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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189391
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/56 20180101AFI20221215BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20221215BHJP
【FI】
F24F11/56
F24F11/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097943
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭佑
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA33
3L260BA56
3L260BA64
3L260CB61
3L260DA10
3L260FA15
3L260FC32
3L260FC33
3L260GA02
3L260HA06
3L260JA07
3L260JA16
3L260JA18
(57)【要約】
【課題】リモコンの操作によらず、温度設定範囲の制限及び制限の解除を行う。
【解決手段】空調システム100は、空気調和機10と、複数の操作端末20とを備える。複数の操作端末20は、ネットワーク30を介して、空気調和機10と双方向通信可能である。複数の操作端末20のうち、少なくとも1つの操作端末20が、空気調和機10の実行可能な運転内容の変更を制限する制限設定を送信可能な管理権限を有する管理端末である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機と、
ネットワークを介して前記空気調和機と双方向通信可能な複数の操作端末と
を備え、
前記複数の操作端末のうち少なくとも1つの操作端末が、前記空気調和機の実行可能な運転内容の変更を制限する制限設定を送信可能な管理権限を有する管理端末である、空調システム。
【請求項2】
前記管理端末は、他の前記操作端末に前記管理権限の付与又は移譲が可能である、請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記空調システムには、少なくとも1つのアカウントが設定され
前記アカウントには、少なくとも1つの前記操作端末が登録される、請求項1又は請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
1つの前記アカウントに1つの前記管理端末を含む複数の前記操作端末が登録されている場合、前記管理端末と前記空気調和機との通信が遮断されるか、前記管理端末が前記アカウントから抹消されると、前記アカウントに登録された前記管理端末以外の前記操作端末のうちの1つの前記操作端末に前記管理権限が移譲される、請求項3に記載の空調システム。
【請求項5】
前記アカウントに登録された前記管理端末以外の前記操作端末のうち、最も早く登録された前記操作端末に前記管理権限が移譲される、請求項4に記載の空調システム。
【請求項6】
前記空調システムに、複数の前記アカウントが設定され、
複数の前記アカウントのうちの1つの管理アカウントに1つの前記管理端末が登録され、
前記管理アカウント以外の前記アカウントに、それぞれ、少なくとも1つの前記操作端末が登録され、
前記管理端末と前記空気調和機との通信が遮断されたか、前記管理端末が前記管理アカウントから抹消されたか、前記管理アカウントが削除された場合、前記管理アカウント以外のいずれかの前記アカウントに登録された前記操作端末に前記管理権限が移譲される、請求項3に記載の空調システム。
【請求項7】
前記管理アカウント以外の前記アカウントに登録された前記操作端末のうち、最も早く登録された前記操作端末に前記管理権限が移譲される、請求項6に記載の空調システム。
【請求項8】
前記空調システムに、1つの前記管理端末が登録された管理アカウントを含む少なくとも1つの前記アカウントが設定され、
前記管理アカウント以外の前記アカウントに、前記操作端末が登録されておらず、
前記管理端末と前記空気調和機との通信が遮断されたか、前記管理端末が前記管理アカウントから抹消されたか、前記管理アカウントが削除された場合、
前記制限設定が無効にされる、請求項3に記載の空調システム。
【請求項9】
前記空調システムは、1又は複数の前記操作端末及び前記空気調和機を管理する管理装置を更に備え、
前記管理装置は、1又は複数の前記操作端末と双方向通信可能であり、
前記管理装置は、前記空気調和機と双方向通信可能であり、
前記管理装置及び前記空気調和機間での通信が可能な状態において、前記通信が遮断され、所定期間以上経過すると、前記制限設定が無効にされる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項10】
