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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189420
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】液体センサ、液体センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G01N21/59 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097983
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】中津 彰
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健太郎
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB04
2G059EE01
2G059EE02
2G059FF07
2G059GG01
2G059GG02
2G059JJ13
2G059JJ17
2G059KK02
2G059LL01
2G059NN01
(57)【要約】
【課題】液体の状態をより高精度に検出可能である液体センサ、および、液体センサの製造方法を提供する。
【解決手段】液体センサは、発光素子と、光導波路と、発光素子が発した光を光導波路を介して受光する受光素子と、受光素子の出力を検出する検出回路と、を備える。光導波路は、ストレートに延びる第1柱部と、液体が位置する空間を介して第1柱部に対向する位置に設けられ、ストレートに延びる第2柱部と、を含む。第1柱部は、発光素子と対向する第1端面と、第1端面に対して傾いており、第2柱部に向けて光を反射させる第2端面と、を含む。第2柱部は、受光素子と対向する第3端面と、第3端面に対して傾いており、第2端面において反射した光を受光素子に向けて反射させる第4端面と、を含む。少なくとも第2端面および第4端面には、光導波路を構成する材料よりも反射率の高い材料によって構成される反射部が形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の状態を検出する液体センサであって、
発光素子と、
光導波路と、
前記発光素子が発した光を前記光導波路を介して受光する受光素子と、
前記受光素子の出力を検出する検出回路と、を備え、
前記光導波路は、
ストレートに延びる第1柱部と、
前記液体が位置する空間を介して前記第1柱部に対向する位置に設けられ、ストレートに延びる第2柱部と、を含み、
前記第1柱部は、前記発光素子と対向する第1端面と、前記第1端面に対して傾いており、前記第2柱部に向けて前記光を反射させる第2端面と、を含み、
前記第2柱部は、前記受光素子と対向する第3端面と、前記第3端面に対して傾いており、前記第2端面において反射した前記光を前記受光素子に向けて反射させる第4端面と、を含み、
少なくとも前記第2端面および前記第4端面には、前記光導波路を構成する材料よりも反射率の高い材料によって構成される反射部が形成される
液体センサ。
【請求項2】
前記反射部は、前記第1柱部のうちの前記第2端面、および、前記1端面と前記第2端面との間の表面に形成される
請求項1記載の液体センサ。
【請求項3】
前記反射部は、前記第2柱部のうちの前記第4端面、および、前記第3端面と前記第4端面との間の表面に形成される
請求項1または2に記載の液体センサ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の液体センサを製造する液体センサの製造方法であって、
前記光導波路の中間体、または、前記光導波路を製造する第1ステップと、
前記第1ステップの後に実施され、前記光導波路の中間体、または、前記光導波路に前記反射部を形成する第2ステップと、を含む
液体センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体センサ、および、液体センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、液体センサの一例を開示している。この液体センサでは、発光素子が発した光が液体内を透過し、反射面で反射される。反射面で反射された光は、液体内を透過して受光素子で検出される。この液体センサでは、受光素子の検出結果に基づいて、液体の汚れが判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-273121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記液体センサでは、発光素子が発した光のうち反射面で反射された光の一部が、受光素子に向けて反射されず、受光素子によって検出されないおそれがある。