(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189335
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】包装容器、型紙及び梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B65D85/50 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097869
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520194560
【氏名又は名称】株式会社モリサキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】苑田 孝之
(72)【発明者】
【氏名】武田 充広
(72)【発明者】
【氏名】森▲崎▼ 准一
【テーマコード(参考)】
3E035
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035BA01
3E035BB02
3E035BC01
3E035CA01
(57)【要約】
【課題】配送時において切花又は造花を十分に保護しつつ、軽量にすることが可能な包装容器及び梱包体を提供する。
【解決手段】切花又は造花を収容する内部空間を有する紙製の包装容器100であって、一対の側壁10,20と、一対の側壁10,20の上端側に設けられる上壁50と、一対の側壁10,20の下端側に設けられる下壁60と、先端同士が互いに対向するように一対の側壁10,20の間に折り込まれて一対の側壁の間の間隔を維持する一対のマチ部30Aと、を備え、一対のマチ部30Aの折り込み幅が、上記上端側から上記下端側に向かうにつれて大きくなっている、包装容器100を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切花又は造花を収容する内部空間を有する紙製の包装容器であって、
一対の側壁と、
前記一対の側壁の上端側に設けられる上壁と、
前記一対の側壁の下端側に設けられる下壁と、
先端同士が互いに対向するように前記一対の側壁の間に折り込まれて前記一対の側壁の間の間隔を維持する一対のマチ部と、を備え、
前記一対のマチ部の折り込み幅が、前記上端側から前記下端側に向かうにつれて大きくなっている、包装容器。
【請求項2】
前記上端側から前記下端側に向かって前記折り込み幅が大きくなるにつれて、前記一対の側壁の幅が小さくなっている、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記上壁及び前記下壁はともに多角形状であり、
前記一対の側壁は、前記上壁の一対の角部から前記下壁の対向辺の中点に向かって直線状に延びる山折り線をそれぞれ有する、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
上面視において、前記上壁の一対の角部を結ぶ第1対角線が、前記一対のマチ部の先端の対向方向に直交する、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項5】
前記上壁は、前記第1対角線よりも、当該第1対角線に直交する第2対角線の方が長い菱形状であり、
前記下壁は、前記第1対角線に平行な短辺と前記第2対角線に平行な長辺とで構成される長方形状であり、
前記下壁よりも前記上壁の方が大きい面積を有する、請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記内部空間の横断面のうち、面積が最大となる部分の横断面が扁平形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項7】
前記側壁は、中央部に切り込み又は貫通穴と、前記切り込み又は前記貫通穴から当該側壁の上端に向かって放射状に延びる2本のミシン目線によって区画される開封予定部と、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項8】
一枚の紙材で構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の包装容器を形成するための型紙。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の包装容器と、前記包装容器に収容された前記切花又は造花と、を備える、梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装容器、型紙及び梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
