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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189414
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】噴霧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20221215BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221215BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61K8/60
A61Q19/00
A61Q11/00
A61K8/19
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097973
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福積 京子
(72)【発明者】
【氏名】東峰 有美
(72)【発明者】
【氏名】宮本 英俊
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB282
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC862
4C083AC932
4C083AD332
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD532
4C083BB01
4C083BB04
4C083BB06
4C083BB49
4C083CC04
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD47
4C083EE01
4C083EE05
(57)【要約】
【課題】炭酸ガスを使用しているにもかかわらず、噴霧音が小さく、柔らかな霧状に噴霧することができ、安定性が優れた噴霧用組成物を提供する。
【解決手段】水および界面活性剤を含む原液と、炭酸ガスとからなり、界面活性剤は、(A)アルキルグルコシド、(B)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~12であるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、(C)脂肪酸が分岐構造であるデカグリセリン脂肪酸エステル、(D)ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、(E)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(F)ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、および、(G)アルキルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、噴霧用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水および界面活性剤を含む原液と、炭酸ガスとからなり、
前記界面活性剤は、(A)アルキルグルコシド、(B)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~12であるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、(C)脂肪酸が分岐構造であるデカグリセリン脂肪酸エステル、(D)ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、(E)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(F)ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、および、(G)アルキルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、噴霧用組成物。
【請求項2】
前記アルキルグルコシドは、ヤシ油アルキルグルコシド、ミリスチルグルコシド、および、(C12~20)アルキルグルコシドを含む、請求項1記載の噴霧用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧用組成物に関する。より詳細には、本発明は、炭酸ガスを使用しているにもかかわらず、噴霧音が小さく、柔らかな霧状に噴霧することができ、安定性が優れた噴霧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を霧状に噴霧する噴霧用組成物が知られている。噴霧用組成物は、使用者の顔や腕などに噴霧される場合、柔らかな霧状に噴霧されることが好ましい。特許文献1~2には、水と界面活性剤とを含み、窒素ガスで噴霧する噴霧用組成物および噴霧製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-236306号公報
【特許文献2】特開2005-194196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~2に記載の発明は、窒素ガスを用いている。一方、窒素ガスの代わりに炭酸ガスが用いられると、炭酸ガスは、窒素ガスと比較して、水への溶解量が大きい。そのため、得られる噴霧用組成物は、pHが酸性側に変化し、内容物が析出するなど、安定性が悪い。また、炭酸ガスが溶解した噴霧用組成物が噴霧されると、溶解した炭酸ガスが瞬時に気化して、噴霧の勢いが強くなりやすく、かつ、大きな噴霧音が生じる。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、炭酸ガスを使用しているにもかかわらず、噴霧音が小さく、柔らかな霧状に噴霧することができ、安定性が優れた噴霧用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)水および界面活性剤を含む原液と、炭酸ガスとからなり、前記界面活性剤は、(A)アルキルグルコシド、(B)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~12であるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、(C)脂肪酸が分岐構造であるデカグリセリン脂肪酸エステル、(D)ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、(E)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(F)ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、および、(G)アルキルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、噴霧用組成物。