このため、液体の状態をより高精度に検出する点において、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明は、液体の状態をより高精度に検出可能である液体センサ、および、液体センサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る液体センサは、液体の状態を検出する液体センサであって、発光素子と、光導波路と、前記発光素子が発した光を前記光導波路を介して受光する受光素子と、前記受光素子の出力を検出する検出回路と、を備え、前記光導波路は、ストレートに延びる第1柱部と、前記液体が位置する空間を介して前記第1柱部に対向する位置に設けられ、ストレートに延びる第2柱部と、を含み、前記第1柱部は、前記発光素子と対向する第1端面と、前記第1端面に対して傾いており、前記第2柱部に向けて前記光を反射させる第2端面と、を含み、前記第2柱部は、前記受光素子と対向する第3端面と、前記第3端面に対して傾いており、前記第2端面において反射した前記光を前記受光素子に向けて反射させる第4端面と、を含み、少なくとも前記第2端面および前記第4端面には、前記光導波路を構成する材料よりも反射率の高い材料によって構成される反射部が形成される。
【0007】
上記液体センサによれば、光導波路が第1柱部と第2柱部とによって構成されている。第1柱部および第2柱部の各々は直線状であり屈曲構造を有していないため、第1柱部および第2柱部の各々の内部を透過する光の漏れは、光が透過する部分が屈曲構造を有している場合と比較して抑制される。光導波路外への光の漏れが比較的抑制されるため、液体の状態をより高精度に検出できる。
【0008】
本発明の第2観点に係る液体センサは、第1観点に係る液体センサであって、前記反射部は、前記第1柱部のうちの前記第2端面、および、前記1端面と前記第2端面との間の表面に形成される。
【0009】
上記液体センサによれば、第1柱部の広い範囲に反射部が形成されるため、第1柱部内を透過する光が漏れることがより抑制される。
【0010】
本発明の第3観点に係る液体センサは、第1観点または第2観点に係る液体センサであって、前記反射部は、前記第2柱部のうちの前記第4端面、および、前記第3端面と前記第4端面との間の表面に形成される。
【0011】
上記液体センサによれば、第2柱部の広い範囲に反射部が形成されるため、第2柱部内を透過する光が漏れることがより抑制される。
【0012】
本発明の第4観点に係る液体センサの製造方法は、請求項1~3のいずれか1つに記載の液体センサを製造する液体センサの製造方法であって、前記光導波路の中間体、または、前記光導波路を製造する第1ステップと、前記第1ステップの後に実施され、前記光導波路の中間体、または、前記光導波路に前記反射部を形成する第2ステップと、を含む。
【0013】
上記液体センサの製造方法によれば、第1観点~第3観点のいずれか1つに係る液体センサと同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に関する液体センサ、および、液体センサの製造方法によって製造される液体センサによれば、液体の状態をより高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の液体センサを模式的に示す図。
図2図1の液質検出ユニットの構成を模式的に示す図。
図3図2の光導波路の先端を模式的に示す図。
図4図2のD4-D4線に沿う断面図。
図5】光導波路内を透過する光の経路の一例を示す図。
図6】液体センサにおける液質の検出手順の一例を示すフローチャート。
図7】液質検出ユニットの製造方法の一例を示すフローチャート。
図8】液質ユニットの製造方法の第1ステップに関する図。
図9】液質ユニットの製造方法の第3ステップに関する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
<1.液体センサの全体構成>
図1は、実施形態の液体センサ10の構成を模式的に示す図である。液体センサ10は、液体の液質を光学的に検出するように構成される。液体は、例えば、燃料(オイル)である。本実施形態の液体センサ10は、例えば、車両等のオイルタンク内に取り付けられ、燃料(オイル)の液質を光学的に検出する。液体センサ10は、少なくとも一部分が燃料中に浸漬された状態で、燃料の液質を検出する。
【0018】
図1に示されるように、液体センサ10は、液体センサ本体20と、検出回路30と、ケーブル40とを含む。液体センサ本体20においては、筒状のプラグ50内に液質検出ユニット60が収容されている。液質検出ユニット60においては、燃料に向けて光が発せられ、燃料を透過した光が受光される。液体センサ10においては、燃料を透過した光の量に基づいて、燃料の液質が検出される。以下、液質検出ユニット60について詳細に説明する。
【0019】
<2.液質検出ユニットの構成>
図2は、液質検出ユニット60の構成を模式的に示す図である。液質検出ユニット60は、光導波路70、発光素子81、受光素子82、変換基板90、および、収容筐体100を含む。なお、図2では、収容筐体100の内部を破線で示している。
【0020】
