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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189401
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20221215BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20221215BHJP
   H04W 48/08 20090101ALI20221215BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W24/10
H04W48/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097956
(22)【出願日】2021-06-11
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 直希
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067AA23
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067HH21
(57)【要約】
【課題】 通信装置と外部装置(アクセスポイント)との接続設定処理を行う際に、通信装置の周囲のアクセスポイントとの電波状況を考慮した接続処理を行い、通信装置と外部装置との適切な通信環境を構築する。
【解決手段】 第1の外部装置と通信装置との間の電波環境に関する情報を取得する第1取得ステップと、前記電波環境に関する情報に基づいて前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を、前記通信装置に送信するか否かを決定する決定ステップと、前記決定ステップにおいて前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置に送信すると決定した場合、前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置に送信する第1送信ステップと、を実行させる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータに、
第1の外部装置と通信装置との間の電波環境に関する情報を取得する第1取得ステップと、
前記電波環境に関する情報に基づいて前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を、前記通信装置に送信するか否かを決定する決定ステップと、
前記決定ステップにおいて前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置に送信すると決定した場合、前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置に送信する第1送信ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記電波環境に関する情報に対応する値が閾値より大きいかを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにおいて、前記電波環境に関する情報に対応する値が閾値よりも大きいと判定された場合に、前記決定ステップは、前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を、前記通信装置に送信すると決定することを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記通信装置が発見した外部装置を表す1又は複数の識別情報のリストである第1識別情報リストを取得させる第2取得ステップを、前記コンピュータにさらに実行させ、
前記第1の外部装置は、前記第2取得ステップにおいて取得した前記第1識別情報リストに含まれるいずれかの識別情報に対応する外部装置であることを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1識別情報リストに含まれる、前記第1の外部装置を表す前記識別情報とは異なる1又は複数の識別情報によって表される1又は複数の第2の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報を取得する第3取得ステップを、前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1判定ステップにおいて、前記第1取得ステップにおいて取得した前記第1の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記閾値よりも小さいと判定された場合に、前記第3取得ステップにおいて取得した1又は複数の前記第2の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記閾値より大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置があるかを判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップにおいて、1又は複数の前記第2の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記閾値よりも大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置があると判定された場合に、1又は複数の前記第2の外部装置と前記情報処理装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が、特定の閾値より大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置があるかを判定する第3判定ステップと、
前記第3判定ステップにおいて、1又は複数の前記第2の外部装置と前記情報処理装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記特定の閾値よりも大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置があると判定された場合に、1又は複数の前記第2の外部装置と前記情報処理装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記特定の閾値よりも大きい値に対応する1つの前記第2の外部装置との接続に用いられる情報を、前記通信装置に送信する第2送信ステップと、
を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記第2判定ステップにおいて、1又は複数の前記第2の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記閾値より大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置があると判定された場合に、1又は複数の前記第2の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記閾値より大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置は、前記情報処理装置が接続したことのある外部装置であるかを判定する第4判定ステップと、
