IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気通信システム株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人 香川大学の特許一覧

特開2022-189396運行計画生成装置、学習装置、運行計画生成方法、学習方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189396
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】運行計画生成装置、学習装置、運行計画生成方法、学習方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20221215BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097951
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】喜田 弘司
(72)【発明者】
【氏名】中島 碩人
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA25
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF01
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181MB04
(57)【要約】
【課題】一定の空間内に同一の時間帯に運行できる自律移動装置の数を増やすような運行計画を自動的に生成可能にする。
【解決手段】運行計画生成装置1は、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、自律移動装置について複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する制御部1aと、記憶部1bを備える。記憶部1bは実行運行計画とその実行時の運行実績との関係を記憶する。制御部1aは、運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、運行計画候補について上記関係に基づき前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを予測する。制御部1aは、運行計画候補について、予測した結果に基づき他の自律移動装置の競合を禁止する排他領域を設定する。制御部1aは、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない運行計画候補を応答する運行計画に決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する制御部と、
実行済みの運行計画である実行運行計画と前記実行運行計画の実行時の運行実績との関係を記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、
前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、
前記運行計画候補について、前記関係に基づき、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行し、
前記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域を設定し、
前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、
運行計画生成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記運行計画候補について、前記予測した結果に基づき、前記運行計画候補に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように前記排他領域を設定する、
請求項1に記載の運行計画生成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記運行計画候補について、前記予測した結果に基づき、前記排他領域とともに、前記排他領域について他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する期間としての排他期間を設定する、
請求項2に記載の運行計画生成装置。
【請求項4】
前記排他領域における運行方向に垂直な面のサイズは、前記複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路について、少なくとも2つの前記区間経路について異ならせるように設定される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
【請求項5】
前記関係は、前記実行運行計画と前記運行実績とに基づき機械学習により生成された、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを予測する学習済みモデルとして、前記記憶部に記憶され、
前記制御部は、前記学習済みモデルを用いて前記予測を実行する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
【請求項6】
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得する取得部と、
別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、前記取得部で取得された情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する制御部と、
を備え、
前記運行計画は、前記運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域が設定された計画である、
学習装置。
【請求項7】
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する処理を備え、
前記処理は、
前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、
前記運行計画候補について、実行済みの運行計画である実行運行計画と前記実行運行計画の実行時の運行実績との関係に基づき、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行し、
前記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域を設定し、
前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、
運行計画生成方法。
【請求項8】
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得し、
別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、取得した情報に基づき予測する学習済みモデルを生成し、
前記運行計画は、前記運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域が設定された計画である、
学習方法。
【請求項9】
コンピュータに、
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する処理であって、
前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、
前記運行計画候補について、実行済みの運行計画である実行運行計画と前記実行運行計画の実行時の運行実績との関係に基づき、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行し、
前記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域を設定し、
前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、
処理を実行させるプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得し、
別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、取得した情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する、
処理を実行させ、
前記運行計画は、前記運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域が設定された計画である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運行計画生成装置、学習装置、運行計画生成方法、学習方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンや自動運転車などの自律的に移動する装置(自律移動装置)の研究が盛んになされ、一部で実際に利用されてきている。また、労働者人口の減少や、コスト低減や業務効率化のため、今後、自律移動装置のさらなる普及が見込まれる。例えば、荷物の運搬や配送、配達などの業務が、人及び人が運転する自動車から自律移動装置に置き換わっていくことで、自律移動装置が人の生活に密着した場面で用いられることも見込まれる。そうなると、人の生活空間において自律移動装置が運用されることになるため、自律移動装置は、安全に運行されることが求められるとともに、確実な運行、到達時刻を遵守するなどの安定した運行も求められる。
【0003】
特許文献1には、船舶の航路の管制精度を、計算量を抑制しつつ向上させることを目的とし、記憶部、指示応答性推定部、地理Eマップ生成部、及び移動予測部を有する交通管制支援システムが記載されている。上記記憶部は、移動体の行動に関する行動データと、地図をメッシュで分割した個々の区画に、移動体の移動基準に関する情報である地理属性情報が付与されている地理データと、指示に対する移動体の応答性に関する応答性データと、を有する。上記指示応答性推定部は、上記応答性データに基づいて移動体の理想的な行動を推定し、その推定した行動と上記行動データの行動との差分を算出し、その算出結果に基づいて上記応答性データを更新する。上記地理Eマップ生成部は、上記行動データ、上記地理データ及び上記応答性データに基づいて上記移動体が各時刻において或る座標に存在する確からしさを推定し、地理Eマップを生成する。上記移動予測部は、上記地理Eマップに基づいて、上記移動体の未来の座標を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-36958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、自律移動装置を安全且つ安定に運行させるような運用について考察した。
まず、自律移動装置によっては、与えられた運行経路、運行時間で移動する、つまり運行計画に沿うよう自律的に経路制御を行い移動するという運用が行われることが多い。自律移動装置は移動中に外乱があっても運行経路及び運行時間、つまり運行計画に沿うよう自律的に軌道を修正して移動する。例えば、ドローンのような空を運行する装置や洋上を移動する船舶のような装置などであれば、運行経路外れるような外乱の代表例は風である。自律移動装置は風などの外乱があっても最大限運行計画に沿うよう自律的に機体を制御し移動する。
【0006】
自律移動装置の代表的な例を挙げると、目視外で自律飛行をするドローンである。自律飛行をするドローンは、操作者から逐次指示を受けるのではなく、与えられた経路に沿うように自身で判断を行いながら移動することができる。但し、自律移動装置はある程度の自律航行機能を有してはいるが、不測の事態に対応するため、安全な運行を確保するために、運行管理装置から遠隔で、通信を介して現在位置の把握などをして監視しながら運行されることが望まれる。運行経路の監視も運行管理装置の機能の一つとしてもたせることが望まれる。
【0007】
また、自律移動装置の中にはセンサなどを用いて互いに衝突を回避する機能を備える自律移動装置もあるが、街中などでも使われることから万が一にも自律移動装置同士の衝突が起きては困る。そのため、複数の自律移動装置が同時に運行されても、自律移動装置が衝突しないために、自律移動装置同士が接触しないよう、予め経路や時刻を調整し、計画しておくことが望まれる。調整計画済みの運行経路や通過時刻は運行計画と称することができ、このような運行計画の策定は運行管理装置の機能の一つである。
【0008】
自律移動装置の運行計画の策定方法について考察した結果、主に次のような2つの問題があることが分かった。問題の1つ目は、始点と終点を設定するだけで、経路の設計をして他の自律移動装置の経路と調整された運行計画を生成するという一連の手続きを自動で行う方法がなく、Webを介した人手による手続きが行われていることである。運行されるドローンが少なく、ある空域における運行密度も高くない場合には、人手による手続きでも運行計画を調整することが可能であるが、運用台数が増えると破綻してしまう。
【0009】
問題の2つ目は、人手による手続きで運行計画をたてると、空間的の利用効率や時間的な利用効率が悪くなり、多数の自律移動装置を同一空間内で効率良く運行できないことである。例えば、航路の設計や衝突判定を一律固定の幅の経路(保護空域)で扱うことが考えられるが、このような一律の保護空域を考慮した場合でも効率の良い運行はできるとは言い難い。
【0010】
具体的に説明すると、まず、上述したように、自律移動装置は、運行経路を定めても外乱などで一時的に計画経路からずれることがある。そのため、通常、他の自律移動装置などと衝突しないように大きな余裕範囲をとるように経路を設計することが考えられる。例えば、ドローンのような空を飛ぶ自律移動装置の水平面方向の場合、運行が許される最大の風速下において、風で流されたとしても、他の運行区画にはみ出さない程度の距離的余裕をとることが考えられる。また、この大きな余裕は、時間的にも確保する必要がある。例えば、ドローンのような空を飛ぶ自律移動装置の場合、同じ空間上の区画内に同じ時間帯に複数のドローンが入ると衝突が起きるため、あるドローンがある空間を占有できる時間帯は、遅れを考慮して長くとる必要がある。しかしながら、これらの余裕を大きく取りすぎると、空間の利用効率が下がり、一定の空間内に同一の時間帯に同時に運行できる自律移動装置の数が少なく抑えられてしまう。
【0011】
これらの問題があるため、自律移動装置の運行計画の策定に際しては、一定の空間内に同一の時間帯に同時に運行できる自律移動装置の数を増やすこと、並びにその策定を自動化することが求められる。
【0012】
一方で、特許文献1に記載の技術は、人間が乗務する船舶を念頭においた技術であり、大きなメッシュの1区画内に複数の船舶が入ることを許容するものである。これは、人間が乗務しているため、区画内で衝突が発生しそうになっても、人間の判断で回避できるためである。よって、衝突回避のために人の判断を必要とせずに、一定の空間内に同一の時間帯に同時に運行できる自律移動装置の数を増やすような運行計画を自動的に生成することが望まれる。
【0013】