【0008】
このような構成によれば、噴霧用組成物は、炭酸ガスを使用しているにもかかわらず、噴霧音を小さくすることができる。また、噴霧用組成物は、柔らかな霧状に噴霧される。さらに、噴霧用組成物は、一部の炭酸ガスが溶解しているにもかかわらず、析出物を発生しにくく、安定性が優れる。
【0009】
(2)前記アルキルグルコシドは、ヤシ油アルキルグルコシド、ミリスチルグルコシド、および、(C12~20)アルキルグルコシドを含む、(1)記載の噴霧用組成物。
【0010】
このような構成によれば、噴霧用組成物は、炭酸ガスを使用しているにもかかわらず、噴霧音をより小さくすることができる。また、噴霧用組成物は、より柔らかな霧状に噴霧される。さらに、噴霧用組成物は、一部の炭酸ガスが溶解しているにもかかわらず、析出物をより発生しにくく、安定性が優れる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、炭酸ガスを使用しているにもかかわらず、噴霧音が小さく、柔らかな霧状に噴霧することができ、安定性が優れた噴霧用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<噴霧用組成物>
本発明の一実施形態の噴霧用組成物は、水および界面活性剤を含む原液と、炭酸ガスとからなる。界面活性剤は、(A)アルキルグルコシド、(B)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~12であるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、(C)脂肪酸が分岐構造であるデカグリセリン脂肪酸エステル、(D)ヘキサグリセリン脂肪酸エステル(E)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(F)ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、および、(G)アルキルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む。以下、それぞれについて説明する。
【0013】
(原液)
原液は、水および界面活性剤を含む。
【0014】
・水
水は、原液の主成分あり、界面活性剤が添加されることにより半透明~白濁した状態になる。水は、噴霧用組成物が噴霧されると、原液中に溶解した炭酸ガスが気化することにより微小な粒子となり、柔らかな霧状となる。
【0015】
水は特に限定されない。一例を挙げると、水は、精製水、イオン交換水、海洋深層水等である。
【0016】
水の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水の含有量は、原液中、75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。また、水の含有量は、原液中、99.98質量%以下であることが好ましく、99.96質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、噴霧音が大きくなりにくく、かつ、柔らかな霧状に噴霧されやすい。また、噴霧用組成物は、必要に応じて、有効成分などを含有させやすい。
【0017】
・界面活性剤
界面活性剤は、原液の主成分である水に添加される。界面活性剤が添加された原液は、ミセルが形成され、半透明~白濁した状態になる。これに炭酸ガスが充填された噴霧用組成物は、炭酸ガスの一部が原液に溶解しても(飽和溶解)、ミセルが維持されて半透明~白濁した状態であり、結晶化による析出物や沈殿物などを生じにくく、安定である。また、噴霧用組成物は、界面活性剤が含まれていることにより、炭酸ガスを使用しているにもかかわらず、噴霧音が小さく、柔らかな霧状に噴霧されやすい。
【0018】
本実施形態の界面活性剤は、(A)アルキルグルコシド、(B)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~12であるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、(C)脂肪酸が分岐構造であるデカグリセリン脂肪酸エステル、(D)ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、(E)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(F)ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、および、(G)アルキルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0019】
(A)アルキルグルコシドは特に限定されない。一例を挙げると、アルキルグルコシドは、ヤシ油アルキルグルコシド、ミリスチルグルコシド、セテアリルグルコシド、アラキルグルコシド、(C12-20)アルキルグルコシド等である。これらの中でも、アルキルグルコシドは、ヤシ油アルキルグルコシド、ミリスチルグルコシド、および、(C12-20)アルキルグルコシドであることが好ましく、ヤシ油アルキルグルコシドを含むことがより好ましい。これにより、噴霧用組成物は、炭酸ガスを使用しているにもかかわらず、噴霧音をより小さくすることができる。また、噴霧用組成物は、より柔らかな霧状に噴霧される。さらに、噴霧用組成物は、一部の炭酸ガスが溶解しているにもかかわらず、析出物をより発生しにくく、安定性が優れる。
【0020】
(B)エチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数が1~12であるポリオキシエチレン(POE)・ポリオキシプロピレン(POP)アルキルエーテルは特に限定されない。一例を挙げると、EOが1~12であるPOE・POPアルキルエーテルは、POE(1)POP(4)セチルエーテル、POE(10)POP(4)セチルエーテル、POE(12)POP(6)デシルテトラデシルエーテル等である。これらの中でも、EOが1~12であるPOE・POPアルキルエーテルは、POE(1)POP(4)セチルエーテル、POE(12)POP(6)デシルテトラデシルエーテルであることが好ましい。
【0021】
(C)脂肪酸が分岐構造であるデカグリセリン脂肪酸エステルは特に限定されない。一例を挙げると、脂肪酸が分岐構造であるデカグリセリン脂肪酸エステルは、モノイソステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル等である。これらの中でも、脂肪酸が分岐構造であるデカグリセリン脂肪酸エステルは、モノイソステアリン酸デカグリセリルであることが好ましい。
