信号線45により伝達される信号(開許可信号)を受信し、受信した信号を電気的に絶縁してCPU123に出力する。信号線35,45のオン信号の電圧が、DCM100の駆動電圧に比して、非常に高いからである。
【0056】
通信インタフェース124Bは、通信線55と接続され、伝送装置50を通じて伝送される車両制御装置10からの指令等を受信したり、CPU123の制御下で、車両制御装置10に伝送装置50を通じて、常用系コントローラの状態を表すデータ(以下、「状態データ」)を送信したりする。状態データは、例えば、車両制御装置10から受信される指令に対する応答として車両制御装置10に送信されてもよいし、所定の周期ごとに車両制御装置10に送信されてもよい。
【0057】
CPU123は、フォトカプラ124Aから取り込まれる信号から開許可信号の内容(オン状態或いはオフ状態)を認識する。また、CPU123は、自己が認識した開閉信号の内容を常用系コントローラ110(CPU113)に送信する。また、CPU123は、常用系コントローラ110(CPU113)により認識された開許可信号の内容を常用系コントローラ110から取り込む。この際、CPU123は、DCM100の内部の通信経路を通じて、自己が認識した開許可信号の内容を常用系コントローラ110に送信したり、常用系コントローラ110により認識された開許可信号の内容を常用系コントローラ110から受信したりしてもよい。また、CPU123は、通信インタフェース124Bを制御し、通信線55を通じて、自己が認識した開許可信号の内容を常用系コントローラ110に送信したり、常用系コントローラ110により認識された開許可信号の内容を常用系コントローラ110から受信したりしてもよい。また、CPU123は、通信インタフェース124Bを制御し、自己が認識した開許可信号の内容を含む状態データを、通信線55及び伝送装置50を通じて、車両制御装置10に送信する。CPU123は、待機系コントローラ120がドア20の開閉動作に関する制御を行うアクティブな状態の場合のみ、状態データを車両制御装置10に送信してもよいし、待機系コントローラ120がアクティブな状態か否かに依らず、送信してもよい。また、CPU123は、通信インタフェース124Bを通じて、通信線55を伝送される他のDCM100の状態データを受信(傍受)する。これにより、CPU123は、他のDCM100(常用系コントローラ110のCPU113或いは待機系コントローラ120のCPU123)が認識した開許可信号の内容を取得することができる。
【0058】
駆動装置125は、所定の電源から供給される電力を用いて、ドア20の開閉動作に関するアクチュエータを駆動する。駆動装置125は、モータ22を駆動するモータ駆動装置と、ソレノイド24を駆動するソレノイド駆動装置を含む。
【0059】
駆動装置125(モータ駆動装置)は、モータ22を駆動することで、ドア20を開閉させることができる。
【0060】
駆動装置125(ソレノイド駆動装置)は、施錠用のソレノイドを通電させることにより、ドア20を施錠させることができる。また、駆動装置125(ソレノイド駆動装置)は、解錠用のソレノイドを通電させることにより、ドア20を解錠させることができる。
【0061】
信号内容決定部1231は、制御部1232によりドア20の開閉動作に関する制御に使用される制御信号の内容を決定する。信号内容決定部1231は、待機系コントローラ120がアクティブな状態の場合のみ、制御部1232により使用される制御信号の内容を決定してもよいし、待機系コントローラ120がアクティブな状態であるか否かに依らず、当該処理を実行してもよい。
【0062】
信号内容決定部1231は、CPU123が認識した開許可信号の内容、常用系コントローラ110により認識された開許可信号の内容、及び他のDCM100により認識された開許可信号の内容に基づき、制御部1232が使用する開許可信号の内容を決定する。
【0063】
制御部1232は、常用系コントローラ110におけるドア20の開閉動作に関する制御機能に異常が生じた場合に、駆動装置125を制御し、ドア20の開閉動作に関する制御を行う。具体的には、制御部1232は、外部からの制御信号や車両制御装置10からの停車信号、開指令、及び閉指令等に応じて、ドア20の開閉動作に関するシーケンス制御を行う。また、制御部1232は、図示しないエンコーダ、DCS、及びDLS等の出力に基づき、ドア20の開閉状態、開閉方向の位置、及び施錠の有無等を把握しながら、ドア20の開閉動作に関するシーケンス制御を行う。
【0064】
