IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-制御装置 図1
  • 特開-制御装置 図2
  • 特開-制御装置 図3
  • 特開-制御装置 図4
  • 特開-制御装置 図5
  • 特開-制御装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189471
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/4425 20110101AFI20221215BHJP
   H04N 21/438 20110101ALI20221215BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H04N21/4425
H04N21/438
H04B1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098062
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 友梨
(72)【発明者】
【氏名】平山 健太
【テーマコード(参考)】
5C164
5K061
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164FA08
5C164UA04S
5C164UA42S
5C164UB22P
5C164UB42P
5C164YA21
5C164YA30
5K061AA09
5K061BB01
5K061FF12
5K061FF16
(57)【要約】
【課題】電波が届きにくい場所で不要な放送局サーチが行われることを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】制御装置は、受信可能な放送局をサーチする放送局サーチの制御を行う制御装置であって、車両の周辺を撮影するカメラから撮影データを取得する取得部と、機械学習による学習済みモデルに前記撮影データを入力して得られる、放送用の電波の受信環境を示す受信環境情報に基づき、前記放送局サーチに関わる判定を行う判定部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信可能な放送局をサーチする放送局サーチの制御を行う制御装置であって、
車両の周辺を撮影するカメラから撮影データを取得する取得部と、
機械学習による学習済みモデルに前記撮影データを入力して得られる、放送用の電波の受信環境を示す受信環境情報に基づき、前記放送局サーチに関わる判定を行う判定部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記受信環境情報は、前記電波を遮蔽する特定の場所の検知情報であり、
前記判定部は、前記特定の場所を検知した場合に、前記放送局サーチの機能を停止すると判定する、請求項1に記載の制御装置
【請求項3】
前記放送局サーチの機能の停止が判定された場合に、放送波の受信とは異なる手段での音の再生を指示する指示部を更に備える、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記放送局サーチの機能の停止が判定された場合に、放送波の受信による音の出力の停止を指示する指示部を更に備える、請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記放送局サーチに関わる判定を、異なる放送局ごとに別々に準備された複数の前記学習済みモデルを用いて行い、
前記放送局サーチを行う必要がある場合に、前記撮影データを入力される各前記学習済みモデルから得られる前記放送局ごとの前記受信環境情報に応じて選択された放送局を選局対象と判定する、請求項1に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送局サーチの制御を行う制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される受信装置においては、車両の移動により、現在受信している放送局が受信できなくなることがある。これに対応する技術として、従来、現在受信している放送局が受信できなった場合に、その系列局や中継局を自動でサーチして受信できるようにする技術(放送局サーチ)が知られる。
【0003】