本開示の目的は、上述の課題を解決するために、一定の空間内に同一の時間帯に運行できる自律移動装置の数を増やすような運行計画を自動的に生成することが可能な運行計画生成装置、学習装置、並びに、それらの方法及びプログラム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の第1の態様に係る運行計画生成装置は、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する制御部と、実行済みの運行計画である実行運行計画と前記実行運行計画の実行時の運行実績との関係を記憶する記憶部と、を備えるものである。前記制御部は、前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、前記運行計画候補について、前記関係に基づき、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行し、前記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域を設定し、前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する。
【0015】
本開示の第2の態様に係る学習装置は、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得する取得部と、別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、前記取得部で取得された情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する制御部と、を備えるものである。前記運行計画は、前記運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域が設定された計画である。
【0016】
本開示の第3の態様に係る運行計画生成方法は、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する処理を備えるものである。前記処理は、前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、前記運行計画候補について、実行済みの運行計画である実行運行計画と前記実行運行計画の実行時の運行実績との関係に基づき、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行し、前記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域を設定し、前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する。
【0017】
本開示の第4の態様に係る学習方法は、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得し、別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、取得した情報に基づき予測する学習済みモデルを生成するものである。前記運行計画は、前記運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域が設定された計画である。
【0018】
本開示の第5の態様に係るプログラムは、コンピュータに、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する処理であって、前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、前記運行計画候補について、実行済みの運行計画である実行運行計画と前記実行運行計画の実行時の運行実績との関係に基づき、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行し、前記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域を設定し、前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、処理を実行させるプログラムである。
【0019】
本開示の第6の態様に係るプログラムは、コンピュータに、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得し、別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、取得した情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する、処理を実行させるプログラムである。前記運行計画は、前記運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域が設定された計画である。
【発明の効果】
【0020】
本開示により、一定の空間内に同一の時間帯に運行できる自律移動装置の数を増やすような運行計画を自動的に生成することが可能な運行計画生成装置、学習装置、並びに、それらの方法及びプログラム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1に係る運行計画生成装置の一構成例を示すブロック図である。
図2図1の運行計画生成装置で生成する運行計画での運行対象となる自律移動装置の一構成例を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る運行計画生成装置における処理例を説明するためのフロー図である。
図4】実施形態1に係る運行計画生成装置で使用可能な学習済みモデルを生成する学習装置の一構成例を示すブロック図である。
図5図4の学習装置における処理例を説明するためのフロー図である。
図6】実施形態2に係る運行管理システムの一構成例を示す模式図である。
図7】実施形態2に係る運行管理装置の一構成例を示すブロック図である。
図8】比較例に係る区画管理を説明するための模式図である。
図9図7の運行管理装置における管理の一例を説明するための模式図である。
図10】ウェイポイントとエッジと経路ずれとの関係、並びに排他領域を説明するための概念図である。
図11】運行計画発行依頼のデータの形式の一例を示す図である。
図12図11の依頼に対して運行計画発行依頼保持部で保持されるデータの形式の一例を示す図である。
図13】運行計画策定中に作られる運行計画候補のデータの形式の一例を示す図である。
図14図13の運行計画候補について発行される運行計画のデータの形式の一例を示す図である。
図15】発行済みの運行計画のデータの形式の一例を示す図である。
図16図15の発行済みの運行計画を複数並べたデータの形式の一例を示す図である。
図17】ウェイポイントの座標情報のデータの形式の一例を示す図である。
図18】エッジ情報のデータの形式の一例を示す図である。
図19図7の運行管理装置における動作例を示すシーケンス図である。
図20図19に続くシーケンス図である。
図21】運行計画発行依頼の登録処理の一例を説明するためのフロー図である。
図22】運行計画要求のパラメータのデータ形式の一例を示す図である。
図23】空間情報取得範囲を決定する処理の一例を説明するためのフロー図である。
図24】空間情報取得範囲の一例を示す模式図である。
図25】空間情報取得要求パラメータのデータ形式の一例を示す図である。
図26】空間情報取得範囲を決定する処理の一例を説明するためのフロー図である。
図27】取得範囲空間情報のデータ形式の一例を示す図である。
図28】取得範囲空間情報の一例を示す模式図である。
図29】運行計画候補の策定処理の一例を説明するためのフロー図である。
図30図29に続くフロー図である。
図31】予測値のデータ形式の一例を示す図である。
図32】予測結果を説明するための模式図である。
図33】算出された排他領域のデータ形式の一例を示す図である。
図34】発行済み運行計画取得範囲のデータの形式の一例を示す図である。
図35図34で決定された空間情報取得範囲の一例を示す模式図である。
図36】運行計画候補の排他領域算出結果が付加された運行計画候補のデータの形式の一例を示す図である。
図37】競合状態の一例を示す模式図である。
図38】競合状態の他の例を示す模式図である。
図39】競合状態の他の例を示す模式図である。
図40】領域の競合について説明するための図である。
図41】運行計画のデータの形式の一例を示す図である。
図42】運行計画のデータの形式の一例を示す図である。
図43】運行計画のデータの形式の一例を示す図である。
図44】装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0023】
<実施形態1>
図1及び図2を参照しながら、実施形態1に係る運行計画生成装置について説明する。図1は、実施形態1に係る運行計画生成装置の一構成例を示すブロック図で、図2は、図1の運行計画生成装置で生成する運行計画での運行対象となる自律移動装置の一構成例を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る運行計画生成装置1は、その全体を制御する制御部1aと、記憶部1bと、を備え、自律移動装置の運行計画を生成する。運行計画は、通常、複数台の自律移動装置について生成されるが、ある自律移動装置についての運行計画生成要求を受けて、その運行計画生成要求に応答して生成されればよく、同時に管理対象の全ての自律移動装置についての運行計画が生成されなくてもよい。
【0025】
運行計画生成装置1の構成について説明するに先立ち、生成される運行計画での運行の対象となる自律移動装置の一構成例について説明する。図2に示すように、運行計画での運行対象となる自律移動装置(自律移動機器)2は、複数のセンサ(センサ群)2a、通信部2b、移動制御部2c、及び駆動部2dを備えることができる。
【0026】
自律移動装置2は、情報処理能力を持ち、アクチュエータなどを制御して、自律的に移動を行い、運搬や移動を担う機器全般とすることができる。
【0027】
自律移動装置2としては、例えば、自動運転自動車、自動運転列車、自動航行船舶、自動飛行する航空機、ドローン、工場や倉庫等で用いられるAGV(自動搬送車)、走行機能や脚での移動機能を持つロボット、ロボット電動車いす、自動二輪車などが挙げられる。ここで、ドローンは、上空を飛行する無人航空機等の飛行体に限らず、地上、上空、水上、水中、宇宙など、その動作環境を問わない。また、ロボットは、走行、歩行など、その移動方式を問わない。さらに、自律移動装置2としては、例えば、フォークリフト、建機や重機等の工事用車両、鉄道車両、タクシー、トラック等の物流に用いられる車両、警察車両、消防車両なども挙げられる。ここで、鉄道車両は、ライトレール、鉄輪式、新交通システム、モノレール、磁気浮上式など、その移動方式を問わない。また、自律移動装置2は、ある時は自律的に動作し、ある時は人間による指示や操作で動作するモード切替えのある機器や、自律動作の一部を人間の操作や指示と協調して移動する機器も含まれる。即ち、自律移動装置2は、自律的に移動可能であればよく、外部のコントローラからの制御に従い、或いは搭乗者の操作に従い、移動する機能を有することもできる。
【0028】
センサ群2aは、自律移動装置2の各所に備えられた複数のセンサであり、各センサで検知された結果は移動制御部2cに渡され、移動の制御に利用されることができる。つまり、自律移動装置2は、自律的に移動することが可能な装置であり、センサ群2aから出力された検知結果(センサデータ)に基づき、移動中(運行中)の状態(現在の状態)を検知することができる。ここで、現在の状態とは、センサ群2aに含まれるセンサそれぞれについて、設置箇所における検知対象を計測した結果のセンサ値、或いはそのセンサ値が示す状態を指すことができ、主に移動状態(運行状態)が含まれる。上記移動状態は、自律移動装置2の傾きや位置などを含むことができる。なお、上記設置箇所や上記検知対象は、一般的に自律移動装置2の種別や形状によって異なることになる。また、センサ群2aは、自律移動装置2の制御に必要な複数のセンサで構成されることができ、自律移動装置2自身の状態を収集するセンサ群だけでなく、周囲(周囲環境)の状態を収集するセンサ群も含むことができる。
【0029】
自律移動装置の一種であるドローンを例に挙げて、センサ群2aの例を説明する。センサ群2aとしては、機体の速度を観測する速度センサ、機体の加速度を観測する加速度センサ、機体のロールとピッチとヨーを観測するジャイロセンサ、飛行に使用する各ロータの回転数を観測する回転センサを含むことができる。また、センサ群2aとしては、自機の高度を観測するための気圧センサや高度センサ、自機からの方位を観測するための地磁気センサ、回路やロータの発熱を検知する温度センサなども含むことができる。無論、センサ群2aは、これらの例の全てを含む必要はなく、一部のみを含むことができ、またこれらの例に限らず他種のセンサを含むこともできる。
【0030】
例えば、センサ群2aに含まれる他のセンサとしては、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)における位置情報を取得するセンサが挙げられる。なお、GNSSは、GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galileo、準天頂衛星システム等の衛星測位システムの総称である。ここで、準天頂衛星システムは、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)である。このセンサにより、自律移動装置2は、GNSS信号を受信して、自機の空間内における位置を測位して位置情報を得ることができる。また、センサ群2aに含まれるセンサは、光学式カメラやステレオカメラとすることもでき、カメラで取得された映像を情報処理して、自機の位置や姿勢を求めることもできる。また、センサ群2aに含まれるセンサは、音波センサ、超音波センサ、2D-LiDAR、3D-LiDARなどとすることもできる。この場合、自律移動装置2は、音波やレーザを用いたセンシング装置から得られる波形データや点群データなどを情報処理して、自機の位置や姿勢、周囲の状況などを求めて得ることができ、このようにして得られた情報もセンサ情報と言える。よって、これらのように情報処理を必要とするセンサもセンサ群2aに含めることができる。
【0031】
また、自律移動装置2の動作モード(モードのOn/Offや現在のモードなど)や他の搭載装置(例えばロータなどの状態や、自律制御に用いられる制御装置のログデータなども、センサ情報と言えるため、このような情報を提供する装置もセンサ群2aに含めることができる。ここで、ロータの状態としては、有効/無効や正常/異常や回転速度、出力、温度などが挙げられる。
【0032】
通信部2bは、運行計画生成装置1等の外部の装置と通信する部位であり、運行計画生成装置1で生成された運行計画のデータを受信し、移動制御部2cに渡す。通信部2bは、自律移動装置2の種類、外部とのデータの通信タイミングなどによって、無線通信部及び有線通信部の少なくとも一方とすることができる。
【0033】
移動制御部2cは、自律移動装置2の移動を制御する制御部であり、駆動制御部と称することもできる。移動制御部2cは、通信部2bで受信した運行計画のデータに従い、センサ群2aから与えられたセンシング情報を元に、自律移動装置2に搭載された駆動部2d(例えばロータなどのアクチュエータ)を制御し、自律制御行う頭脳にあたる部分である。自律移動装置2は、運行開始時に運行計画として与えられたルートや座標や姿勢、速度で運行するように自律制御を行う。よって、自律移動装置2は、制御の誤差や、風などの外乱で多少位置などがずれても、センシング情報を元にアクチュエータを制御して自力で本来の位置、姿勢、速度を維持できる。
【0034】
