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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189347
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】接点装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 5/08 20060101AFI20221215BHJP
   H01H 3/16 20060101ALI20221215BHJP
   H01H 5/06 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01H5/08
H01H3/16 B
H01H5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097881
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000109598
【氏名又は名称】テンパール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】今川 誠
(72)【発明者】
【氏名】濱田 翼
(72)【発明者】
【氏名】松本 雄多
(72)【発明者】
【氏名】松本 一馬
(72)【発明者】
【氏名】加治屋 周策
(72)【発明者】
【氏名】馬場 隆
【テーマコード(参考)】
5G025
【Fターム(参考)】
5G025AA05
5G025FA02
(57)【要約】
【課題】可動接点を固定接点に押し付ける接点力が高い接点装置の提供。
【解決手段】長板状であり導電性を有する導電板と、前記導電板の表面側に露出した状態で前記導電板の長手方向における一端部に取り付けられる可動接点であって、定位置に固定されている固定接点に対して接離する可動接点と、前記導電板を裏面から支持する支持部を有する受動部材であって、前記固定接点に前記可動接点が接近するように前記支持部が前記導電板を押し操作するように動くように構成される受動部材と、前記導電板の前記長手方向における前記支持部よりも他端部側を前記表面側から付勢する付勢手段と、を備え、前記付勢手段による前記導電板の付勢位置と前記支持部による前記導電板の支持位置との間隔が、前記支持部による前記導電板の支持位置と前記可動接点との間隔以上となっている接点装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長板状であり導電性を有する導電板と、
前記導電板の表面側に露出した状態で前記導電板の長手方向における一端部に取り付けられる可動接点であって、定位置に固定されている固定接点に対して接離する可動接点と、
前記導電板を裏面から支持する支持部を有する受動部材であって、前記固定接点に前記可動接点が接近するように前記支持部が前記導電板を押し操作するように動くように構成される受動部材と、
前記導電板の前記長手方向における前記支持部よりも他端部側を前記表面側から付勢する付勢手段と、を備え、
前記付勢手段による前記導電板の付勢位置と前記支持部による前記導電板の支持位置との間隔が、前記支持部による前記導電板の支持位置と前記可動接点との間隔以上となっている、
接点装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記長手方向において前記付勢手段よりも一端側の位置と、前記付勢手段よりも他端側の位置とで前記導電板を支持するように構成される、
請求項1に記載の接点装置。
【請求項3】
前記支持部は、
前記導電板の前記一端側の位置に配置される一端側当接部と、
前記導電板の前記他端側の位置に配置される他端側当接部と、を有し、
前記可動接点が前記固定接点に押し当たっている状態で、前記一端側当接部が前記導電板に当接し、且つ前記他端側当接部が前記導電板から離れる、
請求項2に記載の接点装置。
【請求項4】
前記導電板は、板長係合部を有し、
前記受動部材は、前記板長係合部と係合する受長係合部を有し、
前記板長係合部と前記受長係合部とが係合することによって、前記導電板が前記受動部材に対して前記長手方向で位置決めされる、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の接点装置。
【請求項5】
前記導電板は、板幅係合部を有し、
前記受動部材は、前記板幅係合部と係合する受幅係合部を有し、
前記板幅係合部と前記受幅係合部とが係合することによって、前記導電板が前記受動部材に対して幅方向で位置決めされる、
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の接点装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路において電流経路を開閉する接点装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記接点装置として、例えば特許文献1の図4に図示されているような、2つの電流経路を互い違いに開閉できるように構成されたスイッチ装置が知られている。
