(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189412
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/08 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B23P19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097971
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】吉良 和彦
(57)【要約】
【課題】簡素な構成且つ容易な操作によりワッシャをボルトに組み付けて供給する部品供給装置を提供する。
【解決手段】部品供給装置1において、ボルト案内部10は、第1スライド面301および溝部302を含む。第1スライド面301は、ボルトが下向きの姿勢において頭部を支持し、第1経路に沿ってボルトがスライド落下可能に傾斜する。溝部302は、ネジ部が遊嵌する幅を有し、第1経路に沿って延伸する。ワッシャ案内部20は、第2経路に沿って傾斜しながら延伸して第1経路と第2経路との接続位置にワッシャをスライド落下させる。ボルト案内部10は、ワッシャ保持部材322およびストッパ部303をさらに有する。ワッシャ保持部材322は、接続位置において、ボルトの先端部の軌道がワッシャの内径部を通過する位置にワッシャを保持する。スライド部は、組み付けられた後のワッシャおよびボルトを第1経路に沿ってスライド落下させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部とネジ部とを有するボルトの前記ネジ部が下向きの状態において前記頭部の下面を支持するとともに第1経路に沿って前記ボルトがスライド落下可能に傾斜しながら延伸する第1スライド面と、前記ネジ部が遊嵌する幅を有し、前記第1経路に沿って延伸する溝部と、を有するボルト案内部と、
前記ボルトに対応したワッシャを受け入れる開口部であるワッシャ受入部と、前記第1経路と異なり且つ前記第1経路に接続する第2経路に沿って傾斜しながら延伸して前記第1経路と前記第2経路との接続位置に前記ワッシャをスライド落下させる第2スライド面と、を有するワッシャ案内部と、を備え、
前記ボルト案内部は、
前記接続位置において、スライド落下する前記ボルトの先端部の軌道がスライド落下した前記ワッシャの内径部を通過する位置に、前記ワッシャを保持するワッシャ保持部材と、
前記接続位置において組み付けられた後の前記ワッシャおよび前記ボルトを前記第1経路に沿ってスライド落下させるスライド部と、をさらに有する、
部品供給装置。
【請求項2】
前記ボルト案内部は、前記溝部を挟んで平行に離間して延伸する第1レールと第2レールとを有し、
前記第1レールは、前記接続位置における前記第1スライド面の下方において前記第1スライド面と交差して前記ワッシャを通過させる空間部を有し、
前記第2レールは、前記接続位置において前記空間部を通過した前記ワッシャに当接して前記ワッシャを停止させる当接部および前記ワッシャ保持部材を有する、
請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記ワッシャ保持部材は前記ワッシャを吸引する磁石であって、前記当接部の近傍に固定されている、
請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記接続位置における前記第1経路の下流側において、前記ボルトの先端の軌道を確保するように前記ワッシャと離間するとともに、前記接続位置における前記第1経路の上流側において、前記ワッシャの下面を支持するワッシャ支持部をさらに備える、
請求項2または3に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記第1スライド面と前記第2スライド面とは、前記接続位置において、スライド落下する前記ネジ部の下流側におけるネジ山の螺旋と前記ワッシャの主面とが成す角度が、前記ネジ部のリード角より大きくなるように設定されている、
請求項2~4のいずれか一項に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記接続位置において上下方向に移動可能に支持されており、前記頭部の上面の位置を規制する上面規制部材をさらに備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記上面規制部材は、前記第1経路に沿って傾斜する板状部材であり、前記接続位置より上流側において、前記第1経路の傾斜方向に直交する軸に回動可能に支持される、
請求項6に記載の部品供給装置。
【請求項8】
前記接続位置において組み付けられた後に前記スライド部をスライドする前記ワッシャおよび前記ボルトを停止させるストッパ部をさらに備え、
前記ストッパ部は、スライド落下してきた前記ボルトの前記ネジ部に沿って形成される位置決め部を有し、
前記位置決め部と前記頭部の下面を支持する斜面とが成す角度は90度より大きい、
請求項1~5のいずれか一項に記載の部品供給装置。
【請求項9】
前記ストッパ部は、前記位置決め部に前記ネジ部を吸引する磁石をさらに有する、
請求項8に記載の部品供給装置。
【請求項10】
前記ストッパ部において停止した前記ボルトを保持して搬送するための工具のソケットが前記ボルトに嵌合するように前記ストッパ部の近傍において前記工具を案内するソケットガイドをさらに備える
請求項8または9に記載の部品供給装置。
【請求項11】
前記ボルト案内部は、
上流側において前記ボルトの軸が水平方向に平行になる姿勢により前記ボルトを受け入れて前記ネジ部を支持するとともに前記ネジ部が回転落下可能に傾斜して延伸し、下流側において二股に分岐して前記ボルトの軸が傾斜方向を向くように案内するリブ状のネジ部支持レールと、
二股に分岐した前記ネジ部支持レールに案内された前記ボルトが前記ネジ部を下向きにして前記溝部に落下するように、前記頭部の下面側を支持する転倒トリガ部と、
をさらに備える、
請求項1~10のいずれか一項に記載の部品供給装置。
【請求項12】
前記ボルト案内部は、