前記管理装置は、前記複数の操作端末と前記管理権限との対応関係を示す権限情報と、前記制限設定を示す設定情報とを記憶する記憶部を有し、
前記制限設定が無効にされてから前記通信が復旧した場合、
前記管理装置は、前記設定情報に基づいて、前記制限設定を有効にする、請求項9に記載の空調システム。
【請求項11】
前記管理装置は、前記権限情報に基づいて、前記制限設定を有効にするか否かを判定する、請求項10に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の空気調和機では、温度設定範囲の上限値及び下限値を設定して、温度設定範囲を制限することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-61932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の空気調和機では、ユーザーの操作によりリモコンから特殊な信号が送信されて温度設定範囲が制限される。例えば、一時的にリモコンを紛失してしまうと、温度設定範囲の制限及び制限の解除ができず、利便性が悪い。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リモコンの操作によらず、温度設定範囲の制限及び制限の解除が可能な空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空調システムは、空気調和機と、複数の操作端末とを備える。前記複数の操作端末は、ネットワークを介して前記空気調和機と双方向通信可能である。前記複数の操作端末のうち少なくとも1つの操作端末が、前記空気調和機の実行可能な運転内容の変更を制限する制限設定を送信可能な管理権限を有する管理端末である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リモコンの操作によらず、温度設定範囲の制限及び制限の解除が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の空調システムの一例を示す図である。
図2】本実施形態の空調システムの一例のブロック図である。
図3】他の通常端末への管理権限の付与前を示す図である。
図4】他の通常端末への管理権限の付与後を示す図である。
図5図3に示す管理端末から通常端末への管理権限の移譲の一例を示す図である。
図6図5に示す管理端末から通常端末への管理権限の移譲の一例を示す図である。
図7図6に示す管理端末から通常端末への管理権限の移譲ができない例を示す図である。
図8】本実施形態の空調システムの他の例を示す図である。
図9】本実施形態の空調システムの他の例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態の空調システム及び空気調和機を説明する。図1は、本実施形態の空調システムの一例を示す図である。図2は、本実施形態の空調システムの一例のブロック図である。空調システム100は、空気調和機10と、1又は複数の操作端末20とを備える。図1では、一例として、空調システム100は、操作端末20A、20Bを備える。図2では、代表的に1つの操作端末20を示す。空気調和機10は、例えば、部屋RMに設置されたエアーコンディショナー(エアコン)であり、部屋RM内の空気を調和する。空気調和機10は、ネットワーク30を介して、操作端末20と双方向通信可能である。操作端末20は、ネットワーク30を介して、空気調和機10と双方向通信可能である。操作端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピューター(ノートPC)又はデスクトップ型パーソナルコンピューター(デスクトップPC)である。
【0011】
[空気調和機10]
図2に示すように、空気調和機10は、空気調和部11と、受付部12と、制御部13と、表示部14と、記憶部15とを備える。空気調和部11は、空気の温度、湿度及び気流のうち少なくとも1つの性質を調和する。
【0012】
受付部12は、空気調和部11に関する空調設定を受け付ける。具体的には、受付部12は、例えば、通信部121と、赤外線受光部122とを含む。通信部121は、有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等を含むネットワーク30を介して、操作端末20から送信された空調設定を含む信号を受信する。赤外線受光部122は、図示しないリモコンから送信された空調設定を含む赤外線信号を受光する。
【0013】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。制御部13は、通信部121が受信した信号に含まれる空調設定、又は赤外線受光部122が受光した赤外線信号に含まれる空調設定を取得し、取得した空調設定に基づいて、空気調和部11を制御する。
