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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189479
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】湿気硬化型ホットメルト接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20221215BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20221215BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20221215BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20221215BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20221215BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20221215BHJP
   C08G 18/30 20060101ALI20221215BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20221215BHJP
   C09J 175/14 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C09J175/06
C08G18/10
C08G18/42 002
C08G18/44
C08G18/48
C08G18/76 057
C08G18/30 070
C09J175/08
C09J175/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098072
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】305044143
【氏名又は名称】積水フーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】中山 賢太
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF16
4J034DF19
4J034DF20
4J034DF21
4J034DF22
4J034DF27
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA18
4J034HC03
4J034HC06
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034QB10
4J034RA08
4J040EF111
4J040EF121
4J040EF131
4J040EF301
4J040GA20
4J040JA08
4J040JB01
4J040JB04
4J040LA01
4J040LA02
4J040LA08
4J040MA10
4J040MA11
4J040MB03
4J040MB05
(57)【要約】
【課題】 本発明は、樹脂接着性及び湿熱接着性に優れている湿気硬化型ホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】 本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、所定の炭素数を有するポリカルボン酸及び所定の炭素数を有するポリオールの縮合重合体である結晶性ポリエステルポリオール、所定の数平均分子量を有する微結晶性ポリエステルポリオール、所定の数平均分子量を有する非結晶性ポリエステルポリオール及び所定の数平均分子量を有するポリエーテルポリオールを含むポリオールと、ポリイソシアネート化合物との反応物であり且つ末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有し、ポリオールは、結晶性ポリエステルポリオール、微結晶性ポリエステルポリオール、非結晶性ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールを所定量ずつ含有していることを特徴とする。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物であり且つ末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含み、
上記ポリオールは、数平均分子量が3000~6000である微結晶性ポリエステルポリオール及び数平均分子量が1000~6000である液状ポリエステルポリオールを含む第1ポリオールと、数平均分子量が500~7000であるポリエーテルポリオール及びひまし油ポリオールからなる群から選ばれた少なくとも一種の第2ポリオールとを含み、
上記ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニルイソシアネートを含む第1ポリイソシアネート化合物と、イソシアヌレート化合物及びビウレット型ポリイソシアネートからなる群から選ばれた少なくとも一種の第2ポリイソシアネート化合物とを含むことを特徴とする湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【請求項2】
上記ポリオールは、上記微結晶性ポリエステルポリオール20~50質量%、上記液状ポリエステル10~50質量%及び上記第2ポリオール1~5質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【請求項3】
上記ポリオールは、カルボキシ基中の炭素を除いた炭素数が2~14であるポリカルボン酸及び炭素数が2~8であるポリオールの縮合重合体である結晶性ポリエステルポリオールと、数平均分子量が500~4000であるポリカーボネートポリオールとを更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【請求項4】
上記結晶性ポリエステルポリオール、上記液状ポリエステルポリオール、上記第2ポリオール、上記結晶性ポリエステルポリオール、上記ポリカーボネートポリオールの総量を100質量%とした時、
上記ポリオールは、上記微結晶性ポリエステルポリオール20~50質量%、上記液状ポリエステルポリオール10~50質量%、上記第2ポリオール1~5質量%、上記結晶性ポリエステルポリオール1~35質量%及び上記ポリカーボネートポリオール1~35質量%を含有していることを特徴とする請求項3に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【請求項5】
上記ウレタンプレポリマー中において、上記ジイソシアネート単位1~20質量%、上記ポリメチレンポリフェニルイソシアネート化合物単位1~10質量%及び上記第2ポリイソシアネート化合物0.1~10質量%を含むことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【請求項6】
上記ポリエーテルポリオールは、ポリプロピレントリオールを含有していることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【請求項7】
120℃における溶融粘度が5000~60000mPa・sであることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化型ホットメルト接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家具、外装材及び内装材などの基材表面に化粧シートを湿気硬化型ホットメルト接着剤を用いて貼り合わせることによって意匠性を付与することが行われている。
【0003】
内装材などの基材においては、従来から木材が多く用いられてきたが、近年、木材の代わりに合成樹脂製の基材が用いられることが多くなってきている。
【0004】
特許文献1には、ポリオール(a)及びイソシアネート化合物(b)の反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物であって、前記ポリオール(a)が、脂環式ポリカーボネートポリオール(a-1)、結晶性ポリエステルポリオール(a-2)、及び、ポリエーテルポリオール(a-3)を含有し、前記イソシアネート化合物(b)が、ジイソシアネート(b-1)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート化合物(b-2)、及び、イソシアヌレート化合物(b-3)を含有するものである湿気硬化型ホットメルト接着剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-97653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記湿気硬化型ホットメルト接着剤は、合成樹脂製の基材に対する接着性が低いという問題点を有している。
【0007】
更に、近年、浴室などの水回りに用いられる基材に湿気硬化型ホットメルト接着剤を用いて化粧シートが貼り合わせられているが、上記湿気硬化型ホットメルト接着剤は、湿度が高く且つ高温下での耐水性(湿熱接着性)が低く、化粧シートが使用しているうちに基材から剥離するという問題点が発生している。
【0008】
本発明は、合成樹脂製の基材に対する接着性(樹脂接着性)に優れていると共に、高い温度下にて湿気の高くなりやすい雰囲気下での使用であっても優れた接着性を維持(湿熱接着性)することができる湿気硬化型ホットメルト接着剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、
ポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物であり且つ末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含み、
上記ポリオールは、数平均分子量が3000~6000である微結晶性ポリエステルポリオール及び数平均分子量が1000~6000である液状ポリエステルポリオールを含む第1ポリオールと、数平均分子量が500~7000であるポリエーテルポリオール及びひまし油ポリオールからなる群から選ばれた少なくとも一種の第2ポリオールとを含み、
上記ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニルイソシアネートを含む第1ポリイソシアネート化合物と、イソシアヌレート化合物及びビウレット型ポリイソシアネートからなる群から選ばれた少なくとも一種の第2ポリイソシアネート化合物とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、合成樹脂製の基材に対して優れた接着性を有していると共に、湿気の高くなりやすい雰囲気下での使用であっても優れた接着性を維持する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、所定のポリオールを含有するポリオールと、所定のポリイソシアネート化合物との反応物であり且つ末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する。ウレタンプレポリマーは、空気及び/又は基材に含まれている水分によって架橋反応を生じて硬化する。