【0003】
かかるスイッチ装置は、
定位置に固定されている一対の固定接点と、
長板状の導体板と、
導体板の長手方向における各端部に取り付けられる一対の可動接点と、
前記導体板の中央部を定位置で支持する中央端子 と、
一方の可動接点と中央端子との間で導体板の表面を押している状態と、他方の可動接点と中央端子との間で導体板の表面を押している状態とに切替可能な駆動体と、を備えている。
【0004】
上記構成のスイッチ装置によれば、駆動体により一方の可動接点と中央端子との間で導体板の表面を押している状態に切り替えると、一方の可動接点と一方の固定接点が閉じ且つ他方の可動接点と他方の固定接点が開いた状態になり、駆動体により他方の可動接点と中央端子との間で導体板の表面を押している状態に切り替えると、一方の可動接点と一方の固定接点が開き且つ他方の可動接点と他方の固定接点が閉じた状態になる。
【0005】
このように、上記構成のスイッチ装置は、一方の可動接点と一方の固定接点との開閉状態と、他方の可動接点と他方の固定接点との開閉状態とを互い違いに切り替えることによって、中央端子につながる電流経路を切り替えることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6-17067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来のようなスイッチ装置では、一方の固定接点と一方の可動接点とを閉じた状態にしても一方の固定接点と一方の可動接点とが離れてしまうことがあり、また、他方の固定接点と他方の可動接点とを閉じた状態にした場合も同様に他方の固定接点と他方の可動接点とが離れてしまうことがあるため、電流経路が意図しないタイミングで開かれてしまう原因を解消することが望まれている。
【0008】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、可動接点を固定接点に押し付ける接点力が高い接点装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の接点装置は、
長板状であり導電性を有する導電板と、
前記導電板の表面側に露出した状態で前記導電板の長手方向における一端部に取り付けられる可動接点であって、定位置に固定されている固定接点に対して接離する可動接点と、
前記導電板を裏面から支持する支持部を有する受動部材であって、前記固定接点に前記可動接点が接近するように前記支持部が前記導電板を押し操作するように動くように構成される受動部材と、
前記導電板の前記長手方向における前記支持部よりも他端部側を前記表面側から付勢する付勢手段と、を備え、
前記付勢手段による前記導電板の付勢位置と前記支持部による前記導電板の支持位置との間隔が、前記支持部による前記導電板の支持位置と前記可動接点との間隔以上となっている。
【0010】
上記構成の接点装置では、付勢手段が導電板を押し操作する支持部よりも導電板の中央部側を付勢するように構成されているため、支持部が導電板の支点、付勢手段が導電板に外力を加える力点、可動接点が作用点となる。
【0011】
そして、付勢手段による導電板の付勢位置と支持部による導電板の支持位置との間隔が、支持部による導電板の支持位置と可動接点との間隔以上とすることによって、接点力を向上させている。
【0012】
閉じた状態の接点が開いてしまう現象を引き起こす原因は種々存在するが、上記構成の接点装置は、閉じた状態の接点が開いてしまう現象と接点力との関係性に着目し、支点となる支持部、力点となる付勢手段、作用点となる可動接点の位置関係を工夫することによって、従来よりも高い接点力を発揮できるように構成されたものである。
【0013】
また、本発明の接点装置では、
前記支持部は、前記長手方向において前記付勢手段よりも一端側の位置と、前記付勢手段よりも他端側の位置とで前記導電板を支持するように構成される、ようにしてもよい。
【0014】
上記構成の接点装置によれば、受動部材に対して導電板を安定した状態で配置することができる。
【0015】
さらに、本発明の接点装置では、
前記支持部は、
前記導電板の前記一端側の位置に配置される一端側当接部と、
前記導電板の前記他端側の位置に配置される他端側当接部と、を有し、
前記可動接点が前記固定接点に押し当たっている状態で、前記一端側当接部が前記導電板に当接し、且つ前記他端側当接部が前記導電板から離れる、ようにしてもよい。
【0016】
上記構成の接点装置によれば、一端側当接部のみが導電板に当たる状態になるまで受動部材を回動させることができ、その結果、付勢手段による付勢力が分散せずに一端側当接部を介して可動接点を押し当てる力に変換されるため、可動接点と固定接点の接点力が向上する。
【0017】
さらに、本発明の接点装置では、
前記導電板は、板長係合部を有し、