【0022】
(D)ヘキサグリセリン脂肪酸エステルは特に限定されない。一例を挙げると、(D)ヘキサグリセリン脂肪酸エステルは、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル等である。これらの中でも、ヘキサグリセリン脂肪酸エステルは、モノミリスチン酸ヘキサグリセリルであることが好ましい。
【0023】
(E)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは特に限定されない。一例を挙げると、(E)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン、トリステアリン酸POEソルビタン、トリイソステアリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン等である。これらの中でも、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、トリステアリン酸POEソルビタンであることが好ましい。
【0024】
(F)ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルは特に限定されない。一例を挙げると、(F)ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルは、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(3E.O.)、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(7E.O.)、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(9E.O.)、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(12E.O.)等である。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルは、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(5E.O.)であることが好ましい。
【0025】
(G)アルキルアンモニウム塩は特に限定されない。一例を挙げると、(G)アルキルアンモニウム塩は、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメイチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ベヘントリモニウムメトサルフェート、イソアルキル(C10~40)アミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート等である。これらの中でも、アルキルアンモニウム塩は、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ベヘントリモニウムメトサルフェート、イソアルキル(C10~40)アミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェートであることが好ましい。
【0026】
界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、原液中、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、原液は、半透明~白濁する。さらに、この原液に炭酸ガスが飽和溶解している噴霧用組成物でもミセルを形成することができ、半透明~白濁状態が維持されやすい。これにより、噴霧用組成物は、噴霧された際に噴霧音が小さくなり、かつ、柔らかな霧状に噴霧されやすい。さらに、噴霧用組成物は、析出が生じにくく、安定性が優れる。
【0027】
原液は、水および上記界面活性剤のほか、他の界面活性剤、アルコール、有効成分、水溶性高分子、油剤などを含んでもよい。
【0028】
他の界面活性剤は、噴霧状態に影響せず、安定性が低下しない範囲で、他の非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが含まれ得る。
【0029】
他の非イオン性界面活性剤は、たとえば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミド;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸POEセチルエーテル、イソステアリン酸POEラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどの脂肪酸が直鎖であるデカグリセリン脂肪酸エステル等である。
【0030】
陰イオン性界面活性剤は、たとえば、ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどのアルキルリン酸塩;POEラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;POEラウリルエーテル酢酸カリウム、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩などが挙げられる。また、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムなどのN-アシルグルタミン酸塩;N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN-アシルグリシン塩;N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミンなどのN-アシルアラニン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのアシルアラニン塩などのアミノ酸型界面活性剤等である。
【0031】
両性界面活性剤は、たとえば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの脂肪酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型;2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのアルキルイミダゾール型;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンなどのアミノ酸型;ラウリルジメチルアミンN-オキシド、オレイルジメチルアミンN-オキシドなどのアミンオキシド型等である。
【0032】
シリコーン系界面活性剤は、たとえば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等である。
【0033】
