(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189327
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20221215BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20221215BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B25F5/00 D
B25F5/02
B25B21/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097856
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小沼 博哉
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】大内 治彦
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC09
3C064BA11
3C064BB18
3C064BB71
3C064BB79
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA87
3C064CA88
3C064CA89
3C064CB07
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB75
3C064CB77
(57)【要約】
【課題】キャップ部材とシール部との間、及び、排気カバーとシール部との間における圧縮空気の流出を抑制することが可能な作業機を提供する。
【解決手段】ねじ打機は、ハウジングと、駆動部と、前記ハウジング外から前記駆動部へ前記圧縮空気を供給する供給通路と、前記駆動部から前記ハウジング外へ前記圧縮空気を排出する排出通路と、を備える。前記排出通路は、第1キャップと、前記第1キャップの下流側に位置する排気カバー68と、によって形成される。前記第1キャップと排気カバー68との間に介在するパッキン118を有し、排気カバー68は、前記第1キャップとパッキン118との間、及び、排気カバー68とパッキン118との間の少なくとも一方から、前記圧縮空気が前記排出通路外へ流出することを抑制する突出部68bを有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、圧縮空気により駆動する駆動部と、
前記ハウジング外から前記駆動部へ前記圧縮空気を供給する供給通路と、
前記駆動部から前記ハウジング外へ前記圧縮空気を排出する排出通路と、
を備え、
前記排出通路は、第1部材と、前記圧縮空気の排出方向における前記第1部材の下流側に位置する第2部材と、を含み、
前記第1部材と前記第2部材との間に介在するシール部を有し、
前記第1部材と前記シール部との間、及び、前記第2部材と前記シール部との間の少なくとも一方から、前記圧縮空気が前記排出通路外へ流出することを抑制する流出抑制手段を有する、作業機。
【請求項2】
前記シール部は、第1方向において前記第1部材と前記第2部材との間に介在し、
前記第2部材を前記第1方向に付勢して前記第1部材へ固定する固定部を有する、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記供給通路と前記第1部材側の前記排出通路とは、前記第1部材において壁部を隔てて配置され、
前記第1部材の前記供給通路と連通し、かつ前記壁部と係合するキャップ部を有し、
前記固定部は、前記キャップ部に固定される、請求項2記載の作業機。
【請求項4】
前記第2部材は、前記第1部材と突合せられる突合せ部を有し、
前記シール部は、前記突合せ部に設けられ、
前記第2部材は、前記流出抑制手段として、前記突合せ部の前記シール部が設置されない非設置領域において前記第1部材に向かって張り出した突出部を備えている、請求項1乃至3の何れか1項記載の作業機。
【請求項5】
前記シール部は、前記流出抑制手段として、前記排出通路に内接するフランジ部を備えている、請求項1乃至4の何れか1項記載の作業機。
【請求項6】
前記フランジ部は、前記第1部材側の前記排出通路に内接する第1フランジ部と、前記第2部材側の前記排出通路に内接する第2フランジ部と、を有する、請求項5記載の作業機。
【請求項7】
前記シール部は、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との間に介在する金属メッシュ板を有する、請求項6記載の作業機。
【請求項8】
前記シール部は、前記排出通路の一部を塞ぐ流れ留め部を有する、請求項7記載の作業機。
【請求項9】
