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特開2022-189384情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189384
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20221215BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221215BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097934
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 剛
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】水素ステーションにおける水素の需要と供給とのバランスを取ることが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、予測部140と、営業時間決定部210とを有する。予測部140は、予め機械学習によって生成された学習済みモデルである需要予測モデルであって、少なくとも顧客の行動パターンを入力とし予測された水素の需要を出力する需要予測モデルを用いて、水素ステーションにおける水素の需要を予測する。営業時間決定部210は、予測された水素の需要に基づいて、前記水素ステーションの営業時間を決定する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め機械学習によって生成された学習済みモデルである需要予測モデルであって、少なくとも顧客の行動パターンを入力とし予測された水素の需要を出力する需要予測モデルを用いて、水素ステーションにおける水素の需要を予測する予測部と、
予測された水素の需要に基づいて、前記水素ステーションの営業時間を決定する決定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記水素ステーションの通常の営業開始時間を含む所定期間における予測された需要が所定値を上回る場合に、営業開始時間を前記通常の営業開始時間よりも早くするように変更する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記水素ステーションの通常の営業終了時間を含む所定期間における予測された需要が所定値を上回る場合に、営業終了時間を前記通常の営業終了時間よりも遅くするように変更する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、予め定められた時間後の営業時間を決定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記水素ステーションの従業員の勤務可能日時に基づいて、当該水素ステーションの営業時間を決定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
決定された営業時間を顧客に通知する通知部、
をさらに有する請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通知部は、顧客ごとに必要なタイミングで営業時間を通知する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
予め機械学習によって生成された学習済みモデルである需要予測モデルであって、少なくとも顧客の行動パターンを入力とし予測された水素の需要を出力する需要予測モデルを用いて、水素ステーションにおける水素の需要を予測し、
予測された水素の需要に基づいて、前記水素ステーションの営業時間を決定する、
情報処理方法。
【請求項9】
予め機械学習によって生成された学習済みモデルである需要予測モデルであって、少なくとも顧客の行動パターンを入力とし予測された水素の需要を出力する需要予測モデルを用いて、水素ステーションにおける水素の需要を予測するステップと、
予測された水素の需要に基づいて、前記水素ステーションの営業時間を決定するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関し、特に、水素ステーションにおける水素の需要を予測する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、水素燃料の充填を円滑に行うことを目的とする水素ステーションの予約システムの制御方法を開示する。特許文献1にかかる方法は、ユーザの車両が水素ステーションで水素燃料を充填する日時を予約するための予約情報を入力可能にすると共に、入力された予約情報を登録可能な水素充填予約表を作成する。また、特許文献1にかかる方法は、ユーザからの予約情報が登録された水素充填予約表を用いて読み出した日から予め設定された日数が経過した注目日における水素燃料の必要量を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-183768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にかかる技術では、ユーザが予約をしないと、ユーザが水素ステーションを訪問するか否かを把握できないので、水素の需要を精度よく予測することができない。また、水素ステーションの営業時間は、通常、固定されているので、水素の需要に合っていない可能性がある。したがって、水素ステーションにおける水素の需要と供給とのバランスを取ることが困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、水素ステーションにおける水素の需要と供給とのバランスを取ることが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる情報処理装置は、予め機械学習によって生成された学習済みモデルである需要予測モデルであって、少なくとも顧客の行動パターンを入力とし予測された水素の需要を出力する需要予測モデルを用いて、水素ステーションにおける水素の需要を予測する予測部と、予測された水素の需要に基づいて、前記水素ステーションの営業時間を決定する決定部と、を有する。
【0007】
また、本発明にかかる情報処理方法は、予め機械学習によって生成された学習済みモデルである需要予測モデルであって、少なくとも顧客の行動パターンを入力とし予測された水素の需要を出力する需要予測モデルを用いて、水素ステーションにおける水素の需要を予測し、予測された水素の需要に基づいて、前記水素ステーションの営業時間を決定する。
【0008】
また、本発明にかかるプログラムは、予め機械学習によって生成された学習済みモデルである需要予測モデルであって、少なくとも顧客の行動パターンを入力とし予測された水素の需要を出力する需要予測モデルを用いて、水素ステーションにおける水素の需要を予測するステップと、予測された水素の需要に基づいて、前記水素ステーションの営業時間を決定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0009】
本発明は、上記のように構成されているので、水素ステーションにおいて、水素の需要に合った営業時間を決定することが可能となる。これにより、水素ステーションにおいて水素の需要に合わせて水素を供給できる可能性が高まる。したがって、本発明は、水素ステーションにおける水素の需要と供給とのバランスを取ることが可能となる。
【0010】
また、好ましくは、前記決定部は、前記水素ステーションの通常の営業開始時間を含む所定期間における予測された需要が所定値を上回る場合に、営業開始時間を前記通常の営業開始時間よりも早くするように変更する。
本発明は、このように構成されていることによって、水素ステーションの営業開始時間を水素の需要に合わせて変更することが可能となる。
【0011】
また、好ましくは、前記決定部は、前記水素ステーションの通常の営業終了時間を含む所定期間における予測された需要が所定値を上回る場合に、営業終了時間を前記通常の営業終了時間よりも遅くするように変更する。
本発明は、このように構成されていることによって、水素ステーションの営業終了時間を水素の需要に合わせて変更することが可能となる。
【0012】
また、好ましくは、前記決定部は、予め定められた時間後の営業時間を決定する。
本発明は、このように構成されていることによって、水素ステーションの従業員の勤務予定日時をさらに調整しやすくなるので、従業員に対する利便性を向上させることが可能となる。
【0013】
また、好ましくは、前記決定部は、前記水素ステーションの従業員の勤務可能日時に基づいて、当該水素ステーションの営業時間を決定する。
本発明は、このように構成されていることによって、従業員の勤務可能日時に合わせて水素ステーションの営業時間が決定されるので、従業員に対する利便性を向上させることが可能となる。
【0014】
また、好ましくは、決定された営業時間を顧客に通知する通知部をさらに有する。
本発明は、このように構成されていることによって、顧客に対する利便性を向上させることができる。
【0015】
また、好ましくは、前記通知部は、顧客ごとに必要なタイミングで営業時間を通知する。
本発明は、このように構成されていることによって、顧客に対する利便性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水素ステーションにおける水素の需要と供給とのバランスを取ることが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1にかかる情報処理システムを示す図である。
図2】実施の形態1にかかる情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】実施の形態1にかかる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態1にかかる需要予測モデルに入力される入力データを例示する図である。
図5】実施の形態1にかかる入力データにおける特徴量を例示する図である。
図6】実施の形態1にかかる顧客行動パターンを例示する図である。
図7】実施の形態1にかかる顧客行動パターンを例示する図である。
図8】実施の形態1にかかる顧客行動パターンを例示する図である。
図9】実施の形態1にかかる顧客行動パターンを例示する図である。
図10】実施の形態1にかかる需要予測モデルから出力される出力データを例示する図である。
図11】実施の形態1にかかる需要予測部によって得られた需要予測を例示する図である。
図12】実施の形態1にかかる情報処理装置によって実行される情報処理方法を示すフローチャートである。
図13】実施の形態1にかかる情報処理装置によって実行される情報処理方法を示すフローチャートである。
図14】実施の形態2にかかる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図15】水素ステーションの営業時間を例示する図である。
図16】実施の形態2における、水素ステーションの営業時間を決定する方法を説明するための図である。
