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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189406
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ポンプ装置及び整流部材
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20221215BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F04D29/44 C
F04D29/44 E
F04D29/66 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097963
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】濱田 憲
(72)【発明者】
【氏名】越智 卓人
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 順丘
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB22
3H130AB43
3H130AB46
3H130AC30
3H130BA01B
3H130BA03B
3H130BA66B
3H130CA03
3H130EA02A
3H130EA02B
3H130EB04B
3H130EB05B
(57)【要約】
【課題】流速が早い場合であっても、損失を少なくすることができる整流部材及びポンプ装置を提供すること。
【解決手段】ポンプ装置1は、複数の羽根27を有する羽根車22と、羽根車22を収容するケーシング21と、ケーシング21の吸込口21a内、又は、ケーシング21の吸込口21aに接続される流路を構成する接続部材内に設けられ、羽根車22の羽根27と同数の整流板31を有する整流部材14と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の羽根を有する羽根車と、
前記羽根車を収容するケーシングと、
前記ケーシングの吸込口内、又は、前記ケーシングの吸込口に接続される流路を構成する接続部材内に設けられ、前記羽根車の前記羽根と同数の整流板を有する整流部材と、
を備えるポンプ装置。
【請求項2】
前記整流板は、前記整流部材が設けられる前記吸込口又は前記接続部材の中心から前記吸込口又は前記接続部材の50%直径よりも径方向で外方に設けられる、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記整流板は、前記吸込口の内周面、又は、前記接続部材の内周面に一体に形成され、
前記吸込口の内周面又は前記接続部材の内周面は、前記羽根車側に向かって中心側に傾斜する、請求項1又は請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記整流部材は、内周面に前記整流板が一体に設けられる円筒状の筒部を有し、
前記筒部は、前記羽根車側に向かって中心側に傾斜する、請求項1又は請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記複数の整流板は、前記羽根車の前記複数の羽根の入口角と同じ角度、又は、前記複数の羽根の入口角と近似する角度である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記整流板は、一次側から二次側に向かって厚みが変化する、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項7】
羽根車を収容するケーシング、又は、前記ケーシングの吸込口に接続される流路を形成する接続部材に一体又は別体に設けられる筒部と、
前記筒部の内周面に設けられ、前記羽根車の羽根と同数の整流板と、
を備える整流部材。
【請求項8】
前記整流板は、前記筒部の50%直径よりも径方向で外方に設けられる、請求項7に記載の整流部材。
【請求項9】
前記筒部の内周面は、前記羽根車側に向かって傾斜する、請求項7又は請求項8に記載の整流部材。
【請求項10】
前記複数の整流板は、前記羽根車の前記複数の羽根の入口角と同じ角度、又は、前記複数の羽根の入口角と近似する角度である、請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の整流部材。
【請求項11】