前記第1部材側の前記排出通路に、該排出通路の前記第1フランジ部が内接する壁面と同一の前記壁面に内接するスポンジが設けられている、請求項6乃至8の何れか1項記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ打機などの作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機の一例として、圧縮空気によってピストンを駆動させることでねじを打撃するねじ打機が知られている。このようなねじ打機の一例として、ねじ打機の外部に設けられたコンプレッサから圧縮空気を送り、この圧縮空気によってピストンを駆動させることでねじを打撃するねじ打機が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたねじ打機は、ハウジングの外部から取り込んだ圧縮空気を駆動部へ供給する供給通路と、上記駆動部からハウジングの外部に圧縮空気を排出する排出通路と、を有している。このねじ打機のハウジングでは、供給通路及び排出通路を備えたハンドル後端部のキャップ部材と、排出通路のみを備えた排気カバーとが突き合せられて嵌合している。そして、排気カバーは、供給通路側のみが固定部によってキャップ部材に向けて押さえ付けられて固定されている。つまり、上記ねじ打機では、排気カバーにおける固定部で押さえ付けられていない排出通路側の部分に高い排気圧力がかかる構造となっている。また、キャップ部材と排気カバーとの間にはシール用としてパッキン(シール部)が介在されている。
【0005】
ところが、上記ねじ打機では、排出通路において高い排気圧力がかかると、キャップ部材とパッキンとの間、または、排気カバーとパッキンとの間に隙間が生じてこれらの隙間からエアモータ用の潤滑油を含んだ圧縮空気が流出するという課題が生じていた。
【0006】
本発明の目的は、キャップ部材とシール部との間、及び、排気カバーとシール部との間における圧縮空気の流出を抑制することが可能な作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態の作業機は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、圧縮空気により駆動する駆動部と、前記ハウジング外から前記駆動部へ前記圧縮空気を供給する供給通路と、前記駆動部から前記ハウジング外へ前記圧縮空気を排出する排出通路と、を備え、前記排出通路は、第1部材と、前記圧縮空気の排出方向における前記第1部材の下流側に位置する第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材との間に介在するシール部を有し、前記第1部材と前記シール部との間、及び、前記第2部材と前記シール部との間の少なくとも一方から、前記圧縮空気が前記排出通路外へ流出することを抑制する流出抑制手段を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャップ部材とシール部との間、及び、排気カバーとシール部との間における圧縮空気の流出を抑制することが可能な作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態の作業機の一例であるねじ打機を示す側面図である。
【
図2】
図1に示すねじ打機の内部構造を示す断面図である。
【
図3】
図1に示すねじ打機に設けられた作動部を示す部分断面図である。
【
図4】
図1に示すねじ打機に設けられた作動部、トリガバルブ及びトリガを示す部分断面図である。
【
図5】
図1に示すねじ打機のキャップ部材と排気カバーとにおける排気前の係合状態を示す断面図である。
【
図6】
図1に示すねじ打機のキャップ部材と排気カバーとにおける排気中の係合状態を示す断面図である。
【
図7】
図1に示すねじ打機の排気カバーの内側の形状を示す斜視図である。
【
図8】
図1に示すねじ打機のキャップ部材の外側の形状を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示すキャップ部材を後方側(下流側)から眺めた図であり、(a)はパッキン有りの状態、(b)はパッキン無しの状態である。
【
図10】
図7に示す排気カバーを前方側(上流側)から眺めた図であり、(a)はパッキン有りの状態、(b)はパッキン無しの状態である。
【
図11】
図10に示すパッキンの構造を示す図であり、(a)は後方側(下流側)から眺めた斜視図であり、(b)は前方側(上流側)から眺めた斜視図である。
【
図12】
図10に示すパッキンの構造を示す図であり、(a)は後方側(下流側)から眺めた平面図であり、(b)は前方側(上流側)から眺めた平面図である。
【
図13】
図10に示すパッキンのフランジ部及びスポンジの構造を示す拡大部分断面図である。
【
図14】
図10に示すパッキンのフランジ部の排出通路の内壁への密着状態を示す拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態の作業機について図面を参照して説明する。