出力切替回路130は、常用系コントローラ110(駆動装置115)及び待機系コントローラ120(駆動装置125)とドア20の開閉動作に関するアクチュエータ(例えば、モータ22、ソレノイド24)との間に設けられる。出力切替回路130は、常用系コントローラ110(駆動装置115)とドア20の開閉動作に関するアクチュエータとの間を接続する状態と、待機系コントローラ120(駆動装置125)とドア20の開閉動作に関するアクチュエータとの間を接続する状態を切り替える。
【0065】
具体的には、出力切替回路130は、常用系コントローラ110におけるドア20の開閉動作に関する制御機能が正常である場合、常用系コントローラ110(駆動装置115)とドア20の開閉動作に関するアクチュエータとの間を接続する状態を維持する。これにより、常用系コントローラ110(駆動装置115)は、出力切替回路130を通じて、出力電流をドア20の開閉動作に関するアクチュエータに供給し、ドア20の開閉動作を実現することができる。一方、出力切替回路130は、常用系コントローラ110におけるドア20の開閉動作に関する制御機能に異常が生じると、待機系コントローラ120(駆動装置125)とドア20の異常に関するアクチュエータとの間を接続する状態に切り替える。これにより、常用系コントローラ110の異常時において、待機系コントローラ120は、出力切替回路130を通じて、出力電流をドア20の開閉動作に関するアクチュエータに供給し、ドア20の開閉動作を実現することができる。
【0066】
[信号内容決定処理の一例]
次に、図3を参照して、DCM100(信号内容決定部1131,1231)によるドア20の制御に使用する制御信号(開許可信号)の内容を決定する処理(以下、「信号内容決定処理」)の一例について説明する。
【0067】
図3は、DCM100(常用系コントローラ110の信号内容決定部1131)による信号内容決定処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートは、例えば、DCM100の稼働中に所定周期ごとに繰り返し実行される。また、本フローチャートは、例えば、車両制御装置10から開指令が受信される場合に実行されてもよい。以下、後述の図4図6のフローチャートについても同様であってよい。
【0068】
尚、待機系コントローラ120(信号内容決定部1231)による信号内容決定処理は、ステップS102の処理で、常用系コントローラ110からの開許可信号の認識内容の取得の有無が判定される以外、図3と同じである。そのため、本例では、常用系コントローラ110(信号内容決定部1131)による信号内容決定処理を代表して説明する。
【0069】
図3に示すように、ステップS102にて、信号内容決定部1131は、待機系コントローラ120及び特定の他のDCM100のそれぞれから開許可信号の認識内容を取得できたか否かを判定する。
【0070】
特定の他のDCM100は、左側及び右側のDCM100のうちの本フローチャートの対象の常用系コントローラ110を含むDCM100と同じ側のDCM100から選択される。即ち、特定の他のDCM100は、信号線35及び信号線45のうちの同じ一方の信号線を通じて、同じ内容の開許可信号が一斉に入力される他のDCM100から選択される。例えば、特定の他のDCM100は、本フローチャートの対象の常用系コントローラ110を含むDCM100に対応するドア20と同じ車両1Xで且つ同じ側の前後何れかに隣接する特定のドア20に対応するDCM100である。また、特定の他のDCM100は、本フローチャートの対象の常用系コントローラ110を含むDCM100と同じ側の他のDCM100であれば、他の車両1Xの同じ側のDCM100から選択されてもよい。この場合、他の車両1Xの特定の他のDCM100の状態データは、例えば、車両制御装置10から伝送装置50に送信され、通信線55を通じて、本フローチャートの対象の常用系コントローラ110に取り込まれてよい。
【0071】
信号内容決定部1131は、待機系コントローラ120及び特定の他のDCM100の少なくとも一方から最新の開許可信号の認識内容が得られていない場合、ステップS104に進む。一方、信号内容決定部1131は、待機系コントローラ120及び特定の他のDCM100のそれぞれから最新の開許可信号の認識内容を取得できた場合、ステップS106に進む。
【0072】
ステップS104にて、信号内容決定部1131は、制御部1132がドア20の開閉動作に関する制御に用いる開許可信号の内容を、自己(常用系コントローラ110のCPU113)が認識した内容に決定する。待機系コントローラ120及び特定の他のDCM100の少なくとも一方から開許可信号の認識内容を取得できない場合、ステップS106の多数決を行うことができないからである。
