(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189363
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】走行制御装置及び走行制御方法
(51)【国際特許分類】
F16H 61/02 20060101AFI20221215BHJP
B60W 30/14 20060101ALI20221215BHJP
F16H 59/44 20060101ALI20221215BHJP
F16H 59/18 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F16H61/02
B60W30/14
F16H59/44
F16H59/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097906
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】森 隆一
(72)【発明者】
【氏名】山田 祥之
(72)【発明者】
【氏名】吉村 達矢
(72)【発明者】
【氏名】堀口 尚志
(72)【発明者】
【氏名】野口 智之
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 史滋
(72)【発明者】
【氏名】岡部 敦
(72)【発明者】
【氏名】清野 聡
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正旭
【テーマコード(参考)】
3D241
3J552
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BA54
3D241BB01
3D241BB06
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3J552MA01
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3J552SA31
3J552SB02
3J552VB01W
3J552VD02W
(57)【要約】
【課題】より適切なタイミングで変速を行うことで余裕駆動力を十分に確保しつつ、変速ショックを低減させる。
【解決手段】走行制御装置1は、走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、変速機5の変速比を制御する。走行制御装置1は、車両の実アクセル開度を取得する実アクセル開度取得部10と、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な目標アクセル開度である最終目標アクセル開度を取得する最終目標アクセル開度取得部11と、車両の車速を取得する車速取得部12と、実アクセル開度と最終目標アクセル開度とのうち大きい方を選択アクセル開度として取得するアクセル開度比較部13と、選択アクセル開度及び車速取得部12により取得された車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとする場合における変速機5の変速比を選択する変速比選択部14と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、変速機の変速比を制御する走行制御装置であって、
前記車両の実アクセル開度を取得する実アクセル開度取得部と、
前記車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な目標アクセル開度である最終目標アクセル開度を取得する最終目標アクセル開度取得部と、
前記車両の車速を取得する車速取得部と、
前記実アクセル開度取得部により取得された前記実アクセル開度と前記最終目標アクセル開度取得部により取得された前記最終目標アクセル開度とのうち大きい方を選択アクセル開度として取得するアクセル開度比較部と、
前記アクセル開度比較部により取得された前記選択アクセル開度及び前記車速取得部により取得された前記車速に基づいて、前記車両が加速又は減速を行おうとする場合における前記変速機の前記変速比を選択する変速比選択部と、を備える、走行制御装置。
【請求項2】
前記変速比選択部は、前記実アクセル開度よりも前記最終目標アクセル開度の方が大きい場合には、前記実アクセル開度にかかわらず、前記選択アクセル開度及び前記車速に基づいて、前記車両が加速又は減速を行おうとするときにおける前記変速機の前記変速比を選択する、請求項1に記載の走行制御装置。
【請求項3】
前記変速比選択部は、前記選択アクセル開度及び前記車速の組合せに応じた前記変速比が予め定められたシフトマップを参照して、前記変速比を選択する、請求項1又は2に記載の走行制御装置。
【請求項4】
前記変速比選択部により選択された前記変速比となるように前記変速機を制御する変速指令を前記変速機に出力する制御指令出力部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の走行制御装置。
【請求項5】
前記最終目標アクセル開度取得部は、前記車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な前記車両の目標加速度である最終目標加速度を取得し、取得した前記最終目標加速度に応じて前記最終目標アクセル開度を取得する、請求項1~4のいずれか一項に記載の走行制御装置。
【請求項6】
前記最終目標アクセル開度取得部は、前記車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な前記車両の目標トルクである最終目標トルクを取得し、取得した前記最終目標トルクに応じて前記最終目標アクセル開度を取得する、請求項1~4のいずれか一項に記載の走行制御装置。
【請求項7】
走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、変速機の変速比を制御する走行制御方法であって、
前記車両の実アクセル開度を取得する実アクセル開度取得ステップと、
前記車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な目標アクセル開度である最終目標アクセル開度を取得する最終目標アクセル開度取得ステップと、