前記整流板は、一次側から二次側に向かって厚みが変化する、請求項7乃至請求項10のいずれか一項に記載の整流部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を二次側に供給するポンプ装置及びポンプ装置の一次側に設けられる整流部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に水等を二次側に供給するポンプ装置が知られている。また、このようなポンプ装置として、羽根車の一次側に整流板を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このような整流板は、羽根車の一次側のケーシングの吸込側流路に用いられることが多い。整流板は、旋回流抑制によるサージングの解消や流速の低減によるキャビテーションの解消等のために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-146981号公報
【特許文献2】特開2005-330878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、吸上げ運転等ポンプ一次側の流速が低い場合は問題ないが、一次側の押し込み圧力が高い場合等旋回流やキャビテーションは発生し難く、障害物(邪魔板)となることで損失が発生し、騒音の発生や性能低下の虞がある。これは、例えばジェットポンプのノズルやディフューザ等のように、一旦ポンプ羽根車で高圧となった流体が速い流速で通過する構造の物も同様となる。
【0005】
そこで本発明は、流速が早い場合であっても、損失を少なくすることができる整流部材及びポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、複数の羽根を有する羽根車と、前記羽根車を収容するケーシングと、前記ケーシングの吸込口内、又は、前記ケーシングの吸込口に接続される流路を構成する接続部材内に設けられ、前記羽根車の前記羽根と同数の整流板を有する整流部材と、を備える。
【0007】
本発明の一態様によれば、整流部材は、羽根車を収容するケーシング、又は、前記ケーシングの吸込口に接続される流路を形成する接続部材に一体又は別体に設けられる筒部と、前記筒部の内周面に設けられ、前記羽根車の羽根と同数の整流板と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流速が早い場合であっても、損失を少なくすることができる整流部材及びポンプ装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置の構成を一部断面で示す側面図。
図2】同ポンプ装置の構成であって、ポンプ装置に用いられるケーシングを一部断面で示す側面図。
図3】同ポンプ装置の羽根車の構成を示す平面図。
図4】本発明の第2の実施形態に係るポンプ装置の構成を一部断面で示すとともに、構成の一部を省略して示す側面図。
図5】同ポンプ装置の構成であって、ケーシングを一部断面で示すとともに、構成の一部を省略して示す側面図。
図6】本発明の第3の実施形態に係るポンプ装置の構成あって、ケーシングを一部断面で示すとともに、構成の一部を省略して示す側面図。
図7】本発明の第4の実施形態に係るポンプ装置の構成あって、ケーシングを一部断面で示すとともに、構成の一部を省略して示す側面図。
図8】同ポンプ装置の羽根車の構成を示す側面図。
図9】第5の実施形態に係る整流部材の整流板の第1例及び第2例の構成を示す断面図。
図10】第6の実施形態に係る整流部材の構成を示す側面図。
図11】同整流部材を用いたポンプ装置の構成を、一部省略して示す断面図。
図12】第7の実施形態に係るポンプ装置の構成であって、ジェット管の構成を断面で示す説明図。
図13】同ジェット管に用いられるノズルの構成を示す側面図。
図14】同ノズルの構成を示す断面図。
図15】同ジェット管に用いられるディフューザの構成を示す側面図。
図16】同ディフューザの構成を示す断面図。
図17】第8の実施形態に係るポンプ装置の構成を、一部省略するとともに、一部断面で示す側面図。
図18】第9の実施形態に係るポンプ装置の構成を、一部省略して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施形態に係る整流部材14及びポンプ装置1について、図1乃至図3を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置1の構成であって、ポンプ13の構成を断面で示す側面図であり、図2は、ポンプ装置1の構成であって、ポンプ13のケーシング21の構成を一部断面で示す側面図であり、図3は、ポンプ13の羽根車22の構成を一部断面で示す側面図である。
【0011】
ポンプ装置1に用いられる整流部材14は、ポンプ装置1の羽根車22の一次側に設けられ、羽根車22への流路の一部において、羽根車22の羽根27と同数の整流板31によって整流する。
【0012】
第1の実施形態に係るポンプ装置1の例について説明する。ポンプ装置1は、モータ11と、回転軸12と、ポンプ13と、整流部材14と、を備える。また、ポンプ装置1は、例えば、ポンプ13の吐出圧力を検出する圧力センサ15と、ポンプ13の吐出流量を検出する流量センサ16と、を備える。
【0013】
