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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189437
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】位置調整用のねじ組立体
(51)【国際特許分類】
   F16B 35/00 20060101AFI20221215BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20221215BHJP
   F16B 23/00 20060101ALI20221215BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F16B35/00 Q
F16B43/00 Z
F16B23/00 D
E04G21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098011
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】596118530
【氏名又は名称】テクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩和
(72)【発明者】
【氏名】豊田 大輝
【テーマコード(参考)】
2E174
3J034
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174DA12
2E174DA33
2E174DA58
2E174DA63
3J034AA20
3J034BC10
(57)【要約】
【課題】電動工具による回転力の付与が可能でありまた電動工具の操作者による回転反力の負担を不要とする位置調整用のねじ組立体を提供すること。
【解決手段】位置調整用のねじ組立体10は、ねじ部材12と、筒型部材14とを備える。ねじ部材は一の直線L上を伸びる第1の軸部16及び第2の軸部18を有する。第1の軸部はねじ山が設けられた周面を有する。他方、第2の軸部は、その横断面で見て、一の直線の周りの円に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形又は前記円に外接する正多角形を呈する周面を有する。また、筒型部材はねじ部材の第1の軸部が通される貫通孔20を規定する内周面と、筒型部材の横断面で見て、貫通孔の軸線の周りの円に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形又は前記円に外接する正多角形を呈する外周面とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置調整用のねじ組立体であって、
ねじ部材と、
筒型部材とを備え、
前記ねじ部材は一の直線上を伸びる第1の軸部及び第2の軸部からなり、前記第1の軸部がねじ山が設けられた周面を有し、前記第2の軸部がその横断面で見て前記一の直線の周りの円に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形又は前記円に外接する正多角形を呈する周面を有し、
前記筒型部材は前記ねじ部材の第1の軸部が通される貫通孔を規定する内周面と、外周面とを有し、前記外周面がその横断面で見て前記一の直線上の点を中心とする円に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形又は前記円に外接する正多角形を呈する、ねじ組立体。
【請求項2】
位置調整用のねじ組立体と、構造物の上に設置される重量物の鉛直方向位置又は水平方向位置を調整するために使用される、ねじ溝を有する治具であって前記構造物を反力支持体として前記重量物に鉛直方向力又は水平方向力を及ぼす治具との組み合わせであって、
前記ねじ組立体は、ねじ部材と、筒型部材とを備え、
前記ねじ部材は一の直線上を伸びる第1の軸部及び第2の軸部からなり、前記第1の軸部がねじ山が設けられた周面を有し、前記第2の軸部がその横断面で見て前記一の直線上の点を中心とする円に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形又は前記円に外接する正多角形を呈する周面を有し、
前記筒型部材は前記ねじ部材の第1の軸部が通される貫通孔を規定する内周面と、外周面とを有し、前記外周面がその横断面で見て前記一の直線上の点を中心とする円に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形又は前記円に外接する正多角形を呈し、