前記第4判定ステップにおいて、1又は複数の前記第2の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記閾値より大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置は、前記情報処理装置が接続したことのある外部装置であると判定された場合に、前記第3判定ステップを前記コンピュータに実行させ、
前記第3判定ステップにおいて、1又は複数の前記第2の外部装置と前記情報処理装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記特定の閾値よりも大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置があると判定された場合に、1又は複数の前記第2の外部装置と前記情報処理装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記特定の閾値よりも大きい値に対応する1つの前記第2の外部装置との接続に用いられる情報が前記第2送信ステップにおいて前記通信装置に送信されることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第2判定ステップにおいて1又は複数の前記第2の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記閾値より大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置がないと判定された場合、又は前記第4判定ステップにおいて、1又は複数の前記第2の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記閾値より大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置は、前記情報処理装置が接続したことのある外部装置でないと判定された場合に、前記通信装置の位置を変更させる案内を表示させる表示ステップを前記情報処理装置にさらに実行させることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第3判定ステップにおいて、1又は複数の前記第2の外部装置と前記情報処理装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が前記特定の閾値よりも大きい値に対応する複数の前記第2の外部装置があると判定された場合、複数の前記第2の外部装置と前記情報処理装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が最も大きい値に対応する1つの前記第2の外部装置と前記通信装置との接続に用いられる情報を、前記通信装置に送信する第3送信ステップを前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第3判定ステップにおいて、1又は複数の前記第2の外部装置と前記情報処理装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が、前記特定の閾値より大きい値に対応する1又は複数の前記第2の外部装置がないと判定された場合、前記第3取得ステップにおいて取得した、1又は複数の第2の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に対応する値が最も大きい値に対応する1つの前記第2の外部装置との接続に用いられる情報を、前記通信装置に送信する第4送信ステップを前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項5または6に記載のプログラム。
【請求項10】
前記特定の閾値は、前記閾値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよいことを特徴とする請求項5または6に記載のプログラム。
【請求項11】
前記通信装置の無線設定を行うための所定の指示を受け付ける受付ステップを、前記コンピュータにさらに実行させ、
前記受付ステップにおいて前記所定の指示が受け付けられた場合に、前記第1の外部装置との接続に用いられる情報が前記通信装置に送信され、
前記第1の外部装置は、少なくとも前記所定の指示が受け付けられたときに、前記情報処理装置が接続していた外部装置であることを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項12】
前記通信装置の無線設定を行うための所定の指示を受け付ける受付ステップを、前記コンピュータにさらに実行させ、
前記受付ステップにおいて前記所定の指示が受け付けられた場合に、前記第1の外部装置との接続に用いられる情報が前記通信装置に送信され、
前記第1の外部装置は、前記第1識別情報リストに含まれるいずれかの識別情報に対応する外部装置であり、前記所定の指示が受け付けられたときに、前記情報処理装置が接続していた外部装置であることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項13】
前記第1の外部装置との接続に用いられる情報がBluetoothが用いられた接続で前記通信装置に送信される場合は、前記情報処理装置と前記第1の外部装置との間の接続を切断させずに、前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置にBluetoothが用いられた接続で送信することを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記第1の外部装置との接続に用いられる情報がWi-Fiが用いられた接続で前記通信装置に送信される場合は、前記情報処理装置と前記第1の外部装置との間のWi-Fiが用いられた接続を切断させて、前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置にWi-Fiが用いられた接続で送信することを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記第1の外部装置が前記情報処理装置が接続していた外部装置であり、かつ、前記情報処理装置が接続していた外部装置が前記第1識別情報リストに含まれる識別情報に対応する外部装置である場合、前記第1の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報に基づいて前記第1判定ステップを前記コンピュータに実行させ、
前記情報処理装置が接続していた外部装置が前記第1識別情報リストに含まれる識別情報に対応する外部装置でない場合、前記第1識別情報リストに含まれるいずれかの識別情報に対応する前記第1の外部装置と前記通信装置との間の電波環境に関する情報及び、前記第1の外部装置と前記情報処理装置との間の電波環境に関する情報に基づいて前記第1判定ステップを、前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記電波環境に関する情報は、電波の受信強度であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項17】
前記電波環境に関する情報は、電波の信号対雑音比率であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項18】