植木鉢に植えられた植物を収納する段ボール製のケースが知られている。例えば、特許文献1では、植木鉢を嵌合保持する嵌合孔を備えた台座をケース本体内に嵌め込む構造を有する鉢植草花用段ボールケースが開示されている。特許文献2では、鉢植えの花や観葉植物を運搬する際に用いる収納ケースとして、断面三角形状の中空状の箱体が開示されている。一方、切花については、切花を支えるトレイが知られている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-177224号公報
【特許文献2】実用新案登録第2546883号公報
【特許文献3】実用新案登録第3092485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切花又は造花を梱包して配送する需要が高まりつつある。切花及び造花は、植木鉢に植えられた植物よりも小さいため、コンパクトに包装することが可能である。本開示は、配送時において切花又は造花を十分に保護しつつ、軽量にすることが可能な包装容器及び梱包体を提供する。また、本開示は、このような包装容器を簡便に製作することが可能な型紙を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、切花又は造花を収容する内部空間を有する紙製の包装容器であって、一対の側壁と、一対の側壁の上端側に設けられる上壁と、一対の側壁の下端側に設けられる下壁と、先端同士が互いに対向するように一対の側壁の間に折り込まれて一対の側壁の間の間隔を維持する一対のマチ部と、を備え、一対のマチ部の折り込み幅が、上端側から下端側に向かうにつれて大きくなっている、包装容器を提供する。
【0006】
上記包装容器は、紙製であることから軽量にすることができる。また、先端同士が互いに対向するように折り込まれて一対の側壁の間の間隔を維持する一対のマチ部を備えており、このマチ部の折り込み幅が上端側から下端側に向かって大きくなっていることから、内部空間の形状を切花又は造花の形状にフィットさせやすくなる。このような内部空間に、上端側に花、下端側に茎が配置されるように切花又は造花を収容すると、配送中に切花又は造花が包装容器内で大きく動くことが抑制される。これによって、配送時に振動等で花が側壁の内面に衝突することを低減することができる。したがって、配送の際に切花又は造花が傷むことを抑制し、切花又は造花を十分に保護することができる。
【0007】
一対の側壁の上端側から下端側に向かって一対のマチ部の折り込み幅が大きくなるにつれて、一対の側壁の幅が小さくなっていることが好ましい。これによって、内部空間が上端側から下端側に向かってマチ部によって絞られることとなり、内部空間の形状を、下端側に茎を、上端側に花を収容するのに一層適した形状にすることができる。このような包装容器では、一対のマチ部の間で、配送中に茎が包装容器内で大きく動くことが抑制される。これによって、配送時に振動等で茎の動きに伴って花が側壁の内面に衝突することを十分に抑制することができる。
【0008】
上記包装容器の上壁及び下壁はともに多角形状であり、一対の側壁は、上壁の一対の角部から下壁の対向辺の中点に向かって直線状に延びる山折り線をそれぞれ有することが好ましい。これによって、一対の側壁の間の間隔を大きくすることができる。したがって、切花又は造花が傷むことを一層抑制し、切花又は造花を十分に保護することができる。また、切花又は造花の収容本数を増やすことができる。
【0009】
上記包装容器の上面視において、上壁の一対の角部を結ぶ第1対角線が、一対のマチ部の先端の対向方向に直交することが好ましい。このような第1対角線を有する上壁は、内部空間の上端側の花が保持される部分において、一対の側壁の対向方向に沿う厚みを確保することができる。したがって、花のサイズを大きくしたり、花の数を増やしたりしても、花が側壁の内面に押しつぶされることを抑制することができる。
【0010】
上記包装容器の上壁は、第1対角線よりも、当該第1対角線に直交する第2対角線の方が長い菱形状であり、下壁は、第1対角線と平行な短辺と第2対角線に平行な長辺とで構成される長方形状であり、下壁よりも上壁の方が大きい面積を有することが好ましい。これによって、内部空間のうち、花の保持部のサイズを十分に確保しつつ、包装容器の厚み(一対の側壁の対向方向に沿う長さ)を小さくすることができる。したがって、例えば郵便ポストが利用しやすくなり、配送の利便性を一層向上することができる。