【0014】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイであり、制御部13の制御により、空調設定に関する表示を表示する。具体的には、制御部13は、空調設定の示す温度及び湿度等を含む空調設定画像を生成して表示部14に表示させる。なお、空調設定画像は、温度及び湿度の他に、空気調和部11の風量及び風向等を含んでもよい。
【0015】
また、例えば、表示部14は、1又は複数のLEDランプであってもよい。この場合、制御部13は、空調設定に基づいて、対応するLEDランプの点灯及び消灯を制御する。具体的には、制御部13は、LEDランプの点灯色又は点灯させるLEDランプの数を、空調設定に応じて変更する。
【0016】
記憶部15は、種々のデータを記憶する。例えば、記憶部15は、空気調和機10の運転のための制御プログラムを記憶する。制御部13は、制御プログラムを実行することによって、空気調和機10の動作を制御する。
【0017】
[操作端末20]
操作端末20は、制御部21と、記憶部22と、表示部23と、操作部24と、通信部25とを有する。制御部21は、記憶部22と、表示部23と、操作部24と、通信部25とを制御する。
【0018】
制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。
【0019】
記憶部22は、種々のデータを記憶する。例えば、記憶部22は、操作端末20の駆動のための制御プログラムを記憶する。制御部21は、制御プログラムを実行することによって、操作端末20の動作を制御する。
【0020】
また、記憶部22は、空気調和機10の制御に関するアプリケーションプログラムを記憶してもよい。例えば、制御部21は、アプリケーションプログラムを実行して、空気調和機10を制御してもよい。
【0021】
表示部23は、操作画面又は各種処理の結果を表示する。表示部23は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを含む。
【0022】
操作部24は、タッチセンサーを含んでもよい。表示部23及び操作部24は、両者の一体化されたタッチパネルであってもよい。タッチパネルには、例えば、ジョブの種類及びジョブの内容を指示するための各種キーが表示される。あるいは、操作部24は、ボタン又はキーボードを含んでもよい。
【0023】
通信部25は、外部機器と通信する。ここでは、通信部25は、ネットワーク30を介して、少なくとも空気調和機10に特定の信号を送信する。また、通信部25は、少なくとも空気調和機10から特定の信号を受信してもよい。
【0024】
例えば、通信部25は、空気調和機10の空調設定を含む信号を空気調和機10に送信する。具体的には、アプリケーションプログラムの実行により表示部23に表示される画面に従い、ユーザーが操作部24を操作して空気調和機10の空調設定を操作端末20に入力すると、制御部21は、入力された空調設定を含む信号を生成する。通信部25は、制御部21によって生成された空調設定を含む信号をネットワーク30を介して空気調和機10に送信する。
【0025】
[制限設定]
本実施形態において、空調設定には、設定範囲を設けることが可能である。例えば、調節可能な温度範囲が15℃~30℃である空気調和機10において、温度の設定範囲を20℃~26℃に制限する制限設定を設けることができる。なお、制限設定は、温度の設定範囲に限らず、例えば、冷房運転の禁止等、空気調和機10の実行可能な運転内容の変更が制限される設定であってもよい。
【0026】
具体的には、空気調和機10に制限設定を設けるには、例えば、ユーザーがリモコンを操作して、制限設定を設けること指示する制限設定指示を含む赤外線信号をリモコンから空気調和機10に送信する。制限設定指示には、20℃~26℃が制限範囲である旨の情報が含まれる。
【0027】
空気調和機10の受付部12は、実行可能な運転内容の変更が制限される制限設定を受け付ける。具体的には、赤外線受光部122は、リモコンから送信された制限設定指示を含む赤外線信号を受光する。
【0028】
制御部13は、赤外線受光部122が受光した赤外線信号に含まれる制限設定指示を取得して記憶部15に記憶させる。制御部13は、記憶部15に記憶させた制限設定指示に基づいて、空気調和部11を制御する。
【0029】
具体的には、制御部13は、空気調和部11による空気の温度の調整範囲が制限範囲(20℃~26℃)になるように制御する。例えば、空気調和機10において、制限設定を受け付ける前の空調設定(温度設定)が20℃であった場合、制御部13は、空調設定(温度設定)の20℃を維持し、維持した空調設定に基づいて空気調和部11を制御する。一方、制限設定を受け付ける前の空調設定(温度設定)が19℃であった場合、制御部13は、空調設定(温度設定)を20℃に変更し、変更した空調設定に基づいて空気調和部11を制御する。このように、空気調和機10において、制限設定に基づいて空気調和部11が動作している状態を制限状態と呼ぶ。