前記車両の車速を取得する車速取得ステップと、
前記実アクセル開度取得ステップにおいて取得された前記実アクセル開度と前記最終目標アクセル開度取得ステップにおいて取得された前記最終目標アクセル開度とのうち大きい方を選択アクセル開度として取得するアクセル開度比較ステップと、
前記アクセル開度比較ステップにおいて取得された前記選択アクセル開度及び前記車速取得ステップにおいて取得された前記車速に基づいて、前記車両が加速又は減速を行おうとする場合における前記変速機の前記変速比を選択する変速比選択ステップと、を備える、走行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、走行制御装置及び走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走行する車両において加速及び減速を自動で行うクルーズコントロール等の技術が知られている。このような技術では、変速機の変速比が自動的に変更される場合がある。例えば特許文献1には、変速機の変速比が自動的に変更される際の変速ショックを低減させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような技術では、車両が加速又は減速を行う場合に、実アクセル開度及び車速に基づいて選択される変速比となるように変速機が制御される。このとき、例えば車両が加速を行う状況において駆動力の観点から要求される程度の実アクセル開度とすると、変速ショックが大きくなりやすい。一方で、変速ショックを低減させるために実アクセル開度に制限(レートリミット)を課した場合には、変速機が制御されてダウンシフトするタイミングが遅くなり、余裕駆動力を十分に確保しにくくなる。
【0005】
そこで、本開示に係る走行制御装置及び走行制御方法は、より適切なタイミングで変速を行うことで余裕駆動力を十分に確保しつつ、変速ショックを低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る走行制御装置(1)は、走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、変速機(5)の変速比を制御する走行制御装置(1)であって、車両の実アクセル開度を取得する実アクセル開度取得部(10)と、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な目標アクセル開度である最終目標アクセル開度を取得する最終目標アクセル開度取得部(11)と、車両の車速を取得する車速取得部(12)と、実アクセル開度取得部(10)により取得された実アクセル開度と最終目標アクセル開度取得部(11)により取得された最終目標アクセル開度とのうち大きい方を選択アクセル開度として取得するアクセル開度比較部(13)と、アクセル開度比較部(13)により取得された選択アクセル開度及び車速取得部(12)により取得された車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとする場合における変速機(5)の変速比を選択する変速比選択部(14)と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る走行制御方法は、走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、変速機(5)の変速比を制御する走行制御方法であって、車両の実アクセル開度を取得する実アクセル開度取得ステップと、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な目標アクセル開度である最終目標アクセル開度を取得する最終目標アクセル開度取得ステップと、車両の車速を取得する車速取得ステップと、実アクセル開度取得ステップにおいて取得された実アクセル開度と最終目標アクセル開度取得ステップにおいて取得された最終目標アクセル開度とのうち大きい方を選択アクセル開度として取得するアクセル開度比較ステップと、アクセル開度比較ステップにおいて取得された選択アクセル開度及び車速取得ステップにおいて取得された車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとする場合における変速機(5)の変速比を選択する変速比選択ステップと、を備える。
【0008】
この走行制御装置(1)及び走行制御方法の少なくともいずれかによれば、走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、車両の現時点での実アクセル開度と、車両が加速又は減速を行う際に最終的に到達すべき最終目標アクセル開度と、のうちの大きい方である選択アクセル開度が取得される。そして、選択アクセル開度と車速に基づいて、現時点での変速機(5)の変速比が選択される。このため、例えば車両が加速を行う状況においては、最終目標アクセル開度に基づいて変速比を選択し得るため、ダウンシフトのタイミングを早めることが可能となり余裕駆動力を確保しやすくなるとともに、初めに変速が完了されるため変速ショックが発生する機会を減らすことができる。また、最終目標アクセル開度が実アクセル開度よりも小さい場合には、現時点での実アクセル開度に基づいて変速比を選択し得る。このため、例えば加速した後に減速するような状況においては、過度なアップシフトを抑制することが可能となり余裕駆動力が不足しにくく、しかも、不要な変速ショックの発生が抑制される。よって、この走行制御装置(1)及び走行制御方法の少なくともいずれかによれば、より適切なタイミングで変速を行うことで余裕駆動力を十分に確保しつつ、変速ショックを低減させることができる。
【0009】
本開示の一態様に係る走行制御装置(1)では、変速比選択部(14)は、実アクセル開度よりも最終目標アクセル開度の方が大きい場合には、実アクセル開度にかかわらず、選択アクセル開度及び車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとする場合における変速機(5)の変速比を選択してもよい。これによれば、例えば車両が加速を行う状況において、最終目標アクセル開度に基づいて変速比を選択し得るため、ダウンシフトのタイミングを早めることが可能となり余裕駆動力を確保しやすくなる。