【0011】
上記包装容器の内部空間の横断面のうち、面積が最大となる部分の横断面が扁平形状を有することが好ましい。これによって、複数本の切花又は造花を収容可能としつつ、包装容器の厚みを薄くすることができる。したがって、例えば郵便ポストが利用しやすくなり、配送の利便性を一層向上することができる。
【0012】
上記包装容器の側壁は、中央部に切り込み又は貫通穴と、切り込み又は貫通穴から当該側壁の上端に向かって放射状に延びる2本のミシン目線によって区画される開封予定部と、を含むことが好ましい。これによって、切花又は造花を収容した梱包体としたときに、開封を円滑に行うことができる。
【0013】
上記包装容器は一枚の紙材で構成されることが好ましい。このような包装容器は、円滑に組み立てることができる。
【0014】
本開示は、上述のいずれかの包装容器を形成するための型紙を提供する。この型紙を用いれば、包装容器を簡便に製作することができる。このようにして得られる包装容器は、配送時において切花又は造花を十分に保護しつつ、軽量にすることができる。
【0015】
本開示は、上述のいずれかの包装容器と、当該包装容器に収容された切花又は造花と、を備える、梱包体を提供する。この梱包体は上述の包装容器を備えることから、配送時において切花又は造花を十分に保護しつつ、軽量にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
配送時において切花又は造花を十分に保護しつつ、軽量にすることが可能な包装容器及び梱包体を提供することができる。また、このような包装容器を簡便に製作することが可能な型紙を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る包装容器の正面側を示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る包装容器の背面側を示す斜視図である。
【
図6】(A)は、包装容器の下壁を示す図である。(B)は、
図3のVI(B)-VI(B)線で切断したときの内部空間の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0019】
図1は、包装容器100の正面側を示す斜視図である。
図2は、包装容器100の背面側を示す斜視図である。
図3は、包装容器100の正面図である。包装容器100は、互いに対向するように設けられる一対の側壁10,20と、一対の側壁10,20の上端側に設けられる上壁50と、一対の側壁10,20の下端側に設けられる下壁60と、を備える。側壁10,20、上壁50、下壁60、及び、先端同士が互いに対向するように折り込まれる一対のマチ部30Aに取り囲まれて形成される内部空間には、切花(生花)又は造花(以下、纏めて「切花等」という場合もある。)が収容される。切花及び造花は、茎と花、又は、茎と花と葉から構成されるものが挙げられる。
【0020】
包装容器100の上壁50は下壁60よりも大きい面積を有する。包装容器100の内部空間のうち、下壁60寄りに切花等の茎が、上壁50寄りに切花等の花が、それぞれ配置されるように、切花等は包装容器100の内部に収容される。すなわち、包装容器100の下部が、切花等の茎を保持する保持部40をなし、包装容器100の上部が、切花等の花を保持する保持部41をなす。包装容器100は、保持部40の方が保持部41よりも細くなっている。これによって、包装容器100の内部空間の容積を小さくして軽量化を図るとともに、包装容器100を持ち運びやすくすることができる。
【0021】
図1及び
図3に示すように、側壁10は、中央部に切り込み11と、切り込み11から側壁10の角部(上壁50の一対の角部52,54)に向かって放射状に延びる2本の開封ミシン目線12とを有する。切り込み11は、角部53の下方に設けられている。2本の開封ミシン目線12は、開封予定部14を区画している。このような開封予定部14を含む側壁10を有する包装容器100では、内部空間に切花等を収容した後、切り込み11に指を押し込んで貫通穴を形成し、開封予定部14を下端側から上端側に摘み上げることによって、開封予定部14が2本の開封ミシン目線12に沿って切り開かれる。このようにして、包装容器100(切花等が収容された梱包体200)を開封することができる。なお、変形例では、切り込み11の代わりに貫通孔が形成されていてもよいし、別の変形例では開封予定部を設けずに、上壁50を開放して切花等を取り出せるようにしてもよい。