このように、移動制御部2cは、センサ群2aの検知結果に従い、駆動部2dを制御し、自律移動装置2を移動させる。あるいは、移動制御部2cは、センサ群2aの検知結果の一部又は全部を通信部2bを介して外部のサーバ装置(移動制御を担う機能を有していれば運行計画生成装置1であってもよい)に送信する。そして、移動制御部2cは、上記サーバ装置から通信部2bを介して移動制御のための情報を受信し、この情報に従い、駆動部2dを制御する。駆動部2dは、移動制御部2cからの制御に従い、自律移動装置2の駆動を行い、自律移動装置2を移動させる。
【0035】
移動制御部2cは、自律移動装置2の全体を制御する制御部(図示せず)として構成することができる。この制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムは、自律移動制御に関する処理を実行するプログラムとすることができる。また、この制御部は、例えば集積回路(Integrated Circuit)によって実現することもできる。
【0036】
次に、このような自律移動装置2等の自律移動装置のための運行計画を生成する運行計画生成装置1の各構成要素について説明する。
【0037】
運行計画生成装置1は運行計画を提供するサーバ装置として機能し、サーバコンピュータとして実装することができる。制御部1aは、そのような運行計画生成装置1の全体を制御する。よって、制御部1aは、例えば、CPU、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムは、運行計画の生成に関する処理を実行するプログラムとすることができる。また、この制御部は、例えば集積回路によって実現することもできる。
【0038】
制御部1aは、外部から受信した運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、その運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する。上記運行希望情報は、例えば出発地と目的地と出発(可能又は希望)時刻を含むことができ、到着希望時刻も含むことができる。
【0039】
記憶部1bは、実行済みの運行計画である実行運行計画とその実行運行計画の実行時の運行実績との関係を記憶する。ここで実行済みの運行計画は、基本的に制御部1aによって生成された計画とするが、他の装置で生成された計画であってもよく、またそれらの双方の計画を含むことができる。上記関係は、後述するずれの予測が可能な状態(例えば関係性を示す計算式など)で記憶されていればよいが、後述するように学習済みモデルとして記憶されることが望ましい。
【0040】
実行運行計画は、制御部1aによって生成された計画であれば、生成した際に記憶部1bに記憶させておくことができ、そうでない場合には外部から通信又は可搬記録媒体を介して得ることができる。運行実績については、自律移動装置2から直接通信により得ることができるが、そのタイミングは問わず、また他の装置を介して受信すること、あるいは可搬記録媒体を介して得ることもできる。但し、記憶部1bには、それらから得た上記関係が記憶されていればよく、実行運行計画及び運行実績のいずれも記憶されていなくてもよい。
【0041】
制御部1aは、まず、上記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、この運行計画候補について、上記関係に基づき、この運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行する。
【0042】
この予測には例えば学習済みモデルを用いることができる。つまり、上記関係は、実行運行計画と運行実績とに基づき機械学習により生成された学習済みモデルであって、上記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを予測する学習済みモデルとすることができる。この場合、記憶部1bにこの学習済みモデルが記憶され、制御部1aは、予測時にこの学習済みモデルを用いて上述の予測を実行する。この学習済みモデルは、過去の運行計画と実績との到達場所のずれ、到達時刻のずれを学習したモデルである。ここでいうところの到達場所とは目的地だけでなく設定された複数の通過ポイントを含むことができる。
【0043】
制御部1aは、上記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域としての排他領域を設定する。この排他領域は、他の運行計画未生成の自律移動装置や生成済み且つ未完了の運行計画の自律移動装置の運行を禁止する領域として設定されることができる。よって、この排他領域は、ずれの予測結果に基づいて決定された、自律移動装置の運行経路の余裕範囲に相当する。
【0044】
そして、制御部1aは、運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、上記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する。運行計画生成装置1は、このように決定された運行計画を、上記運行計画生成要求に対して応答として返すことができる。なお、決定された運行計画は、例えば、自律移動装置2の運行時に逐次、そのときに制御に必要な分だけ自律移動装置2に送信することもできる。
【0045】
また、本実施形態は、上述したように、運行計画生成装置1と、上記運行実績に含める情報を収集するセンサ群が備えられ運行計画生成装置1と通信可能な自律移動装置2と、を備えた自律移動システムとして構築することができる。また、運行計画生成装置1は、単独の装置で構成することができるが、機能を複数の装置に分散させてシステムとして構成することもできる。
【0046】
次に、図3を参照しながら、運行計画生成装置1において実行される運行計画生成方法について説明する。図3は、実施形態1に係る運行計画生成装置における処理例を説明するためのフロー図である。
【0047】
上述したように、運行計画生成装置1は、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、上記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置2について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する処理を行う。
【0048】
この処理では、まず、運行計画生成装置1が、上記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成する(ステップS1)。次いで、運行計画生成装置1が、上記運行計画候補について、実行運行計画とその実行運行計画の実行時の運行実績との関係に基づき、上記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行する(ステップS2)。
【0049】
次いで、運行計画生成装置1が、上記運行計画候補について、予測した結果に基づき排他領域を設定する(ステップS3)。そして、運行計画生成装置1が、上記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、上記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定し(ステップS4)、処理を終了する。ここで決定された運行計画が運行計画生成要求において運行対象の装置とされている自律移動装置2に設定されることとなる。また、上述したように、運行計画生成装置1はコンピュータで構成することができ、その場合のプログラムは、上記のような処理をコンピュータに実行させるプログラムとすることができる。
【0050】
以上に説明したように、本実施形態では、運行計画の候補において過去の実績に基づく予測したずれに基づき排他領域を設定するため、設定される排他領域は可変であり且つ実績に基づくものとなる。よって、本実施形態によれば、一定の空間内に同一の時間帯に運行できる自律移動装置の数を増やすような運行計画を自動的に生成することができ、自律移動装置同士の衝突を避けながら、空間上の自律移動装置の収容密度、同時運行数を高めることができる。つまり、本実施形態では、衝突の予防と空間の利用効率の向上の両立を図ることができる。また、本実施形態では、排他領域として、地上のような2次元を想定できるだけでなく、空域のような3次元も想定することができる。
【0051】
また、本実施形態では、他の運行を禁止する排他領域として説明したように、例えば1区画に1台のみ入れるという運行区画の考え方に基づいて自律移動装置2を運用することができる。この観点からも、本実施形態は、人間の乗務しない目視外飛行下の小型ドローンなどのように、衝突回避が自律移動装置の自力では困難あるいは判断や検知なども含めた回避能力に限界がある領域での経路設計の考え方として、安全で有用であると言える。また、本実施形態によれば、運行希望情報を指定するだけで運行計画を自動的に生成することができる。
【0052】
次に、図4を参照しながら、運行計画生成装置1で使用可能な学習済みモデルを生成する学習装置について説明する。図4は、運行計画生成装置1で使用可能な学習済みモデルを生成する学習装置の一構成例を示すブロック図である。
【0053】
図4に示すように、学習装置4は、取得部4a及び制御部4bを備えることができる。ここで制御部4bは記憶部4cを備えることができる。
【0054】
取得部4aは、実行運行計画とその実行運行計画に基づき運行した運行実績とを含む情報を取得する。実行運行計画は、制御部1aによって生成された計画であれば、生成後に運行計画生成装置1から又は生成されたものを取得した自律移動装置2から、通信あるいは可搬記録媒体を介して取得することができる。運行実績も、例えば運行計画生成装置1を介して、あるいは直接、自律移動装置2から通信により取得すること、あるいは可搬記録媒体を介して取得することができる。また、学習にはこれ以外の学習データとして、センサ群2aや気象情報提供サイトなどから取得した各種の環境データを含むこともできる。
【0055】
制御部4bは、取得部4aで取得された情報に基づき、上述したような学習済みモデルを生成する。具体的には、制御部4bは、記憶部4cに記憶された未学習モデル4dに取得部4aで取得された情報を学習データとして入力して機械学習を実行させ、学習済みモデル4eを得て、記憶部4cに記憶する。あるいは未学習モデル4dを更新して学習済みモデル4eとする。この未学習モデル4dにおけるアルゴリズム等は問わず、生成される学習済みモデル4eで上述したような予測が行えればよい。なお、学習するアルゴリズム(学習器)は分析者が任意に決めればよい。そして、学習した結果の学習済みモデルを運用して適切なものを分析者が選ぶこと、あるいは自動で適切だとみなされる所定の条件に合うように選択されることができる。
【0056】
学習装置4は、コンピュータで構成することができる。よって、制御部4bは、例えば、CPU、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムは、学習済みモデル生成プログラムとすることができる。
【0057】
また、学習装置4は、単独の装置で構成することができるが、機能を複数の装置に分散させてシステムとして構成することもできる。また、学習装置4は、運行計画生成装置1に備えること、あるいは運行計画生成装置1と接続されることができる。但し、学習装置4は、運行計画生成装置1とは接続もされない独立した装置として構成することもでき、その場合には例えば、学習装置4で生成された学習済みモデルを可搬記録媒体等により運行計画生成装置1に複製又は移動すればよい。
【0058】
次に、図5を参照しながら、学習装置4において実行される学習方法について説明する。図5は、図4の学習装置4における処理例を説明するためのフロー図である。まず、学習装置4は、実行運行計画とその実行運行計画に基づき運行した運行実績とを含む情報を取得する(ステップS11)。そして、学習装置4は、取得された情報に基づき、学習済みモデルを生成する(ステップS12)。
【0059】
このような学習装置4により、運行計画生成装置1で上記関係として使用可能な学習済みモデルを生成することができ、運用計画生成装置1において、機械学習した適切な予測結果が得られ、その予測結果に基づき実際のずれに対応した排他領域を決定できる。
【0060】
<実施形態2>
実施形態2について、図6図43を参照しながら、実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。以下、本実施形態に係る運行計画生成装置で生成する運行計画がドローンのために生成された計画である例を念頭に置いて説明するが、ドローンを他種の自律移動装置に置き換えて考えても、本質的には変わらない。
【0061】
本実施形態について、図6を参照して配送業者(運送事業者)Trが宅配輸送目的でドローンを使用する場合を例にして説明する。図6は、本実施形態に係る運行管理システムの一構成例を示す模式図である。但し、ドローン以外の自律移動装置にも同様に適用でき、また宅配輸送目的以外の目的にも同様に適用できる。例えば、ドローンの使用は、宅配輸送目的以外でも、荷物の輸送や撮影、監視などの業務で目視外飛行を行うような業者に対して、国土交通省が行うような運行経路などを調停、管理、払い出しするような業務の目的にも適用できる。また、本実施形態は、ドローンの運用管理やそれを用いた業務に限らず、例えばロボット、自動運転車、工場の自動搬送車、自動航行機能を備えた船舶や航空機などの自律移動装置全般についての運用管理やこれらを用いた業務に適用することができる。その他、本実施形態は、運輸業や、製造業や、インフラの点検保守維持管理、建築土木、公共(治水、ダム管理、防災、災害対応、警察、消防)、警備などにも適用できる。
【0062】
図6に示すように、本実施形態に係る運行管理システムでは、運行管理を行う運行管理装置10を備え、荷主shからの注文を受けた配送業者Trが運行計画発行依頼者となり、運行管理装置10に運行計画発行依頼を行い、運行計画を得る。運行管理装置10は運行計画を提供するサーバ装置として機能する。
【0063】
運行管理装置10は、実施形態1に係る運行計画管理装置1の一例であり、この例ではドローン3の運行を管理するための仕組み、航空機における管制機能を備える。運行管理装置10は、運行管理発行依頼者Trの要求に対して運行計画を発行する機能と、ドローン3が運行した際に、通信で常時あるいは、運行完了後にオンライン、オフラインで運行履歴を収集し管理する機能と、をもつ。
【0064】
荷主shは、運行計画発行依頼者Trに、荷物の輸送(ドローン3の運行)を依頼する。運行計画発行依頼者Trに対して運行条件に関する要望(運行開始時刻(荷物の搭載時刻又は時間帯)、運行終了時間(配達希望時刻又は時間帯)、運行開始場所(荷物の搭載場所)、運行終了場所(荷物の宛先))などを与える。荷主shについて、図6では人のアイコンで記載しているが、この構成要素が行うことを、コンピュータシステム等に置き換えて自動化としてもよい。例えば、荷主shは、PC(Personal Computer)、スマートフォン、専用端末等の端末装置を用いて配送業者Trが利用するサーバ装置等に対し注文を行うことができる。
【0065】
運行計画発行依頼者Trは、荷主shからの注文を元に、運行管理装置10に対して、運行計画発行依頼を行い、運行計画を発行してもらう。受け取った発行計画を運行するドローン3に登録して、運行計画に沿ったドローン3の運行を行う役割を持つ。
【0066】