【0011】
本実施の形態では、作業機の一例として、ねじ打機10を取り上げて説明する。ねじ打機10の一例が、
図1~
図4に示されている。なお、各図に示される同一の要素、または同等の要素には、それぞれ同一の符号を付してある。
【0012】
本実施の形態のねじ打機10は、ハウジング11、射出部12、エアモータ(駆動部)13、ドライバ14及びマガジン15を有する。ハウジング11は金属製または非鉄金属製であり、ハウジング11は、本体部16、ハンドル17及びヘッドカバー18を有する。本体部16は筒形状であり、ハンドル17が本体部16に接続されている。ヘッドカバー18が本体部16の開口部を塞ぎ、かつ、ヘッドカバー18は本体部16に固定されている。エアモータ13がヘッドカバー18内に設けられている。
【0013】
ハンドル17は筒形状であり、蓄圧室19が、本体部16内及びハンドル17内に亘って形成されている。圧縮空気が蓄圧室19に供給される。排気管20がハンドル17内に設けられ、第1排出通路21が排気管20内に形成されている。排気管20は、蓄圧室19と第1排出通路21とを気密に隔てる。
【0014】
図2及び
図3に示されるように、シリンダ22が、本体部16内に固定して設けられている。本体部16は通路23を有し、通路23は、常時、蓄圧室19につながっている。シリンダ22と本体部16との間に空気室24及び戻り空気室25が形成されている。
【0015】
また、スピンドル27が、本体部16内及びシリンダ22内に亘って設けられている。スピンドル27は円筒形状であり、中心線A1を中心として回転可能である。スピンドル27は、中心線A1に沿った方向に作動しない。スライダ31がスピンドル27の内部に設けられている。スライダ31は、スピンドル27に対して中心線A1に沿った方向に作動可能であり、スライダ31及びスピンドル27は一体回転するように連結されている。
【0016】
ヘッドカバー18内に空気室32が形成され、空気室32は通路33を介して空気室24につながっている。通路33は本体部16及びヘッドカバー18に亘って設けられている。エアモータ13は、回転軸34及びベーン35を有しており、ハウジング11のヘッドカバー18内に設けられている。ヘッドカバー18及び本体部16に亘って通路39が設けられている。通路39は、エアモータ13及び第1排出通路21につながっている。
【0017】
減速機40が本体部16内に設けられている。減速機40は、回転軸34とスピンドル27とを連結している。
【0018】
第1ピストン41がスピンドル27内及びシリンダ22内に亘って配置されている。第1ピストン41は、スピンドル27及びシリンダ22に対して中心線A1に沿った方向に作動可能である。
【0019】
第2ピストン43がスライダ31に固定されている。第2ピストン43はスライダ31と共に中心線A1に沿った方向に作動可能であり、かつ、スライダ31と共に一体回転可能である。第2ピストン43は、第1ピストン41の内部から外部に亘って配置されている。第2ピストン43にはドライバ14が固定されている。また、
図4に示されるように、本体部16内にバンパ44が設けられている。シリンダ22内でバンパ44と第1ピストン41との間に空気室47が設けられている。
【0020】
図3に示されるように、本体部16内にスリーブバルブ48が設けられている。スリーブバルブ48は、中心線A1に沿った方向に作動可能である。スリーブバルブ48は通路49を有する。通路49は、トリガ59に対する操作力が解除されている状態においては、第1排出通路21につながっている。ハウジング11内にスプリング52が設けられている。
【0021】
図4に示されるように、ハウジング11にトリガバルブ53が設けられている。トリガ59が支持軸60を介してハウジング11に取り付けられている。トリガ59は、支持軸60を中心として所定角度の範囲内で作動可能である。
【0022】
射出部12は本体部16に固定されており、射出部12は、射出路131を有する。プッシュレバー62が射出部12に対して作動可能に設けられている。アーム64が射出部12に設けられており、アーム64はプッシュレバー62に接続されている。アーム64はプッシュレバー62と共に中心線A1に沿った方向に作動可能である。マガジン15は、ねじ63を収容しており、ねじ63同士は、接続要素、例えば、プラスチックシートにより連結されている。
図2に示されるフィーダ130が射出部12に設けられ、フィーダ130は、ねじ63を射出路131に送る。
【0023】
次に、ねじ打機10の使用例を説明する。圧縮空気が蓄圧室19に供給される。プッシュレバー62が相手材W1から離間しているか、または、トリガ59に対する操作力が解除されていると、トリガバルブ53は初期状態にある。スライダ31は、スピンドル27内で減速機40に最も近い位置で停止している。スライダ31は第1ピストン41に接触して停止している。このように、スライダ31、第1ピストン41、第2ピストン43及びドライバ14は、上死点で停止している。また、空気室24から空気室32に圧縮空気は供給されず、エアモータ13の回転軸34は停止している。