特許文献1には、トンネルや建築物等の遮蔽物に起因する受信品質の低下を判別し、適切にサーチを行う技術が開示される。特許文献1には、トンネルや建築物等の遮蔽物に起因する受信品質の低下の場合には、サーチ処理を行わないことが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-225144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば電波が遮蔽されるトンネル内においても放送局サーチを行う構成とすると、トンネル内において電波を受信できる放送局を見つけられず、放送局サーチを行い続けることになり、処理負荷が大きくなることが懸念される。トンネル等の電波が遮蔽される場所を早い段階で検知して、無駄な放送局サーチを行わないようにできる技術が望まれる。好ましくは、トンネル等の電波が遮蔽される場所に車両が進入する前に、電波が遮蔽される場所を検知できる技術が望まれる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、電波が届きにくい場所で不要な放送局サーチが行われることを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な本発明の制御装置は、受信可能な放送局をサーチする放送局サーチの制御を行う制御装置であって、車両の周辺を撮影するカメラから撮影データを取得する取得部と、機械学習による学習済みモデルに前記撮影データを入力して得られる、放送用の電波の受信環境を示す受信環境情報に基づき、前記放送局サーチに関わる判定を行う判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、電波が届きにくい場所で不要な放送局サーチが行われることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】制御装置が適用される車載機器の構成を示すブロック図
図2】制御装置の構成を示すブロック図
図3】制御装置により行われる放送局サーチ機能の制御処理例を示すフローチャート
図4】制御装置の放送局サーチに関わる動作例を示すフローチャート
図5図4に示す、制御装置の放送局サーチに関わる動作の変形例を示すフローチャート
図6】変形例の制御装置を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、車両の直進進行方向であって、運転席からハンドルに向かう方向を「前方向」とする。また、車両の直進進行方向であって、ハンドルから運転席に向かう方向を「後方向」とする。また、車両の直進進行方向及び鉛直線に垂直な方向であって、前方向を向いている運転者の右側から左側に向かう方向を「左方向」とする。また、車両の直進進行方向及び鉛直線に垂直な方向であって、前方向を向いている運転者の左側から右側に向かう方向を「右方向」とする。
【0011】
<1.車載機器>
図1は、本発明の実施形態に係る制御装置1が適用される車載機器100の構成を示すブロック図である。なお、本発明の制御装置は、車載機器に限らず、車両に持ち込んだり、車両から持ち出したりすることができる可搬型の車両用装置に適用されてもよい。
【0012】
本実施形態では、車載機器100は、AV(Audio/Visual)装置である。ただし、本発明の制御装置は、放送波を受信して再生する受信装置を含む装置に対して広く適用でき、AV装置以外に適用されてもよい。受信装置が受信する放送波には、テレビ放送用の放送波と、ラジオ放送用の放送波との少なくともいずれか一方が含まれればよい。本発明の制御装置は、例えば、オーディオ一体型のナビゲーション装置や、ディスプレイオーディオ等に適用されてもよい。
【0013】
図1に示すように、車載機器100は、制御装置1と操作入力装置2とを備える。制御装置1は、車載機器100の全体を統括的に制御する。制御装置1は、操作入力装置2を用いてユーザ(車両の乗員)が操作を入力した場合に、その操作に応じた動作を行う。例えば、制御装置1は、操作入力装置2を用いた操作に応じて、メディアソースの選択、放送チャンネルの選択、音量調整、音質調整、映像調整等を行う。なお、操作入力装置2は、例えば、タッチパネル、音声入力装置、キーボード、ボタン、レバー、および、回転式つまみのうちの少なくともいずれか1つを含む構成であってよい。
【0014】
本実施形態では、車載機器100は、テレビチューナ3、ラジオチューナ4、および、メディアプレーヤ5をさらに備える。これに対応して、制御装置1は、ユーザの操作入力装置2を用いた操作により、ラジオ、テレビ、光ディスク、メモリカード等のメディアソースの選択を可能に設けられる。制御装置1は、ユーザの操作入力装置2を用いた操作の入力に基づき、選択されたメディアソースの回路を起動し、車載機器100が備えるセレクタ6の回路を切り替える。
【0015】
テレビチューナ3は、例えば、地上デジタルテレビ放送用、又は、衛星デジタルテレビ放送用のチューナである。なお、車載機器100は、地上デジタルテレビ放送用と衛星デジタルテレビ放送用との両方のチューナを備えてもよい。なお、テレビチューナ3は、アナログテレビ放送用のチューナであってもよい。
【0016】