【0030】
本実施形態において、制限設定指示は、リモコンに限らず、操作端末20から送信することも可能である。例えば、アプリケーションプログラムの実行により表示部23に表示される画面に従い、ユーザーが操作部24を操作すると、制御部21は、空調設定の制限範囲の入力をユーザーに要求する制限入力画面を表示部23に表示する。
【0031】
表示部23に表示された制限入力画面に従い、ユーザーが操作部24を操作して制限範囲を操作端末20に入力すると、制御部21は、リモコンにおいて生成される制限設定指示を生成し、制限設定指示を含む信号を生成する。通信部25は、制御部21によって生成された制限設定指示を含む信号をネットワーク30を介して空気調和機10に送信する。
【0032】
図1に示すように、空調システム100が複数の操作端末20を備える場合、少なくとも1つの操作端末20が制限設定指示を送信可能な管理権限を有する管理端末である。空調システム100において、管理端末以外の操作端末20は、制限設定指示の送信ができない。以下、管理端末以外の操作端末20を通常端末と呼ぶことがある。
【0033】
[アカウント]
本実施形態において、空調システム100には、少なくとも1つのアカウントが設定される。アカウントは、空気調和機10を操作可能なユーザーごとに設定される。各アカウントには、少なくとも1つの操作端末20が登録される。
【0034】
具体的には、あるユーザーが空気調和機10を操作可能なユーザーとしてアカウントを設定する場合、ユーザーは、所持する操作端末20に記憶されたアプリケーションプログラムを実行する。アプリケーションプログラムの実行により表示部23に表示される画面に従い、ユーザーが操作部24を操作すると、制御部21は、ユーザーを識別するユーザーIDと、操作端末20を識別する端末IDとを関連付けたアカウント情報を含む信号を生成する。通信部25は、制御部21によって生成されたアカウント情報を含む信号をネットワーク30を介して空気調和機10に送信する。
【0035】
空気調和機10の通信部121は、操作端末20から送信されたアカウント情報を含む信号を受信する。制御部13は、通信部121が受信した信号に含まれるアカウント情報を取得して記憶部15に記憶する。
【0036】
このように、あるユーザーに対応するアカウント情報が記憶部15に記憶されている状態を、アカウントが設定された状態とする。また、アカウント情報において、ユーザーIDと端末IDとが関連付けられている状態を、アカウントに操作端末20が登録されている状態とする。
【0037】
なお、本実施形態において、1つのアカウントに複数の操作端末20を登録可能である。具体的には、あるアカウント情報と同じユーザーIDを有し、異なる端末IDを有するアカウント情報が記憶部15に記憶されている場合、対応するアカウントに複数の操作端末20が登録されている状態とする。
【0038】
本実施形態において、アカウント情報には、対応する操作端末20が、管理端末であるか、通常端末であるかを示す情報が含まれてもよい。例えば、アカウントが設定される際、ユーザーは、アプリケーションプログラムの実行により表示部23に表示される画面に従い、所持する操作端末20が管理端末であるか通常端末であるかを選択する。
【0039】
ユーザーが管理端末を選択した場合、制御部21は、対応する操作端末20が管理端末である旨の情報が含まれたアカウント情報を生成する。一方、ユーザーが通常端末を選択した場合、対応する操作端末20が通常端末である旨の情報が含まれたアカウント情報を生成する。
【0040】
[管理権限の付与]
空調システム100において、管理端末が1つであり、かつ他の操作端末20が通常端末である場合、例えば、管理端末の電源が切られたり、管理端末を持ったユーザーがネットワーク30の通信範囲外へ移動して管理端末と空気調和機10との通信が遮断されたり、管理端末がアカウントから抹消されたり、管理端末が登録されたアカウントが削除されたりすると、制限設定の設定、変更及び解除ができなくなる。
【0041】
これを避けるため、管理端末は、他の通常端末に管理権限の付与が可能である。
【0042】
次に、図3及び図4を参照して、管理権限の付与を説明する。図3は、他の通常端末への管理権限の付与前を示す図である。図4は、他の通常端末への管理権限の付与後を示す図である。図3及び図4では、管理権限を有する管理端末に星印を付して示す。
【0043】
例えば、空調システム100において、ユーザーAのアカウントと、ユーザーBのアカウントと、ユーザーCのアカウントとが設定されているとする。
【0044】
ユーザーAのアカウントには、端末IDが「a1」である操作端末20が、管理権限を有する管理端末として登録されている。また、ユーザーAのアカウントには、端末IDが「a2」である操作端末20が管理権限を有さない通常端末として登録されている。以下、管理端末が登録されているアカウントを管理アカウントと呼ぶ。