前記ねじ組立体は、その筒型部材において、該筒型部材の貫通孔が前記治具のねじ溝に連通するように前記治具に固定され、また、前記ねじ部材はその第1の軸部において前記筒型部材の貫通孔に通され、さらに前記治具のねじ溝に螺合されている、位置調整用のねじ組立体及び治具の組み合わせ。
【請求項3】
前記構造物及び前記重量物は、それぞれ、鉛直に建てられた既設の鉄骨柱及び該既設の鉄骨柱上に継ぎ足される新設の鉄骨柱からなる、請求項2に記載の位置調整用のねじ組立体及び治具の組み合わせ。
【請求項4】
前記構造物及び前記重量物は、それぞれ、コンクリート床版及び該コンクリート床版上に設置される機械からなる、請求項2に記載の位置調整用のねじ組立体及び治具の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置調整用のねじ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉛直に建てられた既設の鉄骨柱(構造物)及び該既設の鉄骨柱上に継ぎ足される新設の鉄骨柱(重量物)の鉛直方向位置を調整するために治具とボルトとが用いられている。ボルトは治具に螺合され、治具はボルトに回転力を与えることによって生じるボルトの推力を受けて、新設の鉄骨柱に鉛直方向力を及ぼし、その結果、新設の鉄骨の一部が上方位置へ変位する。ボルトは、電動工具を使用することにより回転力を付与され、電動工具の操作者が回転反力を負担する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-121438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電動工具による回転力の付与が可能でありまた電動工具の操作者による回転反力の負担を不要とする位置調整用のねじ組立体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る位置調整用のねじ組立体は、ねじ部材と、筒型部材とを備える。前記ねじ部材は一の直線上を伸びる第1の軸部及び第2の軸部を有する。前記第1の軸部はねじ山が設けられた周面を有する。前記第2の軸部は、その横断面で見て、前記一の直線上の点を中心とする円に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形又は前記円に外接する正多角形を呈する周面を有する。また、前記筒型部材は前記ねじ部材の第1の軸部が通される貫通孔を規定する内周面と、前記筒型部材の横断面で見て、前記一の直線上の点を中心とする円に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形又は前記円に外接する正多角形を呈する外周面とを有する。
【0006】
前記位置調整用のねじ組立体は、例えば構造物の上に設置される重量物の鉛直方向位置又は水平方向位置の調整に使用される、ねじ溝を有する治具に取り付けられ、前記重量物の位置調整の用に供される。前記治具は、前記構造物を反力支持体として前記重量物に鉛直方向力又は水平方向力を及ぼす働きをなす。
【0007】
前記ねじ組立体の使用に当たり、前記筒型部材がその貫通孔と前記治具のねじ溝ととが互いに連通するように、前記治具に固定される。また、前記ねじ部材がその第1の軸部において前記筒型部材の貫通孔に通され、さらに前記治具のねじ溝にねじ込まれる。前記ねじ部材は、その第2の軸部において、回転力を付与され、これにより、前記第1の軸部が前記治具のねじ溝を推し進められ、前記治具に対して推力を及ぼす。その結果、前記重量物が前記治具からの鉛直方向力又は水平方向力を受けて前記重量物がその一部において上方位置へ変位し又は前記重量物全体が水平方向位置へ変位する。
【0008】
前記ねじ組立体のねじ部材に対する回転力の付与は、前記第2の軸部の周面と、前記筒型部材の外周面とにそれぞれ嵌合可能である、互いに反対方向へ駆動回転されるインナーソケット及びアウターソケットを有する電動工具を用いて行うことができる。ここにおいて、前記電動工具のインナーソケットに嵌合された前記第2の軸部は一方向への回転力を受ける。他方、前記電動工具のアウターソケットに嵌合された前記筒型部材は反対方向へ回転力を受ける。しかし、前記筒型部材は前記治具に固定されている。このため、前記筒型部材は非回転状態におかれ、前記一方向への回転に対する回転反力支持体として機能する。これにより、前記電動工具の操作者は前記回転反力を負担することなく、前記ねじ部材の回転操作を行うことができる。
【0009】
