特開 2022-189385 注射器用トレー及び運搬ボックス

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022189385

(43)【公開日】2022-12-22

(54)【発明の名称】注射器用トレー及び運搬ボックス

(51)【国際特許分類】

   A61J 1/00 20060101AFI20221215BHJP

   A61M 5/00 20060101ALN20221215BHJP

【ＦＩ】

A61J1/00 430

A61M5/00 516

【審査請求】未請求

【請求項の数】9

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021097935

(22)【出願日】2021-06-11

【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第２項適用申請有り 令和３年５月２８日に前橋市医師会にて同医師会にサンプル品を提供

(71)【出願人】

【識別番号】521255288

【氏名又は名称】旭化成株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100113549

【弁理士】

【氏名又は名称】鈴木 守

(74)【代理人】

【識別番号】100115808

【弁理士】

【氏名又は名称】加藤 真司

(72)【発明者】

【氏名】梶 徹也

(72)【発明者】

【氏名】岸 竜太

【テーマコード（参考）】

4C047

4C066

【Ｆターム（参考）】

4C047AA34

4C047BB11

4C047CC25

4C047DD33

4C047EE02

4C066AA09

4C066DD08

4C066LL30

(57)【要約】      （修正有）

【課題】内容物を収容した注射器の運搬に適した注射器用トレーを提供する。
【解決手段】注射器用トレー１は、内容物を収容した注射器を載置する注射器用トレーであって、注射器２０が注射器用トレー１の短辺と平行になるように注射器２０の押部材２１を案内する後方ガイド１２と、注射器２０のキャップ２２及びシリンジ２３の先端部を案内する前方ガイド１３と、弾力性を有する材料からなり注射器２０のシリンジ２３を保持する保持部１４とを備える。後方ガイド１２の幅Ｗは、載置される注射器２０のシリンジ２３の鍔部２４の径Ｔより狭い。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

内容物を収容した注射器を載置する注射器用トレーであって、
前記注射器が所定の方向を向くように前記注射器の押部材を案内するガイドを備え、
前記ガイドの幅は前記注射器のシリンジの鍔部の径より狭い注射器用トレー。

【請求項2】

前記注射器が所定の方向を向くように前記注射器のシリンジの先端部を案内する第２のガイドを備える請求項１に記載の注射器用トレー。

【請求項3】

内容物を収容した注射器を載置する注射器用トレーであって、
前記注射器のシリンジの鍔部に対して押部材の側から当接する当接部を備える注射器用トレー。

【請求項4】

弾力性を有する材料からなり前記注射器のシリンジを保持する保持部を備える請求項１乃至３のいずれか１項に記載の注射器用トレー。

【請求項5】

前記注射器用トレーは、発泡樹脂で構成される請求項１乃至４のいずれか１項に記載の注射器用トレー。

【請求項6】

前記注射器用トレーの下面には、前記注射器用トレーを上下に重ねたときに下段の注射器用トレーの側壁に係合する段差が形成されている請求項１乃至５のいずれか１項に記載の注射器用トレー。

【請求項7】

前記段差によって形成された凸部は、下段の注射器用トレーに載置された注射器の少なくとも一部に当接する請求項６に記載の注射器用トレー。

【請求項8】

上下に重ねた複数の請求項６または７に記載の注射器用トレーと、
最上段の注射器用トレーに被せる上蓋と、
を備える運搬ボックス。

【請求項9】

各注射器用トレーの底部には貫通孔が形成され、
前記貫通孔によって形成された空間に収納された蓄冷材と、
最下段の注射器用トレーに下から被せる下蓋と、
を備える請求項８に記載の運搬ボックス。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ワクチンや薬剤等の内容物が収納された注射器を載置する注射器用トレーに関する。

【背景技術】

【0002】

昨年から、ＣＯＶＩＤ－１９のパンデミックが世界的な大問題となっている。このパンデミックに対する切り札と考えられているのがワクチンであり、わが国でも、これまでにないワクチンの大規模接種が計画され、実行に移されている。

【0003】

ワクチンの大規模接種を実現するためには、病院や診療所だけでは到底間に合わないので、特設会場の設置が計画されている。こうした病院以外の施設での接種では、バイアルに入った原液を希釈してワクチンを注射器で吸引する人員や時間が足りないため、あらかじめワクチンを収容した注射器を準備し、これを会場まで運ぶ。また、会場が広い場合には、会場内でも運ぶ必要がある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開平１０－５３３１