前記ネジ部支持レールの上流側の上方から前記ボルトが落下可能に設けられたボルト落下穴と、
前記ボルト落下穴に前記ボルトが落下可能に設けられた溝状斜面と、
前記溝状斜面の側壁の一方側において前記溝状斜面の上流側に支持部を有し、前記溝状斜面の上流側から下流側に沿って延出する片持ち梁状の姿勢制御梁と、
前記側壁の前記姿勢制御梁の下方において前記姿勢制御梁に沿って設けられた凹部と、
をさらに備える、
請求項11に記載の部品供給装置。
【請求項13】
前記ボルト案内部は、
前記溝状斜面の上流側に設けられ、任意の姿勢により投入された前記ボルトを受け入れる開口部であるボルト受入部と、
前記溝状斜面の上流側において前記溝状斜面の傾斜方向に沿って揺動可能に支持され、前記ボルト受入部から転落した前記ボルトの上部に接触して前記ボルトの姿勢を制御する揺動板と、
をさらに備える、
請求項12に記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルトとワッシャとを組み付ける装置が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の組付装置は、ワッシャ供給部、ボルト供給部および組付部を有する。ワッシャ供給部は、ワッシャを横臥状態で一つずつ供給する。ボルト供給部は、頭部を逆さに立てた状態で一つずつボルトを供給する。組付部は、ボルト供給部から供給されたボルトの軸部にワッシャを落下させて組み付ける。またこの組付装置は、ワッシャとボルトとを組み付けた後、アクチュエータを作動して開閉蓋を開くことでそのワッシャが組み付けられたボルトをボルト回収ケース内に落下させて収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ワッシャが組付けられたボルトを使用する場合に、ボルトの頭部が逆さの状態では、ボルトを締め付ける工具のソケットに装着することができないし、ボルト回収ケースに無造作に落下させてしまうと、これを拾い上げてソケットにはめ込む作業を要する。また上述の技術ではセンサやアクチュエータを使用するため、装置が複雑化ないし大型化する虞がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであって、簡素な構成且つ容易な操作によりワッシャをボルトに組み付けて供給する部品供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる部品供給装置は、ボルト案内部およびワッシャ案内部を有する。またボルト案内部は、第1スライド面および溝部を含む。第1スライド面は、頭部とネジ部とを有するボルトのネジ部が下向きの状態において頭部の下面を支持するとともに第1経路に沿ってボルトがスライド落下可能に傾斜しながら延伸する。溝部は、ネジ部が遊嵌する幅を有し、第1経路に沿って延伸する。ワッシャ案内部は、ボルトに対応したワッシャを受け入れる開口部であるワッシャ受入部を含む。またワッシャ案内部は、第1経路と異なり且つ第1経路に接続する第2経路に沿って傾斜しながら延伸して第1経路と第2経路との接続位置にワッシャをスライド落下させる第2スライド面を含む。ボルト案内部は、ワッシャ保持部材およびストッパ部をさらに有する。ワッシャ保持部材は、上記接続位置において、スライド落下するボルトの先端部の軌道がスライド落下したワッシャの内径部を通過する位置に、ワッシャを保持する。スライド部は、接続位置において組み付けられた後のワッシャおよびボルトを第1経路に沿ってスライド落下させる。
【0008】
上述の構成により、部品供給装置は、接続位置にスライド落下してくるワッシャとボルトとを組み付けることができる。
【0009】
上記部品供給装置において、ボルト案内部は、溝部を挟んで平行に離間して延伸する第1レールと第2レールとを有することが好ましい。この場合、第1レールは、接続位置における第1スライド面の下方において第1スライド面と交差してワッシャを通過させる空間部を有する。また第2レールは、接続位置において空間部を通過したワッシャに当接してワッシャを停止させる当接部およびワッシャ保持部材を有する。これにより、部品供給装置は、第1スライド面の下方において交差する第2経路に沿ってスライド落下するワッシャを接続位置において保持できる。
【0010】
また上記部品供給装置において、ワッシャ保持部材は、ワッシャを吸引する磁石であって、当接部の近傍に固定されているものであってもよい。これにより、部品供給装置は、金属製のワッシャを好適に保持できる。
【0011】
上記部品供給装置は、接続位置における第1経路の下流側において、ボルトの先端の軌道を確保するようにワッシャと離間するとともに、接続位置における第1経路の上流側において、ワッシャの下面を支持するワッシャ支持部をさらに有するものであってもよい。これにより、部品供給装置は、ワッシャが組付けられたボルトをスムーズにスライド落下させることができる。
【0012】
上記部品供給装置において、第1スライド面と第2スライド面とは、接続位置において、スライド落下するネジ部の下流側におけるネジ山の螺旋とワッシャの主面とが成す角度が、ネジ部のリード角より大きくなるように設定されているものであってもよい。これにより、部品供給装置は、ボルトとワッシャとの組み付けをよりスムーズに行うことができる。
【0013】
上記部品供給装置は、接続位置において上下方向に移動可能に支持されており、頭部の上面の位置を規制する上面規制部材をさらに有するものであってもよい。これにより、部品供給装置は、ボルトとワッシャとの組み付けをより安定して行うことができる。
【0014】
また、上面規制部材は、第1経路に沿って傾斜する板状部材であり、接続位置より上流側において、第1経路の傾斜方向に直交する軸に回動可能に支持されるものであってもよい。これにより、上面規制部材は、ボルトとワッシャとの組み付けをスムーズに安定して行うことができる。
【0015】
上記部品供給装置は、接続位置において組み付けられた後にスライド部をスライドするワッシャおよびボルトを停止させるストッパ部をさらに備えてもよい。この場合において、ストッパ部は、スライド落下してきたボルトのネジ部に沿って形成される位置決め部を有し、位置決め部と頭部の下面を支持する斜面とが成す角度は90度より大きいものであってもよい。これにより、部品供給装置は、ボルトにナットが組付けられていることを認識容易な姿勢において、ボルトをストッパ部に停止させることができる。