前記ねじ組立体と前記治具とは、これらを組み合わせてなるものとすることができる。ここにおいて、前記ねじ組立体は、その筒型部材において、該筒型部材の貫通孔が前記治具のねじ溝に連通するように前記治具に固定され、また、前記ねじ部材がその第1の軸部において前記筒型部材の貫通孔に通され、さらに前記治具のねじ溝に螺合されている。
【0010】
前記構造物及び前記重量物は、それぞれ、例えば鉛直に建てられた既設の鉄骨柱及び該既設の鉄骨柱上に継ぎ足される新設の鉄骨柱からなり、あるいは、例えばコンクリート床版及び該コンクリート床版上に設置される機械からなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】位置調整用のねじ組立体の正面図である。
図2図1の線2-2に沿って得た横断面図である。
図3図1の線3-3に沿って得た横断面図である。
図4】鉛直に建てられた既設の鉄骨柱上に継ぎ足される新設の柱部材の鉛直方向位置を調整するため用いられる治具と、該治具に取り付けられる位置調整用のねじ組立体との正面図である。
図5図4に示す治具とねじ組立体との側面図である。
図6】鉛直に建てられた既設の鉄骨柱上に継ぎ足される新設の柱部材の水平方向位置を調整するため用いられる治具と、該治具に取り付けられる位置調整用のねじ組立体との正面図である。
図7図6に示す治具とねじ組立体との側面図である。
図8】コンクリート床版上に設置される機械の鉛直方向位置を調整するために用いられる治具と、該治具に取り付けられる位置調整用のねじ組立体との正面図である。
図9図8に示す治具とねじ組立体との平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、本発明に係る位置調整用のねじ組立体が全体に符号10で示されている。ねじ組立体10は、ねじ部材12と、筒型部材14とを備える。
【0013】
ねじ部材12は一の直線L上を伸びる第1の軸部16及び第2の軸部18からなる。第1の軸部16は螺旋状に伸びるねじ山が設けられた周面16aと、丸先の先端面16bとを有する。他方、第2の軸部18は円周方向にジグザグに伸びる周面18a、より詳細には、第2の軸部18の横断面で見て、一の直線L上の点を中心とする円(図示せず)に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形の周面18aを有する(図2参照)。周面18aは、前記ジグザグ形に代えて、前記円に外接する正多角形、例えば正六角形を呈するものとすることができる(図6、7及び図8、9参照)。ねじ部材12は、その第2の軸部18に回転力を付与することにより、一の直線Lの周りに回転させることができる。
【0014】
また、筒型部材14は、ねじ部材12の第1の軸部16が通される貫通孔20を規定する内周面14aと、外周面14bとを有する(図3参照)。貫通孔20(内周面14a)は、ねじ部材12の第1の軸部16の外径よりわずかに大きい直径を有する。外周面14bは、ねじ部材12の第2の軸部18の周面18aと同様の横断面形状を有する。すなわち、外周面14bは、その横断面で見て、一の直線L上の点を中心とする円に沿ってジグザクに伸びるジグザグ形を呈する。外周面14bは、ねじ部材12の第2の軸部18の周面18aにおけると同様、前記円に外接する正多角形、例えば正六角形を呈するものとすることができる(図6、7及び図8、9参照)。
【0015】
位置調整用のねじ組立体10は、構造物の上に設置される重量物の鉛直方向位置又は水平方向位置の調整に用いることができる。例えば、鉛直に建てられた既設の鉄骨柱(構造物)22及び該既設の鉄骨柱上に継ぎ足される新設の鉄骨柱(重量物)24の既設の鉄骨柱22に対する鉛直方向位置の調整(図4、5)あるいは水平方向位置の調整(図6、7)に用いることができる。あるいは、また、工場等におけるコンクリート床版(構造物)26上に設置される製造用機械や加工用機械のような機械(重量物)27の鉛直方向位置の調整(図8、9)に用いることができる。
【0016】
図4及び図5に示す例においては、新設の鉄骨柱24の鉛直方向位置の調整のために治具28が用いられ、ねじ組立体10は治具28に取り付けられる。
【0017】
治具28は、細長い保持枠30と、保持枠30内に配置され該保持枠に保持された座板32及び梃子部材34とを備える。
【0018】
保持枠30は、長円形状の開口30a(図4)と、該開口に相対する上中下3つの開口30b、30c、30d(図5)とを有する。保持枠30は、新設の鉄骨柱24の下部に設けられた板状を呈する鋼製のエレクションピース24aに掛けられ上下方向へ伸び、両鉄骨柱22、24に対向している。エレクションピース24aはその一部において保持枠30の開口30a及び上開口30bを順次に経て保持枠30内を横切って伸びている。また、既設の鉄骨柱22の上部に設けられた板状を呈する鋼製のエレクションピース22aがその一部において保持枠30の開口30a及び下開口30dを順次に経て保持枠30を横切って伸びている。保持枠30は、複数のボルト36を介して、両エレクションピース22a、24aに固定されている。