例えば、テレビチューナ3は、所定のアンテナ(不図示)により受信したテレビ放送のテレビ信号をチューナ回路で目的とするチャンネルを含む中間周波信号に変換する。そして、テレビチューナ3は、この中間周波信号を復調してデジタルデータを抽出し、このデジタルデータから目的とするチャネルの映像および音声のデータストリームをデコードする。デコードされた復調映像信号および復調音声信号は、セレクタ6に出力される。なお、テレビチューナ3は、公知の構成により、テレビ放送用の放送波の受信レベルを検出することができる。
【0017】
ラジオチューナ4は、例えば、地上デジタルラジオ放送用、又は、衛星デジタルラジオ放送用のチューナである。なお、車載機器100は、地上デジタルラジオ放送用と衛星デジタルラジオ放送用との両方のチューナを備えてもよい。なお、ラジオチューナ4は、アナログラジオ放送用のチューナであってもよい。
【0018】
例えば、ラジオチューナ4は、所定のアンテナ(不図示)により受信したラジオ放送のラジオ信号を、アンプで増幅した後、ミキサーおよびバンドパスフィルタで中間周波信号に変換する。そして、ラジオチューナ4は、この中間周波信号を検波および復調し、TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)ビットストリームに変換して所定のチャンネルのデータを抽出する。抽出されたチャンネルの音声データは、音声デコーダで復調音声信号に変換され、セレクタ6に出力される。ラジオチューナ4は、公知の構成によりラジオ放送用の放送波の受信レベルを検出することができる。
【0019】
メディアプレーヤ5は、例えば、所定の挿入口(不図示)にセットされたCDやDVD等の光ディスク、メモリカード、或いは、USB端子等の接続端子(不図示)を介して接続された可搬型のメモリや携帯端末等からデジタル信号を読み出す。メディアプレーヤ5は、読み出したデジタル信号に含まれる映像信号や音声信号をデコードしてセレクタ6に出力する。
【0020】
車載機器100は、音声出力装置7および表示装置8をさらに備える。
【0021】
音声出力装置7は、例えば、セレクタ6を介して入力された音声信号をアナログ信号に変換するDA(Digital to Analog)変換器と、DA変換器から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器と、増幅されたアナログ信号を音声に変換するスピーカ(いずれも不図示)と、を備える。音声出力装置7は、例えば、選局されているテレビ放送の放送音声や、選局されているラジオ放送の放送音声を出力する。また、音声出力装置7は、例えば、光ディスクやメモリカード等に記録されている音声を出力する。
【0022】
表示装置8は、例えば、セレクタ6を介して入力された映像信号にしたがって映像を表示させる表示制御回路と、表示デバイス(いずれも不図示)と、を備える。表示デバイスは、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等であってよい。表示装置8は、例えば、選局されているテレビ放送の放送映像を出力する。
【0023】
<2.制御装置>
次に、上述した制御装置1の構成について更に説明する。上述した動作の他に、制御装置1は、受信可能な放送局をサーチする放送局サーチの制御を行う。以下、制御装置1の当該機能を中心に説明する。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係る制御装置1の構成を示すブロック図である。なお、図2においては、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載は省略されている。図2に示すように、制御装置1は、制御部11と記憶部12とを備える。
【0025】
制御部11は、例えばプロセッサにて構成される。制御部11は、例えば、演算用の集積回路、RAM(Random Access Memory)、および、ROM(Read Only Memory)等を含んで構成される。演算用の集積回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、APU(Accelerated Processing Unit)等であってよい。
【0026】
記憶部12は、コンピュータにより読み取り可能なプログラムおよびデータ等を非一時的に格納または記憶する。記憶部12は、例えば半導体メモリ、磁気媒体、および、光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体である。記憶部12は、各種のプログラムや各種のデータを記憶する。
【0027】