【0024】
次に、作業者がプッシュレバー62を相手材W1に押し付け、かつ、トリガ59に操作力を付加すると、スリーブバルブ48上の空気圧がスプリング52の付勢力を上回ることで、スリーブバルブ48が作動する。このため、第1ピストン41は、蓄圧室19の圧縮空気で減速機40から離間する向きで作動する。このようにして、第1ピストン41はスライダ31から離間する。
【0025】
さらに、シリンダ22の内部の圧縮空気は、通路33を介してエアモータ13に供給され、回転軸34が回転する。このため、第2ピストン43及びドライバ14が回転する。なお、エアモータ13に供給された圧縮空気は、通路39を介して第1排出通路21へ流れる。
【0026】
そして、第1ピストン41と共に第2ピストン43及びスライダ31が中心線A1に沿って直線状に作動する。このようにして、ドライバ14が回転し、かつ、中心線A1に沿って直線状に作動することで、ねじ63を相手材W1に押し付け、かつ、ねじ63を締め付ける。
【0027】
ねじ63の締め付けが完了した後に、作業者がトリガ59に対する操作力を解除すると、トリガバルブ53は初期状態に戻り、第1ピストン41は、第2ピストン43と共にエアモータ13に近づくように上昇する。そして、スライダ31がスピンドル27で減速機40に接触すると、スライダ31及び第2ピストン43は、上死点で停止する。また、第1ピストン41は、上死点で停止する。
【0028】
次に、エアホース121を介して蓄圧室19に圧縮空気を供給する経路の構造を、
図2及び
図5を参照して説明する。
図2に示されるように、ハンドル17は、本体部16に対して所定方向、具体的には、中心線A1(
図3参照)に交差する方向に突出している。ハンドル17は、本体部16とは反対の後端部に大径部65を有する。大径部65の外径は、ハンドル17における作業者が手で握る部位の外径よりも大きい。
【0029】
第1キャップ(第1部材)66が、ハンドル17の後端部の大径部65に対して固定されている。圧力調整バルブ71が、第1キャップ66及び大径部65に設けられている。
図5に示されるように、圧力調整バルブ71は、ケーシング72、作動部材73、バルブシート74、第2キャップ(キャップ部)75及び弁体76を有する。ケーシング72は第1キャップ66に接続されている。ケーシング72は、収容室77を有する。収容室77の中心線A2に沿った方向において、バルブシート74は、作動部材73と第2キャップ75との間に配置されている。中心線A2は、中心線A1に対して交差している。
【0030】
第1キャップ66は筒部110を有している。第2キャップ75は筒形状であり、第2キャップ75の外周面に雄ねじ部113が設けられている。雄ねじ部113は、中心線A2に沿った方向に配置されている。第2キャップ75の一部が筒部110内に配置され、第2キャップ75が第1キャップ66に固定されている。第2キャップ75とバルブシート74との間に空気室78が形成されている。第2キャップ75の一部は筒部110の外に配置されている。第2キャップ75のうち、筒部110の外に配置されている箇所の外周面に、雄ねじ部113が設けられている。第1キャップ66には、後述する
図8に示されるようなモード切替レバー66cが設けられている。
【0031】
スクリューキャップ(固定部)114が、第2キャップ75に固定されている。スクリューキャップ114は、合成樹脂製または金属製である。スクリューキャップ114は、筒形状であり、ボス部115を有する。ボス部115の内周面に雌ねじ部117が設けられている。
【0032】
作業者が、スクリューキャップ114を、中心線A2を中心として回転させると、雌ねじ部117は雄ねじ部113に係合及び離脱可能である。つまり、作業者は、スクリューキャップ114を、第2キャップ75に固定及び取り外し可能である。スクリューキャップ114が第2キャップ75に固定されていると、排気カバー(第2部材)68は、スクリューキャップ114と第1キャップ66との間に挟まれて固定されている。言い換えると、スクリューキャップ114は、排気カバー68を第1方向D1に付勢して第1キャップ66へ固定する部材である。
【0033】
バルブシート74は、供給通路81を有し、供給通路81は、空気室78及び蓄圧室19につながっている。言い換えると、供給通路81は、ハウジング11外から取り込んだ圧縮空気を、空気室78及び蓄圧室19を介してエアモータ13へ供給する。なお、作動部材73は、ケーシング72に対して中心線A2に沿った方向に作動可能である。収容室77内に付勢部材82が設けられている。付勢部材82は、作動部材73を中心線A2に沿った方向でバルブシート74に近づける向きで付勢する。付勢部材82は、一例として金属製の圧縮スプリングである。
【0034】