【0010】
本開示の一態様に係る走行制御装置(1)では、変速比選択部(14)は、選択アクセル開度及び車速の組合せに応じた変速比が予め定められたシフトマップを参照して、変速比を選択してもよい。これによれば、上述した作用及び効果を奏する走行制御装置(1)の一態様を具体的に実現することができる。
【0011】
本開示の一態様に係る走行制御装置(1)は、変速比選択部(14)により選択された変速比となるように変速機(5)を制御する変速指令を変速機(5)に出力する制御指令出力部(15)を備えてもよい。これによれば、選択された変速比となるように変速機(5)を制御することができる。
【0012】
本開示の一態様に係る走行制御装置(1)では、最終目標アクセル開度取得部(11)は、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な車両の目標加速度である最終目標加速度を取得し、取得した最終目標加速度に応じて最終目標アクセル開度を取得してもよい。これによれば、車両の状況に応じた最終目標加速度から最終目標アクセル開度が取得されるため、最終目標アクセル開度を精度良く取得可能となる。
【0013】
本開示の一態様に係る走行制御装置(1)では、最終目標アクセル開度取得部(11)は、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な車両の目標トルクである最終目標トルクを取得し、取得した最終目標トルクに応じて最終目標アクセル開度を取得してもよい。これによれば、車両の状況に応じた最終目標トルクから最終目標アクセル開度が取得されるため、最終目標アクセル開度を精度良く取得可能となる。
【0014】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本開示の一例として示したものであって、本開示を実施形態の態様に限定するものではない。
【発明の効果】
【0015】
このように、本開示に係る走行制御装置及び走行制御方法は、より適切なタイミングで変速を行うことで余裕駆動力を十分に確保しつつ、変速ショックを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る走行制御装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、車両が加速を行う際のシフトマップの一例である。
【
図3】
図3は、車両が減速を行う際のシフトマップの一例である。
【
図4】
図4は、アクセル開度に対する車両の加速度及び変速比の変化を示すタイミングチャートの一例である。
【
図6】
図6は、変形形態に係る走行制御装置において、アクセル開度に対する車両の加速度及び変速比の変化を示すタイミングチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して例示的な実施形態について説明する。なお、各図における同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る走行制御装置1を示すブロック図である。
図1に示される走行制御装置1は、車両に搭載され、走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、変速機5の変速比を制御する装置である。走行制御装置1は、例えば車両が加速を行う状況においては、ダウンシフトのタイミングを早めて余裕駆動力を確保する。一方、走行制御装置1は、例えば車両が加速した後に減速するような状況においては、過度のアップシフトを行わず余裕駆動力の不足を抑制する。本実施形態においては、車両は、ACC(Adaptive Cruise Control:クルーズコントロール)の機能によって加速及び減速を自動で行う。なお、車両は、自動運転の機能によって加速及び減速を自動で行ってもよい。
【0019】
走行制御装置1は、車両に搭載されたACC制御部2、内部センサ3、外部センサ4、及び変速機5との間で通信を行い、各種の情報を授受する。
【0020】
走行制御装置1は、物理的な構成として制御演算装置、記憶装置、及び入出力装置を備えたコンピュータとして構成されている。制御演算装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のコントローラにより構成されたECU(Electronic Control Unit)であり、演算処理を実行するとともに記憶装置及び入出力装置の制御を行う。記憶装置は、例えば主記憶装置及び補助記憶装置を有している。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)により構成されている。また、補助記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)により構成されている。入出力装置は、例えば外部からデータを入力されて記憶装置に送信する入力装置、及び、例えば制御演算部により演算されて記憶装置に記憶された演算結果を外部に出力する出力装置を有している。
【0021】
走行制御装置1は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込み、RAMに読み込まれたプログラムをCPUにより実行することにより、後述する走行制御の処理を実行する。なお、走行制御装置1は、物理的に、上述した構成とは異なる構成を備えていてもよい。
【0022】
ACC制御部2は、ACCの機能を実現させるように車両を制御する。ACC制御部2は、CPU等のコントローラにより構成されたECUである制御演算装置、主記憶装置及び補助記憶装置を含む記憶装置、並びに入力装置及び出力装置を含む入出力装置を備えたコンピュータとして構成されている。ACC制御部2は、内部センサ3及び外部センサ4から入力される情報を用いてACCの機能を実現する。
【0023】