本実施形態では、記憶部12は学習済みモデル121を格納する。学習済みモデル121は、機械学習を行う学習装置(不図示)を用いて予め生成され、記憶部12に予め格納されている。学習済みモデル121は、例えば、ニューラルネットワークやサポートベクターマシン等のアルゴリズムにより提供される。学習済みモデル121の詳細については後述する。
【0028】
制御部11は、サーチ部111、取得部112、判定部113、および、指示部114を含む。サーチ部111、取得部112、判定部113、および、指示部114は、制御部11の演算用の集積回路がコンピュータプログラムに従って演算処理を実行することにより実現される制御部11の機能である。換言すると、制御装置1は、取得部112と判定部113とを備える。制御装置1は指示部114をさらに備える。制御装置1は、サーチ部111をさらに備える。
【0029】
なお、制御部11が備えるサーチ部111、取得部112、判定部113、および、指示部114のうち少なくともいずれか1つは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。また、サーチ部111、取得部112、判定部113、および、指示部114は、概念的な構成要素である。1つの構成要素が実行する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてよい。
【0030】
サーチ部111は、受信可能な放送局の搬送周波数をサーチする放送局サーチを行う。なお、放送局サーチは、放送波サーチと言い換えられてもよい。本実施形態では、サーチ部111は、原則として、現在受信している放送局が受信できなくなった場合に、受信している放送局の中継局又は系列局が受信可能となるまでサーチを行う。当該サーチの手法には、公知の手法が用いられればよい。なお、本実施形態においては、サーチ部111は、特定の場合において、受信している放送局の受信ができなくなった場合でも、放送局サーチを行わない。これについては以下に説明する。
【0031】
なお、本実施形態では、詳細には、テレビ放送の放送局サーチと、ラジオ放送の放送局サーチとがある。特に区別することなく放送局サーチの文言を用いる場合には、これら両者の放送局サーチのいずれにも当てはまることを意味する。
【0032】
取得部112は、車両の周辺を撮影するカメラ9から撮影データを取得する。カメラ9は、制御装置1を備える車載機器100が搭載される車両と同じ車両に搭載される。取得部112とカメラ9とは、有線又は無線により通信可能に設けられる。取得部112は、カメラ9から所定の周期(例えば1/30秒周期)で撮影画像を時間的に連続して取得する。時間的に連続した撮影画像が、動画(映像)を構成する。すなわち、取得部112は、カメラ9で撮影された静止画および動画を取得可能である。その他、取得部112は、撮影データを用いて行われる各種の処理の前準備として必要となる処理を適宜行う。
【0033】
なお、本実施形態においては、車両の周縁を撮影するカメラ9は、好ましい形態として、車両の前方を撮影する前方カメラである。たたし、カメラ9は、前方カメラに限らず、例えば、車両の側方を撮影するサイドカメラ等であってもよい。また、カメラ9の数は、1つに限らず、複数であってもよい。制御装置1と通信可能に設けられるカメラ9は、前方カメラに替えて、或いは、前方カメラに加えて、車両の左右を撮影する左サイドカメラおよび右サイドカメラを備える構成であってもよい。また、カメラ9は、車載カメラに限らず、車両に持ち込んだり、車両から取り外したりすることができる可搬型のカメラであってもよい。
【0034】
判定部113は、機械学習による学習済みモデル121にカメラ9の撮影データを入力して得られる、放送用の電波の受信環境を示す受信環境情報に基づき、放送局サーチに関わる判定を行う。受信環境情報は、別の言い方をすると、車両における放送用の電波の受信環境の推定を可能とする情報である。本構成によれば、カメラ9により得られる車両の周辺環境に応じて放送局サーチに関わる判定を行って、放送局サーチの制御を行うことができる。本構成によれば、車両の周辺環境に応じて不要な放送局サーチを抑制することができる。
【0035】
本実施形態においては、受信環境情報は、放送用の電波を遮蔽する特定の場所の検知情報である。特定の場所は、別の言い方をすると、放送波(放送用の電波)を受信する受信機(本実施形態では車載機器100)における放送波の受信感度を低下させる場所であり、例えば、トンネルや、ビルの陰などが該当する。すなわち、本実施形態では、具体例を挙げて表現すると、受信環境情報は、トンネルや、ビルの陰などの検知情報である。
【0036】
判定部113は、特定の場所を検知した場合に、放送局サーチの機能を停止すると判定する。すなわち、判定部113は、例えばトンネルや、ビルの陰などを検知した場合に、放送局サーチの機能を停止する。本構成によれば、トンネル等の特定の場所が検知された場合に放送局サーチの機能を停止することができ、電波の届きにくい場所で不要な放送局サーチが行われることを抑制できる。