情報処理装置であって、
第1の外部装置と通信装置との間の電波環境に関する情報を取得する取得手段と、
前記電波環境に関する情報に基づいて前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を、前記通信装置に送信するか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段において前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置に送信すると決定した場合、前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置に送信する第1送信手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置と通信装置とで相互に通信を行うために、情報処理装置によって、通信装置とアクセスポイントなどの外部装置との接続を確立させる技術が知られている。特許文献1には、通信装置とアクセスポイントなどの外部装置との接続を確立させる際に、情報処理装置と通信装置との距離に応じて、通信装置がより近傍の外部装置との接続を確立する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6641194号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、特許文献1に記載の方法では、通信装置と外部装置との通信状況に応じた接続は確立されていなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、通信装置と外部装置との通信状況を考慮し、通信装置と外部装置との良好な接続を確立させ、ユーザビリティを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のような課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、情報処理装置のコンピュータに、第1の外部装置と通信装置との間の電波環境に関する情報を取得する第1取得ステップと、前記電波環境に関する情報に基づいて前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を、前記通信装置に送信するか否かを決定する決定ステップと、前記決定ステップにおいて前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置に送信すると決定した場合、前記第1の外部装置との接続に用いられる情報を前記通信装置に送信する第1送信ステップと、を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信装置と外部装置との良好な接続を確立させ、ユーザビリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】システムの構成を示す図である。
図2】ハードウェア構成を含むシステムの構成を示す図である。
図3】PCが指示した無線設定をプリンタが実行する処理の一例を示すフローチャート図である。
図4】接続先SSID取得処理の一例を示すフローチャート図である。
図5】無線設定処理においてPCが表示する各画面を示す図である。
図6】接続先SSID取得処理においてPCが表示する各画面を示す図である。
図7】PCおよびプリンタが作成するSSIDリストの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(実施形態1)
図1は本実施形態におけるシステム構成を示す図である。図1(a)は情報処理装置であるパーソナルコンピュータ(以下、PC)101と、識別情報であるService Set Identifier(以下、SSIDとする)11で表される外部装置であるアクセスポイント(以下、AP)102とが無線LANで接続されている状態である。また、通信装置であるプリンタ103もSSID11で表されるAP102と接続されている。つまり、PC101は、AP102を介して、プリンタ103と通信可能な状態となっている。このような2つの装置がAPを介して接続する方法は、無線インフラストラクチャー接続(以下、無線インフラ接続と称する)と呼ばれる。無線インフラ接続では、PCが、APに接続している2台以上の複数のデバイスと相互に通信可能なネットワーク環境を構築することができる。なお、本実施形態における情報処理装置として、PCではなく、スマートフォン、デジタルカメラ等の種々の機器が適用されてもよい。また、本実施形態における通信装置として、プリンタではなく、PCやスマートフォン、デジタルカメラ、スマートスピーカ、音楽再生デバイスなど種々の機器が適用されても良い。なお、本実施形態で使用されるプリンタ103の印刷方式は、電子写真方式でもインクジェット方式でもよく、その他の方式でもよい。
【0011】
一方、外部装置を介さずに2台のデバイス間で接続するダイレクト接続(Peer to Peer接続(以下、P2P接続)という接続方式も存在する。なお本実施形態におけるダイレクト接続は、無線Ad-hoc接続であってもよいし、USBケーブル221による接続であってもよいし、プリンタ103がソフトウェアAPとして動作する、legacy Wi-Fiによる接続であってもよい。また、Wi-Fi Direct(登録商標)による接続であってもよい。
【0012】
PC101は、プリンタ103を無線LAN接続でAP102に接続させる処理を行う。そのために、PC101はダイレクト接続を用いてプリンタ103に無線ネットワーク接続設定情報を送信することによって、プリンタ103をAP102に接続させる。なお、無線LAN接続に用いられる通信方式は、例えば、IEEE802.11シリーズの通信規格(Wi-Fi)である。
【0013】
図2は、本実施形態におけるPC101とプリンタ103のハードウェア構成を含む通信システムの構成図である。PC101は、例えば、CPU201とROM202、RAM206、外部記憶装置207、表示装置208、入力インターフェース209を有する。また、PC101は、USBインターフェース205、有線LANインターフェース210、無線LANインターフェース211を有する。ただし、PC101は、USBインターフェース205、有線LANインターフェース210、無線LANインターフェース211、のうち少なくとも一つを有していればよい。PC101は、何れかのインターフェースを用いて、プリンタ103と後述するAP223とを接続させるための情報を、プリンタ103に送信する。なお、無線LANインターフェース211は、AP223やプリンタ103との接続に用いられるインターフェースであり、用いられる通信方式は、例えば、IEEE802.11シリーズの通信規格(Wi-Fi)である。またPC101は、Wi-Fi以外の無線通信規格で通信するためのインターフェースを有しており、そのインターフェースでプリンタ103と通信しても良い。Wi-Fi以外の無線通信規格とは、例えば、Bluetooth (Bluetooth Classic、Bluetooth Low Energy(BLE)等)である。ROM202は、プログラム203や後述する無線プロファイル204などを記憶している。なお本実施形態においてプログラム203には、無線ネットワークの設定をプリンタに指示するための無線ネットワーク設定処理のプログラムを含む各種の処理に対応するアプリケーションプログラム(以下、設定用アプリ)が含まれる。上記の無線ネットワーク設定処理についての詳細は後述する。また、外部記憶装置207にはOperating System(以下、OSと称する)、プリンタドライバやその他各種のデータが保存されている。CPU201は、ROM202からのプログラム203をRAM206に読み出し、実行することで、上記の指示処理を含む各種の処理を実行させる。また、後述する無線設定モードで動作するプリンタ103のSSIDが設定用アプリに含まれているため、設定用アプリがPC101にインストールされたときに、当該SSIDもROM202に記憶される。無線設定モードで動作するプリンタ103のSSIDについては、後述する。