前記受動部材は、前記板長係合部と係合する受長係合部を有し、
前記板長係合部と前記受長係合部とが係合することによって、前記導電板が前記受動部材に対して前記長手方向で位置決めされる、ようにしてもよい。
【0018】
上記構成の接点装置によれば、受動部材に配置された導電板が長手方向において位置決めされる。
【0019】
さらに、本発明の接点装置では、
前記導電板は、板幅係合部を有し、
前記受動部材は、前記板幅係合部と係合する受幅係合部を有し、
前記板幅係合部と前記受幅係合部とが係合することによって、前記導電板が前記受動部材に対して幅方向で位置決めされる、ようにしてもよい。
【0020】
上記構成の接点装置によれば、受動部材に配置された導電板が幅方向において位置決めされる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の接点装置によれば、高い接点力を発揮できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る接点装置を備えた切替開閉器の構成の概要を示すブロック図である。
図2図2は、同実施形態に係る切替開閉器の正面図である。
図3図3は、同実施形態に係る接点装置の斜視図である。
図4図4は、同実施形態に係る接点装置の内部の説明図である。
図5図5は、同実施形態に係る接点装置の受動部材を含む領域の拡大図である。
図6図6は、同実施形態に係る接点装置の導電板を表面側から見た状態の図である。
図7図7は、同実施形態に係る接点装置の導電板を表面側から見た状態の図であって、支点、力点、作用点の位置関係の説明図である。
図8図8は、同実施形態に係る接点装置の第一状態に切り替えられた状態の説明図である。
図9図9は、同実施形態に係る接点装置の第二状態に切り替えられた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態にかかる接点装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
接点装置は、電流経路を開閉するように構成されたものである。本実施形態の接点装置は、2つの電流経路の開閉状態を互い違いに切り替えるように構成されたものである。
【0025】
なお、本実施形態では、接点装置が切替開閉器に組み込まれている場合を一例に挙げて以下の説明を行うこととする。
【0026】
まず、切替開閉器Sは、図1図2に示すように、電流経路を開閉する開閉機構が内装された切替ユニットS10を有する切替本体部S1と、切替本体部(開閉機構)の開閉動作を制御する切替制御部S2と、を有する。
【0027】
本実施形態の切替本体部S1は、3つの切替ユニットS10を有しているが、この切替ユニットS10の一つ一つが接点装置1で構成されている。
【0028】
また、切替ユニットS10は、異なる電気回路系統に接続される3つの端子部を有している。本実施形態では、この3つの端子部が、それぞれ電力系統につながる第一側端子部S100、第一側端子部S100とは別の電力系統につながる第二側端子部S101、電力系統からの電力を受ける負荷系統に繋がる負荷側端子部S102となっている。
【0029】
なお、電力系統とは、商用の電力系統や、分散電源が含まれる電力系統等のことである。
【0030】
接点装置1は、図3に示すように、外装部2と、図4に示すように、開閉可能に構成される開閉回路部3と、開閉回路部3を開閉させるための開閉機構部4と、開閉機構部4を作動させる作動操作部5と、を備えている。
【0031】
本実施形態では、接点装置1が単極双投形のスイッチである場合を一例に挙げて以下の説明を行うこととする。
【0032】
外装部は、一対の外装形成部20を突き合わせて固定することによって構成されている(図2参照)。また、一対の外装形成部20は、互いに突き合わせる方向(以下、突き合せ方向と称する)で対向配置される壁部が外装部2の側壁部200を構成している。
【0033】
開閉回路部3は、外装部2の内部において定位置に固定される固定接点30と、固定接点30と外部の電気回路とを電気的に接続する固定側外部端子部31と、外装部2の内部において固定接点30に接離する可動接点32と、可動接点32と外部の電気回路とを電気的に接続する可動側外部端子部33と、を有する。
【0034】
本実施形態の接点装置1は、上述のように、単極双投形のスイッチであるため、一対の固定接点30と、一対の可動接点32を有する。また、固定接点30の数に合わせて固定側外部端子部31も一対有している。
【0035】
また、本実施形態の接点装置1は切替開閉器Sに組み込まれているため、一方の固定側外部端子部31は第一側端子部S100を構成し、他方の固定側外部端子部31は第二側端子部S101を構成し、可動側外部端子部33は負荷側端子部S102を構成している(図1図2参照)。
【0036】
固定側外部端子部31は、導電性を有する固定側端子本体部310であって、固定接点30が固定される接点側端部3100と、外部の電気回路に繋がる配電材が接続される外側端部3101とを有する固定側端子本体部310と、固定側端子本体部310の外側端部3101に電気回路を固定するための外側固定構造311と、を有する。