【0016】
上記ストッパ部は、位置決め部にネジ部を吸引する磁石をさらに有するものであってもよい。これにより、部品供給装置は、ストッパ部に停止するボルトをより確実に所望の姿勢にさせることができる。
【0017】
また上記部品供給装置は、上記ストッパ部において停止したボルトを保持して搬送するための工具のソケットがボルトに嵌合するようにストッパ部の近傍において工具を案内するソケットガイドをさらに有するものであってもよい。これにより、部品供給装置は、ワッシャが組付けられたボルトを取扱容易な態様により供給できる。
【0018】
また上記部品供給装置は、ネジ部支持レールと転倒トリガ部とをさらに有するものであってもよい。この場合、ネジ部支持レールは、上流側においてボルトの軸が水平方向に平行になる姿勢によりボルトを受け入れてネジ部を支持するとともにネジ部が回転落下可能に傾斜して延伸し、下流側において二股に分岐してボルトの軸が傾斜方向を向くように案内するリブ状の部材である。またこの場合、転倒トリガ部は、二股に分岐したネジ部支持レールに案内されたボルトがネジ部を下向きにして溝部に落下するように、頭部の下面側を支持する部材である。これにより、部品供給装置は、横向きの姿勢により受け入れたボルトを溝部に導いてスライド落下させることができる。
【0019】
また上記部品供給装置は、ボルト落下穴と、溝状斜面と、姿勢制御梁と、凹部と、をさらに有するものであってもよい。この場合、ボルト落下穴は、ネジ部支持レールの上流側の上方からボルトが落下可能に設けられた空間である。また溝状斜面は、ボルト落下穴にボルトが落下可能に設けられる。また姿勢制御梁は、溝状斜面の側壁の一方側において溝状斜面の上流側に支持部を有し、溝状斜面の上流側から下流側に沿って延出する片持ち梁状の部材である。またこの場合、凹部は、側壁における姿勢制御梁の下方において姿勢制御梁に沿って設けられる。これにより、部品供給装置は、上述したネジ部支持レールに対して横向きの姿勢にしたボルトを供給できる。
【0020】
また上記部品供給装置は、ボルト受入部と、揺動板と、をさらに有するものであってもよい。この場合、ボルト受入部は、溝状斜面の上流側に設けられ、任意の姿勢により投入されたボルトを受け入れる開口部である。またこの場合、揺動板は、溝状斜面の上流側において溝状斜面の傾斜方向に沿って揺動可能に支持され、ボルト受入部から転落したボルトの上部に接触してボルトの姿勢を制御する。これにより、部品供給装置は、任意の姿勢により投入されたボルトを受け入れてボルトの姿勢を好適に制御し、ワッシャと組み付けることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡素な構成且つ容易な操作によりワッシャをボルトに組み付けて供給する部品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態にかかる部品供給装置の斜視図である。
【
図2】実施の形態にかかる部品供給装置の背面図である。
【
図4】実施の形態にかかる部品供給装置の第1の断面図である。
【
図5】ボルト姿勢制御部の動作を説明するための図である。
【
図6】姿勢制御梁の機能を説明するための図である。
【
図7】姿勢制御梁および凹部の機能を説明するための第1の図である。
【
図8】姿勢制御梁および凹部の機能を説明するための第2の図である。
【
図9】ネジ部支持レールおよび転倒トリガ部の構成を示す斜視図である。
【
図10】ネジ部支持レールの形状を説明するための図である。
【
図11】第2姿勢制御ブロックの構成を示す図である。
【
図12】転倒トリガ部の構成を説明するための図である。
【
図13】第2姿勢制御ブロックにおけるボルトの挙動を示す図である。
【
図14】実施の形態にかかる部品供給装置の第2の断面図である。
【
図15】接続位置におけるボルトとワッシャとの関係を示す第1の図である。
【
図16】上面規制部材を説明するための断面図である。
【
図17】接続位置におけるボルトとワッシャとの関係を示す第2の図である。
【
図18】ストッパ部を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0024】
<実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる部品供給装置の斜視図である。
図1に示す部品供給装置1は、ボルト90とワッシャ80とをそれぞれ受け入れると、受け入れたボルト90とワッシャ80とを組み付け、組付けたボルト90およびワッシャ80を所定の位置に供給する。
【0025】
なお、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものとして、
図1は、右手系の直交座標系が付されている。また、
図2以降において、直交座標系が付されている場合、
図1のX軸、Y軸、およびZ軸方向と、これらの直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸方向はそれぞれ一致している。
【0026】
また以降の説明において、左右方向とはX軸方向と平行な方向であって、左方向はX軸プラス方向を指し、右方向はX軸マイナス方向を指す。前後方向とはY軸方向と平行な方向であって、後方とはY軸プラス方向を指し、前方とはY軸マイナス方向を指す。また上下方向とはZ軸方向と平行な方向であって、上方とはZ軸プラス方向を指し、下方とはZ軸マイナス方向を指す。
【0027】
図1に示す部品供給装置1は、XY面に載置される。部品供給装置1は、上方からボルト90を受け入れて、受け入れたボルト90を第1経路に沿って、スライド落下させる。第1経路は、後方かつ上方から前方かつ下方に向かって延伸する経路である。また部品供給装置1は、ワッシャ80を受け入れて、受け入れたワッシャ80を第2経路に沿って落下させる。第2経路は、右上方から左下方に向かって延伸する経路である。第2経路は、第1経路の途中の位置(接続位置)において第1経路と接続する。
【0028】