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

医療の現場では、医療用補助品、例えば綿棒、脱脂綿、シーツ、ガーゼ、消毒薬、ピンセット等を載置する医療用のトレーが用いられる。医療用のトレーは、注射を行う直前にワクチンや薬剤等を収容した注射器を置くためにも用いられる。しかし、医療用のトレーは、ワクチンや薬剤等を収容した注射器の運搬に適したものではない。

【0006】

特許文献１は、注射器用のトレーを開示している。しかし、同文献にプランジャーロッドを別途準備することが記載されているように、引用文献１に記載の注射器用トレーは、プランジャーロッドがない注射器を収容するトレーである。この注射器用トレーは、ワクチンを吸引した状態の注射器の運搬に適したトレーではない。

【0007】

そこで、本発明は、上記背景に鑑み、内容物を収容した注射器の運搬に適した注射器用トレーを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明の注射器用トレーは、内容物を収容した注射器を載置する注射器用トレーであって、前記注射器が所定の方向を向くように前記注射器の押部材を案内するガイドを備え、前記ガイドは前記注射器のシリンジの鍔部の径より狭い幅を有する。

【0009】

このように本発明の注射器用トレーは注射器シリンジより後方の押部材を案内するガイドを有する。そして、ガイドの幅は鍔部の径より狭いので、鍔部はガイドを通ることができず、鍔部がガイドに当接することにより、注射器の後方への移動が抑制され、押部材が誤って押されないようにできる。なお、本書では、注射器の針のある方を注射器の前方といい、押部材のある方を注射器の後方という。

【0010】

本発明の注射器用トレーは、前記注射器が所定の方向を向くように前記注射器のシリンジの先端部を案内する第２のガイドを備えてもよい。この構成により、注射器の先端部がふらつかないようにできる。

【0011】

本発明の別の態様の注射器用トレーは、内容物を収容した注射器を載置する注射器用トレーであって、前記注射器のシリンジの鍔部に対して押部材の側から当接する当接部を備える。この構成により、鍔部が当接部に当接することにより、注射器の後方への移動が抑制され、押部材が誤って押されないようにできる。

【0012】

本発明の注射器用トレーは、弾力性を有する材料からなり前記注射器のシリンジを保持する保持部を備えてもよい。このように注射器を保持することにより、注射器用トレーが垂直方向に動いても注射器が上下方向に移動しづらくなる。また、保持部は弾力性を有するので、注射器を取り出しやすい。また、保持部の弾力性により、太さの異なる注射器を保持することができる。

【0013】

本発明の注射器用トレーは、発泡樹脂で構成されてもよい。この構成により、軽量で、かつ、断熱性及び緩衝性に優れた注射器用トレーを実現できる。なお、発泡樹脂の中でも発泡スチロールを好適に用いることができる。

【0014】

本発明の前記注射器用トレーの下面には、前記注射器用トレーを上下に重ねたときに下段の注射器用トレーの側壁に係合する段差が形成されていてもよい。この構成により、注射器用トレーを上下に段積みしたときに、上段の注射器用トレー下面の段差が下段の注射器用トレーの側壁に係合するので、上段の注射器用トレーの水平方向への移動を抑制できる。

【0015】

本発明の注射器用トレーにおいて、前記段差によって形成された凸部は、下段の注射器用トレーに載置された注射器の少なくとも一部に当接してもよい。この構成により、注射器の上下方向への移動を規制することができる。

【0016】

本発明の運搬ボックスは、上下に重ねた上記記載の複数の注射器用トレーと、最上段の注射器用トレーに被せる上蓋とを備える。この構成により、注射器用トレーを段積みした状態で安全に運搬することができる。上蓋を有することで、最上段の注射器トレーに物が当たるなどして注射器が破損することを防止できる。

【0017】

本発明の運搬ボックスは、各注射器用トレーの底部には貫通孔が形成され、前記貫通孔によって形成された空間に収納された蓄冷材と、最下段の注射器用トレーに下から被せる下蓋とを備えてもよい。この構成により、運搬ボックス内の温度管理を行える。

