(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189449
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098026
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 悠一
(72)【発明者】
【氏名】下山 荘介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を自動的に取得することが可能な情報処理装置及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理装置による処理手順は、コンテンツを含むコンテンツ画像を取得し、コンテンツ画像を入力した場合に、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定する学習モデルに、取得したコンテンツ画像を入力して、マイクロコンテンツの領域を推定し、推定した推定結果に応じて、コンテンツの上に、推定した各マイクロコンテンツの領域を異なる態様で表示する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを含むコンテンツ画像を取得する取得部と、
コンテンツ画像を入力した場合に、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定する学習モデルに、前記取得部が取得したコンテンツ画像を入力して、前記マイクロコンテンツの領域を推定する推定部と、
前記推定部が推定した推定結果に応じて、前記コンテンツの上に、推定した各マイクロコンテンツの領域を異なる態様で表示する表示部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部が推定したマイクロコンテンツの領域に対する修正もしくは削除、または新たなマイクロコンテンツの領域の追加を受け付ける第1受付部
を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コンテンツと、前記第1受付部が受け付けたマイクロコンテンツの領域とに基づき、前記学習モデルの再学習を行う再学習部
を備える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定結果は、前記マイクロコンテンツの領域及び該領域の種類を含む
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかひとつに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記マイクロコンテンツの領域の種類ごとに前記マイクロコンテンツの領域を前記コンテンツの上に表示する
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかひとつに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記マイクロコンテンツの領域の推定確度の閾値に対する設定を受け付ける第2受付部
を備える請求項1から5までのいずれかひとつに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記推定部が推定したマイクロコンテンツの領域の推定確度が、前記第2受付部が受け付けた推定確度の閾値以下であるマイクロコンテンツの領域を抽出する第1抽出部を備え、
前記表示部は、前記第1抽出部が抽出したマイクロコンテンツの領域を前記コンテンツの上に表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記マイクロコンテンツの領域の重なり度合いの閾値に対する設定を受け付ける第3受付部
を備える請求項1から7までのいずれかひとつに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記推定部が推定したマイクロコンテンツの領域の重なり度合いが、前記第3受付部が受け付けた重なり度合いの閾値以上であるマイクロコンテンツの領域を抽出する第2抽出部を備え、
前記表示部は、前記第2抽出部が抽出したマイクロコンテンツの領域を前記コンテンツの上に表示する
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記推定部が推定したマイクロコンテンツの領域の重なり度合いが、前記第3受付部が受け付けた重なり度合いの閾値以上である場合、前記領域を前記重なり度合いに対応した色分け表示する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記マイクロコンテンツの領域の重なり度合いは、前記領域と、前記領域に重なる領域との重複面積の割合である
ことを特徴とする請求項8から10までのいずれかひとつに記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置と、情報処理端末とを備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
コンテンツを含むコンテンツ画像を取得する取得部と、
コンテンツ画像を入力した場合に、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定する学習モデルに、前記取得部が取得したコンテンツ画像を入力して、前記マイクロコンテンツの領域を推定する推定部と、
前記推定部が推定した推定結果を送信する送信部とを備え、
前記情報処理端末は、
前記送信部が送信した推定結果を受信する受信部と、
前記受信部が受信した推定結果に応じて、前記コンテンツの上に、推定した各マイクロコンテンツの領域を異なる態様で表示する表示部と
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンテンツを再構成する技術が知られている。例えば特許文献1には、構造化された再構成対象のコンテンツデータを構造解析して再構成対象のコンテンツデータの構成要素であるマイクロコンテンツに関する構造情報を取得し、再構成対象のコンテンツデータの構造情報を入力して再構成対象のコンテンツデータに適用するレイアウトを自動的に決定するコンテンツ再構成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、コンテンツから該コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を切り出す(取得する)ことができないという問題がある。
【0005】