運行計画発行依頼者Trについて、図6では人のアイコンで記載しているが、荷主sh、ドローン3、運行管理装置10の間の情報のやり取りを仲介しているだけであり、この構成要素が行うことを、コンピュータシステム等に置き換えて自動化としてもよい。例えば、配送業者Trは、PC、スマートフォン、専用端末等の端末装置を用いて、配送業者Trが利用するサーバ装置にアクセスして、運行管理装置10に運行計画発行依頼を送信し、その応答として運行計画を受信する。この運行計画は、運行管理装置10が配送業者Trからの運行計画発行依頼に基づき生成し発行する。
【0067】
ドローン3は、登録された運行計画に沿って荷主shの荷物を輸送する。なお、本実施形態では、運輸のユースケースで説明するが、旅客輸送のケースでも、撮影のケースでも、そのほかドローン3を運用するケースであれば、同様に適用できる。
【0068】
次に図7図9を参照しながら、本実施形態に係る運行管理装置10の構成例について概略的に説明する。図7は、実施形態2に係る運行管理装置の一構成例を示すブロック図で、図8は、比較例に係る区画管理を説明するための模式図で、図9は、図7の運行管理装置における管理の一例を説明するための模式図である。
【0069】
図7に示すように、本実施形態に係る運行管理装置10は、実績学習部100、実績管理部200、計画策定部300、計画管理部400、及び空間管理部500を備えることができる。なお、図7に示す各構成要素は、コンピュータ上のプログラムで構成されてもよく、電気電子回路で構成されていてもよく、プログラムと電気電子回路の複合などであっても構わない。図7において線でつながる構成要素間は情報のやり取りができる。これもプログラムであれば共有のメモリやストレージ等を介して要素間情報の授受をしてもよいし、実装上ユニットが分かれているのであれば、通信を介して情報の授受をしてもよい。
【0070】
概略的には、本実施形態に係る運行管理装置10は、計画策定部300において、ずれの予測に基づき排他領域を設定し運行計画を策定する運行計画策定部304を備えることができる。上記ずれの予測とは、実行運行計画と運行実績との経路ずれを学習し、学習した結果を用いて経路と通過時刻ずれを予測することを指すことができる。運行計画策定部304は、その予測結果に基づき、自動で運行計画を生成することができる。なお、運行計画は、ドローン3の場合、飛行計画と称することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る運行管理装置10は、ドローン3等の自律移動装置2の運行経路を、図8に示す比較例のように区画で排他を管理するのではなく、次のように管理する。即ち、運行管理装置10は、図9に丸で示すようなウェイポイント(通過ポイント)とそれを繋いたエッジ(通過ポイント間を結ぶ区間経路)とそのエッジの周囲に設定された可変の排他領域を用いて排他を管理する。
【0072】
具体的に説明すると、本実施形態では、過去の計画と実績の到達場所のずれ、到達時刻のずれを学習し、その学習結果を元に、これらのずれの予測を運行計画策定時に用いて、自律移動装置の運行経路の余裕範囲(以下、本実施形態では危険範囲と称する)を決める。
【0073】
そして、本実施形態では、経路設計をする際に、全空間(全区画)の余裕範囲を固定一律の大きさの直方体を連続配置した空間としてその中から選択する方式を採用せず、危険範囲の排他時間についても、ある自律移動装置の運行開始から終了まで全区間に渡り排他するということはしない。
【0074】
比較例に係る経路設計では、図8に示すように予め危険範囲より大きな直方体(立方体)を空間を満たすように定義し、図8の斜線部で示すようにその立方体を選んで自律移動装置が通る経路を設定し、自律移動装置はその中央をなるべく運行するようにする。比較例では、このような経路設計により自律移動装置の衝突が起きないような経路を設定する。
【0075】
これに対し、本実施形態では、図9に示すように、空間上にウェイポイントという複数の点を密に定義し、通過すべきウェイポイントを選んで経路を設定する。ウェイポイントは、通過ポイントであり、運行計画上の通過すべき場所と通過すべき時刻あるいは時間帯を定めた点である。さらに、本実施形態では、他の自律移動装置についての経路を設定しない危険範囲(他機の経路を設定しない排他範囲)は、ウェイポイントとウェイポイントを結んだ線の周囲に、経路ずれの予測値に応じた範囲で設定する。
【0076】
より具体的には、運行実績上、運行計画の経路とのずれの予測値が小さい場所では、危険範囲と呼ぶ排他空間を小さくし、逆に予測値のずれが大きければ、危険範囲の排他空間を大きくする。
【0077】
また、運行管理装置10では、ウェイポイントへの計画到達時刻と実績到達時刻の乖離が大きく、到達時刻の進み、遅れが予測される場合、次のように処理する。即ち、運行管理装置10では、そのずれの大きさに応じて、危険範囲として区画を排他する時間(危険範囲の寿命)を長く、逆に乖離が少なければ排他時間(危険範囲の寿命)短くする。
【0078】
このように、本実施形態では、固定サイズの大きな区画ではなく、区割りを小さくした区画(あるいは、逆に大きくした区画)を通るように経路を設計することができる。
【0079】
このようにすることで、運行管理装置10では、自律移動装置の経路をより柔軟に設定できる。特に、運行管理装置10では、危険範囲が空間を占有する範囲と時間を比較例よりも小さくすることができ、より多くの運行経路を設定でき、空間に収容できる自律移動装置の数を増やすことができる。
【0080】
このように、本実施形態では、空間上に区画ではなく、高密度のウェイポイントという点を定義し、そのウェイポイントを経由するように運行経路を設定し、運行経路を設計する。特に、本実施形態では、運行経路を取り巻くように危険範囲(他の自律移動装置を排他する範囲)を設定するだけでなく、次のように設定できる。即ち、その大きさ(排他領域のエッジに垂直な面の大きさ)と排他時間(排他期間)を、過去の経路ずれ情報の学習から予測したずれの予測値を基に決定して設定することができる。ここで、危険範囲は、設計経路のウェイポイントとウェイポイントの間のエッジ毎に、予測に基づき、異なる大きさで設定されることができる。
【0081】
つまり、排他領域における運行方向に垂直な面(経路に垂直な面)のサイズは、隣り合うウェイポイント間を結ぶエッジについて、少なくとも2つのエッジについて異ならせるように設定される。このように、本実施形態では、排他領域が予測されたずれに応じて設定され、その設定される上記サイズを異ならせることを許容しているため、区画により大きさが異なる不均一な区割りとすることもできる。
【0082】
また、排他時間(排他期間)についても、少なくとも2つのエッジについて異ならせるように設定されることができ、これにより、さらに区画の時間的な大きさが異なる不均一な区割りを実現することができる。
【0083】
次に、図7の各構成要素について説明する。なお、各構成要素間の連携動作については図19及び図20等を参照しながら、運行管理装置10の動作として後述する。
【0084】
運行管理装置10は、図6を参照しながら説明したように、ドローン3の運行を管理するための仕組み、航空機における管制機能を備える。具体的には、運行管理装置10は、運行管理発行依頼者Trの要求に対して運行計画を発行する機能と、ドローン3が運行した際に、通信で常時あるいは、運行完了後にオンライン、オフラインで運行履歴を収集し管理する機能と、をもつ。そのための構成として、上述したように、運行管理装置10は、実績学習部100、実績管理部200、計画策定部300、計画管理部400、及び空間管理部500を備える。
【0085】
(実績学習部100)
ドローン3を実際に運行すると、運行計画と実際の運行経路にずれが生じる、そこで、実績学習部100では、実績管理部200でドローン3から回収した運行実績の情報を学習する。これにより運行計画に対するドローン3の経路のずれを予測するために使える学習済みモデルが得られる。そのための構成として、実績学習部100は、学習済みモデル管理部101、運行実績学習部102、及び学習済みモデル保持部103を備える。
【0086】
学習済みモデル管理部101は、学習済みモデル保持部103に格納されている学習済みモデルデータを管理(データの出し入れや検索など)する。
【0087】
運行実績学習部102は、主にドローン3の運行計画と運行実績との差異(位置的な差異、時刻的な差異)を学習する。学習により得られた学習済みモデルは、学習済みモデル管理部101を通じて学習済みモデル保持部103に保管される。
【0088】
学習済みモデル保持部103は、運行実績学習部102で学習された学習済みモデルを保持する。この学習済みモデルは、後述する計画策定部300で、運行計画を策定する際に、生成した運行計画とその運行計画に沿って運行した場合に起こり得るであろう位置的、時刻的ずれを予測するために用いられる。
【0089】
運行実績学習部102は、実績管理部200の運行実績保持部202にあるドローンの運行実績の情報を、運行実績管理部201を経由して読み出す。ドローンの運行実績の情報は、例えば図10の左図の経路のずれ(破線)のようにウェイポイント間を実際にどのように運行したかの履歴を示す情報とすることができる。図10は、ウェイポイントとエッジと経路ずれとの関係、並びに排他領域を説明するための概念図である。
【0090】
運行実績学習部102は、この情報と、計画管理部400の発行済み運行計画管理部401を経由して読み込んだ発行済み運行計画保持部402に保持されている発行済みの運行計画と比較する。そして、運行実績学習部102は、比較で得た計画と実績の経路ずれとウェイポイントへの到着時刻のずれ、そのずれが発生した時間帯、そのずれが発生したエッジ(及び両端のウェイポイント)毎に学習し、学習済みモデルを構築する。上記経路ずれは、区間のずれの最大値や最頻値であってもよい。また、ずれが発生した時間帯とは例えば、ずれには季節や気温や気候や気象が大きく影響することから、月を表すタグ、1年間を1週間毎に分けたその各週を表すタグ、1日の時間を6分割した時間を表すタグ、あるいはそれらの組み合わせとすることができる。つまり、ずれが発生した時間帯とは、ずれに対して同じ傾向が得られるような単位で時間を区切った時間帯を意味する。
【0091】
運行実績学習部102は、構築した学習済みモデルを、学習済みモデル管理部101を介して、学習済みモデル保持部103に格納する。学習済みモデル保持部103に格納されている学習済みモデルに、ずれを予測したい場所(エッジ(や両端のウェイポイント))とその場所を運行する予定の時刻を与えると、ずれの予測値が得られることになる。得られる予測値は、その時刻その場所で起こるであろう、経路のずれと終点通過時刻(エッジの終端を通過する時刻)に対するずれの予測値である。但し、本実施形態では、計画策定部300にこの学習済みモデルを移して利用することを前提に説明する。
【0092】
(実績管理部200)
実績管理部200は、ドローン3が運行した際に、通信により常時あるいは、運行完了後にオンライン、オフラインで運行履歴を収集し、保持し管理する。そのための構成として、実績管理部200は、運行実績保持部202及び運行実績管理部201を備える。
【0093】
運行実績保持部202は、ドローン3が運行中に収集蓄積した運行履歴とそれを回収した情報とを保持する。運行実績管理部201は、運行実績保持部202に保持された運行履歴の管理を行う。また、運行実績管理部201は、実績学習部100からの求めに応じて、運行実績保持部202から運行実績を検索し取り出し、実績学習部100に渡す。
【0094】
(計画策定部300)
計画策定部300は、運行計画発行依頼者Trからの要求に応じて、他の機能部と連携して運行計画の策定を行う。そのための構成として、計画策定部300は、学習済みモデル保持部103、排他領域算出部301、運行計画発行依頼管理部302、運行計画発行依頼保持部303、運行計画策定部304、及び運行計画候補一時保持部305を備える。
【0095】
計画策定部300の学習済みモデル保持部103は、実績学習部100で生成された学習済みモデルを保持する。ここで保持される学習済みモデルは、実績学習部100で生成された学習済みモデルそのものでも、学習済みモデル管理部101経由で入手した複製であってもよい。運行計画策定時に運行計画とその計画に対して予想されるずれを予測するために用いる。
【0096】
排他領域算出部301は、運行計画の周囲に設定する排他領域を算出する。排他領域算出部301は、学習済みモデル保持部103で管理している学習済みモデルを用いて、設計した運行経路上で発生する位置的、時間的ずれを予測し、その予測範囲に安全のための余裕範囲(危険範囲)を加えた範囲を排他領域として算出する。
【0097】
この排他領域内に他のドローン3が入らないように運行経路を設計するため、排他領域算出部301が設けられている。計画策定部300では、あるドローン3の排他領域と、他のドローン3の排他領域が重なると衝突の危険があるため、重ならないように運行経路を設計する。
【0098】
運行計画発行依頼管理部302は、運行計画発行依頼者Trからの依頼を受け付けて、運行計画発行依頼保持部303に登録するとともに、運行計画策定部304に運行計画の策定を依頼する。
【0099】
運行計画発行依頼保持部303は、運行計画発行依頼者Trからの依頼の内容を保持するとともに、依頼に対して運行計画を払い出したか否かの状態も保持する。運行計画発行依頼保持部303では、リレーショナルデータベースのように、任意の項目で検索できるような形式でこれらの情報を保持しておくことができる。
【0100】
ここで、運行計画発行依頼保持部303で保持されるデータ形式(情報の項目)の一例について、図11及び図12を参照しながら説明する。図11は、運行計画発行依頼(運行希望情報を含む運行計画生成要求)のデータの形式の一例を示す図で、図12は、図11の依頼に対して運行計画発行依頼保持部303で保持されるデータの形式の一例を示す図である。
【0101】
図11で例示するように、運行計画発行依頼者Trからの依頼には運行希望情報として出発地点(緯度、経度、高度)、到着地点(緯度、経度、高度)、出発可能時刻(年月日時分秒)、到着希望時刻(年月日時分秒)を含んでおくことができる。なお、運行計画発行依頼者TrがPC等から運行管理装置10にアクセスして、例えば出発地点や到着地点をウェイポイントIDで指定するなどして、依頼を行うように構成することもできる。
【0102】
そして、運行計画発行依頼管理部302は、運行計画発行依頼者Trからの依頼を受けると、図12に示すように、その依頼に含まれる情報に加えて依頼管理番頭及び運行経路発行番号を、運行系威嚇発行依頼保持部303に登録する。つまり、運行計画発行依頼保持部303には、依頼があると、依頼管理番号、出発地点(緯度、経度、高度)、到着地点(緯度、経度、高度)、出発可能時刻(年月日時分秒)、到着希望時刻(年月日時分秒)、運行経路発行番号が登録される。
【0103】
また、運行計画発行依頼管理部302は、運行計画の生成が完了し、運行計画発行依頼者Trに応答を返す際に、運行計画発行依頼保持部303に対し、依頼管理番号が一致する行に発行済みフラグ、運行経路発行番号を追加し更新する。
【0104】
上述したように、計画策定部300は、運行計画発行依頼者Trからの要求に応じて、他の機能部と連携して運行計画の策定を行う。その策定を運行計画策定部304が実行する。運行計画策定部304は、排他領域算出部301で求めた排他領域内に他のドローン3が入らないように運行経路を設計する。あるドローン3の排他領域と、他のドローン3の排他領域が重なると衝突の危険があるため、運行計画策定部304は、重ならないように運行経路を設計する。
【0105】
運行計画候補一時保持部305は、運行計画策定中に作られる運行計画の候補を一時的に保持する。運行計画候補一時保持部305は、リレーショナルデータベースのように、任意の項目で検索できるような形式で運行計画の候補を示す情報を保持しておくことができる。