「ACC」とは、例えば、予め設定された車速の範囲内において、車両の加速及び減速を自動で行う機能である。ACCによれば、自車両に対する前走車が存在しない場合には予め設定された条件で定常走行が行われる。一方、前走車が存在する場合には、前走車との車間距離を維持しながら追従走行が行われる。前走車に対する追従走行が行われている場合において前走車が停止したときには、自車両も自動的に停止してもよい。前走車の有無、前走車との車間距離、及び前走車との速度差は、例えばカメラ及びミリ波レーダー等によって検出される。カメラは、後述する撮像装置40と兼用されていてもよい。
【0024】
内部センサ3は、車両の走行時における各種の内部情報を検出する検出装置である。内部センサ3は、例えば、アクセル開度センサ30及び車速センサ31を含んでいる。
【0025】
アクセル開度センサ30は、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)を検出する装置である。アクセル開度センサ30は、アクセルペダルに設けられており、検出した踏込み量に関する情報を走行制御装置1に送信する。
【0026】
車速センサ31は、車両の車速を検出する装置である。車速センサ31は、例えば車輪速センサであってもよい。つまり、走行制御装置1は、車輪速センサにより検出された車輪の回転速度に基づいて車速を算出してもよい。車輪速センサは、車両の駆動系における回転部に設けられ、車輪の回転速度(角速度)を検出する装置である。また、走行制御装置1は、車輪の回転速度に加えて、ヨーレートセンサの値から車速を推定してもよい。車速センサ31は、検出した車速に関する情報を走行制御装置1に送信する。
【0027】
外部センサ4は、車両の外部状況に関する情報を検出する検出装置である。外部センサ4は、例えば、撮像装置40及びGNSS受信機41を含んでいる。
【0028】
撮像装置40は、車両の外部状況を撮像する装置であり、例えばカメラである。撮像装置40は、車両の前方を撮像可能な位置に設けられている。撮像装置40は、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。撮像装置40は、撮像した画像に関する情報を走行制御装置1に送信する。
【0029】
GNSS受信機41は、車両に搭載され、複数のGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から信号を受信する。GNSS受信機41は、受信した信号に基づいて、当該GNSS受信機41の位置を算出する。GNSS受信機は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機であってもよい。GNSS受信機41は、算出した位置に関する情報を走行制御装置1に送信する。
【0030】
変速機5は、有段自動変速機(ステップAT)である。変速機5は、予め決められた複数の変速比のいずれかを選択可能である。つまり、走行制御装置1は、変速機5の変速段を変更させることによって、変速機5の変速比を制御する。変速機5は、シフトマップにより予め定められた変速段を選択する。シフトマップは、車速とアクセル開度とに基づいて選択される変速段を定めたマップである(
図2参照)。変速機5は、変速機制御部50を備えている。
【0031】
変速機制御部50は、変速機5の変速動作を制御する。変速機制御部50は、CPU等のコントローラにより構成されたECUである制御演算装置、主記憶装置及び補助記憶装置を含む記憶装置、並びに入力装置及び出力装置を含む入出力装置を備えたコンピュータとして構成されている。変速機制御部50は、変速機5の変速動作を制御する変速指令が走行制御装置1から入力されると、当該変速指令により指定された変速比となるように変速機5を制御する。
【0032】
次に、走行制御装置1の機能的な構成について説明する。走行制御装置1は、実アクセル開度取得部10、最終目標アクセル開度取得部11、車速取得部12、アクセル開度比較部13、変速比選択部14、及び制御指令出力部15を備えている。
【0033】
実アクセル開度取得部10は、車両の実アクセル開度を取得する。「実アクセル開度」とは、車両の現時点での実際のアクセル開度である。実アクセル開度取得部10は、例えばアクセル開度センサ30から入力されるアクセルペダルの踏込み量に関する情報に基づいて、実アクセル開度を取得する。
【0034】
最終目標アクセル開度取得部11は、車両の最終目標アクセル開度を取得する。「最終目標アクセル開度」とは、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な目標アクセル開度である。最終目標アクセル開度は、ACC制御部2により算出され、ACC制御部2から最終目標アクセル開度取得部11に入力される。
【0035】
例えば車両が加速を行う状況においては、一般にアクセル開度は徐々に増大していくことが想定される。この場合、アクセル開度が増大していき、最終的に到達すると推定されるアクセル開度が、最終目標アクセル開度とされる。なお、「最終的」とは、アクセル開度が極大となったときを意味してもよく、所定時間後を意味してもよく、あるいは、これら以外の所定の条件を満たしたときを意味してもよい。
【0036】
また、例えば車両が加速した後に減速するような状況においては、一般にアクセル開度は徐々に増大した後で、減少に転じることが想定される。その後、減少に転じたアクセル開度は、当初のアクセル開度よりも小さくなる場合がある。この場合、当初のアクセル開度よりも小さくなって、最終的に到達すると推定されるアクセル開度が、最終目標アクセル開度とされる。なお、「最終的」とは、アクセル開度が極小となったときを意味してもよく、所定時間後を意味してもよく、あるいは、これら以外の所定の条件を満たしたときを意味してもよい。
【0037】
最終目標アクセル開度取得部11は、例えば内部センサ3及び外部センサ4から入力される情報を用いて最終目標アクセル開度を推定してもよい。また、最終目標アクセル開度取得部11は、車両の進路における地図情報に基づいて、最終目標アクセル開度を推定してもよい。より詳細には、最終目標アクセル開度取得部11は、内部センサ3及び外部センサ4により検出された情報、並びに、車両の進路における地図情報に基づいてACC制御部2により算出された走行計画に基づいて、最終目標アクセル開度を取得してもよい。
【0038】