一つの側面では、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を自動的に取得することが可能な情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係る情報処理装置は、コンテンツを含むコンテンツ画像を取得する取得部と、コンテンツ画像を入力した場合に、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定する学習モデルに、前記取得部が取得したコンテンツ画像を入力して、前記マイクロコンテンツの領域を推定する推定部と、前記推定部が推定した推定結果に応じて、前記コンテンツの上に、推定した各マイクロコンテンツの領域を異なる態様で表示する表示部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を自動的に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】マイクロコンテンツ制作におけるコンテンツ切り出しシステムの概要を示す説明図である。
【
図2】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【
図4】マイクロコンテンツDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図6】マイクロコンテンツの領域を推定する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】マイクロコンテンツの領域の推定結果を表示する画面の一例を示す説明図である。
【
図9】領域の種類ごとにマイクロコンテンツの領域を表示する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】推定確度の閾値に基づいてマイクロコンテンツの領域を抽出する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】重なり度合いの閾値に基づいてマイクロコンテンツの領域を抽出する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】マイクロコンテンツの変更を受け付ける際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】上述した形態のコンピュータの動作を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0010】
(実施形態1)
実施形態1は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)を用いて、マイクロコンテンツ制作におけるマイクロコンテンツの領域を推定する形態に関する。マイクロコンテンツは、電子書籍または記事などのコンテンツのうち、コンテンツの全体から一部分を切り出したコンテンツである。なお、本実施形態では、採点パッケージにおけるマイクロコンテンツ制作の例を説明するが、他の種類(例えば、電子書籍または記事)のマイクロコンテンツ制作にも同様に適用することができる。
【0011】
図1は、マイクロコンテンツ制作におけるコンテンツ切り出しシステムの概要を示す説明図である。本実施形態のシステムは、情報処理装置1及び情報処理装置2を含み、各装置はインターネット等のネットワークNを介して情報の送受信を行う。
【0012】
情報処理装置1は、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域の推定、推定されたマイクロコンテンツの領域の表示及び送信等を行う情報処理装置である。情報処理装置1は、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータまたは汎用のタブレットPC(パソコン)等である。本実施形態において、情報処理装置1は、マイクロコンテンツの領域を推定するパーソナルコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためコンピュータ1と読み替える。
【0013】
情報処理装置2は、コンピュータ1が推定したマイクロコンテンツの領域の登録処理を行う情報処理装置である。情報処理装置2は、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータまたは汎用のタブレットPC等である。本実施形態において、情報処理装置2はサーバ装置であるものとし、以下では簡潔のためサーバ2と読み替える。
【0014】
本実施形態に係るコンピュータ1は、コンテンツを含むコンテンツ画像を取得する。コンピュータ1は、コンテンツ画像を入力した場合に、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定する学習モデルに、取得したコンテンツ画像を入力してマイクロコンテンツの領域を推定する。コンピュータ1は、推定した各マイクロコンテンツの領域をコンテンツの上に表示する。
【0015】
図2は、コンピュータ1の構成例を示すブロック図である。コンピュータ1は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読取部16及び大容量記憶部17を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0016】
制御部11はCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を含み、記憶部12に記憶された制御プログラム1Pを読み出して実行することにより、コンピュータ1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、制御プログラム1Pは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトにおいて配置されるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。なお、
図1では制御部11を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0017】
記憶部12はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1P又はデータ等を記憶している。また、記憶部12は、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部13は通信に関する処理を行うための通信モジュールである。
【0018】
入力部14は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン等の入力デバイスであり、受け付けた操作情報を制御部11へ出力する。表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であり、制御部11の指示に従い各種情報を表示する。
