(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189482
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】言語学習用機器、言語学習用システム及び音声記録媒体
(51)【国際特許分類】
G09B 19/06 20060101AFI20221215BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G09B19/06
H04R1/10 101B
H04R1/10 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098080
(22)【出願日】2021-06-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】521256791
【氏名又は名称】富士音響技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 英二
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA11
5D005BB01
(57)【要約】
【課題】ユーザの自習性に依存することなく、手軽に効率的に語学学習を行える新規かつ改良された言語学習用機器、言語学習用システム及び音声記録媒体を提供する。
【解決手段】言語学習用ヘッドフォン110は、耳に装着可能なイヤーカップ112を備えたものであって、イヤーカップ112は複数の音声出力部114を備え、複数の音声出力部114には、3つの音源120(120-1~120-3)から、それぞれ異なる音声供給タイミングで同一の言語音声が供給されることを特徴とする。かかる構成によれば、3つの音源120から、それぞれ異なる音声供給タイミングで同一の言語音声が供給されることで、言語を聞き取る力を強化することができる。よって、ユーザの自習性に依存することなく、手軽に効率的に語学学習を行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳に装着可能な耳装着部を備えた言語学習用機器であって、
前記耳装着部は複数の音声出力部を備え、
複数の前記音声出力部には、1又は2以上の音源から、それぞれ異なる音声供給タイミングで同一の言語音声が供給されることを特徴とする、言語学習用機器。
【請求項2】
複数の前記音声出力部は、複数の前記音源に一対一対応で接続されることを特徴とする、請求項1に記載の言語学習用機器。
【請求項3】
複数の前記音声出力部は、個別にオン・オフが可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の言語学習用機器。
【請求項4】
前記音声供給タイミングを手動で設定するためのタイミング手動設定部をさらに備えたことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の言語学習用機器。
【請求項5】
前記音声供給タイミングを自動で設定するタイミング自動設定部をさらに備えたことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の言語学習用機器。
【請求項6】
前記タイミング自動設定部は、前記音声供給タイミングの設定を、所定周期で変更することを特徴とする、請求項5に記載の言語学習用機器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の言語学習用機器と、前記言語学習用機器に接続される1又は2以上の音源と、からなる言語学習用システム。
【請求項8】
前記音源は、個別にオン・オフが可能であることを特徴とする、請求項7に記載の言語学習用システム。
【請求項9】
1又は2以上の前記音源は、前記音声供給タイミングを手動で設定するためのタイミング手動設定部をさらに備えたことを特徴とする、請求項7又は8に記載の言語学習用システム。
【請求項10】
1又は2以上の前記音源は、前記音声供給タイミングを自動で設定するタイミング自動設定部をさらに備えたことを特徴とする、請求項7~9のいずれかに記載の言語学習用システム。
【請求項11】
前記タイミング自動設定部は、前記音声供給タイミングの設定を、所定周期で変更することを特徴とする、請求項10に記載の言語学習用システム。
【請求項12】
前記音源による前記音声供給タイミングのずれは、すべて10ミリ秒以下であることを特徴とする、請求項7~11のいずれかに記載の言語学習用システム。
【請求項13】
さらに、1又は2以上の前記音源からの出力を音声記録媒体に記録する記録手段を設けたことを特徴とする、請求項7~12のいずれかに記載の言語学習用システム。
【請求項14】
請求項13に記載の言語学習用システムの前記記録手段により前記音源からの出力が記録された音声記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、言語学習用機器、言語学習用システム及び音声記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の言語学習用ヘッドフォンとして、特開平09-044070号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献に開示される言語学習用ヘッドフォンにおいては、生徒は、モニタ装置に表示された映像とクローズドキャプション信号とを見ながら、教材用の会話音声を真似て発音する。生徒の発音は録音・再生装置によりクローズドキャプション信号に対応付けられて記憶される。さらに、生徒が教材用の音声・映像信号の所望の部分と、録音・再生装置に記録された自分の発音とを再生させ、これらを比較視聴して発音の矯正をしながら英語等の語学学習を進める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来のヘッドフォンでは、発音の矯正をしながら英語等の語学学習を進めることができるものの、学習効率は生徒の自主性に委ねられる。すなわち、発音、再生、比較視聴などを生徒が自主的に行わなければならない。生徒の属性によらず、より効率的に語学学習を行える言語学習用ヘッドフォンが希求されていた。