ポンプ装置1は、ポンプ13によって流体としての水を揚水する。ポンプ装置1は、横軸ポンプ及び縦軸ポンプのいずれであってもよい。また、ポンプ装置1は、羽根車22を一枚有する単段ポンプであってもよく、羽根車22を複数枚有する多段ポンプであってもよい。また、ポンプ装置1は、一次側にノズルやディフューザを有するジェット管を備えるジェットポンプであってもよい。図1乃至図3に示すポンプ装置1は、単段で一次側にジェット管が接続される横軸ポンプの例を説明する。
【0014】
モータ11は、例えば、ケーシング11aと、固定子と、回転子と、を有する。モータ11は、例えば、制御盤に接続され、インバータ等によって可変速制御される。なお、モータ11は、定速制御として、一定速で回転する構成であってもよい。
【0015】
回転軸12は、例えば、モータ11の回転子に接続されるか、又は、モータ11の回転子に固定されるモータ軸と軸継手を介して接続される。回転軸12は、羽根車22を固定できる。回転軸12は、モータ11の駆動に伴って回転することで、固定された羽根車22を回転する。
【0016】
ポンプ13は、ケーシング21と、羽根車22と、を備える。ケーシング21は、羽根車22を収容する。ケーシング21は、吸込口21a、ポンプ室21b及び吐出口21cを有する。また、ケーシング21は、例えば、ジェット管の圧力管を接続する圧力管接続口21dを有する。また、ケーシング21は、例えば、羽根車22を収容するガイドベーン21eを有する。なお、ケーシング21は、ガイドベーン21eを有さない構成であってもよい。
【0017】
吸込口21aは、円柱状の開口であり、配管等を接続可能に形成される。吸込口21aの内径は、同一径か、又は、一次側から羽根車22側である二次側に向かって、漸次縮径する。吸込口21aは、例えば、少なくとも二次側の内径が、羽根車22の口径と同径か、又は、若干大径の内径に形成される。本実施形態において、図1に示すように、吸込口21aは、一次側から二次側に向かって縮径し、そして、二次側の開口端において、羽根車22の口径と同一径に形成される例を示す。
【0018】
羽根車22は、例えば、回転軸12に固定される裏シュラウド25と、裏シュラウド25と対向し、水を内部に吸い込むマウス26aを有する表シュラウド26と、裏シュラウド25及び表シュラウド26間に設けられる複数の羽根27と、を有する。
【0019】
羽根27は、例えば、所定の曲率半径で湾曲する。具体例として、羽根27は、裏シュラウド25及び表シュラウド26の対向面から羽根車22の軸方向に沿って延びるとともに、羽根車22の軸方向に対して直交する方向において湾曲する。なお、羽根27の湾曲形状は、ポンプ13の求められる性能等に応じて適宜設定可能である。
【0020】
複数の羽根27は、周方向に等間隔に配置され、周方向における隣り合う羽根27の間隔は、羽根車22の中心側から径方向外方に向かうにつれて漸次広がる。また、複数の羽根27は、表シュラウド26のマウス26aにおいて、所定の入口角に設定される。例えば、羽根27は、6枚設けられる。
【0021】
整流部材14は、板状に形成される複数の整流板31と、複数の整流板31が一体に形成される筒部32と、を有する。整流部材14は、ポンプ13の羽根車22への流路上で、羽根車22の一次側に設けられる。整流部材14は、ポンプ13と一体に設けられてもよく、また、ポンプ13と別体に設けられてもよい。
【0022】
即ち、整流部材14は、ポンプ13のケーシング21の一部に一体に設けられる構成であってもよく、また、ケーシング21と別体であり、且つ、ケーシング21に一体となるよう固定される構成であってもよく、また、ケーシング21に接続される接続部材に一体に設けられる構成であってもよく、また、ケーシング21に接続される接続部材に別体であり、且つ、ケーシング21に一体となるよう固定される構成であってもよい。
【0023】
ここで、ケーシング21に接続される接続部材としては、配管や、ジェット管の吸込管、ノズル及びディフューザ等が挙げられる。また、このような接続部材は、直接ケーシング21に接続される構成であってもよく、また、配管等を介してケーシングに接続される構成であってもよい。
【0024】
本実施形態においては、整流部材14は、ケーシング21に一体に形成されることで、ケーシング21とともに、整流構造を構成する構成を用いて説明する。このため、整流部材14の筒部32を、吸込口21aが構成する。
【0025】
整流板31は、例えば、同一の板厚の矩形板状に形成される。整流板31の面方向は、吸込口21aの軸方向に沿うか、又は、軸方向に対して傾斜して、筒部32である吸込口21aの内周面に設けられる。整流板31は、羽根車22の複数の羽根27と同数設けられる。
【0026】
具体例として、複数の整流板31は、複数が吸込口21aの内周面に、周方向で等間隔に並んで配置され、主面方向が吸込口21aの長手方向に沿って配置される。また、例えば、整流板31は、吸込口21aの内周面から吸込口21aの径方向に沿って延びるとともに、吸込口21aの軸方向で一端側及び他端側の間で、吸込口21aの軸方向に沿って延びる。即ち、整流板31の吸込口21aの中心側の端部は、吸込口21aの軸方向に沿って、直線状に延びる。