他の界面活性剤が含まれる場合、他の界面活性剤の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。また、他の界面活性剤の含有量は、原液中、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。他の界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、他の界面活性剤による効果が得られつつ、炭酸ガスによる析出が生じにくい。
【0034】
アルコールは、水に溶解しない有効成分を含有するための可溶化剤、塗布面での乾燥性を調整するなどの目的で用いられる。
【0035】
アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、アルコールは、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2~3個の1価アルコールや、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの2~4価の多価アルコール等である。
【0036】
アルコールが含まれる場合、アルコールの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、アルコールの含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。また、アルコールの含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。アルコールの含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、アルコールによる効果が得られつつ、原液が半透明~白濁となりやすい。また、噴霧用組成物は、炭酸ガスを含んでいるにもかかわらず、噴霧音が小さく、かつ、柔らかな霧状に噴霧されやすい。
【0037】
有効成分は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分は、ソルビトール、コラーゲン、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;l-メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノールなどの防腐剤、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤;ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;サッカリンナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどの口腔内用製剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;天然香料、合成香料などの各種香料等である。
【0038】
有効成分が含まれる場合、有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、有効成分による効果が得られやすい。また、噴霧用組成物は、炭酸ガスを含んでいるにもかかわらず、柔らかな霧状に噴霧されやすい。
【0039】
水溶性高分子は、原液の粘度を調整して、噴霧粒子の大きさや拡がりなどの噴霧状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0040】
水溶性高分子は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系多糖類;カラギーナン、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質;ゼラチン、デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等である。
【0041】
水溶性高分子が含まれる場合、水溶性高分子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。また、水溶性高分子の含有量は、原液中、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、水溶性高分子による効果が得られやすい。また、噴霧用組成物は、炭酸ガスを含んでいるにもかかわらず、柔らかな霧状に噴霧されやすい。
【0042】
油剤は、原液の懸濁状態を調整して噴霧状態を調整する、塗布面での滑りを良くする、櫛通りを良くする、保湿性を上げる、艶を出すなどの目的で用いられる。
【0043】
油剤は特に限定されない。一例を挙げると、油剤は、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィンなどの炭化水素油;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;イソステアリン酸などの液体脂肪酸;アボカド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂等である。
【0044】
油剤が含まれる場合、油剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油剤の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。また、油剤の含有量は、原液中、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。油剤の含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、油剤による効果が得られやすく、かつ、原液が分離しにくい。
【0045】
原液を調製する方法は特に限定されない。一例を挙げると、原液は、水に、界面活性剤および適宜の有効成分などを添加して混合し、界面活性剤によってミセルを形成させることにより、半透明~白濁状態にすることで調製することができる。
【0046】
(炭酸ガス)
炭酸ガスは、エアゾール容器内に所定量充填される。炭酸ガスは、一部が原液に溶解して飽和状態(圧力の平衡状態)になり、原液に溶解しなかった残りはエアゾール容器内の気相部を構成する。気相部の炭酸ガスは、原液を加圧し、噴霧用組成物を外部に噴霧するための噴射剤として作用する。
【0047】
炭酸ガスの充填量は特に限定されない。一例を挙げると、炭酸ガスの充填量は、エアゾール容器内の圧力が25℃において0.4~1MPaになるように充填することが好ましく、0.5~0.8MPaになるように充填することがより好ましい。圧力が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、残量が少なくなった場合であっても、霧状に噴霧されやすい。また、噴霧用組成物は、炭酸ガスが過剰に溶解することが防がれ、析出を生じにくい。さらに、噴霧用組成物は、噴霧音が大きくなりにくく、柔らかな霧状に噴霧されやすい。
