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特開2022-189337軌道回路装置および軌道回路装置の制御方法
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  • 特開-軌道回路装置および軌道回路装置の制御方法 図1
  • 特開-軌道回路装置および軌道回路装置の制御方法 図2
  • 特開-軌道回路装置および軌道回路装置の制御方法 図3
  • 特開-軌道回路装置および軌道回路装置の制御方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189337
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】軌道回路装置および軌道回路装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/16 20060101AFI20221215BHJP
   B61L 3/16 20060101ALI20221215BHJP
   H04B 3/54 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
B61L23/16 C
B61L3/16 Z
H04B3/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097871
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲田 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】水谷 英司
【テーマコード(参考)】
5H161
5K046
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB03
5H161BB18
5H161BB20
5H161CC13
5H161CC20
5H161DD02
5H161EE04
5H161EE07
5H161FF02
5H161FF07
5K046AA03
5K046BA05
5K046BB06
5K046PS03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】架線の電力が大きく変動した場合でも、複数の軌道回路で、列車検知を行うことができ、システムが安定稼働を継続できる軌道回路装置を提供する。
【解決手段】軌道回路装置は、架線9の電力を入力し、パイロット信号11を生成し、パイロット信号を出力する減衰器4と、パイロット信号を入力し、パイロット信号の正否判定の結果であるパイロット信号正否判定結果12、およびパイロット信号の電圧および周波数の情報であるパイロット信号情報13を生成し、パイロット信号正否判定結果およびパイロット信号情報を出力するパイロット信号処理部3と、パイロット信号正否判定結果を入力し、電源同期指示を含む制御情報6を生成し、制御情報を出力する制御部2と、制御情報およびパイロット信号情報を入力し、軌道回路14に出力する信号を生成する送受信器1、2と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架線の電力を入力し、パイロット信号を生成し、前記パイロット信号を出力する減衰器と、
前記パイロット信号を入力し、前記パイロット信号の正否判定の結果であるパイロット信号正否判定結果、および前記パイロット信号の電圧および周波数の情報であるパイロット信号情報を生成し、前記パイロット信号正否判定結果および前記パイロット信号情報を出力するパイロット信号処理部と、
前記パイロット信号正否判定結果を入力し、電源同期指示を含む制御情報を生成し、前記制御情報を出力する制御部と、
前記制御情報および前記パイロット信号情報を入力し、軌道回路に出力する信号を生成する送受信器と、
を備える軌道回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の軌道回路装置であって、
制御情報通信バスを備え、
前記制御部は、前記制御情報を前記制御情報通信バスに出力し、
前記送受信器は、前記制御情報を前記制御情報通信バスから入力する、
軌道回路装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の軌道回路装置であって、
パイロット信号情報通信バスを備え、
前記制御部は、前記パイロット信号情報を入力し、前記パイロット信号情報を前記パイロット信号情報通信バスに出力し、
前記送受信器は、前記パイロット信号情報を前記パイロット信号情報通信バスから入力する、
軌道回路装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の軌道回路装置であって、
パイロット信号情報通信バスを備え、
前記パイロット信号処理部は、前記パイロット信号情報を前記パイロット信号情報通信バスに出力し、
前記送受信器は、前記パイロット信号情報を前記パイロット信号情報通信バスから入力する、
軌道回路装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の軌道回路装置であって、
前記軌道回路に出力する信号は、列車検知信号である、
軌道回路装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の軌道回路装置であって、
前記軌道回路に出力する信号は、列車制御信号である、
