(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189355
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】複層ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20221215BHJP
E06B 3/677 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C03C27/06 101Z
E06B3/677
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097896
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】300088186
【氏名又は名称】株式会社エクセルシャノン
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中澤 結
(72)【発明者】
【氏名】高田 和規
(72)【発明者】
【氏名】吉村 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】内山 雅大
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
【Fターム(参考)】
2E016AA00
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC04
2E016EA01
2E016EA02
2E016FA02
4G061AA25
4G061BA01
4G061CB06
4G061CD02
4G061CD21
(57)【要約】
【課題】ガスが充填される中空層及び真空層を備える複層ガラスにおいて、窓ガラスの断熱性能の向上を図る。
【解決手段】複層ガラス1は、少なくともスペーサ41を介して離隔配置された第1、第2板ガラス3,4と、第2板ガラス4と外周部で真空層封着材47を介して離隔配置された第3板ガラス5と、第1、第2板ガラス3,4の間に形成され、ガスが充填される中空層10と、第2、第3板ガラス4,5の間に形成された真空層30と、中空層10の外周部において、スペーサ41より外周側に設けられた中空層封着材とを含む。第1、第3板ガラス3,5の間で伝熱を行う場合のスペーサ41での熱流束密度を小さくするために、複層ガラス1の見付け方向βについて、真空層封着材47の幅A1と、スペーサ41の厚み方向中央の幅B1と、中空層封着材の厚み方向中央の幅B2との関係を、A1<B1+B2とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともスペーサを介して離隔配置された第1板ガラス及び第2板ガラスと、
前記第2板ガラスと外周部で真空層封着材を介して離隔配置された第3板ガラスと、
前記第1板ガラス及び前記第2板ガラスの間に形成され、ガスが充填される中空層と、
前記第2板ガラス及び前記第3板ガラスの間に形成され、標準大気圧より低圧の真空層と、
前記中空層の外周部において、前記スペーサより外周側に設けられた中空層封着材と、を備える、複層ガラスであって、
前記第1板ガラス及び前記第3板ガラスの間で伝熱を行う場合の前記スペーサでの熱流束密度を小さくするために、前記複層ガラスを厚み方向に見たときの各辺部における辺方向に対し直交する見付け方向について、前記真空層封着材の幅A1と、前記スペーサの厚み方向中央の幅B1と、前記中空層封着材の厚み方向中央の幅B2との関係を、A1<B1+B2とした、
複層ガラス。
【請求項2】
請求項1に記載の複層ガラスにおいて、
前記真空層封着材の前記幅A1は、3mm以上、9mm未満である、
複層ガラス。
【請求項3】
請求項1に記載の複層ガラスにおいて、
前記見付け方向について、前記真空層封着材の内周端は、前記スペーサと前記第2板ガラスとの接触部、または、前記スペーサと前記第3板ガラスとの間に設けられた中空層内周側封着材と前記第2板ガラスとの接触部における内周端より外周端に近い位置にある、
複層ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複層ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ZEH(ゼロエネルギーハウス)化やZEB(ゼロエネルギービル)化の要求に応えるために、断熱性能を著しく高くした窓ガラスの実現が望まれており、その実現のための手段として、2枚の板ガラス間の間隙の圧力を真空層相当の圧力とした真空断熱ガラスを含む複層ガラスを用いることが考えられている。
【0003】
特許文献1には、2枚の板ガラス間にスペーサを挟んで、2枚の板ガラス間の外周部を封着部で封着し、2枚の板ガラス間の間隙を0.1Pa以下に減圧した複層ガラスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