【0019】
読取部16は、CD(Compact Disc)-ROM又はDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読取部16を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、大容量記憶部17に記憶しても良い。また、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御部11が制御プログラム1Pをダウンロードし、大容量記憶部17に記憶しても良い。さらにまた、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでも良い。
【0020】
大容量記憶部17は、例えばHDD(Hard disk drive:ハードディスク)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等の記録媒体を備える。大容量記憶部17は、領域推定モデル171を含む。領域推定モデル171は、コンテンツを含むコンテンツ画像に基づいて、該コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定する推定器であり、機械学習により生成された学習済みモデルである。
【0021】
コンピュータ1は、種々の情報処理及び制御処理等をコンピュータ単体で実行しても良いし、複数のコンピュータで分散して実行しても良いし、仮想マシンで分散して実行しても良い。なお、コンピュータ1に係る種々の情報処理及び制御処理等が、通信環境を有するサーバ装置等で実行されても良い。
【0022】
図3は、サーバ2の構成例を示すブロック図である。サーバ2は、制御部21、記憶部22、通信部23、読取部24及び大容量記憶部25を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0023】
制御部21はCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を含み、記憶部22に記憶された制御プログラム2Pを読み出して実行することにより、サーバ2に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、制御プログラム2Pは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトにおいて配置されるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。なお、
図3では制御部21を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0024】
記憶部22はRAM、ROM等のメモリ素子を含み、制御部21が処理を実行するために必要な制御プログラム2P又はデータ等を記憶している。また、記憶部22は、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部23は通信に関する処理を行うための通信モジュールである。
【0025】
読取部24は、CD-ROM又はDVD-ROMを含む可搬型記憶媒体2aを読み取る。制御部21が読取部24を介して、制御プログラム2Pを可搬型記憶媒体2aより読み取り、大容量記憶部25に記憶しても良い。また、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御部21が制御プログラム2Pをダウンロードし、大容量記憶部25に記憶しても良い。さらにまた、半導体メモリ2bから、制御部21が制御プログラム2Pを読み込んでも良い。
【0026】
大容量記憶部25は、例えばHDD、SSD等の記録媒体を備える。大容量記憶部25は、マイクロコンテンツDB(database)251を含む。マイクロコンテンツDB251は、コンテンツを構成するマイクロコンテンツに関する情報を記憶している。
【0027】
サーバ2は、種々の情報処理及び制御処理等をコンピュータ単体で実行しても良いし、複数のコンピュータで分散して実行しても良いし、仮想マシンで分散して実行しても良い。
【0028】
図4は、マイクロコンテンツDB251のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。マイクロコンテンツDB251は、コンテンツID列、コンテンツ列、領域ID列、種類列及び座標列を含む。コンテンツID列は、各コンテンツを識別するために、一意に特定されるコンテンツのIDを記憶している。コンテンツ列は、コンテンツを含むコンテンツ画像、またはPDF(Portable Document Format)ファイル等の画像データであるコンテンツを記憶している。領域ID列は、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を特定するための領域IDを記憶している。
【0029】
種類列は、マイクロコンテンツの領域の種類を記憶している。コンテンツは、電子書籍、記事、新聞または雑誌等のデータである。マイクロコンテンツは、コンテンツの全体から切り出されたテキストまたは画像単位の各種データであり、汎用性の高い状態に変換されたコンテンツである。マイクロコンテンツの領域の種類は、マイクロコンテンツに応じて設定される。例えば、コンテンツが雑誌である場合、マイクロコンテンツはタイトル、サブタイトル、図及びキャプションに分類される。なお、本実施形態では、コンテンツが採点パッケージであり、マイクロコンテンツが回答欄、問題欄及び図に分類される。マイクロコンテンツの領域の種類は、回答欄領域、問題欄領域及び図領域に設定される。
【0030】
座標列は、マイクロコンテンツの領域の座標値を記憶している。座標列には、例えば領域の左上の座標値及び右下の座標値が記憶される。なお、座標列には、例えば領域の四隅の座標値が記憶されても良い。
【0031】
続いて、領域推定モデル171を用いてマイクロコンテンツの領域を推定する処理を説明する。コンピュータ1は、コンテンツを含むコンテンツ画像を大容量記憶部17または外部装置から取得する。コンピュータ1は、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定する領域推定モデル171に、取得したコンテンツ画像を入力して、マイクロコンテンツの領域を推定した推定結果を出力する。
【0032】