軌道回路装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の軌道回路装置の制御方法であって、
減衰器が、架線の電力を入力し、パイロット信号を生成し、前記パイロット信号を出力するステップと、
パイロット信号処理部が、前記パイロット信号を入力し、前記パイロット信号の正否判定の結果であるパイロット信号正否判定結果、および前記パイロット信号の電圧および周波数の情報であるパイロット信号情報を生成し、前記パイロット信号正否判定結果および前記パイロット信号情報を出力するステップと、
制御部が、前記パイロット信号正否判定結果を入力し、電源同期指示を含む制御情報を生成し、前記制御情報を出力するステップと、
送受信器が、前記制御情報および前記パイロット信号情報を入力し、軌道回路に出力する信号を生成するステップと、
を有する軌道回路装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道回路装置および軌道回路装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道用信号保安装置(以下、ATC装置)は、レール(以下、軌道回路)を介して、周波数変調を行った列車検知信号(以下、TD信号)を送受信する。列車が軌道回路上に在線している場合、車軸短絡によってTD信号の電圧が低下する。また、列車が軌道回路上に在線していない場合、TD信号の電圧は低下しない。
【0003】
ATC装置では、TD信号の電圧が受信器にて設けているしきい値を下回った場合、列車在線と判定する。また、TD信号の電圧が受信器にて設けているしきい値を上回り、TD信号を復調したデータが正常である場合、列車非在線と判定する。このように、ATC装置では、軌道回路上のTD信号の品質が重要であるため、軌道回路上には、他の周波数の成分がないことが望ましい。
【0004】
一方、鉄道車両は、変電所からの電力が架線経由で供給されることで運行しているが、変電所への帰線として、軌道回路を使用している。そのため、軌道回路上には、TD信号以外に、架線の電力の商用周波数および高調波が存在する。架線の電力の商用周波数および高調波は、変電所と架線と鉄道車両と軌道回路とが構成する閉回路における容量成分の変動により、電圧や周波数が常時小さく変動している。このため、ATC装置では、架線の電力の変動の影響を回避することが望ましい。
【0005】
そこで、ATC装置では、架線の電力を信号(以下、パイロット信号)として取込む構成とし、ATC装置の送受信器は、パイロット信号の周波数を逓倍して、TD信号の搬送波を生成する電源同期制御を行うことで、架線の電力の変動の影響を回避し、ATC装置の信頼性を向上させている。
【0006】
特許文献1には、パイロット信号を検出する手段と、検出したパイロット信号の周波数を逓倍する周波数逓倍手段から構成した電源同期搬送波生成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4673233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
引用文献1に記載された電源同期搬送波生成装置は、パイロット信号の周波数を逓倍することによって、電源同期搬送波を生成する。
【0009】
しかし、引用文献1では、パイロット信号の電圧の変動が周波数の変動として捉えられ、パイロット信号の正否判定を誤る懸念があることについては、検討されていない。
【0010】
そこで、本発明では、架線の電力が大きく変動した場合でも、複数の軌道回路で、列車検知を行うことができ、システムが安定稼働を継続できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の軌道回路装置の1つは、架線の電力を入力し、パイロット信号を生成し、パイロット信号を出力する減衰器と、パイロット信号を入力し、パイロット信号の正否判定の結果であるパイロット信号正否判定結果、およびパイロット信号の電圧および周波数の情報であるパイロット信号情報を生成し、パイロット信号正否判定結果およびパイロット信号情報を出力するパイロット信号処理部と、パイロット信号正否判定結果を入力し、電源同期指示を含む制御情報を生成し、制御情報を出力する制御部と、制御情報およびパイロット信号情報を入力し、軌道回路に出力する信号を生成する送受信器と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、架線の電力が大きく変動した場合でも、複数の軌道回路で、列車検知を行うことができ、システムが安定稼働を継続することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を適用しない場合のATC装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施例1に係るATC装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施例1に係るATC装置の動作を示すタイムチャートである。
図4】実施例2に係るATC装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明を適用しない場合のATC装置について、図1を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明を適用しない場合のATC装置の構成を示すブロック図である。ATC装置は、制御部と、パイロット信号処理部と、減衰器と、送受信器群と、制御部と送受信器群を接続する制御情報通信バスから構成される。