例えば、最終目標アクセル開度取得部11は、車両の最終目標加速度を取得し、取得した最終目標加速度に応じて最終目標アクセル開度を取得してもよい。つまり、最終目標アクセル開度取得部11は、最終目標加速度を実現するアクセル開度として、最終目標アクセル開度を取得してもよい。最終目標アクセル開度取得部11は、最終目標加速度と最終目標アクセル開度とを対応づけるマップ又は換算式を記憶しており、当該マップ又は換算式を用いて、最終目標加速度から最終目標アクセル開度を取得してもよい。
【0039】
「最終目標加速度」とは、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な車両の目標加速度である。最終目標アクセル開度取得部11は、例えば内部センサ3及び外部センサ4から入力される情報を用いて最終目標加速度を推定してもよい。また、最終目標アクセル開度取得部11は、車両の進路における地図情報に基づいて、最終目標加速度を推定してもよい。より詳細には、最終目標アクセル開度取得部11は、内部センサ3及び外部センサ4により検出された情報、並びに、車両の進路における地図情報に基づいてACC制御部2により算出された走行計画に基づいて、最終目標加速度を取得してもよい。地図情報については、最終目標アクセル開度取得部11が予め記憶していてもよく、あるいは、ネットワークを介して外部サーバから取得してもよい。
【0040】
あるいは、最終目標アクセル開度取得部11は、車両の最終目標トルクを取得し、取得した最終目標トルクに応じて最終目標アクセル開度を取得してもよい。つまり、最終目標アクセル開度取得部11は、最終目標トルクを実現するアクセル開度として、最終目標アクセル開度を取得してもよい。最終目標アクセル開度取得部11は、最終目標トルクと最終目標アクセル開度とを対応づけるマップ又は換算式を記憶しており、当該マップ又は換算式を用いて、最終目標トルクから最終目標アクセル開度を取得してもよい。
【0041】
「最終目標トルク」とは、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な車両の目標トルクである。最終目標アクセル開度取得部11は、例えば内部センサ3及び外部センサ4から入力される情報を用いて最終目標トルクを推定してもよい。また、最終目標アクセル開度取得部11は、車両の進路における地図情報に基づいて、最終目標トルクを推定してもよい。より詳細には、最終目標アクセル開度取得部11は、内部センサ3及び外部センサ4により検出された情報、並びに、車両の進路における地図情報に基づいてACC制御部2により算出された走行計画に基づいて、最終目標トルクを取得してもよい。地図情報については、最終目標アクセル開度取得部11が予め記憶していてもよく、あるいは、ネットワークを介して外部サーバから取得してもよい。
【0042】
車速取得部12は、車両の車速(すなわち、現時点での車両の走行速度)を取得する。車速取得部12は、車速センサ31により検出された車速に関する情報を当該車速センサ31から受信することにより、車速を取得してもよい。
【0043】
アクセル開度比較部13は、実アクセル開度取得部10により取得された実アクセル開度と最終目標アクセル開度取得部11により取得された最終目標アクセル開度との大小関係を比較する。アクセル開度比較部13は、実アクセル開度と最終目標アクセル開度とのうち大きい方を選択アクセル開度として取得する。「選択アクセル開度」とは、実アクセル開度と最終目標アクセル開度とのうち大きい方のアクセル開度であり、走行制御装置1による走行制御において、変速比を選択する際に参照されるアクセル開度である。
【0044】
変速比選択部14は、変速機5の変速比を選択する。変速比選択部14は、通常時においては、例えば実アクセル開度取得部10により取得された実アクセル開度、及び、車速取得部12により取得された車速に基づいて、変速機5の変速比を選択する。「通常時」とは、走行制御装置1により走行制御が実行されていないときを意味している。例えば、通常時とは、車両が加速も減速も行おうとしていないときであってもよく、車両が所定値未満の加速度又は減速度にて加速又は減速を行おうとしているときであってもよい。
【0045】
変速比選択部14は、車両が加速又は減速を行おうとする場合(あるいは、所定値以上の加速度又は減速度にて加速又は減速を行おうとする場合)においては、変速機5の変速比を取得するに際して、実アクセル開度に代えて選択アクセル開度を用いる。つまり、変速比選択部14は、アクセル開度比較部13により取得された選択アクセル開度、及び、車速取得部12により取得された車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとする場合における変速機5の変速比を選択する。
【0046】
具体的には、変速比選択部14は、実アクセル開度よりも最終目標アクセル開度の方が大きい場合には、実アクセル開度にかかわらず、選択アクセル開度及び車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとするときにおける変速機5の変速比を選択する。一方、変速比選択部14は、最終目標アクセル開度よりも実アクセル開度の方が大きい場合には、最終目標アクセル開度にかかわらず、実アクセル開度及び車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとするときにおける変速機5の変速比を選択する。
【0047】
変速比選択部14は、シフトマップを参照して、変速機5の変速比を選択する。シフトマップは、例えば車速とアクセル開度との組合せに対して選択される変速比を指定する。変速比選択部14は、例えば選択アクセル開度及び車速の組合せに応じた変速比が予め定められたシフトマップを参照して、変速比を選択する。
【0048】
変速比選択部14は、通常時において参照するシフトマップと同一のシフトマップを、車両が加速又は減速を行おうとする場合にも参照してもよい。つまり、変速比選択部14は、通常時には、アクセル開度として実アクセル開度を用いて特定のシフトマップを参照することで変速比を選択しており、車両が加速又は減速を行おうとする場合には、アクセル開度として選択アクセル開度を用いて当該特定のシフトマップを参照することで変速比を選択してもよい。このことについて、
図2及び
図3を用いて説明する。
【0049】
まず、車両が加速を行う状況について説明する。