【0037】
接点側端部3100と外側端部3101は、外装部2に固定されている。本実施形態の固定側端子本体部310は、板材で構成されているため、接点側端部3100と外側端部3101、接点側端部3100と外側端部3101の間の部分は一体的に形成されている。
【0038】
なお、本実施形態の固定側端子本体部310では、外側端部3101の表面側に配電材が接続され、また、接点側端部3100の裏面側で固定接点30が露出するように構成されている。
【0039】
本実施形態の外側固定構造311は、外側端部3101に配電材をねじ止めするように構成されている。より具体的に説明すると、外側固定構造311は、外側端部3101に形成されている貫通穴に対して、外側端部3101の表側から挿通する端子ねじ3110と、外側端部3101の裏側に配置され、且つ端子ねじ3110を螺合可能なねじ受部3111と、を有する。
【0040】
可動側外部端子部33は、導電性を有する可動側端子本体部330であって、可動接点32が固定される接点側端部3300と、外部の電気回路に繋がる配電材が接続される外側端部3301とを有する可動側端子本体部330と、可動側端子本体部330の外側端部3301に電気回路を固定するための外側固定構造331(図2参照)と、を有する。
【0041】
本実施形態の可動側端子本体部330は、接点側端部3300と外側端部3301とが別体で構成されている。
【0042】
接点側端部3300は、長板状であり導電性を有する導電板によって構成されている。以下、可動側端子本体部330の接点側端部3300は、導電板3300と称する。本実施形態の導電板3300は、略長方形状である。そして、長手方向の両端部(一端部と他端部)に可動接点32が取り付けられており、可動接点32は、導電板3300の表面F1側で露出している。
【0043】
外側端部3301は、導電性を有する板材で構成されている。
【0044】
また、本実施形態の可動側端子本体部330では、別体で構成されている導電板3300と外側端部3301とが接続線3302によって電気的に接続されている。また、接続線3302には、外装部2の内部に配置される内側接続線3302aと、外装部2の外部に配置される外側接続線3302bとが含まれている。そして、外側端部3301は、外側接続線3302bの動きが許容される範囲内で、配置変更が可能となっている。
【0045】
外側固定構造331は、図2に示すように、外側端部3301に配電材をねじ止めするように構成されている。より具体的に説明すると、外側固定構造331は、外側端部3301に形成されている貫通穴に対して、外側端部3301の表側から挿通する端子ねじ3310と、外側端部の裏側に配置され、且つ端子ねじ3310を螺合可能なねじ受部(図示していない)と、を有する。
【0046】
開閉機構部4は、図4に示すように固定接点30に可動接点32が接近するように動く受動部材40と、受動部材40に向けて導電板3300を付勢する付勢手段41と、を有する。
【0047】
受動部材40は、図5に示すように、導電板3300を裏面F2から支持する支持部400と、支持部400の動きを許容した状態で外装部2内で保持する保持構造401と、を有する。
【0048】
支持部400は、導電板3300を載置する載置面4000と、導電板3300の一端側の位置に合わせて配置される一端側当接部4001と、導電板3300の他端側の位置に合わせて配置される他端側当接部4002と、を有する。
【0049】
載置面4000は、導電板3300の形状に合わせて長方形状に形成されている。
【0050】
一端側当接部4001と他端側当接部4002は、それぞれ長手方向における端部を構成している。また、一端側当接部4001と他端側当接部4002は、丸みを帯びた形状になっている。なお、載置面4000の一方の端部は、一端側当接部4001に含まれており、載置面4000の他方の端部は、他端側当接部4002に含まれている。
【0051】
導電板3300の長手方向における長さは、載置面4000の長手方向における長さよりも大きくなっている。そのため、導電板3300は、載置面4000に載置されている状態で、導電板3300自身の長手方向における両端部が載置面4000から外方に延出するように構成されている。
【0052】
さらに、一端側当接部4001は、一方の可動接点32と一方の固定接点30が閉じている状態において、導電板3300の一端側の裏面F2に当接するように構成されており、他端側当接部4002は、他方の可動接点32と他方の固定接点30が閉じている状態において、導電板3300の他端側の裏面F2側に当接するように構成されている。
【0053】