図5は、領域推定モデル171を説明する説明図である。領域推定モデル171は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとして利用される。領域推定モデル171は、コンテンツを含むコンテンツ画像を入力とし、該コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定した推定結果を出力とする検出器である。本実施形態では、領域推定モデル171は、物体検出手法の1つであるRepPoints(Point Set Representation for Object Detection)で構築される。
【0033】
RepPointsは、アンカーを使用しない物体検出手法であり、入力された画像に対し、予め定められたカテゴリに属する物体の矩形領域を出力する。RepPointsは、YOLO(You Only Look Once)またはFaster-RCNN(Regions with Convolutional Neural Networks)等の代表的な物体検出手法で使用されるようなアンカーを使用せず、物体の領域を表現できる物体領域の代表的なポイント(点)の集合(Point Set Representation; RepPoints)を求めて、そこから矩形領域に変換する物体検出手法である。
【0034】
具体的には、コンピュータ1は、コンテンツを含むコンテンツ画像と、該コンテンツを構成する各マイクロコンテンツの領域の種類及び座標値とが対応付けられた訓練データの組み合わせをサーバ2のマイクロコンテンツDB251から複数取得する。訓練データは、コンテンツ画像に対し、コンテンツを構成する各マイクロコンテンツの領域の種類及び座標値がラベル付けされたデータである。なお、訓練データは、過去に人手で切り出された大量のマイクロコンテンツの領域から収集されても良い。
【0035】
コンピュータ1は、取得した訓練データを用いて学習を行う。具体的には、コンピュータ1は、訓練データであるコンテンツ画像を領域推定モデル171に入力して、コンテンツ画像を特徴量マップに変換する。コンピュータ1は、変換した特徴量マップから、マイクロコンテンツの領域を代表するN個のポイントを得る。コンピュータ1は、得たN個のポイントから矩形領域を作成する。コンピュータ1は、作成した矩形領域(疑似矩形領域)と、訓練データであるマイクロコンテンツの矩形領域(真の矩形領域)との誤差によって定義される損失関数(例えば、Focal Loss)を用いて評価することにより、損失(point loss)を計算する。
【0036】
このように、コンピュータ1は、画像中のマイクロコンテンツに特徴的なポイントから推定領域処理と、各ポイントから得られる特徴量を集約するクラス分類処理を行い、領域推定モデル171を生成する。コンピュータ1は、訓練データを用いて領域推定モデル171の学習を行うことで、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定する可能なモデルを構築することができる。
【0037】
コンピュータ1は、コンテンツを含むコンテンツ画像を取得した場合、取得したコンテンツ画像を領域推定モデル171に入力する。コンピュータ1は、領域推定モデル171に各マイクロコンテンツの領域を表現できるマイクロコンテンツの領域の代表的なポイントの集合を求めて、マイクロコンテンツの矩形領域に変換する。コンピュータ1は、変換したマイクロコンテンツの領域を出力として取得する。
【0038】
マイクロコンテンツの領域を推定した推定結果が領域推定モデル171から出力される。推定結果は、マイクロコンテンツの領域の推定確度、種類及び座標値を含む。種類は、例えば問題欄、回答欄及び図を含む。座標値は、例えば領域の左上の座標値及び右下の座標値であっても良く、または領域の四隅の座標値であっても良い。
図5では、コンテンツ画像に対し、問題欄、回答欄及び図それぞれのマイクロコンテンツの領域の推定結果が出力される。
【0039】
図示のように、推定されたマイクロコンテンツの領域71aは、左上の座標値が(x1,y1)であり、右下の座標値が(x1’,y1’)であり、領域の種類が問題欄であり、且つ、推定確度が0.92である。また、推定されたマイクロコンテンツの領域71bは、左上の座標値が(x2,y2)であり、右下の座標値が(x2’,y2’)であり、領域の種類が回答欄であり、且つ、推定確度が0.9である。また、推定されたマイクロコンテンツの領域71cは、左上の座標値が(x3,y3)であり、右下の座標値が(x3’,y3’)であり、領域の種類が図であり、且つ、推定確度が0.95である。
【0040】
なお、上述したRepPointsの物体検出手法によるマイクロコンテンツの領域の推定処理に限るものではない。例えば、YOLO、Faster-RCNN、またはResidual Network(ResNet)等の推定手法を用いてマイクロコンテンツの領域を推定しても良い。
【0041】
図6は、マイクロコンテンツの領域を推定する際の処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ1の制御部11は、コンテンツを含むコンテンツ画像を通信部13または入力部14から取得する(ステップS101)。制御部11は、領域推定モデル171を用いて、コンテンツを構成する各マイクロコンテンツの領域を推定する(ステップS102)。具体的には、制御部11は、取得したコンテンツ画像を領域推定モデル171に入力して、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定した推定結果を出力する。
【0042】
制御部11は表示部15を介して、マイクロコンテンツの領域を推定した推定結果をコンテンツ上に重畳表示する(ステップS103)。推定結果は、各マイクロコンテンツの領域の推定確度、種類及び座標値を含む。制御部11は、コンテンツID及び推定結果を通信部13によりサーバ2に送信する(ステップS104)。サーバ2の制御部21は、コンピュータ1から送信されたコンテンツID及び推定結果を通信部23により受信する(ステップS201)。
【0043】
制御部21はコンテンツIDに対応付けて、受信した推定結果を大容量記憶部25のマイクロコンテンツDB251に記憶する(ステップS202)。具体的には、制御部21は、各マイクロコンテンツの領域に対して領域IDを割り振る。制御部21は、各マイクロコンテンツの領域に対し、割り振ったマイクロコンテンツの領域ID、種類及び座標値をコンテンツIDに対応付けて一つのレコードとしてマイクロコンテンツDB251に記憶する。制御部21は、処理を終了する。
【0044】
本実施形態によると、コンテンツを含むコンテンツ画像に基づき、領域推定モデル171を用いて該コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定することが可能となる。
【0045】
本実施形態によると、マイクロコンテンツ制作におけるコンテンツの切り出し作業をより人手に頼ることなく高精度かつ自動的に推定することが可能となる。