【0073】
CPU113は、ステップS104の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS106にて、信号内容決定部1131は、常用系コントローラ110、待機系コントローラ120、及び特定の他のDCM110による開許可信号の認識内容の多数決を行う。
【0075】
CPU113は、ステップS104の処理が完了すると、ステップS106に進む。
【0076】
ステップS108にて、信号内容決定部1131は、ステップS106の処理の結果として、多数派が開許可信号をオン状態と認識しているか否かを判定する。信号内容決定部1131は、多数派が開許可信号をオン状態と認識している場合、ステップS110に進み、多数派が開許可信号をオン状態と認識していない場合、ステップS112に進む。
【0077】
ステップS110にて、信号内容決定部1131は、制御部1132がドア20の開閉動作に関する制御に用いる開許可信号の内容をオン状態に決定する。
【0078】
CPU113は、ステップS110の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0079】
一方、ステップS112にて、信号内容決定部1131は、制御部1132によりドア20の開閉動作に関する制御部に用いる開許可信号の内容をオフ状態に決定する。
【0080】
CPU113は、ステップS112の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0081】
このように、本例では、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容、待機系コントローラ120が認識した制御信号の内容、及び特定の他のDCM100が認識した制御信号の内容に基づき、ドア20の開閉動作を制御する。具体的には、常用系コントローラ110は、自己、待機系コントローラ120、及び特定の他のDCM100のそれぞれが認識した制御信号の内容を比較し、多数決によって、ドア20の制御に用いる制御信号の内容を決定する。
【0082】
これにより、例えば、フォトカプラ114Aに異常が生じ、CPU113が制御信号の内容を正確に認識することができない場合であっても、DCM100は、待機系コントローラ120及び他のDCM100による認識結果を採用することができる。そのため、例えば、フォトカプラ114Aのみに異常が生じているものの、他の機能に問題がない状況では、DCM100は、ドア20の開閉動作に関する制御系の冗長性を維持することができる。よって、DCM100は、冗長化された鉄道車両1の制御系の可用性の低下を抑制することができる。
【0083】
尚、信号内容決定部1131は、常用系コントローラ110(CPU113)及び待機系コントローラ120(CPU123)による開許可信号の認識内容に相違がある場合のみ、特定の他のDCM100の開許可信号の認識内容を確認してもよい。この場合、信号内容決定部1131は、常用系コントローラ110(CPU113)及び待機系コントローラ120(CPU123)による開許可信号の認識内容が一致すると、その内容をそのまま制御部1132が使用する開許可信号の内容に決定する。
【0084】
[信号内容決定処理の他の例]
次に、図4を参照して、DCM100(信号内容決定部1131,1231)による信号内容決定処理の他の例について説明する。
【0085】
図4は、DCM100(常用系コントローラ110の信号内容決定部1131)による信号内容決定処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。
【0086】
尚、待機系コントローラ120(信号内容決定部1231)による信号内容決定処理は、ステップS202の処理で、常用系コントローラ110からの開許可信号の認識内容の取得の有無が判定される以外、図4と同じである。そのため、本例では、常用系コントローラ110(信号内容決定部1131)による信号内容決定処理を代表して説明する。
【0087】
図4に示すように、ステップS202~S212は、図3のステップS102~S112の処理と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0088】
CPU113は、ステップS210或いはステップS212の処理が完了すると、ステップS214に進む。
【0089】