【発明の効果】

【0018】

本発明によれば、内容物を収容した注射器の運搬に適した注射器用トレーを実現できる。

【図面の簡単な説明】

【0019】

【図1】第１の実施の形態の注射器用トレーを示す斜視図である。

【図2】注射器を載置した状態の注射器用トレーを示す斜視図である。

【図3】注射器を載置した状態の注射器用トレーを示す平面図である。

【図4】図３のＡ－Ａ断面を示す図である。

【図5】段積みした状態の注射器用トレーを示す斜視図である。

【図6】段積みした状態の注射器用トレーを示す断面図である。

【図7】第２の実施の形態の注射器用トレー及び運搬ボックスの例を示す斜視図である。

【図8】第３の実施の形態の注射器用トレーを示す斜視図である。

【図9】第１の変形例に係る注射器用トレーを示す平面図である。

【図10】第２の変形例に係る注射器用トレーを示す平面図である。

【図11】第３の変形例に係る注射器用トレーを示す平面図である。

【発明を実施するための形態】

【0020】

以下、本発明の実施の形態の注射器用トレーについて図面を参照しながら説明する。
（第１の実施の形態）
図１は、第１の実施の形態の注射器用トレー１を示す斜視図である。図２は、注射器２０を載置した状態の注射器用トレーを示す斜視図、図３は同平面図である。

【0021】

注射器用トレー１は、矩形形状の本体部１１を有している。注射器用トレー１は、その本体部１１の内部に、注射器２０の押部材２１を案内する後方ガイド１２と、注射器２０のキャップ２２及びシリンジ２３の先端を案内する前方ガイド１３とを有している。なお、押部材２１は、「押し子」、「プランジャ」などとも呼ばれる部材である。注射器用トレー１に載置される注射器２０は、後方ガイド１２及び前方ガイド１３によって、注射器用トレー１の辺（この例では短辺）と平行な方向を向くように案内される。なお、注射器用トレー１に載置される注射器２０の長さや径の仕様は、予め想定されている。注射器用トレー１は、想定された注射器２０を適切に載置できるように設計されている。ただし、後述するように、注射器用トレー１は、多少仕様の違う注射器２０にも適用可能である。

【0022】

後方ガイド１２及び前方ガイド１３は、注射器用トレー１の辺（この例では長辺）に沿って並列して配置されており、注射器用トレー１は、１０本の注射器２０を並べて載置することができる。後方ガイド１２を構成する短辺と平行に延びる壁部は、隣接する後方ガイド１２を構成する壁部を兼ねている。前方ガイド１３についても同様に、隣接する前方ガイド１３どうしが壁部を共有している。なお、本実施の形態では、載置する注射器２０が１０本の注射器用トレー１を例としているが、載置可能な注射器２０の本数は、仕様に応じて適宜変更してもよい。

【0023】

注射器用トレー１は発泡スチロールの成形品であり、注射器用トレー１の本体部１１と後方ガイド１２及び前方ガイド１３は一体成形されている。発泡スチロールで成形することにより、軽量性、断熱性及び緩衝性という発泡スチロールの性能を持った注射器用トレー１を実現できる。図面には表していないが、注射器用トレー１は、着色されていてもよいし、デザインを有していてもよい。なお、発泡スチロールを成形する際に、ビーズの融着と製品表面の溶融固化を行って被膜を形成させる技術により、表面に硬い皮膜層を形成することにより、耐久性及び意匠性に優れた注射器用トレー１を製造できる。

【0024】

図３に示すように後方ガイド１２の幅Ｗは、載置される注射器シリンジ２３の鍔部２４の径Tよりも狭い。この構成により、鍔部２４は後方ガイド１２に当接し、注射器２０の後方への移動は制限される。ここで、後方ガイド１２の長さＬについて説明する。図３に示すように、押部材２３を後方に引いてワクチンや薬剤等の内容物を吸引した状態において、シリンジ２３の外に出ている部分の押部材２３の長さPよりも、後方ガイド１２の長さＬの方が長い。この構成により、注射器用トレー１の長辺の内壁と押部材２１との間には隙間Ｇが確保される。したがって、押部材２１に力がかかることがなく、運搬中に、ワクチンや薬剤等の内容物が誤って押し出されてしまうことがない。

【0025】

また、注射器用トレー１は、図１に示すように、後方ガイド１２と前方ガイド１３の間に、注射器シリンジ２３を保持する保持部１４を有する。保持部１４は、注射器用トレー１の本体部１１とは別部材である。保持部１４は、例えば、発泡ポリエチレン等の弾力性がある素材で形成されている。複数の注射器２０を保持する複数の保持部１４は、一体成形されている。