【0045】
ユーザーBのアカウントには、端末IDが「b」である操作端末20が管理権限を有さない通常端末として登録されている。
【0046】
ユーザーCのアカウントには、端末IDが「c」である操作端末20が管理権限を有さない通常端末として登録されている。
【0047】
例えば、上記の4つの操作端末20が、「a1」、「b」、「a2」、「c」の順番に登録されたとする。
【0048】
端末IDが「a1」である操作端末20は、通常端末である他の3つの操作端末20のうち少なくとも1つの操作端末20に管理権限の付与が可能である。
【0049】
図4では、端末IDが「a1」である操作端末20が、端末IDが「c」である操作端末20に管理権限を付与する例を示す。
【0050】
端末IDが「a1」である操作端末20が、端末IDが「c」である操作端末20に管理権限を付与する場合、ユーザーAが、端末IDが「a1」である操作端末20に記憶されたアプリケーションプログラムを実行する。アプリケーションプログラムの実行により表示部23に表示される画面に従い、ユーザーAが操作部24を操作すると、制御部21は、端末ID「c」を含むアカウント情報を変更する変更指示を生成する。変更指示は、端末ID「c」を含むアカウント情報に含まれる通常端末である旨の情報を、管理端末である旨の情報に変更する指示である。
【0051】
通信部25は、制御部21によって生成された変更指示を含む信号をネットワーク30を介して空気調和機10に送信する。
【0052】
空気調和機10の通信部121は、操作端末20から送信された変更指示を含む信号を受信する。制御部13は、通信部121が受信した信号に含まれる変更指示を取得し、変更指示に従って記憶部15に記憶されている端末ID「c」を含むアカウント情報に含まれる通常端末である旨の情報を、管理端末である旨の情報に変更する。
【0053】
このように、通常端末であった端末IDが「c」である操作端末20に管理権限が付与される。これにより、空調システム100において管理端末が増え、制限設定の設定、変更及び解除ができなくなる状態になる可能性を減らすことができる。
【0054】
[管理権限の移譲1]
本実施形態において、管理権限の付与以外に、管理権限の移譲が行われる。次に、図3及び図5を参照して、管理権限の移譲を説明する。図5は、図3に示す管理端末から通常端末への管理権限の移譲の一例を示す図である。図3及び図5では、管理権限を有する管理端末に星印を付して示す。
【0055】
図3に示す1つのアカウント(ユーザーA)に1つの管理端末を含む複数の操作端末20が登録されている場合において、管理端末と空気調和機10との通信が遮断されるか、管理端末が管理アカウントから抹消されると、管理アカウントに登録された管理端末以外の操作端末20のうちの1つの操作端末20に管理権限が移譲される。
【0056】
例えば、空気調和機10の制御部13は、管理端末との間で情報の送受信ができなくなると、管理端末と空気調和機10との通信が遮断されたと判定する。
【0057】
制御部13は、管理端末と空気調和機10との通信が遮断されたと判定すると、管理アカウントに他の操作端末20が登録されているかを検索する。
【0058】
具体的には、制御部13は、端末ID「a1」を有するアカウント情報(アカウント情報A1とする)に含まれるユーザーID「A」を有する他のアカウント情報(アカウント情報A2とする)が記憶部15に記憶されているか否かを判定する。
【0059】
図3の例では、ユーザーID「A」を有するアカウント情報A2が記憶部15に記憶されているため、制御部13は、アカウント情報A2を特定し、アカウント情報A2に含まれる端末ID「a2」を有する操作端末20に管理権限を移譲する。具体的には、制御部13は、アカウント情報A2に含まれる通常端末である旨の情報を、管理端末である旨の情報に変更する。
【0060】
例えば、ユーザーID「A」を有し、かつ通常端末である旨の情報を含むアカウント情報が、アカウント情報A2以外に複数存在する場合、制御部13は、複数のアカウント情報のうち、最も早く登録された操作端末20の端末IDを含むアカウント情報に対応する操作端末20に管理権限を移譲する。
【0061】
なお、制御部13は、該当する複数のアカウント情報のうち、最も早く登録された操作端末20に限らず、いずれか1つを選択してもよい。
【0062】
また、制御部13は、管理端末がアカウントから抹消されると、管理端末と空気調和機10との通信が遮断されたと判定した場合と同様の処理を行う。
【0063】
例えば、管理権限が移譲されると、制御部13は、新たに管理端末となった操作端末20(端末ID「a2」)に管理権限が移譲されたことを通知する。具体的には、制御部13は、管理権限が移譲された旨の情報を生成する。通信部121は、制御部13によって生成された情報を含む信号をネットワーク30を介して操作端末20(端末ID「a2」)に送信する。