真空断熱ガラスの一方側に間隙を開けて別の板ガラスを配置することで中空層を形成し、その中空層にアルゴンガス、クリプトンガス等の不活性ガスや、乾燥空気等のガスを充填して複層ガラスを形成することが考えられる。しかしながら、この複層ガラスでは、中空層形成のためのスペーサや、真空断熱ガラスの真空層形成のための封着材を通じて伝熱され、その伝熱量が大きくなる可能性がある。これにより、複層ガラスを用いた窓ガラスの断熱性能を向上する面から改良の余地がある。
【0006】
本開示の目的は、ガスが充填される中空層及び真空層を備える複層ガラスにおいて、複層ガラスを備える窓ガラスの断熱性能の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の複層ガラスは、少なくともスペーサを介して離隔配置された第1板ガラス及び第2板ガラスと、第2板ガラスと外周部で真空層封着材を介して離隔配置された第3板ガラスと、第1板ガラス及び第2板ガラスの間に形成され、ガスが充填される中空層と、第2板ガラス及び第3板ガラスの間に形成され、標準大気圧より低圧の真空層と、中空層の外周部において、スペーサより外周側に設けられた中空層封着材と、を備える、複層ガラスであって、第1板ガラス及び第3板ガラスの間で伝熱を行う場合のスペーサでの熱流束密度を小さくするために、複層ガラスを厚み方向に見たときの各辺部における辺方向に対し直交する見付け方向について、真空層封着材の幅A1と、スペーサの厚み方向中央の幅B1と、中空層封着材の厚み方向中央の幅B2との関係を、A1<B1+B2とした、複層ガラスである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る複層ガラスによれば、スペーサと真空層とが複層ガラスの厚み方向に重畳する部分の見付け方向の範囲が大きくなるので、真空層がスペーサに与える伝熱抑制効果が大きくなる。これにより、スペーサでの熱流束密度が小さくなり、複層ガラスの特に外周のエッジ部での線熱貫流率が小さくなることで、複層ガラスを備える窓ガラスの断熱性能の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の複層ガラスを厚み方向に見た図である。
【
図4】真空層封着材の見付け幅、複層ガラスの断熱性能、接着強度、及び封止信頼性の関係を求めたシミュレーション結果を示す図である。
【
図5】比較例の複層ガラスの
図3に対応する図である。
【
図6】実施形態の別例の複層ガラスの
図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料、数値及び個数は、説明のための例示であって、複層ガラスの仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0011】
図1~
図3は、実施形態の複層ガラス1を示している。複層ガラス1は、板ガラス群2と、第1中空層10及び第2中空層11と、真空層30と、第2封着材40とを含んで構成される。板ガラス群2は、4つの板ガラスである第1、第2、第3,第4板ガラス3,4,5,6を含む。各板ガラス3~6は、透明または半透明である。各板ガラス3~6は、矩形平板状で、平坦な表面を有し、かつ所定の厚みを有する。
【0012】
第4板ガラス6は最も室外側に配置され、第3板ガラス5は最も室内側に配置される。第1板ガラス3は、第4板ガラス6と第2板ガラス4との間で、第4板ガラス6の室内側の主面6aと第2板ガラス4の室外側の主面4aに対向するように配置される。第2板ガラス4は、第1板ガラス3と第3板ガラス5との間で、第1板ガラス3の室内側の主面3aと第3板ガラス5の室外側の主面5aに対向するように配置される。複層ガラス1は、枠状の框(図示せず)の内周に組付けられ、窓ガラスを形成する。
【0013】
第4板ガラス6の室内側の主面6a、第1板ガラス3の両側の主面3a、3b、第2板ガラス4の室外側の主面4aには、熱反射膜が設けられてもよい。熱反射膜は、赤外線遮断性を有する金属の薄膜で形成される赤外線反射膜等で構成される。熱反射膜によって熱反射膜を設けた板ガラスでの赤外線の通過を遮断することができる。熱反射膜は、Lo-E膜であってもよい。
【0014】
第1中空層10及び第2中空層11は、それぞれ第1板ガラス3と第2板ガラス4との間、第4板ガラス6と第1板ガラス3との間に形成され、乾燥空気、またはアルゴンガス、クリプトンガス等の不活性ガスが充填される。具体的には、第1板ガラス3及び第2板ガラス4は、スペーサ41及びスペーサ41の厚み方向両側の第1封着材45を介して厚み方向に離隔配置される。スペーサ41は、第1板ガラス3と第2板ガラス4との間の外周部に配置される中空の略矩形枠状部材である。スペーサ41の材質は特に限定しないが、例えばアルミニウムまたはアルミニウムを含む合金等の金属、または樹脂と金属との複合体、または樹脂の表面に金属箔を設けた構成等により所定形状に形成される。スペーサ41には、スペーサ内部空間42と、スペーサ内部空間42を第1板ガラス3及び第2板ガラス4の間でスペーサ41よりも内周側のガス封入空間に通じさせる貫通穴43とが形成される。スペーサ内部空間42には、シリカゲル等の乾燥剤(図示せず)が収容される。これにより、第1中空層10内のガスを乾燥させることができる。スペーサ41を中空とせず、乾燥剤を省略してもよい。