【0106】
ここで、運行計画候補一時保持部305で保持されるデータ形式(情報の項目)の一例について、図13及び図14を参照しながら説明する。図13は、運行計画策定中に作られる運行計画候補のデータの形式の一例を示す図で、図14は、図13の運行計画候補について発行される運行計画のデータの形式の一例を示す図である。
【0107】
図13に示すように、運行計画候補一時保持部305は、出発地点のウェイポイントID、出発可能時刻(年月日時分秒)、到着地点のウェイポイントID、到着期限時刻(年月日時分秒)と運行経路のリストを一時的に保持する。ここで、運行経路のリストは、区間順序番号、起点ウェイポイントID、終点ウェイポイントID、目標終点通過時刻、エッジIDの各列をもつ。
【0108】
さらに、運行計画候補一時保持部305は、この候補が他と競合するか否かを示す競合フラグも一時的に保持しておく。運行計画候補が他と競合しないか、つまり運行計画として採用して問題ないかを判定していくときに、競合フラグの項目を利用することができる。そして、運行計画策定部304は、運行計画として採用して問題ない場合には、図14に示すように、運行計画候補一時保持部305に保持されたこの競合フラグの項目を外すことで、運行計画として決定する。
【0109】
運行計画策定部304は、このように、運行計画を策定する際に、運行計画の案(候補)をまず生成し運行計画候補一時保持部305で一旦保持する。そして、運行計画策定部304は、その保持した運行計画に対して排他領域を求め、既に発行済みの運行計画の排他領域が重ならないかを算出して、重ならなければ、正式な運行計画として発行する。一方で、重なる場合、運行計画策定部304は、再度別の運行計画案を生成するという動作になるため、運行計画候補一時保持部305のような一時的に運行計画案を保持する仕組みを備える。
【0110】
(計画管理部400)
計画管理部400は、発行済みの運行計画を保持し管理する。ここで管理している発行済み運行計画は、運行計画と運行実績のずれの学習や、運行計画を策定する際に、策定した運行計画の排他領域と既に発行済みの運行計画の排他領域が重ならないかを確認するために用いられる。そのための構成として、計画管理部400は、発行済み運行計画管理部401及び発行済み運行計画保持部402を備える。
【0111】
発行済み運行計画管理部401は、発行済み運行計画保持部402への発行済み運行計画の管理つまり出し入れや検索を行う。発行済み運行計画管理部401は、実績学習部100への発行済み運行計画の提供、計画策定部300との発行済み運行計画のやり取りを司る。
【0112】
発行済み運行計画保持部402は、発行済みの運行計画とその運行計画に対する排他領域を保持する。発行済み運行計画保持部402は、リレーショナルデータベースのように、任意の項目で検索できるような形式で発行済みの運行計画とその運行計画に対する排他領域についての情報を保持しておくことができる。
【0113】
ここで、発行済み運行計画保持部402で保持されるデータ形式(情報の項目)の一例について、図15及び図16を参照しながら説明する。図15は、発行済みの運行計画のデータの形式の一例を示す図で、図16は、図15の発行済みの運行計画を複数並べたデータの形式の一例を示す図である。
【0114】
発行済み運行計画保持部402は、図15に示すような情報を、発行済みの運行計画として保持することができる。即ち、発行済みの運行計画は、出発地点及び到着地点のウェイポイントID、出発可能時刻(年月日時分秒)、到着期限時刻(年月日時分秒)、依頼管理番号、運行経路発行番号と、運行経路と、排他領域(排他領域半径及び排他終了時刻)と、を含むことができる。そして、これらの情報を一まとまりとし、発行した運行計画毎にこの一まとまりが追加されることができ、これにより、図16のようなデータ形式とすることができる。
【0115】
(空間管理部500)
空間管理部500は、ドローン3が運行される空間の情報を管理する。この情報(空間情報)は、ドローン3が運行される際の経路の目安、運行時の経由点となるウェイポイントという空間上の点の座標情報と、その点と点を結んだ線(ベクトル)であるエッジの情報から構成されることができる。空間情報を管理するための構成として、空間管理部500は、空間情報管理部501及びウェイポイント(WP)情報保持部502を備える。
【0116】
空間情報管理部501は、ウェイポイントとエッジ情報の管理、検索を行う。ウェイポイント情報保持部502は、ドローン3が運行される際の経路の目安、運行時の経由点となるウェイポイントという空間上の点の座標情報を保持する。ウェイポイント情報保持部502は、リレーショナルデータベースのように、任意の項目で検索できるような形式でウェイポイントの座標情報を保持しておくことができる。
【0117】
ここで、ウェイポイント情報保持部502で保持されるデータ形式(情報の項目)の一例について、図17を参照しながら説明する。図17は、ウェイポイントの座標情報のデータの形式の一例を示す図である。図17に示すように、ウェイポイント保持部502は、ウェイポイントの座標情報として、ウェイポイントIDとウェイポイント座標(緯度、経度、高度)のリストを保持する。例えば、図9のような空間上の点の座標を保持していることになる。なお、図9の例ではウェイポイントが縦横上下均等に並んでいるが、必ずしも均等に点が配置されている必要はなく、不規則に並んでいても問題ない。
【0118】
エッジ情報保持部503は、ウェイポイントとウェイポイントを結んだ線(ベクトル)であるエッジの情報とそのエッジを運行経路の一部として使用できるか否かのフラグ(使用不可フラグ)を保持する。エッジ情報保持部503は、リレーショナルデータベースのように、任意の項目で検索できるような形式でエッジ情報を保持しておくことができる。
【0119】
ここで、エッジ情報保持部503で保持されるデータ形式(情報の項目)の一例について、図18を参照しながら説明する。図18は、エッジ情報のデータの形式の一例を示す図である。
【0120】
図18に示すように、ウェイポイント保持部502は、ウェイポイント間を結ぶエッジの情報として、エッジID、そのエッジの起点となる起点ウェイポイントID、終点となる終点ウェイポイントID、及び使用不可フラグのリストを保持することができる。使用不可フラグには、例えば、ウェイポイントとウェイポイントを結んだ線上に障害物があるなどして、運行経路の一部として使うべきでない区間において、使用できない旨が設定される。
【0121】
(運行管理装置10の動作例)
図19図43を参照しながら運行管理装置10の内部の動作例について説明する。
まず、実績学習部100まわりの動作について説明する。
上述したように、実績学習部100の運行実績学習部102は、実績管理部200の運行実績保持部202にあるドローンの運行実績の情報を、運行実績管理部201を経由して読み出す。ドローンの運行実績の情報は、例えば図10の左図の経路のずれ(破線)のようにウェイポイント間を実際にどのように運行したかの履歴を示す情報とすることができる。また、運行実績学習部102は、この情報と、計画管理部400の発行済み運行計画管理部401を経由して読み込んだ発行済み運行計画保持部402に保持されている発行済みの運行計画と比較する。
【0122】
そして、運行実績学習部102は、比較で得た計画と実績の経路ずれとウェイポイントへの到着時刻のずれ、そのずれが発生した時間帯、そのずれが発生したエッジ(及び両端のウェイポイント)毎に学習し、学習済みモデルを構築する。上記経路ずれは、区間のずれの最大値や最頻値であってもよい。また、ずれが発生した時間帯とは、上述した通り、ずれに対して同じ傾向が得られるような単位で時間を区切った時間帯を意味する。
【0123】
次いで、運行実績学習部102は、構築した学習済みモデルを、学習済みモデル管理部101を介して、学習済みモデル保持部103に格納する。学習済みモデル保持部103に格納されている学習済みモデルに、ずれを予測したい場所(エッジ(や両端のウェイポイント))とその場所を運行する予定の時刻を与えると、ずれの予測値が得られることになる。得られる予測値は、その時刻その場所で起こるであろう、経路のずれと終点通過時刻(エッジの終端を通過する時刻)に対するずれの予測値である。
【0124】
次に、計画策定部300まわりの動作について説明する。
各要素間の連携については、図19及び図20のシーケンス図で示し、機能部内の処理については個別にフロー図を参照しながら説明する。図19及び図20では、運行計画策定処理を逐次実行する例を挙げている。図19及び図20は、一連の運行管理装置10における動作例を示すシーケンス図である。ここではUML(Unified Modeling Language)2.0の記法で全体のシーケンスを表記している。
【0125】
まず、運行計画発行依頼者が、図11の項目の情報を指定して、運行計画発行依頼管理部302に対して、運行計画発行を依頼する(ステップS21)。図11に示すように、指定する情報(運行希望情報)の項目は、出発地点(緯度、経度、高度)、到着地点(緯度、経度、高度)、出発可能時刻(年月日時分秒)、到着希望時刻(年月日時分秒)とすることができる。
【0126】
運行計画発行依頼管理部302は、受けた運行計画発行依頼を運行計画発行依頼保持部303に登録する(ステップS22)。ステップS22の処理について図21を参照しながら説明する。図21は、運行計画発行依頼の登録処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0127】
運行計画発行依頼管理部302は、運行計画発行依頼者から図11に示す情報を含む運行計画発行依頼を受信する(ステップS51)。運行計画発行依頼管理部302は、その運行計画発行依頼の内容に、図12で示すように依頼管理番号と発行済みフラグ(False)を付加して運行計画発行依頼保持部303に登録して保持する(ステップS52)。ここでは、ステップS21で指定された図11の情報に、依頼管理番号を採番付加して、図12に示すように、運行計画発行依頼保持部303に追加する。この時点では、発行済みフラグは偽、運行経路発行番号は空欄で追加する。
【0128】
次いで、運行計画発行依頼管理部302は、運行計画策定部304に対して、図22に示すような運行計画策定要求のパラメータをパラメータとし、運行計画策定要求を行う(ステップS53)。このステップS53が図19のステップS23に該当する。ここで、図22は、運行計画要求のパラメータのデータ形式の一例を示す図である。
【0129】
このように、ステップS23では、運行計画発行依頼管理部302が運行計画策定部304に対して、パラメータを指定して運行計画策定要求を行う。この運行計画要求のパラメータとしては、図22で示すように、依頼管理番号、出発地点(緯度、経度、高度)、到着地点(緯度、経度、高度)、出発可能時刻(年月日時分秒)、到着希望時刻(年月日時分秒))が指定される。依頼管理番号は、結果を応答する際に付加して、運行計画発行依頼保持部303で保持している運行計画発行依頼と応答した運行計画の対応付けができるようにする。
【0130】
ステップS23に続き、運行計画策定要求を受信し、運行計画策定部304が空間情報取得範囲を決定する(ステップS24)。ステップS24の処理例について、図23を参照しながら説明する。図23は、空間情報取得範囲を決定する処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0131】
運行計画策定部304は、運行計画発行依頼管理部302から図22の運行計画策定要求のパラメータをパラメータとしてステップS23で送信された運行計画策定要求を受信する(ステップS61)。運行計画策定部304は、次いで、図24に示すように、図22の運行計画策定要求のパラメータの出発地点座標、到着地点座標を元に、要求範囲始点と要求範囲終点を算出する(ステップS62)。図24は、空間情報取得範囲の一例を示す模式図である。
【0132】
次いで、運行計画策定部304は、空間情報管理部501に対して、図25で示す空間情報取得要求のパラメータをパラメータとし、ステップS25の空間情報取得要求を行う(ステップS63)。図25は、空間情報取得要求パラメータのデータ形式の一例を示す図である。
【0133】
図24に示す通り、運行計画策定部304は、運行計画の経路として取り得る範囲を空間情報取得範囲とする。ここでは、図24に示す通り、出発地点と到着地点を対角とする直方体の範囲よりも広い範囲を空間情報取得範囲とするように算出される。これは運行経路が既に発行済みの運行経路と競合する場合に、大回りして回避する運行経路を作るケースがあるためである。このように、空間情報取得範囲を、出発地点と到着地点の水平面上の座標を対角とした矩形より所定の距離分だけ広い範囲とすることで迂回路を確保することができる。また、ここではドローンを例として説明しているため、図24に示すような上限高度、下限高度は、法的に決まっているため、あえて指定していないが、他の自律移動装置に適用する場合は、高度まで指定する形で空間情報の取得範囲を決めてもよい。
【0134】
ステップS25の空間情報取得要求では、運行計画策定部304は、空間情報管理部501に対し、検索パラメータを与えて空間情報の取得を要求する。この検索パラメータは、図25に示すように、出発地点(緯度、経度、高度)、到着地点(緯度、経度、高度)、要求範囲始点(緯度、経度)、要求範囲終点(緯度、経度)といった項目の情報を含む。
【0135】
空間情報管理部501は、ステップS25の空間情報取得要求を受けて空間情報の検索を行う(ステップS26)。ステップS26の処理例について、図26を参照しながら説明する。図26は、空間情報取得範囲を決定する処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0136】
ステップS26では、空間情報管理部501は、運行計画策定部304から要求範囲をパラメータ(検索パラメータ)とした空間情報取得要求を受信する(ステップS71)。次いで、空間情報管理部501は、図17のウェイポイント情報と図18のエッジ情報から、ステップS25の空間情報取得要求のパラメータである要求範囲(図25)についての空間情報を読み出す(ステップS72)。ここで読み出される空間情報は、図27に示すように、要求範囲始点、要求範囲頂点終点、運行が許可されている上限、運行が許可されている下限から決まる範囲に含まれるウェイポイント、及びエッジを含み、これが要求された取得範囲の空間情報となる。図27は、取得範囲空間情報のデータ形式の一例を示す図である。このようにして取得された取得範囲空間情報は、図28に示すようなイメージとなる。図28は、取得範囲空間情報の一例を示す模式図である。
【0137】
そして、空間情報管理部501は、運行計画策定部304に対して、図27に示す取得範囲の空間情報を、取得要求範囲の空間情報として応答する(ステップS73、ステップS27)。
【0138】
運行計画策定部304は、取得要求範囲の空間情報を空間情報管理部501から受信し(ステップS27)、その空間情報に基づき運行計画候補を策定し(ステップS28)、排他領域算出要求を排他領域算出部301に対して行う(ステップS29)。ステップS28の処理では、運行計画ではなく、運行計画の候補が生成される。この後の処理で既に発行済みの運行計画との運行経路の競合が無いかを確認したうえで、運行計画となるため、この時点で生成されるのは運行計画の候補である。
【0139】