【0048】
なお、本実施形態の噴霧用組成物は、炭酸ガスのほか、窒素ガス、圧縮空気、酸素ガス、亜酸化窒素ガスなどの他の圧縮ガスが混合されてもよい。
【0049】
噴霧用組成物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、噴霧用組成物は、原液を容器本体に充填し、容器本体にバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填し、炭酸ガスの一部を原液に飽和溶解させることにより調製することができる。噴霧用組成物は、炭酸ガスが原液に飽和溶解することでpHが酸性側に変化するが、本実施形態の特定の界面活性剤を用いることにより、ミセルの状態を維持することができる。これにより、噴霧用組成物は、柔らかな噴霧状態となり、析出物や沈殿物が生じない安定性が得られる。
【0050】
容器本体は、噴霧用組成物が充填される容器であり、有底筒状である。容器本体の開口部には、バルブが取り付けられる。
【0051】
容器本体の材質は特に限定されない。一例を挙げると、容器本体の材質は、アルミニウム、ブリキ等の金属、各種合成樹脂、耐圧ガラス等である。
【0052】
バルブは、容器本体の開口部を閉止して密封するための部材である。また、バルブは、容器本体の開口部に装着されるマウンティングカップに保持されるハウジングと、容器本体の内外を連通するステム孔が形成されたステムと、ステム孔の周囲に取り付けられ、ステム孔を閉止するためのステムラバーとを主に備える。ハウジングは、ステムと、ステムラバーと、ステムを上方に付勢するスプリングとを収容する。ステムの上端には、噴霧用組成物を噴霧するための噴射部材が取り付けられる。
【0053】
噴射部材は、バルブの開閉を操作して噴霧用組成物を噴射するための部材であり、ステムの上端に取り付けられる。噴射部材は、噴射孔が形成されたノズル部と、使用者が指等により操作する操作部とを主に備える。噴射孔からは、噴霧用組成物が噴射される。噴射孔の数および形状は特に限定されない。噴射孔は、複数であってもよい。また、噴射孔の形状は、略円形状、略角形状等であってもよい。
【0054】
本実施形態の噴霧用製品は、噴射部材が押し下げられると、バルブのステムが下方に押し下げられる。これにより、ステムラバーが下方に撓み、ステム孔が開放される。その結果、容器本体内と外部とが連通する。容器本体内と外部とが連通すると、容器本体内の圧力と外部との圧力差によって、噴霧用組成物がハウジング内に取り込まれ、次いで、ステム孔、ステム内通路を通過し、噴射部材に送られ、その後、噴射孔から噴射される。
【実施例0055】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0056】
(実施例1)
以下の表1に記載の処方(単位:質量%)に従って、原液1を調製した。原液1を透明なガラス製耐圧容器に60g充填し、耐圧容器にバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填し、炭酸ガスを原液に飽和溶解させて噴霧用組成物を調製した。25℃における平衡圧力は0.6MPaであった。
【0057】
【表1】
【0058】
(実施例2)
表1に記載の原液2を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0059】
(実施例3)
表1に記載の原液3を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0060】
(実施例4)
表1に記載の原液4を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0061】
(実施例5)
表1に記載の原液5を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0062】
(実施例6)
表1に記載の原液6を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0063】
(実施例7)
表1に記載の原液7を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0064】
(実施例8)
表1に記載の原液8を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0065】
(実施例9)
表1に記載の原液9を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0066】
(実施例10)
表1に記載の原液10を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0067】
(実施例11)
表1に記載の原液11を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0068】
(実施例12)
表1に記載の原液12を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0069】
(比較例1)
表1に記載の原液13を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0070】
実施例1~12および比較例1において調製した噴霧用組成物を用いて、以下の評価方法により、外観、噴霧音、噴霧の拡がり、噴霧の勢い、安定性を評価した。結果を表2に示す。
【0071】
1.噴霧用組成物の外観
噴霧用組成物を充填している耐圧容器を25℃の恒温水槽中に1時間浸漬し、噴霧用組成物の外観を目視で評価した。
(評価基準)
○:噴霧用組成物は、析出物や沈殿物がなかった。
△:噴霧用組成物は、わずかに析出物や沈殿物があった。
×:噴霧用組成物は、析出物や沈殿物があった。
【0072】
2.噴霧音
バルブに噴射ボタン(噴射孔φ0.3、メカニカルブレークアップ機構付き)を取り付け、噴霧用組成物を噴霧したときの噴霧音を評価した。
(評価基準)
○:噴霧音は、比較例1の噴霧用組成物よりも静かであった。
×:噴霧音は、比較例1の噴霧用組成物と同様に、大きかった。
【0073】
3.噴霧の拡がり
噴霧用組成物を噴霧したときの霧の拡がり(スプレーパターン)を評価した。
(評価基準)
○:スプレーパターンは、比較例1の噴霧用組成物よりも、広範囲に拡がった。
△:スプレーパターンは、比較例1の噴霧用組成物よりも、少し拡がった。
×:スプレーパターンは、比較例1の噴霧用組成物と同程度であった。
【0074】
4.噴霧の勢い
噴霧用組成物を噴霧したときの霧の勢いを評価した。
(評価基準)
○:霧の勢いは、比較例1の噴霧用組成物よりも、柔らかな霧状に噴霧された。
△:霧の勢いは、比較例1の噴霧用組成物より、少し柔らかな霧状に噴霧された。