【0012】
ポリオールとポリイソシアネート化合物との反応は、汎用の要領で行なわれればよい。例えば、反応容器中にポリイソシアネート化合物を仕込み、予め水分を除去したポリオールをそれぞれ別に又は添加剤なども含めて混合した後に滴下し、加熱状態で水酸基とイソシアネート基を反応させることによって得ることができる。又は、反応容器中にポリオールや添加剤などを仕込み、加熱溶融して分散させた後に水分を除去し、その後に、ポリイソシアネート化合物を仕込んで、水酸基とイソシアネート基の反応を行ってもよい。ウレタンプレポリマーの製造は通常、無溶剤で行うことができるが、反応を阻害しない溶剤中で行うこともできる。溶剤の具体例としては、例えば、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエンなどが挙げられる。ポリオールの水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応において、必要に応じて、ウレタン化触媒を使用することができる。ウレタン化触媒は、特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。ウレタンか触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0013】
ポリオールとポリイソシアネート化合物との反応において、ポリオール中の水酸基のモル数と、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数との比(イソシアネート基のモル数/水酸基のモル数)は、1.3~4.0が好ましく、1.5~3.0がより好ましい。モル比が1.5以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。モル比が3.0以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0014】
[ポリオール]
湿気硬化型ホットメルト接着剤に含有されているウレタンプレポリマーは、所定のポリオールを含有するポリオール(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)との反応物である。ウレタンプレポリマーは、分子末端にイソシアネート基を有しており、分子両末端にイソシアネート基を有していることが好ましい。
【0015】
ポリオール(A)は、後述する、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)及び液状ポリエステルポリオール(A2)を含む第1ポリオールと、ポリエーテルポリオール(A3)及びひまし油ポリオール(A6)からなる群から選ばれた少なくとも一種の第2ポリオールとを含有している。
【0016】
ポリオール(A)は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)及び液状ポリエステルポリオール(A2)を必須成分として含む一方、ポリエーテルポリオール(A3)及びひまし油ポリオール(A6)の何れか一方又は双方を含む。
【0017】
ポリオール(A)は、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)を更に含有していてもよい。
【0018】
ポリオール(A)中において、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)及び第2ポリオールの総量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%がより好ましい。
【0019】
ポリオール(A)中において、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
【0020】
[第1ポリオール]
第1ポリオールは、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)及び液状ポリエステルポリオール(A2)を含む。
【0021】
[微結晶性ポリエステルポリオール(A1)]
ポリオール(A)は、数平均分子量が3000~6000である微結晶性ポリエステルポリオール(A1)(以下、単に「微結晶性ポリエステルポリオール(A1)」ということがある)を含有している。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)は、ポリカルボン酸とポリオールとの縮合重合体である。即ち、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)は、ポリカルボン酸とポリオールとが、ポリカルボン酸のカルボキシル基とポリオールの水酸基においてエステル反応を生じて縮合重合して得られる重合体である。
【0022】
ポリカルボン酸としては、特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5-ナフタル酸 2,6-ナフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸などが挙げられ、アジピン酸及びテレフタル酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。なお、ポリカルボン酸は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0023】
ポリオールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオールなどが挙げられ、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコールが好ましく、1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。なお、ポリオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0024】
ポリエステルポリオール(A1)は微結晶性である。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)とは、JIS K7121に規定される示差走査熱量測定(DSC)の測定において、10℃/分の昇温速度で測定した融解曲線の吸熱量(以下、単に「吸熱量」ということがある)が2.5cal/g(10J/g)以上で且つ10cal/g(40J/g)未満のポリエステルポリオールである。
【0025】
微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の数平均分子量は、3000以上であり、3500以上が好ましく、4000以上がより好ましい。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の数平均分子量は、6000以下であり、5000以下が好ましく、4800以下がより好ましい。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の数平均分子量が3000以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の数平均分子量が6000以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。
【0026】
本発明において、ポリオールの数平均分子量は下記の要領で測定された値をいう。ポリオールの数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定することができる。具体的には、試料を1.0質量%濃度となるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解させることにより試料溶液を調製する。この試料溶液を用いてGPC法により、標準ポリスチレンを基準として、屈折率検出計を用いてポリオールの数平均分子量を測定する。
【0027】
測定装置としては、例えば、送液装置がLC-9A、屈折率検出計がRID-6A、カラムオーブンがCTO-6A、データ解析装置がC-R4Aからなるシステム(いずれも島津製作所社製)を使用することができる。GPCカラムとしては、例えば、GPC-805(排除限界400万)3本、GPC-804(排除限界40万)1本(以上すべて島津製作所社製)をこの順に接続して使用することができる。又、測定条件は、試料注入量25μL(リットル)で、溶出液テトラヒドロフラン(THF)、送液量1.0mL/分、カラム温度45℃とする。
【0028】
微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価は、20mgKOH/g以上が好ましく、21mgKOH/g以上がより好ましく、22mgKOH/g以上がより好ましく、23mgKOH/g以上がより好ましい。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価は、50mgKOH/g以下が好ましく、40mgKOH/g以下がより好ましく、35mgKOH/g以下がより好ましく、30mgKOH/g以下がより好ましい。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が20mgKOH/g以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上するので好ましい。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が50mgKOH/g以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0029】
なお、本発明において、ポリオールの水酸基価は、ポリオール1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を意味する(JIS K0070:1992 2.1(5))。具体的には、無水酢酸によりポリオール中の水酸基をアセチル化した後、使われなかった無水酢酸を水酸化カリウムで滴定することにより測定できる(JIS K0070:1992 3.1(中和滴定法))。
【0030】
ポリオール(A)中において、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の含有量は、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の含有量は、50質量%以下が好ましく、48質量%以下がより好ましく、45質量%以下がより好ましい。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の含有量が20質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の含有量が50質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。
【0031】