【0014】
PC101は、プリンタ103とダイレクト接続可能である。また、PC101はEthernetケーブル225を介してLAN222に接続することも可能であり、プリンタ103もLAN222に接続できれば、同一のLAN222環境上でPC101とプリンタ103は相互に通信可能となる。さらに、また、PC101は例えば、Wi-FiによってAP223と接続し、AP223がEthernetケーブル226を介してLAN222に接続することで、PC101はLAN222に接続可能となる。なおAP223は、PC101が接続しているAPである場合には、図1におけるAP102と同じAPである。
【0015】
ここで、無線プロファイル204は、無線LANインターフェース211で接続したことのあるAP223の識別情報(SSIDなど)や、AP223との接続のための認証処理で用いられる認証情報(パスワードなど)などを含む情報である。つまり無線プロファイル204は、PC101が現在接続しているAPの情報だけでなく、PC101が現在接続していないが以前に接続したことのあるAPの識別情報や認証情報をも含む。なお、無線LANインターフェース211は、AP223やプリンタ103との接続に用いられるインターフェースであり、用いられる通信方式は、例えば、IEEE802.11シリーズの通信規格(Wi-Fi)である。無線プロファイル204は、外部記憶装置207に含まれるOSによって、記憶され、管理される。
【0016】
プリンタ103は、CPU252、ROM253、RAM257、表示装置258、入力インターフェース259、印刷部260、USBインターフェース251、無線LANインターフェース256を有する。なお、無線LANインターフェース256は、AP223やPC101との接続に用いられるインターフェースであり、用いられる通信方式は、例えば、IEEE802.11シリーズの通信規格(Wi-Fi)である。またプリンタ103は、Wi-Fi以外の無線通信規格で通信するためのインターフェースを有しており、そのインターフェースでPC101と通信しても良い。Wi-Fi以外の無線通信規格とは、例えば、Bluetooth (Bluetooth Classic、Bluetooth Low Energy(BLE)等)である。ROM253は、プログラム254や無線プロファイル255などを記憶している。CPU252は、プログラム254をROM253からRAM257に読み出し、実行することで、プリンタ103による各種の制御を実行する。なお、プリンタ103は、USBインターフェース251を有していなくてもよい。
【0017】
プリンタ103は、PC101とダイレクト接続が可能である。また、プリンタ103は例えば、Wi-FiによってAP223と接続し、AP223がEthernetケーブル226を介してLAN222に接続することで、プリンタ103はLAN222に接続可能となる。
【0018】
ここで、無線プロファイル255は、無線LANインターフェース256で接続したことのあるAP223の識別情報や認証情報などの設定を含む情報である。なお、無線LANインターフェース256は、AP223やPC101との接続に用いられるインターフェースであり、用いられる通信方式は、例えば、IEEE802.11シリーズの通信規格(Wi-Fi)である。無線プロファイル255は、ROM253に含まれるプログラム254によって、記憶され管理される。
【0019】
また、ROM253には、上述したPC101のROM202に記憶される無線設定モードで動作するプリンタ103の識別情報(以下、SSID13とする)も記憶される。SSID13は、複数のプリンタ(例えば、同一の機種の複数のプリンタや、同一のベンダーの複数のプリンタ)間で共通して用いられるSSIDである。プリンタ103の無線LANインターフェース256は、SSID13に対応するAPとして動作することが可能である。本実施形態におけるP2P通信は、PC101またはプリンタ103のどちらかがAPとして動作する形態を取ってもよい。例えば、無線LANインターフェース256が、上述した無線設定モードで動作するプリンタ103のAPとして動作する形態を取った場合は、無線LANインターフェース211が接続する形態となる。また、PC101及びプリンタ103のどちらもがAPとして動作しない形態を取っても良い。このように、PC101はAP223と接続する場合と同様に、APとして動作するプリンタ103とダイレクト接続することが可能となる。なお、図2のPC101とプリンタ103の構成は一例であり、他の形態であってもよい。
【0020】
本実施形態では、PCがプリンタと接続し、プリンタに接続させるAPに関する情報をプリンタに送信し、プリンタを当該APに接続させる。例えば、PCは、プリンタが接続可能なAPのリストをプリンタから取得し、PCが接続されていたAPがリストに含まれるかを判定し、そのAPに関する情報をプリンタに送信する。そして、プリンタはその情報を用いて当該APに接続する。APに関する情報としては、APの識別情報(SSIDなど)や、APの認証処理で使用される認証情報(パスワードなど)がある。
【0021】
ところで、図1(b)に示すように、PCからプリンタに送信されるAPは、プリンタの位置においては適切なAPではない可能性がある。なお図(b)におけるプリンタ103は、AP102と接続はしていない。つまり、従来から、PCがプリンタと接続し、プリンタに接続させるAPに関する情報をプリンタに送信し、プリンタを当該APに接続させる形態がある。しかしその形態だと、プリンタに送信された情報に対応するAPとプリンタとの間の電波環境が良好でなかったとしてもプリンタはそのAPとの接続を確立してしまう。この結果、APとプリンタとの通信が安定しないため、APを介したPCとプリンタとの通信も安定しないという状況になり得る。
【0022】
例えば、PCとプリンタを離れた位置に設置し、PCの近くにAPを設置した場合を考える。この場合、PCとAP間における電波環境は良好であるが、プリンタとAP間における電波環境は、プリンタとAP間の距離が長く、良好でない可能性がある。
【0023】
そこで本実施形態では、PCからプリンタに送信されるAPに関する情報をプリンタに送信する前に、PCは、プリンタとAP間の電波環境を確認する。具体的には、PCは、当該APとプリンタとの電波環境が良好であると判定した場合、プリンタと当該APとの接続処理を実施する。さらに、プリンタ間との電波環境だけではなく、PC間との電波環境も良好であるAPに接続する。これにより、APとプリンタとで最適な接続を確立することが可能となり、APとプリンタとの接続設定後に通信不良を起こしてしまう可能性を低減できる。その結果、さらに、PCとプリンタとの接続設定後に通信不良を起こしてしまう可能性を低減できる。
【0024】
