(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189377
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】予測モデル構築装置及び需要予測装置
(51)【国際特許分類】
G06F 16/28 20190101AFI20221215BHJP
G06Q 10/04 20120101ALI20221215BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20221215BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20221215BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20221215BHJP
【FI】
G06F16/28
G06Q10/04
G06Q30/06 350
G06Q50/30
G06Q30/02 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097926
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】三村 知洋
(72)【発明者】
【氏名】川崎 仁嗣
(72)【発明者】
【氏名】石黒 慎
(72)【発明者】
【氏名】石川 周
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175FB04
5L049AA04
5L049BB04
5L049BB68
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】 シェアリング交通サービスにおける車両の需要予測の精度を向上させること。
【解決手段】 シェアリング交通サービスにおいて車両の貸出及び返却の需要を予測するための予測モデルを構築する予測モデル構築装置は、複数のポートのそれぞれの特徴量を生成する生成部と、特徴量に基づいて、複数のポートをクラスタリングする分類部と、予測対象のポートである対象ポートと同一のクラスタに属するポートにおける需要に関する実績データに基づいて、予測モデルを学習させる学習部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェアリング交通サービスにおいて車両の貸出及び返却の需要を予測するための予測モデルを構築する予測モデル構築装置であって、
複数のポートのそれぞれの特徴量を生成する生成部と、
前記特徴量に基づいて、複数のポートをクラスタリングする分類部と、
予測対象のポートである対象ポートと同一のクラスタに属するポートにおける前記需要に関する実績データに基づいて、前記予測モデルを学習させる学習部と、
を備える、予測モデル構築装置。
【請求項2】
前記学習部は、前記実績データを用いたメタラーニングによって、前記予測モデルを学習させる、請求項1に記載の予測モデル構築装置。
【請求項3】
前記複数のポートのそれぞれは、複数のエリアのうちのいずれかのエリアに属し、
前記学習部は、エリアごとに前記予測モデルを学習させる、請求項2に記載の予測モデル構築装置。
【請求項4】
前記学習部は、ポアソン分布に従う誤差関数を前記予測モデルの誤差関数として用いる、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の予測モデル構築装置。
【請求項5】
シェアリング交通サービスにおいて車両の貸出及び返却の需要を予測する需要予測装置であって、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の予測モデル構築装置と、
前記予測モデルを用いて前記対象ポートにおける前記需要を予測する予測部と、
を備える、需要予測装置。
【請求項6】
前記予測部は、前記対象ポートにおける過去の実績データ及び統計データと、前記対象ポートにおける前記需要を予測する対象となる対象時刻の統計データと、を前記予測モデルに入力することによって、前記需要の予測結果を得る、請求項5に記載の需要予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、予測モデル構築装置及び需要予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自転車等の車両を複数のユーザが共同で使用するシェアリング交通サービスの利用者数が増加している。シェアリング交通サービスでは、各ユーザは、所望のポートから車両を借り、所望のポートに車両を返却する。各ポートにおいて、貸し出される車両の台数と、返却される車両の台数とは、必ずしも一致しないので、ポートに駐車されている車両の台数に偏りが生じ得る。この場合、車両の台数が多いポートから、車両の台数が少ないポートに、車両が再配置される。
【0003】
したがって、各ポートにおける車両の需要を精度良く予測することが求められる。特許文献1には、時間帯及び天候等のパラメータと、実際に利用があった地点の履歴情報と、を入力として用いて機械学習を行い、需要予測を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、地方都市ではシェアリング交通サービスの利用者がそれほど多くないので、大都市と比較して十分な数の実績データが得られない。シェアリング交通サービスの利用者数が急増しており、シェアリング交通サービスの利用傾向が経時的に変化している。したがって、過去の利用傾向は現在の利用傾向とは異なることがあるので、過去の実績データを需要予測に用いることができない場合がある。このような事情から、需要予測に適した実績データが不足し、需要予測の精度が低下するおそれがある。
【0006】