ステップS214にて、信号内容決定部1131は、自己(CPU113)が認識した開許可信号の内容と、制御部1132により用いられる開許可信号の内容とが同じであるか否かを判定する。信号内容決定部1131は、双方の信号の内容が同じでない場合、ステップS216に進み、同じである場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0090】
ステップS216にて、信号内容決定部1131は、開許可信号の入力部(フォトカプラ114A)の異常を表す情報を所定の記憶部に記録する。常用系コントローラ110がフォトカプラ114Aを通じて、適切な開許可信号の内容を受信できなかった可能性が高いからである。これにより、例えば、鉄道車両1のメンテナンスの担当者は、事後的に、所定の記憶部の記録内容を所定の方法で確認することにより、フォトカプラ114Aの異常を認識し、鉄道車両1のメンテナンスに活用することができる。記録先の所定の記憶部は、例えば、常用系コントローラ110の補助記憶装置111等のDCM100の内部の記憶部であってもよいし、車両制御装置10の内部メモリ等のDCM100の外部の記憶部であってもよい。後者の場合、信号内容決定部1131は、通信インタフェース114Bから通信線55及び伝送装置50を通じて、車両制御装置10等の外部の記憶部に信号入力部(フォトカプラ114A)の異常を表す情報を送信し、外部の記憶部に記録させてよい。
【0091】
CPU113は、ステップS216の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0092】
このように、本例では、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容と、ドア20の開閉動作に使用する制御信号の内容とに基づき、自己の異常の有無、具体的には、信号入力部(フォトカプラ114A)の異常の有無を診断する。
【0093】
これにより、常用系コントローラ110は、制御信号の内容を決定するのと併せて、自己の信号入力部(フォトカプラ114A)の異常の有無を診断することができる。
【0094】
[ドアの制御系の構成の他の例]
次に、図5を参照して、ドア20の制御系の他の例について説明する。以下、上述の一例(図2)と異なる部分を中心に説明し、上述の一例と同じ或いは対応する構成等の説明を省略する場合がある。
【0095】
図5は、ドア20の制御系の構成の他の例を示す図である。
【0096】
図5に示すように、DCM100は、上述の一例の場合と同様、常用系コントローラ110と、待機系コントローラ120と、出力切替回路130とを含む。
【0097】
常用系コントローラ110は、上述の一例の場合と同様、補助記憶装置111と、メモリ装置112と、CPU113と、インタフェース装置114と、駆動装置115とを含む。
【0098】
CPU113は、上述の一例の場合と同様、補助記憶装置111からメモリ装置112にロードされたプログラムを実行することにより実現される機能部として、信号内容決定部1131と、制御部1132とを含む。
【0099】
信号内容決定部1131は、上述の一例の場合と異なり、多数決処理部1131A,1131Bとを含む。
【0100】
多数決処理部1131Aは、通信線55を通じて通信インタフェース114Bにより受信される、右側及び左側のうちの同じ側の複数の他のDCM100のそれぞれによる制御信号(開許可信号)の認識内容についての多数決を行う。
【0101】
多数決処理部1131Bは、常用系コントローラ110による制御信号の認識内容、待機系コントローラ120による制御信号の認識内容、及び多数決処理部1131Aによる多数決の結果に相当する制御信号の認識内容の多数決を行う。
【0102】
待機系コントローラ120は、上述の一例の場合と同様、待機系コントローラ120は、補助記憶装置121と、メモリ装置122と、CPU123と、インタフェース装置124と、駆動装置125とを含む。
【0103】
CPU123は、上述の一例の場合と同様、補助記憶装置121からメモリ装置122にロードされたプログラムを実行することにより実現される機能部として、信号内容決定部1231と、制御部1232とを含む。
【0104】
信号内容決定部1231は、上述の一例の場合と異なり、多数決処理部1231A,1231Bを含む。
【0105】
多数決処理部1231Aは、通信線55を通じて通信インタフェース124Bにより受信される、右側及び左側のうちの同じ側の複数の他のDCM100のそれぞれによる制御信号(開許可信号)の認識内容についての多数決を行う。
【0106】