ポリオール(A)が、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及び/又はポリカーボネートポリオール(A5)を更に含有する場合、ポリオール(A)中において、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がより好ましい。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、50質量%以下が好ましく、48量%以下がより好ましく、45質量%以下がより好ましい。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の含有量が20質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。微結晶性ポリエステルポリオール(A1)の含有量が50質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。
【0032】
[液状ポリエステルポリオール(A2)]
ポリオール(A)は、数平均分子量が1000~6000である液状ポリエステルポリオール(A2)(以下、単に「液状ポリエステルポリオール」ということがある)は、ポリカルボン酸とポリオールとの縮合重合体が好ましい。即ち、液状ポリエステルポリオール(A2)は、ポリカルボン酸とポリオールとが、ポリカルボン酸のカルボキシル基とポリオールの水酸基においてエステル反応を生じて縮合重合して得られる重合体であることが好ましい。
【0033】
ポリカルボン酸としては、特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、1,5-ナフタル酸、2,6-ナフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸などが挙げられ、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸及びイソフタル酸を含有していること、又は、アジピン酸、テレフタル酸及び無水フタル酸を含有していることがより好ましい。なお、ポリカルボン酸は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0034】
ポリオールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオールなどが挙げられ、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオールが好ましく、エチレングリコールを含むことがより好ましく、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール及び1,6-ヘキサンジオールを含むことが好ましい。なお、ポリオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0035】
液状ポリエステルポリオール(A2)は1気圧(1.013×105Pa)、20℃において液体である。
【0036】
液状ポリエステルポリオール(A2)の数平均分子量は、1000以上であり、2000以上が好ましく、2200以上がより好ましく、2700以上がより好ましく、2800以上がより好ましい。液状ポリエステルポリオール(A2)の数平均分子量は、6000以下であり、5000以下がより好ましく、4000以下がより好ましく、3800以下がより好ましい。液状ポリエステルポリオール(A2)の数平均分子量が1000以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。液状ポリエステルポリオール(A2)の数平均分子量が6000以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。
【0037】
液状ポリエステルポリオール(A2)の水酸基価は、20mgKOH/g以上が好ましく、21mgKOH/g以上がより好ましく、22mgKOH/g以上がより好ましい。液状ポリエステルポリオール(A2)の水酸基価は、50mgKOH/g以下が好ましく、40mgKOH/g以下がより好ましく、38mgKOH/g以下がより好ましい。液状ポリエステルポリオール(A3)の水酸基価が20mgKOH/g以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。液状ポリエステルポリオール(A3)の水酸基価が50mgKOH/g以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0038】
ポリオール(A)中において、液状ポリエステルポリオール(A2)の含有量は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、液状ポリエステルポリオール(A2)の含有量は、50質量%以下が好ましく、45量%以下がより好ましく、40質量%以下がより好ましく、38質量%以下がより好ましい。液状ポリエステルポリオール(A2)の含有量が10質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。液状ポリエステルポリオール(A2)の含有量が50質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。
【0039】
ポリオール(A)が、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及び/又はポリカーボネートポリオール(A5)を更に含有する場合、ポリオール(A)中において、液状ポリエステルポリオール(A2)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、液状ポリエステルポリオール(A2)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、50質量%以下が好ましく、45量%以下がより好ましく、40質量%以下がより好ましく、38質量%以下がより好ましい。液状ポリエステルポリオール(A2)の含有量が10質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。液状ポリエステルポリオール(A2)の含有量が50質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。
【0040】
[第2ポリオール]
第2ポリオールは、数平均分子量が500~7000であるポリエーテルポリオール(A3)及びひまし油ポリオール(A6)からなる群から選ばれた少なくとも一種のポリオールを含む。
【0041】
[ポリエーテルポリオール(A3)]
ポリオール(A)は、数平均分子量が500~7000であるポリエーテルポリオール(A3)(以下、単に「ポリエーテルポリオール(A3)」ということがある)を含有している。ポリエーテルポリオール(A3)としては、特に限定されない。ポリエーテルポリオール(A3)としては、(1)一般式:HO-(R1-O)p-(式中、R1は炭素数が1~14のアルキレン基を表し、pは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体、(2)ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分にアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシドなど)を付加反応させて得られるポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオール(A3)の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位を含んでいてもよく、又、二種以上の重合体ブロックを含んでいてもよい。なお、ポリエーテルポリオール(A3)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0042】
本発明において、アルキレン基とは、脂肪族飽和炭化水素中の異なる2個の炭素原子に結合する2個の水素原子を除いて生じる2価の原子団であり、直鎖状及び分岐状の双方の原子団を含む。なお、分岐状とは、1個の炭素(メチル基)が側鎖として結合している場合が含まれる。
【0043】
アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基[-CH(CH3)-CH2-]、トリメチレン基[-CH2-CH2-CH2-]、ブチレン基、アミレン基[-(CH25-]、ヘキシレン基などが挙げられる。
【0044】
上述の一般式:HO-(R1-O)p-で表される繰り返し単位を含有する重合体の[-(R1-O)p-]としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド-ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられる。なかでも、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上するので、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体が好ましい。
【0045】
ポリエーテルポリオール(A3)としては、下記式1にて表されるポリプロピレントリオールを含有していることが好ましい。式1中、R4、R5及びR6はそれぞれ、炭素数が1~14のアルキレン基を表す。R4、R5及びR6は、互いに同一であっても相違してもよい。x、y及びzはそれぞれ、繰り返し単位の数であって正の整数である。
【0046】
アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基[-CH(CH3)-CH2-]、トリメチレン基[-CH2-CH2-CH2-]、ブチレン基、アミレン基[-(CH25-]、ヘキシレン基などが挙げられる。
【0047】
【化1】
【0048】
ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分にアルキレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテルポリオールとしては、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上するので、ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分にプロピレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテルポリオール、ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分にエチレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテルポリオールが好ましい。
【0049】