図17】実施の形態2における、水素ステーションの営業時間を決定する方法を説明するための図である。
図18】実施の形態2にかかる営業時間通知を例示する図である。
図19】実施の形態2にかかる情報処理装置によって実行される情報処理方法を示すフローチャートである。
図20】実施の形態3にかかる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図21】実施の形態3にかかる従業員情報を例示する図である。
図22】実施の形態3にかかる情報処理装置によって実行される情報処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0019】
図1は、実施の形態1にかかる情報処理システム1を示す図である。情報処理システム1は、複数の車両2と、情報処理装置10とを有する。車両2は、水素を燃料とする車両(例えば燃料電池車)である。情報処理装置10は、例えばサーバ等のコンピュータである。情報処理装置10と車両2とは、無線等のネットワーク1aを介して、通信可能に接続され得る。なお、車両2は、図2を用いて後述する、情報処理装置10のハードウェア構成を有していてもよい。
【0020】
情報処理装置10は、車両2に水素を供給する水素ステーションにおける水素の需要を予測する。具体的には、情報処理装置10は、ディープラーニング、ニューラルネットワーク、又はリカレントニューラルネットワーク等の機械学習のアルゴリズムによって、水素の需要を予測する。情報処理装置10は、1つ又は複数のコンピュータによって実現され得る。また、情報処理装置10は、クラウドシステムによって実現されてもよい。したがって、情報処理装置10は、物理的に1つの装置によって実現されることに限定されない。
【0021】
図2は、実施の形態1にかかる情報処理装置10のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置10は、主要なハードウェア構成として、CPU12(Central Processing Unit)と、ROM14(Read Only Memory)と、RAM16(Random Access Memory)と、インタフェース部18(IF;Interface)とを有する。CPU12、ROM14、RAM16及びインタフェース部18は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0022】
CPU12は、制御処理及び演算処理等を行う演算装置(処理デバイスまたはプロセッサ)としての機能を有する。なお、演算装置は、NPU(Neural network Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の、機械学習のための専用の装置によって実現されてもよい。ROM14は、CPU12(演算装置)によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するストレージとしての機能を有する。RAM16は、処理データ等を一時的に記憶するメモリとしての機能を有する。インタフェース部18は、有線又は無線を介して外部と信号の入出力を行う、通信装置としての機能を有する。また、インタフェース部18は、ユーザによるデータの入力の操作を受け付け、ユーザに対して情報を表示するための処理を行う、ユーザインタフェースとしての機能を有する。インタフェース部18は、需要予測の結果を表示してもよい。
【0023】
図3は、実施の形態1にかかる情報処理装置10の構成を示すブロック図である。実施の形態1にかかる情報処理装置10は、学習部100と、学習済みモデル格納部122と、入力データ取得部124(取得部)と、予測部140と、通知部150と、学習継続処理部160とを有する。学習部100は、教師データ取得部102と、需要予測モデル学習部104とを有する。予測部140は、需要予測部142と、供給可能量決定部144とを有する。
【0024】
これらの構成要素は、例えば、CPU12(演算装置)がROM14(記憶装置)に記憶されたプログラムを実行することによって実現可能である。また、各構成要素は、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールするようにして、実現されるようにしてもよい。なお、各構成要素は、上記のようにソフトウェアによって実現されることに限定されず、何らかの回路素子等のハードウェアによって実現されてもよい。また、上記構成要素の1つ以上は、物理的に別個のハードウェアによってそれぞれ実現されてもよい。例えば、学習部100は、他の構成要素と別個のハードウェアによって実現されてもよい。これらのことは、後述する他の実施の形態においても同様である。
【0025】
学習部100は、上述した機械学習アルゴリズムによって、水素ステーションの水素の需要を予測するための需要予測モデルを学習する。言い換えると、学習部100は、需要予測モデルに対して機械学習を行う。学習部100は、少なくとも顧客の行動パターンを用いて水素の需要を予測するように機械学習を行う。したがって、需要予測モデルは、少なくとも顧客の行動パターンを示す顧客行動パターン情報を含む入力データを入力として、水素ステーションごとの需要(水素の予測需要量(需要予測量))を出力する。需要予測量は、予め定められた期間後(例えば1日後、2日後、1週間後、1カ月後等)の、水素の需要量を示す。
【0026】
教師データ取得部102は、入力データと正解データとの組である教師データを取得する。入力データは、顧客行動パターン情報と、地域情報とを含む。ここで、入力データは、時間の経過とともにその特徴量の値が変化する時系列データである。
【0027】
顧客行動パターン情報は、複数の顧客それぞれの行動パターンを示す。したがって、顧客行動パターン情報は、複数の顧客それぞれについて生成され得る。顧客行動パターン情報は、例えば、顧客の所有する車両2から、ネットワーク1aを介して取得され得る。顧客行動パターン情報は、例えば、顧客が車両2に水素を充填するタイミング(充填する頻度)、顧客が訪問した水素ステーション、及び、水素を充填する際の充填量を示す。詳しくは後述する。
【0028】
地域情報は、顧客の行動パターンとは異なる情報であり、地域における各種の情報を示す。地域情報は、例えば、天候、対応する地域の水素ステーションに関する情報、及び、対応する地域のイベントに関する情報等を示す。詳しくは後述する。
【0029】
正解データは、運用段階(推論段階、予測段階)における、出力データに対応する。ここで、上述したように、出力データは、水素ステーションごとの、予め定められた期間後の水素の需要量を示す。したがって、正解データは、水素ステーションごとの、あるタイミングにおける実際の水素の需要量に対応している。
【0030】
需要予測モデル学習部104は、取得された教師データを用いて、需要予測モデルの学習処理を行う。需要予測モデルは、例えば、ディープラーニング、ニューラルネットワーク、又はリカレントニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムによって実現され得る。需要予測モデル学習部104は、入力データを入力とし、予測された値と正解データとの差が小さくなるように、需要予測モデルの学習を行う。需要予測モデル学習部104は、予測された値と正解データとの差が小さくなるように、重みとなるパラメータの調整等を行う。需要予測モデル学習部104は、ある期間(例えば数カ月間)における教師データを学習用データとして用いて需要予測モデルを生成してもよい。そして、需要予測モデル学習部104は、その期間の後の所定期間(例えば数週間)における教師データを評価用データとして用いて、需要予測モデルのパラメータ(重み等)を調整してもよい。また、需要予測モデル学習部104は、オートエンコーダにより、入力データから重要な特徴量を抽出してもよい。
【0031】
図4は、実施の形態1にかかる需要予測モデルに入力される入力データを例示する図である。図4に例示するように、入力データは、複数の特徴量の時系列データである。図4の例では、横軸を時間軸とし、縦軸を時系列の特徴量とした入力データが示されている。つまり、各特徴量x,x,x,・・・,xは、時系列データである。Nは、特徴量の数である。特徴量は、例えば、所定期間Δtごとにサンプリングされてもよい。この場合、図4の横軸におけるt,t,t,・・・,tの時間間隔は、Δtである。また、Δtは、例えば30分でもよいし、1時間でもよいし、6時間でもよいし、1日(24時間)でもよい。このサンプリング周期Δtは、所望の需要予測の時系列的な細かさに依存して、適宜、設定され得る。例えば、数時間ごとの需要予測を得たい場合のサンプリング周期Δtは、数日ごとの需要予測を得たい場合のサンプリング周期Δtよりも短くてもよい。
【0032】
また、入力データは、顧客及び地域ごとに生成され得る。例えば、顧客#1,顧客#2,顧客#3についての入力データ(顧客行動パターン情報)U,U,Uが、それぞれ生成される。また、例えば、地域#1,地域#2,地域#3についての入力データ(地域情報)Um+1,Um+2,Um+3が、それぞれ生成される。これらの入力データU~Uの組が、入力データとして、需要予測モデルに入力される。
【0033】
図5は、実施の形態1にかかる入力データにおける特徴量を例示する図である。なお、図5に例示する特徴量は、一例にすぎず、他の様々な特徴量が可能である。ここで、図5において、成分x~xは、顧客行動パターン情報における特徴量を示す。また、成分xn+1~xは、地域情報における特徴量を示す。なお、顧客行動パターン情報において、xn+1~xの値は、0であってもよい。同様に、地域情報において、x~xの値は、0であってもよい。
【0034】
顧客行動パターン情報に含まれる特徴量について、図5に示す例では、成分xは、対応する顧客の、対応する時間(サンプリング時間)における車両2の位置(車両位置)を示す。また、成分xは、対応する顧客の車両2の、対応する時間(サンプリング時間)における水素残量を示す。水素残量は、充填率(State Of Charge:SOC)であってもよい。
【0035】
また、成分xは、対応する時間(サンプリング時間)における、対応する顧客が車両2に水素を充填するために訪問した水素ステーションを示す。なお、xの成分値は、例えば、「水素ステーションA:x=1」、「水素ステーションB:x=2」といったように、水素ステーションごとに予め定められている。なお、対応する時間(サンプリング時間)に顧客が水素ステーションを訪問していない場合、xの成分値は、0であってもよい。
【0036】
また、成分xは、対応する顧客の車両2に充填された水素の充填量を示す。なお、充填量は、水素を充填した際に増加した充填率であってもよい。なお、対応する時間(サンプリング時間)において顧客が水素を車両2に充填していない場合、xの成分値は、0であってもよい。また、成分xは、対応する顧客に関する予約情報を示す。予約情報は、対応する時間(サンプリング時間)について、顧客が水素ステーションを訪問して水素を充填することを予め予約したか否かを示す。なお、xの成分値は、例えば、「予約有:x=1」、「予約無:x=0」といったように、予約の有無ごとに予め定められている。