【0026】

図４は、図３に示す注射器用トレー１のＡ－Ａ断面を示す図である。保持部１４は、注射器のシリンジ２３の径と略同一の内径を有する切欠部１４ａを有する。切欠部１４ａは、円の一部をカットしたような形状を有しており、切欠部１４ａの入口は切欠部１４ａの内側の径よりも狭い。注射器２０のシリンジ２３が切欠部１４ａに嵌め込まれることで、注射器２０が保持される。なお、保持部１４は、弾性力がある素材で構成されているので、シリンジ径が若干異なる注射器２０も保持することができる。この保持部１４によって、載置した注射器２０を保持することにより、垂直方向の揺れに起因する注射器２０への衝撃を弱めることができる。

【0027】

図５は、段積みした状態の注射器用トレー１を示す斜視図であり、図６は段積みした状態の注射器用トレー１を示す断面図である。注射器用トレー１の側壁の上面１６は水平面となっており、注射器用トレー１を水平に積むことができる。図５に示すように、注射器用トレー１は、その長辺の中央部下側に凹部１５を有し、この部分に手をかけて注射器用トレー１を持ち運び易くなっている。

【0028】

図６に示すように、注射器用トレー１の底面には下方向に突出する段差１７が形成されている。この段差１７が、下の注射器用トレー１の側壁の間に嵌り込み、注射器用トレー１の側壁に係合する。この構成により、上に積まれた注射器用トレー１は、水平方向の移動が制限され、注射器用トレー１の積載状態が安定する。

【0029】

また、注射器用トレー１の底面に形成された段差１７は、下段の注射器用トレー１に載置された注射器２０に当接する突出量を有している。なお、注射器用トレー１に載置される注射器２０の大きさは概ね定まっているので、想定される注射器２０の高さに基づいて段差１７の突出量を設計することができる。この構成により、下段の注射器用トレー１に載置された注射器２０は、上段の注射器用トレー１の段差１７に当接するので、上下方向への移動が制限される。

【0030】

以上、第１の実施の形態の注射器用トレー１について説明した。第１の実施の形態の注射器用トレー１は、後方ガイド１２の幅Ｗが載置される注射器２０のシリンジ２３の鍔部２４の径Ｔよりも狭いので、鍔部２４が後方ガイド１２に当接し、注射器２０の後方への移動が制限される。これにより、押部材２１が注射器用トレー１の側壁に当たることがなく、押部材２１が誤って押されてワクチン等が出てしまうことがない。したがって、この注射器用トレー１を用いることで、ワクチン等が収容された注射器２０を適切に運搬できる。また、注射器２０の運搬のみならず、病院や診療所等で、注射する前に注射器２０を置いておく入れ物としても好適である。注射器２０の一時置き用として注射器用トレー１を用いた場合にも、誤って押部材２１を押してしまうという不都合を防止できる。

【0031】

第１の実施の形態の注射器用トレー１は、後方ガイド１２と前方ガイド１３との間にガイドの無い空間を有しているので、注射器用トレー１に載置された注射器２０を掴んで取り出しやすい。

【0032】

また、第１の実施の形態の注射器用トレー１は、段差１７によって安定的に段積みできるので、一度に多くの注射器２０を運ぶことができる。

【0033】

本実施の形態では、上段の注射器用トレー１の段差１７が下段の注射器用トレー１に載置された注射器２０の鍔部２４に当接する例を挙げたが、段差１７は、下段の注射器２０のシリンジ２３に当接する大きさとしてもよい。この場合、鍔部２４の部分に対応する領域には凹部を形成しておき、鍔部２４を収容できるようにしておくことが必要である。

【0034】

（第２の実施の形態）
図７は、第２の実施の形態の注射器用トレー２および注射器用トレー２を段積みして構成される運搬ボックスの構成を示す図である。第２の実施の形態の注射器用トレー２の基本的な構成は第１の実施の形態の注射器用トレー１と同じであるが、第２の実施の形態の注射器用トレー２は、前方ガイド１３と側壁との間の底面に貫通孔１８が形成されている。

【0035】

図７に示すように、貫通孔１８のある場所を揃えて注射器用トレー２を段積みし、段積みされた注射器用トレー２の最下段の注射器用トレー２に下から下蓋３２を被せる。また、最上段の注射器用トレー２にも上蓋３１を被せる。上下の蓋３１，３２と段積みされた注射器用トレー２によって、運搬ボックス３０が構成される。