ポリエーテルポリオール(A3)の数平均分子量は、500以上であり、600以上が好ましく、650以上がより好ましく、700以上がより好ましく、750以上がより好ましく、760以上がより好ましい。ポリエーテルポリオール(A3)の数平均分子量は、7000以下であり、6000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、4000以下がより好ましく、3000以下がより好ましく、2500以下がより好ましく、2000以下がより好ましく、1500以下がより好ましい。ポリエーテルポリオール(A3)の数平均分子量が500以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し好ましい。ポリエーテルポリオール(A3)の数平均分子量が7000以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。
【0050】
ポリエーテルポリオール(A3)の水酸基価は、50mgKOH/g以上が好ましく、80mgKOH/g以上がより好ましく、100mgKOH/g以上がより好ましい。ポリエーテルポリオール(A3)の水酸基価は、200mgKOH/g以下が好ましく、180mgKOH/g以下がより好ましく、170mgKOH/g以下がより好ましい。ポリエーテルポリオール(A3)の水酸基価が50mgKOH/g以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ポリエーテルポリオール(A3)の水酸基価が200mgKOH/g以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0051】
ポリオール(A)中において、ポリエーテルポリオール(A3)の含有量は、1質量%以上が好ましく、1.1質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、ポリエーテルポリオール(A3)の含有量は、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。ポリエーテルポリオール(A3)の含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ポリエーテルポリオール(A3)の含有量が5質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し、更に、湿気硬化型ホットメルト接着剤の熱安定性が向上すると共に、塗工時の増粘を抑制して塗工性を向上させることができる。
【0052】
ポリオール(A)が、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及び/又はポリカーボネートポリオール(A5)を更に含有する場合、ポリオール(A)中において、ポリエーテルポリオール(A3)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、1質量%以上が好ましく、1.1質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、ポリエーテルポリオール(A3)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。ポリエーテルポリオール(A3)の含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ポリエーテルポリオール(A3)の含有量が5質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し、更に、湿気硬化型ホットメルト接着剤の熱安定性が向上すると共に、塗工時の増粘を抑制して塗工性を向上させることができる。
【0053】
[ひまし油ポリオール(A6)]
ひまり油ポリオールは、モノカルボン酸であるリシノレイン酸のカルボキシ基と、グリセリンの水酸基とが反応してなるポリオールであり、グリセリンの水酸基及び/又はリシノレイン酸に由来する水酸基を分子中に複数個有している。ひまり油ポリオールは、湿熱接着性が向上するので、1分子中に平均して2~3個の水酸基を有していることが好ましい。
【0054】
ひまし油ポリオール(A6)の数平均分子量は、500以上であり、600以上が好ましく、650以上がより好ましく、700以上がより好ましく、750以上がより好ましく、760以上がより好ましい。ひまし油ポリオール(A6)の数平均分子量は、7000以下であり、6000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、4000以下がより好ましく、3000以下がより好ましく、2500以下がより好ましく、2000以下がより好ましく、1500以下がより好ましい。ひまし油ポリオール(A6)の数平均分子量が500以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し好ましい。ひまし油ポリオール(A6)の数平均分子量が7000以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。
【0055】
ひまし油ポリオール(A6)の水酸基価は、50mgKOH/g以上が好ましく、80mgKOH/g以上がより好ましく、100mgKOH/g以上がより好ましい。ひまし油ポリオール(A6)の水酸基価は、200mgKOH/g以下が好ましく、180mgKOH/g以下がより好ましく、170mgKOH/g以下がより好ましい。ひまし油ポリオール(A6)の水酸基価が50mgKOH/g以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ひまし油ポリオール(A6)の水酸基価が200mgKOH/g以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0056】
ポリオール(A)中において、ひまし油ポリオール(A6)の含有量は、1質量%以上が好ましく、1.1質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、ひまし油ポリオール(A6)の含有量は、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。ひまし油ポリオール(A6)の含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ひまし油ポリオール(A6)の含有量が5質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し、更に、湿気硬化型ホットメルト接着剤の熱安定性が向上すると共に、塗工時の増粘を抑制して塗工性を向上させることができる。
【0057】
ポリオール(A)が、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及び/又はポリカーボネートポリオール(A5)を更に含有する場合、ポリオール(A)中において、ひまし油ポリオール(A6)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、1質量%以上が好ましく、1.1質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、ひまし油ポリオール(A6)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。ひまし油ポリオール(A6)の含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ひまし油ポリオール(A6)の含有量が5質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し、更に、湿気硬化型ホットメルト接着剤の熱安定性が向上すると共に、塗工時の増粘を抑制して塗工性を向上させることができる。
【0058】
ポリオール(A)が、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)及び第2ポリオールを含有していることによって、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性及び湿熱接着性の双方を向上させている。
【0059】
所定の微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)及び第2ポリオールを組み合わせて用いることによって、湿気硬化型ホットメルト接着剤において、樹脂接着性及び湿熱接着性の何れかを損なうことなく、樹脂接着性及び湿熱接着性の双方を向上させている。
【0060】
ポリオール(A)には、湿気硬化型ホットメルト接着剤の効果を損なわない範囲内で、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)及び液状ポリエステルポリオール(A2)以外のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール(A3)以外のポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンなどのポリオールが含有されていてもよい。
【0061】
[結晶性ポリエステルポリオール(A4)]
ポリオール(A)は、結晶性ポリエステルポリオール(A4)を含有していてもよい。結晶性ポリエステルポリオール(A4)は、カルボキシ基(-COOH)中の炭素を除いた炭素数が2~14であるポリカルボン酸と、炭素数が2~8であるポリオールとの縮合重合体である。即ち、結晶性ポリエステルポリオール(A4)は、カルボキシ基中の炭素を除いた炭素数が2~14であるポリカルボン酸と、炭素数が2~8であるポリオールとが、ポリカルボン酸のカルボキシル基とポリオールの水酸基においてエステル反応を生じて縮合重合して得られる重合体である。ポリカルボン酸とポリオールとの縮合重合反応は汎用の方法を用いて行なわれればよい。なお、ポリカルボン酸において規定している、カルボキシ基中の炭素を除いた炭素数とは、分子中に含まれる炭素総数から全てのカルボキシ基中の炭素総数を引いて得られる炭素数をいう。
【0062】
ポリカルボン酸において、カルボキシ基中の炭素を除いた炭素数は2以上が好ましく、10以上がより好ましい。ポリカルボン酸において、カルボキシ基中の炭素を除いた炭素数は14以下が好ましく、12以下がより好ましい。カルボキシ基中の炭素を除いた炭素数が2以上であると、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の結晶性が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上し好ましい。カルボキシ基中の炭素を除いた炭素数が14以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し好ましい。
【0063】
ポリカルボン酸は、2価のカルボン酸(HOOC-R2-COOH)であることが好ましい。2価のカルボン酸であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の溶融粘度を低減することができる。R2の炭素数は、2以上が好ましく、10以上がより好ましい。R2の炭素数は、14以下が好ましく、12以下がより好ましい。R2の炭素数が上記範囲内であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0064】