本開示は、シェアリング交通サービスにおける車両の需要予測の精度を向上可能な予測モデル構築装置及び需要予測装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る予測モデル構築装置は、シェアリング交通サービスにおいて車両の貸出及び返却の需要を予測するための予測モデルを構築する装置である。この予測モデル構築装置は、複数のポートのそれぞれの特徴量を生成する生成部と、特徴量に基づいて、複数のポートをクラスタリングする分類部と、予測対象のポートである対象ポートと同一のクラスタに属するポートにおける需要に関する実績データに基づいて、予測モデルを学習させる学習部と、を備える。
【0008】
この予測モデル構築装置においては、複数のポートの特徴量に基づいて複数のポートがクラスタリングされ、対象ポートと同一のクラスタに属するポートにおける実績データに基づいて予測モデルが学習される。この構成によれば、類似の特徴を有するポートが同一のクラスタに分類され得るので、対象ポートにおいてシェアリング交通サービスの利用頻度が低くても、対象ポートと同一のクラスタに属するポートの実績データを利用することにより、十分な量の実績データが得られる。したがって、十分な量の実績データで予測モデルを学習させることができるので、シェアリング交通サービスにおける車両の需要予測の精度を向上させることが可能な予測モデルを構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、シェアリング交通サービスにおける車両の需要予測の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る需要予測装置を含む需要予測システムの概略構成図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される需要予測装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、
図1に示される需要予測装置が行う予測モデル構築方法の一連の処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ポート間の相関係数を説明するための図である。
【
図8】
図8は、
図6の学習処理を詳細に示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、予測モデルの入出力を説明するための図である。
【
図10】
図10は、
図1に示される需要予測装置が行う需要予測方法の一連の処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、予測モデルを用いた需要予測の概念図である。
【
図12】
図12は、
図1に示される需要予測装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1~
図4を参照しながら、一実施形態に係る需要予測装置を含む需要予測システムの構成を説明する。
図1は、一実施形態に係る需要予測装置を含む需要予測システムの概略構成図である。
図2は、ポート情報の一例を示す図である。
図3は、天候情報の一例を示す図である。
図4は、人口情報の一例を示す図である。
【0013】
図1に示される需要予測システム1は、シェアリング交通サービスにおける車両の需要を予測するためのシステムである。シェアリング交通サービスは、車両を複数のユーザが共同で使用するシェアリングサービスであって、例えば、ワンウェイ型MEV(Micro Electric Vehicle)シェアリングシステムである。車両の例としては、自転車、自動車、バイク、及びスクータが挙げられる。シェアリング交通サービスでは、複数のポートが設けられている。ポートは、車両を駐車するためのスペース(駐車場)である。ポートは、ステーションとも称される。
【0014】
各ユーザは、エリア内の所望のポートにおいて車両を借り、エリア内の所望のポートにおいて車両を返却する。エリアは、シェアリング交通サービスが提供される区域であって、車両を共同で利用可能な区域である。エリアの例としては、市区町村が挙げられる。車両が返却されるポートは、車両が貸し出されたポートと異なっていてもよく、同じであってもよい。したがって、各ポートにおいて、貸し出される車両の台数(貸出台数)と返却される車両の台数(返却台数)とは必ずしも一致しないので、ポートに駐車されている車両の台数(駐車台数)に偏りが生じ得る。需要予測システム1では、各ポートにおける貸出台数、及び返却台数が需要として予測される。この予測結果は、例えば、ポート間での車両の再配置に用いられる。再配置は、例えば、トラック等の運搬車がポート間で車両を運搬することによって行われる。
【0015】
需要予測システム1は、需要予測装置10と、複数のサーバ30と、を含む。需要予測装置10及び複数のサーバ30は、ネットワークNWを介して互いに通信可能に構成されている。ネットワークNWは、有線及び無線のいずれで構成されてもよい。ネットワークNWの例としては、移動体通信網、インターネット、及びWAN(Wide Area Network)が挙げられる。
【0016】
需要予測装置10は、シェアリング交通サービスにおいて車両の貸出及び返却の需要を予測する装置である。需要予測装置10の例としては、サーバ等の情報処理装置が挙げられる。
【0017】
各サーバ30は、需要予測に用いられる情報を管理する装置である。サーバ30は、例えば、ポート情報、天候情報、人口情報、及び地図画像データを記憶している。
【0018】
図2に示されるように、ポート情報(の各レコード)は、エリアID(identifier)と、ポートIDと、日時情報と、貸出台数と、返却台数と、メッシュコードと、を含む。エリアIDは、エリアを一意に識別可能な情報であって、ポートIDによって識別されるポートが属するエリアを示す。言い換えると、各ポートは、複数のエリアのうちのいずれかのエリアに属している。ポートIDは、ポートを一意に識別可能な情報である。日時情報は、日付と時刻とを示す情報である。なお、時刻は、所定の時間単位(例えば、10分)で表されている。言い換えると、時刻は、時間帯を表す。貸出台数は、日時情報によって示される日時において、ポートIDによって識別されるポートから貸し出された車両の台数である。返却台数は、日時情報によって示される日時において、ポートIDによって識別されるポートに返却された車両の台数である。