【0022】
図1及び
図3に示すように、側壁10は、上壁50の角部53から下壁60の一辺の中点に向かって直線状に延びる山折り線81を有する。山折り線81は、開封予定部14を二分するように延在し、切り込み11と交わっている。側壁10が山折り線81を有することによって、包装容器100の厚みを大きくすることができる。変形例において、切り込み11の代わりに貫通穴が設けられる場合、山折り線81は貫通穴によって分断されてもよい。また、山折り線81は、上壁50の角部53から下壁60の一辺の中点まで連続していることは必須ではなく、分断されていてもよいし、側壁10の一部のみに形成されていてもよい。例えば、花が収容される保持部41を構成する側壁10の部分のみに山折り線81を設けてもよい。これによって、花が保持部41を構成する側壁10によって押し潰されることを十分に抑制することができる。山折り線81は、ミシン目線であってよく、罫線であってもよい。
【0023】
図2に示すように、側壁20は、上壁50の角部51から下壁60の一辺の中点に向かって直線状に延びる山折り線82を有する。山折り線82は、側壁20に対して下壁60を固定する舌状部65によって分断されている。このように、山折り線82も、山折り線81と同様に分断されていてもよい。側壁20が山折り線82を有することによって、包装容器100における厚みを大きくすることができる。変形例において、舌状部65を設けずに、山折り線82は、上壁50の角部51から下壁60の一辺の中点まで連続していてもよい。別の変形例では、山折り線82は別の部材又は貫通孔等によって分断されていてもよい。また、花が収容される保持部41を構成する側壁20の部分のみに山折り線82を設けてもよい。これによって、花が側壁20によって押し潰されることを十分に抑制することができる。山折り線82は、ミシン目線であってよく、罫線であってもよい。
【0024】
側壁20は、2枚の側壁材20A,20Bを貼り合わせ部22において貼り合わせることによって構成されている。貼り合わせ部22で貼り合わせられる外側の側壁材20Bの側端24が、山折り線82に沿って側壁20の上端から下端にまで延びている。このように、貼り合わせ部22は、側壁20の上端から下端まで帯状に延びており、山折り線82は貼り合わせ部22に設けられている。このように側壁10,20における山折り線81,82の少なくとも一つを貼り合わせ部22に形成することによって、側壁の強度を十分に高くすることができる。側壁20の下部には、下壁60に接続される舌状部65が、貼り合わせ部22に形成された切り込みに挿入され係止されている。このように、下壁60を側壁20に係止する係止部を設けることによって、保持部40の強度を十分に大きくすることができる。
【0025】
包装容器100は、一枚の紙材で構成されていてよい。紙材としては、段ボール及びコートボール紙等が挙げられる。段ボールを用いることによって、軽量で剛性に優れる包装容器100とすることができる。コートボール紙を用いることによって、山折り及び谷折り等の加工が容易となり、種々の形状に加工することができる。また、山折り線及び谷折り線をミシン目線で構成しても強度を十分に維持することができる。
【0026】
図1、
図2及び
図4に示すように、包装容器100は側壁に一対のマチ部30A,30Bを有する。一対のマチ部30A,30Bは、先端同士が互いに対向するように側壁10,20の間に折り込まれて構成される。マチ部30A,30Bは、切花等の茎を保持する保持部40に設けられる。マチ部30A,30Bは、ジャバラ状になるように折り込まれていることから、保持部40における包装容器100の厚みを、茎が保持可能な程度に薄くすることができる。また、茎のサイズによって、保持部40における内部空間のサイズを可変としつつ、側壁10,20の内面で茎を挟持することもできる。これによって、配送の際に内部空間内で茎が大きく動くことが抑制される。したがって、茎が動くことに伴って花が側壁10,20の内面に衝突したり擦れたりすることを低減し、花が傷むことを抑制できる。
【0027】
一対のマチ部30A,30Bは、側壁10,20の上端側から下端側に向かって折り込み幅W2(
図8)が大きくなるように形成される。側壁10(20)の上端側から下端側に向かって折り込み幅W2が大きくなるにつれて、