【0016】
減衰器は、架線の電力を取り込み、十分に電圧を降下させてパイロット信号とし、パイロット信号を、パイロット信号処理部と送受信器群に分配する。
【0017】
パイロット信号処理部は、減衰器からのパイロット信号に対し、信号処理を行って、パイロット信号の周波数と電圧を演算する。パイロット信号処理部は、正弦波であるパイロット信号をA/D変換して周波数と電圧を演算する。そのため、演算された周波数と電圧の情報は、一定以上の精度を有する。その後、パイロット信号処理部は、これらの情報をしきい値と比較し、正否判定を行った上で、制御部に対し、パイロット信号正否判定結果を通知する。
【0018】
制御部は、パイロット信号処理部からのパイロット信号正否判定結果に従い、制御情報通信バスを介し、送受信器群に対して、制御情報を通知する。制御情報は、電源同期指示あるいは電源非同期指示を含む。制御部は、判定結果が正常だった場合は、電源同期指示を通知し、判定結果が異常だった場合は、電源非同期指示を通知する。
【0019】
送受信器は、制御部から電源同期指示を受けた場合、減衰器からのパイロット信号に対し、信号処理を行って、パイロット信号の周波数と電圧を演算する。送受信器は、軌道回路と送受する信号の処理も行うため、電源同期に関する処理の負荷を低減する必要がある。そこで、送受信器は、パイロット信号を一旦矩形波に変換して周波数を演算する。そのため、電圧の変動が周波数の変動として捉えられるなどの懸念を有する。
【0020】
その後、送受信器は、これらの情報をしきい値と比較し、正否判定を行う。判定結果が正常だった場合は、パイロット信号の周波数を逓倍して、TD信号の搬送波を生成する電源同期制御を行い、TD信号を送信する。判定結果が異常だった場合は、電源同期制御を中止し、制御部に対し、電源同期中止状態を通知する。そして、減衰器からのパイロット信号を参照せずに、送受信器内部で発生させたクロック信号の周波数を分周して、TD信号の搬送波を生成し、TD信号を送信する。
【0021】
なお、送受信器は、制御部から電源非同期指示を受けた場合も、減衰器からのパイロット信号を参照せずに、送受信器内部で発生させたクロック信号の周波数を分周して、TD信号の搬送波を生成し、TD信号を送信する。
【0022】
送受信器は、軌道回路を介してTD信号を送受信し、列車の在線検知を行う。
【0023】
変電所からの電力は、基本的には安定しているものの、力行車両のすれ違いなどによる変電所と架線と鉄道車両と軌道回路とが構成する閉回路における容量成分の低下や、天候不良による架線の不具合などによって、周波数や電圧が大きく変動することがある。パイロット信号処理部がパイロット信号の正否判定を正常とした場合でも、パイロット信号の周波数や電圧が送受信器群のしきい値付近で変動した場合には、送受信器によるパイロット信号の周波数と電圧の演算の精度が低いことにより、送受信器によって正否判定がばらつくことになる。複数の送受信器が電源同期中止状態に遷移するため、複数の軌道回路で、列車検知を行うことができなくなる、といった可能性が発生する。
【0024】
本発明を適用しない場合のATC装置では、パイロット信号処理部と送受信器群が、いずれもパイロット信号を取込み、それぞれでパイロット信号の正否判定を行っていることから、システムの安定稼働が困難な状態に陥る可能性がある。
【0025】
次に、実施例、すなわち、本発明を適用した場合のATC装置について、図2ないし図4を用いて説明する。
【実施例0026】
図2は、実施例1に係るATC装置1の構成を示すブロック図である。軌道回路装置であるATC装置1は、制御部2と、パイロット信号処理部3と、減衰器4と、送受信器群5と、制御部2と送受信器群5を接続する制御情報通信バス6と、パイロット信号情報通信バス7から構成される。
【0027】
減衰器4は、変電所8から架線9を経由して電力10を取込み、電圧を降下させてパイロット信号11を生成し、パイロット信号処理部3に対し、パイロット信号11を出力する。
【0028】
パイロット信号処理部3は、減衰器4からのパイロット信号11を取込み、正弦波であるパイロット信号11をA/D変換してパイロット信号11の周波数と電圧を演算する。その後、パイロット信号処理部3は、これらの情報をしきい値と比較し、正否判定を行う。パイロット信号処理部3は、パイロット信号11の正否判定の結果であるパイロット信号正否判定結果12、およびパイロット信号11の電圧および周波数の情報であるパイロット信号情報13を生成し、制御部2に対し、パイロット信号正否判定結果12およびパイロット信号情報13を出力する。
【0029】
制御部2は、パイロット信号処理部3からのパイロット信号正否判定結果12に従い、制御情報通信バス6を介し、送受信器群5に対し、制御情報を出力する。制御情報は、電源同期指示あるいは電源非同期指示を含む。制御部2は、判定結果が正常だった場合は、電源同期指示を出力し、判定結果が異常だった場合は、電源非同期指示を出力する。また、制御部2は、パイロット信号情報通信バス7を介し、送受信器群5に対し、パイロット信号情報13を出力する。
【0030】
送受信器は、制御情報通信バス6を介して制御部2からの電源同期指示あるいは電源非同期指示を含む制御情報を取込む。送受信器は、制御部2から電源同期指示を受けた場合、パイロット信号情報通信バス7を介してパイロット信号情報13を取込み、パイロット信号11の周波数を逓倍して、TD信号の搬送波を生成する電源同期制御を行い、TD信号を送信する。また、送受信器は、制御部から電源非同期指示を受けた場合、制御部2からのパイロット信号情報13を参照せずに、送受信器内部で発生させたクロック信号の周波数を分周して、TD信号の搬送波を生成し、TD信号を送信する。送受信器は、軌道回路14を介してTD信号15を送受信し、列車16の在線検知を行う。