【0036】

各注射器用トレー２の貫通孔１８によって構成される空間には、蓄冷材３３を入れる。この構成により、運搬ボックス３０の内部を低温に保つことができる。例えばＣＯＶＩＤ－１９のワクチンなどのように低温管理が必要なワクチンを収容した注射器２０を運搬するのに好適である。なお、蓄冷材３３のサイズは重ねる注射器用トレー２の数によって変更可能である。また、上蓋３１を使用することで、最上段の注射器用トレー２に物が当たって、載置した注射器２０が破損する不都合を防止できる。

【0037】

本実施の形態では、貫通孔１８を有する注射器用トレー２を段積みした例を挙げて説明したが、第１の実施の形態で説明した注射器用トレー１を段積みし、上蓋３１を被せて運搬ボックス３０を構成することも可能である。なお、底面に貫通孔１８を有しない第１の実施の形態の注射器用トレー１を段積みする場合には、下蓋３２はなくてもよい。

【0038】

（第３の実施の形態）
図８は、第３の実施の形態の注射器用トレー３を示す斜視図である。第３の実施の形態の注射器用トレー３の基本的な構成は第１の実施の形態の注射器用トレー１と同じであるが、第３の実施の形態の注射器用トレー３は、第１の実施の形態で説明した保持部１４を有しない。第３の実施の形態の注射器用トレー３は、病院内において、ワクチンや薬剤等を吸引した注射器２０を置いておくのに適している。

【0039】

第３の実施の形態の注射器用トレー３は、第１の実施の形態の注射器用トレー１と同様に、後方ガイド１２と前方ガイド１３によって注射器２０を案内することで、注射器２０を短辺と平行な方向に向けておくことができると共に、後方ガイド１２の効果により、押部材２１が押されないという効果を有する。

【0040】

以上、本発明の注射器用トレーならびに運搬ボックスについて、実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明の注射器用トレー及び運搬ボックスは上記実施の形態に限定されるものではない。注射器２０が後方に移動して側壁と押部材２１が接触してしまわないように、注射器２０の後方への移動を制限する様々な変形例が考えられる。以下、いくつかの例を示す。

【0041】

図９は、第１の変形例に係る注射器用トレー４の構成を示す平面図である。第１の変形例に係る注射器用トレー４は、第１の実施の形態の注射器用トレー１と基本的な構成は同じであるが、後方ガイド１２が側壁にまで延設されていない点が異なる。後方ガイド１２は、押部材２１を案内する機能と、注射器２０の後方への移動を規制する機能を有すれば、押部材２１が誤って押されてしまうことなく、注射器２０の運搬を適切に行える。

【0042】

図１０は、第２の変形例に係る注射器用トレー５の構成を示す平面図である。第２の変形例に係る注射器用トレー５は、第１の実施の形態の注射器用トレー１において、前方ガイド１３を省略した構成である。

【0043】

図１１は、第３の変形例に係る注射器用トレー６の構成を示す平面図である。第３の変形例に係る注射器用トレー６は、第１の実施の形態の注射器用トレー１において、後方ガイド１２及び前方ガイド１３を省略した構成を有する。代わりに、第３の変形例に係る注射器用トレー６は、保持部１４によって注射器２０を保持した状態で、注射器２０の鍔部２４に後方から当接する当接部１９を備えている。鍔部２４が当接部１９に当接することにより、注射器２０の後方への移動を防止する。

【0044】

また、上記実施の形態では、注射器用トレーを発泡スチロールで構成する例を挙げたが、注射器用トレーは、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂、アクリロニトリルスチレン等の別の材料を用いた発泡樹脂によって構成してもよい。

【産業上の利用可能性】

【0045】

本発明は、ワクチンや薬剤等の内容物を収容した注射器の運搬に適した注射器用トレーとして有用である。

【符号の説明】

【0046】

１～６ 注射器用トレー
１１ 本体部
１２ 後方ガイド
１３ 前方ガイド
１４ 保持部
１５ 凹部
１６ 側壁の上面
１７ 段差
１８ 貫通孔
１９ 当接部
２０ 注射器
２１ 押部材
２２ キャップ
２３ シリンジ
２４ 鍔部
３０ 運搬ボックス
３１ 上蓋
３２ 下蓋
３３ 蓄冷材

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】