【0019】
メッシュコードは、ポートIDによって識別されるポートが属するメッシュを一意に識別可能な情報である。なお、メッシュは、地図を一定の規則に従って分割することによって得られる分割領域である。メッシュは、エリアよりも狭い格子状の空間を示す。例えば、
図2の一番上のレコードは、エリアID「A1」によって識別されるエリアのポートID「Pa」によって識別されるポートにおいて、2021年3月1日の0時00分~0時10分の間に7台の車両が貸し出され、1台の車両が返却され、当該ポートはメッシュコード「533910001」によって識別されるメッシュに属することを示す。
【0020】
図3に示されるように、天候情報(の各レコード)は、メッシュコードと、日時情報と、天候データと、を含む。天候データは、例えば、風速、気温、降水量、及び湿度を含む。つまり、各レコードは、メッシュコードによって識別されるメッシュの、日時情報によって示される日時(時間帯)における天候(風速、気温、降水量、及び湿度)を示す。例えば、
図3の一番上のレコードは、メッシュコード「533910001」によって識別されるメッシュにおいて、2021年3月1日の0時00分~0時10分の間、風速が7m/秒であり、気温が5度であり、降水量が0mmであり、湿度が10%であることを示す。なお、天候情報は、過去のレコードだけでなく、未来のレコードも含む。
【0021】
図4に示されるように、人口情報(の各レコード)は、メッシュコードと、日時情報と、人口データと、を含む。人口データは、各年代の男女別の人口を含む。つまり、各レコードは、メッシュコードによって識別されるメッシュの、日時情報によって示される日時(時間帯)における各年代の男女別の人口を示す。なお、人口情報は、過去のレコードだけでなく、未来のレコードも含む。未来の人口は、公知の手法によって推定される。
【0022】
地図画像データは、メッシュの地図画像データである。サーバ30は、メッシュごとに地図画像データを記憶している。サーバ30は、例えば、メッシュコードと当該メッシュの地図画像データとを対応付けて記憶している。
【0023】
次に、
図5を参照しながら、需要予測装置10の機能構成を説明する。
図5は、
図1に示される需要予測装置の機能構成を示すブロック図である。
図5に示されるように、需要予測装置10は、予測モデル構築装置50を備えている。予測モデル構築装置50は、予測モデルを構築する装置である。予測モデルは、シェアリング交通サービスにおいて車両の貸出及び返却の需要を予測するための機械学習モデルである。予測モデル構築装置50は、機能的には、取得部11と、生成部12と、分類部13と、学習部14と、記憶部15と、を備えている。
【0024】
需要予測装置10は、更に、取得部16と、予測部17と、出力部18と、を備えている。つまり、需要予測装置10は、機能的には、取得部11と、生成部12と、分類部13と、学習部14と、記憶部15と、取得部16と、予測部17と、出力部18と、を備えている。後述の予測モデル構築方法及び需要予測方法の説明において、各機能部の機能(動作)を詳細に説明するので、ここでは各機能部の機能を簡単に説明する。
【0025】
取得部11は、予測モデルを構築するための各種情報を取得する機能部である。取得部11は、ポート情報、天候情報、人口情報、及び地図画像データをサーバ30から取得する。
【0026】
生成部12は、複数のポートのそれぞれの特徴量を生成する機能部である。生成部12は、ポート情報、天候情報、人口情報、及び地図画像データに基づいて、特徴量を生成する。
【0027】
分類部13は、各ポートの特徴量に基づいて、複数のポートをクラスタリングする機能部である。分類部13は、互いに相関が高い複数のポートを1つのクラスタに分類する。つまり、互いに類似した特徴を有するポートが、同一のクラスタに分類される。
【0028】
学習部14は、予測モデルを学習させる機能部である。学習部14は、対象ポートと同一のクラスタに属するポートの実績データに基づいて、予測モデルを学習させる。対象ポートは、予測対象のポートである。実績データは、ポートにおける過去の需要に関するデータである。学習部14は、例えば、上述の実績データを用いたメタラーニングによって、予測モデルを学習させる。学習部14は、エリアごとに予測モデルを学習させる。学習部14は、ポアソン分布に従う誤差関数(損失関数)を予測モデルの誤差関数として用いる。誤差関数は、正解データ(実績データ)と予測モデルによる予測結果(予測データ)との差(誤差)を評価する関数である。予測データは、予測モデルによって予測された実績データである。
【0029】
記憶部15は、予測モデルの各パラメータの値を記憶(格納)する機能部である。
【0030】
取得部16は、需要予測のための各種情報を取得する機能部である。取得部16は、例えば、対象ポートにおける過去の実績データ及び統計データと、対象ポートにおける対象時刻の統計データと、を取得する。対象時刻は、需要を予測する対象となる時刻である。取得部16は、記憶部15から予測モデルの各パラメータの値を取得する。
【0031】
予測部17は、対象ポートにおける需要を予測する機能部である。予測部17は、予測モデルを用いて対象ポートにおける需要を予測する。予測部17は、対象ポートにおける過去の実績データ及び統計データと、対象ポートにおける対象時刻の統計データと、を予測モデルに入力することによって、対象ポートにおける対象時刻での需要の予測結果(予測データ)を予測モデルから得る。
【0032】
出力部18は、予測結果を出力する機能部である。出力部18は、例えば、予測結果をディスプレイに出力し、予測結果をディスプレイに表示させる。出力部18は、予測結果をサーバ30に出力(送信)し、予測結果をサーバ30に格納してもよい。
【0033】
次に、
図6~
図9を参照しながら、需要予測装置10が行う予測モデル構築方法を説明する。
図6は、
図1に示される需要予測装置が行う予測モデル構築方法の一連の処理を示すフローチャートである。
図7は、ポート間の相関係数を説明するための図である。
図8は、
図6の学習処理を詳細に示すフローチャートである。
図9は、予測モデルの入出力を説明するための図である。