ステップS27~S29の処理例について、図29及び図30を参照しながら説明する。図29及び図30は、運行計画候補の策定処理の一例を説明するためのフロー図である。まず、運行計画策定部304は、空間情報管理部501から取得要求範囲内の空間情報(図27)を、取得要求範囲の空間情報で受け取る(ステップS81)。ステップS28の策定が実行初回である場合、運行計画策定部304は、運行計画候補一時保持部305に、図13に示した情報を登録する。即ち、出発地点のウェイポイントID、出発可能時刻、到着地点のウェイポイントID、及び到着期限時刻を登録するとともに、運行経路と競合フラグの空表を登録する。候補を策定する毎に毎回、運行経路と競合フラグの空表を生成する。
【0140】
次いで、運行計画策定部304は、ステップS82a,S82b間のループ処理を行う。このループ処理でのループ条件は、到着地点のウェイポイントIDと終点ウェイポイントIDが一致するまで繰返すという条件とする。
【0141】
このループ処理では、まず、運行計画策定部304が、次のようにして起点ウェイポイントの決定を行う(ステップS83)。初回はステップS81で受け取った取得要求範囲内の空間情報(図27)の出発地点のウェイポイントID、2回目以降は前処理の終点ウェイポイントIDと起点ウェイポイントIDが一致し、且つ使用不可フラグが偽であるエッジを検索し読み出す。
【0142】
次いで、運行計画策定部304が、次のように、選択された各エッジの目標終点通過時刻を決定する(ステップS84)。ステップS83で検索し読み出した複数エッジの起点ウェイポイントID、終点ウェイポイントIDをキーに取得要求範囲(図27)内の空間情報のウェイポイントIDが一致するウェイポイントのウェイポイント座標をそれぞれ取得する。そして、取得した2つのウェイポイントの距離と使用するドローンの標準速度から、そのエッジ(経路区間)を移動する際の所要時間を求める。所要時間が求まることは、エッジの目標終点通過時刻が求まることを意味する。
【0143】
次いで、運行計画策定部304が、ステップS84で検索し読み出した複数エッジのなかから、次のウェイポイントへ進む経路区間を選定する(ステップS85)。このとき、図13に示した、運行計画候補一時保持部305の運行経路の運行経路と競合フラグの表(複数ありうる)に、エッジIDが一致し、且つ、目標終点時刻が近く、且つ、競合フラグが真であるエッジは、選択から除外する。そして、このような除外を行ったうえで、最終的に出来上がる運行計画の経路がなるべく最短となるよう貪欲法やAスターアルゴリズムなどの経路探索アルゴリズムに従ってエッジを選択する。これにより、1区間分のエッジIDと、終点ウェイポイント(=次の始点ウェイポイントID)が決定される。
【0144】
次いで、運行計画策定部304が、図13に示した、運行計画候補一時保持部305の運行経路の運行経路と競合フラグの表に、レコードの追加を行う(ステップS86)。ここでは、採番した区間順序番号(0から始まる連番)、起点ウェイポイントID、終点ウェイポイントID、競合フラグ値偽を1レコードとして追加する。
【0145】
ステップS82bでは、上述したループ条件を満たした場合にループ処理を抜けるが、ループ処理を抜ける時点で運行経路と競合フラグの表が1つ完成されることとなる。
【0146】
次いで、運行計画策定部304が、排他領域算出部301に対して、運行計画候補一時保持部305における図13の情報として最後に登録された運行計画候補をパラメータとし、運行計画候補の排他領域算出要求を行う(ステップS87、ステップS29)。
【0147】
このような処理をした結果、図13に示す項目が、運行計画の候補として策定される。
なお、このステップで運行計画候補一時保持部305内に生成され追加された運行計画候補は、運行計画が決定するまで図20内にあるループを抜け運行計画の登録、発行が終わるまで保持され、その後消去される。
【0148】
ステップS29における運行計画候補の排他領域算出要求は、図14の項目を指定して、排他領域算出部301に対してなされる。図14に示す項目は、出発地点のウェイポイントID、出発可能時刻(年月日時分秒)、到着地点のウェイポイントID、到着期限時刻、(年月日時分秒)、運行経路である。この運行経路には、区間順序番号、起点ウェイポイントID、終点ウェイポイントID、目標終点通過時刻、エッジIDを含む。
【0149】
この排他領域算出要求を受信した排他領域算出部301は、運行計画の排他領域の算出を行う(ステップS30)。ステップS30の処理に先立ち、上述したような学習済みモデルが計画策定部300の学習済みモデル保持部103に格納してあるものとする。つまり、この学習済みモデルに、ずれを予測したい場所(エッジ(や両端のウェイポイント))とその場所を運行する予定の時刻を与えると、その時刻その場所で起こるであろう、経路のずれと終点通過時刻に対するずれの予測値が得られるようになっている。この終点通過時刻はエッジの終端を通過する時刻を指す。
【0150】
ステップS30について詳細に説明する。
排他領域算出部301は、図13の運行経路を1レコードずつ読み込み、学習済みモデル保持部103にある学習済みモデルを用いて、予測値(経路ずれ予測値、終点通過時刻ずれ予測値)を求める。そして、排他領域算出部301は、各レコードに対しその予測値(経路ずれ予測値、終点通過時刻ずれ予測値)を付加する。
【0151】
これにより、図31に示すような情報が得られる。図32に示すように、経路ずれ予測値がウェイポイントとウェイポイントを結んだ線(区間運行経路)上で垂直方向に最大でどれだけずれるかを示す予測値として、終点通過時刻ずれ予測値が目標終点通過時刻からどれだけずれるかの予測値として、求められる。なお、ずれの考え方については図10を参照して説明した通りである。ここで、図31は、予測値のデータ形式の一例を示す図であり、図32は、予測結果を説明するための模式図である。
【0152】
このようにして求めた予測値(経路ずれ予測値、終点通過時刻ずれ予測値)の各レコードに対し、安全距離、安全時間を加えて、排他領域(排他領域半径、排他終了時刻)を求める。排他領域を求めた結果を図33に示す。図33は、算出された排他領域のデータ形式の一例を示す図である。
【0153】
次いで、排他領域算出部301は、図33に示したステップS30での処理結果を運行計画策定部304に応答する(ステップS31)。運行計画策定部304は、この応答を受信し、図34に示す情報をパラメータとして、発行済み運行計画を取得する範囲(発行済み運行計画取得範囲)を決定する(ステップS32)。図34は、発行済み運行計画取得範囲のデータの形式の一例を示す図である。このパラメータは、到達可能時刻に対し安全時間分早めた時刻、到着期限時刻に対し安全時間分遅くした時刻、要求範囲始点に対し安全範囲分広くした地点(緯度、経度)、及び要求範囲終点に対し安全範囲分広くした地点(緯度、経度)を含む。
【0154】
このようにして決定された取得範囲(空間情報取得範囲)は、図35で示すように要求範囲始点に安全範囲、要求範囲終点に安全範囲を加えたものであり、これが排他領域取得要求の範囲として決定されることになる。図35は、図34で決定された空間情報取得範囲の一例を示す模式図である。開始終了時刻の何れかが上記の時間帯とかぶり且つこの区画内に一部分でも排他領域がかかる、過去の運行計画が読み出されることになる。
【0155】
次いで、運行計画策定部304は、発行済み運行計画管理部401に対して、ステップS32で決定した排他領域取得要求範囲をパラメータとして、発行済み運行計画の排他領域取得の要求を行う(ステップS33)。
【0156】
発行済み運行計画管理部401は、この要求を受信し、発行済み運行計画保持部402に保存されている、図16にそのデータ形式を示す運行計画から、発行済み運行計画を検索して読み出すことで、発行済み運行計画の排他領域を算出する(ステップS34)。ここでは、上記運行計画から、図35に示した要求範囲に含まれ、且つ、現時点の運行計画候補の出発可能時刻を安全時間分早めた時刻と到着期限時刻を安全時間分遅くした時刻の間の時間内に当てはまる発行済み運行計画を検索し読み出す。なお、該当する運行計画は複数件該当することがあり得る。
【0157】
ここでは、条件に該当した運行計画の、運行経路発行番号、出発地点のウェイポイントID、出発可能時刻、到着地点のウェイポイントID、到着期限時刻、依頼管理番号とそれに対応する運行経路と排他領域のリストが読み込まれる。
【0158】
そして、発行済み運行計画管理部401は、取得要求範囲の発行済み運行計画の排他領域を、運行計画策定部304に応答として返す(ステップS35)。ここでは、ステップS34で読み込んだ、条件に該当した運行計画の、運行経路発行番号、出発地点のウェイポイントID、出発可能時刻、到着地点のウェイポイントID、到着期限時刻、依頼管理番号とそれに対応する運行経路と排他領域のリストを応答する。このリストの例を図36に示す。図36は、運行計画候補の排他領域算出結果が付加された運行計画候補のデータの形式の一例を示す図である。
【0159】
図36に示す情報は、運行計画候補の排他領域算出結果が付加された運行計画候補の情報であり、運行経路として、区間順序番号、起点ウェイポイントID、終点ウェイポイントID、目標終点通過時刻、エッジIDが含まれる運行区間のリストを含む。また、図36に示す情報は、排他領域の情報として、経路ずれ予測値及び終点通過時刻ずれ予測値を含む。
【0160】
運行計画策定部304は、この応答を受信し、運行計画候補の排他領域と発行済み運行計画の排他領域の競合を確認する(ステップS36)。ここで競合と判定するケースは二つある。
【0161】
一つ目は、運行計画候補に含まれる運行経路とステップS31で得られた発行済み運行計画に含まれる運行経路のレコード間で、起点ウェイポイント、終点ウェイポイントの組み合わせが一致し、且つ、排他時間が重なるケースである。このようなケースは、図37に示すようなケースである。図37は、競合状態の一例を示す模式図である。ここで、起点ウェイポイント、終点ウェイポイントの組み合わせが一致とは、始点、終点が逆でも一致とされ、上り、下りを問わない。また、上記排他時間は、着目する運行経路レコードの区間順序番号の一つ前の区間順序番号を持つレコードの排他終了時刻から着目する運行経路レコードの排他終了時刻までの間を指す。
【0162】
二つ目は、運行計画候補に含まれる運行経路とステップS31で得られた発行済み運行計画に含まれる運行経路のレコード間で、排他領域半径から求まる空間が一部でも重なり、且つ、排他時間が重なるケースである。このようなケースは、図38図39に示すようなケースである。図38図39は、競合状態の他の例を示す模式図である。
【0163】
図40を参照しながら、領域の競合について補足的に説明する。図40は、領域の競合について説明するための図である。上記の排他領域半径から求まる空間とは、排他領域半径を半径とする両端が半球形の、経路1区間分のエッジとウェイポイントを取り囲む円筒の空間を指し、図32の円筒形の空間の両端に円筒と同じ半径の半球が着いた空間である(図10参照)。上記排他時間とは、着目する運行経路レコードの区間順序番号の一つ前の区間順序番号を持つレコードの排他終了時刻から着目する運行経路レコードの排他終了時刻までの間を指す。
【0164】
図40に示すように、運行計画候補の排他領域算出結果が付加された運行計画候補と取得要求範囲の発行済み運行計画の排他領域とを比較することで、領域が競合しているかを判定する。ここで、競合判定をする際に、区間占有時間を前後の目標終点追加時刻に時刻ずれ予測値を加えた時刻から算出したうえで、安全時間を加え、経路ズレ予測値に安全範囲を加える。
【0165】
そして、運行計画策定部304は、上記何れかの競合条件に該当した場合、経路の競合あるいは、排他領域の競合とみなし運行計画候補一時保持部305に格納してある運行計画候補の当該の運行経路レコードの競合フラグに真を設定する。
【0166】
一方で、競合が発生しない運行計画が得られた場合、運行計画策定部304は、図20のループ処理を抜け、次のステップS37に進む。
【0167】
運行計画策定部304は、ステップS37において、発行済み運行計画管理部401に対し、発行済み運行計画と排他領域が競合しなかった運行計画候補を、運行計画として登録する。上述したように、発行済み運行計画と競合しない運行計画候補が得られたら図20に示すループ処理を抜け、このステップS37の処理に入る。
【0168】
ステップS37では、運行計画策定部304は、図15に示した項目の情報(運行計画候補一時保持部305に格納してある運行計画候補の内、この時点で最後に生成した運行計画の情報)をパラメータとして、発行済み運行計画管理部401に登録を依頼する。
【0169】
発行済み運行計画管理部401は、ステップ37で与えられた運行計画の情報(図15)を、発行済み運行計画保持部402に追加することで、運行計画の登録を行う(ステップS38)。追加する際、その運行計画に、運行経路発行番号を採番し付加する。これにより、図16に示した項目の情報が発行済み運行計画保持部402内に保持される。
【0170】
運行計画策定部304は、図41に示すように、ステップS23における運行計画策定要求で受け取った、依頼管理番号、出発地点、到着地点の情報を付加する。また、運行計画策定部304は、空間情報管理部501にウェイポイントIDを指定して問い合わせることで、起点ウェイポイントID、終点ウェイポイントIDに対し、対応する座標を付加する。そして、運行計画策定部304は、図41に示す項目のデータを、運行計画として運行計画発行依頼管理部302に応答する(ステップS39)。図41は、運行計画のデータの形式の一例を示す図である。
【0171】
運行計画発行依頼管理部302は、この応答を受けて、運行計画発行依頼保持部303の運行計画発行依頼に発行済みフラグを設定する(ステップS40)。ここでは、受け取った運行計画と依頼管理番号が一致するレコード(図12参照)に運行経路発行番号を追加し発行済みフラグを真にセットする。これにより、図42に示す項目のデータが運行計画として生成される。図42は、運行計画のデータの形式の一例を示す図である。
【0172】
次いで、運行計画発行依頼管理部302は、運行計画発行依頼者に運行計画を応答することで運行計画の発行を行う(ステップS41)。発行された運行計画は、発行済みフラグを取り除くことができ、例えば図43に示す項目の情報を含むことができる。図43は、運行計画のデータの形式の一例を示す図である。
【0173】
以上のように、本実施形態に係る運行管理装置10は、経路ずれを学習する機能、経路と通過時刻ずれ(空間的、時間的なずれ)を予測する機能、自動で運行計画を生成する機能を備える。
【0174】
そして、運行管理装置10は、運行計画候補について、このような予測した結果に基づき、その運行計画候補に含まれる隣り合うウェイポイント間を結ぶエッジのそれぞれについて、そのエッジを囲うように排他領域を設定することになる。これにより、予測結果に応じた設定を行わない場合に比べて空間的な利用効率が向上し、それにより時間的な利用効率も向上させることができる。
【0175】
なお、この場合、実施形態1で説明した学習済みモデル4eに相当する学習済みモデルは、次のようにして生成されることができる。ここでは、図4の学習装置4で学習させる例を挙げて説明する。
【0176】
取得部4aは、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、上記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数のウェイポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、運行実績と、を含む情報を取得する。運行実績は、上記実行運行計画の実行時の運行実績である。ここで、上記運行計画は、上記運行計画に含まれる複数のウェイポイントにおける隣り合うウェイポイント間を結ぶエッジのそれぞれについて、エッジを囲うように排他領域が設定された計画である。ここでも、上記排他領域は、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域である。