【0046】
本実施形態によると、マイクロコンテンツ制作におけるコンテンツの切り出し作業の効率を向上することが可能となる。
【0047】
(実施形態2)
実施形態2は、マイクロコンテンツの領域の推定結果に応じて、コンテンツの上に、推定された各マイクロコンテンツの領域を異なる態様で表示する形態に関する。なお、実施形態1と重複する内容については説明を省略する。
【0048】
コンピュータ1は、領域推定モデル171を用いて推定した各マイクロコンテンツの領域を取得する。コンピュータ1は、取得した各マイクロコンテンツの領域の種類、推定確度または重なり度合いに応じて、各マイクロコンテンツの領域をコンテンツの上に異なる態様で表示する。なお、重なり度合いに関しては後述する。また、推定されたマイクロコンテンツの領域に対する修正もしくは削除、または新たなマイクロコンテンツの領域の追加を受け付けることができる。
【0049】
図7は、マイクロコンテンツの領域の推定結果を表示する画面の一例を示す説明図である。該画面は、種類A領域枠11a、種類B領域枠11b、種類C領域枠11c、コンテンツ表示欄11d、種類A選択ボタン12a、種類B選択ボタン12b、種類C選択ボタン12c、追加ボタン13a、削除ボタン13b、修正ボタン13c、低スコア閾値設定欄14a及び領域重畳閾値設定欄14bを含む。
【0050】
種類A領域枠11aは、領域の種類が種類Aであるマイクロコンテンツの領域の周囲を領域毎に囲む領域枠である。種類B領域枠11bは、領域の種類が種類Bであるマイクロコンテンツの領域の周囲を領域毎に囲む領域枠である。種類C領域枠11cは、領域の種類が種類Cであるマイクロコンテンツの領域の周囲を領域毎に囲む領域枠である。コンテンツ表示欄11dは、コンテンツを表示する表示欄である。
【0051】
図示のように、マイクロコンテンツの領域の種類は、種類A、種類B及び種類Cの3種類である。種類Aは、コンテンツのタイトル(マイクロコンテンツA)の領域を示す種類である。種類Bは、コンテンツ中の本文(マイクロコンテンツB)の領域を示す種類である。種類Cは、コンテンツ中の図(マイクロコンテンツC)の領域を示す種類である。なお、上述したマイクロコンテンツの領域の種類に限定せず、例えば、採点パッケージにおけるマイクロコンテンツの領域の種類を回答欄、問題欄及び図に設定しても良い。
【0052】
また、マイクロコンテンツの領域の種類に応じて、種類A選択ボタン12a、種類B選択ボタン12b及び種類C選択ボタン12cが設けられている。種類A選択ボタン12aは、領域の種類が種類Aであるマイクロコンテンツの領域の選択を受け付けるボタンである。種類B選択ボタン12bは、領域の種類が種類Bであるマイクロコンテンツの領域の選択を受け付けるボタンである。種類C選択ボタン12cは、領域の種類が種類Cであるマイクロコンテンツの領域の選択を受け付けるボタンである。
【0053】
コンピュータ1は、コンテンツを含むコンテンツ画像を取得する。コンピュータ1は、取得したコンテンツ画像をコンテンツ表示欄11dに表示する。コンピュータ1は、取得したコンテンツ画像を領域推定モデル171に入力して、コンテンツを構成する各マイクロコンテンツの領域を推定した推定結果を取得する。コンピュータ1は、推定結果に含まれるマイクロコンテンツの領域の種類及び座標値を取得する。
【0054】
コンピュータ1は、種類A選択ボタン12aのタッチ(クリック)操作を受け付けた場合、領域推定モデル171を用いて推定したマイクロコンテンツの領域から、種類Aであるマイクロコンテンツ(コンテンツA)の領域を抽出する。コンピュータ1は、抽出したマイクロコンテンツの領域の座標値に基づいて、当該マイクロコンテンツの領域の周囲を領域毎に囲む種類A領域枠11aをコンテンツの上に重畳表示する。この場合、コンピュータ1は、種類A領域枠11aのみを表示し、種類B領域枠11b及び種類C領域枠11cを表示しないように制御する。
【0055】
コンピュータ1は、種類B選択ボタン12bのタッチ操作を受け付けた場合、領域推定モデル171を用いて推定したマイクロコンテンツ(コンテンツB)の領域から、種類Bであるマイクロコンテンツの領域を抽出する。コンピュータ1は、抽出したマイクロコンテンツの領域の座標値に基づいて、当該マイクロコンテンツの領域の周囲を領域毎に囲む種類B領域枠11bをコンテンツの上に重畳表示する。この場合、コンピュータ1は、種類B領域枠11bのみを表示し、種類A領域枠11a及び種類C領域枠11cを表示しないように制御する。
【0056】
コンピュータ1は、種類C選択ボタン12cのタッチ操作を受け付けた場合、領域推定モデル171を用いて推定したマイクロコンテンツの領域から、種類Cであるマイクロコンテンツ(図)の領域を抽出する。コンピュータ1は、抽出したマイクロコンテンツの領域の座標値に基づいて、当該マイクロコンテンツの領域の周囲を領域毎に囲む種類C領域枠11cをコンテンツの上に重畳表示する。この場合、コンピュータ1は、種類C領域枠11cのみを表示し、種類A領域枠11a及び種類B領域枠11bを表示しないように制御する。
【0057】
なお、マイクロコンテンツの領域の表示態様(形式)は、マイクロコンテンツの領域がコンピュータ1側で認識できる形式であれば具体的な形式は限定されない。例えば、マイクロコンテンツの領域を示す枠線の形状として「実線」、「点線」もしくは「二重線」等を利用しても良く、または、枠線の色として、青、緑もしくは赤等を利用しても良い。
【0058】
例えばコンピュータ1は、種類Aであるマイクロコンテンツの領域の枠線を点線に設定し、種類Bであるマイクロコンテンツの領域の枠線を実線に設定し、種類Cであるマイクロコンテンツの領域の枠線を二重線に設定しても良い。または、コンピュータ1は、種類Aであるマイクロコンテンツの領域の枠線の色を青に設定し、種類Bであるマイクロコンテンツの領域の枠線の色を黄色に設定し、種類Cであるマイクロコンテンツの領域の枠線の色を赤に設定しても良い。
【0059】
なお、
図7では単一の領域種類を選択した例を説明したが、これに限るものではない。例えば、複数の領域種類(例えば、種類A及び種類B)を選択し、選択した複数の領域種類に対応するマイクロコンテンツの領域を同時にコンテンツの上に表示しても良い。
【0060】
追加ボタン13aは、新たなマイクロコンテンツの領域を追加するためのボタンである。削除ボタン13bは、マイクロコンテンツの領域を削除するためのボタンである。修正ボタン13cは、マイクロコンテンツの領域を修正するためのボタンである。
【0061】