多数決処理部1231Bは、常用系コントローラ110による制御信号の認識内容、待機系コントローラ120による制御信号の認識内容、及び多数決処理部1231Aによる多数決の結果に相当する制御信号の認識内容の多数決を行う。
【0107】
[信号内容決定処理の更に他の例]
次に、図6を参照して、DCM100(信号内容決定部1131,1231)による信号内容決定処理の更に他の例について説明する。
【0108】
図6は、DCM100(常用系コントローラ110の信号内容決定部1131)による信号内容決定処理の更に他の例を概略的に示すフローチャートである。
【0109】
尚、待機系コントローラ120(信号内容決定部1231)による信号内容決定処理は、ステップS302の処理で、常用系コントローラ110からの開許可信号の認識内容の取得の有無が判定される以外、図6と同じである。そのため、本例では、常用系コントローラ110(信号内容決定部1131)による信号内容決定処理を代表して説明する。
【0110】
図6に示すように、ステップS302にて、信号内容決定部1131は、待機系コントローラ120から開許可信号の認識内容を取得できたか否かを判定する。信号内容決定部1131は、待機系コントローラ120から最新の開許可信号の認識内容を得られている場合、ステップS304に進み、得られていない場合、ステップS310に進む。
【0111】
ステップS304にて、信号内容決定部1131は、本フローチャートの対象のDCM100と同じ側の複数の他のDCM100の少なくとも一部から開許可信号の認識内容を取得できたか否かを判定する。
【0112】
複数の他のDCM100は、例えば、本フローチャートの対象の常用系コントローラ110を含むDCM100に対応するドア20と同じ車両1Xの同じ側の複数の他のドア20に対応する複数の他のDCM100である。また、複数の他のDCM100は、例えば、本フローチャートの対象の常用系コントローラ110を含むDCM100に対応するドア20と異なる車両1Xの同じ側のドア20に対応する他のDCM100を含んでもよい。
【0113】
信号内容決定部1131は、複数の他のDCM100の少なくとも一部から開許可信号の認識内容を得られている場合、ステップS306に進み、複数の他のDCM100の全てから開許可信号の認識内容を得られなかった場合、ステップS310に進む。
【0114】
ステップS306にて、信号内容決定部1131(多数決処理部1131A)は、複数の他のDCM100のそれぞれの開許可信号の認識内容についての多数決を行う。
【0115】
尚、同じ他のDCM100の常用系コントローラ110及び待機系コントローラ120の双方から開許可信号の認識内容が得られる場合、信号内容決定部1131は、双方の開許可信号の認識内容を別個の認識内容として多数決を行ってよい。また、信号内容決定部1131は、双方の開許可信号の認識内容が同じである場合、他のDCM100の開許可信号の認識内容を一つに統合し、その統合した結果を用いて、多数決を行ってもよい。また、信号内容決定部1131は、双方の開許可信号の認識内容に相違がある場合、他のDCM100の常用系コントローラ110及び待機系コントローラ120のうちのアクティブな状態の一方の開許可信号の認識内容を他のDCM100の開許可信号の認識内容としてもよい。また、複数の他のDCM100のうちの1つの他のDCM100からのみ、開許可信号の認識内容を得られている場合、多数決処理部1131Aは、多数決の結果として、1つの他のDCM100から取得済みの認識内容を出力してよい。
【0116】
CPU113は、ステップS306の処理が完了すると、ステップS308に進む。
【0117】
ステップS308にて、信号内容決定部1131は、多数決処理部1131Aによる多数決の結果がオン及びオフの間で同数か否かを判定する。信号内容決定部1131は、多数決の結果がオン及びオフの間で同数である場合、ステップS310に進み、同数でない場合、ステップS312に進む。
【0118】
尚、ステップS308では、多数決処理部1131Aによる多数決の結果がオン及びオフの間で同数或いは僅差であるか否かが判定されてもよい。僅差は、開許可信号の認識内容としてのオン及びオフの間の差が相対的に小さい所定閾値(例えば、"1")以下である場合を意味する。この場合、信号内容決定部1131は、多数決の結果がオン及びオフの間で同数或いは僅差である場合、ステップS310に進み、多数決の結果がオン及びオフの間で同数でも僅差でもない場合、ステップS312に進む。また、複数の他のDCM100のうちの1つの他のDCM100からのみ、開許可信号の認識内容を得られている場合、多数決処理部1131Aによる多数決の結果は、僅差に該当してよい。