本実施の形態におけるボルト90およびワッシャ80は、鉄またはステンレスを主成分とした材質により形成されている。ボルト90は、六角ボルトと称されるタイプのボルトであって、正六角柱状の頭部91と、ネジ部92と、を有する。ボルト90の具体的な態様としては、例えばフィラープラグである。
【0029】
ワッシャ80は、ボルト90の径に対応した内径を有する中空円板状の部材である。ワッシャ80の具体的な態様としては、例えばフィラープラグに対応するガスケットである。なお、ボルト90は、フィラープラグに限らず、ドレンプラグであってもよい。ボルト90は、機械部品を締結するためのボルトであってもよい。またその場合、ワッシャ80は例えばいわゆる平座金であってもよいし、その他のタイプのワッシャであってもよい。
【0030】
本実施の形態におけるボルト90の寸法は、対角部が長さD90、対辺部が長さD91であって、ネジ部は直径D92である。またボルト90の全長は、長さL90である。なお、以降の説明において、「ボルト90が縦向きである」とは、ボルト90の軸が上下方向に向いており、且つ、頭部91が相対的にネジ部92の上方に位置する姿勢(換言するとネジ部92が相対的に頭部91の下方に位置する姿勢)をいう。また、「ボルト90が横向きである」とは、ボルト90の軸が横方向(Z軸に直交する方向)に向いていることをいう。
【0031】
図1に示す部品供給装置1は、主な構成として、ボルト案内部10およびワッシャ案内部20を有する。またボルト案内部10は、第1姿勢制御ブロック100、第2姿勢制御ブロック200および第3姿勢制御ブロック300を含む。ワッシャ案内部20は、開口部であるワッシャ受入部21からワッシャ80を受け入れて、予め設定された第2経路に沿ってワッシャ80をスライド落下させる。そしてワッシャ案内部20は、上記第2経路と、第3姿勢制御ブロック300に設定された第1経路との接続位置にワッシャ80を供給する。
【0032】
第1姿勢制御ブロック100は、開口部であるボルト受入部101からボルト90を受け入れ、受け入れたボルト90を自重により落下させつつ横向きの姿勢に制御して第2姿勢制御ブロック200に供給する。第2姿勢制御ブロック200は、横向きのボルト90を自重により落下させつつ縦向きの姿勢に制御して第3姿勢制御ブロック300に供給する。
【0033】
第3姿勢制御ブロック300は、上述のワッシャ案内部20から供給されたワッシャ80を、接続位置において保持する。また第3姿勢制御ブロック300は、第2姿勢制御ブロック200から縦向きの姿勢によりボルト90を受け入れる。第3姿勢制御ブロック300は、受け入れたボルト90の頭部91を第1スライド面301により支持し、ネジ部92を溝部302に遊嵌させる。そして第3姿勢制御ブロック300は、予め設定された第1経路に沿ってボルト90をスライド落下させる。さらに第3姿勢制御ブロック300は、ボルト90を接続位置にスライド落下させ、予め保持しているワッシャ80と組み付ける。第3姿勢制御ブロック300は、組付けたワッシャ80およびボルト90をさらにスライド落下させて、ストッパ部303において停止させる。
【0034】
ストッパ部303は、組付けたワッシャ80およびボルト90を所定の工具のソケットに装着させるように縦向きの姿勢であって、頭部91が露呈するようにボルト90を保持する。ストッパ部303において停止したワッシャ80およびボルト90は、ソケットガイド304に沿ってアクセスする工具に装着される。
【0035】
ソケットガイド304は、ストッパ部303において停止したボルト90を保持して搬送するための工具のソケットがボルト90に嵌合するようにストッパ部303の近傍において工具を案内する。これにより、部品供給装置1は、ワッシャ80が組付けられたボルト90を取扱容易な態様により供給できる。
【0036】
(第1姿勢制御ブロック)
次に、ボルト案内部10が有する第1姿勢制御ブロックの構成について説明する。
図2は、実施の形態にかかる部品供給装置の背面図である。第1姿勢制御ブロック100は主な構成として、ボルト受入部101、ボルト落下面102、位置規制部材103、入口斜面104、ボルト姿勢制御部110、ボルト落下穴120、溝状斜面130、姿勢制御梁140および凹部150を有する。
【0037】
図2および
図3を参照して、第1姿勢制御ブロック100が有するボルト受入部101の詳細を説明する。
図3は、ボルト投入部の構成を示す図である。
【0038】
ボルト受入部101は、第1姿勢制御ブロック100の上方に設けられた開口部であって、ユーザが投入するボルト90を受け入れる。ボルト受入部101は、任意の姿勢により落下するボルト90を受け入れる。
【0039】
ボルト落下面102は、左上方から右下方に向かって傾斜する斜面である。ボルト落下面102は、ボルト受入部101から落下するボルト90を受け止めて、受け止めたボルト90を入口斜面104に案内する。位置規制部材103は、ボルト落下面102に設けられ、ボルト落下面102に沿って転落するボルト90の前後方向の挙動を規制する。位置規制部材103を設けることにより、ボルト落下面102の下方に設けられているボルト姿勢制御部110の側面にボルト90が衝突するのを防ぐことができ、ボルト90を所望の位置へ転落させることができる。
【0040】
入口斜面104は、ボルト落下面102と溝状斜面130との間の段差を埋めるように形成された斜面である。入口斜面104を設けることにより、第1姿勢制御ブロック100は、ボルト落下面102から転落してきたボルト90が溝状斜面130に引っかかるのを抑制し、ボルト90のスムーズな落下を促すことができる。入口斜面104に案内されたボルト90は、ボルト姿勢制御部110の下方を通過した後に溝状斜面130に移動する。
【0041】
図4をさらに参照して、第1姿勢制御ブロック100について説明する。
図4は、実施の形態にかかる部品供給装置の第1の断面図である。
図4は、
図2におけるII-II断面を示したものである。
図2~
図4に示すように、入口斜面104を落下するボルト90は、ボルト姿勢制御部110の下方を通過する。
【0042】