図3は、プリンタ103との電波環境が良好なAPを介してPC101とプリンタ103とのLAN接続を確立させる処理である。例えば、図1(c)は、プリンタ103間との電波環境が良好なAP104が存在する場合のシステム構成である。なお図1(c)において、AP104は、PC101間との電波環境も良好である。なお、図(c)におけるプリンタ103は、AP102と接続しておらず、PC101及びプリンタ103は、AP104と接続はしていない。このような場合における処理を以下において説明する。なおPC101による処理は、CPU201が設定用アプリを実行することで実現され、同様にプリンタ103による処理は、CPU252がプログラム254を実行することで実現される。
【0025】
S301において、CPU201は、設定用アプリにより、表示装置208に所定の画面を表示する。そして、CPU201は、所定の画面において、ユーザによるプリンタをいずれかのAPに接続させるための特定の指示を受付け、無線設定指示のための処理を開始し、S302に進む。特定の指示とは、プリンタを何れかのAPに接続させるための指示である。または、PC101とプリンタ103間の通信が可能な状態に設定するための指示である。なおこのとき、PC101がAP102と既にWi-Fiによって接続しており、AP102のSSID11及びパスワードが無線プロファイル204に記憶されているものとする。
【0026】
S302において、CPU201は、PC101とAP102とのWi-Fi接続を切断する。
【0027】
S303において、CPU201は、無線設定モードになっているプリンタ103の検索を行う。本処理は、PC101の周囲のAPを検索し(APサーチを実行し)、発見されたAPに無線設定モードになっているプリンタ103に対応するAPがあるかどうかを検索する処理である。具体的には、無線設定モードになっているプリンタ103に対応するAPを表す、所定の文字列を含むSSID13が発見された場合に、無線設定モードになっているプリンタ103に対応するAPがあると判定される。また、CPU201は、無線設定モードになっているプリンタ103の検索とともに、このとき実行されたAPサーチによって発見されたAPのSSIDのリストを作成し保存する。S303で作成したリストをPC作成SSIDリスト1(後述する図9(a))とする。
【0028】
S304において、CPU201は、S303の検索によって、無線設定モードになっているプリンタ103が検出(発見)されたかを判定する。CPU201は、S304においてYESの場合、S305に進み、S304においてNOの場合、S315に進む。S315については、後述する。
【0029】
S305において、CPU201は、PC101とプリンタ103間のダイレクト接続を確立するための処理を行う。具体的には、CPU201は、無線LANインターフェース211を、無線設定モードで動作するプリンタ103のSSID13が表すAPであり、プリンタ103内部のAPに接続させる。
【0030】
S306において、CPU201は、プリンタ103に対して情報取得要求を行い、プリンタ103からその応答を得ることでSSIDリストやプリンタ103の識別情報(MACアドレスなど)を受信する。ここで取得されるSSIDリストとは、プリンタ103が検索(APサーチ)により発見したAPのリストであり、プリンタ作成SSIDリスト1(又は、第1識別情報リスト)とするが、詳細は後述する。
【0031】
S307において、CPU201は、図3に示す処理開始時、すなわちS301における特定の指示の受け付け時に接続しており、かつS302で無線接続が切断されたAPであるAP102のSSID11を取得する。SSID11は、無線プロファイル204を参照することで取得される。
【0032】
S308において、CPU201は、接続先SSID取得処理を実行する。接続先SSID取得処理については、図4を用いて後述する。
【0033】
S309において、CPU201は、接続先SSID取得処理で取得したSSIDが表すAPと、当該SSIDに対応するパスワードを含む情報をプリンタ103に送信する。
【0034】
S310において、CPU201は、PC101とプリンタ103との間のダイレクト接続を切断し、PC101とAP102とを再び接続させる。なお、無線プロファイル204にAP102のSSID11やパスワードが保存されているため、S310でPC101は、ユーザによるパスワード等の再入力を必要とせずにAP102に再接続を行うことができる。
【0035】
S311において、CPU201は、PC101とプリンタ103との間のダイレクト接続を確立するための情報が無線プロファイル204に存在する場合、当該情報を無線プロファイル204から削除する。S311における処理は、PC101により実行される再接続処理により、ユーザが意図せずにPC101とプリンタ103との間のダイレクト接続が確立されてしまうことを抑制するために行われる。
【0036】
S312において、CPU201は、AP102を含むネットワーク上で、プリンタ103を検索する。
【0037】
S313において、CPU201は、S312による検索により、プリンタ103が発見・検出されたかを判定する。具体的には、CPU201は、AP102に接続されている各デバイスから識別情報(MACアドレスなど)を受信する。そして、受信された識別情報において、S306においてプリンタ103から取得された識別情報と一致する識別情報が含まれている場合に、プリンタ103が検出されたと判定する。S313でYESの場合、S314に進み、S313でNOの場合、S316に進む。S314において、CPU201は、プリンタ103が検出できたと判定した場合、表示装置208に、図5(a)で示すような設定成功画面501を表示する。CPU201は、ユーザにより、設定成功画面501における「次へ」ボタン502が押下されると、無線設定指示処理を終了する。なお、CPU201は、S313においてプリンタ103が検出できたと判定したタイミングで、プリンタ103と接続してもよいし、設定成功画面501においてユーザによる「次へ」ボタン502の押下を検出したタイミングでプリンタ103と接続してもよい。
【0038】
S316において、CPU201は、S313でNOの場合、接続先SSID取得処理で取得したSSIDが表すAPに接続を切り替える。つまり、接続先SSID取得処理において取得されたSSIDが表すAPが、AP102とは異なる場合、CPU201は、接続先SSID取得処理において取得されたSSIDが表すAPに接続を切り替える。例えば、図1(c)に示したような環境において、接続先SSID取得処理において取得されたSSIDが表すAPが、AP104であった場合、CPU201は、AP104に接続を切り替える。
【0039】
S317において、CPU201は、接続先SSID取得処理で取得したSSIDが表すAPを含むネットワーク上で、再度プリンタ103を検索する。
【0040】
S318において、CPU201は、S317の検索によってプリンタ103を発見・検出できたかの判定を行う。判定方法は、S313と同様である。CPU201は、S318でYESの場合、S314の処理を行い、無線設定指示処理を終了する。一方、CPU201は、S318でNOの場合、S315に進む。
【0041】