【0027】
整流板31は、整流部材14が設けられる吸込口21a(又は接続部材)の径方向で中心から吸込口21aの50%直径よりも径方向で外方に設けられる。なお、図2に50%直径をDで示す。換言すると、整流板31の吸込口21aの中心側の端部は、吸込口21aの内周面から吸込口21aの直径の1/4以下の位置に配置される。よって、本実施形態のように、吸込口21aの径方向及び軸方向に主面方向が沿って配置された整流板31は、吸込口21aの内周面からの高さが、吸込口21aの直径の1/4以下に設定される。
【0028】
整流板31は、例えば、少なくとも吸込口21aの一次側の端部、且つ、径方向で吸込口21aの端部における角部に、好ましくは、整流板31の流水路に接する角部及び隅部に、半円状、曲面状又は直線状の面取り形状に形成された面取り部31aを有する。即ち、整流板31は、水が流れる流水路に接する少なくとも水の流れ方向における先端の接水面、好ましくは流水路に接する端部となる接水面において、水の流れを阻害することを抑制する曲面状又は平面状等の面取り部31aを有する。
【0029】
このように構成されたポンプ装置1によれば、整流部材(整流構造)14として、筒部32である吸込口21aの内周面に複数の整流板31を設けることで、羽根車22に吸い込まれる水の流れを整えることができる。
【0030】
即ち、整流部材14は、羽根車22の一次側において、羽根27と同数の整流板31を設ける構成とすることで、羽根車22のマウス26aから隣り合う羽根27の間へ水がスムースに流入することが可能となる。よって、整流部材14は、水の流れが流速の早い状態であっても、損失を少なくできるとともに、静音性を得ることができる。
【0031】
また、整流部材14は、これら整流板31を、整流板31を設ける筒部32(吸込口21a)の最小流径の50%直径よりも径方向外方に配置することで、羽根車22の隣り合う羽根27の間への水の流入をよりスムースにすることができる。
【0032】
また、整流板31は、面取り部31aを有することで、整流板31の接水面において、水の流れを案内することができるため、損失を極力低減することができる。
【0033】
上述したように本発明の第1の実施形態に係る整流部材14及びポンプ装置1によれば、流速が早い場合であっても、損失を少なくすることができる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。以下、本発明の他の実施形態について、以下説明する。なお、以下説明する他の実施形態において、上述した一実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、各図において、モータ11、圧力センサ15、流量センサ16等の構成を適宜省略する。
【0035】
例えば、上述した例では、整流板31を最小流径の50%直径よりも径方向外方に配置する例として、筒部32の内周面から径方向へ延びる例を説明したがこれに限定されない。
【0036】
例えば、図4及び図5に示す第2の実施形態に係る整流部材14を有するポンプ装置1のように、筒部32である吸込口21aが流れ方向で一次側から二次側に向かって漸次縮径し、そして、整流板31の径方向の先端が、吸込口21aの最小流径と同じ位置となる高さに設定されていてもよい。
【0037】
このような整流板31は、矩形板状でなく、三角板状に形成され、吸込口21aの内周面側か傾斜する形状に設定される。即ち、整流板31は、一次側から二次側に向かって、径方向外方側が、吸込口21aの中心に向かって傾斜する。
【0038】
このような第2の実施形態に係る整流部材14は、上述した第1の実施形態に係る整流部材14と同様の効果を奏する。なお、図5に示すように、整流板31は、一次側及び二次側の角部に面取り部31aを有さない構成であってもよい。また、図5に示すように、整流板31は、両主面と、径方向で先端面との角部に曲面状又は平面状等の面取り部31aを有する構成としてもよい。
【0039】
また、例えば、上述した例では、整流部材14は、複数の整流板31を軸方向に沿って延びる形状の例を説明したがこれに限定されない。例えば、図6に示す第3の実施形態に係るポンプ装置1の整流部材14のように、複数の整流板31を、羽根車22の複数の羽根27の形状、即ち、複数の羽根27の入口角度と同じ角度又は近似する角度となる形状に構成されていてもよい。なお、整流板31は、平板状であってもよく、また、羽根車22と同様に曲板状であってもよい。
【0040】
換言すると、複数の整流板31は、例えば、マウス26aにおける羽根車22の径方向に対する傾斜角度と同じ角度で、羽根27の筒部32(吸込口21a)の径方向に対して、傾斜する配置とする。また、当該角度は、例えば、羽根27の接線の角度である。羽根車22複数の整流板31をこのような形状とすることで、複数の整流板31を通過した水の流れが羽根車22のマウス26aから吸い込まれる水の流れに近似することから、よりスムースに、羽根車22内へ水が流入することになる。なお、図6に示すように、整流板31は、両主面と、径方向で先端面との角部に面取り部31aを有さずに、先端が湾曲する構成としてもよい。