【0064】
操作端末20(端末ID「a2」)の通信部25は、空気調和機10から送信された信号を受信する。制御部21は、通信部25が受信した信号に含まれる情報を取得し、例えば、管理権限を移譲された旨のメッセージを表示部23に表示する。
【0065】
表示部23に表示されたメッセージを見て、ユーザーは、所持する操作端末20(端末ID「a2」)が管理端末になったことを認識する。
【0066】
このように、複数の操作端末20が登録されているアカウントにおいて管理権限が移譲される構成にすることで、管理端末が不在になる状態を防ぐことができる。
【0067】
[管理権限の移譲2]
次に、図5及び図6を参照して、管理権限の移譲が可能な操作端末が管理アカウントに登録されていない場合の管理権限の移譲を説明する。図6は、図5に示す管理端末から通常端末への管理権限の移譲の一例を示す図である。図5及び図6では、管理権限を有する管理端末に星印を付して示す。
【0068】
図5に示すように、1つの管理端末(端末ID「a2」)を含む管理アカウント(ユーザーA)と、複数の管理アカウント以外のアカウント(ユーザーB及びユーザーC)とが登録されている場合において、管理端末と空気調和機10との通信が遮断されるか、管理端末が管理アカウントから抹消されるか、管理アカウントが削除されると、管理アカウント以外のいずれかのアカウントに登録された操作端末20に管理権限が移譲される。
【0069】
具体的には、例えば、空気調和機10の制御部13は、図3の場合と同様に、管理端末と空気調和機10との通信が遮断されたと判定し、管理アカウントに他の操作端末20が登録されているかを検索した結果、管理アカウントに他の操作端末20が登録されていなかった場合、管理アカウント以外のアカウントを検索する。
【0070】
図5の例では、ユーザーID「B」を有するアカウント情報(アカウント情報B1とする)と、ユーザーID「C」を有するアカウント情報(アカウント情報C1とする)とが記憶部15に記憶されているため、制御部13は、アカウント情報B1又はアカウント情報C1を特定し、いずれか一方のアカウント情報に含まれる端末IDを有する操作端末20に管理権限を移譲する。
【0071】
例えば、制御部13は、アカウント情報B1及びアカウント情報C1のうち、最も早く登録されたアカウント情報B1に対応する操作端末20に管理権限を移譲する。
【0072】
なお、制御部13は、アカウント情報B1及びアカウント情報C1のうち、後に登録されたアカウント情報C1に対応する操作端末20に管理権限を移譲してもよい。
【0073】
このように、管理アカウントにおいて他の操作端末に管理権限が移譲できない場合に、他のアカウントの操作端末20に管理権限が移譲される構成にすることで、管理端末が不在になる状態を防ぐことができる。
【0074】
また、制御部13は、管理端末がアカウントから抹消されるか、管理アカウントが削除されると、管理端末と空気調和機10との通信が遮断されたと判定した場合と同様の処理を行う。
【0075】
[制限設定の無効化]
次に、図6及び図7を参照して、管理権限の移譲が可能な操作端末が存在しない場合の処理を説明する。図7は、図6に示す管理端末から通常端末への管理権限の移譲ができない例を示す図である。
【0076】
図7は、図6に示す管理端末(端末ID「b」)と空気調和機10との通信が遮断されたか、管理端末が管理アカウントから抹消されたか、管理アカウントが削除された場合に、通常端末(端末ID「c」)と空気調和機10との通信が遮断されていたか、アカウント(アカウント情報C1)から通常端末(端末ID「c」)が抹消されてアカウントに操作端末20が登録されていないか、アカウント(アカウント情報C1)が削除されていた状態を示す。
【0077】
このような場合、制御部13は、管理権限の移譲が可能な操作端末20が見つけられない。制御部13は、管理権限の移譲が可能な操作端末20が見つけられないと、管理端末によって空気調和部11に設定された制限設定を無効にする。
【0078】
このように、管理権限の移譲が可能な操作端末20がない場合、制限設定を無効にすることで、操作端末20から空気調和機10が操作できなくなる状態を防ぐことができる。
【0079】
[管理装置を含む空調システム]
次に、図8及び図9を参照して、本実施形態の空調システム101について説明する。図8は、本実施形態の空調システムの他の例を示す図である。図9は、本実施形態の空調システムの他の例のブロック図である。空調システム101は、空調システム100の空気調和機10と、操作端末20とに加えて、管理装置40を更に備える。
【0080】