図6に示される一連の処理は、例えば、需要予測装置10のユーザからモデル構築指令を受け付けたことによって開始される。これらの処理は、所定の時間間隔で繰り返し開始されてもよい。
【0034】
図6に示されるように、まず、取得部11が予測モデルを構築するための各種情報を取得する(ステップS11)。ステップS11では、取得部11は、ポート情報、天候情報、人口情報、及び地図画像データをサーバ30から取得する。なお、取得部11は、ポート情報、天候情報、及び人口情報について、すべてのレコードを取得しなくてもよい。例えば、取得部11は、ポート情報、天候情報、及び人口情報について、ステップS11を実施する時点から予め定められた日数分の最新のレコードを取得してもよい。同様に、取得部11は、すべてのメッシュの地図画像データを取得しなくてもよい。例えば、取得部11は、ポート情報に含まれるメッシュコードに対応する地図画像データを取得してもよい。そして、取得部11は、取得した各種情報を生成部12及び学習部14に出力する。
【0035】
続いて、生成部12は、各ポートの特徴量を生成する(ステップS12)。ステップS12では、生成部12は、ポート情報、天候情報、人口情報、及び地図画像データを取得部11から受け取ると、ポート情報、天候情報、人口情報、及び地図画像データに基づいて、特徴量を生成する。本実施形態では、生成部12は、特徴量として複数の要素を含む特徴量ベクトルを生成する。
【0036】
1つのポートの特徴量ベクトルの生成方法について具体的に説明する。まず、生成部12は、当該ポートのメッシュコードをポート情報から取得し、取得したメッシュコードを含むレコードを天候情報及び人口情報から抽出する。同様に、生成部12は、メッシュコードに対応付けられた地図画像データを抽出する。そして、生成部12は、例えば、時刻ごとに、時刻、天候データの各要素(風速、気温、降水量、及び湿度)、及び人口データの各要素(各年代の男女別の人口)を予め定められた順序で配列することによって部分ベクトルを生成する。さらに、生成部12は、部分ベクトルを時系列順(日時の古い順)に配列して、地図画像データを圧縮(ベクトル化)することによって得られた画像特徴量を追加する。以上の処理によって、上記ポートの特徴量ベクトルが生成される。生成部12は、他のポートについても同様にして特徴量ベクトルを生成する。そして、生成部12は、各ポートの特徴量ベクトルを分類部13に出力する。
【0037】
続いて、分類部13は、複数のポートをクラスタリングする(ステップS13)。ステップS13では、分類部13は、各ポートの特徴量ベクトルを生成部12から受け取ると、これらの特徴量ベクトルを用いて2つのポート間の相関係数を計算する。具体的に説明すると、式(1)に示されるように、分類部13は、i番目のポートの特徴量ベクトルv
iとj番目のポートの特徴量ベクトルv
jとを用いて、2つのポート間の相関係数r
i,jを計算する。i及びjは、1以上Np以下の整数値である。Npはポートの総数である。
【数1】
【0038】
図7に示されるように、分類部13は、Np個のポートから選択可能な2つのポートのすべての組み合わせ(Np×Np通りの組み合わせ)について相関係数r
i,jを計算する。そして、分類部13は、相関係数r
i,jに基づいて、Np個のポートをクラスタリングする。例えば、分類部13は、相関係数r
i,jが所定の閾値以上である場合に、i番目のポートとj番目のポートとを同一のクラスタに分類する。例えば閾値が0.7に設定されている場合、
図7の例では、ポートID「Pa」によって識別されるポート、ポートID「Pc」によって識別されるポート、及びポートID「Pd」によって識別されるポートが同一のクラスタに分類される。そして、分類部13は、同一のクラスタに属するポートのポートIDをクラスタごとに学習部14に出力する。
【0039】
続いて、学習部14は、学習を行う(ステップS14)。ステップS14では、学習部14は、エリアごとに予測モデルを学習させ、エリアごとの予測モデルを構築する。以下、
図8を参照しながら、1つの対象ポートが属するエリアに対する予測モデルを構築する手法について説明する。なお、本実施形態では、予測モデルとして、Transformer-based CVAE(Conditioned Variational Autoencoder)が用いられる。
【0040】
図8に示されるように、まず、学習部14は、対象ポートと同一のクラスタに属するポートの実績データ及び統計データを学習データとして準備する(ステップS21)。ステップS21では、学習部14は、各ポートについてN個の学習データを準備する。学習データは、エリアIDと、ポートIDと、時刻tにおける実績データと、時刻tにおける統計データと、を含む。時刻tは、所定時間が経過するごとに1ずつ増加する。エリアIDは、ポートIDによって識別されるポートが属するエリアを一意に示す情報である。実績データは、ポートIDによって識別されるポートの実績データである。統計データは、ポートIDによって識別されるポートの統計データである。N個の学習データは、N個の連続する時刻における学習データである。
【0041】
実績データは、貸出台数、返却台数、利用可能台数、及び増減量等を含む。貸出台数は、時刻(t-1)から時刻tの間に、当該ポートから貸し出された車両の台数である。返却台数は、時刻(t-1)から時刻tの間に、当該ポートに返却された車両の台数である。利用可能台数は、時刻tにおいて当該ポートにおいて利用可能な車両の台数である。増減量は、利用可能台数の増減量であって、時刻tにおける利用可能台数から時刻(t-1)における利用可能台数を減算することによって得られる。実績データは、例えば、ポート情報に基づいて生成される。
【0042】
統計データは、フラグデータと天候データと人口データとを含む。フラグデータは、例えば、平日であるか休日であるかを示す休日フラグ、曜日を示す曜日フラグ、及び時刻tを示す時間フラグを含む。天候データは、ポートIDによって識別されるポートが属するメッシュの時刻tにおける風速、気温、湿度、及び雨量等を含む。人口データは、ポートIDによって識別されるポートが属するメッシュの人口を含む。統計データは、例えば、天候情報及び人口情報に基づいて生成される。