図2は、車両が加速を行う際のシフトマップの一例である。
図2に示されるシフトマップでは、横軸に車速、縦軸にアクセル開度(AP)が示されている。また、
図2には、車速とアクセル開度との組合せに応じて変速段が変更(シフトチェンジ)されるべき変速線が示されている。具体的には、左側から順に、1速と2速とを変速すべき変速線、2速と3速とを変速すべき変速線、及び3速と4速とを変速すべき変速線が示されている。
【0050】
図2に示される上向きの矢印A1の下端A1bは、通常時において、アクセル開度として現時点での実アクセル開度を用いた場合のシフトマップ上での位置を示している。ここで、車両が加速を行おうとすると、最終目標アクセル開度が取得される。そして、その最終目標アクセル開度が実アクセル開度と比較されて、最終目標アクセル開度の方が大きいと判定されると、当該最終目標アクセル開度が選択アクセル開度として取得される。
図2に示される上向きの矢印A1の上端A1tは、アクセル開度として選択アクセル開度(この場合には、最終目標アクセル開度)を用いた場合のシフトマップ上での位置となっている。したがって、変速機5の変速比は、矢印A1の下端A1bの位置から上端A1tの位置に変速状態を推移することとなる。
【0051】
次に、車両が加速した後に減速するような状況について説明する。
図3は、車両が減速を行う際のシフトマップの一例である。
図3に示されるシフトマップは、
図2に示されるシフトマップと同様である。
【0052】
図3に示される下向きの矢印A2の上端A2tは、通常時において、アクセル開度として現時点での実アクセル開度を用いた場合のシフトマップ上での位置を示している。ここで、車両が加速した後に減速を行おうとすると、最終目標アクセル開度が取得される。そして、その最終目標アクセル開度が実アクセル開度と比較されて、実アクセル開度の方が大きいと判定されると、当該実アクセル開度が選択アクセル開度として取得される。
図3に示される下向きの矢印A2の下端A2bは、アクセル開度として最終目標アクセル開度を用いた場合のシフトマップ上での位置となっている。ここでは選択アクセル開度として最終目標アクセル開度は用いられていないため、現時点では、変速機5の変速比は、矢印A2の上端A2tの位置から下端A2bの位置に変速状態を推移しない(つまり、矢印A2の上端A2tの位置に維持される。)。なお、この後に減速して実アクセル開度(すなわち、選択アクセル開度)が減少するにつれて、変速機5の変速比は、矢印A2の上端A2tの位置から下端A2bの位置に変速状態を推移していくこととなる。
【0053】
図1に戻り、制御指令出力部15は、変速指令を変速機5に出力する。「変速指令」とは、変速機5の変速比を所定値とするように変速機5を制御する指令(情報)である。具体的には、変速指令は、変速比選択部14により選択された変速比となるように変速機5を制御する指令である。変速指令を入力された変速機5(変速機制御部50)は、当該変速指令により指定された変速比になるように変速を行う。ここでは変速機5はステップATであることから、変速指令を入力された変速機5は、当該変速指令により指定された変速比に対応する変速段となるように変速を行う。
【0054】
走行制御装置1により実行される走行制御の全体の流れについて、タイミングチャートに沿って説明する。
図4は、アクセル開度に対する車両の加速度及び変速比の変化を示すタイミングチャートの一例である。
図4のタイミングチャートには、上から順に、ACC要求G、G、AP、及び変速比が示されている。「ACC要求G」は、状況に応じてACC制御部2により要求される車両の目標加速度である。「G」は、実際に車両に生じる加速度である。「AP」は、制御に用いられるアクセル開度である。「変速比」は、変速機5の変速比である。
図4においては、走行制御装置1による走行制御が実行された場合が実線で示されており、ACC要求Gに対して制限(レートリミット)を課した制御が実行された場合が破線で示されている。
【0055】
期間P1における破線に着目すると、ACC要求Gに対して制限(レートリミット)が課された加速度に対応する実アクセル開度とされた場合には、実アクセル開度がAPの破線に沿って徐々に増大していくのに伴い、変速機5の変速比(変速比)も徐々に減少していく(徐々にダウンシフトされていく。)。このため、ダウンシフトのタイミングが遅くなり余裕駆動力が十分に確保されないため、実際に車両に生じる加速度(G)の増大が比較的遅くなっている。また、変速機5がダウンシフトを行う度に変速ショックが発生している。なお、その後、ACC要求Gが減少してAPも減少すると、変速機5は解除アップシフトとして変速比を増大させる。
【0056】
これに対して、期間P2における実線に着目すると、走行制御装置1による走行制御が実行された場合には、実アクセル開度がAPの破線に沿って徐々に増大していくのにかかわらず、変速機5の変速比(変速比)はAPの実線を基準として一気に変速される(最終的な変速比まで最初にダウンシフトされる。)。このため、ダウンシフトのタイミングが早くなり余裕駆動力が十分に確保されるため、実際に車両に生じる加速度(G)は比較的早く増大している。また、変速機5は最初に最終的な変速段までダウンシフトするため、その後には変速ショックが発生していない。なお、その後、ACC要求Gが減少してAPも減少すると、変速機5は解除アップシフトとして変速比を増大させる。このとき、ACC要求Gに対して制限(レートリミット)が課されている場合と比較して、APが早く減少するため解除アップシフトのタイミングも早くなっている。
【0057】
[走行制御]
走行制御装置1により実行される走行制御について説明する。
図5は、走行制御のフローチャートである。
図5に示される走行制御は、走行制御装置1により実行される走行制御方法を実現する制御である。「走行制御方法」とは、走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、変速機5の変速比を制御する方法である。特に、走行制御は、例えば車両が加速を行う状況においては、ダウンシフトのタイミングを早めて余裕駆動力を確保する制御である。一方、走行制御は、例えば車両が加速した後に減速するような状況においては、過度のアップシフトを抑制して余裕駆動力の不足を抑制する制御である。
【0058】