光導波路70は、光が透過する材料で構成される。光導波路70は、例えば、ポリカーボネート等の透明な樹脂で構成される。光導波路70は、第1柱部71、第2柱部72、および、接続部73を含む。
【0021】
第1柱部71および第2柱部72の各々の形状は、ストレートに延びる角柱状である。第1柱部71の長手方向に延びる側面と、第2柱部72の長手方向に延びる側面とは、互いに対向している。第1柱部71と第2柱部72との間には、空間W1が形成されている。接続部73は、第1柱部71と第2柱部72との間で延びる板状部である。第1柱部71と第2柱部72とは、接続部73によって接続されている。第1柱部71と第2柱部72とが接続部73によって接続されているため、第1柱部71と第2柱部72との相対的な位置関係がずれにくい。
【0022】
第1柱部71の長手方向の一方の端部には、第1端面S1が形成されている。第1端面S1は、発光素子81と対向している。第1柱部71の長手方向の他方の端部には、第2端面S2が形成されている。第1柱部71の長手方向の端部には、第2端面S2において、第2柱部72に向かって反射する光が透過する先端透過部71Xが形成されている。
【0023】
第2柱部72の長手方向の一方の端部には、第3端面S3が形成されている。第3端面S3は、受光素子82と対向している。第2柱部72の長手方向の他方の端部には、第4端面S4が形成されている。第2柱部72の長手方向の端部には、空間W1に存在する燃料中を透過し、第2柱部72に進入する光が透過する先端透過部72Xが形成されている。先端透過部72Xは、空間W1を介して先端透過部71Xと対向する。
【0024】
図3は、光導波路70の先端部を模式的に示す図である。面S5は第1柱部71の第1端面S1(図2参照)と平行な仮想的な面であり、面S6は第2柱部72の第3端面S3(図2参照)と平行な仮想的な面である。第2端面S2は、面S5に対して角度θA傾いている。すなわち、第2端面S2は、第1端面S1に対して角度θA傾いている。また、第4端面S4は、面S6に対して角度θB傾いている。すなわち、第4端面S4は、第3端面S3に対して角度θB傾いている。角度θA、θBの各々は、例えば、略45°である。
【0025】
図4は、図2のD4-D4線に沿う断面図である。光導波路70の表面には、光導波路70内を透過する光が漏れることを抑制するために、反射部74が形成される。図2および図5におけるドットが付された範囲は、本実施形態において、光導波路70のうちの反射部74が形成されている領域を示している。反射部74は、光導波路70を構成する材料よりも反射率の高い材料によって構成される。反射部74を構成する材料は、例えば、アルミニウム等の金属粉を含む塗料、または、ミラーインキである。反射部74を構成する材料は、アルミニウム、銅、または、ステンレス等の単体の金属であってもよい。反射部74を構成する材料が、例えば、アルミニウム等の金属粉を含む塗料、または、ミラーインキである場合、反射部74は、光導波路70の表面に塗布される。反射部74を構成する材料が、単体の金属である場合、反射部74は、光導波路70の表面に接着剤等によって接合される。なお、反射部74を構成する材料によっては、光導波路70の表面に蒸着またはメッキ加工することによって反射部74を形成してもよい。
【0026】
光導波路70において、反射部74は、少なくとも第2端面S2および第4端面S4に形成され、かつ、先端透過部71X、72Xに形成されていなければよい。光導波路70内を透過する光が漏れることを抑制する観点から、反射部74は、第2端面S2、第4端面S4に加えて、第1柱部71のうちの第1端面S1と第2端面S2との間、および、第2柱部72のうちの第3端面S3と第4端面S4との間に形成されることが好ましい。本実施形態では、反射部74は、先端透過部71X、72Xを除いて、光導波路70のうちの収容筐体100から露出している部分の表面の全体に形成される。
【0027】
図2に示される発光素子81は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、または、半導体レーザである。本実施形態では、発光素子81は、本体部81X、および、本体部81Xから張り出した鍔部81Yを有する砲弾型LEDである。発光素子81は、検出回路30(図1参照)からの指示に従って発光するように構成される。発光素子81のアノード81Aおよびカソード81Bは、変換基板90と電気的に接続される。検出回路30は、例えば、一定の電圧を発光素子81に与えることで、一定の発光量で発光素子81を発光させる。検出回路30は、必要なタイミングで発光素子81を発光させる。
【0028】
受光素子82は、例えば、フォトトランジスタ、フォトダイオード、または、光導電セルである。本実施形態では、受光素子82は、本体部82X、および、本体部82Xから張り出した鍔部82Yを有する砲弾型フォトトランジスタである。受光素子82は、発光素子81が発した光を光導波路70、および、空間W1を介して受光する。受光素子82のアノード82Aおよびカソード82Bは、変換基板90と電気的に接続される。