管理装置40は、例えば、部屋RM、又は、部屋RMから離れた場所に設置されたサーバー、デスクトップ型パーソナルコンピューター又はノート型パーソナルコンピューター等である。管理装置40は、制御部41と、記憶部42とを備える。制御部41は、CPUのようなプロセッサーを含む。記憶部42は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶部42のハードウェア構成は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶部42は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0081】
管理装置40は、1又は複数の操作端末20と双方向通信可能である。また、管理装置40は、空気調和機10と双方向通信可能である。管理装置40は、空気調和機10及び操作端末20を管理する。具体的には、制御部41は、空気調和機10と操作端末20との間で送受信される情報を中継する。
【0082】
記憶部42は、記憶部15の代わりに、アカウント情報等を記憶する。具体的には、制御部41は、複数の操作端末20から送信された操作端末20から送信されたアカウント情報を含む信号を受信する。制御部41は、受信した信号に含まれるアカウント情報を記憶部42に記憶させる。このように記憶部42が記憶する複数のアカウント情報を権限情報とも呼ぶ。権限情報は、複数の操作端末20と管理権限との対応関係を示す。
【0083】
また、記憶部42は、管理端末によって設定された制限設定の内容を示す設定情報を記憶する。具体的には、制御部41は、管理端末から送信された制限設定指示を含む信号を受信すると、制限設定指示を取得して制限設定指示の示す制限設定を設定情報として記憶部42に記憶させる。
【0084】
[管理装置及び空気調和機間の通信遮断時の制御]
管理装置40と空気調和機10との間で通信が可能な状態において、管理装置40及び空気調和機10の少なくとも一方の不調、又は空気調和機10の通信機能がOFFにされたこと等により、管理装置40と空気調和機10との間の通信が所定期間以上遮断された場合、空気調和機10に設定された制限設定が無効にされる。
【0085】
例えば、空気調和機10の制御部13は、管理装置40との間で情報の送受信ができなくなると、管理装置40と空気調和機10との通信が遮断されたと判定する。
【0086】
制御部13は、管理装置40と空気調和機10との通信が遮断されたと判定すると、時間の計測を開始する。制御部13は、計測時間が所定期間を超えると、空気調和機10に設定された制限設定を無効にする。
【0087】
なお、制御部13が時間の計測を行っている間に空気調和機10の電源がOFFにされた場合、制御部13による時間の計測は、中断される。その後、空気調和機10の電源がONにされると、制御部13は、時間の計測が中断された時点から、時間の計測を再開する。
【0088】
本実施形態において、制限設定が無効にされた後に、管理装置40と空気調和機10との通信が復旧した場合、制御部13は、制限設定を有効にするか否かを判定する。
【0089】
例えば、制御部13は、管理装置40との間で情報の送受信が再びできるようになると、管理装置40と空気調和機10との通信が復旧したと判定する。
【0090】
制御部13は、管理装置40と空気調和機10との通信が復旧したと判定すると、通信の遮断前に空気調和機10に設定されていた制限設定を復旧させる。具体的には、制御部13は、通信の遮断前に空気調和機10に設定されていた制限設定を示す設定情報を管理装置40から取得する。
【0091】
例えば、制御部13は、管理装置40に対して、対応する設定情報の送信を要求する設定要求を含む信号を送信する。管理装置40の制御部41は、設定要求を含む信号を受信すると、記憶部42の権限情報に基づいて、設定要求の送信元の空気調和機10の制限設定を有効にするか否かを判定する。
【0092】
具体的には、制御部41は、記憶部42の権限情報及び設定情報を参照して設定要求の送信元の空気調和機10に対応する設定情報を特定して取得する。
【0093】
制御部41は、取得した設定情報に基づいて、空気調和機10の制限設定を有効にする。具体的には、制御部41は、取得した設定情報を含む信号を設定要求の送信元の空気調和機10に送信する。
【0094】
空気調和機10の制御部13は、管理装置40からの設定情報を含む信号を受信して設定情報を取得する。制御部13は、取得した制限設定に基づいて空気調和部11を制御する。
【0095】
以上、図面(図1図9)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、空気調和機及び空調システムの分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 :空気調和機
20、20A、20B :操作端末
30 :ネットワーク
40 :管理装置
41 :制御部
42 :記憶部
100、101 :空調システム
A、B、C :ユーザー
A1、A2、B1、C1 :アカウント情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9