【0005】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ユーザの自習性に依存することなく、手軽に効率的に語学学習を行える新規かつ改良された言語学習用機器、言語学習用システム及び音声記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、耳に装着可能な耳装着部を備えた言語学習用機器であって、前記耳装着部は複数の音声出力部を備え、複数の前記音声出力部には、1又は2以上の音源から、それぞれ異なる音声供給タイミングで同一の言語音声が供給されることを特徴とする、言語学習用機器が提供される。
【0007】
かかる構成によれば、1又は2以上の音源から、それぞれ異なる音声供給タイミングで同一の言語音声が供給されることで、言語を聞き取る力を強化することができる。よって、ユーザの自習性に依存することなく、手軽に効率的に語学学習を行うことができる。
【0008】
本発明は様々な応用が可能である。例えば、複数の前記音声出力部は、複数の前記音源に一対一対応で接続されるようにしてもよい。音源が1つで遅延させるようにしてもよいが、音源が複数にすることで、音声を遅延させる手段を設ける必要がなくなる。
【0009】
また、複数の前記音声出力部は、個別にオン・オフが可能であってもよい。学習の効果はユーザや環境によって様々であり、未発見の効果的視聴パターンが存在し得る。このため、複数の音声出力部を個別にオン・オフが可能な構成とすることにより、視聴パターン(視聴組み合わせ)を多くすることができ、より効果的な学習が可能である。
【0010】
また、前記音声供給タイミングを手動で設定するためのタイミング手動設定部をさらに備えるようにしてもよい。ユーザの好みや習熟度に合わせて、ユーザがタイミングを自分で設定できる。
【0011】
また、前記音声供給タイミングを自動で設定するタイミング自動設定部をさらに備えるようにしてもよい。音声供給のタイミングをタイミング自動設定部にお任せでき、利便性が高い。
【0012】
前記タイミング自動設定部は、前記音声供給タイミングの設定を、所定周期で変更するようにしてもよい。音声の耳慣れを防止し、学習効率を上げられる。
【0013】
本発明の第2の観点によれば、上記本発明の第1の観点にかかる言語学習用機器と、前記言語学習用機器に接続される1又は2以上の音源と、からなる言語学習用システムが提供される。かかるシステムによれば、上記第1の観点と同様の効果が得られる。
【0014】
また、1又は2以上の前記音源は、前記音声供給タイミングを手動で設定するためのタイミング手動設定部をさらに備えるようにしてもよい。ユーザの好みや習熟度に合わせて、ユーザがタイミングを自分で設定できる。
【0015】
前記音源は、個別にオン・オフが可能であってもよい。学習の効果はユーザや環境によって様々であり、未発見の効果的視聴パターンが存在し得る。このため、音源を個別にオン・オフが可能な構成とすることにより、視聴パターン(視聴組み合わせ)を多くすることができ、より効果的な学習が可能である。なお、上述したように、複数の音声出力部を個別にオン・オフが可能とした場合には、音声出力部のオン・オフと、これに対応する音源のオン・オフとを同期させるようにしてもよい。
【0016】
また、1又は2以上の前記音源は、前記音声供給タイミングを自動で設定するタイミング自動設定部をさらに備えるようにしてもよい。タイミングが自動で設定されるので、設定が容易である。
【0017】
また、前記タイミング自動設定部は、前記音声供給タイミングの設定を、所定周期で変更するようにしてもよい。音声の耳慣れを防止し、学習効率を上げられる。
【0018】
また、前記音源による前記音声供給タイミングのずれは、複数の音声が微妙に重なった、又は微妙に重ならない程度が好ましい。具体的には、音源による音声供給タイミングのずれは、すべて20ミリ秒以下が好ましく、10ミリ秒以下であることがさらに好ましい。10ミリ秒であることが最も学習効率が高い。
【0019】
また、さらに、1又は2以上の前記音源からの出力を音声記録媒体に記録する記録手段を設けてもよい。音声記録媒体を再生するだけで簡単にタイミングのずれた音声で学習することができる。
【0020】
本発明の第3の観点によれば、上記本発明の第2の観点の言語学習用システムの前記記録手段により前記音源からの出力が記録された音声記録媒体が提供される。この音声記録媒体は、異なる音声供給タイミングで同一の言語音声が供給されたものである。汎用的なヘッドフォンを用いてこの音声記録媒体を聞くことにより、上記本発明の第1、第2の観点に準じた効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザの自習性に依存することなく、手軽に効率的に語学学習を行える新規かつ改良された言語学習用機器、言語学習用システム及び音声記録媒体を提供することができる。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態の言語学習用システム100の概略構成を示す図である。
【
図2】言語学習用ヘッドフォン110の斜視図である。
【
図3】音声タイミングを等間隔にした状態を説明するための図であり、(a)は音声タイミングの基準の状態であり、(b)は音声供給タイミングを長くした状態であり、(c)は音声供給タイミングを短くした状態である。