コンピュータ1は、追加ボタン13aのタッチ操作を受け付けた場合、例えばマウス等のポインティングデバイスを用いて、ドラッグ操作によりマイクロコンテンツの領域を示す枠を生成する。コンピュータ1は、生成した枠をコンテンツの上に表示する。この場合、追加されたマイクロコンテンツの領域に対して領域の種類を設定することができる。具体的には、コンピュータ1は、マイクロコンテンツの領域の種類を設定するためのコンボボックス13dを生成して画面に表示する。コンボボックス13dには、種類A、種類B及び種類Cを含む領域の種類が選択可能に設定される。コンピュータ1は、コンボボックス13dを通じて、領域の種類の設定を受け付ける。
【0062】
コンピュータ1は、削除ボタン13bのタッチ操作を受け付けた場合、削除対象となるマイクロコンテンツの領域の選択を受け付け、受け付けたマイクロコンテンツの領域を削除する。
【0063】
コンピュータ1は、修正ボタン13cのタッチ操作を受け付けた場合、マイクロコンテンツの領域を示す枠をドラッグアンドドロップすることで、修正対象となる領域の位置の移動、大きさまたは形状(正方形または長方形)の修正を受け付ける。また、マイクロコンテンツの領域の種類に対する修正を受け付けることができる。具体的には、コンピュータ1は、修正対象となる領域の選択を受け付け、該領域が選択された状態に、領域の種類を選択可能なコンボボックス13dを生成して画面に表示する。コンピュータ1は、コンボボックス13dを通じて、修正対象となる領域の種類の修正を受け付ける。
【0064】
コンピュータ1は、変更(修正、削除または追加)後のマイクロコンテンツの領域情報(領域の種類及び座標値等)をサーバ2に送信する。サーバ2は、コンピュータ1から送信されたマイクロコンテンツの領域情報を受信してマイクロコンテンツDB251に記憶する。
【0065】
具体的には、サーバ2は、追加されたマイクロコンテンツの領域に対して領域IDを割り振る。コンピュータ1は、コンテンツIDに対応付けて、割り振った領域ID、領域の種類及び座標値を一つのレコードとしてマイクロコンテンツDB251に記憶する。サーバ2は、削除されたマイクロコンテンツの領域のレコードをマイクロコンテンツDB251から削除する。サーバ2は、修正されたマイクロコンテンツの領域に対し、コンテンツIDに対応付けて、該マイクロコンテンツの領域の種類及び座標値を更新する。
【0066】
低スコア閾値設定欄14aは、領域の推定確度(スコア)の閾値の設定を受け付ける欄である。図示のように、低スコア閾値設定欄14aは、スライダーバーであり、連続的な確度値(「0」から「1」までの範囲の値)の設定を受け付ける。スライダーバーをマウスの左ボタンまたは指を押しながら左右に動かし、推定確度の閾値を調整することができる。なお、
図7では、低スコア閾値設定欄14aがスライダーバーである例を説明したが、これに限るものではない。例えば、低スコア閾値設定欄14aが推定確度の閾値の入力を受け付けるテキストフィールドであっても良い。
【0067】
コンピュータ1は、低スコア閾値設定欄14aの設定操作を受け付けた場合、推定確度の閾値の設定を受け付ける。コンピュータ1は、取得した推定結果に含まれる各マイクロコンテンツの領域確度と、受け付けた推定確度の閾値とを比較する。コンピュータ1は比較結果に基づき、推定確度の閾値以下であるマイクロコンテンツの領域を低スコア領域として抽出(特定)する。コンピュータ1は、抽出した低スコア領域をコンテンツの上に重畳表示する。
【0068】
具体的には、コンピュータ1は、領域の種類の選択を受け付けた場合、選択された領域の種類における低スコア領域をコンテンツの上に重畳表示する。例えば、種類Bが選択された場合、種類Bである低スコア領域の周囲を囲む種類B領域枠11bをコンテンツの上に重畳表示する。なお、種類が選択されていない場合、コンピュータ1は、すべての領域の種類(例えば、種類A、種類B及び種類C)における低スコア領域をコンテンツの上に重畳表示する。
【0069】
また、コンピュータ1は、設定された推定確度の閾値の変更を低スコア閾値設定欄14aにより受け付けた場合、変更後の確度の閾値に基づき、コンテンツの上に重畳表示される低スコア領域を更新する。具体的には、コンピュータ1は、推定確度の閾値の変更を受け付けた場合、推定結果に含まれる各マイクロコンテンツの領域確度と、受け付けた変更後の推定確度の閾値とを再比較する。コンピュータ1は再比較結果に基づき、変更後の推定確度の閾値以下であるマイクロコンテンツの領域を低スコア領域として抽出する。コンピュータ1は、抽出した低スコア領域をコンテンツの上に重畳表示する。
【0070】
すなわち、コンピュータ1は、推定確度の閾値の変更に伴い、コンテンツの上に重畳表示されている低スコア領域を更新して再表示する。推定確度の閾値が高いほど、低スコア領域を多く抽出する可能性がある。
【0071】
また、低スコア領域に対して色分けで表示することができる。例えばコンピュータ1は、低スコア領域を赤で表示しても良い。
【0072】
続いて、重なり度合いの閾値の設定の受付処理を説明する前に、重畳領域について説明する。
図8は、重畳領域を説明する説明図である。
図8Aは、高重畳領域の一例を示す説明図である。
図8Bは、低重畳領域の一例を示す説明図である。
【0073】
マイクロコンテンツの重畳領域は、マイクロコンテンツの領域の重なり度合いに基づいて特定される。マイクロコンテンツの領域の重なり度合いは、マイクロコンテンツの領域と、該領域に他のマイクロコンテンツが重なる領域との重複面積の割合である。
【0074】
以下では、領域Aに対する領域Bの重なり度合いに基づいて重畳領域を説明する。コンピュータ1は、領域の推定結果に含まれている領域A及び領域Bの座標値を取得する。コンピュータ1は、取得した領域A及び領域Bの座標値に基づいて、領域Aに対する領域Bの重なり度合いを算出する。コンピュータ1は、算出した領域Bの重なり度合いと、所定の重なり度合いの閾値とを比較する。
【0075】
コンピュータ1は、算出した領域Bの重なり度合いが閾値(例えば、0.6)以上である場合、高重畳領域として判定する。
図8Aは高重畳領域を例示している。また、コンピュータ1は、領域Bを重なり度合いに対応した色分けで表示する。例えばコンピュータ1は、領域Bを示す枠線の色を、領域Aとは異なる色(例えば、赤)で表示する。コンピュータ1は、算出した領域Bの重なり度合いが閾値未満である場合、低重畳領域として判定する。
図8Bは低重畳領域を例示している。なお、本実施形態では、低重畳領域と判断された領域Bは色分け表示の対象外となる。
【0076】
続いて、
図7に戻り、領域の重なり度合いの閾値の設定の受付処理を説明する。領域重畳閾値設定欄14bは、重畳領域を判定するための領域の重なり度合いの閾値の設定を受け付ける欄である。図示のように、領域重畳閾値設定欄14bは、連続的な重なり度合い値(「0」から「1」までの範囲の値)の設定を受け付ける。なお、
図7では、領域重畳閾値設定欄14bがスライダーバーである例を説明したが、これに限るものではない。例えば、領域重畳閾値設定欄14bが重なり度合いの閾値の入力を受け付けるテキストフィールドであっても良い。