【0037】
本実施形態において、学習済みモデル121は、放送用の電波を遮蔽する特定の場所の複数の撮影データを教師データとして機械学習させた学習済みモデルである。教師データとして用いられる撮影データは、走行する車両に搭載されるカメラ(前方カメラ等)で撮影された撮影データであることが好ましい。
【0038】
詳細には、学習済みモデル121は、受信機において放送波を受信出来なかった場所(例えばトンネルやビルの陰)を特定の場所とした複数の撮影データを教師データとして、機械学習させた学習済みモデルであってよい。学習済みモデル121は、車両の周辺を撮影するカメラ9の撮影データを入力されることにより、放送用の電波を遮蔽する特定の場所が撮影されている場合に、当該特定の場所を検知する。例えば、学習済みモデル121は、撮影画像の中に学習した特定の場所との類似度が所定の閾値以上である場所を見つけると、当該場所を特定の場所として検知する。ここでは、類似度が高いほど、特定の場所に似ていることを想定している。また、所定の閾値は任意に設定することができる。特定の場所の検知により、判定部113は、放送局サーチの機能を停止すると判定する。
【0039】
なお、本実施形態において、学習済みモデル121に入力される撮影データは、カメラ9で撮影される静止画データである。学習済みモデル121を生成するために使用される教師データも静止画データである。ただし、学習済みモデル121に入力される撮影データおよび教師データは、場合によっては動画データとされてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、車両に搭載される制御部11が記憶部12に格納される学習済みモデル121を用いて、放送局サーチに関わる判定を行う構成となっている。すなわち、制御装置1は、エッジAI(Artificial Intelligence)を用いて放送局サーチに関わる判定を行う構成となっている。ただし、放送局サーチに関わる判定には、エッジAI以外の手法が用いられてよい。例えば、車両に搭載される装置とインターネット等のネットワークを介して通信可能に設けられるサーバ装置が、学習済みモデルを用いて放送局サーチに関わる判定を行う構成としてもよい。この場合、放送局サーチの制御を行う制御装置は、車両に搭載される装置(例えば車載機器)と、サーバ装置とで構成される。
【0041】
指示部114は、放送局サーチの機能の停止が判定された場合に、放送波の受信による音の再生とは異なる手段での音の再生を指示する。放送局サーチの機能が停止される場合、上述の説明からわかるように、当該機能の停止時点、或いは、当該機能の停止後直ぐに、車両がトンネル等の特定の場所に進入して放送波の受信が出来ない状態となると推定される。放送波の受信とは異なる手段での音の再生を指示することにより、出力されていた音が無くなって無音となったり、雑音のみが出力されたりすることを自動的に避けることができる。すなわち、ユーザが車載機器100を操作してメディアソースの切り替える手間を低減することができる。なお、指示部114は、放送局サーチの機能が停止されており、且つ、受信中の放送波が受信出来なくなった場合に、放送波の受信による音の再生とは異なる手段での音の再生を指示する構成であってもよい。また、指示部114は、場合によっては設けられなくてもよい。
【0042】
本実施形態においては、放送波の受信とは異なる手段での音の再生には、メディアプレーヤ5を利用した音の再生が挙げられる。すなわち、指示部114は、メディアプレーヤ5に代替音の再生を指示する。代替音は、例えば、光ディスク、メモリカード、USB端子を用いた接続機器(USBメモリ、スマートフォン等)等に音声データ(例えば音楽データ)として保持される音であってよい。また、車載機器100が録画機能を備える場合には、代替音は、テレビ放送のコマーシャルの録画データに含まれる音であってもよい。また、車載機器100が録音機能を備える場合には、代替音は、ラジオ放送の録音データの音であってもよい。
【0043】
例えば、ラジオ放送を受信していて放送波の受信が出来なくなった場合には、雑音が出力される。このような点等を考慮して、指示部114は、放送局サーチの機能の停止が判定された場合に、放送波の受信による音の出力の停止を指示する構成としてもよい。これにより、放送波を受信出来ない状態となって雑音のみが出力されるといった状況が生じることを避けられる。なお、指示部114は、放送局サーチの機能が停止されており、且つ、受信中の放送波が受信出来なくなった場合に、放送波の受信による音の出力の停止を指示する構成であってもよい。
【0044】
<3.放送局サーチに関する詳細>
(3-1.放送局サーチ機能の制御)