図3に示すように、側壁10,20の幅W1は小さくなっていてよい。すなわち、包装容器100の保持部40は、側壁10,20の上端側から下端側に向かって細くなる先細り形状となっていてよい。これによって、花を保持する保持部41における内部空間のサイズを確保しながら、包装容器100(保持部40)をコンパクトにすることができる。なお、側壁10,20の幅W1とは、包装容器100の横断面における側壁10,20の長さをいう。
【0028】
図4に示すように、マチ部30Aは、一対の山折り線32と、一対の山折り線32の間に形成され、マチ部30Aの先端をなす谷折り線33で形成される。マチ部30Aは、側壁10,20の間に蛇腹状に折り込まれており、包装容器100の厚み方向に弾性変形可能に構成されている。マチ部30Aは、側壁10,20の内面間の間隔を維持するように形成されている。マチ部30Aは、側壁10,20を外側(内部空間側とは反対側)に向かって付勢していてもよい。また、マチ部30Aは弾性変形可能に構成されていてよい。この場合、外力によって、側壁10,20の間隔が狭くなるように包装容器100が変形すると、マチ部30Aが弾性変形し、変形に対する反発力を生じさせる。これによって、側壁10,20の内面同士が接触することを抑制することのみならず、内部空間の厚みを十分に維持することができる。変形に対する反発力を十分に大きくする観点から、包装容器100はコートボール紙で構成されることが好ましい。
【0029】
マチ部30Aの上方及び下方には貫通孔31,35が設けられている。これによって、型紙からマチ部を有する包装容器100を形成し易くすることができる。マチ部30A(貫通孔31)の上方には、側壁10と側壁20とを区画する山折り線からなる区画線85が設けられている。区画線85、山折り線32及び谷折り線33は、ミシン目線で構成されていてもよいし、罫線で構成されていてもよい。
図4に示される包装容器100の側部とは反対側の側部も、
図4と同じ構造を有していてよい。すなわち、マチ部30Bもマチ部30Aと同様の構造を有していてよい。
【0030】
図5は、包装容器100の上面図であり、上壁50が示されている。上壁50は、菱形状を呈しており、4つの角部51,52,53,54を有する。互いに対向する一対の角部51,53を結ぶ第1対角線L1と、互いに対向する一対の角部52,54を結ぶ第2対角線L2は、直交している。包装容器100は、
図5に示すように上面視したときに、上壁50における対角線L1,L2のうちの一つ(第1対角線L1)が、一対のマチ部30A,30Bの対向方向に直交している。一方、対角線L1,L2のうちの別の一つ(第2対角線L2)は、一対のマチ部30A,30Bの対向方向と平行になっている。
【0031】
包装容器100を上面視したときに、上壁50の第1対角線L1が、一対のマチ部30A,30Bの先端36A,36Bの対向方向D(
図6(B))と直交していることから、上壁50によって、花が保持される保持部41の厚みを確保することができる。また、第2対角線L2の方が長いため、上壁50を扁平形状にすることができる。これによって、包装容器100及び梱包体200を郵便ポストに投函し易くして配送の利便性を向上することができる。第1対角線L1に対する第2対角線L2の比は、1.3~4であってよく、1.5~3であってよく、1.7~2.5であってよい。これによって、花が保持される空間を十分に確保しつつ、配送の利便性を十分に高くすることができる。
【0032】
上壁50の形状は菱形状に限定されるものではなく、第1対角線L1と同様に、一対のマチ部30A,30Bの先端の36A,36Bの対向方向Dに直交する対角線を有する多角形状であってよい。この場合、角の数が偶数個であり、上壁において対向する辺の長さが等しいものであることが好ましい。例えば、上壁の形状を正六角形又は一方向に扁平した六角形とし、互いに平行に描かれる2本の対角線が、対向方向Dに直交するようなものであってよい。
【0033】
図6(A)は、包装容器100の下壁60を下から見たときの図である。下壁60は長方形状であり、互い対向する対向辺である長辺E1,E2と、互い対向する別の対向辺である短辺E3,E4とを有する。短辺E3,E4の長さに対する長辺E1,E2の長さの比は、好ましくは2~10であり、より好ましくは3~8である。このような比にすることによって、保持部40を、複数の茎を保持するのに好適なサイズにすることができる。
【0034】
長辺E1,E2上には、側壁10,20がそれぞれ設けられ、短辺E3,E4上には、マチ部30A,30Bがそれぞれ設けられる。短辺E3,E5は、マチ部30A,30Bの折り込み幅W2(