【0037】
また、成分xは、対応する顧客の水素ステーションごとの訪問頻度を示す。また、成分xは、対応する顧客が車両2に水素を充填する充填頻度を示す。また、成分xは、対応する顧客の行動パターンの季節変動を示す。なお、後述するように、x~xは、時系列データでなくてもよく、顧客行動パターン情報から導き出され得る。したがって、x~xは、特徴量として含まれていなくてもよい。
【0038】
地域情報に含まれる特徴量について、図5に示す例では、成分xn+1は、対応する時間(サンプリング時間)における、対応する地域の天気を示す。なお、xn+1の成分値は、例えば、「晴天:xn+1=1」、「雨天:xn+1=2」といったように、天気(晴天、雨天等)ごとに、予め定められている。また、成分xn+2は、対応する時間(サンプリング時間)における、対応する地域の気温を示す。また、成分xn+3は、対応する時間(サンプリング時間)における、対応する地域に設けられた水素ステーションの稼働状況を示す。稼働状況は、例えば、曜日ごと及び時間帯ごとに、対応する水素ステーションが稼働しているか否かを示す。また、成分xn+4は、対応する地域のイベント開催情報を示す。イベント開催情報は、対応する時間(サンプリング時間)において開催させるイベントの種類、及び、イベントの規模(収容人数等)を示してもよい。
【0039】
図6図9は、実施の形態1にかかる顧客行動パターンを例示する図である。図6図9に例示した顧客行動パターンは、横軸を時間とし、縦軸を、対応する顧客の車両2の水素の充填率(水素残量)とするグラフとして示されている。したがって、顧客行動パターンは、時系列データである。なお、図6図9は、水素の充填率の時間経過を示している。したがって、図6図9における充填率の時間経過は、図5に例示した特徴量の「水素残量」に対応する。なお、顧客行動パターンは、対応する車両2の位置の時間経過を示してもよい。この場合、車両2の位置の時間経過は、図5に例示した特徴量の「車両位置」に対応する。
【0040】
図6は、顧客#1の顧客行動パターンを例示する。図6に例示した顧客行動パターンでは、顧客#1の車両2では、水素の充填率が90%のときから2週間程度が経過すると、充填率が20%まで低下する。そして、1回目に充填率が20%まで低下したとき(時間t11)に、顧客#1は、水素ステーションAを訪問して、20%から90%まで、つまり充填率70%分の水素を充填している。このとき、顧客#1は、水素ステーションAを訪問して水素を充填する旨の予約を行っている。
【0041】
また、2回目に充填率が20%まで低下したとき(時間t12)に、顧客#1は、水素ステーションBを訪問して、20%から90%まで、つまり充填率70%分の水素を充填している。このとき、顧客#1は、水素ステーションBを訪問して水素を充填する旨の予約を行っていない。また、3回目に充填率が20%まで低下したとき(時間t13)に、顧客#1は、水素ステーションAを訪問して、20%から90%まで、つまり充填率70%分の水素を充填している。このとき、顧客#1は、水素ステーションAを訪問して水素を充填する旨の予約を行っていない。
【0042】
ここで、図6に例示した顧客行動パターンにおいて、時間t11、時間t12及び時間t13に、それぞれ水素ステーションA、水素ステーションB及び水素ステーションAを訪問したことは、図5に例示した特徴量の「訪問した水素ステーション」に対応する。また、時間t11、時間t12及び時間t13に、それぞれ充填率70%分の水素が充填されたことは、図5に例示した特徴量の「1回当たりの充填量」に対応する。また、時間t11、時間t12及び時間t13に、それぞれ「予約:有」、「予約:無」及び「予約:無」であることは、図5に例示した特徴量の「予約情報」に対応する。
【0043】
また、顧客#1が時間t11及び時間t13に水素ステーションAを訪問し、時間t12に水素ステーションBを訪問したことは、図5に例示した特徴量の「水素ステーションごとの訪問頻度」に対応する。また、2週間ごとに水素が充填されたことは、図5に例示した特徴量の「充填頻度」に対応する。
【0044】
図7は、図6とは異なる季節の顧客#1の顧客行動パターンを例示する。図6は、夏期の顧客行動パターンに対応し、図7は、冬期の顧客行動パターンに対応する。夏期では、顧客#1は、充填率が20%まで低下したときに水素を車両2に充填しているが、冬期では、顧客#1は、充填率が40%まで低下したときに水素を車両2に充填している。つまり、顧客#1は、冬期では、夏期よりも、充填率が低下しないうちに水素を車両2に充填している。一方、夏期では、顧客#1は、2週間ごとに水素を車両2に充填しているが、冬期では、顧客#1は、3週間ごとに水素を車両2に充填している。つまり、顧客#1の充填頻度は、冬期の方が夏期よりも低い。このように、季節に応じて行動パターンが異なることは、図5に例示した特徴量の「季節変動」に対応する。
【0045】
図8は、顧客#2の顧客行動パターンを例示する。また、図9は、顧客#3の顧客行動パターンを例示する。なお、図8図9とで、時間軸は同じであるとする。図8に例示するように、顧客#2は、1カ月ごとに水素を車両2に充填する。また、顧客#2は、充填率が20%まで低下したときに、水素を車両2に充填する。一方、図9に例示するように、顧客#3は、2週間ごとに水素を車両2に充填するが、2カ月間水素を車両2に充填しないこともある。また、顧客#3は、充填率が40%まで低下したときに、水素を車両2に充填する。つまり、顧客#3は、顧客#2よりも、通常の充填頻度が高い。また、顧客#3は、顧客#2よりも、充填率が低下しないうちに水素を車両2に充填している。また、顧客#2は、概ね同じ周期で水素を車両2に充填するのに対し、顧客#3は、水素の消費が少ない期間があるので、水素を車両2に充填する周期は一定でない。このように、顧客によって、行動パターンは異なり得る。
【0046】
図10は、実施の形態1にかかる需要予測モデルから出力される出力データを例示する図である。図10に例示するように、需要予測モデルからは、各水素ステーションにおける、所定期間後の予測される水素の需要量が出力される。図10の例では、水素ステーションAについて、期間T後の水素の需要量、期間T後の水素の需要量、期間T後の水素の需要量、及び期間T後の水素の需要量が、需要予測モデルから出力される。水素ステーションB及び水素ステーションCについても同様である。
【0047】
ここで、学習段階において使用される教師データにおいて、正解データは、図10に例示した出力データに対応し得る。したがって、正解データは、例えば、水素ステーションAについて、入力される顧客行動パターン情報の時系列上の最後の時点(図4のtに対応)から期間T後、期間T後、期間T後、及び期間T後の、水素の実際の需要量であってもよい。
【0048】
なお、学習段階では、顧客行動パターン情報については、水素需要の予測対象タイミング(期間T後等の、所定期間後の時点)よりも前の情報が、入力データとして使用され得る。なお、運用段階では、顧客行動パターン情報については、時系列上の過去の情報が、入力データとして使用され得る。なぜならば、運用段階において、将来の顧客行動パターン情報を取得することは、実質的に困難であるからである。なお、顧客行動パターン情報において、予約情報については、予測対象タイミングで予約が有る場合には、予測対象タイミングまでの情報(将来の情報)が、入力データとして使用されてもよい。
【0049】
一方、地域情報については、予測対象タイミングまでの情報も、入力データとして使用されてもよい。つまり、運用段階において、地域情報については、将来の情報も、入力データとして使用され得る。ここで、図5の例において、「天気」及び「気温」は、天気予報から取得可能である。また、「水素ステーションの稼働状況」は、水素ステーションの稼働予定から取得可能である。また、「イベント開催情報」は、イベントの開催予定から取得可能である。
【0050】
需要予測モデル学習部104は、時間Tにおける期間T後の需要予測を学習する場合には、Tから過去に遡った期間ΔT分の入力データを入力とし、時間Tから期間T後の実際の水素の需要量を正解データとして、需要予測モデルの学習を行ってもよい。なお、ΔTは、図4の時間軸におけるtからtまでの期間に対応する。ここで、ΔT>Δtである。例えばサンプリング周期がΔt=30分である場合、ΔT=6時間として、Tから過去6時間分の入力データを、需要予測モデルに入力してもよい。また、サンプリング周期がΔt=24時間である場合、ΔT=1カ月として、Tから過去1カ月分の入力データを、需要予測モデルに入力してもよい。あるいは、サンプリング周期がΔt=24時間である場合、ΔT=1年として、Tから過去1年分の入力データを、需要予測モデルに入力してもよい。
【0051】
需要予測モデル学習部104は、需要予測モデルの学習が終了すると、学習済みモデル格納部122に、学習済みの需要予測モデルを出力する。これにより、学習済みモデル格納部122は、予め機械学習によって生成された学習済みモデルである需要予測モデルを格納する。そして、学習済みモデルである需要予測モデルは、図4及び図5に例示したような特徴量を含む時系列データである入力データを入力とし、図10に例示したような水素ステーションごとの水素の予測された需要を出力とする。
【0052】
また、学習部100は、後述する予測部140によって予測された需要と実際の需要との差分に応じて、需要予測モデルに対する学習を継続して行ってもよい。詳しくは後述する。
【0053】
入力データ取得部124は、運用段階において、上述した入力データを取得する。ここで、入力データ取得部124は、少なくとも、顧客行動パターン(顧客行動パターン情報)を、入力データとして取得する。入力データ取得部124は、各車両2から、ネットワーク1aを介して、インタフェース部18を用いて、入力データである顧客行動パターン情報を取得する。また、入力データ取得部124は、地域情報を、入力データとして取得する。また、入力データ取得部124は、例えば、現在の時点から所定期間遡った時点までの間の、時系列データである顧客行動パターン情報を取得する。また、入力データ取得部124は、例えば、現在から所定期間遡った時点から、将来の取得可能な時点までの間の、時系列データである地域情報を取得する。
【0054】
予測部140は、学習済みモデル格納部122に格納された需要予測モデルを用いて、少なくとも1つの水素ステーションにおける水素の需要を予測する。つまり、予測部140は、少なくとも顧客行動パターン情報を入力とし予測された水素の需要を出力する需要予測モデルを用いて、少なくとも1つの水素ステーションにおける水素の需要を予測する。
【0055】
需要予測部142は、学習済みモデル格納部122に格納された需要予測モデルに、入力データ取得部124によって取得された入力データを入力する。これにより、需要予測モデルは、図10に例示したような、水素ステーションごとの水素の予測需要量を出力する。これにより、需要予測部142は、水素ステーションごとに、水素の需要量を予測する。
【0056】