図3は、本発明の実施形態に係る制御装置1により行われる、放送局サーチ機能の制御処理例を示すフローチャートである。放送局サーチ機能の制御処理は、詳細には、学習済みモデル121を用いて行われる。制御装置1による放送局サーチ機能の制御処理は、例えば、ユーザからの操作指示によりテレビチューナ3又はラジオチューナ4の使用の選択が行われた時点で開始される。
【0045】
なお、放送局サーチの機能は、デフォルトにおいて有効な状態であり、図3に示す処理の開始時点においては、放送局サーチ機能は有効な状態である。放送局サーチ機能が有効とは、受信中の放送局の放送波を受信出来なくなった場合に、受信していた放送局の中継局又は系列局のサーチが自動的に行われる状態である。
【0046】
ステップS1では、判定部113が、取得部112から取得した撮影画像(静止画)を用いて画像認識処理を行う。画像認識処理は、撮影画像データを学習済みモデル121に入力することにより行われる。ここで言う画像認識処理は、撮影画像中の特定の場所(放送用の電波を遮蔽する場所)を認識する処理である。画像認識処理が完了すると、次のステップS2に処理が進められる。
【0047】
ステップS2では、判定部113は、画像認識処理により特定の場所を検知したか否かを判定する。画像認識処理により、撮影画像中において特定の場所が認識された場合が、特定の場所を検知した場合に該当する。例えば、撮影画像中にトンネルの入り口や、トンネル内であると認識される画像が含まれる場合、特定の場所が検知される。本実施形態の構成では、車両が特定の場所に進入する以前に、特定の場所の検知が可能である。特定の場所が検知された場合(ステップS2でYes)、次のステップS3に処理が進められる。特定の場所が検知されなかった場合(ステップS2でNo)、ステップS7に処理が進められる。
【0048】
ステップS3では、判定部113は、放送局サーチの機能を停止すると判定する。特定の場所が検知された場合、放送局サーチを行っても対象となる放送局を見つけられず、無駄にサーチが続けられる状態となると推定されるためである。放送局サーチの機能を停止することで、このようなサーチが続けられる状態を回避して、制御装置1の処理負担を低減することができる。停止判定が行われると、次のステップS4に処理が進められる。
【0049】
ステップS4では、ステップS1と同様の画像認識処理を行う。すなわち、撮影画像中の特定の場所を認識する処理が行われる。なお、画像認識処理に使用される撮影画像はステップS1と異なる撮影画像であり、放送局サーチの機能を停止した後に撮影された撮影画像である。画像認識処理が完了すると、次のステップS5に処理が進められる。
【0050】
ステップS5では、判定部113は、画像認識処理により特定の場所の検知がないか否かを判定する。画像認識処理により、撮影画像中において特定の場所が認識されない場合が、特定の場所の検知がない場合に該当する。例えば、車両がトンネル内に入った状態では、通常、撮影画像中にトンネル内であると認識できる画像が含まれるために、特定の場所の検知ありと判定される。例えば、車両がトンネル内に入った後にトンネル外に出て、新たな特定の場所の検知がない場合には、特定の場所の検知がないと判定される。特定の場所の検知なしと判定された場合(ステップS5でYes)、ステップS6に処理が進められる。特定の場所の検知ありと判定された場合(ステップS5でNo)、ステップS4に処理が戻される。この場合には、放送局サーチの機能の停止が継続される。
【0051】
ステップS6では、車両が放送用の電波を遮蔽する特定の場所に存在せず、さらには、特定の場所に直ぐに到達しないと推定されるために、放送局サーチ機能が再開される。これにより、次に画像認識処理によって特定の場所を検知するまでは、必要に応じて放送局サーチが行われる。放送局サーチ機能が再開されると、次のステップS7に処理が進められる。
【0052】
ステップS7では、動作終了イベントが発生しているか否かが確認される。動作終了イベントは、例えば、テレビチューナ3又はラジオチューナ4を使用している状態から、ユーザが他のメディアソースへの切り替えを指示した場合等である。動作終了イベントが発生している場合(ステップS7でYes)、図3の処理は終了する。動作終了イベントが発生していない場合(ステップS7でNo)、ステップS1に処理が戻される。
【0053】
(3-2.放送局サーチに関わる動作例)
図4は、本発明の実施形態に係る制御装置1の、放送局サーチに関わる動作例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、例えば、ユーザからの操作指示によりテレビチューナ3又はラジオチューナ4の使用の選択が行われた時点で開始される。
【0054】