ステップS10において、走行制御装置1の車速取得部12は、車両の車速を取得する(車速取得ステップ)。具体的には、車速取得部12は、車速センサ31により検出された車速に関する情報を当該車速センサ31から受信することにより、車速を取得する。その後、走行制御はステップS12に移行する。
【0059】
ステップS12において、走行制御装置1の実アクセル開度取得部10は、車両の実アクセル開度を取得する(実アクセル開度取得ステップ)。具体的には、実アクセル開度取得部10は、アクセル開度センサ30から入力されるアクセルペダルの踏込み量に関する情報に基づいて、実アクセル開度を取得する。その後、走行制御はステップS14に移行する。
【0060】
ステップS14において、走行制御装置1の最終目標アクセル開度取得部11は、車両の最終目標加速度を取得する。より詳細には、最終目標アクセル開度取得部11は、内部センサ3及び外部センサ4により検出された情報、並びに、車両の進路における地図情報に基づいてACC制御部2により算出された走行計画に基づいて、最終目標加速度を取得する。その後、走行制御はステップS16に移行する。
【0061】
ステップS16において、走行制御装置1の最終目標アクセル開度取得部11は、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な目標アクセル開度である最終目標アクセル開度を取得する(最終目標アクセル開度取得ステップ)。例えば、最終目標アクセル開度取得部11は、最終目標加速度を実現するアクセル開度として、最終目標アクセル開度を取得する。最終目標アクセル開度取得部11は、最終目標加速度と最終目標アクセル開度とを対応づけるマップ又は換算式を記憶しており、当該マップ又は換算式を用いて、最終目標加速度から最終目標アクセル開度を取得する。その後、走行制御はステップS18に移行する。
【0062】
ステップS18において、走行制御装置1のアクセル開度比較部13は、実アクセル開度取得部10により取得された実アクセル開度と最終目標アクセル開度取得部11により取得された最終目標アクセル開度との大小関係を比較する。換言すると、アクセル開度比較部13は、最終目標アクセル開度が実アクセル開度よりも大きいか否かを判定する。最終目標アクセル開度が実アクセル開度よりも大きいと判定された場合(ステップS18:YES)、走行制御はステップS20に移行する。一方、最終目標アクセル開度が実アクセル開度よりも大きいと判定されなかった場合(ステップS18:NO)、走行制御はステップS22に移行する。
【0063】
ステップS20において、走行制御装置1のアクセル開度比較部13は、実アクセル開度と最終目標アクセル開度とのうち大きい方(すなわち、ここでは最終目標アクセル開度)を選択アクセル開度として取得する(アクセル開度比較ステップ)。その後、走行制御はステップS24に移行する。
【0064】
ステップS22において、走行制御装置1のアクセル開度比較部13は、実アクセル開度と最終目標アクセル開度とのうち大きい方(すなわち、ここでは実アクセル開度)を選択アクセル開度として取得する(アクセル開度比較ステップ)。その後、走行制御はステップS24に移行する。
【0065】
ステップS24において、走行制御装置1の変速比選択部14は、アクセル開度比較ステップにおいて取得された選択アクセル開度及び車速取得ステップにおいて取得された車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとする場合における変速機5の変速比を選択する(変速比選択ステップ)。具体的には、変速比選択部14は、実アクセル開度よりも最終目標アクセル開度の方が大きい場合(ステップS20から遷移してきた場合)には、実アクセル開度にかかわらず、選択アクセル開度及び車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとするときにおける変速機5の変速比を選択する。一方、変速比選択部14は、最終目標アクセル開度よりも実アクセル開度の方が大きい場合(ステップS22から遷移してきた場合)には、最終目標アクセル開度にかかわらず、実アクセル開度及び車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとするときにおける変速機5の変速比を選択する。変速比選択部14は、シフトマップを参照して、変速機5の変速比を選択する。その後、走行制御はステップS26に移行する。
【0066】
ステップS26において、走行制御装置1の制御指令出力部15は、変速比選択部14により選択された変速比となるように変速機5を制御する指令である変速指令を変速機5に出力する(変速指令出力ステップ)。変速指令を入力された変速機5(変速機制御部50)は、当該変速指令により指定された変速比になるように変速を行う。ここでは変速機5はステップATであることから、変速指令を入力された変速機5は、当該変速指令により指定された変速比に対応する変速段となるように変速を行う。以上により、走行制御は終了する。
【0067】
[作用及び効果]
以上説明したように、走行制御装置1は、走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、変速機5の変速比を制御する走行制御装置1であって、車両の実アクセル開度を取得する実アクセル開度取得部10と、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な目標アクセル開度である最終目標アクセル開度を取得する最終目標アクセル開度取得部11と、車両の車速を取得する車速取得部12と、実アクセル開度取得部10により取得された実アクセル開度と最終目標アクセル開度取得部11により取得された最終目標アクセル開度とのうち大きい方を選択アクセル開度として取得するアクセル開度比較部13と、アクセル開度比較部13により取得された選択アクセル開度及び車速取得部12により取得された車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとする場合における変速機5の変速比を選択する変速比選択部14と、を備えている。
【0068】