【0043】
なお、学習部14は、実績データ及び統計データを生成してもよく、予め生成された実績データ及び統計データを取得してもよい。
【0044】
続いて、学習部14は、エリアパラメータφkを最適化する(ステップS22)。kは、エリアの番号を示す。kは、1以上K以下の整数である。Kは、エリアの総数である。ステップS22では、学習部14は、対象ポートと同一のクラスタに属するポートそれぞれのN個の学習データを用いて、エリアパラメータφkを最適化する。具体的に説明すると、学習部14は、まず、各ポートのN個の学習データを、m個の新しい時刻の学習データと残りの学習データとに分け、m個の学習データに含まれる統計データを抽出する。
【0045】
説明の便宜上、m個の学習データを時刻(t+1)から時刻(t+m)までの学習データのデータセットDSfとし、残りの学習データを時刻(t-n)から時刻tまでのn+1個の学習データのデータセットDSpとし、時刻(t+1)から時刻(t+m)までの統計データのデータセットDSstとする。つまり、N=n+m+1である。データセットDSpは、実績データXt-n~Xt及び統計データSt-n~Stを含む。データセットDSfは、実績データXt+1~Xt+m及び統計データSt+1~St+mを含む。データセットDSstは、統計データSt+1~St+mを含む。
【0046】
そして、
図9に示されるように、学習部14は、対象ポート及び対象ポートと同一のクラスタに属するポートから1つのポートを選択し、当該ポートのデータセットDSp、データセットDSf、及びデータセットDSstを予測モデルPMに入力し、時刻(t+1)から時刻(t+m)までの予測データのデータセットDStを予測モデルPMから得る。データセットDStは、予測データX’
t+1~X’
t+mを含む。そして、学習部14は、データセットDSfに含まれる各時刻の実績データと、データセットDStに含まれる各時刻の予測データとの差(誤差)が小さくなるようにエリアパラメータφ
kの値を調整する。このとき、学習部14は、選択されたポートが属するエリアのエリアパラメータφ
kの値を調整する。本実施形態では、学習部14は、ポアソン分布に従う誤差関数を予測モデルの誤差関数として用い、誤差関数の値が小さくなるようにエリアパラメータφ
kの値を調整する。なお、学習前の予測モデルには、全体パラメータθの初期値、及びエリアパラメータφ
kの初期値が設定される。そして、学習部14は、対象ポート及び対象ポートと同一のクラスタに属するポートのすべてのポートが選択されるまで上記処理を繰り返す。
【0047】
続いて、学習部14は、全体パラメータθを最適化する(ステップS23)。ステップS23では、学習部14は、ステップS22において調整されたエリアパラメータφkの値を予測モデルPMに設定する。そして、学習部14は、各ポートのデータセットDSp、データセットDSf、及びデータセットDSstを予測モデルPMに入力し、データセットDStを予測モデルPMから得る。そして、学習部14は、データセットDSfに含まれる各時刻の実績データと、データセットDStに含まれる各時刻の予測データとの差(誤差)が小さくなるように全体パラメータθの値を調整する。ステップS22と同様に、学習部14は、ポアソン分布に従う誤差関数を予測モデルの誤差関数として用い、誤差関数の値が小さくなるように全体パラメータθの値を調整する。
【0048】
続いて、学習部14は、学習を継続するか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24では、学習部14は、例えば、ステップS22,S23の処理回数が予め設定された回数に達していない場合に学習を継続すると判定し、ステップS22,S23の処理回数が予め設定された回数に達した場合に学習を終了すると判定する。学習部14は、ステップS23における全体パラメータθの変動量が予め定められた閾値よりも大きい場合に学習を継続すると判定し、ステップS23における全体パラメータθの変動量が予め定められた閾値よりも小さい場合に学習を終了すると判定する。全体パラメータθの変動量は、パラメータθの調整前の値とパラメータθの調整後の値との差分(差の絶対値)である。全体パラメータθの変動量に代えて、エリアパラメータφkの変動量が用いられてもよい。
【0049】
ステップS24において、学習を継続すると判定された場合(ステップS24;YES)、学習部14は、ステップS22~S24の処理を再び行う。なお、2回目以降のステップS22では、学習部14は、前回のステップS23において調整された全体パラメータθの値を予測モデルPMに設定する。一方、ステップS24において、学習を終了すると判定された場合(ステップS24;NO)、学習部14はステップS14の学習処理を終了する。
【0050】
続いて、学習部14は、各パラメータ(の値)を記憶部15に出力し、記憶部15に格納する(ステップS15)。
【0051】
以上により、予測モデル構築方法の一連の処理が終了する。上述のように、実績データを用いたメタラーニングによって、エリアパラメータφk及び全体パラメータθが交互に学習される。言い換えると、エリアごとに予測モデルが学習され、エリアごとの予測モデルが構築される。なお、ステップS23は、ステップS22よりも前に行われてもよい。
【0052】
次に、
図10及び
図11を参照しながら、需要予測装置10が行う需要予測方法を説明する。
図10は、
図1に示される需要予測装置が行う需要予測方法の一連の処理を示すフローチャートである。
図11は、予測モデルを用いた需要予測の概念図である。
図10に示される一連の処理は、例えば、需要予測装置10のユーザから予測指令を受け付けたことによって開始される。これらの処理は、時刻tが1増加するごとに開始されてもよい。なお、以下の説明において、予測を行う時点の時刻(現在時刻)は、時刻tをわずかに過ぎた時刻とする。
【0053】