また、本実施形態の受動部材40は、一方の可動接点32と一方の固定接点30が閉じている状態において、一端側当接部4001が導電板3300の一端側の裏面F2に当接し且つ他端側当接部4002が導電板3300の他端側の裏面F2から離れた状態にでき、さらに、他方の可動接点32と他方の固定接点30が閉じている状態においては、一端側当接部4001が導電板3300の一端側の裏面F2から離れ且つ他端側当接部4002が導電板3300の他端側の裏面F2に当接した状態にできるように構成されている。
【0054】
図7に示すように、一方の可動接点32と一方の固定接点30とを接触させる際においては、導電板3300(導電板3300の一端部側)に対して一端側当接部4001が接触する支持位置が支点P1、導電板3300における付勢手段41によって付勢される付勢位置が力点P2、可動接点32(より具体的には、可動接点32の固定接点30と接触する位置)が作用点P3となり、支点P1と力点P2との距離(間隔)D1は、支点P1から作用点P3までの距離(間隔)D2よりも大きくなるように設定されている。
【0055】
また、他方の可動接点32と他方の固定接点30とを接触させる際においても、導電板3300(導電板3300の他端部側)に対して他端側当接部4002が接触する支持位置が支点P1、導電板3300における付勢手段41によって付勢される付勢位置が力点P2、可動接点32(より具体的には、可動接点32の固定接点30と接触する位置)が作用点P3となり、支点P1と力点P2との距離(間隔)D1は、支点P1から作用点P3までの距離(間隔)D2よりも大きくなるように設定されている。
【0056】
保持構造401は、図6に示すように、支持部400に設けられる軸部4010と、外装部2の内部に設けられ、且つ軸部を回転可能に保持する軸受部4011と、を有する。
【0057】
軸部4010は、受動部材40の回動中心となる部分である。軸部4010は、載置面4000よりも面方向前方に配置されていれば、支持部400の回動範囲(揺動範囲)を大きく設定し易くなり、載置面4000よりも面方向後方に配置されていれば、支持部400の回動範囲(揺動範囲)を抑えやすくなる。
【0058】
また、軸部4010は、突き合せ方向における受動部材40の一端側と他端側とに設けられており、軸受部4011は、一方の側壁部200の内面と他方の側壁部200の内面とに設けられている。そして、受動部材40は、軸部4010とともに一対の側壁部200(軸受部4011)に挟み込まれることによって、軸部4010を中心として回動可能(揺動可能)となっている。
【0059】
ここで、本実施形態の接点装置1は、受動部材40に対して導電板3300を位置決めするための位置決構造6を備えている。
【0060】
位置決構造6は、導電板3300を長手方向において位置決する位置決構造(以下、第一位置決構造と称する)60と、導電板3300を長手方向と板面方向に直交する幅方向において位置決めする位置決構造(以下、第二位置決構造と称する)61と、を有する。
【0061】
第一位置決構造60は、導電板3300に形成される板長係合部600と、受動部材40に形成され且つ板長係合部600と係合する受長係合部601と、を有する。板長係合部600と受長係合部601とが導電板3300の長手方向で係合することによって、導電板3300が受動部材40に対して長手方向で位置決めされる。
【0062】
第二位置決構造61は、導電板3300に形成される板幅係合部610を有し、受動部材40に形成される板幅係合部610と係合する受幅係合部611を有する。板幅係合部610と受幅係合部611とが導電板3300の幅方向で係合することによって、導電板3300が受動部材40に対して幅方向で位置決めされる。なお、本実施形態の受幅係合部611は、載置面4000の四隅に立設されており、導電板3300の長辺部と幅方向で係合(当接)するように構成されている。
【0063】
付勢手段41は、図4に示すように、外装部2の内部に配置される圧縮ばねによって構成されている。また、本実施形態の付勢手段は、外装部2内に設けられている収容部410であって、導電板3300に向かって開口する凹部を有するように形成された収容部410内に収容されている。
【0064】
作動操作部5は、外力を受けて回転する従動回転部50と、受動部材40に設けられ、且つ従動回転部50の動きに連動して動く連動部51と、従動回転部50の回転動作を補助する補助付勢部52と、を有する。
【0065】
従動回転部50は、図5に示すように、外装部2に対して回転可能に取り付けられた回転動作部500と、回転動作部500から外方に延出するアーム部501と、を有する。
【0066】
回転動作部500は、外装部2の外側から回転操作可能に構成されており、本実施形態では切替制御部から延出する操作レバーLが挿通されている。本実施形態の操作レバーLは切替制御部S2によって自動的に回転するようになっている。すなわち、本実施形態の接点装置1は自動的に一方の固定接点30と一方の可動接点32の開閉状態と、他方の固定接点30と他方の可動接点32の開閉状態とが自動的に切り替わるように構成されているが、例えば、手動で一方の固定接点30と一方の可動接点32の開閉状態と、他方の固定接点30と他方の可動接点32の開閉状態とを切り替えるように構成することも可能である。