【0119】
ステップS310にて、信号内容決定部1131は、制御部1132がドア20の開閉動作に関する制御に用いる開許可信号の内容を、自己(常用系コントローラ110のCPU113)が認識した内容に決定する。待機系コントローラ120や複数の他のDCM100の全てから開許可信号の認識内容を取得できない場合、ステップS312の多数決を行うことができないからである。複数の他のDCM100のそれぞれでの開許可信号の認識内容の多数決の結果が同数や僅差の場合についても同様である。
【0120】
一方、ステップS312にて、信号内容決定部1131(多数決処理部1131B)は、常用系コントローラ110による開許可信号の認識内容、待機系コントローラ120による開許可信号の認識内容、及び多数決処理部1131Aの多数決の結果としての開許可信号の認識内容で多数決を行う。
【0121】
CPU113は、ステップS312の処理が完了すると、ステップS314に進む。
【0122】
ステップS314にて、信号内容決定部1131は、ステップS312の処理の結果として、多数派が開許可信号をオン状態と認識しているか否かを判定する。信号内容決定部1131は、多数派が開許可信号をオン状態と認識している場合、ステップS316に進み、多数派が開許可信号をオン状態と認識していない場合、ステップS318に進む。
【0123】
ステップS316にて、信号内容決定部1131は、制御部1132がドア20の開閉動作に関する制御に用いる開許可信号の内容をオン状態に決定する。
【0124】
CPU113は、ステップS316の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0125】
一方、ステップS318にて、信号内容決定部1131は、制御部1132によりドア20の開閉動作に関する制御部に用いる開許可信号の内容をオフ状態に決定する。
【0126】
CPU113は、ステップS318の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0127】
尚、ステップS316或いはステップS318の完了後、図4のステップS214,S216と同様の処理が実施されてもよい。これにより、常用系コントローラ110は、上述の他の例(図4)の場合と同様の作用・効果を奏する。
【0128】
このように、本例では、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容、待機系コントローラ120により認識された制御信号の内容、及び複数の他のDCM100により認識された同じ制御信号の内容に基づき、ドア20の開閉動作を制御する。具体的には、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の認識内容、待機系コントローラ120により認識された制御信号の認識内容、及び複数の他のDCM100のそれぞれの認識内容の多数決の結果を比較し、多数決によって、ドア20の制御に用いる制御信号の内容を決定する。
【0129】
これにより、DCM100は、上述の一例(図3)及び他の例(図4)の場合と同様の作用・効果を奏する。また、複数の他のDCM100のそれぞれによる制御信号の認識内容を用いることができることから、DCM100は、ドア20の制御に用いる制御信号の信頼性をより高め、より適切にドア20の制御を行うことができる。
【0130】
尚、上述の一例(図3)や他の例(図4)の場合と同様、信号内容決定部1131は、常用系コントローラ110及び待機系コントローラ120による開許可信号の認識内容に相違がある場合のみ、複数の他のDCM100の開許可信号の認識内容の多数決を行ってもよい。また、信号内容決定部1131は、2回の多数決を行う代わりに、常用系コントローラ110、待機系コントローラ120、及び複数の他のDCM100のそれぞれによる同じ開許可信号の認識内容についての多数決を1回だけ行い、制御部1132が使用する開許可信号の内容を決定してもよい。また、信号内容決定部1131は、常用系コントローラ110、待機系コントローラ120、及び他のDCM100の開許可信号の認識内容ごとに重要度を付与してもよい。そして、信号内容決定部1131は、開許可信号の認識内容としてのオン及びオフのそれぞれの重要度の合計に基づき、制御部1132が使用する開許可信号の内容を決定してもよい。
【0131】
[作用]
次に、本実施形態に係るDCM100の作用について説明する。
【0132】