【0015】
第1封着材45は、第1板ガラス3の主面3aとスペーサ41とに粘着して、この主面3aとスペーサ41との間をシールすることにより、第1中空層10内部への水分の浸入を防止する。第1封着材45として、例えばブチルゴムからなる粘着剤を用いることができる。第1封着材45は、中空層内周側封着材に相当する。
【0016】
第2封着材40は、第1中空層10の外周部において、スペーサ41及び第1封着材45より外周側に設けられる。第2封着材40は、第1板ガラス3と第2板ガラス4とに接着され、形状を保持することで第1封着材45の変形を抑制する。第2封着材40として、例えばシリコーン、ウレタン、ポリサルファイド等の樹脂を用いることができる。第2封着材40は、中空層封着材に相当する。
【0017】
第4板ガラス6と第1板ガラス3との間の第2中空層11に配置されるスペーサ41、第1、第2封着材45、40の構成も、第1中空層10に配置されるスペーサ41、第1、第2封着材45,40の構成とそれぞれ同様である。
【0018】
次に、真空層30は、第2板ガラス4と第3板ガラス5との間に形成され、内部が標準大気圧より低圧となっている。具体的には、第2板ガラス4及び第3板ガラス5は、それぞれの主面4b、5aの面方向に沿って点在するように配置された複数の柱状のスペーサ46を介して、厚み方向に離隔配置される。また、第2板ガラス4及び第3板ガラス5は、外周部で、真空層封着材47を介して厚み方向に離隔配置される。そして、複層ガラス1の製造時において、第2板ガラス4と第3板ガラス5との間の内部空間の気体を真空ポンプ(図示せず)によって外部に排出し、内部を減圧することにより、真空層30が形成される。真空層30の真空度は特に限定されないが、0.5気圧等の低真空度、0.01Pa等の高真空度等とすることができる。
【0019】
真空層30内部のスペーサ46は、例えば10~100mmのピッチで配置される。スペーサ46の形状、大きさ、数、及び配置パターンは、特に限定されず、適宜選択することができる。スペーサ46は、例えば樹脂、または金属により形成される。
【0020】
真空層封着材47は、真空層30の外周部の間隙をシールする。真空層封着材47は、ガラス接着剤の加熱及び溶融により形成することができる。ガラス接着剤は、例えば熱溶融性のガラス粉末とバインダとを含んでおり、ガラス接着剤の加熱によってバインダが除去され、ガラス粉末が溶融し、その溶融物で真空層封着材47が形成される構成としてもよい。
【0021】
また、
図3に示すように、第1板ガラス3及び第3板ガラス5の間で伝熱を行う場合の第1中空層10中のスペーサ41での熱流束密度を小さくするために、複層ガラス1を厚み方向αに見たときの各辺部L1、L2、L3、L4における辺方向に対し直交する見付け方向βについて、真空層封着材47の幅A1と、スペーサの厚み方向中央の幅B1と、第2封着材40の厚み方向中央の幅B2との関係を、A1<B1+B2としている。これにより、後述のように窓ガラスの断熱性能の向上を図れる。
【0022】
また、見付け方向βについて、真空層封着材47の内周端48は、スペーサ41と第2板ガラス4との間に設けられた第1封着材45と第2板ガラス4との接触部における内周端E1より外周端E2に近い位置にある。また、真空層封着材47の幅A1は、3mm以上、9mm未満とすることができる。
【0023】
上記の複層ガラス1によれば、複層ガラス1を備える窓ガラスの断熱性能の向上を図れる。具体的には、見付け方向βについて、A1<B1+B2の関係を満たすので、第1中空層10中のスペーサ41と、真空層30とが、複層ガラス1の厚み方向αに重畳する部分の見付け方向の範囲(
図3の矢印γ範囲)が大きくなる。すなわち、スペーサ41の内周端から真空層30における真空層封着材47までの距離が大きくなる。これにより、真空層30がスペーサ41に与える伝熱抑制効果が大きくなる。このため、スペーサ41での熱流束密度が小さくなり、複層ガラス1の特に外周のエッジ部での線熱貫流率が小さくなることにより、複層ガラス1を備える窓ガラスの断熱性能の向上を図れる。
【0024】
また、見付け方向βについて、真空層封着材47の内周端48は、スペーサ41と第2板ガラス4との間に設けられた第1封着材45と第2板ガラス4との接触部における、内周端E1より外周端E2に近い位置にある。これにより、スペーサ41及び第2板ガラス4の間で伝熱体となる第1封着材45の内周端E1から真空層封着材47までの距離が大きくなる。このため、真空層30がスペーサ41に与える伝熱抑制効果がより大きくなるので、窓ガラスの断熱性能のさらなる向上を図れる。
【0025】
本発明者が
図1~
図3の構成と同様の計算モデルを用いて行った熱伝達のシミュレーション結果によると、
図3のC部に相当する、真空層封着材47の内周端48と第3板ガラス5との接触部付近が、断熱性能が最も劣る熱流密度変換点となったが、その熱流密度変換点での熱流束密度を十分に小さくできることを確認できた。また、上記シミュレーション結果により、スペーサ41での熱流束密度を小さくできることも確認できた。