【0029】
変換基板90は、受光素子82の出力を電圧に変換するように構成される。変換基板90においては、受光素子82における受光量に応じた電圧が出力される。変換基板90の出力線、および、発光素子81への入力線の各々は、ケーブル40(図1参照)を介して検出回路30に電気的に接続される。
【0030】
図2に示される収容筐体100は、インサート成形によって、光導波路70と一体的に形成される。収容筐体100は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂によって構成される。収容筐体100の形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、収容筐体100は、直方体に類似する形状である。
【0031】
収容筐体100は、収容凹部110および挿入部120を有する。収容凹部110は、発光素子81を収容する第1収容凹部111、および、受光素子82を収容する第2収容凹部112を有する。挿入部120は、第1挿入部121、第2挿入部122、および、第3挿入部123を有する。第1挿入部121は、第1柱部71のうちの一部が挿入される。第2挿入部122は、第2柱部72のうちの一部が挿入される。第3挿入部123は、接続部73の一部が挿入される。収容筐体100内においては、第1収容凹部111および第1挿入部121を含む領域と、第2収容凹部112および第2挿入部122を含む領域とが、区画壁113によって区画される。第3挿入部123は、区画壁113を跨ぐように位置する。
【0032】
第1収容凹部111は、第1部分111Aおよび第2部分111Bに区分される。第1部分111Aの内郭形状は、例えば、円筒形状であり、発光素子81の本体部81Xを収容する。第1部分111Aの幅LAは、任意に選択可能である。第1収容凹部111に収容される発光素子81の位置ずれを抑制する観点から、幅LAは、本体部81Xの幅LBと実質的に等しい、または、本体部81Xの幅LBよりも若干広い程度の幅であることが好ましい。第1部分111Aの下面には、開口111AXが形成される。第1部分111Aと第1挿入部121とは、開口111AXを介して連通する。
【0033】
第2部分111Bは、第1部分111Aと繋がる。第2部分111Bの内郭形状は、例えば、円筒形状である。第2部分111Bの幅LCは、第1部分111Aの幅LAよりも広い。このため、第2部分111Bと第1部分111Aとの境界には、段差111Cが形成される。段差111Cは、発光素子81の鍔部81Yを支持する。
【0034】
第2収容凹部112は、第1収容凹部111と同様の形状である。第2収容凹部112は、第1部分112Aおよび第2部分112Bに区分される。第1部分112Aの内郭形状は、例えば、円筒形状であり、受光素子82の本体部82Xを収容する。第1部分112Aの幅LDは、任意に選択可能である。第2収容凹部112に収容される受光素子82の位置ずれを抑制する観点から、幅LDは、本体部82Xの幅LEと実質的に等しい、または、本体部82Xの幅LEよりも若干広い程度の幅であることが好ましい。第1部分112Aの下面には、開口112AXが形成される。第1部分112Aと第2挿入部122とは、開口112AXを介して連通する。
【0035】
第2部分112Bは、第1部分112Aと繋がる。第2部分112Bの内郭形状は、例えば、円筒形状である。第2部分112Bの幅LFは、第1部分112Aの幅LDよりも広い。このため、第2部分112Bと第1部分112Aとの境界には、段差112Cが形成される。段差112Cは、受光素子82の鍔部82Yを支持する。
【0036】
第1挿入部121は、第1柱部71のうちの第1端面S1を含む所定部分71Aが挿入される。第1挿入部121の内郭形状は、所定部分71Aの外郭形状と同じである。第2挿入部122は、第2柱部72のうちの第3端面S3を含む所定部分72Aが挿入される。第2挿入部122の内郭形状は、所定部分72Aの外郭形状と同じである。第3挿入部123の内郭形状は、接続部73のうちの収容筐体100内に位置する部分と同様の形状である。上述したように、光導波路70と収容筐体100とは、インサート成形によって一体的に形成される。このため、所定部分71A、所定部分72A、および、接続部73のうちの収容筐体100内に位置する部分の周囲は、収容筐体100を構成する樹脂によって覆われている。
【0037】
図5は、光導波路70内を透過する光の経路の一例を説明するための図である。液体センサ10の使用時に、液質検出ユニット60は、燃料中に浸漬される。液質検出ユニット60が燃料中に浸漬された状態では、空間W1に燃料が存在する。
【0038】
発光素子81によって発された光は、例えば、第1端面S1に垂直に進入する。第1端面S1に進入した光は、第1柱部71内を透過し、第2端面S2において、第2柱部72に向かって反射する。第2端面S2において反射した光は、先端透過部71X、空間W1に存在する燃料中、および、先端透過部72Xを透過し、第2柱部72に進入する。第2柱部72に進入した光は、第4端面S4において反射する。第4端面S4において反射した光は、第2柱部72内を透過し、第3端面S3に進入し、受光素子82によって受光される。