作動部材73にシャフト83が設けられ、シャフト83は供給通路81及び空気室78に亘って配置されている。シャフト83のうち空気室78に位置する箇所に、弁体76が固定されている。弁体76は一例として合成ゴム製である。空気室78に付勢部材84が設けられている。付勢部材84は、弁体76をバルブシート74に近づける向きで付勢する。付勢部材84は、一例として金属製の圧縮スプリングである。
【0035】
また、作業者は、
図2に示されるように、ソケット120をプラグ79に取り付け及び取り外しが可能である。ソケット120をプラグ79に接続すると、圧縮空気がエアホース121内から供給路122を通り、
図5に示される供給通路80に供給可能である。
【0036】
エアホース121からプラグ79の供給通路80に送られる圧縮空気は、空気室78、供給通路81を経由して蓄圧室19に流れ込む。作動部材73は、中心線A2に沿った方向で互いに逆向きの付勢力F1,F2を受ける。付勢力F1は、付勢部材82の付勢力であり、付勢力F2は、蓄圧室19の空気圧に応じたものである。
【0037】
付勢力F2が付勢力F1よりも大きい場合は、作動部材73はバルブシート74から弛緩して停止し、弁体76が空気室78と供給通路81とを遮断する。付勢力F2が付勢力F1よりも小さい場合は、作動部材73はバルブシート74に接触して停止し、弁体76が空気室78と供給通路81とを接続する。付勢力F1と付勢力F2とが同じである場合は、作動部材73は停止している。
【0038】
蓄圧室19の圧力が所定圧力を超えていると、作動部材73が受ける付勢力F2は付勢力F1よりも大きい。ねじ打機10の使用により蓄圧室19の圧力が所定圧力以下になり、作動部材73が受ける付勢力F2が付勢力F1よりも小さくなると、作動部材73がバルブシート74に近づく向きで作動する。このように、圧力調整バルブ71は、蓄圧室19の圧力に応じて作動部材73が作動し、蓄圧室19の実際の圧力を、所定の圧力範囲内に保持するように調整する。
【0039】
次に、第1排出通路21に排出された圧縮空気を外部B1に排出させる構造について説明する。排気カバー(第2部材)68が、
図2に示されるハンドル17の後端部の大径部65に取り付けられた第1キャップ(第1部材)66と嵌合されている。
図5に示されるように、第1キャップ66は、第1排出通路21と連通する第2排出通路87を有している。また、排気カバー68は、第1キャップ66とスクリューキャップ(固定部)114とにより挟まれて固定されている。具体的には、排気カバー68は、排気カバー68を圧縮空気の排出方向C1に沿った方向である第1方向D1に付勢するスクリューキャップ114によって固定される。そして、排気カバー68は、壁部89を有しており、壁部89の内側には、排気室90及び第3排出通路92が形成されている。別の言い方をすると、第1排出通路21、第2排出通路87及び第3排出通路92は、第1キャップ66と、圧縮空気の排出方向C1における第1キャップ66の下流側に位置する排気カバー68と、を含んでいる。
【0040】
さらに、第1キャップ66と排気カバー68との間に介在するパッキン(シール部)118が設けられている。つまり、パッキン118は、第1方向D1において、第1キャップ66と排気カバー68との間に介在されている。そして、パッキン118は、排気室90を気密にシールする。排気室90は、第2排出通路87につながっている。圧縮空気の排出方向C1に沿った方向に壁部89を貫通する排気口91が設けられている。すなわち、排気口91は、排気室90と外部B1とをつなぐ。なお、供給通路80と連通する供給通路81と、第1排出通路21と連通する第2排出通路87とは、第1キャップ66において壁部66bを隔てて配置されている。そして、環状のスクリューキャップ114は、第1キャップ66の第2排出通路87を形成し、かつ壁部66bと係合する第2キャップ(キャップ部)75に固定される。
【0041】
以上により、エアモータ13からハンドル17内に設けられた排気管20の第1排出通路21に流れ込んだ圧縮空気は、排出方向C1に沿った方向に流れ、第1キャップ66内の第2排出通路87及び排気カバー68内の第3排出通路92を通った後、壁部89の排気口91を介して外部B1へ排出される。言い換えれば、第1排出通路21、第2排出通路87及び第3排出通路92は、エアモータ13からハウジング11外へ圧縮空気を排出する。
【0042】
次に、本実施の形態のねじ打機10が有する流出抑制手段について説明する。上記流出抑制手段は、第1キャップ66とパッキン118との間、及び、排気カバー68とパッキン118との間の少なくとも一方から、圧縮空気が第1排出通路21、第2排出通路87及び第3排出通路92の外部へ流出することを抑制する手段である。
【0043】
ここで、
図7に示されるように、排気カバー68は、該排気カバー68の内側に第3排出通路92を有しているとともに、第3排出通路92と壁68eを隔てて略円形の開口部68dが形成されている。一方、