ステップS11では、制御部11は、ユーザにより選局された放送局を受信出来ない状態であるか否かを監視する。受信出来ない状態であるか否かは、テレビチューナ3やラジオチューナ4から得られる放送波の受信レベルに基づいて判定することができる。選局された放送局を受信できない状態であると判定されると(ステップS11でYes)、次のステップS12に処理が進められる。
【0055】
ステップS12では、制御部11は、放送局サーチ機能が停止されているか否かを判定する。放送局サーチ機能の停止判定は、上述したように、カメラ9から得られる撮影データに基づいて別途行われている。放送局サーチ機能が停止されていない場合(ステップS12でNo)、次のステップS13に処理が進められる。放送局サーチ機能が停止されている場合(ステップS12でYes)、ステップS15に処理が進められる。
【0056】
ステップS13では、制御部11は、サーチ部111による放送局サーチを実施する。すなわち、受信していた放送局の中継局又は系列局のサーチが自動的に行われる。放送局サーチが完了すると、次のステップS14に処理が進められる。
【0057】
ステップS14では、動作終了イベントが発生しているか否かが確認される。動作終了イベントは、例えば、テレビチューナ3又はラジオチューナ4を使用している状態から、ユーザが他のメディアソースへの切り替えを指示した場合等である。動作終了イベントが発生している場合(ステップS14でYes)、図4の処理は終了する。動作終了イベントが発生していない場合(ステップS14でNo)、ステップS11に処理が戻される。
【0058】
ステップS15では、制御部11は、指示部114によって、メディアプレーヤ5を利用した上述の代替音の再生(音楽データの再生等)を指示する。これにより、メディアプレーヤ5が作動して、音楽等が出力される。代替音の再生指示が行われると、次のステップS16に処理が進められる。
【0059】
ステップS16では、制御部11は、放送局サーチ機能の停止解除を監視する。放送局サーチ機能の停止の解除は、上述のように、例えば車両がトンネルから出た場合等に行われる。放送局サーチ機能の停止が解除されると(ステップS16でYes)、次のステップS17に処理が進められる。
【0060】
ステップS17では、制御部11は、代替音の再生停止をメディアプレーヤ5等に指示する。これにより、代替音の再生が停止される。また、制御部11は、受信不能となる前に受信していた放送局の受信を再開する処理を行う。このように構成することにより、例えば車両がトンネルを出た後に、トンネルを入る前に受信していた放送局の再生を行うことができる。ステップS17の処理が完了すると、上述したステップS14に処理が進められる。
【0061】
<4.変形例>
(4-1.第1変形例)
図5は、図4に示す制御装置1の、放送局サーチに関わる動作の変形例を示すフローチャートである。図5では、図4と同様の処理について同じ符号を付している。図4と同様の処理については、特に説明を繰り返す必要がない場合には説明を省略する。
【0062】
上述した実施形態では、受信中の放送波の受信レベルに関係なく、定期的に行われる撮影画像(カメラ9による)に対する画像認識処理の結果に応じて、放送局サーチ機能の停止判定を行う構成とした。そして、図4に示す動作例では、画像認識処理の結果に応じて決まる放送局サーチ機能のオンオフ結果を利用して放送局サーチに関わる処理が行われる構成とした。
【0063】
一方、本例では、受信中の放送波の受信レベルに応じて、放送局サーチ機能の停止判定が行われる構成となっている。すなわち、ステップS11において、ユーザにより選局された放送局を受信出来ない状態となっていると判定される(ステップS11でYes)ことを条件として、放送局サーチ機能を停止するか否かの判定処理が行われる(ステップS12A)。
【0064】
なお、放送局サーチ機能を停止するか否かの判定は、例えば、ステップS11で受信不能と判定された時点等に撮影された撮影画像を用いて判定されてよい。例えば、撮影画像から特定の場所(トンネル内やビルの陰)が検知されると、放送局サーチ機能を停止すると判定され、特定の場所が検知されない場合には放送局サーチ機能が有効である状態を維持すると判定される。
【0065】
放送局サーチ機能が有効である状態を維持すると判定されると(ステップS12AでNo)、ステップS13に処理が進められて放送局サーチが行われる。放送局サーチ機能を停止すると判定されると(ステップS12AでYes)、ステップS15に処理が進められ、代替音を再生する指示が行われる。
【0066】