2は、脂肪族鎖であることが好ましく、直鎖状の脂肪族鎖であることがより好ましい。R2が脂肪族鎖であると、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の結晶性が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し好ましい。R2が直鎖状であると、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の結晶性が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し好ましい。R2が直鎖状とは、炭素が分岐することなく直線状に結合していることをいう。R2は、直鎖状のアルキレン基(-CnHn-)が好ましい。但し、nは自然数である。
【0065】
カルボキシ基(-COOH)中の炭素を除いた炭素数が2~14であるポリカルボン酸は、特に限定されず、例えば、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、デカメチレンジカルボン酸(1,10-デカンジカルボン酸)、1,14-テトラデカンジカルボン酸などが挙げられ、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、デカメチレンジカルボン酸が好ましい。なお、ポリカルボン酸は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0066】
ポリオールの炭素数は2以上が好ましく、4以上がより好ましい。ポリオールの炭素数は8以下が好ましく、6以下がより好ましい。ポリオールの炭素数が2以上であると、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の結晶性が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ポリオールの炭素数が8以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0067】
ポリオールは、2価のアルコール(HO-R3-OH)であることが好ましい。2価のアルコールであると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の溶融粘度を低減することができる。R3の炭素数は2以上が好ましく、4以上がより好ましい。R3の炭素数は8以下が好ましく、6以下がより好ましい。R3の炭素数が上記範囲内であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0068】
3は、脂肪族鎖であることが好ましく、直鎖状の脂肪族鎖であることがより好ましい。R3が脂肪族鎖であると、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の結晶性が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し好ましい。R3が直鎖状であると、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の結晶性が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上し好ましい。R3が直鎖状とは、炭素が分岐することなく直線状に結合していることをいう。R3は、直鎖状のアルキレン基(-CmHm-)が好ましい。但し、mは自然数である。mは、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の結晶性が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上するので、偶数が好ましい。
【0069】
炭素数が2~8であるポリオールは、特に限定されず、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオールなどが挙げられ、1,6-ヘキサンジオール、1、2-エタンジオール(エチレングリコール)が好ましく、1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。なお、ポリオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0070】
結晶性ポリエステルポリオール(A4)は結晶性である。結晶性ポリエステルポリオールとは、JIS K7121に規定される示差走査熱量測定(DSC)の測定において、10℃/分の昇温速度で測定した融解曲線の吸熱量が10cal/g(40J/g)以上であるポリエステルポリオールである。
【0071】
結晶性ポリエステルポリオール(A4)の数平均分子量は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、1800以上がより好ましく、2000以上がより好ましく、2500以上がより好ましく、2800以上がより好ましく、2900以上がより好ましい。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の数平均分子量は、20000以下が好ましく、10000以下がより好ましく、7000以下がより好ましく、6000以下がより好ましく、5000以下がより好ましく、4500以下がより好ましく、4000以下がより好ましく、3500以下がより好ましい。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の数平均分子量が1000以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の数平均分子量が20000以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。
【0072】
結晶性ポリエステルポリオール(A4)の水酸基価は、20mgKOH/g以上が好ましく、25mgKOH/g以上がより好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましい。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の水酸基価は、50mgKOH/g以下が好ましく、45mgKOH/g以下がより好ましく、40mgKOH/g以下がより好ましく、35mgKOH/g以下がより好ましい。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の水酸基価が20mgKOH/g以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の水酸基価が50mgKOH/g以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0073】
ポリオール(A)中において、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の含有量は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の含有量は、35質量%以下が好ましく、33質量%以下がより好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がより好ましい。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の含有量が35質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0074】
ポリオール(A)が、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及び/又はポリカーボネートポリオール(A5)を更に含有する場合、ポリオール(A)中において、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、結晶性ポリエステルポリオール(A4)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、35質量%以下が好ましく、33質量%以下がより好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がより好ましい。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。結晶性ポリエステルポリオール(A4)の含有量が35質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0075】
[ポリカーボネートポリオール(A5)]
ポリオール(A)は、数平均分子量が500~4000であるポリカーボネートポリオール(A5)(以下、単に「ポリカーボネートポリオール(A5)」ということがある)を含有していてもよい。
【0076】
ポリカーボネートポリオール(A5)としては、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、及びポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオールなどが挙げられる。なお、ポリカーボネートポリオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0077】
ポリカーボネートポリオール(A5)の数平均分子量は、500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上がより好ましく、2500以上がより好ましい。ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、4000以下が好ましく、3800以下がより好ましく、3700以下がより好ましい。ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が500以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が4000以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。
【0078】
ポリカーボネートポリオール(A5)の水酸基価は、15mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましく、25mgKOH/g以上がより好ましい。ポリカーボネートポリオール(A5)の水酸基価は、50mgKOH/g以下が好ましく、45mgKOH/g以下がより好ましく、40mgKOH/g以下がより好ましく、35mgKOH/g以下がより好ましい。ポリカーボネートポリオール(A5)の水酸基価が15mgKOH/g以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。ポリカーボネートポリオール(A5)の水酸基価が50mgKOH/g以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0079】