このように、需要予測部142(予測部140)は、少なくとも顧客行動パターン情報を入力とし予測された水素の需要を出力する需要予測モデルを用いて、少なくとも1つの水素ステーションにおける水素の需要を予測するように構成されている。これにより、実施の形態1にかかる情報処理装置10は、水素ステーションにおける水素の需要を精度よく予測することができる。すなわち、顧客の行動パターンを用いて水素の需要を予測するように構成されているので、顧客が水素ステーションを訪問して水素を充填する旨の予約を行わなくても、水素の需要を予測することができる。したがって、実施の形態1にかかる情報処理装置10は、水素の需要を精度よく予測することが可能となる。
【0057】
また、図5に例示した特徴量「水素残量」、「訪問した水素ステーション」及び「1回当たりの充填量」から、時系列データである顧客行動パターン情報には、顧客が水素を車両に充填するタイミングが示されていると言える。つまり、特徴量「水素残量」の成分値が上昇し、特徴量「訪問した水素ステーション」及び「1回当たりの充填量」の成分値が変化したタイミングが、顧客が水素を車両に充填したタイミングに対応する。したがって、需要予測部142は、顧客行動パターン情報で示される、顧客が水素を車両に充填するタイミングを用いて、水素の需要を予測する。需要予測部142(予測部140)は、上記のようにして水素の需要を予測しているので、水素の需要の予測精度を向上することができる。すなわち、顧客が水素を車両に充填するタイミングは、概ね同じ周期であることが多い。したがって、その周期に対応するタイミングで需要が多くなると予測するように需要予測モデルが調整されることで、予測精度を向上させることが可能となる。
【0058】
また、図5に例示するように、顧客行動パターン情報には、車両位置が含まれている。したがって、需要予測部142は、顧客行動パターン情報で示される、顧客の車両位置を用いて、水素の需要を予測する。また、図5に例示するように、顧客行動パターン情報には、水素残量が含まれている。したがって、需要予測部142は、顧客行動パターン情報で示される、顧客の車両2の水素残量を用いて、水素の需要を予測する。需要予測部142(予測部140)は、上記のようにして水素の需要を予測しているので、水素の需要の予測精度を向上することができる。すなわち、例えば、顧客の車両2の水素残量が、充填が必要となる程度(図6及び図8の例では充填率20%、図7及び図9の例では充填率40%)まで少なくなったタイミングで、顧客は水素ステーションを訪問する可能性が高い。また、顧客は、そのタイミングにおける車両位置に近い水素ステーションを訪問する可能性が高い。したがって、そのタイミングにおいて、そのタイミングにおける車両位置に近い水素ステーションの需要が多くなると予測するように需要予測モデルが調整されることで、予測精度を向上させることが可能となる。
【0059】
また、図5に例示するように、顧客行動パターン情報には、予約情報が含まれている。したがって、需要予測部142は、顧客行動パターン情報で示される、顧客からの予約情報を用いて、水素の需要を予測する。需要予測部142(予測部140)は、上記のようにして水素の需要を予測しているので、水素の需要の予測精度を向上することができる。すなわち、顧客は、予約情報に対応するタイミングで、水素ステーションを訪問する可能性が非常に高い。したがって、そのタイミングで需要が多くなると予測するように需要予測モデルが調整されることで、予測精度を向上させることが可能となる。
【0060】
図11は、実施の形態1にかかる需要予測部142によって得られた需要予測を例示する図である。図11は、水素ステーションAの需要予測を例示する。また、図11は、横軸を時間軸とし、縦軸を予測需要量とするグラフを示す。ここで、需要予測モデルからは、図10に例示するように、複数のタイミング(T後,T後,T後,T後,・・・)における予測需要量が出力される。したがって、これらの複数のタイミングにおける予測需要量をプロットすることによって、図11に例示するグラフが生成され得る。
【0061】
図11に例示する需要予測では、Taに対応するタイミングで需要が増加している。また、Tbに対応するタイミングで需要が減少している。また、Tcに対応するタイミングで需要が増加している。なお、Ta,Tb,Tcは、時刻を示していてもよいし、時間帯を示していてもよいし、日付を示していてもよい。各タイミングが時刻、時間帯又は日付のいずれを示すかは、どのタイミングの需要予測を行うかに依存し得る。例えば、需要予測モデルが1日のうちの時間帯ごとの需要予測を行うように構成されている場合は、上記のタイミングは、時間帯を示し得る。また、需要予測モデルが1週間又は1カ月のうちの日付ごとの需要予測を行うように構成されている場合は、上記のタイミングは、日付を示し得る。
【0062】
供給可能量決定部144は、予測された需要に基づいて、タイミングに応じた供給可能な水素量(供給可能量)を決定する。具体的には、供給可能量決定部144は、需要が多いと予測されたタイミングでは供給可能量を多くするように、供給可能量を決定する。一方、供給可能量決定部144は、需要が少ないと予測されたタイミングでは供給可能量を少なくするように、供給可能量を決定する。図11の例では、供給可能量決定部144は、水素ステーションAについて、Taのタイミングにおける供給可能量がTbのタイミングにおける供給可能量よりも多くなるように、各タイミングにおける供給可能量を決定する。同様に、供給可能量決定部144は、水素ステーションAについて、Tcのタイミングにおける供給可能量がTbのタイミングにおける供給可能量よりも多くなるように、各タイミングにおける供給可能量を決定する。
【0063】
このように、供給可能量決定部144(予測部140)が、予測された需要に基づいて、タイミングに応じた供給可能な水素量(供給可能量)を決定することにより、水素ステーションの収益の安定化を図ることが可能となる。すなわち、需要が多いと予測されるタイミングで供給可能量を多くすることで、顧客が水素を車両2に充填しようと水素ステーションを訪問した際に水素ステーションが水素を供給できないといった機会損失を抑制することができる。また、需要が少ないと予測されるタイミングで供給可能量を少なくすることで、準備過剰によるロスを抑制することができる。したがって、水素ステーションの収益を安定させることが可能となる。
【0064】
また、供給可能量決定部144は、予測された水素の需要に基づいて、水素の発注のタイミングに応じて、水素準備量を決定してもよい。具体的には、供給可能量決定部144は、各水素ステーションについて、発注の頻度に応じた期間の需要に対応する水素準備量を決定する。例えば、水素ステーションAについては1週間ごとに水素を発注する場合、供給可能量決定部144は、水素ステーションAについて、予測された水素の1週間分の需要に対応する水素準備量を決定する。例えば、水素準備量は、1週間のうちの需要が予測された各タイミングにおける予測需要量を合計することによって、決定されてもよい。このように、供給可能量決定部144(予測部140)が、予測された水素の需要に基づいて、水素の発注のタイミングに応じて、水素準備量を決定することによって、上述した機会損失又は準備過剰をさらに抑制できる。
【0065】
また、供給可能量決定部144は、予測された需要に基づいて、水素の高圧ガスを準備するタイミングを決定してもよい。具体的には、1日のうちの時間帯ごとに水素の需要が予測されている場合、供給可能量決定部144は、需要が高くなる時間帯よりも所定時間前(例えば1時間前)に高圧ガス(高圧水素)を準備するように、高圧ガスを準備するタイミングを決定する。なお、「所定時間」は、水素の高圧化に要する時間に応じて、適宜、設定され得る。水素ステーションでは、水素が準備してあったとしても、水素を高圧化しておかないと、車両2に水素を供給できない。したがって、予測された需要に基づいて水素の高圧ガスを準備するタイミングを決定することで、顧客が水素ステーションを訪問した際に水素を車両2に供給できないといった機会損失を抑制することが可能となる。
【0066】
通知部150は、予測された需要に応じて、いつのタイミングでどの水素ステーションで水素を供給できるかを、顧客に通知する。通知部150は、インタフェース部18を用いて、ネットワーク1aを介して、顧客の装置に対して、水素を供給可能な水素ステーション及びその水素ステーションで水素を供給可能なタイミング(時間帯)を示す通知(供給可能通知)を送信する。
【0067】
具体的には、通知部150は、各水素ステーションについて、水素の需要があると予測されたタイミングを判定する。例えば、通知部150は、各水素ステーションについて、水素の需要量が予め定められた値以上であると予測されたタイミングを判定する。そして、通知部150は、各水素ステーションについて、水素の需要量があると予測されたタイミングを、水素を供給可能なタイミングと設定する。そして、通知部150は、この水素ステーション及びタイミングに応じて、供給可能通知を生成する。通知部150は、生成された供給可能通知を送信する。
【0068】
例えば、通知部150は、顧客の車両2に対して、供給可能通知を送信してもよい。これにより、車両2に、供給可能通知が表示される。この場合において、通知部150は、車両2に搭載されたナビゲーションシステムを用いて、供給可能通知を表示させるようにしてもよい。例えば、通知部150は、ナビゲーションシステムの画面に、水素を供給可能な水素ステーションが表示されている場合に、その水素ステーションで水素が供給できるタイミングを表示させるようにしてもよい。
【0069】
また、例えば、通知部150は、顧客の所有する端末(スマートフォン等)に対して、供給可能通知を送信してもよい。この場合、通知部150は、顧客の端末で実現可能なナビゲーションシステムについて、上述した車両2のナビゲーションシステムについての処理と同様の処理を行ってもよい。あるいは、通知部150は、水素ステーションと水素を供給可能なタイミングとを対応付けたリストを端末に表示させるようにしてもよい。
【0070】
あるいは、通知部150は、水素ステーションのウェブサイトに、供給可能通知を表示させるようにしてもよい。この場合、通知部150は、ウェブサイト上に地図を表示させて、地図上に表示された水素ステーションで水素を供給可能なタイミングを表示させるようにしてもよい。あるいは、通知部150は、水素ステーションと水素を供給可能なタイミングとを対応付けたリストを、ウェブサイトに表示させるようにしてもよい。
【0071】
通知部150が、予測された需要に応じて、いつのタイミングでどの水素ステーションで水素を供給できるかを顧客に通知することによって、顧客に対する利便性を向上させることができる。さらに、水素ステーションの側にとっても、準備した水素を供給できる可能性がより高まる。したがって、上記の通知を顧客に行うことによって、水素の需要と供給との調整をより確実に行うことが可能となる。
【0072】
また、通知部150は、水素を供給可能な水素ステーション及び水素を供給可能なタイミングを通知する際に、水素の価格も通知するようにしてもよい。これにより、顧客は水素の価格と水素を車両2に充填できるタイミングとを同時に把握することができるので、顧客に対する利便性が向上する。
【0073】