ボルト姿勢制御部110は、揺動板支持部111および揺動板112を有する。ボルト姿勢制御部110は、入口斜面104の上方に設けられた揺動板支持部111の揺動支点部113において、揺動板112を回動可能に軸支している。揺動板112は、溝状斜面130の上流側において、揺動板支持部111により溝状斜面130の傾斜方向に沿って揺動可能に支持されている。揺動板112は、ボルト受入部101から転落したボルト90の上部に接触してボルト90の姿勢を制御する。
【0043】
揺動板112は、ボルト90のネジ部92と接触した場合にはボルト90姿勢を維持させつつボルト90の落下を許容する。一方、揺動板112は、ボルト90の頭部91と接触した場合には、ボルト90の落下を妨げない程度であって、且つ、ボルト90姿勢を変化させることができる程度の質量を有している。そのため、揺動板112は例えば鉄やステンレスなどの材質により形成されていることが好ましい。
【0044】
図5を参照してボルト姿勢制御部110についてより具体的に説明する。
図5は、ボルト姿勢制御部の動作を説明するための図である。
図5は、ボルト90が入口斜面104から溝状斜面130に転落する2つのパターン(パターンA1およびパターンA2)を示している。
図5の上側に示すパターンA1は、ボルト90の頭部91が下向きの姿勢で入口斜面104を滑落する場合を示している。
図5の下側に示すパターンA2は、ボルト90のネジ部92が下向きの姿勢で入口斜面104を滑落する場合を示している。
【0045】
パターンA1において、ボルト90は頭部91が下向きの姿勢で滑落する。この場合に、ボルト90と揺動板112とは、第1接触点P11で接触する。第1接触点P11で接触すると、揺動板112はボルト90の落下を許容するように揺動する一方で、頭部91を引っ掛けて頭部91が上に向く姿勢に変化させる。その結果、ボルト90はネジ部92が下向きの姿勢に変化して、溝状斜面130を落下する。
【0046】
パターンA2において、ボルト90は、ネジ部92が下向きの姿勢で滑落する。この場合に、ボルト90と揺動板112とは、第1接触点P11より下方の第2接触点で接触する。揺動支点部113から第2接触点P12までの距離は、揺動支点部113から第1接触点P11までの距離より長い。第2接触点P12で接触すると、揺動板112はボルト90の姿勢を維持した状態での落下を許容するように揺動する。その結果、ボルト90はネジ部92が下向きの姿勢を維持したまま、溝状斜面130を落下する。
【0047】
このように、ボルト姿勢制御部110は、溝状斜面130に落下するボルト90の姿勢を制御する。これによりボルト姿勢制御部110は、ボルト90のネジ部92が上向きの状態で溝状斜面130を滑落することを抑制できる。
【0048】
次に、第1姿勢制御ブロック100における溝状斜面130およびその周辺の構成について説明する。
図2および
図4に示すように、ボルト姿勢制御部110を通過したボルト90は、溝状斜面130に沿って落下する。溝状斜面130は一方の側面に姿勢制御梁140および凹部150を有する。また溝状斜面130の下流側にはボルト落下穴120が設けられている。
【0049】
溝状斜面130は、入口斜面104からボルト落下穴120に亘り設けられた溝状の斜面である。すなわち溝状斜面130は、ボルト90がボルト落下穴120に落下可能に設けられる。
【0050】
溝状斜面130の幅W21は、頭部91の対角部の長さD90が遊嵌する程度に設定されている。また姿勢制御梁140を含む溝状斜面130の幅W20は、頭部91の対辺部の長さD91より小さく、且つ、ネジ部92の直径D92より大きい距離に設定されている。これにより、溝状斜面130は、ボルト90の頭部91が下向きの姿勢で溝状斜面130の底面に引っかかることが無いように設定されている。
【0051】
ボルト落下穴120は、後述する第2姿勢制御ブロック200にボルト90を所定の姿勢で落下させる。すなわちボルト落下穴120は、第2姿勢制御ブロック200が有するネジ部支持レール210の上流側の上方からボルト90が落下可能に設けられた空間である。
【0052】
姿勢制御梁140は、溝状斜面130の側壁の一方側において溝状斜面130の上流側に支持部を有し、溝状斜面130の上流側から下流側に沿って延出する片持ち梁状の部材である。
【0053】
凹部150は、溝状斜面130の側壁における姿勢制御梁140の下方において姿勢制御梁140に沿って設けられる。
【0054】
図6を参照して、姿勢制御梁140の機能について説明する。
図6は、姿勢制御梁の機能を説明するための図である。
図6は、溝状斜面130を落下するボルト90の挙動のパターン(パターンB1~B3)を示している。
【0055】
パターンB1において、ボルト90は頭部91が上方の姿勢のまま溝状斜面130を滑落している。この場合に、ボルト90は、溝状斜面130から脱落すると、姿勢制御梁140の片持ち梁部に頭部91が接触する。これによりボルト90は横転し、横向きの姿勢で落下する。
【0056】
図7を参照してパターンB1の状態についてさらに説明する。
図7は、姿勢制御梁および凹部の機能を説明するための第1の図である。
図7は、
図6に示したパターンB1を後方から前方に向かって観察した状態を示している。
【0057】
溝状斜面130を脱落してボルト落下穴120に落下するボルト90は、頭部91の左側が姿勢制御梁140に接触する。これによりボルト90はY軸周りに右回転しながら落下する。このとき、ボルト90のネジ部92の先端は、凹部150の領域に入り込む。これによりボルト90はボルト落下穴120においてスムーズにかつ横向きの姿勢で落下できる。
【0058】
図6に戻りパターンB2について説明する。パターンB2において、ボルト90はネジ部92が上方の姿勢で溝状斜面130を滑落している。この場合に、ボルト90は、溝状斜面130から脱落すると、姿勢制御梁140の片持ち梁部に頭部91が接触する。これによりボルト90は横転し、横向きの姿勢で落下する。
【0059】
図8を参照してパターンB2の状態についてさらに説明する。
図8は、姿勢制御梁および凹部の機能を説明するための第2の図である。
図8は、
図6に示したパターンB2を後方から前方に向かって観察した状態を示している。
【0060】