ポリオール(A)中において、ポリカーボネートポリオール(A5)の含有量は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、ポリカーボネートポリオール(A5)の含有量は、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下がより好ましく、11質量%以下がより好ましく、8質量%以下がより好ましい。ポリカーボネートポリオール(A5)の含有量が0.5質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ポリカーボネートポリオール(A5)の含有量が20質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。
【0080】
ポリオール(A)が、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及び/又はポリカーボネートポリオール(A5)を更に含有する場合、ポリオール(A)中において、ポリカーボネートポリオール(A5)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がより好ましい。ポリオール(A)中において、ポリカーボネートポリオール(A5)の含有量は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)、第2ポリオール、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の総量を100質量%とした時、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下がより好ましく、11質量%以下がより好ましく、8質量%以下がより好ましい。ポリカーボネートポリオール(A5)の含有量が0.5質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ポリカーボネートポリオール(A5)の含有量が20質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。
【0081】
[ポリイソシアネート化合物(B)]
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ウレタンプレポリマーを含有しているが、このウレタンプレポリマーは、上記ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)との反応物である。ウレタンプレポリマーは、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)とが、ポリオール(A)の水酸基とポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基とでウレタン結合を形成しながら縮合重合して得られる生成物である。
【0082】
ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含む第1ポリイソシアネート化合物と、イソシアヌレート化合物及びビウレット型ポリイソシアネートからなる群から選ばれた少なくとも一種の第2ポリイソシアネートとを含む。
【0083】
ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを必須成分として含む一方、イソシアヌレート化合物及びビウレット型ポリイソシアネートの何れか一方又は双方を含む。
【0084】
[第1ポリイソシアネート化合物]
ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含む第1ポリイソシアネートを含有する。
【0085】
ジイソシアネートとしては、特に限定されず、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、4,4’体、2,4体、2,2’体又はこれらの混合物)、カルボジイミド変成MDI、カルボジイミド化ジフェニルメタンイソシアネート化合物、トリレンジイソオシアネート(TDI、2,4体、2,6体又はこれらの混合物)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられ、芳香環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環など)を含有するポリイソシアネート化合物が好ましい。ジイソシアネートは、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上するので、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変成MDIが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。なお、ジイソシアネートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0086】
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとしては、下記式2で示され、イソシアネート基を分子中に3個以上有している。式2中、qは自然数であり、1~5の自然数が好ましい。なお、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0087】
【化2】
【0088】
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを用いることによって、湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化物の架橋密度を向上させて湿熱接着性を向上させることができる。
【0089】
[第2ポリイソシアネート化合物]
第2ポリイソシアネート化合物は、イソシアヌレート化合物及びビウレット型ポリイソシアネートからなる群から選ばれた宿なくとも一種のポリイソシアネート化合物を含有している。
【0090】
第2ポリイソシアネート化合物は、イソシアヌレート化合物及びビウレット型ポリイソシアネートの何れか一方又は双方を含む。
【0091】
[イソシアヌレート化合物]
湿気硬化型ホットメルト接着剤において用いられるイソシアヌレート化合物は、ジイソシアネートの三量体であって環状骨格を有し、分子中に複数個(好ましくは3個)のイソシアネート基を含有している。ポリイソシアネート化合物にイソシアヌレート化合物を含有させることによって、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性を向上させている。なお、イソシアヌレート化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0092】
イソシアヌレート化合物はジイソシアネートの三量体であるが、ジイソシアネートとしては、特に限定されず、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、4,4’体、2,4体、2,2’体又はこれらの混合物)、カルボジイミド変成MDI、カルボジイミド化ジフェニルメタンイソシアネート化合物、トリレンジイソオシアネート(TDI、2,4体、2,6体又はこれらの混合物)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0093】
[ビウレット型ポリイソシアネート]
ビウレット型ポリイソシアネートは、分子内に下記式(3)に示す構造を有し且つイソシアネート基を複数個有するポリイソシアネートである。
【0094】
【0095】
ビウレット型ポリイソシアネートとしては、式(3)の窒素原子のそれぞれに、-R7-NCOが結合してなるポリイソシアネートが好ましい。R7は、アルキレン基である。
【0096】
アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基[-CH(CH3)-CH2-]、トリメチレン基[-CH2-CH2-CH2-]、ブチレン基、アミレン基[-(CH25-]、ヘキシレン基などが挙げられる。
【0097】
ウレタンプレポリマーにおいて、ジイソシアネート単位の含有量は、9質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、11質量%以上がより好ましい。ウレタンプレポリマーにおいて、ジイソシアネート単位の含有量は、20質量%以下がより好ましく、13質量%以下がより好ましい。ジイソシアネート単位の含有量が9質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。ジイソシアネート単位の含有量が20質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0098】
ウレタンプレポリマーにおいて、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートの含有量は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上がより好ましい。ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートの含有量は、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6.5質量%以下がより好ましい。ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートの含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化物の架橋密度が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートの含有量が10質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0099】
ウレタンプレポリマーにおいて、第2ポリイソシアネート化合物の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上がより好ましい。第2ポリイソシアネート化合物の含有量は、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がより好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がより好ましい。第2ポリイソシアネート化合物の含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化物の架橋密度が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。第2ポリイソシアネート化合物の含有量が10質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0100】