例えば、従来の鉄道車両におけるドアの制御装置の場合、常用系のドアの制御に関する機能には異常が無い場合であっても、外部から入力される信号を受け付ける入力部の機能に問題が生じると、常用系に異常ありと判断され、待機系に切り替えられる場合がありうる。そのため、ドアの制御系の可用性が低下する可能性がある。また、待機系に切り替えられることにより、ドアの制御系の冗長性が失われると、鉄道車両は、車庫に運ばれて点検を受ける必要が生じうる。その結果、鉄道車両の可用性が低下する可能性がある。
【0133】
これに対して、本実施形態では、DCM100は、常用系コントローラ110と、待機系コントローラ120とを備える。具体的には、常用系コントローラ110は、外部からDCM100及び他のDCM100に一斉に入力される制御信号に基づき鉄道車両1の一のドア20の動作を制御する。また、待機系コントローラ120は、外部から入力される上述の制御信号に基づき鉄道車両1の一のドア20の動作を制御可能に構成される。また、常用系コントローラ110は、待機系コントローラ120、及び外部から入力される同じ制御信号に基づき鉄道車両1の他のドア20を制御する他のDCM100と通信可能に構成される。そして、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容、待機系コントローラ120から取得される、待機系コントローラ120により認識された制御信号の内容、及び他のDCM100から取得される、他のDCM100により認識された制御信号の内容に基づき、一のドア20の動作を制御する。
【0134】
これにより、例えば、フォトカプラ114Aに異常が生じ、CPU113が制御信号の内容を正確に認識することができない場合であっても、DCM100は、待機系コントローラ120及び他のDCM100による認識内容を利用することができる。そのため、例えば、フォトカプラ114Aのみに異常が生じているものの、他の機能に問題がない状況では、DCM100は、待機系コントローラ120及び他のDCM100による認識内容を利用し、ドア20の開閉動作に関する制御系の可用性を高めることができる。その結果、ドア20の開閉動作に関する制御系の冗長性を維持できることから、DCM100は、冗長化された鉄道車両1の可用性を高めることができる。
【0135】
また、本実施形態では、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容、待機系コントローラ120により認識された制御信号の内容、及び特定の他のDCM100により認識された制御信号の内容に基づき、一のドア20の動作を制御してよい。
【0136】
これにより、DCM100は、待機系コントローラ120及び特定の他のDCM100のそれぞれの制御信号の認識内容を利用することで、具体的に、ドア20の開閉動作に関する制御系の可用性を高めることができる。
【0137】
また、本実施形態では、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容、待機系コントローラ120により認識された制御信号の内容、及び特定の他のDCM100により認識された制御信号の内容を比較し、多数決によって、一のドア20の動作を制御するために使用する制御信号の内容を決定してもよい。
【0138】
これにより、DCM100は、具体的に、ドア20の動作を制御するために使用する制御信号の内容を決定し、その制御信号に基づき、ドア20の開閉動作を制御することができる。
【0139】
また、本実施形態では、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容、待機系コントローラ120により認識された制御信号の内容、及び複数の他のDCM100のそれぞれにより認識された制御信号の内容に基づき、一のドア20の動作を制御してもよい。
【0140】
これにより、DCM100は、待機系コントローラ120及び複数の他のDCM100のそれぞれの制御信号の認識内容を利用することができる。そのため、DCM100は、ドア20の開閉動作に関する制御系の可用性をより適切に高めることができる。
【0141】
また、本実施形態では、常用系コントローラ110は、複数の他のDCM100のそれぞれにより認識された制御信号の内容を比較し、多数決を行うと共に、自己が認識した制御信号の内容、待機系コントローラ120により認識された制御信号の内容、及び複数の他のDCM100のそれぞれにより認識された制御信号の内容の多数決の結果を比較し、多数決によって、一のドア20の動作を制御するために使用する制御信号の内容を決定してもよい。