図10に示されるように、まず、取得部16は、対象ポートにおける実績データ及び統計データ取得する(ステップS31)。ステップS16では、取得部16は、過去の実績データ及び統計データと、対象ポートにおける対象時刻の統計データと、を取得する。本実施形態では、取得部16は、時刻(t-n)から時刻tまでの過去の実績データ(実績データX
t-n~X
t)及び統計データ(統計データS
t-n~S
t)と、時刻(t+1)から時刻(t+m)までの統計データ(統計データS
t+1~S
t+m)とを取得する。つまり、時刻(t+1)から時刻(t+m)までの各時刻が対象時刻である。
【0054】
具体的に説明すると、取得部16は、サーバ30に記憶されているポート情報から、対象ポートを識別するポートIDを含む時刻(t-n)から時刻tまでのレコードを抽出し、各時刻の実績データXt-n~Xtを生成する。また、取得部16は、サーバ30に記憶されている天候情報及び人口情報のそれぞれから、対象ポートが属するメッシュを示すメッシュコードを含む時刻(t-n)から時刻(t+m)までのレコードを抽出する。さらに、取得部16は、時刻(t+1)から時刻(t+m)までのフラグデータをサーバ30から取得する。そして、取得部16は、抽出したレコード及びフラグデータに基づいて、各時刻の統計データSt-n~St+mを生成する。なお、取得部16は、予め生成された実績データ及び統計データを取得してもよい。
【0055】
続いて、取得部16は、対象ポートが属するエリアのエリアパラメータφk(の値)及び全体パラメータθ(の値)を取得する(ステップS32)。ステップS32では、取得部16は、対象ポートが属するエリアのエリアパラメータφkの値及び全体パラメータθの値を記憶部15から読み出す。そして、取得部16は、実績データXt-n~Xt及び統計データSt-n~St+mとともにエリアパラメータφkの値及び全体パラメータθの値を予測部17に出力する。
【0056】
続いて、予測部17は、対象ポートにおける需要を予測する(ステップS33)。ステップS33では、予測部17は、学習部14によって学習された予測モデルを用いて対象ポートにおける需要を予測する。具体的に説明すると、
図11に示されるように、予測部17は、実績データX
t-n~X
t及び統計データS
t-n~S
t+mとエリアパラメータφ
kの値及び全体パラメータθの値とを取得部16から受け取ると、エリアパラメータφ
kの値及び全体パラメータθの値を予測モデルPMに設定する。
【0057】
そして、予測部17は、実績データXt-n~Xt及び統計データSt-n~StをデータセットDSpとし、統計データSt-n~St+mをデータセットDSstとして、予測モデルPMに入力する。この処理によって、予測部17は、データセットDSt(予測データX’t+1~X’t+m)を予測モデルPMから得る。予測データX’t+1~X’t+mは、時刻(t+1)から時刻(t+m)までの実績データの予測結果である。そして、予測部17は、予測結果を出力部18に出力する。
【0058】
続いて、出力部18は、予測部17から予測結果を受け取ると、予測結果を出力する(ステップS34)。ステップS34では、出力部18は、例えば、予測結果をディスプレイに出力し、予測結果をディスプレイに表示させる。出力部18は、予測結果をサーバ30に出力(送信)し、予測結果をサーバ30に格納してもよい。
【0059】
以上により、需要予測方法の一連の処理が終了する。なお、ステップS32は、ステップS31よりも前に行われてもよく、ステップS31と並行して行われてもよい。
【0060】
以上説明した需要予測装置10(予測モデル構築装置50)においては、複数のポートの特徴量に基づいて複数のポートがクラスタリングされ、対象ポートと同一のクラスタに属するポートにおける実績データに基づいて予測モデルが学習される。この構成によれば、類似の特徴を有するポートが同一のクラスタに分類され得るので、対象ポートにおいてシェアリング交通サービスの利用頻度が低くても、対象ポートと同一のクラスタに属するポートの実績データを利用することにより、十分な量の実績データが得られる。したがって、十分な量の実績データで予測モデルを学習させることができるので、シェアリング交通サービスにおける車両の需要予測の精度を向上させることが可能な予測モデルを構築することが可能となる。そして、予測モデルを用いて対象ポートにおける需要が予測されるので、需要予測の精度を向上させることが可能となる。
【0061】
学習部14は、実績データを用いたメタラーニングによって、予測モデルを学習させる。この構成によれば、エリアパラメータφkと全体パラメータθとが交互に学習される。したがって、十分な数の実績データが得られないエリア(ポート)であっても、類似の特徴を有するポートの実績データを更に用いてエリアパラメータφk及び全体パラメータθが学習されるので、予測モデルの学習精度を向上させることができる。この学習手法によって得られた予測モデルによれば、稀にしか発生しないような事象であっても、効果的に予測することができる。
【0062】
シェアリング交通サービスの提供条件がエリアごとに異なっていることがある。例えば、住宅地、商業施設、及びオフィス街のようにポートの周辺環境が似ている場合にはエリアによらず同様の利用が行われる。しかしながら、サービスの利用形態、営業時間、及び返却可能な車両の台数の制限の有無はエリアによって異なることがある。1つのクラスタには、互いに異なるエリアのポートが含まれる場合があるので、同一のクラスタに属するポートの実績データを用いて予測モデルを学習させると、提供条件に反するような予測結果が得られるおそれがある。この問題に対し、学習部14は、エリアごとに予測モデルを学習させる。この構成によれば、上記エリアの特徴を考慮して、各エリアに適した予測モデルを構築することができる。その結果、需要予測の精度を更に向上させることが可能となる。
【0063】
学習部14は、ポアソン分布に従う誤差関数を予測モデルの誤差関数として用いている。バイクシェア等のシェアリング交通サービスの利用者数は、ポアソン分布に従うとみなすことができる。したがって、ポアソン分布に従う誤差関数を用いることによって、予測モデルの学習精度を向上させることができる。つまり、実績データと同様の分布に従った誤差関数を用いることで、外れ値に強くなり、予測モデルの学習精度が向上する。