ウレタンプレポリマーにおいて、イソシアヌレート化合物の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上がより好ましい。イソシアヌレート化合物の含有量は、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がより好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がより好ましい。イソシアヌレート化合物の含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化物の架橋密度が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。イソシアヌレート化合物の含有量が10質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0101】
ウレタンプレポリマーにおいて、ビウレット型ポリイソシアネートの含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上がより好ましい。ビウレット型ポリイソシアネートの含有量は、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がより好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がより好ましい。ビウレット型ポリイソシアネートの含有量が1質量%以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化物の架橋密度が向上し、湿気硬化型ホットメルト接着剤の湿熱接着性が向上する。ビウレット型ポリイソシアネートの含有量が10質量%以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性が向上する。
【0102】
[添加剤]
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、その作用効果を阻害しない範囲で、粘着付与剤、オイル、可塑剤、硬化触媒、安定剤、充填材、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、香料、顔料、染料などの添加剤を含有していてもよい。
【0103】
粘着付与剤としては、特に限定されず、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂などが挙げられる。なお、粘着付与剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0104】
粘着付与剤の環球式軟化点は、常温での湿気硬化型ホットメルト接着剤からの溶出防止及び湿気硬化型ホットメルト接着剤の溶融時に十分に溶融させることができるので、90~150℃が好ましい。粘着付与剤の環球式軟化点は、JIS K6863に準拠して測定された温度である(測定法としてグリセリン浴中に試料を充てんした環を水平に支え、試料中央に置いた球が底板に触れたときの温度を測定する)。
【0105】
オイルとしては、特に限定されず、例えば、一般にゴムの軟化剤としてプロセスオイル、エクステンダーオイル、ソフナーなどと称される公知のオイルに含まれている芳香族成分、ナフテン系オイル、パラフィン系オイルなどが挙げられる。なお、オイルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0106】
可塑剤は、特に限定されず、例えば、ジイソノニルフタレート、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイン酸エステルなどの脂肪酸-塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチルなどの脂肪酸二塩基酸エステル類、オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチルなどの脂肪族エステル類、トリメリット酸エステル類、塩素化パラフィン類、アルキルジフェニル、部分水添ターフェニルなどの炭化水素系可塑剤、プロセスオイル類、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ可塑剤類、ビニル系モノマーを重合して得られるビニル系重合体、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのポリアルキレングリコールのエステル類などが挙げられる。なお、可塑剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0107】
硬化触媒は、湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化性を向上させるために用いられる。硬化触媒としては、特に限定されず、例えば、アミン系硬化触媒、錫系硬化触媒などが挙げられる。なお、硬化触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0108】
アミン系硬化触媒としては、モルホリン系化合物が好ましく、具体的には、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、ビス(2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)プロピル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)ブチル)アミン、トリス(2-(2、6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2、6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2-エチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2-エチル-4-モルホリノ)エチルアミンなどが挙げられる。
【0109】
錫系硬化触媒としては、特に限定されず、例えば、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫などが挙げられる。これらは単独または2種以上併用しても構わない。
【0110】
充填材としては、特に限定されず、例えば、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック、ベントナイト、有機ベントナイト、シラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂や塩化ビニリデン樹脂などの有機ミクロバルーン、ポリ塩化ビニル(PVC)粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末など樹脂粉末などが挙げられる。なお、充填材は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0111】
酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。なお、酸化防止剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0112】
光安定剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、アミン部分が3級アミンであるヒンダードアミン系光安定剤がより好ましい。光安定剤としては、例えば、N.N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6,-ペンタメチル-4-ピペリジル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(1-オクチロキシ-2,2,6,6テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートなどが挙げられる。なお、光安定剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0113】
紫外線吸収剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。なお、紫外線吸収剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0114】
[湿気硬化型ホットメルト接着剤]
湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法は特に限定されない。湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法は、例えば、上述した要領で製造されたウレタンプレポリマーに、必要に応じて添加剤を添加した上で加熱溶融して均一に混合することによって製造することができる。
【0115】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)及び液状ポリエステルポリオール(A2)を含む第1ポリオールと第2ポリオールとを含むポリオール(A)と、ジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含む第1ポリイソシアネート化合物と第2ポリイソシアネートとを含むポリイソシアネート化合物との反応物であるウレタンプレポリマーを含有しているので、特定のポリオールに起因した湿気硬化型ホットメルト接着剤の樹脂接着性の改善効果を阻害することなく、特定のポリイソシアネート化合物(B)を用いて湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化物の架橋密度を向上させており、湿気硬化型ホットメルト接着剤は優れた湿熱接着性を有している。
【0116】
湿気硬化型ホットメルト接着剤の120℃における溶融粘度は、5000~60000mPa・sが好ましく、5500~55000mPa・sがより好ましく、6000~50000mPa・sがより好ましい。湿気硬化型ホットメルト接着剤の120℃における溶融粘度が5000mPa・s以上であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。湿気硬化型ホットメルト接着剤の120℃における溶融粘度が60000mPa・s以下であると、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗工性が向上する。なお、湿気硬化型ホットメルト接着剤の120℃における溶融粘度は、B型粘度計を用いて日本接着剤工業会規格JAI-7-1999に準拠して温度120℃、回転速度20rpmの条件下にて測定して得られた溶融粘度をいう。B型粘度計としては、例えば、ブルックフィールド社から商品名「B型粘度計デジタルレオメーターDVII(ローターNo.29)」にて市販されている。
【0117】
湿気硬化型ホットメルト接着剤の使用要領を説明する。湿気硬化型ホットメルト接着剤を使用するには、湿気硬化型ホットメルト接着剤を70~160℃に加熱して溶融させた後、溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤を基材(被着体)又は表面シート(好ましくは表面シート)に汎用の方法を用いて塗布する。基材上に表面シートを湿気硬化型ホットメルト接着剤を介して貼り合わせる。なお、溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤を基材(被着体)又は表面シート(好ましくは表面シート)に塗布する塗布具としては、例えば、ロールコーター、スプレーコーター、Tダイコーター、ナイフコーターなどが挙げられる。