【0019】
また、座板32及び梃子部材34はそれぞれ両エレクションピース22a、24a間にあって保持枠30内からその開口30a及び中開口30cを経て外部へ突出する両端部を有する。図示の例では、下方のエレクションピース22a上に保持枠30内を横断して伸びる敷板38が載置されており、敷板38上に梃子部材34が載置され、梃子部材34上に座板32が載置されている。座板32は、上方のエレクションピース24aに接している。
【0020】
座板32はねじ溝32a(図4)を有する。ねじ溝32aは、中開口30cから突出する座板32の端部に設けられ上下方向へ伸びている。他方、梃子部材34は、図4で見て、全体にくの字形を呈し、開口30aから突出する湾曲した一端部34aと、中開口30cから突出する他端部34bと、これらの間に位置する湾曲部34cとを有する。ここに、梃子部材34の一端部34aは梃子の作用点を規定し、他端部34bは梃子の力点を規定し、湾曲部34cは梃子の支点を規定する。梃子部材34は、その一端部34a及び湾曲部34cにおいてそれぞれ座板32及び敷板38に接している。これによれば、梃子部材34は、その他端部34bが規定する前記力点において下方に向けての外力を受けるとき、湾曲部34cが規定する前記支点の周りに図上を時計回りに回転し、一端部34aが規定する前記作用点において座板32を押し上げる。これにより、上方のエレクションピース24aを介して、新設の鉄骨柱24が鉛直方向力を受け、その一部において上方位置へ変位する。これにより、あるいは、さらに他のねじ組立体10及び治具28を用いて新設の鉄骨柱24の他の一部を前記したと同様にして上方位置へ変位させることにより、新設の鉄骨柱24の鉛直方向位置が調整される。
【0021】
ねじ組立体10は、その筒型部材14を溶接により治具28の座板32に固定し、そのねじ部材12の第1の軸部16を座板32のねじ溝32aにねじ込むことにより、治具28に取り付けられる。このとき、筒型部材14はその貫通孔20が座板32のねじ溝32aと連通するように、より正確には貫通孔20の軸線とねじ溝32aの軸線とが一直線L上を伸びるように配置される。
【0022】
ねじ組立体10の治具28への取り付け後、ねじ組立体10のねじ部材12の第2の軸部18に回転力を与える。これにより、座板32のねじ溝32aにねじ込まれた状態にあるねじ部材12の第1の軸部16を図上を下方へ進め、第1の軸部16の先端面16bを梃子部材34の他端部34bに押し当てる。その後、第1の軸部16をさらに進めることにより、前記外力として、梃子部材34の他端部34bにねじ部材12の推力を及ぼすことができる。
【0023】
ねじ部材12の第2の軸部18への回転力の付与は、第2の軸部18の周面18aと、筒型部材14の外周面14bとにそれぞれ嵌合可能である、互いに反対方向へ駆動回転されるインナーソケットとアウターソケットとを有する電動工具、例えばトルシア形高力ボルトの締め付けに使用されるシャーレンチ(図示せず)を用いて行うことができる。ここにおいて、前記電動工具のインナーソケットに嵌合された第2の軸部18は一方向へ回転される。他方、前記電動工具のアウターソケットに嵌合された筒型部材14は治具28に固定されているため、反対方向への回転力を受けるにも拘らず非回転状態におかれ、前記一方向への回転に対する回転反力支持体として機能する。これにより、前記電動工具の操作者は前記回転反力を負担することなく、ねじ部材12の回転操作を行うことができる。
【0024】
次に、図6及び図7を参照すると、既設の鉄骨柱22に対する新設の鉄骨柱24の水平方向位置の調整(図6、7)のために、治具28として、板状の梃子部材40からなるものが用いられている。
【0025】