【0039】
空間W1に存在する燃料の液質が良い、換言すれば、透明度が高い場合には、受光素子82によって受光される光の強度が強い。一方、空間W1に存在する燃料の液質が悪い、換言すれば、透明度が低い場合には、受光素子82によって受光される光の強度が弱い。検出回路30は、受光素子82による受光量と燃料の液質との関係を予め記憶しており、受光素子82による受光量に基づいて燃料の液質を検出する。
【0040】
<3.検出動作>
図6は、液体センサ10における液質の検出手順の一例を示すフローチャートである。ステップS11では、検出回路30は、発光素子81を発光させる。ステップS12では、受光素子82は、光導波路70、および、空間W1を透過した光を受光する。ステップS13では、変換基板90は、受光量に応じた電圧を検出回路30に出力する。ステップS14では、検出回路30は、受光量に応じた電圧に基づいて燃料の液質を検出する。
【0041】
<4.製造方法>
図7は、液体センサ10のうちの液質検出ユニット60の製造方法の一例を示すフローチャートである。液質検出ユニット60の製造方法は、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、および、第4ステップを含む。
【0042】
第1ステップ、すなわち、ステップS21では、図8に示されるように、先端透過部71X、72Xに対応する位置から突出する突起75を有する光導波路70の中間体200が射出成形される。
【0043】
第2ステップ、すなわち、ステップS22は、第1ステップの後に実施される。第2ステップでは、金型にインサートされた光導波路70の中間体200に対して収容筐体100が射出成形される。その後、収容凹部110に発光素子81および受光素子82が配置される。
【0044】
第3ステップ、すなわち、ステップS23は、第2ステップの後に実施される。第3ステップでは、図9に示されるように、光導波路70の中間体200のうち、収容筐体100から露出する部分の全体に反射部74が形成される。
【0045】
第4ステップ、すなわち、ステップS24は、第3ステップの後に実施される。第4ステップでは、反射部74が形成された中間体200の突起75が切断される。第4ステップが完了することによって、反射部74が形成されていない先端透過部71X、72Xが露出し、光導波路70が完成する。
【0046】
<5.液体センサの効果>
液体センサ10によれば、以下の効果が得られる。
【0047】
<5-1>
液体センサ10では、第1柱部71および第2柱部72の各々は、ストレートに延びており、屈曲構造を有していない。したがって、第1柱部71および第2柱部72の各々の内部を透過する光の漏れは、例えば、各柱部が屈曲構造を有している場合と比較して抑制される。このため、液体センサ10によれば、光導波路70外への光の漏れが比較的抑制されるため、液質等の液体の状態をより高精度に検出することができる。
【0048】
<5-2>
光導波路70の第2端面S2および第4端面S4に反射部74が形成されているため、光導波路70を透過する光が漏れることが抑制される。
【0049】
<5-3>
反射部74は、第1柱部71のうちの第2端面S2、および、第1端面S1と第2端面S2との間の表面に形成される。第1柱部71の広い範囲に反射部74が形成されるため、第1柱部71内を透過する光が漏れることがより抑制される。
【0050】
<5-4>
反射部74は、第2柱部72のうちの第4端面S4、および、第3端面S3と第4端面S4との間の表面に形成される。第2柱部72の広い範囲に反射部74が形成されるため、第2柱部72内を透過する光が漏れることがより抑制される。
【0051】
<5-5>
本実施形態の液体センサ10によれば、光導波路70の表面に反射部74が形成されているため、光導波路70内における光が透過可能である領域を十分に確保できる。このため、発光素子81が位置ずれしていた場合であっても、光透過量の低下、および、ダイナミックレンジの低下を抑制できる。
【0052】
<5-6>
光導波路70のうちの第1端面S1を含む所定部分71A、および、第3端面S3を含む所定部分72Aが収容筐体100に挿入されているため、収容筐体100に対する光導波路70の位置が安定する。
【0053】
<5-7>
発光素子81の鍔部81Yが段差111Cによって支持されるため、第1収容凹部111における発光素子81の位置が安定する。
【0054】
<5-8>
受光素子82の鍔部82Yが段差112Cによって支持されるため、第2収容凹部112における受光素子82の位置が安定する。
【0055】
<5-9>
第1収容凹部111と第2収容凹部112とが区画壁113によって区画されているため、発光素子81が発した光が第2収容凹部112に漏れることが抑制される。
【0056】
<5-10>