学習継続処理部160は、需要予測モデルの学習を継続するための処理を行う。具体的には、学習継続処理部160は、需要の予測値に対応する実績値(実際の需要量)を取得する。そして、学習継続処理部160は、需要の予測値と実績値との差分に応じて、学習部100による学習の継続処理(学習継続処理)を行う。さらに具体的には、学習継続処理部160は、需要の予測値と実績値との差分が予め定められた閾値以上である場合に、学習継続処理を行う。すなわち、需要の予測値と実績値との差分が大きくなった場合とは、需要予測モデルによる需要予測の精度が低下した可能性がある場合である。したがって、この場合に、需要予測モデルの再学習を行うことが好ましい。なお、上記の閾値は、要求される需要の精度に応じて、適宜、定められ得る。
【0074】
学習継続処理は、例えば、以下のようにして行われ得る。学習継続処理部160は、需要の予測値と実績値との差分が予め定められた閾値以上となった時点までの顧客行動パターン情報(及び地域情報)を、入力データとして取得する。また、学習継続処理部160は、その時点までに得られた需要の実績値を、正解データとして取得する。ここで、この時点では、需要予測モデルの学習段階よりも時間が経過していることから、この時点で取得される入力データのデータ量は、需要予測モデルの学習段階で用いられた入力データのデータ量よりも多い。そして、学習継続処理部160は、取得された入力データと正解データとの組を教師データとして、需要予測モデルの再学習を行うように、処理を行う。これにより、学習部100は、需要予測モデルの再学習を行う。
【0075】
なお、学習継続処理は、需要の予測値と実績値との差分が閾値以上となった時点で、直ちに実行される必要はない。例えば、需要の予測値と実績値との差分が閾値以上となることが、所定回数以上発生した場合に、学習継続処理が実行されてもよい。
【0076】
このように、情報処理装置10は、予測部140によって予測された需要と実際の需要との差分に応じて、機械学習のアルゴリズムに対する学習を継続して行ってもよい。このような構成によって、需要予測モデルが、実際の運用に合わせて調整されるので、需要の予測精度を、さらに向上させることが可能となる。
【0077】
図12及び図13は、実施の形態1にかかる情報処理装置10によって実行される情報処理方法を示すフローチャートである。図12及び図13に示すフローチャートは、水素の需要を予測するための需要予測方法に対応する。
【0078】
図12は、需要予測モデルの学習段階における処理を示す。教師データ取得部102は、上述したように、入力データと正解データとの組である教師データを取得する(ステップS102)。需要予測モデル学習部104は、上述したように、取得された教師データを用いて、需要予測モデルの学習処理を行う(ステップS104)。
【0079】
図13は、需要予測モデルの運用段階における処理を示す。入力データ取得部124は、上述したように、入力データを取得する(ステップS112)。ここで、上述したように、入力データには、少なくとも、顧客行動パターン(顧客行動パターン情報)が含まれている。
【0080】
需要予測部142は、上述したように、学習済みモデルである需要予測モデルに入力データを入力して、水素ステーションごとに、予測された水素需要量を取得する(ステップS114)。供給可能量決定部144は、上述したように、予測された需要に基づいて、供給可能量を決定する(ステップS116)。通知部150は、上述したように、水素を供給可能な水素ステーション及び時間帯(タイミング)を、顧客に通知する(ステップS118)。
【0081】
学習継続処理部160は、需要の予測値と実績値との差分が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する(ステップS120)。需要の予測値と実績値との差分が閾値以上であると判定された場合(S120のYES)、学習継続処理部160は、上述したように、学習継続処理を行う(ステップS122)。一方、需要の予測値と実績値との差分が閾値以上であると判定されなかった場合(S120のNO)、S122の処理は行われない。そして、S112~S122の処理が、繰り返され得る。
【0082】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、水素の需要に応じて水素ステーションの営業時間を決定する点で、実施の形態1と異なる。なお、実施の形態2にかかる情報処理システム1の構成については、図1に示した実施の形態1にかかる情報処理システム1の構成と実質的に同様であるので、説明を省略する。また、実施の形態2にかかる情報処理装置10のハードウェア構成については、図2に示した実施の形態1にかかる情報処理装置10のハードウェア構成と実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0083】
図14は、実施の形態2にかかる情報処理装置10の構成を示すブロック図である。実施の形態2にかかる情報処理装置10は、図3に示した実施の形態1にかかる情報処理装置10の構成要素と実質的に同じ構成要素を有する。さらに、実施の形態2にかかる情報処理装置10は、営業時間決定部210(決定部)と、通知部250とを有する。実施の形態2にかかる情報処理装置10において、図3に示した情報処理装置10の構成要素の機能については、特記しない限り、実施の形態1のものと実質的に同様であるので、適宜、説明を省略する。
【0084】
上述したように、予測部140は、水素ステーションにおける水素の時系列的な需要を予測する。つまり、予測部140は、水素ステーションにおける水素の需要の時間的な推移を予測する。また、予測部140は、少なくとも、水素ステーションにおける、予め定められた時間後(例えば1週間後又は1カ月後)の、1日のうちの水素の需要の時間的な推移を予測し得る。
【0085】
営業時間決定部210は、各水素ステーションについて、予測部140によって予測された水素の需要に基づいて、営業時間を決定する。つまり、営業時間決定部210は、各水素ステーションについて、予測された水素の時系列的な需要量に応じて、営業時間を決定する。具体的には、営業時間決定部210は、水素の予測需要量が多い時間帯に対応する時間帯で水素ステーションが営業されるように、水素ステーションの営業時間を決定する。また、営業時間決定部210は、現在から予め定められた時間後(例えば1週間後又は1カ月後)の営業時間を決定する。
【0086】
さらに具体的には、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業開始時間を含む所定期間における予測された需要が所定値を上回る場合に、営業開始時間を通常の営業開始時間よりも早くするように変更する。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業開始時間の近傍の時間帯における予測された需要が所定値を上回る場合に、営業開始時間を通常の営業開始時間よりも早くするように変更する。詳しくは後述する。このような構成により、水素ステーションの営業開始時間を、水素の需要に合わせて調整することが可能となる。
【0087】
また、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業終了時間を含む所定期間における予測された需要が所定値を上回る場合に、営業終了時間を通常の営業終了時間よりも遅くするように変更する。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業終了時間の近傍の時間帯における予測された需要が所定値を上回る場合に、営業終了時間を通常の営業終了時間よりも遅くするように変更する。詳しくは後述する。このような構成により、水素ステーションの営業終了時間を、水素の需要に合わせて調整することが可能となる。
【0088】
また、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業終了時間から所定期間前までの時点までの間における予測された需要が所定値を下回る場合に、営業終了時間を通常の営業終了時間よりも早くするように変更してもよい。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業終了時間の近傍の時間帯における予測された需要が所定値を下回る場合に、営業終了時間を通常の営業終了時間よりも早くするように変更してもよい。このような構成により、水素ステーションの営業終了時間を、水素の需要に合わせて調整することが可能となる。
【0089】
また、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業開始時間から所定期間後の時点までの間における予測された需要が所定値を下回る場合に、営業開始時間を通常の営業開始時間よりも遅くするように変更してもよい。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業開始時間の近傍の時間帯における予測された需要が所定値を下回る場合に、営業開始時間を通常の営業開始時間よりも遅くするように変更してもよい。詳しくは後述する。このような構成により、水素ステーションの営業開始時間を、水素の需要に合わせて調整することが可能となる。
【0090】
なお、営業終了時間を通常の営業終了時間よりも早くする処理は、営業開始時間を通常の営業開始時間よりも早くする処理が行われる場合に、行われてもよい。同様に、営業開始時間を通常の営業開始時間よりも遅くする処理は、営業終了時間を通常の営業終了時間よりも遅くする処理が行われる場合に、行われてもよい。このような構成により、水素ステーションの営業開始時間を早くしたり営業終了時間を遅くしたりすることに伴って営業時間が長くなり過ぎることを、抑制することが可能となる。
【0091】
図15は、水素ステーションの営業時間を例示する図である。図15は、水素ステーションAの通常の営業時間(当初の営業時間)を例示する図である。図15に例示するように、水素ステーションAでは、通常、9時に営業を開始して、18時に営業を終了する。つまり、水素ステーションAにおける、通常の営業開始時間(開店時間)は9時であり、通常の営業終了時間(閉店時間)は18時である。
【0092】
図16及び図17は、実施の形態2における、水素ステーションの営業時間を決定する方法を説明するための図である。図16及び図17は、現在から予め定められた時間後(例えば1週間後又は1カ月後)のある日において、図15に例示した水素ステーションAの通常の営業時間に対して、予測された水素の需要に応じてどのように営業時間を変更するのかを例示している。図16及び図17の上図は、1日のうちの水素の予測需要量の時間的な推移を例示している。また、図16及び図17の下図は、水素の予測需要量に応じて変更された営業時間を例示している。
【0093】
図16の例では、通常の営業開始時間の近傍で需要が多くなっている。具体的には、通常の営業開始時間である9時を含む所定期間Teoの間で、水素の予測需要量が所定値である閾値Th1を上回っている。この場合、営業時間決定部210は、図16の下図に例示するように、営業開始時間を、通常の営業開始時間よりも早い8時に変更する。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業開始時間を含む所定期間Teoにおける水素の予測需要量が閾値Th1を上回る場合に、営業開始時間を、通常の営業開始時間よりも早くするように変更する。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業開始時間の近傍の時間で水素の予測需要量が閾値Th1を上回る場合に、営業開始時間を、通常の営業開始時間よりも早くするように変更する。