【0041】
また、上述した例では、羽根車22の羽根27を裏シュラウド25及び表シュラウド26の主面から軸方向に延びる形状の例を説明したがこれに限定されない。例えば、図7及び図8に示す第4の実施形態のポンプ装置1のポンプ13の各構成を示す。図8に示すように、羽根27は、その一部又は全部が、軸方向に対して傾斜して延びる所謂三次元構造を有する構成としてもよい。なお、図8において、表シュラウド26は省略して羽根車22を示す。図8に示すような三次元構造を有する羽根27とする場合には、図7に示すように、複数の整流板31は、羽根27の入口角と同じ形状となるように、径方向及び軸方向に対して傾斜する形状としてもよい。
【0042】
また、上述した例では、整流板31は、同一の板厚である例を説明したがこれに限定されない。例えば、整流板31は、水の流れ方向で一方側から他方側に向かって、漸次板厚が変化する形状としてもよい。例えば、図9に第5の実施形態に係る整流部材14の整流板31の断面図を示す。整流板31は、図9の第1例に示すように、水の流れ方向で一次側の厚さが二次側の厚さよりも小さい構成であってもよく、図9の第2例に示すように、水の流れ方向で一次側の厚さが二次側の厚さよりも大きい構成であってもよい。
【0043】
例えば、吸込口21aの内径が漸次縮径する構成である場合には、図9の第1例に示すように、水の流れ方向で一次側の幅が二次側の幅よりも小さい構成とする等、吸込口21aの口径や、羽根車22のマウス26aの口径等によって、整流板31の板厚を適宜設定できる。なお、図9に示すように、整流板31は、一次側の端部及び二次側の端部が湾曲する構成としてもよい。
【0044】
また、上述した例では、整流部材14は、ケーシング21の吸込口21aを筒部32とし、この吸込口21aの内周面に複数の整流板31とする例を説明したがこれに限定されない。
【0045】
例えば、図10及び図11に示す第6の実施形態に示すように、筒部32を円筒状の部材とし、この筒部32の内周面に複数の整流板31を設ける構成としてもよい。また、整流部材14は、整流板31が設けられた筒部32を吸込口21aに固定される構成であってもよく、図11に示すように、ガイドベーン21eに固定される構成であってもよい。このような構成とすることで、整流部材14は、ケーシング21に選択的に取り付けることができる。なお、図10及び図11に示すように、整流板31は、面取り部31aを有さない構成であってもよい。
【0046】
また、上述した例では、整流部材14をポンプ13に配置する構成を説明したがこれに限定されない。上述した例において、ポンプ装置1は、一次側にジェット管を備えるジェットポンプであってもよい旨を説明したが、例えば、ジェット管に用いられる、ノズル及びディフューザの少なくとも一方に整流部材14を設ける構成としてもよい。
【0047】
具体的に、第7の実施形態に係るポンプ装置1及びポンプ装置1に設けられる接続部材であって、整流部材14が設けられるジェット管2の例を図12乃至図16を用いて説明する。なお、ジェット管2が接続されるポンプ装置1は、上述した各実施形態のポンプ装置1であることから、その詳細な説明は省略する。
【0048】
ポンプ装置1は、モータ11と、回転軸12と、ポンプ13と、ジェット管2と、を備える。なお、ポンプ13は、上述の各実施形態のように整流部材14を有していても良く、また、整流部材14を有さない構成であってもよい。また、このようなジェットポンプであるポンプ装置1は、自圧弁を有する。
【0049】
ジェット管2は、吸込管41と、圧力管42と、合流管43と、逆止弁44と、ノズル45と、ディフューザ46と、を備える。ジェット管2は、ノズル45及びディフューザ46の少なくとも一方に、整流部材14を有する。本実施形態においては、ノズル45及びディフューザ46の双方に整流部材14を有する構成を説明する。また、説明の便宜上、ノズル45に設けられる整流部材14をノズル用整流部材14Aとし、ディフューザ46に設けられる整流部材14をディフューザ用整流部材14Bとして、以下説明する。
【0050】
吸込管41は、ポンプ13の吸込口21aに接続される。圧力管42は、ポンプ13の圧力管接続口21dに接続される。
【0051】
合流管43は、上端に吸込管41及び圧力管42が接続される。合流管43は、下端に給水源に開口する開口43aを有し、この開口43aに固定されるストレーナ43bを備える。また、合流管43は、開口43aから吸込管41を接続する吸込流路部43cと、この吸込流路部43cの中途と圧力管42とを接続する合流流路部43dと、を備える。また、合流管43は、合流流路部43dよりも二次側(吸込管41側)の吸込流路部43cに、ディフューザ46を保持する。また、合流管43は、合流流路部43dの二次側に接続され、吸込流路部43cに設けられたディフューザ46の一次側に、ノズル45を配置する。