図8)よりも短くなっている。これによって、包装容器100の厚みが大きくなり過ぎることを抑制している。
図1及び
図3の山折り線81は、長辺E1の中点に向かって延びており、
図2の山折り線82は、長辺E2の中点に向かって延びている。長辺E1,E2は、マチ部30A,30Bの先端の対向方向D(
図6(B))及び第2対角線L2(
図5)に平行である。短辺E3,E4は、第1対角線L1(
図5)に平行である。
【0035】
下壁60は、上壁50よりも小さい面積を有する。下壁60に対する上壁50の面積比は、3~20であってよく、5~15であってよく、7~13であってもよい。このような面積比にすることによって、内部空間を切花等の収容に好適な形状にすることができる。上壁50及び下壁60は、平面であってもよいし、湾曲面であってもよい。
【0036】
図6(B)は、
図3のVI(B)-VI(B)線で切断したときの内部空間88の輪郭を示す図である。このように茎の長手方向に直交する方向に沿って切断したときの断面を「横断面」という。内部空間88の横断面は、扁平形状を有する。本開示における扁平形状とは、内部空間88の横断面形状に外接する最小の仮想の矩形VRを描いたとき、当該矩形が長方形であるものをいう。VRの短辺に対する長辺の比は、好ましくは2~10であり、より好ましくは3~8である。このような比にすることによって、切花等の収容スペースを十分に確保しつつ、郵便ポストを利用し得るサイズに調整しやすくなる。
【0037】
内部空間88の横断面は、包装容器100の上端から下端に至るまで扁平形状を有していてもよいが、これに限定されない。例えば、内部空間88の横断面のうち、面積が最大となる部分の横断面が扁平形状を有することが好ましい。これによって、複数本の切花等を収容可能としつつ、包装容器100の厚みを薄くすることができる。したがって、例えば郵便ポストが利用しやすくなり、配送の利便性を一層向上することができる。包装容器100において、面積が最大となる部分の内部空間88の横断面は、内部空間88の上端における横断面となる。
【0038】
図7は、包装容器100に切花150が収容された梱包体200を示す模式図である。
図7では、梱包体200の内部を示すため、上壁50を開放した状態を示している。梱包体200は、
図1,2に示すように、上壁50が側壁10,20の上端を覆うように閉止されていてよい。
【0039】
包装容器100の内部空間に、
図7に示すように切花等を収容すれば、梱包体200を得ることができる。収容される切花150の本数及び種類は制限されない。また、切花150はドライフラワーであってもよい。また切花の代わりに造花を収容してもよいし、切花と造花の両方を収容してもよい。包装容器100の内部空間88は扁平形状を有していることから、梱包体200の厚みを薄くしつつ、収容する切花150等の本数を多くすることができる。梱包体200は、紙製の包装容器100を備えることから、軽量であるうえにコンパクトに梱包されている。このため、配送の利便性に優れる。また、配送の際に切花150等が傷むことを抑制し、切花150等を十分に保護することができる。
【0040】
包装容器100の上壁50は、
図7に示すように複数の部材で構成されていてよい。
図7は、上壁50の構造の一例を示している。上壁50は、一対のフラップ56,57と、内部空間88側に折り込まれたフラップ56,57を覆い、外部に露出する外装部55と、を有する。外装部55でフラップ56,57を覆うとともに、外装部55の先端のフラップ55Aを、側壁20の内面に沿うように挿入することによって、上壁50が形成される。上壁の上端に設けられた舌状部25を、外装部55のフラップ55Aの基部に設けられた切り込み55Bに挿入すれば、上壁50を側壁20に係止することができる。このように、上壁50を側壁20に係止する係止部を設けることによって、保持部41の強度を十分に大きくすることができる。なお、上壁50は、複数の部材で構成されていなくてもよい。例えば、変形例では、外装部55のみで上壁50を構成してもよい。上壁50は、観音扉状に開放されるような構造であってもよい。
【0041】
図8は、包装容器100を形成するための型紙の一例を示している。一枚の紙材で構成される型紙101を組み立てることによって、包装容器100を得ることができる。