図8に示されるように、第1キャップ66は、該第1キャップ66の内側に第2排出通路87を有しているとともに、第2排出通路87の隣に円筒形の壁部66b(筒部110)が設けられ、さらに、プラグ79を備えた第2キャップ75が壁部66bに固定されている。そして、
図7の排気カバー68の開口部68dに
図8の第1キャップ66の壁部66bを通すことで、排気カバー68の突合せ部68aと第1キャップ66の突合せ部66aとが突き合わされた状態で、第1キャップ66と排気カバー68とが嵌合される。このとき、排気カバー68の突合せ部68aと第1キャップ66の突合せ部66aとの間には、
図9(a)及び
図10(a)に示されるパッキン118が設けられる。すなわち、排気カバー68と第1キャップ66とは、パッキン118を介在した状態で嵌合される。なお、排気カバー68は、
図5に示される環状のスクリューキャップ114によって第1キャップ66に押し付けられて固定されている。スクリューキャップ114は、第2キャップ75に固定されるため、排気カバー68は、供給通路側のみが第1キャップ66に押し付けられており、高い排気圧がかかる排出通路側は第1キャップ66に押し付けられてはいない。
【0044】
そこで、本実施の形態の排気カバー68は、上記流出抑制手段として、第1キャップ66との突合せ部68aのパッキン118の
図7に示す非設置領域68cにおいて、第1キャップ66に向かって張り出した突出部68bを備えている。具体的には、排気カバー68の端部外周部の第1キャップ66との突合せ部68aに、第1キャップ66に向かって張り出した突出部68bが設けられている。そして、突出部68bは、突合せ部68aのパッキン118が配置されない領域に設けられている。つまり、突出部68bは開口部68dの周囲にのみ設けられ、第2排出通路87及び第3排出通路92には設けられない。さらに換言すると、突出部68bは供給通路側のみに設けられ、排出通路側には設けられない。これにより、第1キャップ66と排気カバー68とが嵌合された際に、パッキン118が配置されない非設置領域68cにおいて、排気カバー68の突出部68bが第1キャップ66の突合せ部66aに当接する。言い換えると、第1キャップ66と排気カバー68とを嵌合した際に、パッキン118が配置されないことで生じる第1キャップ66と排気カバー68との隙間を突出部68bによって塞ぐことができる。
【0045】
この状態で環状のスクリューキャップ114を締めていくと、まず、突出部68bが第1キャップ66の突合せ部66aに当接する。さらに、スクリューキャップ114を締め付けると、排気カバー68の排出通路側の外周端部が突出部68bを支点として第1キャップ66側に押し付けられる。言い換えると、スクリューキャップ114を締め付けると、排気カバー68に該排気カバー68の排出通路側の外周端部が第1キャップ66側に傾いていくような力が作用する。つまり、排気カバー68にパッキン118を潰すような力が作用する。これにより、圧縮空気の排気中に、圧縮空気の高い排気圧によって排気カバー68が押されても、排気カバー68は、パッキン118との間に隙間を形成する方向に傾くことはない。すなわち、パッキン118と排気カバー68との間に隙間が形成されることを抑えることができ、排気カバー68とパッキン118との間における潤滑油を含んだ圧縮空気の流出を抑制することができる。
【0046】
ここで、
図6は、排気中の第1キャップ66と排気カバー68との嵌合状態を示すものであるが、
図5に示す排気前の第1キャップ66と排気カバー68との嵌合状態と比べても、排気カバー68のずれはほとんどなく、排気中であっても排気カバー68がパッキン118と密着していて排気カバー68とパッキン118との間に隙間が形成されていないことが分かる。なお、突出部68bは、排気カバー68の突合せ部68aにおいて、非設置領域68c全体に亘って設けられていなくてもよく、非設置領域68cにおいて分散して設けられていてもよい。ただし、突出部68bが非設置領域68c全体に亘って設けられていることで、第1キャップ66と排気カバー68との隙間を突出部68bによって塞ぐことができ、ねじ打機10の外観性を損ねることを防止できる。
【0047】
また、本実施の形態のねじ打機10では、パッキン118にも上記流出抑制手段が設けられている。ここで、
図9は、第1キャップ66を後方側(
図5に示される排出方向C1の下流側)から眺めた図であり、
図9(a)はパッキン有りの状態、
図9(b)はパッキン無しの状態である。また、
図10は、排気カバー68を前方側(排出方向C1の上流側)から眺めた図であり、
図10(a)はパッキン有りの状態、
図10(b)はパッキン無しの状態である。
図9(a),(b)に示すように、パッキン118は、第1排出通路21に繋がる第2排出通路87を遮るように第2排出通路全域に亘って設けられ、また、