【0094】
ここで、営業時間決定部210は、所定期間Teoの全ての時間帯において水素の予測需要量が閾値Th1を上回る場合に、営業開始時間を、通常の営業開始時間よりも早くするように変更してもよい。あるいは、営業時間決定部210は、所定期間Teoのうちの少なくとも一部の時間帯で水素の予測需要量が閾値Th1を上回る場合に、営業開始時間を、通常の営業開始時間よりも早くするように変更してもよい。
【0095】
なお、閾値Th1及び所定期間Teoは、例えば水素ステーション(図16の例では水素ステーションA)の管理者等によって、適宜、設定され得る。また、所定期間Teoの長さは、例えば5分であってもよいし、10分であってもよいし、30分であってもよいし、1時間であってもよい。また、所定期間Teoは、例えば、通常の営業開始時間の前後5分(つまりTeo=10分)であってもよいし、通常の営業開始時間の前後30分(つまりTeo=1時間)であってもよい。
【0096】
また、所定期間Teoは、例えば、通常の営業開始時間の3分前の時点から通常の営業開始時間の7分後の時点までの期間(つまりTeo=10分)であってもよい。また、所定期間Teoは、例えば、通常の営業開始時間の10分前の時点から通常の営業開始時間の20分後の時点までの期間(つまりTeo=30分)であってもよい。また、所定期間Teoは、例えば、通常の営業開始時間の7分前の時点から通常の営業開始時間の3分後の時点までの期間(つまりTeo=10分)であってもよい。また、所定期間Teoは、例えば、通常の営業開始時間の20分前の時点から通常の営業開始時間の10分後の時点までの期間(つまりTeo=30分)であってもよい。
【0097】
また、所定期間Teoは、通常の営業開始時間から後の時点までの期間であってもよい。この場合、所定期間Teoは、例えば、通常の営業開始時間から10分後までの期間(つまりTeo=10分)であってもよいし、通常の営業開始時間から1時間後までの期間(つまりTeo=1時間)であってもよい。あるいは、所定期間Teoは、通常の営業開始時間から前に遡った時点までの期間であってもよい。この場合、所定期間Teoは、例えば、通常の営業開始時間から10分前まで遡った期間(つまりTeo=10分)であってもよいし、通常の営業開始時間から1時間前まで遡った期間(つまりTeo=1時間)であってもよい。
【0098】
なお、所定期間Teoは、水素の需要の予測処理が進むにつれて、変更されてもよい。すなわち、需要予測モデルの学習段階では、システムが運用されていないので、通常の営業開始時間の前では水素ステーションが営業していない可能性が高い。したがって、この段階では、需要予測モデルを用いて通常の営業開始時間の前における水素の需要を精度よく予測することができない可能性がある。したがって、運用段階の初期においては、所定期間Teoは、通常の営業開始時間から後の期間であってもよい。一方、運用が進み、需要予測モデルの学習が進むにつれて、通常の営業開始時間よりも前の需要を精度よく予測できるようになっていく可能性がある。したがって、運用が進んだ段階では、所定期間Teoを、通常の営業開始時間から前の期間としてもよいし、通常の営業開始時間を挟むような期間としてもよい。
【0099】
また、営業開始時間を通常の営業開始時間よりもどれだけ早くするかについても、例えば水素ステーション(図16の例では水素ステーションA)の管理者等によって、適宜、設定され得る。例えば、予め定められた時間だけ、営業開始時間を早くするようにしてもよい。この場合、従業員の勤務可能時間等を考慮して水素ステーションの営業が可能である限り、営業開始時間を早くするようにしてもよい。また、例えば、所定期間Teoが通常の営業開始時間よりも前の時間帯を含む場合は、その所定期間Teoの開始時間まで営業開始時間を早くするようにしてもよい。あるいは、例えば、通常の営業開始時間の前において予測需要量が閾値Th1を上回る時間帯では少なくとも水素ステーションが営業されているようにしてもよい。図16の例では、通常の営業開始時間(9時)の前において予測需要量が閾値Th1を上回った時点まで、営業開始時間を早くするようにしてもよい。
【0100】
また、図16の例では、通常の営業終了時間の近傍では、需要が多くない。具体的には、通常の営業終了時間である18時から所定期間Tecだけ前の時点までの間で、水素の予測需要量が所定値である閾値Th2を下回っている。この場合、図16の下図に例示するように、営業時間決定部210は、営業終了時間を、通常の営業終了時間よりも早い17時に変更してもよい。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業終了時間を含む所定期間Tecにおける水素の予測需要量が閾値Th2を下回る場合に、営業終了時間を、通常の営業終了時間よりも早くするように変更してもよい。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業終了時間の近傍の時間で水素の予測需要量が閾値Th2を下回る場合に、営業終了時間を、通常の営業終了時間よりも早くするように変更してもよい。なお、このように、営業終了時間を通常の営業終了時間よりも早くすることは、営業開始時間を早くした場合に行われてもよい。これにより、営業開始時間を早くしたことにより営業時間が長くなることを、抑制できる。したがって、従業員の労働時間の増加を抑制できるので、労務費の増加を抑制することができる。
【0101】
なお、閾値Th2及び所定期間Tecは、例えば水素ステーション(図16の例では水素ステーションA)の管理者等によって、適宜、設定され得る。また、閾値Th2は、Th1以下の任意の値であってもよい。また、Tecの長さは、例えば5分であってもよいし、10分であってもよいし、30分であってもよいし、1時間であってもよい。また、所定期間Tecは、例えば、通常の営業終了時間から10分前まで遡った期間(つまりTec=10分)であってもよいし、通常の営業終了時間から1時間前まで遡った期間(つまりTec=1時間)であってもよい。なお、Teoと同様に、所定期間Tecは、通常の営業終了時間の前後の期間であってもよい。
【0102】
図17の例では、通常の営業終了時間の近傍で需要が多くなっている。具体的には、通常の営業終了時間である18時を含む所定期間Tdcの間で、水素の予測需要量が所定値である閾値Th3を上回っている。この場合、営業時間決定部210は、図17に例示するように、営業終了時間を、通常の営業終了時間よりも遅い19時に変更する。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業終了時間を含む所定期間Tdcにおける水素の予測需要量が閾値Th3を上回る場合に、営業終了時間を、通常の営業終了時間よりも遅くするように変更する。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業終了時間の近傍の時間で水素の予測需要量が閾値Th3を上回る場合に、営業終了時間を、通常の営業終了時間よりも遅くするように変更する。
【0103】
ここで、営業時間決定部210は、所定期間Tdcの全ての時間帯において水素の予測需要量が閾値Th3を上回る場合に、営業終了時間を、通常の営業終了時間よりも遅くするように変更してもよい。あるいは、営業時間決定部210は、所定期間Tdcのうちの少なくとも一部の時間帯で水素の予測需要量が閾値Th3を上回る場合に、営業終了時間を、通常の営業終了時間よりも遅くするように変更してもよい。
【0104】
なお、閾値Th3及び所定期間Tdcは、例えば水素ステーション(図17の例では水素ステーションA)の管理者等によって、適宜、設定され得る。閾値Th3は、閾値Th1と同じ値であってもよい。一方、管理者等が、予測需要量に応じて営業開始時間を早くすることよりも営業終了時間を遅くすることを所望する場合は、Th3<Th1であってもよい。逆に、管理者等が、予測需要量に応じて営業終了時間を遅くすることよりも営業開始時間を早くすることを所望する場合は、Th3>Th1であってもよい。
【0105】
また、所定期間Tdcの長さは、例えば5分であってもよいし、10分であってもよいし、30分であってもよいし、1時間であってもよい。また、所定期間Tdcは、例えば、通常の営業終了時間の前後5分(つまりTdc=10分)であってもよいし、通常の営業終了時間の前後30分(つまりTdc=1時間)であってもよい。
【0106】
また、所定期間Tdcは、例えば、通常の営業終了時間の7分前の時点から通常の営業終了時間の3分後の時点までの期間(つまりTdc=10分)であってもよい。また、所定期間Tdcは、例えば、通常の営業終了時間の20分前の時点から通常の営業終了時間の10分後の時点までの期間(つまりTdc=30分)であってもよい。また、所定期間Tdcは、例えば、通常の営業終了時間の3分前の時点から通常の営業終了時間の7分後の時点までの期間(つまりTdc=10分)であってもよい。また、所定期間Tdcは、例えば、通常の営業終了時間の10分前の時点から通常の営業終了時間の20分後の時点までの期間(つまりTdc=30分)であってもよい。
【0107】
また、所定期間Tdcは、通常の営業終了時間から前に遡った時点までの期間であってもよい。この場合、所定期間Tdcは、例えば、通常の営業終了時間から10分前まで遡った期間(つまりTdc=10分)であってもよいし、通常の営業終了時間から1時間前まで遡った期間(つまりTdc=1時間)であってもよい。あるいは、所定期間Tdcは、通常の営業終了時間から後の時点までの期間であってもよい。この場合、所定期間Tdcは、例えば、通常の営業終了時間から10分後までの期間(つまりTdc=10分)であってもよいし、通常の営業終了時間から1時間後までの期間(つまりTdc=1時間)であってもよい。
【0108】
なお、所定期間Tdcは、水素の需要の予測処理が進むにつれて、変更されてもよい。すなわち、需要予測モデルの学習段階では、システムが運用されていないので、通常の営業終了時間の後では水素ステーションが営業していない可能性が高い。したがって、この段階では、需要予測モデルを用いて通常の営業終了時間の後における水素の需要を精度よく予測することができない可能性がある。したがって、運用段階の初期においては、所定期間Tdcは、通常の営業終了時間から前の期間であってもよい。一方、運用が進み、需要予測モデルの学習が進むにつれて、通常の営業終了時間よりも後の需要を精度よく予測できるようになっていく可能性がある。したがって、運用が進んだ段階では、所定期間Tdcを、通常の営業終了時間から後の期間としてもよいし、通常の営業終了時間を挟むような期間としてもよい。
【0109】