【0177】
制御部4bは、新たな運行希望情報(つまり別の運行希望情報)に基づき複数のウェイポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、取得された情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する。
【0178】
また、この学習装置4は、上述したような学習方法を実行することができる。また、上述したように、学習装置4はコンピュータで構成することができ、その場合のプログラムは、上記のような処理をコンピュータに実行させるプログラムとすることができる。
【0179】
さらに、運行管理装置10は、運行計画候補について、上記予測した結果に基づき、排他領域とともに、排他領域について他の運行計画未生成の自律移動装置の運行を禁止する期間としての排他期間を設定することができる。そのため、排他領域のみを設定した場合に比べて、さらに時間的な利用効率を向上させることができる。特に、運行計画候補についての排他期間の長さを、各ウェイポイントでの通過時刻を予測した時刻的なずれの長さに応じて長く設定することができ、これにより、さらに時間的な利用効率を向上させることができる。
【0180】
また、本実施形態に係る運行管理装置10では、空間上に区画ではなく、ウェイポイントを高密度で定義し、そのウェイポイントを経由するように運行経路を設定し、運行経路を設計する。本実施形態では、特に危険範囲(他の自律移動装置を排他する範囲)は運行経路を取り巻くように設定され、その大きさと排他期間は過去の経路ずれ情報の学習から予測したずれの予測値を基に決定される。結果として、危険範囲は、設計経路のウェイポイントとウェイポイントの間の区間毎に、予測結果に基づき異なる大きさで設定されることができる。
【0181】
また、本実施形態に係る運行管理装置10では、競合しない候補は、運行計画候補のうち、生成済み且つ未完了の運行計画に含まれるエッジのそれぞれについてエッジを囲うように設定されている設定済みの排他領域を除く領域を運行する候補に決定される。そのため、この設定済みの排他領域も予測結果に基づいて決定されたものとすることができるため、さらに時間的、空間的な利用効率を向上させることができる。
【0182】
なお、運行計画策定処理について、運行計画候補の生成の度に競合を判定する例を挙げたが、このような処理例に限らず、複数の運行計画候補を生成したのち、その中から最も競合度合いが低い候補を運行計画として決定することもできる。
【0183】
また、本実施形態では、競合しない候補は、運行計画候補のうち、生成済み且つ未完了の運行計画に関する設定済みの排他領域について設定されている設定済みの排他期間において、上記設定済みの排他領域を除く領域を運行する候補に決定される。そのため、この排他期間も予測結果に基づいて決定されたものとすることができるため、さらに時間的、空間的な利用効率を向上させることができる。
【0184】
また、競合しない候補が、運行計画候補のうち、生成済み且つ未完了の運行計画に関する設定済みの排他領域を除く領域を運行する候補に決定される場合、実施形態1で説明した学習済みモデル4eに相当する学習済みモデルは次のように生成されることができる。ここでは、図4の学習装置4で学習させる例を挙げて説明する。
【0185】
取得部4aは、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、上記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数のウェイポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、運行実績と、を含む情報を取得する。運行実績は、上記実行運行計画の実行時の運行実績である。ここで、上記運行計画は、上記運行希望情報に基づき生成された、複数のウェイポイントを含む運行計画候補のうち、次のような排他領域を除く領域を運行できる計画であればよい。ここでの排他領域は、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画に含まれる複数のウェイポイントにおける隣り合うウェイポイント間を結ぶエッジのそれぞれについてエッジを囲うように設定されている設定済みの排他領域を指す。
【0186】
制御部4bは、別の運行希望情報に基づき複数のウェイポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、上記取得部で取得された情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する。
【0187】
また、この例における学習装置4は、上述したような学習方法を実行することができる。また、上述したように、学習装置4はコンピュータで構成することができ、その場合のプログラムは、上記のような処理をコンピュータに実行させるプログラムとすることができる。
【0188】
以上に説明したように、本実施形態によれば、実施形態1と同様に、衝突の予防と空間の利用効率の向上の両立を図ることができるだけでなく、個々に設けた構成要素の効果を奏する。本実施形態では、問題の1つ目として説明した、始点と終点を設定するだけで、経路の設計をして他のドローン3の経路と調整された運行計画を生成するという一連の手続きを自動で行う方法がない、といった問題を解決でき、自動で実行できるようになる。また、本実施形態では、問題の2つ目として説明した、既存の運行経路の設計方法では空間利用の効率(空間的にも、時間的にも)が悪く、複数のドローンを効率良く運行できない、といった問題も解決できる。即ち、本実施形態によれば、運行経路の計画と実績とのずれが小さい場所については、空間あたりの収容台数を増やせるため、利用効率が空間的、時間的に向上する。
【0189】
<実施形態3>
実施形態3として、実施形態1,2に適用可能な様々な応用例について、実施形態2との相違点を中心に説明する。実施形態3は、実施形態1,2で説明した様々な例が適宜利用できる。
【0190】
実施形態2では、ドローンを例に挙げて説明したが、飛行せず地上を走行するような自律移動装置に適用することもできる。その場合、実施形態2で例示した3次元空間における運行計画の代わりに、地上を走行する自律移動装置のために、2次元平面における運行計画を適用すればよい。2次元平面における運行計画では、区画については上限高度、下限高度や目標到達座標や実績到達座標の高度の情報は使わなくてもよい。また、走行する自律移動装置に適用する場合であっても、立体駐車場や車両が入れる大型物流センターや工場など、階層構造がある状況で使用する場合は、高度で表現する以外に、階高情報で表現してもよい。
【0191】
また、ウェイポイントの配置に関し、図9では、説明の簡略化のため、ウェイポイントを等間隔に配置したが、必ずしも等間隔に配置しなくともよい。例えば山や建築物などで通れない空間であることが明確な場合、法的規制などで運行できない空間が明確な場合、最初からウェイポイントを設定しない場所があってもよい。つまり、運行計画や候補に含まれる複数のウェイポイントは、予め設定された空間ポイントの中から選択して決定されるようにしてもよい。
【0192】
また、ウェイポイントは、例えば山や建築物などで通れない空間であることが明確な場合、法的規制などで運行できない空間が明確な場合を表現するために、次のように配置することもできる。即ち、図9のように障害物とは関係なく密、等間隔にウェイポイントを設定し、障害物にかかる場所だけ、そこを通るエッジの使用不可フラグを真とすることで運行できない空間を表現してもよい。この場合のエッジのデータ構造については図27で例示した通りである。
【0193】
つまり、運行計画や候補に含まれる複数のウェイポイントは、等間隔の格子の格子点として予め設定された空間ポイントのうち、障害物が存在する空間ポイント及び運行が法的に許可されない領域に含まれる空間ポイントを除いた中から選択して決定されてもよい。
【0194】
これらの例からも分かるように、運行計画や候補に含まれる複数のウェイポイントは、少なくとも2つのエッジの間でエッジの長さが異なるように決定されることができる。これにより、固定サイズの大きな区画ではなく、区割りを小さくした区画(あるいは、逆に大きくした区画)を通るように経路を設計することができる。
【0195】
また、排他領域は、エッジそのものを示す排他ラインとすることを許容して設定されることもできる。
【0196】
また、実施形態2では、運行実績学習部102での学習、排他領域算出部301における位置ずれ、時刻ずれの予測にあたり、説明変数として週番号タグ、時間帯タグや月タグ、季節帯タグを用いたが、この項目を増やしたり、別の項目に置き換えたりしてもよい。また、目的変数との相関が見込める情報であれば、運行実績のみから学習データを得るだけでなく他の情報元からの項目も用いることができる。
【0197】
例えば、地上を運行する自律移動装置に適用する場合、各区画の地表面の状態種別に番号を付けたもの(舗装、未舗装、砂利、砂など)など追加して利用してもよいし、洋上を運行する自律移動装置に適用するのであれば、区画毎の波の高さを追加してもよい。また、空を運行する自律移動装置の場合でも、区画毎の気象情報を加えてもよい。また、実施形態2で説明した運行実績から得る情報は、その項目を増やしてもよい。例えば、自律移動装置にセンサなどを搭載し、振動情報や気温情報、推進に使うモータやエンジンの出力の変動や、傾き、燃料消費状況などの情報を説明変数に加えてもよい。これにより、予測精度の向上や、より実態に即した学習モデルを構築することができる。
【0198】
また、実施形態2では、運行実績学習部102での学習、排他領域算出部301における位置ずれ、時刻ずれの予測にあたり、目的変数を位置ずれ距離とした例を示したが、目的変数として位置ズレ方向を加えて用いてもよい。つまり、運行管理装置10は、位置的なずれの予測として、距離のずれ及び方向のずれの予測を実行するように構成することもできる。これにより、特定の方向に向かってのみ空間を排他にするということができ、さらに空間の利用効率が高まる効果がある。
【0199】
また、実施形態2では、運行実績学習部102での学習、排他領域算出部301における位置ずれ、時刻ずれの予測にあたり用いる機械学習手法について言及していないが、例えば、重回帰分析を用いることができる。但し、学習の方式は深層学習など、他の機械学習手段を用いてもよい。
【0200】
<実施形態4>
実施形態4について、再度図1を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明する。実施形態4は、実施形態1~3で説明した様々な例が適宜利用できる。
【0201】
本実施形態に係る運行計画生成装置1は制御部1aを備え、制御部1aは、運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、上記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する。なお、本実施形態では、記憶部1bは、運行実績等のデータを格納しておく必要はなく、中間処理データや生成データの一時的な記憶に用いることができるが、制御部1a内に記憶部を備えていれば済む。
【0202】
制御部1aは、上記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成する。制御部1aは、上記運行計画候補について、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域として、排他領域を設定する。ここで、本実施形態の特徴として排他領域は、予測結果に基づくのではなく、上記運行計画候補に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、上記区間経路を囲うように設定される。そして、制御部1aは、上記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、上記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する。
【0203】
このように、本実施形態では、実施形態1に対し予測結果を用いて排他領域の設定を行っていないが、区間経路のそれぞれについて区間経路を囲うように排他領域が設定できる。比較例に比べて細かく排他領域の設定が可能となるため、本実施形態によれば、一定の空間内に同一の時間帯に運行できる自律移動装置の数を増やすような運行計画を自動的に生成することができ、衝突の予防と空間の利用効率の向上の両立を図ることができる。本実施形態では、その説明を省略するが、このような運行計画生成方法や処理プログラムも採用することができる。
【0204】
<他の実施形態>
[a]
各実施形態において、運行計画生成装置の機能、自律移動装置の機能、学習装置の機能などについて説明したが、各装置は、例示した構成例に限ったものではなく、各装置としてこれらの機能が実現できればよい。
【0205】
[b]
各実施形態に係る各装置は、次のようなハードウェア構成を有していてもよい。図44は、装置のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、上記他の実施形態[a]についても同様である。
【0206】
図44に示す装置1000は、プロセッサ1001、メモリ1002、及びインタフェース1003を備えることができる。プロセッサ1001は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ1001は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ1002は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。各実施形態で説明した各装置における機能は、プロセッサ1001がメモリ1002に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。この際、情報の入出力は、内部の他の部位や外部の他の装置との通信を行う通信インタフェース等のインタフェース1003を介して行うことができる。例えば、装置1000が運行計画生成装置や学習装置の場合、インタフェース1003は、少なくとも通信インタフェースを含むことができ、ユーザ操作を受け付けるユーザインタフェースを含むことができる。例えば、装置1000が自律移動装置の場合、インタフェース1003は、少なくとも各センサとのインタフェースや通信インタフェースを含むことができる。
【0207】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0208】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0209】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する制御部と、
実行済みの運行計画である実行運行計画と前記実行運行計画の実行時の運行実績との関係を記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、
前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、