溝状斜面130を脱落してボルト落下穴120に落下するボルト90は、頭部91の左側が姿勢制御梁140に接触する。これによりボルト90はY軸周りに右回転しながら落下する。これによりボルト90はボルト落下穴120においてスムーズにかつ横向きの姿勢で落下できる。
【0061】
図6に戻りパターンB3について説明する。パターンB3において、ボルト90は横向きの姿勢で溝状斜面130を滑落している。この場合に、ボルト90は、溝状斜面130から脱落すると、横向きの姿勢のままで、ボルト落下穴120を落下する。
【0062】
以上、第1姿勢制御ブロック100について説明した。第1姿勢制御ブロック100は、無造作に投入されたボルト90を横向きの姿勢に制御して、第2姿勢制御ブロック200に対して横向きの姿勢でボルトを供給できる。
【0063】
(第2姿勢制御ブロック)
次に、
図4に戻り、第2姿勢制御ブロック200について説明する。
図4に示すように、第2姿勢制御ブロック200は、落下姿勢ガイド201、上方規制部材202およびネジ部支持レール210を有する。落下姿勢ガイド201は、ボルト落下穴120を落下するボルト90の後方において立設するリブ状の部材であって、ボルト落下穴120を落下するボルト90のネジ部92の位置を規制する。
【0064】
上方規制部材202は、第2姿勢制御ブロック200において傾斜方向に転落するボルト90のネジ部92の上方の位置を規制する。ネジ部支持レール210は、ボルト落下穴120から横向きの姿勢で落下してくるボルト90を受け入れて、受け入れたボルト90が横向きの姿勢になるようにネジ部92を支持する。またネジ部支持レール210は、ボルト90のネジ部92を支持して傾斜し、ボルト90を前方且つ下方に転落させる。
【0065】
次に、
図9を参照して第2姿勢制御ブロック200についてさらに説明する。
図9は、ネジ部支持レールおよび転倒トリガ部の構成を示す斜視図である。
図9に示す第2姿勢制御ブロック200は理解を容易にするため、一部の構成を省略して示している。第2姿勢制御ブロック200は主な構成として、ネジ部支持レール210、転倒トリガ部220および壁部230を有している
【0066】
ネジ部支持レール210は、前後方向に傾斜して延伸し、下方側において左右方向に二股に分岐するリブ状の部材である。ネジ部支持レール210は、上流側においてボルト落下穴120から横向きの姿勢で落下してくるボルト90を受け入れて、受け入れたボルト90が横向きの姿勢になるようにネジ部92を支持する。またネジ部支持レール210は、ネジ部92が回転落下可能に傾斜して延伸し、下流側において左右方向に二股に分岐する。
【0067】
転倒トリガ部220は、二股に分岐したネジ部支持レール210に案内されたボルト90がネジ部92を下向きにして溝部302に落下するように、頭部91の下面側を支持する。壁部230は、ネジ部支持レール210の左右に立設されており、ボルト落下穴120から第2姿勢制御ブロック200に落下するボルト90の左右方向の位置を規制する。
【0068】
図10を参照して、ネジ部支持レール210について説明する。
図10は、ネジ部支持レール210の形状を説明するための図である。
図10は、ネジ部支持レール210を上方から観察した状態を示している。ネジ部支持レール210は、前後方向に延伸する延伸部211と、左右方向に分岐する分岐部212とを有している。また延伸部211と分岐部212とは滑らかな曲線により結合されている。なお、ネジ部支持レール210は左右対称形状を呈している。
【0069】
図10には、延伸部211の断面IV-IVおよび分岐部212の断面V-Vが示されている。
図10に示すように、延伸部211の断面は左右対称の台形を呈している。また分岐部212は後方側が底辺に直交し、前方側が斜面を形成する台形を呈している。このような構成により、ネジ部支持レール210は、ネジ部92を支持するとともに、支持したネジ部92にかかるボルト90を傾斜方向に落下させる。またネジ部支持レール210は、分岐部212において、頭部91を左右いずれかの方向に回動させる。これによりボルト90はネジ部92の先端が分岐部212の前方の落下領域213に向く。落下領域213は、ボルト90が下向きの姿勢で落下する領域であって、溝部302が設けられる。
【0070】
次に、
図11を参照して第2姿勢制御ブロック200についてさらに説明する。
図11は、第2姿勢制御ブロックの構成を示す図である。ネジ部支持レール210の左右に立設されている壁部230は、幅W230を有している。幅W230は、ボルト90の長さL90より大きく、且つ、対辺部の長さD91より小さい。これにより、第2姿勢制御ブロック200は、ボルト90が横向きの姿勢のままネジ部支持レール210に落下する。
【0071】
一方、ネジ部支持レール210の下方における溝部302の幅W302はネジ部92の直径D92より大きく、対辺部の長さD91より小さい。また左右に設けられた転倒トリガ部220の隙間の幅W301は、頭部91の対角部の長さD90より小さい。これにより、第2姿勢制御ブロック200は、ネジ部支持レール210の下方に落下するボルト90のネジ部92を溝部302に落下させる。そして落下したボルト90は、傾斜に沿ってスライド落下する。
【0072】
次に、
図12を参照して転倒トリガ部220の形状について説明する。
図12は、転倒トリガ部の詳細を示す図である。
図12に示す転倒トリガ部220は、
図11の矢印Aの方向から観察したネジ部支持レール210および転倒トリガ部220を示している。転倒トリガ部220は、頭部接触面S220を有している。頭部接触面S220は、中心C220および半径R220を有する半円筒形状の凹部である。半径R220は、頭部91の対角部の長さD90の半分の長さである。すなわち頭部接触面S220は、頭部91の形状に対応している。これにより、転倒トリガ部220は、転落してくるボルト90の頭部91を支持する。頭部接触面S220は、半円筒形状を呈していることにより、六角形である頭部91がどのような角度により接触しても、ボルト90を支持する位置が同じになるように設定されている。
【0073】
また頭部接触面S220の中心C220は、ネジ部支持レール210に支持されて転落してくるボルト90の軸の中心C90の位置より高くなるように構成されている。これにより、頭部接触面S220は、落下してくるボルト90の頭部91を上方に乗り上げさせる。これにより転倒トリガ部220は、落下してくるボルト90の頭部91をネジ部92よりも相対的に持ち上げて、ボルト90が溝部302に落下するきっかけを作る。