図10(a),(b)に示すように、複数の排気口91に繋がる第3排出通路92を遮るように第3排出通路全域に亘って設けられている。そして、パッキン118は、上記流出抑制手段として、
図13に示されるように、第2排出通路87及び第3排出通路92に内接するフランジ部118aを備えている。すなわち、フランジ部118aは、第2排出通路87の内周壁及び第3排出通路92の内周壁に密着している。
【0048】
具体的には、フランジ部118aは、第1キャップ66側(パッキン本体118hの上流側)の第2排出通路87に内接する第1フランジ部118bと、排気カバー68側(パッキン本体118hの下流側)の第3排出通路92に内接する第2フランジ部118cと、を有している。
図11(b)及び
図12(b)に示される第1フランジ部118bは、パッキン本体118hから
図13に示される第1キャップ66側に向けて突出している。そして、第1フランジ部118bは、第2排出通路87の開口形状に沿って立壁となるように形成されており、これにより、第2排出通路87に内接する。同様に、
図11(a)及び
図12(a)に示される第2フランジ部118cも、パッキン本体118hから
図13に示される排気カバー68側に向けて突出している。そして、第2フランジ部118cも、第3排出通路92の開口形状に沿って立壁となるように形成されており、これにより、第3排出通路92に内接する。したがって、
図14に示されるように、排気中に第2排出通路87や第3排出通路92に流れる圧縮空気の排気圧P1,P2が第1フランジ部118b及び第2フランジ部118cをそれぞれ内側から押し付けるため、第1フランジ部118b及び第2フランジ部118cをそれぞれ第2排出通路87及び第3排出通路92に密着させることができる。
【0049】
このように排気中に、第1フランジ部118b及び第2フランジ部118cをそれぞれ第2排出通路87及び第3排出通路92に密着させることができるため、第1キャップ66とパッキン118との間、かつ、排気カバー68とパッキン118との間にそれぞれ隙間が形成されることを抑えることができる。これにより、第1キャップ66とパッキン118との間、及び排気カバー68とパッキン118との間における潤滑油を含んだ圧縮空気の流出を抑制することができる。
【0050】
また、パッキン118は、
図11及び
図12に示されるように、パッキン本体118hに、第1フランジ部118bと第2フランジ部118cとの間に介在する金属メッシュ板118dを有している。具体的には、パッキン本体118hが樹脂製であり、このパッキン本体118hに細かい多数の通孔を有する金属メッシュ板118dが埋め込まれている。このようにパッキン本体118hに金属メッシュ板118dが埋め込まれていることにより、パッキン118の剛性を高めることができ、パッキン118の変形を防止することができる。尚、パッキン本体118hは樹脂製でなくても、弾性を有する金属や紙などの異なる材料からなる構成としてもよい。また、金属メッシュ板118dを用いることにより、圧縮空気の通過は許容しつつ、潤滑油の通過は抑制することができる。第1排出通路21から排出されて第2排出通路87内を流れる圧縮空気及び潤滑油は、排出方向C1に沿って排気口91へ直進しようとする。しかしながら潤滑油は、第1排出通路21から放出された後に金属メッシュ板118dに衝突し細かい多数の通孔を通過するため、勢いを失いながら四方に拡散され、排気口91へ真っ直ぐ到達することは無い。
【0051】
また、パッキン118は、第2排出通路87の一部を塞ぐ
図11及び
図12に示される流れ留め部118eを有している。流れ留め部118eは、金属メッシュ板118dの略中央部に設けられており、第2排出通路87の通路断面における略中央部に配置される。金属メッシュ板118dの略中央部に流れ留め部118eが設けられていることで、圧縮空気に含まれた潤滑油を流れ留め部118eに衝突させて、勢いを失わせながら拡散させることができる。
【0052】
また、
図14に示されるように、パッキン118の第2排出通路87側の第1フランジ部118bにおいて、該第1フランジ部118bの厚みは、金属メッシュ板118dに近い位置の厚みT2より金属メッシュ板118dから遠い位置の厚みT1の方が薄くなっている(T1<T2)。言い換えると、第1フランジ部118bの内周面は、金属メッシュ板118dから遠ざかるほどその開口面積が大きくなるような第1テーパ面118fとなっている。このような第1テーパ面118fを有することにより、排気圧P1が内側から第1テーパ面118fを押圧するため、第1フランジ部118bが厚みT1側の端部でめくれ上がることを抑制できる。
【0053】
また、パッキン118の第3排出通路92側の第2フランジ部118cにおいて、該第2フランジ部118cの厚みは、金属メッシュ板118dに近い位置の厚みT3より金属メッシュ板118dから遠い位置の厚みT4の方が薄くなっている(T3>T4)。言い換えると、第2フランジ部118cの内周面も、金属メッシュ板118dから遠ざかるほどその開口面積が大きくなるような第2テーパ面118gとなっている。このような第2テーパ面118gを有することにより、金属メッシュ板118dを通過した圧縮空気を第3排出通路92にスムーズに流すことができる。