【0052】
逆止弁44は、一次側から二次側への水の逆流を防止する。逆止弁44は、合流管43の合流流路部43dよりも一次側(開口43a側)の吸込流路部43cに配置される。
【0053】
図12及び図14に示すように、ノズル45は、合流流路部43d側の端部から先端に向かって内径が縮径する。図12及び図16に示すように、ディフューザ46は、一次側の端部の開口内に、ノズル45の先端を配置する。ディフューザ46は、例えば、ノズル45が配置された一次側の一端において、縮径し、そして、縮径した部位から吸込管41側である二次側に向かって、漸次拡径する。
【0054】
図12乃至図14に示すように、ノズル用整流部材14Aは、板状に形成される複数の整流板31を有する。また、ノズル用整流部材14Aは、例えば、ノズル45が筒部32を構成する。換言すると、ノズル45は、内周面に、複数の整流板31を有する。
【0055】
図12図15及び図16に示すように、ディフューザ用整流部材14Bは、板状に形成される複数の整流板31を有する。ディフューザ用整流部材14Bは、例えば、ディフューザ46が筒部32を構成する。換言すると、ディフューザ46は、内周面に、複数の整流板31を有する。
【0056】
このようなジェット管2を有するポンプ装置1は、ポンプ13が井戸等の水の供給源から合流管43及び吸込管41を介して水を吸い込み、そして、増圧した水の一部を、圧力管接続口21dから圧力管42を介して合流管43に戻すととともに、合流管43の合流流路部43dに接続されたノズル45からディフューザ46に向かって吐き出す。
【0057】
このとき、合流管43内のノズル45の周囲が負圧となることから、合流管43のストレーナ43bから水が吸い込まれて吸込流路部43cを流れる水と、合流流路部43dを流れてノズル45から吐出された水がディフューザ46の一次側で合流し、ディフューザ46へと流れる。ディフューザ46は、流れる水の運動エネルギを圧力エネルギに変換する。そして、ディフューザ46を流れた水は、吸込管41を通って、ポンプ13の吸込口21aから羽根車22へと供給される。
【0058】
また、ノズル45及びディフューザ46を通過する水は、それぞれに設けられた複数の整流板31によって整流される。よって、ジェット管2に整流部材14を有するポンプ装置1は、上述した各実施形態のポンプ装置1と同様の効果を奏する。
【0059】
また、上述した例では、整流部材14をポンプ13又はジェット管2に配置する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、図17に示す第8の実施形態に係るポンプ装置1のように、吸込口21aに接続される配管51を筒部32とし、この配管51に複数の整流板31を設ける構成としてもよい。また、この配管51は、ジェット管2の吸込管として用いられる構成であってもよい。また、図17に示すように、ポンプ装置1のポンプ13は、複数の羽根車22を有する多段ポンプとしてもよい。
【0060】
また、上述した例では、整流部材14が複数の整流板31を有する構成を説明したが、この複数の整流板31は、上述した各例のように、同じ形状としてもよく、また、図18に示す第9の実施形態に係るポンプ装置1のように、複数の整流板31を、異なる形状の整流板31A、31Bを等間隔に配置して構成してもよい。なお、図18中において、整流板31Aは、第1の実施形態に係る整流板31の例を示し、整流板31Bは、第2の実施形態に係る整流板31の例を示すが、これに限定されず、適宜設定可能である。
【0061】
また、上述した例では、ポンプ装置1は、圧力センサ15及び流量センサ16を異なる位置に配置する構成を説明したが、これに限定されず、例えば、図2の15を自圧弁とし、図2中の16を圧力センサ及び流量センサが同じ位置に配置された、所謂圧力流量一体型のセンサとしてもよい。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0063】
1…ポンプ装置、2…ジェット管、11…モータ、11a…ケーシング、12…回転軸、13…ポンプ、14…整流部材(整流構造)、14A…ノズル用整流部材、14B…ディフューザ用整流部材、15…圧力センサ、16…流量センサ、21…ケーシング、21a…吸込口、21b…ポンプ室、21c…吐出口、21d…圧力管接続口、21e…ガイドベーン、22…羽根車、25…裏シュラウド、26…表シュラウド、26a…マウス、27…羽根、31…整流板、31a…面取り部、32…筒部、41…吸込管、42…圧力管、43…合流管、43a…開口、43b…ストレーナ、43c…吸込流路部、43d…合流流路部、44…逆止弁、45…ノズル、46…ディフューザ、51…配管。
図1
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