【0074】
次に、
図13を参照して、第2姿勢制御ブロック200を通過するボルト90の動きについて説明する。
図13は、第2姿勢制御ブロック200におけるボルト90の挙動を示す図である。
図13は、第2姿勢制御ブロック200を上方かつ前方から観察した状態を示している。また
図13は、理解容易の為、一部の構成を省略して示している。
【0075】
図13の左上に示す図は、所定の時刻T=t1におけるボルト90の位置を示している。時刻T=t1において、ボルト90は、ネジ部支持レール210の上流側から下流側に向かって転落している。ボルト90は頭部91が図の左側に位置している。そのため、ボルト90は二股部に案内されて左側に傾きながら転落する。
【0076】
図13の右上に示す図は、時刻T=t1の後の時刻T=t2におけるボルト90の位置を示している。時刻T=t2において、ボルト90は、ネジ部支持レール210の二股部に移動し、さらに転倒トリガ部220に接触しようとしている。ボルト90はネジ部92が溝部302の上方に位置している。
【0077】
図13の右下に示す図は、時刻T=t2の後の時刻T=t3におけるボルト90の位置を示している。時刻T=t3において、ボルト90は、頭部91が転倒トリガ部220にネジ部支持レール210の二股部に移動し、さらに転倒トリガ部220に接触たため、ネジ部92が下に向かって倒れている。
【0078】
図13の右下に示す図は、時刻T=t3の後の時刻T=t4におけるボルト90の位置を示している。時刻T=t4において、ボルト90は、ネジ部支持レール210から落下し、ネジ部92が溝部302に入り込み、頭部91が第1スライド面301に接触している。すなわちボルト90は第1スライド面301をスライド落下可能な状態になっている。
【0079】
以上、第2姿勢制御ブロック200について説明した。上述のように、第2姿勢制御ブロック200において、部品供給装置1はボルト90を横向きの姿勢により受け入れると、受け入れたボルト90を転落させながら姿勢を制御して下向きの姿勢に変化させ、第3姿勢制御ブロック300に供給する。これにより、部品供給装置1は、横向きの姿勢により受け入れたボルト90を溝部302に導いてスライド落下させることができる。
【0080】
(第3姿勢制御ブロック)
図4に戻り、第3姿勢制御ブロック300について説明する。第3姿勢制御ブロック300は、第2姿勢制御ブロック200から下向きの姿勢のボルト90を受け取り、受け取ったボルト90を第1経路に沿ってスライド落下させる。また第3姿勢制御ブロック300は、接続位置において予め保持しているワッシャ80とボルト90とを組み付ける。そして第3姿勢制御ブロック300は、組付けたワッシャ80およびボルト90をストッパ部303にスライド落下させ、ユーザにこれを供給する。
【0081】
図14を参照して、第3姿勢制御ブロック300およびワッシャ案内部20について説明する。
図14は、実施の形態にかかる部品供給装置の第2の断面図である。
図14に示す断面図は、
図4のIII-III断面を示したものである。
【0082】
図14に示すワッシャ案内部20は、ワッシャ受入部21および第2スライド面22を含む。ワッシャ受入部21は、ボルト90に対応したワッシャ80を受け入れる開口部である。ユーザはワッシャを所定の方向に挿入する。なお、ワッシャ受入部21は例えばスリット状の開口形状を有することにより、予め所定の方向から挿入されたときのみにワッシャ80を受け入れるように設定されていてもよい。
【0083】
第2スライド面22は、第2経路に沿って傾斜しながら延伸して第1経路と第2経路との接続位置にワッシャをスライド落下させる。
図14において、ワッシャ80は、第2スライド面22を通過して、接続位置に停止している状態である。第3姿勢制御ブロック300は、溝部302を挟んで平行に離間して延伸する第1レール310と第2レール320とを有している。また接続位置において、第3姿勢制御ブロック300は、第1スライド面301、溝部302、第1レール310、第2レール320、空間部311、当接部321、ワッシャ支持部330を含む。
【0084】
空間部311は、接続位置における第1スライド面301の下方において第1スライド面301と立体的に交差してワッシャ80を通過させる空間である。当接部321は、接続位置における第2レール320の下方において、空間部311を通過したワッシャ80に当接してワッシャ80を停止させる。
【0085】
ワッシャ保持部材322は、接続位置における所定の位置において、ワッシャ80を保持する。より具体的には、ワッシャ保持部材322は、ワッシャ80が当接部321に当接し、且つ、ワッシャ支持部330により支持されている位置に、ワッシャ80を保持する。なお、ワッシャ保持部材322は、例えばワッシャ80を吸引する磁石であって、当接部321の近傍に固定されている。
【0086】
図15を参照して、第3姿勢制御ブロック300についてさらに説明する。
図15は、接続位置におけるボルト90とワッシャ80との関係を示す第1の図である。
図15に示すワッシャ80の位置は、
図14に示した位置に対応している。ボルト90は、第1スライド面301にそってスライド落下している。ここで、2本の二点鎖線の間の領域は、ネジ部92の先端部の軌道T90を示している。ここで、軌道T90は、例えばボルト90の形状のばらつきや部品供給装置1の寸法精度のばらつきを含む。そのため、軌道T90は、上下方向に所定の幅を有している。第3姿勢制御ブロック300は、軌道T90が、接続位置におけるワッシャ80の内径部を通過するように設定されている。そのため、スライド落下するボルト90は、ネジ部92の先端部がワッシャ80の内径を通過する。これによりワッシャ80とボルト90とは組付けられる。
【0087】
なお、
図15に示すように、ワッシャ80の下方を支持するワッシャ支持部330は、接続位置における第1経路の下流側において、ボルト90の先端の軌道T90を確保するようにワッシャ80と離間する空間R330を有する。これにより第3姿勢制御ブロック300は、好適にワッシャ80を支持しつつ、ボルト90の軌道T90も確保する。よって、第3姿勢制御ブロック300は、接続位置においてワッシャ80とボルト90とを組み付け、さらにボルト90を第1経路に沿ってスライド落下させることができる。