S304でNOの場合、又はS318でNOの場合に実行されるS315において、CPU201は、表示装置208に、図5(b)で示すような設定失敗画面511を表示する。CPU201は、ユーザにより、設定失敗画面511における「次へ」ボタン512が押下されることで、無線設定指示処理を終了する。なお、S318でNOの場合というのは、例えば、プリンタ103と、接続先SSID取得処理で取得したSSIDが表すAPとの接続は成功しているが、PC101が接続しているネットワーク上でプリンタ103を検出できなかった場合(ケース1)である。ケース1は、例えば、APにプライバシーセパレータが有効化されていることにより、発生し得る。
【0042】
また、S318でNOの場合というのは、例えば、間違ったパスワードがプリンタ103に送信されており、プリンタ103とAPとの接続は成功しなかった場合(ケース2)である。そのため例えばS315において、CPU201は、プリンタ103から、BLE等の接続を介して、プリンタ103とAPとの接続が成功したか否かを示す情報を受信しても良い。そして、プリンタ103とAPとの接続が成功したことを示す情報が受信された場合は、ケース1である。よって、CPU201は、プリンタ103とAPとの接続は成功しているが、PC101が接続しているネットワーク上でプリンタ103を検出できなかったことを示すような内容の設定失敗画面を表示してもよい。また、プリンタ103とAPとの接続が失敗したことを示す情報が受信された場合は、ケース2であるため、PC101は、ユーザにより入力されたパスワードが間違っていることを示すような内容の設定失敗画面を表示してもよい。なお、パスワードが間違っている場合は、後述する図6(c)を表示する前に、ユーザにより入力されたパスワードが間違っていることを示すような内容の設定失敗画面を表示してもよい。
【0043】
次に、プリンタ103の無線設定処理について詳細に説明する。
【0044】
S351において、CPU252は、プリンタ103の表示装置258において、ユーザにより無線接続処理を開始するための所定の指示が行われることを検知すると、無線接続処理を開始する。
【0045】
S352において、CPU252は、周囲のAPを検索し(APサーチを実行し)、それにより検出されたAPのSSIDを含むプリンタ作成SSIDリスト1を作成する。
【0046】
S353において、CPU252は、プリンタ103を無線設定モードに移行する。無線設定モードとなったプリンタ103は、無線LANインターフェース256を、無線設定モードで動作するプリンタ103のSSIDに対応するAPとして動作させる。なお、無線設定モードへの移行は、上記ユーザからの所定の指示をトリガーとして開始されても良いし、他の方法によるものでも良い。例えば、購入後の初回起動時における電源ONのタイミングで、自動的に無線接続設定モードへ移行するなどの形態であってもよい。
【0047】
S354において、CPU252は、無線設定モードに移行したプリンタ103が、PC101から情報取得要求をされたかを判定する。CPU252は、S354でYESの場合、S355に進み、S354でNOの場合、S356に進む。S356については後述する。
【0048】
S355において、CPU252は、PC101への情報送信処理を行い、次の指示を待つためにS354に戻る。なお、PC101に送信する情報には、プリンタ作成SSIDリスト1の情報とプリンタ103の識別情報(MACアドレスなど)が含まれる。
【0049】
S354でNOの場合に続くS356において、CPU252は、PC101から無線設定指示があったかを判定する。CPU252は、S356でYESの場合、S357に進み、S356でNOの場合、S354に戻る。
【0050】
S357において、CPU252は、PC101から受信した情報に対応するAPとプリンタ103とを接続させるための接続処理を実行する。具体的には、CPU252は、PC101から受信した無線プロファイル204に含まれている当該APに対応するSSIDおよびパスワードを用いて、当該APとプリンタ103とを接続させるための接続処理を実行する。
【0051】
S358において、CPU252は、S357の接続処理が成功した(APとプリンタ103とが接続した)かどうかを判定する。S358でYESの場合、無線設定処理を終了し、S358でNOの場合、S359に進む。
【0052】
S359において、CPU252は、接続処理が成功しなかったというエラー内容をプリンタ103の表示装置258に表示する。
【0053】
次に、図3のS308における接続先SSID取得処理について説明する。図4は、接続先SSID取得処理を示すフローチャート図である。
【0054】
S401において、CPU201は、S307で取得したAP102のSSID11が、S306でプリンタ103から得られたプリンタ作成SSIDリスト1に含まれるかを判定する。なお、プリンタ作成SSIDリスト1に含まれるSSIDは複数あってもよいし、一つでもよい。S401でYESの場合、S402に進み、S401でNOの場合、S404に進む。なお、CPU201は、プリンタ103からプリンタ作成SSIDリスト1を受信する際に、プリンタ103と、プリンタ103に発見された各APとの間の電波環境が良いかどうかを判定するための指標を、プリンタ103から取得している。プリンタ103と、プリンタ103に発見された各APとの間の電波環境が良いかどうかを判定するための指標を、以下、指標Aとする。具体的には、CPU252は、S352で周囲のSSIDを検索する際に、各APから発信されるビーコンの情報から、各APを表すSSIDと、指標Aを取得しておく。なお、ビーコン情報には例えばAPが対応している周波数帯などの情報も含まれる。そして、CPU201は、S306で、プリンタ103から、プリンタ作成SSIDリスト1とともに指標Aを取得する。また、同様にCPU201は、S303でPC101がPC作成SSIDリスト1を作成する際に、PC101とAP間の電波環境が良いかどうかを判定するための指標(以下、指標Bとする)を取得している。なお、本実施形態では、指標Aと指標Bとして、電波の受信強度が用いられるものとする。なお、電波の受信強度とは、APが発した電波であり、PC101やプリンタ103が受信した電波の受信強度のことである。本実施形態では、電波の受信強度として、Received Signal Strength Indicator(以下、RSSIと称する)が用いられるものとする。しかし、指標Aと指標Bはこれに限定されない。例えば、AP102が発している電波であり、PC101やプリンタ103が受信した電波と、周囲に存在する同一周波数の電波によるノイズなどとの差分を算出した値である信号対雑音比率、すなわちSignal to Noise Ratio(以下、SNRと称する)を基準としても良い。また、他の指標や、複数の指標を基準としても良いし、複数の指標の中から少なくとも1つの指標を基に算出した値を基準としても良い。なお、CPU201が、プリンタ作成SSIDリスト1を取得するタイミングと指標Bを取得するタイミングや、PC作成SSIDリスト1を作成・保存するタイミングと指標Aを取得するタイミングは、同時でもよいし、異なってもよい。
【0055】
図7(a)はPC作成SSIDリスト1の例を図示している。PC作成SSIDリスト1は、PC101で検出されたSSIDと、指標Bとしての値であるRSSIの値を保持している。また、図7(b)はプリンタ作成SSIDリスト1の例を図示している。プリンタ作成SSIDリスト1は、プリンタ103で検出されたSSIDと、指標Aとしての値であるRSSIの値を保持している。
【0056】