前記運行計画候補について、前記関係に基づき、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行し、
前記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域を設定し、
前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、
運行計画生成装置。
(付記2)
前記制御部は、前記運行計画候補について、前記予測した結果に基づき、前記運行計画候補に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように前記排他領域を設定する、
付記1に記載の運行計画生成装置。
(付記3)
前記制御部は、前記運行計画候補について、前記予測した結果に基づき、前記排他領域とともに、前記排他領域について他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する期間としての排他期間を設定する、
付記2に記載の運行計画生成装置。
(付記4)
前記制御部は、前記生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補として、前記運行計画候補のうち、前記生成済み且つ未完了の運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれを囲うように設定されている設定済みの排他領域を除く領域を運行する候補を、前記応答する運行計画に決定する、
付記1~3のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記5)
前記制御部は、前記生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補として、前記運行計画候補のうち、前記設定済みの排他領域について設定されている設定済みの排他期間において、前記設定済みの排他領域を除く領域を運行する候補を、前記応答する運行計画に決定する、
付記4に記載の運行計画生成装置。
(付記6)
前記排他領域における運行方向に垂直な面のサイズは、前記複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路について、少なくとも2つの前記区間経路について異ならせるように設定される、
付記1~5のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記7)
前記排他領域は、前記複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路について、前記区間経路そのものを示す排他ラインとすることを許容して設定される、
付記1~6のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記8)
前記複数の通過ポイントは、隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路について、少なくとも2つの前記区間経路の間で前記区間経路の長さが異なるように決定される、
付記1~7のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記9)
前記複数の通過ポイントは、等間隔の格子の格子点として予め設定された空間ポイントのうち、障害物が存在する空間ポイント及び運行が法的に許可されない領域に含まれる空間ポイントを除いた中から選択して決定される、
付記1~8のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記10)
前記複数の通過ポイントは、予め設定された空間ポイントの中から選択して決定される、
付記1~8のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記11)
前記排他領域について他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する期間としての排他期間は、前記複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路について、少なくとも2つの前記区間経路について異ならせるように設定される、
付記3又は5に記載の運行計画生成装置。
(付記12)
前記制御部は、前記運行計画候補についての前記排他期間の長さを、各通過ポイントでの通過時刻を予測した時刻的なずれの長さに応じて長く設定する、
付記3に記載の運行計画生成装置。
(付記13)
前記制御部は、位置的なずれの予測として、距離のずれ及び方向のずれの予測を実行する、
付記1~12のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記14)
前記関係は、前記実行運行計画と前記運行実績とに基づき機械学習により生成された、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを予測する学習済みモデルとして、前記記憶部に記憶され、
前記制御部は、前記学習済みモデルを用いて前記予測を実行する、
付記1~13のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記15)
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する制御部を備え、
前記制御部は、
前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、
前記運行計画候補について、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域として、前記運行計画候補に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように排他領域を設定し、
前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、
運行計画生成装置。
(付記16)
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得する取得部と、
別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、前記取得部で取得された情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する制御部と、
を備え、
前記運行計画は、前記運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域が設定された計画である、
学習装置。
(付記17)
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得する取得部と、
別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、前記取得部で取得された情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する制御部と、
を備え、
前記運行計画は、
前記運行希望情報に基づき生成された、複数の通過ポイントを含む運行計画候補のうち、
他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて前記区間経路を囲うように設定されている設定済みの排他領域を除く領域を運行できる計画である、
学習装置。
(付記18)
付記14に記載の運行計画生成装置と、学習装置と、前記運行実績に含める情報を収集するセンサ群が備えられ前記運行計画生成装置と通信可能な自律移動装置と、を備え、
前記学習装置は、
前記実行運行計画と前記運行実績とを含む情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された情報に基づき、前記学習済みモデルを生成する学習装置側制御部と、
を備えた、
自律移動システム。
(付記19)
付記1~14のいずれか1項に記載の運行計画生成装置と、前記運行実績に含める情報を収集するセンサ群が備えられ前記運行計画生成装置と通信可能な自律移動装置と、を備えた自律移動システム。
(付記20)
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する処理を備え、
前記処理は、
前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、
前記運行計画候補について、実行済みの運行計画である実行運行計画と前記実行運行計画の実行時の運行実績との関係に基づき、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行し、
前記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域を設定し、
前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、
運行計画生成方法。
(付記21)
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する処理を備え、
前記処理は、
前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、
前記運行計画候補について、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域として、前記運行計画候補に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように排他領域を設定し、
前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、
運行計画生成方法。
(付記22)
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得し、
別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、取得した情報に基づき予測する学習済みモデルを生成し、
前記運行計画は、前記運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域が設定された計画である、
学習方法。
(付記23)
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得し、
別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、取得した情報に基づき予測する学習済みモデルを生成し、
前記運行計画は、
前記運行希望情報に基づき生成された、複数の通過ポイントを含む運行計画候補のうち、
他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて前記区間経路を囲うように設定されている設定済みの排他領域を除く領域を運行できる計画である、
学習方法。
(付記24)
コンピュータに、
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する処理であって、
前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、
前記運行計画候補について、実行済みの運行計画である実行運行計画と前記実行運行計画の実行時の運行実績との関係に基づき、前記運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれの予測を実行し、
前記運行計画候補について、予測した結果に基づき、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域を設定し、
前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、
処理を実行させるプログラム。
(付記25)
コンピュータに、
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について、複数の通過ポイントを含む運行計画を生成する処理であって、
前記運行希望情報に基づき、複数の通過ポイントを含む運行計画候補を生成し、
前記運行計画候補について、他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域として、前記運行計画候補に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように排他領域を設定し、
前記運行計画候補のうち、他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画と競合しない候補を、前記運行計画生成要求に対して応答する運行計画に決定する、
処理を実行させるプログラム。
(付記26)
コンピュータに、
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得し、
別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、取得した情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する、
処理を実行させ、
前記運行計画は、前記運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて、前記区間経路を囲うように他の自律移動装置が競合して運行することを禁止する領域としての排他領域が設定された計画である、
プログラム。
(付記27)
コンピュータに、
運行希望情報を含む運行計画生成要求に対し、前記運行希望情報に運行対象として含まれる自律移動装置について複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画のうち実行済みである実行運行計画と、前記実行運行計画の実行時の運行実績と、を含む情報を取得し、
別の運行希望情報に基づき複数の通過ポイントを含むように生成された運行計画候補に従って運行した場合に起こり得る位置的、時刻的なずれを、取得した情報に基づき予測する学習済みモデルを生成する、
処理を実行させ、
前記運行計画は、
前記運行希望情報に基づき生成された、複数の通過ポイントを含む運行計画候補のうち、
他の自律移動装置について生成済み且つ未完了の運行計画に含まれる複数の通過ポイントにおける隣り合う通過ポイント間を結ぶ区間経路のそれぞれについて前記区間経路を囲うように設定されている設定済みの排他領域を除く領域を運行できる計画である、
プログラム。
【符号の説明】
【0210】
1 運行計画生成装置
1a 制御部
1b 記憶部
2 自律移動装置
2a センサ群
2b 通信部
2c 移動制御部
2d 駆動部
3 ドローン
4 学習装置
4a 取得部
4b 制御部
4c 記憶部
4d 未学習モデル
4e 学習済みモデル
10 運行管理装置
101 学習済みモデル管理部
102 運行実績学習部
103 学習済みモデル保持部
200 実績管理部
201 運行実績管理部
202 運行実績保持部
300 計画策定部
301 排他領域算出部
302 運行計画発行依頼管理部
303 運行計画発行依頼保持部
304 運行計画策定部
305 運行計画候補一時保持部
400 計画管理部
401 発行済み運行計画管理部
402 発行済み運行計画保持部
500 空間管理部
501 空間情報管理部
502 ウェイポイント(WP)保持部
503 エッジ情報保持部
1000 装置
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44