【0088】
この位置にワッシャ80を保持することにより、第3姿勢制御ブロック300は、第1スライド面301をスライド落下してくるボルト90とワッシャ80とを組み付けることができる。
【0089】
図16を参照して、接続位置における構成についてさらに説明する。
図16は、上面規制部材を説明するための断面図である。第3姿勢制御ブロック300は、接続位置において、頭部位置規制部材340および支点軸341を有する。頭部位置規制部材340は、接続位置において上下方向に移動可能に支持されており、頭部91の上面の位置を規制する部材である。また本実施の形態おける頭部位置規制部材340は、第1経路に沿って傾斜する板状部材である。頭部位置規制部材340は、接続位置より上流側において、第1経路の傾斜方向に直交する支点軸341によって回動可能に支持される。
【0090】
このような構成により、部品供給装置1は、ボルト90が上方向に跳ね上がることを抑制する。よって、部品供給装置1は、ワッシャ80とボルト90とを好適に組み付けることができる。なお、頭部位置規制部材340は、ボルト90の上側の位置を規制するものであればよい。そのため、例えば頭部位置規制部材340は支点軸341に代えて、上下方向に平行に移動する機構を有していてもよい。
【0091】
図17を参照して、第3姿勢制御ブロック300の構成についてさらに説明する。
図17は、接続位置におけるボルト90とワッシャ80との関係を示す第2の図である。
図17は、第1レール310および第2レール320が示されている。また
図17に示す第1レール310が有する第1スライド面301Aは、第2レール320が有する第1スライド面301Bより、高さ方向において高さH30ほど低い。そのため、ボルト90は、軸が垂直よりも左側に角度A90傾いた状態となっている。
【0092】
一方、接続位置における第2スライド面22Aは、水平方向に平行である。このとき、ボルト90が右ネジの場合、ボルト90の下流側におけるネジ山の螺旋とワッシャ80の主面とが成す角度は、角度A32である。また、ボルト90のネジ部92のリード角は角度A31である。そして、ボルト90が角度A90傾いているため、上述の角度A32は、リード角の角度A31より大きい。このような構成により、部品供給装置1は、接続位置において、ボルト90のネジ部92のネジ溝と、ワッシャ80とがよりスムーズに組付けられる。
【0093】
なお、上述の構成を換言すると、以下のように言うことができる。すなわち、第1スライド面と第2スライド面とは、接続位置において、スライド落下するネジ部92の下流側におけるネジ山の螺旋とワッシャ80の主面とが成す角度が、ネジ部92のリード角より大きくなるように設定されている。つまり、この構成を実現するために、第3姿勢制御ブロック300は、上述の第1スライド面301Aと第1スライド面301Bとの高さに差を設けるのに代えて、例えば第2スライド面22Aが
図17の右下に若干傾斜していてもよい。
【0094】
次に、
図18を参照して、ストッパ部の構成について説明する。
図18は、ストッパ部303を説明するための断面図である。部品供給装置1は、接続位置の下方にスライド部350を有する。スライド部350は、接続位置において組み付けられた後のワッシャ80およびボルト90を第1経路に沿ってスライド落下させる。また部品供給装置1は、スライド部350の下方にストッパ部303を有する。ストッパ部303は、接続位置において組み付けられた後にスライド部350をスライドするワッシャおよびボルトを停止させる。
【0095】
ストッパ部303は、スライド落下してきたボルト90のネジ部92に沿って形成される位置決め部360を有する。このとき、位置決め部360と、頭部91の下面を支持するスライド部350とが成す角度は90度より大きくなるように設定される。これにより、ストッパ部303において、組付けられたワッシャ80はスライド部350に沿って停止し、ボルト90は、位置決め部360に沿って停止する。そのため、ワッシャ80と頭部91とが平行でなくなり、傾斜方向の下流側において隙間が生じる。よって、ユーザは、頭部91とスライド部350との間に存在するワッシャ80の視認が容易になる。すなわちこのような構成により、部品供給装置1は、ワッシャ80がボルト90に正しく組付けられていることを視認容易に停止させることができる。
【0096】
なお、本実施の形態において、ストッパ部303は、位置決め部360においてネジ部92を吸引する磁石(ストッパ用磁石361)をさらに有する。これにより、ストッパ部303において、ネジ部92はより確実に位置決め部360に沿って停止する。
【0097】
以上、実施の形態について説明した。上述の構成により、実施の形態によれば、簡素な構成且つ容易な操作によりワッシャをボルトに組み付けて供給する部品供給装置を提供することができる。
【0098】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 部品供給装置
10 ボルト案内部
20 ワッシャ案内部
21 ワッシャ受入部
22 第2スライド面
80 ワッシャ
90 ボルト
91 頭部
92 ネジ部
100 第1姿勢制御ブロック
101 ボルト受入部
102 ボルト落下面
103 位置規制部材
104 入口斜面
110 ボルト姿勢制御部
111 揺動板支持部
112 揺動板
113 揺動支点部
120 ボルト落下穴
130 溝状斜面
140 姿勢制御梁
150 凹部
200 第2姿勢制御ブロック
201 落下姿勢ガイド
202 上方規制部材
210 ネジ部支持レール
220 転倒トリガ部
300 第3姿勢制御ブロック
301 第1スライド面
302 溝部
303 ストッパ部
304 ソケットガイド
310 第1レール
311 空間部
320 第2レール
321 当接部
322 ワッシャ保持部材
330 ワッシャ支持部
340 頭部位置規制部材
341 支点軸
350 スライド部
360 位置決め部
361 ストッパ用磁石