【0031】
なお、送受信器は、同様の手順で、列車制御信号の搬送波を生成し、列車制御信号を送信してもよい。送受信器は、軌道回路14に対して、列車制御信号を送信する。
【0032】
図3は、実施例1に係るATC装置の動作を示すタイムチャートである。図2を用いて、パイロット信号11の周波数が周波数1から周波数2に変化したときにおける、パイロット信号処理部3がパイロット信号11に対して信号処理を行ってパイロット信号11の周波数の変化を認識し、送受信器群5がパイロット信号11の周波数の変化を認識するシーケンスについて説明する。パイロット信号11の周波数が変化してからパイロット信号処理部3がパイロット信号11の周波数の変化を認識するまで、すなわち、パイロット信号処理部3での信号処理には、数100msを要する。また、パイロット信号処理部3がパイロット信号11の周波数の変化を認識してから送受信器群5がパイロット信号11の周波数の変化を認識するまで、すなわち、パイロット信号処理部3から送受信器群5へのパイロット信号情報13の通知は、0.300msで完了する。
【0033】
まず、パイロット信号処理部3から制御部2に対し、パイロット信号情報13を通知する。これは、パイロット信号処理部3がパイロット信号情報13をメモリに書込み、制御部2がパイロット信号情報13をメモリから読込むことにより行うが、パイロット信号情報13のメモリへの書込みおよびメモリからの読出しに要する時間は極めて短いため、処理時間は無視することができる。次に、制御部2からパイロット信号情報通信バス7を介して送受信器に対し、パイロット信号情報13を通知する。これには、シリアル通信の1つであるCANFDを使用する。CANFDのアービトレーションフェーズの通信速度を500kbps、データフェーズの通信速度を8Mbpsとすると、データフィールドのサイズを32bitとしたとき、回線上の電文送出時間は0.100msとなる。
【0034】
その他に、制御部2からパイロット信号情報通信バス7にパイロット信号情報13を書込む処理時間を0.100ms、パイロット信号情報通信バス7から送受信器がパイロット信号情報13を読込む処理時間を0.100msとし、前述の電文送出時間と合わせると、計0.300msとなる。
【0035】
本発明を適用しない場合のATC装置の送受信器では、3.2kHzのサンプリング処理によりパイロット信号の周波数を演算する信号処理を行い、パイロット信号の周波数を逓倍してTD信号の搬送波を生成する処理を行っている。一方、実施例1に係るATC装置の送受信器は、パイロット信号11そのものではなく、パイロット信号情報13を取込む構成である。この際、パイロット信号処理部3から送受信器群5へのパイロット信号情報13の通知に要する時間は、3.2kHzのサンプリング処理の1周期である0.313ms以内であるため、本発明を適用しない場合のATC装置の送受信器に比べて、実施例1に係るATC装置1の送受信器の応答性に遜色はない。
【0036】
実施例1によれば、パイロット信号の正否判定をパイロット信号処理部に集約することで、架線の電力が大きく変動した場合でも、複数の軌道回路で、列車検知を行うことができ、システムが安定稼働を継続することができる。
【実施例0037】
図4は、実施例2に係るATC装置1の構成を示すブロック図である。実施例1に係るATC装置1は、制御部2がパイロット信号情報通信バス7に、パイロット信号情報13を出力するのに対し、実施例2に係るATC装置1は、パイロット信号処理部3がパイロット信号情報通信バス7に、パイロット信号情報13を出力する点で、両者は異なる。
以下の説明において、上述の実施例1と同一または同等の構成要素については同一の符号を付して、その説明を簡略または省略し、実施例2に係るATC装置1について、実施例1に係るATC装置1と異なる点を説明する。
【0038】
軌道回路装置であるATC装置1は、制御部2と、パイロット信号処理部3と、減衰器4と、送受信器群5と、制御部2と送受信器群5を接続する制御情報通信バス6と、パイロット信号処理部3と送受信器群5を接続するパイロット信号情報通信バス7から構成される。
【0039】
パイロット信号処理部3は、制御部2に対し、パイロット信号正否判定結果12を出力する。また、パイロット信号処理部3は、パイロット信号情報通信バス7を介し、送受信器群5に対し、パイロット信号情報13を出力する。
【0040】
制御部2は、制御情報通信バス6を介し、送受信器群5に対し、制御情報を出力する。
【0041】
実施例2によれば、実施例1と同様に、パイロット信号の正否判定をパイロット信号処理部に集約することで、架線の電力が大きく変動した場合でも、複数の軌道回路で、列車検知を行うことができ、システムが安定稼働を継続することができる。
【0042】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0043】
1…ATC装置、2…制御部、3…パイロット信号処理部、4…減衰器、5…送受信器群、6…制御情報通信バス、7…パイロット信号情報通信バス、8…変電所、9…架線、10…電力、11…パイロット信号、12…パイロット信号正否判定結果、13…パイロット信号情報、14…軌道回路、15…TD信号、16…列車
図1
図2
図3
図4