また、営業終了時間を通常の営業終了時間よりもどれだけ遅くするかについても、例えば水素ステーション(図17の例では水素ステーションA)の管理者等によって、適宜、設定され得る。例えば、予め定められた時間だけ、営業終了時間を遅くするようにしてもよい。この場合、従業員の勤務可能時間等を考慮して水素ステーションの営業が可能である限り、営業終了時間を遅くするようにしてもよい。また、例えば、所定期間Tdcが通常の営業終了時間よりも後の時間帯を含む場合は、その所定期間Tdcの終了時間まで営業終了時間を遅くするようにしてもよい。あるいは、例えば、通常の営業終了時間の後において予測需要量が閾値Th3を上回る時間帯では少なくとも水素ステーションが営業されているようにしてもよい。図17の例では、通常の営業終了時間(18時)の後において予測需要量が閾値Th3を下回った時点まで、営業終了時間を遅くするようにしてもよい。
【0110】
また、図17の例では、通常の営業開始時間の近傍では、需要が多くない。具体的には、通常の営業開始時間である9時から所定期間Tdoだけ後の時点までの間で、水素の予測需要量が所定値である閾値Th4を下回っている。この場合、図17の下図に例示するように、営業時間決定部210は、営業開始時間を、通常の営業開始時間よりも遅い10時に変更してもよい。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業開始時間を含む所定期間Tdoにおける水素の予測需要量が閾値Th4を下回る場合に、営業開始時間を、通常の営業開始時間よりも遅くするように変更してもよい。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業開始時間の近傍の時間で水素の予測需要量が閾値Th4を下回る場合に、営業開始時間を、通常の営業開始時間よりも遅くするように変更してもよい。なお、このように、営業開始時間を通常の営業開始時間よりも遅くすることは、営業終了時間を遅くした場合に行われてもよい。これにより、営業終了時間を遅くしたことにより営業時間が長くなることを、抑制できる。したがって、従業員の労働時間の増加を抑制できるので、労務費の増加を抑制することができる。
【0111】
なお、閾値Th4及び所定期間Tdoは、例えば水素ステーション(図17の例では水素ステーションA)の管理者等によって、適宜、設定され得る。また、閾値Th4は、Th3以下の任意の値であってもよい。また、閾値Th4は、閾値Th2と同じ値であってもよい。一方、管理者等が、予測需要量に応じて営業終了時間を早くすることよりも営業開始時間を遅くすることを所望する場合は、Th4>Th2であってもよい。逆に、管理者等が、予測需要量に応じて営業開始時間を遅くすることよりも営業終了時間を早くすることを所望する場合は、Th4<Th2であってもよい。
【0112】
また、Tdoの長さは、例えば5分であってもよいし、10分であってもよいし、30分であってもよいし、1時間であってもよい。また、所定期間Tdoは、例えば、通常の営業開始時間から10分後までの期間(つまりTdo=10分)であってもよいし、通常の営業開始時間から1時間後までの期間(つまりTdo=1時間)であってもよい。なお、Tdcと同様に、所定期間Tdoは、通常の営業開始時間の前後の期間であってもよい。
【0113】
このように、実施の形態2にかかる情報処理装置10は、少なくとも顧客の行動パターンを入力とする需要予測モデルを用いて予測された水素ステーションにおける水素の需要に基づいて、水素ステーションの営業時間を決定するように構成されている。したがって、水素ステーションにおいて、水素の需要に合った営業時間を決定することが可能となる。これにより、水素ステーションにおいて水素の需要に合わせて水素を供給できる可能性が高まる。したがって、実施の形態2にかかる情報処理装置10は、水素ステーションにおける水素の需要と供給とのバランスを取ることが可能となる。また、これにより、顧客が水素を車両2に充填したいときに水素ステーションが営業している可能性が高まるので、顧客に対する利便性を向上させることが可能となる。また、水素ステーション側としても、顧客が水素ステーションで車両2に水素を充填したいときに水素を供給することができないといった機会損失を抑制することが可能となる。さらに、水素ステーションの従業員の勤務予定日時を調整しやすくなるので、無駄な人件費を抑制することが可能となる。
【0114】
また、営業時間決定部210は、現在から予め定められた時間後の営業時間を決定するように構成されている。ここで、「予め定められた時間後」は、予測部140で予測される需要のタイミングによって、適宜、設定され得る。また、例えば、「予め定められた時間後」は、水素ステーションにおける従業員の勤務予定日時(シフト)の調整をいつまでに行わなければならないかによって、適宜、設定され得る。例えば、従業員の勤務予定日時を3日前までに調整する必要がある場合、営業時間決定部210は、現在から3日以上後の営業時間を決定してもよい。このような構成により、水素ステーションの従業員の勤務予定日時をさらに調整しやすくなるので、従業員に対する利便性を向上させることが可能となる。
【0115】
通知部250は、営業時間決定部210によって決定された営業時間を顧客に通知する。通知部250は、インタフェース部18を用いて、ネットワーク1aを介して、顧客の装置に対して、水素ステーションの営業時間を示す通知(営業時間通知)を送信する。
【0116】
図18は、実施の形態2にかかる営業時間通知を例示する図である。図18は、水素ステーションAに関する営業時間通知を例示している。図18に例示した営業時間通知は、「通常の営業時間」と、「本日の営業時間」と、「明日の営業時間」とを含む。このように、複数の日の営業時間を通知することによって、顧客は、自己の時間の都合等からどの日に水素ステーションを訪問するかを決定することができる。したがって、顧客に対する利便性を向上させることが可能となる。
【0117】
また、通知部150は、例えば、顧客の車両2に対して、営業時間通知を送信してもよい。これにより、車両2に、営業時間通知が表示される。この場合において、通知部250は、車両2に搭載されたナビゲーションシステムを用いて、営業時間を表示させるようにしてもよい。例えば、通知部250は、ナビゲーションシステムの画面に表示された水素ステーションに関する営業時間を表示させるようにしてもよい。
【0118】
また、例えば、通知部250は、顧客の所有する端末(スマートフォン等)に対して、営業時間通知を送信してもよい。この場合、通知部250は、顧客の端末で実現可能なナビゲーションシステムについて、上述した車両2のナビゲーションシステムについての処理と同様の処理を行ってもよい。
【0119】
あるいは、通知部250は、水素ステーションのウェブサイトに、営業時間通知を表示させるようにしてもよい。この場合、通知部250は、ウェブサイト上に地図を表示させて、地図上に表示された水素ステーションの営業時間を表示させるようにしてもよい。あるいは、通知部250は、水素ステーションと営業時間とを対応付けたリストを、ウェブサイトに表示させるようにしてもよい。
【0120】
また、例えば、通知部250は、顧客が訪問する頻度が高い水素ステーションの営業時間を、その顧客に通知してもよい。この場合、通知部250は、顧客行動パターン情報を用いて、顧客が訪問する頻度を判断してもよい。また、例えば、通知部250は、顧客ごとに予め登録された水素ステーションの営業時間を、その顧客に通知してもよい。例えば、顧客#1が水素ステーションAをシステムに登録していた場合に、通知部250は、水素ステーションAの営業時間を、顧客#1に通知してもよい。
【0121】
また、通知部250は、顧客ごとに必要なタイミングで、営業時間を通知してもよい。例えば、通知部250は、顧客の近隣の水素ステーションの営業時間が変更されたときに、その顧客にその水素ステーションの営業時間を通知してもよい。また、例えば、通知部250は、顧客によって予め登録された水素ステーションの営業時間が変更されたときに、その顧客にその水素ステーションの営業時間を通知してもよい。また、通知部250は、水素残量の少ない車両2の顧客に、水素ステーションの営業時間を通知してもよい。
【0122】
通知部250が、決定された営業時間を顧客に通知することによって、顧客に対する利便性を向上させることができる。さらに、水素ステーションの側にとっても、準備した水素を供給できる可能性がより高まる。したがって、上記の通知を顧客に行うことによって、水素の需要と供給との調整をより確実に行うことが可能となる。また、通知部250が、顧客ごとに必要なタイミングで営業時間を通知することによって、顧客に対する利便性をさらに向上させることができる。
【0123】
図19は、実施の形態2にかかる情報処理装置10によって実行される情報処理方法を示すフローチャートである。図19に示すフローチャートは、水素ステーションの営業時間を決定するための営業時間決定方法に対応する。図13のS112と同様に、入力データ取得部124は、上述したように、入力データを取得する(ステップS212)。図13のS114と同様に、需要予測部142は、学習済みモデルである需要予測モデルに入力データを入力して、水素ステーションごとに、予測された水素需要量を取得する(ステップS214)。図13のS114と同様に、供給可能量決定部144は、予測された需要に基づいて、供給可能量を決定する(ステップS216)。
【0124】
営業時間決定部210は、上述したように、予測された水素の需要に応じて、水素ステーションの営業時間を決定する(ステップS218)。具体的には、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業開始時間を含む所定期間における予測された需要が所定値(閾値Th1)を上回るか否かを判定する。そして、営業時間決定部210は、この判定が真の場合に、営業開始時間を通常の営業開始時間よりも早くするように変更する。また、営業時間決定部210は、水素ステーションの通常の営業終了時間を含む所定期間における予測された需要が所定値(閾値Th3)を上回るか否かを判定する。そして、営業時間決定部210は、この判定が真の場合に、営業終了時間を通常の営業終了時間よりも遅くするように変更する。
【0125】
通知部250は、上述したように、水素ステーションの営業時間を、顧客に通知する(ステップS220)。なお、実施の形態2にかかる情報処理装置10は、学習継続処理(図13のS122)を行ってもよい。
【0126】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3においては、水素ステーションの営業時間を決定する際に、従業員の勤務可能日時を考慮する点で、実施の形態2と異なる。なお、実施の形態3にかかる情報処理システム1の構成については、図1に示した実施の形態1にかかる情報処理システム1の構成と実質的に同様であるので、説明を省略する。また、実施の形態3にかかる情報処理装置10のハードウェア構成については、図2に示した実施の形態1にかかる情報処理装置10のハードウェア構成と実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0127】