【0054】
また、第1フランジ部118bの金属メッシュ板118dに近い位置の厚みT2に比べて第2フランジ部118cの金属メッシュ板118dに近い位置の厚みT3の方が薄くなっている(T2>T3)。すなわち、圧縮空気の排気方向に対して第1テーパ面118fの終端部の厚みT2より第2テーパ面118gの開始部の厚みT3の方が小さいため、第2テーパ面118gの開始部の厚みT3の部分は、圧縮空気の抵抗を受けることがない。これにより、第2フランジ部118cの厚みT3側の端部が金属メッシュ板118dから剥がれることを抑制することができる。
【0055】
また、
図13に示されるように、第1キャップ66側の第2排出通路87に、該第2排出通路87の第1フランジ部118bが内接する壁面66dと同一の壁面66dに内接する第1スポンジ119a(スポンジ119)が設けられている。さらに、排気カバー68側の第3排出通路92に第2スポンジ119b(スポンジ119)が設けられている。これにより、第1スポンジ119aでパッキン118の上流側において圧縮空気に含まれる潤滑油を捕集することができる。また、パッキン118を通過してパッキン118の下流側の第3排出通路92に流れ出た潤滑油を第2スポンジ119bにより捕集することができ、潤滑油の排気口91及び外部B1への到達を抑制することができる。尚、仮に金属メッシュ板118d及び流れ留め部118eを設けない場合、第1排出通路21から排出されて第2排出通路87内を流れる圧縮空気及び潤滑油は排出方向C1に沿って排気口91へ直進するため、第1スポンジ119a及び第2スポンジ119bの中央部分を局所的に通過し、第1スポンジ119a及び第2スポンジ119bが早期に劣化してしまう可能性が有る。しかしながら本実施の形態では、金属メッシュ板118d及び流れ留め部118eを設けたため、潤滑油は勢いを失いながら第1排出通路21、第2排出通路87及び第3排出通路92の内部を四方に拡散し、第1スポンジ119a及び第2スポンジ119bの全体に万遍なく付着する。これにより、第1スポンジ119a及び第2スポンジ119bの早期劣化を抑制することができる。
【0056】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、潤滑油を捕集するスポンジ119がパッキン118の上流側と下流側の両方に設けられている場合を説明したが、スポンジ119は、例えば、上流側のみに設けられていてもよいし、スポンジ119は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…ねじ打機(作業機)、11…ハウジング、12…射出部、13…エアモータ(駆動部)、14…ドライバ、15…マガジン、16…本体部、17…ハンドル、18…ヘッドカバー、19…蓄圧室、20…排気管、21…第1排出通路、22…シリンダ、23…通路、24…空気室、25…戻り空気室、27…スピンドル、31…スライダ、32…空気室、33…通路、34…回転軸、35…ベーン、39…通路、40…減速機、41…第1ピストン、43…第2ピストン、44…バンパ、47…空気室、48…スリーブバルブ、49…通路、52…スプリング、53…トリガバルブ、59…トリガ、60…支持軸、62…プッシュレバー、64…アーム、63…ねじ、65…大径部、66…第1キャップ(第1部材)、66a…突合せ部、66b…壁部、66c…モード切替レバー、66d…壁面、68…排気カバー(第2部材)、68a…突合せ部、68b…突出部(流出抑制手段)、68c…非設置領域、68d…開口部、68e…壁、71…圧力調整バルブ、72…ケーシング、73…作動部材、74…バルブシート、75…第2キャップ(キャップ部)、76…弁体、77…収容室、78…空気室、79…プラグ、80…供給通路、81…供給通路、82…付勢部材、83…シャフト、84…付勢部材、87…第2排出通路、89…壁部、90…排気室、91…排気口、92…第3排出通路、110…筒部、113…雄ねじ部、114…スクリューキャップ(固定部)、115…ボス部、117…雌ねじ部、118…パッキン(シール部)、118a…フランジ部(流出抑制手段)、118b…第1フランジ部、118c…第2フランジ部、118d…金属メッシュ板、118e…流れ留め部、118f…第1テーパ面、118g…第2テーパ面、118h…パッキン本体、119…スポンジ、119a…第1スポンジ、119b…第2スポンジ、120…ソケット、121…エアホース、122…供給路、130…フィーダ、131…射出路、A1…中心線、A2…中心線、B1…外部、C1…排出方向、D1…第1方向、F1…付勢力、F2…付勢力、P1…排気圧、P2…排気圧、T1,T2,T3,T4…厚み