【0118】
しかる後、湿気硬化型ホットメルト接着剤を好ましくは20~25℃にて相対湿度50~60%の環境下に120~200時間に亘って放置することによって、湿気硬化型ホットメルト接着剤を空気、基材(被着体)又は表面シートなどに含まれる水分(湿気)によって硬化させて、表面シートを基材上に接着一体化することができる。
【0119】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、優れた樹脂接着性を有しているので、基材の表面が合成樹脂から形成されている場合であっても、表面シートを基材表面に強固に接着一体化させることができる。
【0120】
基材又は基材の表面を構成している材料としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、SPC、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン、メラミン樹脂などの合成樹脂などが挙げられる。
【0121】
表面シートとしては、例えば、化粧シートなどが挙げられる。化粧シートとしては、特に限定されず、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂を含む合成樹脂シート、紙、突板、金属箔などが挙げられる。なお、化粧シートは、その表面に色や模様を付すことにより装飾性が高められていてもよい。
【0122】
基材の表面に表面シートを湿気硬化型ホットメルト接着剤を用いて一体的に貼り合わせて得られた化粧材は、例えば、フローリング、木質ドアの框や鏡板、窓枠、敷居、手すり、幅木、回り縁や、台所、浴室、洗面台及びクローゼットなどの外装材、内装材及び家具として好ましく用いられる。
【0123】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は優れた湿熱接着性を有していることから、湿気硬化型ホットメルト接着剤を用いて形成された化粧材は、台所、浴室、洗面台などの水回りに用いられても、表面シートが基材から剥離するという不測の事態は殆ど発生せず、化粧材は、長期間に亘って美麗な外観を保持することができる。
【実施例0124】
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0125】
実施例及び比較例において用いられたポリオール(A)及びポリイソシアネート化合物(B)を下記に示す。
【0126】
[ポリオール(A)]
[第1ポリオール]
[微結晶性ポリエステルポリオール(A1)]
・微結晶性ポリエステルポリオール(A1)(豊国製油社製 商品名「HS 2H-458T」、吸熱量:6cal/g、水酸基価:25mgKOH/g、数平均分子量:4500、アジピン酸及びテレフタル酸と、1,6-ヘキサンジオールとの縮合重合体)
【0127】
[液状ポリエステルポリオール(A2)]
・液状ポリエステルポリオール(A21)(豊国製油社製 商品名「HS 2F-305S」、1気圧(1.013×105Pa)及び20℃にて液体、水酸基価:36mgKOH/g、数平均分子量:3100、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール及び1,6-ヘキサンジオールと、アジピン酸、セバシン酸及びイソフタル酸との縮合重合体)
・液状ポリエステルポリオール(A22)(豊国製油社製 商品名「HSポリオール2000」、1気圧(1.013×105Pa)及び20℃にて液体、水酸基価:32mgKOH/g、数平均分子量:3500、アジピン酸、テレフタル酸及び無水フタル酸と、エチレングリコールとの縮合重合体)
【0128】
[第2ポリオール]
[ポリエーテルポリオール(A3)]
・ポリエーテルポリオール(A3)(AGC社製 商品名「エクセノール1030」、ポリプロピレントリオール、式1において、R4:プロピレン基、R5:プロピレン基、R6:プロピレン基、水酸基価:160mgKOH/g、数平均分子量:1000)
【0129】
[ひまし油ポリオール(A6)]
・ひまし油ポリオール(A6)(豊国製油社製 商品名「TLM」、グリセリンとリシノレイン酸との反応物、1分子中に平均して2.7個の水酸基を有する、水酸基価:160mgKOH/g、数平均分子量:950)
【0130】
[結晶性ポリエステルポリオール(A4)]
・結晶性ポリエステルポリオール(A41)(宇部興産社製 商品名「エタナコール3010」、吸熱量:25cal/g、水酸基価:30mgKOH/g、数平均分子量:3500、1,12-ドデカン二酸と1,6-ヘキサンジオールとの縮合重合体、1,12-ドデカン二酸におけるカルボキシ基中の炭素を除いた炭素数:10、1,6-ヘキサンジオールの炭素数:6)
・結晶性ポリエステルポリオール(A42)(エボニックデグザ社製 商品名「ダイナコール7380」、吸熱量:25cal/g、水酸基価:30mgKOH/g、数平均分子量:3500、1,12-ドデカン二酸と1,6-ヘキサンジオールとの縮合重合体、1,12-ドデカン二酸におけるカルボキシ基中の炭素を除いた炭素数:10、1,6-ヘキサンジオールの炭素数:6)
【0131】
[ポリカーボネートポリオール(A5)]
・ポリカーボネートポリオール(A5)(宇部興産社製 商品名「エタナコールUH-300」、ジメチルカーボネートと1,6-ヘキサンジオールとの縮合重合体であり且つ両末端に水酸基を有する、水酸基価:38mgKOH/g、数平均分子量:3500)
【0132】
[難燃剤]
・トリフェニルフォスフェート
【0133】
[ポリイソシアネート化合物(B)]
[ジイソシアネート]
・4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
【0134】
[ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート]
・ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、式2のq:1~5の整数)
【0135】
[イソシアヌレート化合物]
・イソシアヌレート化合物1(ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体(イソシアヌレート体)、旭化成社製 商品名「TPA-100」)
・イソシアヌレート化合物2(イソホロンジイソシアネートの三量体(イソシアヌレート体)、エボニック・ジャパン社製 商品名「VESTANAT T 1890 SN」、70質量%溶液、表にはイソシアヌレート化合物2のみの量を記載)
【0136】
[ビウレット型ポリイソシアネート]
・ビウレット型ポリイソシアネート(旭化成社製 商品名「24A-100」、HDIビウレット型ポリイソシアネート)
【0137】
[難燃剤]
・トリフェニルフォスフェート(TPP、大八化学工業社製、分子量:326、融点:48.6℃)
【0138】
(実施例1~23、比較例1~4)
撹拌羽を備えた3リットルの4ツ口フラスコに、ポリオール(A)を表1~3に示した所定量ずつ供給し、120℃に加熱溶融して混合した後に、フラスコ内を1mmHg以下まで減圧してポリオール(A)を脱水処理した。フラスコ内を窒素パージした後、ポリオール(A)を80℃に保持した。
【0139】
なお、ポリオール(A)において、微結晶性ポリエステルポリオール(A1)、液状ポリエステルポリオール(A2)及びポリエーテルポリオール(A3)、結晶性ポリエステルポリオール(A4)及びポリカーボネートポリオール(A5)の含有割合(質量%)を表1~3に示した。
【0140】
フラスコ内に、ポリイソシアネート化合物(B)として4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート及びイソシアヌレート化合物と、トリフェニルフォスフェートとを供給し、窒素雰囲気下にて、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)とを80℃にて3時間反応させてウレタンプレポリマーを製造した。
【0141】
得られたウレタンプレポリマーを80℃に保持した状態で、ウレタンプレポリマーに、表1に示した所定量のトリフェニルフォスフェートを難燃剤として添加して湿気硬化型ホットメルト接着剤を製造した。得られた湿気硬化型ホットメルト接着剤は、25℃で固体であった。
【0142】
得られた湿気硬化型ホットメルト接着剤について、120℃における溶融粘度を上述の要領で測定し、その結果を表1~3に示した。
【0143】
得られた湿気硬化型ホットメルト接着剤について、常態耐熱クリープ(樹脂接着性)及び湿熱連続クリープ(湿熱接着性)を下記の要領で測定し、その結果を表1~3に示した。
【0144】
[常態耐熱クリープ(樹脂接着性)]
湿気硬化型ホットメルト接着剤を120℃に加熱して溶融させた。溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤を平面長方形状(縦150cm×横50cm)で且つ厚みが180μmのポリオレフィン系樹脂シートの一面全面に塗工厚み40μmで塗工した。
【0145】
次に、表面温度を40℃に保持した炭酸カルシウムとポリ塩化ビニルとからなるSPC(Stone Plastic Composite)製の板状の基材の表面に、ポリオレフィン系樹脂シートを湿気硬化型ホットメルト接着剤が基材側となるように重ね合わせた後、ポリオレフィン系樹脂シート上にゴムロールを転動させて、積層シートを作製した。積層シートから幅1インチ(2.54cm)、長さ15cmの短冊状の試験片を切り出した。
【0146】
得られた試験片を23℃、相対湿度55%の雰囲気下にて1週間に亘って養生して湿気硬化型ホットメルト接着剤を湿気硬化させた。
【0147】
ポリオレフィン系樹脂シートが下側となるようにして試験片をその主面が水平方向となるように配設した。ポリオレフィン系樹脂シートの長さ方向の一端部に500g/1インチの荷重を加え、この状態を維持したまま、試験片を60℃の雰囲気下にて24時間放置し、ポリオレフィン系樹脂シートが基材から剥離した長さ(mm)を測定した。なお、比較例1、2及び5は、試験開始から24時間以内にポリオレフィン系樹脂シートが全長に亘って基材から剥離したので、測定できなかった。
【0148】
[湿熱連続クリープ(湿熱接着性)]
常態耐熱クリープの測定時と同様の要領で試験片を作製した。ポリオレフィン系樹脂シートが下側となるようにして試験片をその主面が水平方向となるように配設した。ポリオレフィン系樹脂シートの長さ方向の一端部に70g/25mmの荷重を加え、この状態を維持したまま、試験片を85℃及び相対湿度85%の雰囲気下にて30日間放置し、ポリオレフィン系樹脂シートが基材から剥離した長さ(剥離長さ)(mm)を測定した。なお、比較例1~4は、試験開始から30日以内にポリオレフィン系樹脂シートが全長に亘って基材から剥離したので、測定できなかった。
【0149】
試験開始から30日を経過した時点において、ポリオレフィン系樹脂シートの一部が基材に貼着している試験片については、更に同条件で放置し、ポリオレフィン系樹脂シートが基材から全て剥離するまでに経過した日数(剥離日数)を測定した。
【0150】
【表1】
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】