梃子部材40は、図6で見て、上下方向へ伸び、上端部40aと、下端部40bと、これらの間のフック状部40cとを有する。上端部40aは梃子の作用点を規定し、下端部40bは梃子の力点を規定し、またフック状部40cは梃子の支点を規定する。梃子部材40は、下方のエレクションピース22aと上方のエレクションピース24aとの間を経て伸びるフック状部40cにおいて下方のエレクションピース22aに掛けられ、上端部40aにおいて上方のエレクションピース24aに接し、また、下端部40bにおいて下方のエレクションピース22aに相対している。下端部40bには下方のエレクションピース22aに向けて開放するねじ溝40dが設けられている。梃子部材40は、その下端部40bが規定する前記力点において水平方向の外力を受けるとき、フック状部40cが規定する前記支点の周りに図上を反時計回りに回転し、上端部40aが規定する前記作用点において上方のエレクションピース24aに水平方向力を及ぼす。これにより、上方のエレクションピース24aを介して、新設の鉄骨柱24が水平方向力を受け、既設の鉄骨柱22上を水平方向(図上において左方向)へ変位する。これにより、あるいは、さらに他のねじ組立体10及び梃子部材40を用いて新設の鉄骨柱24を前記水平方向に直交する水平方向へ変位させることにより、新設の鉄骨柱24の水平方向位置が調整される。
【0026】
ねじ組立体10は、その筒型部材14を溶接により梃子部材40の下端部40bに固定し、そのねじ部材12の第1の軸部16を梃子部材40のねじ溝40dにねじ込むことにより、梃子部材40に取り付けられる。このとき、筒型部材14はその貫通孔20が梃子部材40のねじ溝40dと連通するように配置される。
【0027】
ねじ組立体10の梃子部材40への取り付け後、ねじ組立体10のねじ部材12の第2の軸部18に回転力を与え、これにより、梃子部材40のねじ溝40dにねじ込まれた状態にあるねじ部材12の第1の軸部16を図上を左方へ進め、第1の軸部16の先端面16bをエレクションピース22aに押し当てる。その後、第1の軸部16をさらに進めることにより、前記外力として、梃子部材40の下端部40bにねじ部材12の推力を及ぼすことができる。
【0028】
図4、5及び図6、7に示す例においては、新設の鉄骨柱22の位置の調整後、ねじ組立体10の一部である筒型部材14が残置され、残りのねじ部材12が治具28と共に撤去される。
【0029】
次に、図8及び図9を参照すると、コンクリート床版26上に設置される機械27の鉛直方向位置の調整のために、鋼製のベースプレート42からなる治具28が用いられ、3つのねじ組立体10がベースプレート42に取り付けられている。
【0030】
図示のベースプレート42は矩形の平面形状を有する。ベースプレート42は、3つのねじ溝42aを有する。3つのねじ溝42aのうちの2つのねじ溝42aは、前記矩形の2つの長辺のうちの1つの長辺の伸長方向に互いに間隔をおいて、前記矩形の2つの隅に設けられている。また、残りの1つのねじ溝42aは、他の1つの長辺の伸長方向の中間位置に設けられている。
【0031】
各ねじ組立体10は、その筒型部材14を溶接によりベースプレート42に固定し、そのねじ部材12の第1の軸部16をベースプレート42の各ねじ溝42aにねじ込むことにより、ベースプレート42に取り付けられている。ここに、各筒型部材14はその貫通孔20がベースプレート42の各ねじ溝42aと連通するように配置されている。
【0032】
3つのねじ組立体10のベースプレート42への取り付け後、各ねじ組立体10のねじ部材12の第2の軸部18に回転力を与え、これにより、ベースプレート42の各ねじ溝42aにねじ込まれた状態にある第1の軸部16を図上を下方へ進め、第1の軸部16の先端16bをコンクリート床版26に押し当てる。その後、第1の軸部16をさらに進める。これにより、ベースプレート42がねじ部材12の推力(鉛直方向力)を受け、ベースプレート42がその一部において上方位置へ変位する。その結果、機械27の鉛直方向位置がベースプレート42を介して調整される。機械27の位置の調整後、ベースプレート42に取り付けられた4つのアンカーボルト及びナットの組立体44により、ベースプレート42がコンクリート床版26上に固定され、機械27がコンクリート床版26上に設置される。
【0033】
なお、鋼製のベースプレート42からなる治具28は、機械27の位置調整後、撤去されることなく残置される。
【0034】
ねじ組立体10と治具28とは、これらを1つの組み合わせからなるものとすることができる。前記組み合わせにおいては、ねじ組立体10が、その筒型部材14において、筒型部材14の貫通孔20が治具28のねじ溝(32a、40d、42a)に連通するように治具28に固定され、また、ねじ部材12がその第1の軸部16において筒型部材14の貫通孔20に通され、さらに治具の前記ねじ溝に螺合されている。
【符号の説明】
【0035】
10 ねじ組立体
12 ねじ部材
14 筒型部材
14a、14b 筒型部材の内周面及び外周面
16 第1の軸部
16a 第1の軸部の周面
18 第2の軸部
18a 第2の軸部の周面
20 貫通孔(筒型部材の内周面)
22、24 既設の鉄骨柱及び新設の鉄骨柱
28 治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9