【0026】
そして、真空層封着材47の見付け方向βの幅が6mmの場合に、複層ガラス1が組み付けられる窓ガラスの線熱貫流率のシミュレーション値が、0.033W/(m・K)と小さくなった。また、真空層封着材47の見付け方向βの幅を小さくするほど、線熱貫流率を小さくすることができ、真空層封着材47の見付け方向βの幅が3mmの場合に線熱貫流率は0.031W/(m・K)となった。一方、真空層封着材47の見付け方向の幅が10mmと大きくなった場合には、線熱貫流率が0.041W/(m・K)と大きくなった。
【0027】
また、
図1~
図3の実施形態において、真空層封着材47の幅A1を、3mm以上、9mm未満とする場合には、窓ガラスの断熱性能の向上と、真空層封着材47及び両側の板ガラス4,5の間での接着強度の向上とを高度に両立できる。
【0028】
図4は、真空層封着材47の見付け方向βの幅(見付け幅)A1、複層ガラス1の断熱性能、接着強度、及び封止信頼性の関係を求めたシミュレーション結果を示している。「接着強度」の欄は、真空層封着材47と両側の板ガラス4,5との接着強度を示している。「封止信頼性」の欄は、真空層30における封止信頼性を示している。
図4の表において、二重丸は性能が最高レベルであることを示し、丸は性能または強度が良好であることを示し、三角は、性能または強度において改善が望まれるレベルであることを示している。
図4のシミュレーション結果から真空層封着材47の見付け幅A1が3mm以上、9mm未満の場合には、窓ガラスの断熱性能を十分に高くできると共に、真空層封着材47についての接着強度及び封止信頼性を良好にできることを確認できた。一方、真空層封着材47の見付け幅A1が10mmの場合には、見付け幅A1が9mm以下の場合より断熱性能が低下した。また、真空層封着材47の見付け幅A1が2.5mmの場合には、真空層封着材47についての接着強度及び封止信頼性の改善が望まれるレベルとなった。
【0029】
図5は、比較例の複層ガラス1aの
図3に対応する図である。比較例では、複層ガラス1aの見付け方向について、真空層封着材47の幅A1と、第1中空層10中のスペーサ41の厚み方向中央の幅B1と、第2封着材40の厚み方向中央の幅B2との関係が、A1>B1+B2となっている。このような比較例では、スペーサ41と真空層30との、複層ガラス1aの厚み方向αに重畳する部分が存在しない。このとき、スペーサ41の全体と真空層封着材47とが厚み方向αに重畳するので、スペーサ41の内周端から真空層封着材47までの距離が小さくなる。これにより、真空層30がスペーサ41に与える伝熱抑制効果が小さくなる。このため、スペーサ41での熱流束密度が大きくなり、複層ガラス1aの外周のエッジ部での線熱貫流率も大きくなる。したがって、複層ガラス1aを用いた窓ガラスの断熱性能が、
図1~
図3の実施形態より低くなる。また、比較例では、真空層封着材47の内周端48と第3板ガラス5との接触部付近である
図5のD部が、断熱性能が最も劣る熱流密度変換点となった。また、その熱流密度変換点での熱流束密度は、
図3のC部の熱流密度変換点における熱流束密度より大きくなり、断熱性能が低下する。
【0030】
図6は、実施形態の別例の複層ガラス1bの
図3に対応する図である。本例の構成では、各中空層10,11に、スペーサ41(
図2、
図3)の代わりに、第1封着材の機能を持つ樹脂製のスペーサ50が設けられる。スペーサ50は、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)等の熱可塑性エラストマー製であり、両側の板ガラス3,4,6の主面に接着されている矩形枠状である。各中空層10,11において、スペーサ50より外周側には、第2封着材40が設けられる。
【0031】
なお、本例において、見付け方向βについて、真空層封着材47の内周端48が、スペーサ41と第2板ガラス4との接触部における、内周端F1より外周端F2に近い位置である構成としてもよい。この構成によれば、スペーサ41の内周端F1から真空層封着材47までの距離が大きくなる。このため、真空層30がスペーサ41に与える伝熱抑制効果がより大きくなるので、窓ガラスの断熱性能のさらなる向上を図れる。本例において、その他の構成及び作用は、
図1~
図3の構成と同様である。
【0032】
また、上記の実施形態の各例では、複層ガラス1,1bが、第1~第4板ガラス3~6を含む場合を説明したが、第4板ガラス6を省略して中空層を1つのみとすることもできる。また、複層ガラスにおいて、中空層を3つ以上としたり、真空層を2つ以上とすることもできる。
【符号の説明】
【0033】
1,1a,1b 複層ガラス、2 板ガラス群、3 第1板ガラス、4 第2板ガラス、5 第3板ガラス、6 第4板ガラス、3a,3b,4a,4b,5a,6a 主面、10 第1中空層、11 第2中空層、30 真空層、40 第2封着材、41 スペーサ、42 スペーサ内部空間、43 貫通穴、45 第1封着材、46 スペーサ、47 真空層封着材、48 内周端、50 スペーサ。