走行制御方法は、走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、変速機5の変速比を制御する走行制御方法であって、車両の実アクセル開度を取得する実アクセル開度取得ステップと、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な目標アクセル開度である最終目標アクセル開度を取得する最終目標アクセル開度取得ステップと、車両の車速を取得する車速取得ステップと、実アクセル開度取得ステップにおいて取得された実アクセル開度と最終目標アクセル開度取得ステップにおいて取得された最終目標アクセル開度とのうち大きい方を選択アクセル開度として取得するアクセル開度比較ステップと、アクセル開度比較ステップにおいて取得された選択アクセル開度及び車速取得ステップにおいて取得された車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとする場合における変速機5の変速比を選択する変速比選択ステップと、を備えている。
【0069】
走行制御装置1及び走行制御方法の少なくともいずれかによれば、走行する車両において加速及び減速が自動で行われる際に、車両の現時点での実アクセル開度と、車両が加速又は減速を行う際に最終的に到達すべき最終目標アクセル開度と、のうちの大きい方である選択アクセル開度が取得される。そして、選択アクセル開度と車速に基づいて、現時点での変速機5の変速比が選択される。このため、例えば車両が加速を行う状況においては、最終目標アクセル開度に基づいて変速比を選択し得るため、ダウンシフトのタイミングを早めることが可能となり余裕駆動力を確保しやすくなるとともに、初めに変速が完了されるため変速ショックが発生する機会を減らすことができる。また、最終目標アクセル開度が実アクセル開度よりも小さい場合には、現時点での実アクセル開度に基づいて変速比を選択し得る。このため、例えば加速した後に減速するような状況においては、過度なアップシフトを抑制することが可能となり余裕駆動力が不足しにくく、しかも、不要な変速ショックの発生が抑制される。よって、この走行制御装置1及び走行制御方法の少なくともいずれかによれば、より適切なタイミングで変速を行うことで余裕駆動力を十分に確保しつつ、変速ショックを低減させることができる。
【0070】
走行制御装置1では、変速比選択部14は、実アクセル開度よりも最終目標アクセル開度の方が大きい場合には、実アクセル開度にかかわらず、選択アクセル開度及び車速に基づいて、車両が加速又は減速を行おうとするときにおける変速機5の変速比を選択する。これによれば、例えば車両が加速を行う状況において、最終目標アクセル開度に基づいて変速比を選択し得るため、ダウンシフトのタイミングを早めることが可能となり余裕駆動力を確保しやすくなる。
【0071】
走行制御装置1では、変速比選択部14は、選択アクセル開度及び車速の組合せに応じた変速比が予め定められたシフトマップを参照して、変速比を選択する。これによれば、上述した作用及び効果を奏する走行制御装置1の一態様を具体的に実現することができる。
【0072】
走行制御装置1は、変速比選択部14により選択された変速比となるように変速機5を制御する変速指令を変速機5に出力する制御指令出力部15を備えている。これによれば、選択された変速比となるように変速機5を制御することができる。
【0073】
走行制御装置1では、最終目標アクセル開度取得部11は、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な車両の目標加速度である最終目標加速度を取得し、取得した最終目標加速度に応じて最終目標アクセル開度を取得する。これによれば、車両の状況に応じた最終目標加速度から最終目標アクセル開度が取得されるため、最終目標アクセル開度を精度良く取得可能となる。
【0074】
走行制御装置1では、最終目標アクセル開度取得部11は、車両が加速又は減速を行おうとする場合における最終的な車両の目標トルクである最終目標トルクを取得し、取得した最終目標トルクに応じて最終目標アクセル開度を取得する。これによれば、車両の状況に応じた最終目標トルクから最終目標アクセル開度が取得されるため、最終目標アクセル開度を精度良く取得可能となる。
【0075】
[変形形態]
上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて変更又は改良が施された様々な形態により実施可能である。
【0076】
例えば、上述した実施形態に記載されている個々の構成の一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
【0077】
また、上述した実施形態において、変速機5は、有段自動変速機(ステップAT)であり、予め決められた複数の変速比のいずれかを選択可能である。しかし、変速機5は、無段変速機(例えば、CVT)であってもよい。この場合、変速機5は、連続的な所定範囲内の変速比のいずれかを選択可能であってもよい。つまり、走行制御装置1は、変速機5の変速比を連続的に制御可能であってもよい。この場合のシフトマップは、車速とアクセル開度とに基づいて選択される変速比を定めたマップであり、変速比は連続的に分布している。
【0078】
図6は、変形形態に係る走行制御装置1において、アクセル開度に対する車両の加速度及び変速比の変化を示すタイミングチャートの一例である。
図6は、変速機5としてステップATに代えてCVTが採用された場合のタイミングチャートである。変形形態に係る
図6のタイミングチャートは、上述した実施形態における
図4のタイミングチャートと比較して、変速機5の変速比(変速比)が連続的に変化しており、また、これにより実際に車両に生じる加速度(G)が連続的に増大している点で相違している。これ以外の点では上述した実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0079】
1 走行制御装置
2 ACC制御部
3 内部センサ
4 外部センサ
5 変速機
10 実アクセル開度取得部
11 最終目標アクセル開度取得部
12 車速取得部
13 アクセル開度比較部
14 変速比選択部
15 制御指令出力部
30 アクセル開度センサ
31 車速センサ
40 撮像装置
41 GNSS受信機
50 変速機制御部