【0077】
コンピュータ1は、領域重畳閾値設定欄14bの設定操作を受け付けた場合、マイクロコンテンツの領域の重なり度合いの閾値の設定を受け付ける。コンピュータ1は、取得した推定結果に含まれる各マイクロコンテンツの領域の座標値に基づき、各領域の重なり度合いを算出する。コンピュータ1は、算出した各領域の重なり度合いと、受け付けた重なり度合いの閾値とを比較する。
【0078】
コンピュータ1は、重なり度合いの閾値以上であるマイクロコンテンツの領域(重畳領域)を推定結果から抽出(特定)する。コンピュータ1は、抽出した重畳領域を重なり度合いに対応した色分けでコンテンツの上に重畳表示する。例えばコンピュータ1は、重畳領域を示す枠線の色を赤で表示する。
【0079】
なお、複数の重なり度合いの閾値を設定することができる。例えばコンピュータ1は、算出した重なり度合いが所定の第1重なり度合いの閾値(例えば、0.45)以上であり、且つ、算出した重なり度合いが所定の第2重なり度合いの閾値(例えば、0.75)未満である場合、該領域を示す枠線の色を黄色で表示する。コンピュータ1は、算出した重なり度合いが所定の第2重なり度合いの閾値以上である場合、該領域を示す枠線の色を赤で表示する。
【0080】
また、コンピュータ1は、設定された重なり度合いの閾値の変更を領域重畳閾値設定欄14bにより受け付けた場合、領域の重なり度合いが変更後の重なり度合いの閾値以上であるマイクロコンテンツの領域を再抽出する。コンピュータ1は、再抽出したマイクロコンテンツの領域をコンテンツの上に重畳表示する。すなわち、コンピュータ1は、重なり度合いの閾値の変更に伴い、コンテンツの上に重畳表示されている重畳領域を更新して再表示する。重なり度合いの閾値が低いほど、重畳面積の小さい重畳領域を多く抽出する可能性がある。
【0081】
なお、各々のマイクロコンテンツの領域に対して推定確度の閾値または重なり度合いの閾値を変更することが可能である。例えば、コンピュータ1は、変更対象となるマイクロコンテンツの領域の選択を受け付ける。コンピュータ1は、選択されたマイクロコンテンツの領域に対し、個別的に推定確度の閾値または重なり度合いの閾値の設定を受け付けても良い。
【0082】
なお、コンピュータ1は、マイクロコンテンツの領域の種類、推定確度の閾値または重なり度合いの閾値のいずれか1つまたはその組み合わせに基づいて、推定された複数のマイクロコンテンツの領域から該当する領域を抽出しても良い。例えば、コンピュータ1は、領域の種類が種類Bであり、且つ、推定確度が閾値以下であるマイクロコンテンツの領域を抽出することができる。コンピュータ1は、抽出したマイクロコンテンツの領域をコンテンツの上に表示する。
【0083】
図9は、領域の種類ごとにマイクロコンテンツの領域を表示する際の処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ1の制御部11は、コンテンツを含むコンテンツ画像を取得する(ステップS111)。コンテンツ画像が予め大容量記憶部17に記憶されている場合、制御部11は大容量記憶部17からコンテンツ画像を取得する。なお、制御部11は、コンテンツ画像を通信部13により外部装置から取得しても良い。
【0084】
制御部11は、取得したコンテンツ画像に基づき、領域推定モデル171を用いてマイクロコンテンツの領域を推定する(ステップS112)。具体的には、制御部11は、取得したコンテンツ画像を領域推定モデル171に入力して、コンテンツを構成するマイクロコンテンツの領域を推定した推定結果を出力する。
【0085】
制御部11は、マイクロコンテンツの領域の種類の選択を入力部14により受け付ける(ステップS113)。制御部11は、受け付けた領域の種類に応じて、該当する領域を推定結果から抽出する(ステップS114)。制御部11は、抽出した各領域に対し、それぞれの領域と当該領域の隣の領域との重なり度合いを算出する(ステップS115)。制御部11は、抽出した複数の領域から、一つの領域を取得する(ステップS116)。
【0086】
制御部11は、算出した各領域の重なり度合いが所定の重なり度合いの閾値以上であるか否かを判定する(ステップS117)。制御部11は、該領域の重なり度合いが所定の閾値未満であると判定した場合(ステップS117でNO)、表示部15を介して、コンテンツの上に該領域を表示する(ステップS119)。制御部11は、後述するステップS120の処理に遷移する。
【0087】
制御部11は、該領域の重なり度合いが所定の閾値以上であると判定した場合(ステップS117でYES)、表示部15を介して、コンテンツの上に該領域を色分け表示する(ステップS118)。例えば制御部11は、コンテンツの上に該領域を赤で表示しても良い。
【0088】
制御部11は、抽出した複数の領域の中で該領域が最後の領域であるか否かを判定する(ステップS120)。制御部11は、該領域が最後の領域でないと判定した場合(ステップS120でNO)、ステップS116の処理に戻る。制御部11は、該領域が最後の領域であると判定した場合(ステップS120でYES)、処理を終了する。
【0089】
図10は、推定確度の閾値に基づいてマイクロコンテンツの領域を抽出する際の処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ1の制御部11は、コンテンツを含むコンテンツ画像を取得する(ステップS131)。制御部11は、取得したコンテンツ画像に基づき、領域推定モデル171を用いてマイクロコンテンツの領域を推定する(ステップS132)。
【0090】
制御部11は、マイクロコンテンツの領域の推定確度の閾値の設定を入力部14により受け付ける(ステップS133)。制御部11は、受け付けた推定確度の閾値以下であるマイクロコンテンツの領域を、ステップS132の処理で推定した複数のマイクロコンテンツの領域から抽出する(ステップS134)。制御部11は、抽出したマイクロコンテンツの領域を表示部15により表示し(ステップS135)、処理を終了する。
【0091】
図11は、重なり度合いの閾値に基づいてマイクロコンテンツの領域を抽出する際の処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ1の制御部11は、コンテンツを含むコンテンツ画像を取得する(ステップS141)。制御部11は、取得したコンテンツ画像に基づき、領域推定モデル171を用いてマイクロコンテンツの領域を推定する(ステップS142)。制御部11は、マイクロコンテンツの領域の重なり度合いの閾値の設定を入力部14により受け付ける(ステップS143)。
【0092】