代替音を再生する指示が完了すると、ステップS16Aに処理が進められる。ステップS16Aでは、放送局サーチ機能を再開するか否かの判定が行われる。なお、放送局サーチ機能を再開させるか否かの判定は、放送局サーチ機能の停止が行われた後に取得される撮影画像(カメラ9による)に対する画像認識処理を行うことによって実行される。ステップS16Aは、特定の場所を検知しない状態となるまで繰り返される。特定の場所を検知しない状態となると、放送局サーチを再開すると判定され(ステップS16AでYes)、次のステップS17に処理が進められる。これにより、代替音の再生停止の指示と、受信不能となる前に受信していた放送局の受信を再開する処理とが行われる。
【0067】
(4-2.第2変形例)
図6は、変形例の制御装置1Aを示すブロック図である。変形例の制御装置1Aは、複数の学習済みモデル121A1、・・・、121An(nは2以上の自然数)を用いて、放送局サーチに関わる判定を行う。この点、1つの学習済みモデル121のみを用いて放送局サーチに関わる判定(停止判定)を行う上述の実施形態とは異なる。
【0068】
本変形例では、判定部113Aは、放送局サーチに関わる判定を、異なる放送局ごとに別々に準備された複数の学習済みモデル121A1、・・・、121Anを用いて行う。なお、ここで言う異なる放送局は、異なる放送波と言い換えられてもよく、両者の意味を含むと解釈されてもよい。
【0069】
複数の学習済みモデル121A1、・・・、121Anは、それぞれ、放送局ごとに受信状態が悪かった場所で撮影された複数の撮影データを教師データとして機械学習させた学習済みモデルである。受信状態が悪かった場所は、例えば、各放送局を受信出来なかった場所であってよい。受信状態が悪かった場所は、各放送局を受信出来なかった場所だけでなく、受信を全く出来なかったわけではないが受信感度が所定の閾値より低く受信出来ない状態に近い状態となった場所が含まれてよい。なお、教師データとして用いられる撮影データは、走行する車両に搭載されるカメラ(前方カメラ等)で撮影された撮影データであることが好ましい。
【0070】
複数の学習済みモデル121A1、・・・、121Anのそれぞれは、カメラ9の撮影画像を入力されることにより、対応する放送局の受信状態が悪くなる場所と類似する場所を類似度と共に出力する。入力された撮影画像中に受信状態が悪くなる場所と類似する場所がない場合には、例えば、場所の出力はせず、類似度をゼロとしてよい。
【0071】
判定部113Aは、放送局サーチを行う必要がある場合に、撮影データを入力される各学習済みモデル121A、・・・、Anから得られる放送局ごとの受信環境情報に応じて選択された放送局を選局対象と判定する。放送局サーチを行う必要がある場合とは、例えば、受信していた放送局の受信が出来なくった時点であってよい。また、放送局サーチを行う必要がある場合とは、上述した実施形態の学習済みモデル121を使用して特定の場所を検知した場合であってもよい。撮影データは、例えば、受信出来なくなった時点、或いは、受信出来なくなった時点の前又は後に撮影された撮影画像であってよい。
【0072】
本変形例において、受信環境情報は、受信状態が悪い場所との類似度である。受信状態が悪い場所との類似度が高い場所は、放送波を受信出来ない可能性が高く、受信環境が悪いと推定できる。受信状態が悪い場所との類似度が低い場所は、放送波を受信出来ない可能性が必ずしも高くなく、受信環境が悪くないと推定できる。
【0073】
判定部113Aは、各学習済みモデル121A1、・・・、Anへの撮影データの入力より得られる類似度を比較する。そして、判定部113Aは、複数の学習済みモデル121A1、・・・、Anのうち、類似度が最も低い結果を出力した学習済みモデルに対応する放送局を選局対象とする判定を行う。この後、判定部113Aにより選局対象とされた放送局のサーチが行われる。
【0074】
特定の地域において、或る放送局は受信し易いが、別の或る放送局は受信し難いといった状況が生じることがある。このような状況が生じた場合に、本変形例の構成は有効である。本変形例によれば、現在受信中の放送局が受信出来なくなった場合でも、無駄な放送局サーチが行われることを抑制して、放送局が受信出来なくなったことに由来する無音や雑音の発生を回避することができる。
【0075】
なお、判定部113Aにより選択対象に判定された放送局に切り替えても受信出来ない場合もあり得る。このような場合には、放送局サーチの機能を一時的に停止する構成としてもよい。
【0076】
<5.留意事項等>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で適宜組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0077】
1、1A・・・制御装置
9・・・カメラ
112・・・取得部
113、113A・・・判定部
114・・・指示部
121、121A1、121An・・・学習済みモデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6