【0142】
これにより、具体的に、ドア20の動作を制御するために使用する制御信号の内容を決定し、その制御信号に基づき、ドア20の開閉動作を制御することができる。
【0143】
また、本実施形態では、常用系コントローラ110は、特定の他のDCM100から、特定の他のDCM100により認識された制御信号の内容を取得できない場合、自己が認識した制御信号の内容を、一のドア20の動作を制御するために使用する制御信号の内容に決定してもよい。
【0144】
これにより、DCM100は、特定の他のDCM100から制御信号の認識内容を取得できない場合であっても、常用系コントローラ110によるドア20の開閉動作に関する制御を継続させることができる。
【0145】
また、本実施形態では、常用系コントローラ110は、複数の他のDCM100の全てから、複数の他のDCM100のそれぞれにより認識された制御信号の内容を取得できない場合、又は、複数の他のDCM100のそれぞれにより認識されたDCM100の内容の多数決の結果が同数又は所定閾値以下の僅差である場合、自己が認識した制御信号の内容を、一のドア20の動作を制御するために使用する制御信号の内容に決定してもよい。
【0146】
これにより、DCM100は、複数の他のDCM100の全てから制御信号の認識内容を取得できない場合であっても、常用系コントローラ110によるドア20の開閉動作に関する制御を継続させることができる。また、DCM100は、複数の他のDCM100のそれぞれによる制御信号の認識内容の多数決の結果が同数或いは僅差の場合であっても、常用系コントローラ110によるドア20の開閉動作に関する制御を継続させることができる。
【0147】
また、本実施形態では、常用系コントローラ110は、待機系コントローラ120から、待機系コントローラ120により認識された制御信号の内容を取得できない場合、自己が認識した制御信号の内容を、一のドア20の動作を制御するための制御信号の内容に決定してもよい。
【0148】
これにより、DCM100は、待機系コントローラ120から制御信号の認識内容を取得できない場合であっても、常用系コントローラ110によるドア20の開閉動作に関する制御を継続させることができる。
【0149】
また、本実施形態では、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容と、一のドア20の動作を制御するために使用する制御信号の内容とに基づき、自己の異常の有無を診断してもよい。
【0150】
これにより、DCM100は、常用系コントローラ110がドア20の制御に使用する制御信号の内容を決定するのに併せて、常用系コントローラ110(具体的には、フォトカプラ114A等の制御信号の入力部)の異常の有無を診断することができる。
【0151】
また、本実施形態では、常用系コントローラ110は、自己が認識した制御信号の内容と、一のドア20の動作を制御するために使用する制御信号の内容とが一致しない場合、自己の異常に関する情報を所定の記憶部に記録してもよい。
【0152】
これにより、DCM100は、所定の記憶部の情報を通じて、例えば、鉄道車両1のメンテナンスの担当者に、常用系コントローラ110の制御信号の入力部の異常の可能性を認識させることができる。そのため、DCM100は、ドア20の制御系のメンテナンスの作業効率を向上させることができる。
【0153】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0154】
1 鉄道車両
1A~1C 車両
10 車両制御装置
20 ドア
22 モータ
24 ソレノイド
30A,30B スイッチ
35 信号線
40A,40B スイッチ
45 信号線
50 伝送装置
55 通信線
100 DCM(制御装置)
110 常用系コントローラ(第1の制御部)
111 補助記憶装置
112 メモリ装置
113 CPU
114 インタフェース装置
114A フォトカプラ
114B 通信インタフェース
115 駆動装置
120 待機系コントローラ(第2の制御部)
121 補助記憶装置
122 メモリ装置
123 CPU
124 インタフェース装置
124A フォトカプラ
124B 通信インタフェース
125 駆動装置
130 出力切替回路
1131 信号内容決定部
1131A 多数決処理部
1131B 多数決処理部
1132 制御部
1231 信号内容決定部
1231A 多数決処理部
1231B 多数決処理部
1232 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6