制御部11は、推定結果に含まれる各マイクロコンテンツの領域の座標値に基づき、各領域の重なり度合いを算出する(ステップS144)。制御部11は、算出した領域の重なり度合いが、受け付けた重なり度合いの閾値以上であるマイクロコンテンツの領域を推定結果から抽出する(ステップS145)。制御部11は、抽出したマイクロコンテンツの領域を表示部15により表示し(ステップS146)、処理を終了する。
【0093】
図12は、マイクロコンテンツの変更を受け付ける際の処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ1の制御部11は、推定されたマイクロコンテンツの領域を取得する(ステップS151)。例えば、制御部11は領域推定モデル171を用いて、マイクロコンテンツの領域を推定し、推定したマイクロコンテンツの領域を取得しても良い。または、制御部11は通信部13を介して、推定されたマイクロコンテンツの領域をサーバ2のマイクロコンテンツDB251から取得しても良い。
【0094】
制御部11は、取得したマイクロコンテンツの領域を表示部15により表示する(ステップS152)。制御部11は、表示されている各マイクロコンテンツの領域に対し、修正、削除または追加を含む変更操作を入力部14により受け付ける(ステップS153)。制御部11は、コンテンツID及び変更後のマイクロコンテンツの領域情報(領域の種類及び座標値等)を通信部13によりサーバ2に送信する(ステップS154)。
【0095】
サーバ2の制御部21は、コンピュータ1から送信されたコンテンツID及び変更後の領域情報を通信部23により受信する(ステップS251)。制御部21は、受信したコンテンツIDに対応付けて、受信した変更後の領域情報を大容量記憶部25のマイクロコンテンツDB251に記憶し(ステップS252)、処理を終了する。
【0096】
また、変更後のマイクロコンテンツの領域情報に基づいて訓練データを作成し、作成した訓練データを用いて領域推定モデル171を再学習することができる。具体的には、コンピュータ1は、コンテンツを含むコンテンツ画像、該コンテンツを構成する各マイクロコンテンツの変更後の領域の種類及び座標値をサーバ2のマイクロコンテンツDB251から取得する。コンピュータ1は、取得したコンテンツ画像と、コンテンツを構成する各マイクロコンテンツの領域の種類及び座標値とが対応付けられた訓練データの組み合わせを複数作成する。
【0097】
コンピュータ1は、取得した訓練データ用いて、実施形態1の学習処理と同様に、領域推定モデル171を再学習する。なお、訓練データに関しては、変更後の領域情報に限定せず、例えば変更なしの領域情報と変更後の領域情報との組み合わせに基づいて作成されても良い。
【0098】
なお、本実施形態では、マイクロコンテンツの領域をコンピュータ1側で表示した例を説明したが、これに限るものではない。例えば、コンピュータ1は、領域推定モデル171を用いて推定したマイクロコンテンツの領域を端末装置に送信する。端末装置は、コンピュータ1から送信されたマイクロコンテンツの領域を受信する。端末装置は、上述した表示処理と同様に、受信したマイクロコンテンツの領域をコンテンツの上に異なる態様で表示しても良い。
【0099】
本実施形態によると、領域推定モデル171を用いて推定したマイクロコンテンツの領域をコンテンツ上に異なる態様で表示することが可能となる。
【0100】
本実施形態によると、マイクロコンテンツの領域の推定確度の閾値または重なり度合いの閾値の設定を受け付けることが可能となる。
【0101】
本実施形態によると、設定されたマイクロコンテンツの領域の推定確度の閾値または重なり度合いの閾値に基づき、該当するマイクロコンテンツの領域を抽出してコンテンツの上に表示することが可能となる。
【0102】
本実施形態によると、推定されたマイクロコンテンツの領域に対する変更を受け付けることが可能となる。
【0103】
本実施形態によると、変更後のマイクロコンテンツの領域を用いて領域推定モデル171を再学習することにより、マイクロコンテンツの領域の推定精度を向上することが可能となる。
【0104】
(実施形態3)
図13は、上述した形態のコンピュータ1の動作を示す機能ブロック図である。制御部11が制御プログラム1Pを実行することにより、コンピュータ1は以下のように動作する。
【0105】
取得部10aは、コンテンツを含むコンテンツ画像を取得する。推定部10bは、取得部10aが取得したコンテンツ画像を領域推定モデル171に入力して、コンテンツを構成する各マイクロコンテンツの領域を推定する。表示部10cは、推定部10bが推定した推定結果に応じて、コンテンツの上にマイクロコンテンツの領域を異なる態様で表示する。
【0106】
第1受付部10dは、推定部10bが推定したマイクロコンテンツの領域に対する修正もしくは削除、または新たなマイクロコンテンツの領域の追加を受け付ける。第2受付部10eは、マイクロコンテンツの領域の推定確度の閾値に対する設定を受け付ける。第3受付部10fは、マイクロコンテンツの領域の重なり度合いの閾値に対する設定を受け付ける。再学習部10gは、コンテンツと、第1受付部10dが受け付けた変更後のマイクロコンテンツの領域とに基づき、領域推定モデル171の再学習を行う。
【0107】
第1抽出部10hは、推定部10bが推定したマイクロコンテンツの領域の推定確度が、第2受付部10eが受け付けた推定確度の閾値以下であるマイクロコンテンツの領域を抽出する。第2抽出部10iは、推定部10bが推定したマイクロコンテンツの領域の重なり度合いが、第3受付部10fが受け付けた重なり度合いの閾値以上であるマイクロコンテンツの領域を抽出する。
【0108】
本実施の形態3は以上の如きであり、その他は実施の形態1から2と同様であるので、対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0109】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1 情報処理装置(コンピュータ)
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 表示部
16 読取部
17 大容量記憶部
171 領域推定モデル
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
1P 制御プログラム
2 情報処理装置(サーバ)
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 読取部
25 大容量記憶部
251 マイクロコンテンツDB
2a 可搬型記憶媒体
2b 半導体メモリ
2P 制御プログラム
10a 取得部
10b 推定部
10c 表示部
10d 第1受付部
10e 第2受付部
10f 第3受付部
10g 再学習部
10h 第1抽出部
10i 第2抽出部