【0067】
連動部51は、受動部材40の裏側(載置面4000の反対側)に設けられている。また、連動部51は、アーム部501と相対回転可能に係合する回転係合部510を有する。本実施形態の回転係合部510は、凹部により構成されており、アーム部501はこの凹部内に係合する軸状に形成されている。
【0068】
補助付勢部52は、受動部材40の裏側に形成され、且つアーム部501に向かって開口する凹部を形成する補助収容部520と、補助収容部520内に配置された状態で、アーム部501を付勢する補助付勢部521と、を有する。補助付勢部521は圧縮ばねによって構成されている。
【0069】
本実施形態に係る接点装置1の構成は、以上の通りである。続いて、接点装置1の動作を説明する。
【0070】
接点装置1は、図8に示すように、一方の固定接点30と一方の可動接点32を閉じ且つ他方の固定接点30と他方の可動接点32を開いた第一状態と、図9に示すように、一方の固定接点30と一方の可動接点32を開き且つ他方の固定接点30と他方の可動接点32を閉じた第二状態とに切替可能である。
【0071】
接点装置1の状態が第一状態から第二状態に切り替わる場合、まず図8の第一状態において、切替制御部S2が操作レバーLを時計回りに回転させ始めると、従動回転部50(回転動作部500及びアーム部501)も同時に時計回りに回転し始める。
【0072】
そして、アーム部501は回転係合部510に係合しているため、受動部材40は軸部4010を中心に反時計回りに回転し始める。このとき、補助付勢部521は回転とともに徐々に押し縮められていき、弾性エネルギーを蓄勢していく。
【0073】
さらに、アーム部501が時計回りに回転し続けると、回転動作部500の回転中心と、アーム部501と補助付勢部521との当接点と、受動部材40の回転中心とが、一直線上に並んだ状態になる。そして、アーム部501と補助付勢部521との当接点が、回転動作部500の回転中心と受動部材40の回転中心に対して一直線上に並ぶ位置を超えると、補助付勢部521に蓄勢された弾性エネルギーが解放されていくとともに、アーム部501が補助付勢部521の弾性エネルギーを受けて第二状態に切り替わるまで回転し続ける。
【0074】
また、接点装置1の状態が第二状態から第一状態に切り替わる場合、まず図9の第二状態において、切替制御部S2が操作レバーLを反時計回りに回転させ始めると、従動回転部50(回転動作部500及びアーム部501)も同時に反時計回りに回転し始める。
【0075】
そして、アーム部501は回転係合部510に係合しているため、受動部材40は軸部4010を中心に時計回りに回転し始める。このとき、補助付勢部521は再び回転とともに徐々に押し縮められていき、弾性エネルギーを蓄勢していく。
【0076】
さらに、アーム部501が反時計回りに回転し続けると、回転動作部500の回転中心と、アーム部501と補助付勢部521との当接点と、受動部材40の回転中心とが、一直線上に並んだ状態になる。そして、アーム部501と補助付勢部521との当接点が、回転動作部500の回転中心と受動部材40の回転中心に対して一直線上に並ぶ位置を超えると、補助付勢部521に蓄勢された弾性エネルギーが解放されていくとともに、アーム部501が補助付勢部521の弾性エネルギーを受けて第一状態に切り替わるまで回転し続ける。
【0077】
なお、第一状態から第二状態においては、一方の固定接点30と一方の可動接点32が開かれると、他方の固定接点30と他方の可動接点32が閉じられるまでの間は、一方の固定接点30と一方の可動接点32も、他方の固定接点30と他方の可動接点32も開かれた状態になる。
【0078】
また、第二状態から第一状態においても、他方の固定接点30と他方の可動接点32が開かれると、一方の固定接点30と一方の可動接点32が閉じられるまでの間は、一方の固定接点30と一方の可動接点32も、他方の固定接点30と他方の可動接点32も開かれた状態になる。
【0079】
そして、第一状態から第二状態に切り替える場合においても、第二状態から第一状態に切り替える場合においても、一方の固定接点30と一方の可動接点32と、他方の固定接点30と他方の可動接点32と開かれた状態になると、導電板の長手方向における中央部の裏側全体が載置面4000に当接する。
【0080】
また、接点装置1では、第二状態から第一状態に切り替わる際においては、一方の固定接点30と一方の可動接点32が閉じたときに、導電板3300の中央部の裏面F2全体が載置面4000に当接した状態になるが、受動部材40がさらに回動することにより、図8に示すように、一端側当接部4001が導電板3300の一端側の裏面F2に当接し、且つ他端側当接部4002が導電板3300の他端側の裏面F2から離れた状態になる。
【0081】