S402において、CPU201は、SSID11が表すAP102に対応する指標Aが予め設定された所定の閾値よりも大きいかを判定する。上述したようにAP102に対応する指標Aとは、具体的には、AP102が発した電波であり、プリンタ103が受信した電波のRSSIの値である。S402でYESの場合、S403に進み、S402でNOの場合、S404に進む。なお、所定の閾値は、例えば、AP102とプリンタ103の接続確立後に切断されず、安定した通信を行うことが可能な値のうち、下限の値が設定される。さらに、指標Aに対する所定の閾値と、後述する指標Bに対する特定の閾値は、同じでもよいし異なってもよい。
【0057】
S403において、CPU201は、プリンタ103を、SSID11で表されるAP102に接続すると判定する。つまり、S403が、AP102に関する情報をプリンタ103に送信するか否かを決定する処理の一例である。そして、CPU201は、接続先SSID取得処理を終了し、プリンタ103にAP102に接続させるための無線設定を指示する(S309)。
【0058】
S401でNOの場合又はS402でNOの場合に続くS404において、CPU201は、プリンタ作成SSIDリスト1の中に、所定の閾値よりも大きい指標Aに対応するSSIDが含まれるかを判定する。S404でYESの場合、S405に進み、S404でNOの場合、S413に進む。S413については、後述する。
【0059】
S405において、CPU201は、プリンタ作成SSIDリスト1に含まれるSSIDのうち、所定の閾値より大きい指標Aに対応するSSIDのみで構成されるSSIDリストを作成する。本実施形態では、S405で作成されるリストをプリンタ作成SSIDリスト2とする。ここで、図7(c)は、仮に所定の閾値を60に設定した場合のプリンタ作成SSIDリスト2の例を図示している。
【0060】
S406において、CPU201は、プリンタ作成SSIDリスト2の中に、PC101の無線プロファイル204に記憶されているSSIDが含まれているかを判定する。なおSSIDがPC101の無線プロファイル204に記憶されている場合というのは、PC101が、AP102との接続以前に、当該SSIDが表すAPと接続したことがある場合である。そのため言い換えれば、CPU201は、プリンタ作成SSIDリスト2の中に、PC101が接続したことのあるAPに対応するSSIDが含まれているかを判定する。PC101の無線プロファイル204にSSIDが記憶されていれば、ユーザによる認証情報などの入力を必要とせずに、APとの接続を行うことができる。S406でYESの場合、S407に進み、S406でNOの場合、S413に進む。S413については、後述する。
【0061】
S407において、CPU201は、プリンタ作成SSIDリスト2に含まれるSSIDのうち、PC101の無線プロファイル204に記憶されているSSIDのみで構成されるSSIDリストを作成する。本実施形態では、S407で作成されるリストをプリンタ作成SSIDリスト3とする。ここで、図7(d)はSSID-XXXXおよびSSID-ZZZZに関する無線プロファイルがPC101に保存されていた場合のプリンタ作成SSIDリスト3の例を図示している。
【0062】
S408において、CPU201は、PC作成SSIDリスト1およびプリンタ作成SSIDリスト3の両方に含まれるSSIDの中に、特定の閾値より大きい指標Bに対応するSSIDが含まれているかを判定する。上述したように指標Bとは、PC101とAP間の電波環境が良いかどうかを判定するための指標である。ここで、PC作成SSIDリスト1およびプリンタ作成SSIDリスト3の両方を参照する理由を説明する。プリンタ103に発見されたSSIDのうち、所定の閾値より大きい指標Aに対応し、且つPC101の無線プロファイル204に保存されているSSIDが表すAPが、PC101にも発見されたSSIDが表すAPであるためである。そして、当該SSIDが表すAPに対応する指標Bが、特定の閾値より大きいかを判定することで、指標Aが所定の閾値より大きいかと、指標Bが特定の閾値より大きいかの両方を判定することができる。つまり、プリンタ103とAP間の電波環境及びPC101とAP間の電波環境の両方が良好であるか、を判定することができる。S408でYESの場合、S409に進み、S408でNOの場合、S411に進む。S411については、後述する。
【0063】
S409において、CPU201は、PC作成SSIDリスト1およびプリンタ作成SSIDリスト3の両方に含まれるSSIDの内、特定の閾値より大きい指標Bに対応するSSIDが1つかどうかを判定する。S409でYESの場合、当該SSIDを選択してS412に進み、S409でNOの場合、S410に進む。S412については、後述する。
【0064】
S410において、CPU201は、PC作成SSIDリスト1およびプリンタ作成SSIDリスト3の両方に含まれるSSIDの内、所定の閾値より最も大きい指標Aに対応するSSIDを選択する。なお、本実施形態では、指標Aの値が最も大きいSSIDを選択するが、これに限定されない。例えば、特定の閾値より最も大きい指標Bに対応するSSIDを選択する形態を取っても良い。また、他の形態をとってもよい。
【0065】
S408でNOの場合に続くS411において、CPU201は、プリンタ作成SSIDリスト3に含まれるSSIDのうち、指標Aの値が最も大きいSSIDを取得(選択)する。S408でNOの場合とは、例えば、図1(d)に示したような環境の場合である。つまり、プリンタ103とAP104との間の電波環境は良好であるが、PC101とAP104との間の電波環境は良好でない場合である。この場合、CPU201は、プリンタ103とAP間との電波環境が良好なAPを表すSSIDを選択する。
【0066】
この場合、図3のS310において、PC101はAP102に再接続し、S312においてプリンタ103を検索し、S313においてプリンタ103が検出されたかを判定する。ここで、S313においてプリンタ103が検出されたと判定された場合、PC101はAP102と接続した状態で、接続先SSID取得処理において選択されたSSIDが表すAPに接続したプリンタ103を検出したこととなる。これは、接続先SSID取得処理において選択されたSSIDが表すAPが、AP102と接続可能なAPである場合が考えられる。また、接続先SSID取得処理において選択されたSSIDが表すAPはAP102であるが、AP102が異なる周波数帯のSSIDをサポートしており、PC101とプリンタ103のそれぞれが接続しているSSIDが異なる場合が考えられる。なお、S313においてプリンタ103が検出されなかった(S313でNO)と判定された場合は、S316においてPC101が接続先SSID取得処理で取得したSSIDが表すAPに接続する前に、以下のような形態をとってもよい。プリンタ作成SSIDリスト3に含まれるSSIDの中で、接続先SSID取得処理において既に選択されたSSIDを除いた残りのSSIDが表すAPのうち、指標Aの値が最も大きいSSIDを取得(選択)する。そして、CPU201は、取得したSSIDが表すAPとプリンタ103との接続指示を行うと判定し、S309~S313と同様の処理を実施する(以下、検証1とする)。CPU201は、S313と同様の処理においてプリンタ103が検出される(S313でYES)まで、プリンタ作成SSIDリスト3に含まれるSSIDについて順番に検証1を行う。さらに、検証1の結果、S313と同様の処理においてプリンタ103が検出されなかった(S313でNO)と判定された場合は、S316に進んでもよいし、以下のような形態をとってもよい。CPU201は、後述するS413~S415を実施し、ユーザに選択されたSSIDが表すAPとプリンタ103との接続指示を行うと判定し、S309~S313と同様の処理を実施する(以下、検証2とする)。そして、検証2の結果、S313と同様の処理においてプリンタ103が検出されなかった(S313でNO)と判定された場合に、S316においてPC101が接続先SSID取得処理で取得したSSIDが表すAPに接続してもよい。なお図1(d)におけるプリンタ103は、AP102と接続しておらず、PC101及びプリンタ103は、AP104と接続はしていない。