【0064】
予測部17は、対象ポートにおける過去の実績データ及び統計データと、対象ポートにおける対象時刻の統計データと、を予測モデルに入力することによって、需要の予測結果を得る。この構成によれば、過去の情報だけでなく、対象ポートにおける対象時刻の統計データが考慮されるので、需要予測の精度を更に向上させることが可能となる。
【0065】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0066】
需要予測装置10は、物理的又は論理的に結合した1つの装置によって構成されていてもよく、互いに物理的又は論理的に分離している複数の装置によって構成されてもよい。例えば、需要予測装置10は、クラウドコンピューティングのようにネットワーク上に分散された複数のコンピュータによって実現されてもよい。以上のように、需要予測装置10の構成は、需要予測装置10の機能を実現し得るいかなる構成をも含み得る。同様に、予測モデル構築装置50の構成は、予測モデル構築装置50の機能を実現し得るいかなる構成をも含み得る。
【0067】
需要予測装置10は、予測モデル構築装置50を備えていなくてもよい。この場合、取得部16は、例えば、外部の予測モデル構築装置50から需要予測のための各種情報を取得する。
【0068】
予測モデル構築装置50は、記憶部15を備えていなくてもよい。この場合、サーバ30等の外部装置に予測モデルの各パラメータの値が格納される。
【0069】
学習部14は、全エリアで共通の予測モデルを構築してもよい。この場合、学習処理を簡易化することができる。
【0070】
学習部14は、メタラーニング以外の学習手法を用いて予測モデルを学習させてもよい。予測モデルの誤差関数として、ポアソン分布に従う誤差関数とは異なる誤差関数が用いられてもよい。
【0071】
なお、上記実施形態の説明に用いられたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0072】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、及び割り振り(assigning)などがあるが、これらの機能に限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)又は送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0073】
例えば、本開示の一実施形態における需要予測装置10は、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図12は、本開示の一実施形態に係る需要予測装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の需要予測装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0074】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、及びユニットなどに読み替えることができる。需要予測装置10のハードウェア構成は、図に示された各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0075】
需要予測装置10における各機能は、プロセッサ1001及びメモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0076】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、及びレジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の需要予測装置10の各機能は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0077】
プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、及びデータなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明された動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、需要予測装置10の各機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0078】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及びRAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、又はメインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る予測モデル構築方法及び需要予測方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0079】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、及び磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバ、その他の適切な媒体であってもよい。
【0080】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、又は通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、及び周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の取得部11、取得部16、及び出力部18などは、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0081】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、及びセンサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、及びLEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0082】
プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0083】
需要予測装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。予測モデル構築装置50も需要予測装置10と同様のハードウェアで構成されてもよい。
【0084】
情報の通知は、本開示において説明された態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。
【0085】
本開示において説明された各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどにおいては、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。例えば、本開示において説明された方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示された特定の順序に限定されない。
【0086】
情報等は、上位レイヤから下位レイヤへ出力されてもよく、又は下位レイヤから上位レイヤへ出力されてもよい。情報等は、複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0087】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理されてもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0088】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0089】
本開示において説明された各態様/実施形態は単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的な通知に限られず、暗黙的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって)行われてもよい。
【0090】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明された実施形態に限定されないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に対して何ら制限的な意味を有しない。
【0091】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0092】
ソフトウェア、命令、及び情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0093】
本開示において説明された情報、及び信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0094】
なお、本開示において説明された用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えられてもよい。
【0095】
本開示において使用される「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0096】
本開示において説明された情報、及びパラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0097】
上述したパラメータに使用される名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示された数式等と異なる場合もある。
【0098】
本開示で使用される「判断(determining)」、及び「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、又は「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0099】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的に行われてもよく、論理的に行われてもよく、或いはこれらの組み合わせで実現されてもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用される場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0100】
本開示において使用される「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0101】
本開示において使用される「第1の」、及び「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、及び何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことのいずれも意味しない。
【0102】
上記の各装置の構成における「部」は、「回路」、又は「デバイス」等に置き換えられてもよい。
【0103】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0104】
本開示において、例えば、英語での「a」,「an」及び「the」のように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0105】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、及び「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10…需要予測装置、11…取得部、12…生成部、13…分類部、14…学習部、15…記憶部、16…取得部、17…予測部、18…出力部、50…予測モデル構築装置、PM…予測モデル。