第一状態から第二状態に切り替わる際においても、他方の固定接点30と他方の可動接点32が閉じたときに、導電板3300の中央部の裏面F2全体が載置面4000に当接した状態になるが、受動部材40がさらに回動することにより、図9に示すように、他端側当接部4002が導電板3300の他端側の裏面F2に当接し、且つ一端側当接部4001が導電板3300の他端側の裏面F2から離れた状態になる。
【0082】
以上のように、本実施形態に係る接点装置1によれば、第一状態から第二状態に切り替える場合においては、支点P1と力点P2との距離D1は、支点P1から作用点P3までの距離D2よりも大きくなるように設定されており、第二状態から第一状態に切り替える場合においても、支点P1と力点P2との距離D1は、支点P1から作用点P3までの距離D2よりも大きくなるように設定されているため、一方の固定接点30に対する一方の可動接点32の接点力(一方の固定接点30に一方の可動接点32を押し付ける力)も、他方の固定接点30に対する他方の可動接点32の接点力(他方の固定接点30に他方の可動接点32を押し付ける力)も向上するようになっている。
【0083】
閉じた状態の接点が開いてしまう現象を引き起こす原因は種々存在するが、本実施形態の接点装置1では、閉じた状態の接点が開いてしまう現象と接点力との関係性に着目し、支点P1となる支持部400(一端側当接部4001、他端側当接部4002)、力点P2となる付勢手段41、作用点となる可動接点32の位置関係を工夫することによって、従来よりも高い接点力を発揮できるという優れた効果を奏し得るようになっている。
【0084】
また、支持部400は、導電板3300を付勢手段41よりも一端側の位置と、付勢手段41よりも他端側の位置とで支持するように構成されるため、受動部材40に対して導電板3300を安定した状態で配置することもできる。
【0085】
本実施形態の支持部400は、導電板3300の一端側の位置に配置される一端側当接部4001と、導電板3300の他端側の位置に配置される他端側当接部4002と、を有し、一方の可動接点32と一方の固定接点30が閉じている状態においては、一端側当接部4001が導電板3300の一端側の裏面F2に当接し且つ他端側当接部4002が導電板3300の他端側の裏面F2から離れた状態になり、他方の可動接点32と他方の固定接点30が閉じている状態においては、一端側当接部4001が導電板3300の一端側の裏面F2から離れ且つ他端側当接部4002が導電板3300の他端側の裏面F2に当接した状態になるように構成されているため、第一状態から第二状態に切り替える場合は、他端側当接部4002のみが導電板3300に当たる状態になるまで受動部材40を回動させることができ、第二状態から第一状態に切り替える場合は、一端側当接部4001のみが導電板3300に当たる状態になるまで受動部材40を回動させることができる。その結果、本実施形態の接点装置1では、付勢手段による導電板の付勢力が分散せずに一端側当接部4001を介して一方の可動接点32を一方の固定接点30に押し当てる力や、他端側当接部4002を介して他方の可動接点32を他方の固定接点30に押し当てる力に変換され、接点力が向上するようになっている。
【0086】
また、本実施形態の接点装置1では、導電板3300が載置面4000に載置されている状態においては、板長係合部600と受長係合部601とが係合することによって、導電板3300が受動部材40に対して長手方向で位置決めされ、また、板幅係合部610と受幅係合部611とが係合することによって、導電板3300が受動部材40に対して幅方向で位置決めされるため、載置面4000上での導電板3300の姿勢が安定する。
【0087】
なお、本発明の接点装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0088】
上記実施形態では、接点装置1が切替開閉器S用の接点装置である場合(切替開閉器Sの切替ユニットS10を構成している場合)を一例に挙げて説明を行ったが、この構成に限定されない。例えば、接点装置1は、単体で使用されるものであってもよいし、切替開閉器Sとは別種の機器に組み込まれるものであってもよい。
【0089】
上記実施形態では、接点装置1が単極双投形のスイッチであることを一例に挙げて説明を行ったが、この構成に限定されない。例えば、接点装置は、1単極単投形のスイッチであってもよい。接点装置1を単極単投形のスイッチとする場合は、開閉回路部3が固定接点30、固定側外部端子部31、可動接点32、可動側外部端子部33を1つずつ備えるように構成されていればよい。
【0090】
このように、接点装置は、1つの電流経路を開閉するものであってもよいし、2つの電流経路を互い違いに開閉する(すなわち、電流経路を切り替える)ものであってもよい。
【0091】
上記実施形態では、固定側端子本体部310の全体が板材で構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、固定側端子本体部310は、接点側端部3100と外側端部3101とを板材で構成したうえで、該接点側端部3100と外側端部3101とをリード線で接続してもよい。
【0092】