×:霧の勢いは、比較例1の噴霧用組成物と同様に、勢いよく噴霧された。
【0075】
5.噴霧用組成物の安定性
噴霧用組成物を充填している耐圧容器を45℃の恒温室に1年間保管し、上記1~4の評価を行った。
【0076】
【表2】
【0077】
表2に示されるように、実施例1~12の噴霧用組成物は、炭酸ガスを使用しているにもかかわらず、析出物や沈殿物を生じず、噴霧音が小さく、柔らかな霧状に噴霧することができた。また、実施例1、2、5~8、12の噴霧用組成物は、1年後も同様の結果であり、安定性が優れていた。また、実施例3、4、9~11の噴霧用組成物は、調製直後と比べると、1年後は噴射の勢いや拡がりがやや変化したが、使用上問題なかった。一方、本発明の界面活性剤を含んでいない比較例1の噴霧用組成物は、調製直後も1年後も、噴霧音が大きく、勢いよく噴霧された。
【0078】
(比較例2)
表3に記載の原液14を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0079】
(比較例3)
表3に記載の原液15を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0080】
(比較例4)
表3に記載の原液16を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0081】
(比較例5)
表3に記載の原液17を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0082】
(比較例6)
表3に記載の原液18を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0083】
(比較例7)
表3に記載の原液19を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0084】
(比較例8)
表3に記載の原液20を用いた以外は、実施例1と同様に噴霧用組成物を調製した。
【0085】
【表3】
【0086】
比較例2~8において調製した噴霧用組成物を用いて、上記評価方法により、外観、噴霧音、噴霧の拡がり、噴霧の勢い、安定性を評価した。結果を表4に示す。
【0087】
【表4】
【0088】
表4に記載のとおり、エチレンオキサイドの平均付加モル数が本発明の範囲を超えるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルを用いた比較例2の噴霧用組成物は、噴霧音が大きく、柔らかな霧状に噴霧することができず、勢いも強かった。比較例3の噴霧用組成物は、安定性が劣り、析出物を生じた。脂肪酸が分岐構造ではないデカグリセリン脂肪酸エステルを用いた比較例4~5の噴霧用組成物は、安定性が劣り、析出物を生じたり、長期保存後に噴霧音が大きくなったり、柔らかな霧状に噴霧することができず、勢いよく噴霧された。脂肪酸が分岐構造ではないデカグリセリン脂肪酸エステルを用いた比較例6の噴霧用組成物は、安定性が劣った。ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを用いた比較例7の噴霧用組成物は、安定性が劣った。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを用いた比較例8の噴霧用組成物は、安定性が劣り、析出物が生じた。
【0089】
<製品例1(保湿化粧水用噴霧製品)>
(原液21)
ヤシ油アルキルグルコシド/ヤシアルコール(*1) 0.1
グリセリン(*20) 2.0
ヒアルロン酸(*21) 0.1
メチルパラベン(*22) 0.1
精製水 97.7
合計 100.0(質量%)
*20:化粧品用濃グリセリン(商品名)、花王(株)製
*21:ヒアロオリゴ(商品名)、キユーピー(株)製
*22:メッキンスM(商品名)、上野製薬(株)製
【0090】
上記原液21を調製した。原液21を透明なガラス製耐圧容器に60g充填し、耐圧容器にバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填し、炭酸ガスを原液に飽和溶解させて噴霧用組成物を調製した。25℃における平衡圧力は0.6MPaであった。
【0091】
<製品例2(清涼化粧水用噴霧製品)>
(原液22)
ヤシ油アルキルグルコシド/セテアリルアルコール(*2) 0.1
メントール(*23) 0.1
エタノール 2.0
メチルパラベン(*22) 0.1
精製水 97.7
合計 100.0(質量%)
*23:L-メントール(商品名)、鈴木薄荷(株)製
【0092】
上記原液22を調製した。原液22を透明なガラス製耐圧容器に60g充填し、耐圧容器にバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填し、炭酸ガスを原液に飽和溶解させて噴霧用組成物を調製した。25℃における平衡圧力は0.6MPaであった。
【0093】
<製品例3(収れん化粧水用噴霧製品)>
(原液23)
ミリスチルグルコシド/ミリスチルアルコール(*3) 0.05
クエン酸(*24) 0.1
パラフェノールスルホン酸亜鉛(*25) 0.2
ソルビトール(*26) 0.5
グリセリン(*20) 1.0
メチルパラベン(*22) 0.1
精製水 98.05
合計 100.0(質量%)
*24:精製クエン酸(結晶)M(商品名)、扶桑化学工業(株)製
*25:スルホ石炭亜鉛(商品名)、(株)マツモト交商製
*26:ソルビール花王(商品名)、花王(株)製
【0094】
上記原液23を調製した。原液23を透明なガラス製耐圧容器に60g充填し、耐圧容器にバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填し、炭酸ガスを原液に飽和溶解させて噴霧用組成物を調製した。25℃における平衡圧力は0.6MPaであった。
【0095】
<製品例4(洗口液用噴霧製品)>
(原液24)
(C12~20)アルキルグルコシド/(C14~22)アルコール(*4) 0.05
グリセリン(*20) 3.00
サッカリンナトリウム(*27) 0.15
エタノール 5.00
安息香酸ナトリウム(*28) 0.05
リン酸二水素ナトリウム(*29) 0.10
精製水 91.65
合計 100.00(質量%)
*27:Sodium Saccharine(商品名)、IMCD Benelux B.V.社製
*28:Sodium Benzoate(商品名)、IMCD Benelux B.V.社製
*29:リン酸二水素ナトリウム(商品名)、米山薬品工業(株)製
【0096】
上記原液24を調製した。原液24を透明なガラス製耐圧容器に60g充填し、耐圧容器にバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填し、炭酸ガスを原液に飽和溶解させて噴霧用組成物を調製した。25℃における平衡圧力は0.6MPaであった。
【0097】
【表5】