図8は、包装容器100を展開したときの包装容器100の表面側を示している。側壁10の両側には、側壁20となる側壁材20A、20Bがそれぞれ山折り線85,86を介して接続されている。山折り線85,86の下方において、側壁10と側壁材20A、20Bとの間に、マチ部30A,30Bが設けられている。マチ部30A,30Bの折り込み幅W2は、側壁10,20の下端側に向かって大きくなっている。
【0042】
側壁10と側壁材20Aは区画線85及びマチ部30Aで区画され、側壁10と側壁材20Bは区画線86及びマチ部30Bで区画される。側壁10の下端には下壁60を形成する下壁部材が接続されている。下壁部材は、側壁10に接続される主部材62とその先端に接続されるフラップ62Aとを有する。フラップ62Aの先端には舌状部65が設けられている。この舌状部65は、内部空間側から貫通孔27を挿通し、切り込み26に差し込まれるようになっている。側壁10、側壁材20A,20Bの上端には上壁50を形成する上壁部材が接続されている。上壁部材は、側壁10の上端に隣り合って接続される外装部55及びフラップ56と、側壁材20Aの上端に接続されるフラップ57と、側壁材20Bの上端に接続される舌状部25とを含む。
【0043】
包装容器100及び梱包体200は、型紙101を以下の手順で組み立てて得ることができる。側壁10を中央の山折り線81に沿って折り曲げるとともに、側壁10に対して側壁材20A,20Bを山折り線85,86に沿って折り曲げて筒状にする。これとともに、谷折り線33、山折り線32に沿って型紙101を折り、マチ部30A,30Bとなる部分を側壁10,20の間に折り込む。山折り線82,83を山折りした後、貼り合わせ部22,23を貼り合わせ部22が外側になるようにして重ね合わせる。貼り合わせ部23の表面に予め接着剤を塗布しておけば、貼り合わせ部22,23を円滑に貼り合わせることができる。なお、接着剤ではなく、例えば両面テープを用いて貼り合わせてもよい。
【0044】
次に下壁60を組み立てる。具体的には、罫線に沿って主部材62を山折りして長辺E1を形成する。主部材62の先端のフラップ62Aを罫線に沿って山折りして長辺E2を形成するとともに、側壁材20Bの内面に沿うように、フラップ62Aを挿入する。そして、フラップ62Aの先端に設けられる舌状部65を、貫通孔27を挿通させて切り込み26に差し込む。これによって、マチ部30A,30Bが側壁10,20の間に折り込まれ、下壁60が側壁20に係止される。
【0045】
側壁10,20の上端側から切花等を、茎が下壁60側になるようにして挿入する。その後、上壁50を組み立てる。具体的には、側壁材20Aの上端及び側壁10の左側上端における罫線に沿ってフラップ57及びフラップ56をそれぞれ山折りした後、側壁10の右側上端における罫線に沿って外装部55を山折りする。外装部55の先端のフラップ55Aを折り曲げつつ側壁材20Bの上部内面に沿って内部空間側に差し込む。その後、フラップ55Aの基部に設けられた切り込み55Bに側壁材20Bの上端に設けられた舌状部25を挿入する。このようにして上壁50が側壁20に係止される。
【0046】
このように、包装容器100は一枚の型紙101(紙材)を組み立てて得ることができる。ただし、型紙101とは異なる型紙を組み立てて包装容器100を得てもよい。
【0047】
以上、本開示の幾つかの実施形態及び変形例を説明したが、本開示は上述のものに限定されない。例えば、包装容器100の側壁10,20は、表面に山折り線を1本のみ有しているが、2本以上の山折り線を設けてもよい。この場合、上壁50を六角形とし、上壁の各角部から山折り線が下壁60に向かって延びるように形成してもよい。側壁材20A,20Bは接着剤ではなく、舌状部と切り込みとを用いて接合してもよい。この場合、貼り合わせ部22,23を、重ね合わせ部としてよい。貫通孔70の形状及び数に制限はなく、貫通孔はなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10,20…側壁、12…開封ミシン目線、14…開封予定部、20A,20B…側壁材、22,23…貼り合わせ部(重ね合わせ部)、24…側端、25,65…舌状部、27,31,35,70…貫通孔、30A,30B…マチ部、32,81,82,83…山折り線、33…谷折り線、36A,36B…先端、40,41…保持部、50…上壁、51,52,53,54…角部、55…外装部、55A,56,57,62A…フラップ、60…下壁、62…主部材、85,86…区画線(山折り線)、88…内部空間、100…包装容器、101…型紙、150…切花、200…梱包体、E1,E2…長辺、E3,E4…短辺、L1,L2…対角線、W1…側壁の幅、W2…折り込み幅。