【0067】
S404でNOの場合や、S406でNOの場合に続くS413において、CPU201は、プリンタ103とのLAN接続を確立するのに適したSSIDが存在しないと判定する。この場合、CPU201は、表示装置208において、図6(a)で示すようなプリンタ103の設置場所の変更を促す設置案内画面601を表示する。なお、設置案内画面601ではプリンタ103の設置場所の変更促す案内を表示しているが、これに限定されない。例えばAP102やPC101の設置場所変更またはその両方について促すという形態を取っても良い。
【0068】
S414において、CPU201は、新たに接続先SSIDを選択するか否かを判定する。具体的には、図6(a)における設置案内画面601上の「接続先を選択する」ボタン603がユーザに押下された場合、接続先SSIDを選択すると判定する。一方、CPU201は、図6(a)における設置案内画面601上の「次へ」ボタン602がユーザによって押下されることで、接続先SSID取得処理を終了すると判定する。S414でYESの場合、S415に進み、S414でNOの場合、接続先SSID取得処理を終了する。接続先SSID取得処理を終了する場合、CPU201はS309でプリンタ103にAP接続指示を行わない。この場合、上述した図5(b)に示すような設定失敗画面511を表示してもよい。そして、CPU201は、ユーザにより、設定失敗画面511における「次へ」ボタン512が押下されることで、無線設定指示処理を終了してもよい。
【0069】
S415において、CPU201は、図6(b)に示すような接続先選択画面611を表示する。接続先選択画面611はSSID一覧612とパスワード設定部613、WEPキー選択部614、「次へ」ボタン615を有する。また、SSID一覧612には、PC101がS306で取得したプリンタ作成SSIDリスト1に含まれるSSIDが一覧表示される。ユーザはSSID一覧612の中から所望のSSIDを選択し、選択したSSIDに設定されているパスワード(例えば、文字または数字)をパスワード設定部613に入力する。なお、CPU201は、S306においてプリンタ作成SSIDリスト1を取得する際における、上述した指標AとしてのRSSIの取得と同様に、各SSIDの暗号化方式とチャネル(周波数帯)情報をプリンタ103から入手している。そして、SSID一覧612で選択したSSID経由で行う通信がWEPで暗号化されている場合、CPU201は、WEPキー選択部614を有効化し、ユーザにWEPキーを選択させる。その後、ユーザによって「次へ」ボタン615を押下されると、CPU201は、接続先選択画面611を閉じる。そして、CPU201は、S414において、プリンタ103を、ユーザによりSSID一覧612から選択されたSSIDが表すAPに接続すると判定する。なお、SSID一覧612には、各SSIDの名称に加えて、対応する指標AとしてのRSSIを表示することもできる。この場合、ユーザは各SSIDのRSSIを比較しながらSSIDの選択が可能となる。
【0070】
S412において、CPU201は、プリンタ103を、各処理において選択(取得)されたSSIDが表すAPに接続すると判定する。つまり、S412が、当該APに関する情報をプリンタ103に送信するか否かを決定する処理の一例である。そしてCPU201はS309でプリンタ103にAP接続指示を行う。
【0071】
なお、本実施形態では、S403及びS412において、CPU201は、プリンタ103を、各処理において選択されたSSIDが表すAPに接続すると判定したが、判定する前にユーザに確認を求める形態を取ってもよい。この場合、例えば、CPU201は、表示装置208に図6(c)に示すような接続先確認画面621を表示する。そして、ユーザにより「はい」ボタン622が押下されると、CPU201は、プリンタ103を、各処理において選択されたSSIDが表すAPに接続すると判定する。
【0072】
なお、図6(c)では表示する項目として、プリンタ103を接続させるAPを表すSSID624を表示するが、これに限定されない。例えば、当該APを示す他の情報(MACアドレスなど)などが含まれても良い。また、ユーザにより「いいえ」ボタン623が押下されると、CPU201は、接続先SSID取得処理を終了する形態を取っても良いし、上述した接続先選択画面611を表示する形態を取っても良い。
【0073】
接続先SSID取得処理を終了する場合、上述した図5(b)に示すような設定失敗画面511を表示してもよい。そして、CPU201は、ユーザにより、設定失敗画面511における「次へ」ボタン512が押下されることで、無線設定指示処理を終了してもよい。
【0074】
以上の処理により、PC101は、PC101間およびプリンタ103間、双方との電波環境が良好なAP104が存在する図1(c)に示したような環境において、AP104のSSID21を取得することが可能となる。
なお、図4におけるS404に進む場合、プリンタ作成SSIDリスト1の中に含まれる任意のSSIDから順番に以降の処理を行う形態であってもよい。
【0075】
さらに、CPU201は、接続先SSID取得処理において、まず、PC101が接続していたAP102のSSID11が、プリンタから取得したプリンタ作成SSIDリスト1に含まれるかを判定するが、これに限定されない。例えば、図4においてS404から処理を開始してもよい。つまり、CPU201は、まず、プリンタから取得したプリンタ作成SSIDリスト1に含まれるSSIDにおいて、指標Aの値が所定の閾値より大きいかの判定を行い、以降の処理を行う形態であってもよい。この場合、図3におけるS302の処理は実行されず、S310においてS316の処理が実行される。
以上、本実施形態では、APとプリンタとの電波環境が良好であると判定した場合、プリンタと当該APとの接続処理を実施する。また、PCおよびプリンタともに電波環境の良好なAPに接続する。よって、APがプリンタにとって適切なAPでない場合に、当該APとの接続を確立してしまうという状況を低減することができる。その結果、さらに、PCとプリンタとの接続設定後に通信不良を起こしてしまう可能性を低減できる。
【0076】
(その他の実施形態)
上述した実施形態は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータで連動させて実行させるようにしてもよい。また、上記した処理の全てをソフトウェアで実現する必要はなく、処理の一部または全部をASIC等のハードウェアで実現するようにしてもよい。また、CPUも1つのCPUで全ての処理を行うものに限らず、複数のCPUが適宜連携をしながら処理を行うものとしてもよい。
【0077】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【符号の説明】
【0078】
101 パーソナルコンピュータ(PC)
102 アクセスポイント(AP)
103 プリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7