図20は、実施の形態3にかかる情報処理装置10の構成を示すブロック図である。実施の形態3にかかる情報処理装置10は、図14に示した実施の形態2にかかる情報処理装置10の構成要素と実質的に同じ構成要素を有する。さらに、実施の形態3にかかる情報処理装置10は、従業員情報格納部310を有する。実施の形態3にかかる情報処理装置10において、図14に示した情報処理装置10の構成要素の機能については、特記しない限り、実施の形態2のものと実質的に同様であるので、適宜、説明を省略する。
【0128】
従業員情報格納部310は、従業員情報を格納する。従業員情報は、水素ステーションの各従業員の勤務可能日時(従業員のシフト)の予定を示す。なお、従業員情報については、図21を用いて詳しく説明する。
【0129】
営業時間決定部210は、従業員情報を用いて、水素ステーションの営業時間を決定する。つまり、営業時間決定部210は、水素ステーションの従業員の勤務可能日時に基づいて、水素ステーションの営業時間を決定する。具体的には、営業時間決定部210は、実施の形態2のように、予測された水素の需要に応じて、水素ステーションの営業時間を算出(決定)する。そして、営業時間決定部210は、従業員の勤務可能日時から、算出された営業時間が可能である場合に、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に決定する。一方、営業時間決定部210は、従業員の勤務可能日時から、算出された営業時間が可能でない場合に、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に変更しない。
【0130】
図21は、実施の形態3にかかる従業員情報を例示する図である。図21は、水素ステーションAに関する、ある週の従業員情報を例示する。図21の例では、水素ステーションAには従業員a、従業員b及び従業員cが勤務している。そして、水素ステーションAにおける、営業に最低限必要な従業員の人数は、2人であるとする。つまり、水素ステーションAでは、少なくとも2人の従業員が勤務していないと、営業ができない。なお、営業に必要な従業員の人数は、水素ステーションごとに、適宜、設定され得る。
【0131】
図21の例では、従業員aは、水曜日、木曜日、金曜日、土曜日及び日曜日の10時から19時まで、勤務可能である。また、従業員bは、月曜日及び火曜日の8時から18時まで、及び、金曜日、土曜日及び日曜日の9時から19時まで、勤務可能である。また、従業員cは、月曜日から金曜日の8時から18時まで、勤務可能である。
【0132】
この場合、営業時間決定部210は、図16の下図に例示したような、通常の営業開始時間よりも早く営業が開始され通常の営業終了時間よりも早く営業が終了するような営業時間(「早時間」と称する)が可能であるか否かを判定する。また、営業時間決定部210は、図17の下図に例示したような、通常の営業開始時間よりも遅く営業が開始され通常の営業終了時間よりも遅く営業が終了するような営業時間(「遅時間」と称する)が可能であるか否かを判定する。つまり、営業時間決定部210は、予測された需要に応じて、実施の形態2のように、早時間又は遅時間等の営業時間を算出する。そして、営業時間決定部210は、従業員情報を用いて、算出された営業時間が可能であるか否かを判定する。
【0133】
月曜日については、従業員b及び従業員cが勤務予定である。また、従業員b及び従業員cは、ともに、8時から勤務可能である。したがって、営業時間決定部210は、月曜日については8時から2人以上の勤務が可能であることから、月曜日の営業時間を早時間とすることが可能であると判定する。したがって、営業時間決定部210は、月曜日について水素の需要に応じて早時間の営業時間が算出された場合に、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に決定する。また、従業員b及び従業員cは、ともに、18時まで勤務可能であり、19時まで勤務することができない。したがって、営業時間決定部210は、月曜日については19時まで2人以上の勤務が可能でないことから、月曜日の営業時間を遅時間とすることが不可能であると判定する。したがって、営業時間決定部210は、月曜日について水素の需要に応じて遅時間の営業時間が算出された場合であっても、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に変更しない。なお、火曜日については、月曜日の場合と同様である。
【0134】
水曜日については、従業員a及び従業員cが勤務予定である。また、従業員cは8時から勤務可能であるが、従業員aは8時から勤務することができない。したがって、営業時間決定部210は、水曜日については8時から2人以上の勤務が可能でないことから、水曜日の営業時間を早時間とすることが不可能であると判定する。したがって、営業時間決定部210は、水曜日について水素の需要に応じて早時間の営業時間が算出された場合であっても、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に変更しない。また、従業員aは19時まで勤務可能であるが、従業員cは19時まで勤務することができない。したがって、営業時間決定部210は、水曜日については19時まで2人以上の勤務が可能でないことから、水曜日の営業時間を遅時間とすることが不可能であると判定する。したがって、営業時間決定部210は、水曜日について水素の需要に応じて遅時間の営業時間が算出された場合であっても、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に変更しない。なお、木曜日については、水曜日の場合と同様である。
【0135】
金曜日については、従業員a、従業員b及び従業員cが勤務予定である。また、従業員cは8時から勤務可能であるが、従業員a及び従業員bは8時から勤務することができない。したがって、営業時間決定部210は、金曜日については8時から2人以上の勤務が可能でないことから、金曜日の営業時間を早時間とすることが不可能であると判定する。したがって、営業時間決定部210は、金曜日について水素の需要に応じて早時間の営業時間が算出された場合であっても、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に変更しない。また、従業員a及び従業員bは19時まで勤務可能である。したがって、営業時間決定部210は、金曜日については19時まで2人以上の勤務が可能であることから、金曜日の営業時間を遅時間とすることが可能であると判定する。したがって、営業時間決定部210は、金曜日について水素の需要に応じて遅時間の営業時間が算出された場合に、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に決定する。
【0136】
土曜日については、従業員a及び従業員bが勤務予定である。また、従業員a及び従業員bは8時から勤務することができない。したがって、営業時間決定部210は、土曜日については8時から2人以上の勤務が可能でないことから、土曜日の営業時間を早時間とすることが不可能であると判定する。したがって、営業時間決定部210は、土曜日について水素の需要に応じて早時間の営業時間が算出された場合であっても、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に変更しない。また、従業員a及び従業員bは19時まで勤務可能である。したがって、営業時間決定部210は、土曜日については19時まで2人以上の勤務が可能であることから、土曜日の営業時間を遅時間とすることが可能であると判定する。したがって、営業時間決定部210は、土曜日について水素の需要に応じて遅時間の営業時間が算出された場合に、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に決定する。なお、日曜日については、土曜日の場合と同様である。
【0137】
このように、実施の形態3にかかる営業時間決定部210は、水素ステーションの従業員の勤務可能日時に基づいて、水素ステーションの営業時間を決定するように構成されている。したがって、従業員の勤務可能日時に合わせて水素ステーションの営業時間が決定されるので、従業員に対する利便性を向上させることが可能となる。すなわち、従業員が勤務できないときに水素ステーションが営業されることを抑制することが可能となる。
【0138】
図22は、実施の形態3にかかる情報処理装置10によって実行される情報処理方法を示すフローチャートである。図22に示すフローチャートは、水素ステーションの営業時間を決定するための営業時間決定方法に対応する。図13のS112等と同様に、入力データ取得部124は、上述したように、入力データを取得する(ステップS312)。図13のS114等と同様に、需要予測部142は、学習済みモデルである需要予測モデルに入力データを入力して、水素ステーションごとに、予測された水素需要量を取得する(ステップS314)。図13のS114等と同様に、供給可能量決定部144は、予測された需要に基づいて、供給可能量を決定する(ステップS316)。
【0139】
営業時間決定部210は、従業員情報格納部310から、従業員情報を取得する(ステップS317)。営業時間決定部210は、従業員情報を用いて、水素ステーションの営業時間を決定する(ステップS318)。つまり、営業時間決定部210は、予測された水素の需要と勤務可能な従業員の数とに応じて、営業時間を決定する。具体的には、営業時間決定部210は、図19のS218の処理のように、予測された水素の需要に応じて、水素ステーションの営業時間を算出する。そして、営業時間決定部210は、従業員情報を用いて、算出された営業時間において、必要な人数の従業員が勤務可能であるか否かを判定する。そして、営業時間決定部210は、この判定が真の場合に、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に決定する。一方、営業時間決定部210は、この判定が真でない合に、水素ステーションの営業時間を、その算出された営業時間に変更しない。
【0140】
通知部250は、上述したように、水素ステーションの営業時間を、顧客に通知する(ステップS320)。なお、実施の形態3にかかる情報処理装置10は、学習継続処理(図13のS122)を行ってもよい。
【0141】
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述したフローチャートの複数のステップの順序は、適宜、変更可能である。また、上述したフローチャートの1つ以上のステップは、適宜、省略可能である。例えば、図19のS216及びS220の処理は、省略されてもよい。図22についても同様である。
【0142】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0143】
1 情報処理システム
2 車両
10 情報処理装置
100 学習部
102 教師データ取得部
104 需要予測モデル学習部
122 学習済みモデル格納部
124 入力データ取得部
140 予測部
142 需要予測部
144 供給可能量決定部
150 通知部
160 学習継続処理部
210 営業時間決定部
250 通知部
310 従業員情報格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22