例えば、光導波路70と収容筐体100とを別体で形成して接合する場合、第1柱部71および第2柱部72の外郭よりも第1挿入部121および第2挿入部122の内郭を大きく形成する必要がある。このため、光導波路70および収容筐体100の一方に対する他方の位置ずれが生じるおそれがある。一方、本実施形態では、光導波路70と収容筐体100とが、インサート成形によって一体的に形成されているため、光導波路70と収容筐体100との接合強度が高い。このため、光導波路70および収容筐体100の一方に対する他方の位置ずれが生じにくい。
【0057】
<6.変形例>
上記実施形態は本発明に関する液体センサ、および、液体センサの製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する液体センサ、および、液体センサの製造方法は、実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の幾つかの例を示す。
【0058】
<6-1>
上記実施形態では、液質検出ユニット60は、収容筐体100を備えていたが、液質検出ユニット60から収容筐体100を省略できる。この変形例では、例えば、発光素子81および受光素子82が変換基板90上に実装され、発光素子81と第1端面S1とが対向するように、かつ、受光素子82と第3端面S3とが対向するように、光導波路70が配置される。
【0059】
<6-2>
上記実施形態において、液質検出ユニット60の製造方法は、任意に変更可能である。例えば、第1ステップにおいて、光導波路70を製造し、第3ステップにおいて、光導波路70の先端透過部71X、72Xをマスキングすることによって、反射部74を形成してもよい。また、第2ステップの前に第3ステップを実施してもよい。この場合、中間体200のうちの収容筐体100から露出する部分に反射部74を形成してもよく、中間体200の全体に反射部74を形成してもよい。
【0060】
<6-3>
上記実施形態では、収容凹部110は、区画壁113によって、第1収容凹部111と第2収容凹部112とに区画されていたが、収容凹部110の形状はこれに限定されない。例えば、収容凹部110は、発光素子81および受光素子82を収容する1つの凹部であってもよい。
【0061】
<6-4>
上記実施形態では、接続部73の一部が、収容筐体100内に位置していたが、接続部73の全体が、収容筐体100内または収容筐体100外に位置してもよい。
【0062】
<6-5>
上記実施形態では、第1柱部71と第2柱部72とが接続部73によって接続されていた。しかし、第1柱部71と第2柱部72とは、必ずしも接続部73によって接続されていなくてもよい。第1柱部71と第2柱部72とは、それぞれ独立した部材であってもよい。
【0063】
<6-6>
上記実施形態において、第2端面S2は、第1端面S1に対して角度θA傾いており、第4端面S4は、第3端面S3に対して角度θB傾いていた。そして、角度θA、θBの各々は、略45°であった。しかし、角度θA、θBの各々は、必ずしも略45°である必要はない。第2端面S2が第2柱部72に光を反射させ、第4端面S4が第2端面S2で反射した光を受光素子82に向けて反射させるという関係が成り立つ限り、角度θA、θBの各々はどのような角度であってもよい。
【0064】
<6-7>
上記実施形態において、例えば、第1柱部71と第2柱部72との間に板状の液位センサが配置されてもよい。例えば、この液位センサにおいては、孔が形成されており、孔において対向する位置に2つの電極が形成されている。例えば、この2つの電極間に電圧を印加することによって検出される静電容量の変化に基づいて、燃料の残量が検出される。
【0065】
<6-8>
上記実施形態においては、液体センサ10等がオイルタンク内に取り付けられ、燃料の液質が検出された。しかし、液体センサ10等が検出する液質は、燃料の液質に限られない。液体センサ10等は、例えば、動作時に振動をともなうタンク内に取り付けられ、水、各種水溶液(例えば、酸性水溶液、アルカリ性水溶液)、アルコール類、溶剤類、オイル(例えば、振動が発生する機器の作動オイルまたは潤滑オイル)等の液質を検出してもよい。すなわち、液体センサ10等は、少なくとも一部分が液体中に浸漬された状態で、液体の液質を検出すればよい。
【0066】
<6-9>
上記実施形態においては、第1柱部71および第2柱部72の各々の形状は、ストレートに延びる角柱状であった。しかしながら、第1柱部71および第2柱部72の各々の形状は、必ずしもそのような形状でなくてもよい。第1柱部71および第2柱部72の各々の形状は、例えば、ストレートに延びる円柱状であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 :液体センサ
30 :検出回路
70 :光導波路
71 :第1柱部
72 :第2柱部
74 :反射部
81 :発光素子
82 :受光素子
200 :中間体
S1 :第1端面
S2 :第2端面
S3 :第3端面
S4 :第4端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9