上記実施形態において、固定側外部端子部31の外側固定構造311は、配電材を外側端部3101にねじ止めするように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、外側固定構造311は、配電材を外側端部3101に対して接触した状態(導通した状態)で固定できれば、クランプ式や、プラグイン式であってもよい。なお、可動側外部端子部33の外側固定構造330も同様である。
【0093】
上記実施形態において、可動側外部端子部33の外側固定構造330は、外装部2から離れた位置に配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、可動側外部端子部33の外側固定構造330は、固定側外部端子部31の外側固定構造311と同様に、外装部2に配置されていてもよい。この場合、接続線3302は、内側接続線3302aのみで構成されていればよい。
【0094】
上記実施形態において、導電板3300は、長手方向における両端部が載置面4000から外側に延出するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、導電板3300は、長手方向における両端部のうちの一方の端部のみが載置面4000から外側に延出するように構成されていてもよい。
【0095】
また、導電板3300の長手方向における両端部のうちの一方の端部のみが載置面4000から外側に延出するように構成する場合は、一端側当接部4001と他端側当接部4002のうちの少なくとも一端側当接部4001が導電板3300の裏面F2に当接するように構成されていればよいし、導電板3300の他方の端部のみが載置面4000から外側に延出するように構成する場合は、一端側当接部4001と他端側当接部4002のうちの少なくとも他端側当接部4002が導電板3300の裏面F2に当接するように構成されていればよい。
【0096】
上記実施形態において、保持構造401は、軸部4010が支持部400に設けられ、軸受部4011が外装部2の内部に設けられていたが、この構成に限定されない。例えば、保持構造401は、軸部4010が外装部2の内部に設けられ、軸受部4011が支持部400に設けられていてもよい。
【0097】
つまり、保持構造401は、軸部4010と、軸部4010を回転可能に保持する軸受部4011と、を備えており、軸部4010又は軸受部4011の一方が支持部400に設けられ、軸部4010又は軸受部4011の他方が外装部2の内部に設けられていればよい。
【0098】
上記実施形態では、2つの位置決構造60,61によって導電板3300を長手方向及び幅方向で受動部材40に対して位置決めしていたが、この構成に限定されない。例えば、1つの位置決構造によって導電板3300を長手方向及び幅方向で受動部材40に対して位置決めしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、互いに係合した状態で相対回転可能に構成されていたアーム部501と回転係合部510のうち、回転係合部510に凹部を形成していたが、この構成に限定されない。アーム部501と回転係合部510は、例えば、係合状態を保ったまま相対回転できるように構成されていれば、例えば、アーム部501に凹部を形成し、補助付勢部521をアーム部501の凹部内に配置するとともに回転係合部510をアーム部501の凹部内に係合するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…接点装置、2…外装部、3…開閉回路部、4…開閉機構部、5…作動操作部、6…位置決構造、20…外装形成部、30…固定接点、31…固定側外部端子部、32…可動接点、33…可動側外部端子部、40…受動部材、40…固定接点、41…付勢手段、50…従動回転部、51…連動部、52…補助付勢部、60…第一位置決構造、61…第二位置決構造、200…側壁部、310…固定側端子本体部、311…外側固定構造、330…可動側端子本体部、331…外側固定構造、400…支持部、401…保持構造、410…収容部、500…回転動作部、501…アーム部、510…回転係合部、520…補助収容部、521…補助付勢部、600…板長係合部、601…受長係合部、610…板幅係合部、611…受幅係合部、3100…接点側端部、3101…外側端部、3111…受部、3300…導電板、3301…外側端部、3302…接続線、3302a…内側接続線、3302b…外側接続線、4000…載置面、4001…一端側当接部、4002…他端側当接部、4010…軸部、4011…軸受部、D1…距離、D2…距離、F1…表面、F2…裏面、L…操作レバー、P1…支点、P2…力点、P3…作用点、S…切替開閉器、S1…切替本体部、S10…切替ユニット、S100…第一側端子部、S101…第二側端子部、S102…負荷側端子部、S2…切替制御部
図1
図2
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