【
図4】音声タイミングをランダム間隔にした状態を説明するための図であり、(a)は音声タイミングの第1の状態であり、(b)は音声タイミングの第2の状態である。
【
図5】第2の実施形態の言語学習用システム200の音声出力部214の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る言語学習用システム100の全体の構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の言語学習用システム100の概略構成を示す図である。言語学習用システム100は、
図1に示したように、言語学習用ヘッドフォン110(言語学習用機器)と、言語学習用ヘッドフォン110に接続される3つの音源120(120-1~120-3)と、からなる。言語学習用ヘッドフォン110は、耳に装着可能なイヤーカップ112(耳装着部)を備えている。イヤーカップ112は、3つの音声出力部114(114-1~114-3)を備える。そして、3つの音声出力部114-1~114-3には、3つの音源120-1~120-3から、それぞれ異なる音声供給タイミングで同一の言語音声が供給されることを特徴とする。以下、言語学習用システム100の各構成要素について説明する。
【0025】
(言語学習用ヘッドフォン110)
言語学習用ヘッドフォン110(言語学習用機器)について、
図1に加えさらに
図2を参照しながら説明する。
図2は、言語学習用ヘッドフォン110の斜視図である。言語学習用ヘッドフォン110は、一般的なヘッドフォンと同様に、左右の耳に装着可能なイヤーカップ112(耳装着部)と、左右のイヤーカップ112を連結し、頭に支持されることが可能なヘッドフォンセット116と、を備える。
【0026】
左右のイヤーカップ112は、
図1に示したように、3つの音声出力部114-1~114-3をそれぞれ備えている。3つの音声出力部114-1~114-3は、イヤーカップ112の周方向に等間隔に配置されている。各音声出力部114-1~114-3は、コード118-1~118-3によってそれぞれ別々の音源120-1~120-3に接続されている。各コード118-1~118-3は、
図2に示したように、左右のイヤーカップ112の底部からそれぞれ導出されている。
【0027】
音声出力部114-1~114-3は、個別にオン・オフが可能であってもよい。学習の効果はユーザや環境によって様々であり、未発見の効果的視聴パターンが存在し得る。このため、複数の音声出力部を個別にオン・オフが可能な構成とすることにより、視聴パターン(視聴組み合わせ)を多くすることができ、より効果的な学習が可能である。
【0028】
(音源120)
音源120は、言語学習用ヘッドフォン110に音声を出力するものである。音源120は、
図1に示したように、3つ設けられている。各音源120-1~120-3には、左右のイヤーカップ112から導出されている各コード118-1~118-3がそれぞれ接続されている。各音源120-1~120-3には、それぞれオン・オフ用のスイッチ122-1~122-3が設けられている。各音源120-1~120-3は、言語学習用ヘッドフォン110の各音声出力部114-1~114-3に対して、それぞれ異なるタイミングで同一の言語音声を供給する。言語音声の供給のタイミングについてはさらに後述する。
【0029】
なお、上述したように、複数の音声出力部114-1~114-3を個別にオン・オフが可能とした場合には、音声出力部114-1~114-3のオン・オフと、これに対応する音源120-1~120-3のオン・オフとを同期させるようにしてもよい。また、音源120-1~120-3のオン・オフ用のスイッチは、共通の1つのスイッチで同時にオン・オフさせてもよい。
【0030】
以上、言語学習用システム100の構成について説明した。以下、言語学習用システム100の作用について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
図3は、音声タイミングを等間隔にした状態を説明するための図である。
図4は、音声タイミングをランダム間隔にした状態を説明するための図である。
【0031】
言語学習用システム100で言語学習をする際に、ユーザは、まず、言語学習用ヘッドフォン110を装着する。次に、3つの音源120-1~120-3のスイッチ122-1~122-3を順にオンにする。すると、3つの音源120-1~120-3から順に音声V1、V2、V3が出力する。3つの音源120-1~120-3のスイッチ122-1~122-3をオンにするタイミングを10ミリ秒ずつずらすと、
図3(a)に示したように音声V1、V2、V3が出力する。
図3(a)において、音声V2が出力される時刻t11は10ミリ秒であり、音声V3が出力される時刻t12は20ミリ秒である。
【0032】
3つの音源120-1~120-3のスイッチ122-1~122-3をオンにするタイミングを変更すると、音声V1、V2、V3が出力されるタイミングが変更される。すなわち、スイッチ122-1~122-3をオンにするタイミングを20ミリ秒ずつずらすと、
図3(b)に示したように、音声V1、V2、V3が出力される。
図3(b)において、音声V2が出力される時刻t21は20ミリ秒であり、音声V3が出力される時刻t22は40ミリ秒である。
【0033】
また。スイッチ122-1~122-3をオンにするタイミングを5ミリ秒ずつずらすと、
図3(c)に示したように音声V1、V2、V3が出力される。
図3(c)において、音声V2が出力される時刻t31は5ミリ秒であり、音声V3が出力される時刻t32は10ミリ秒である。
【0034】
また、3つの音源120-1~120-3のスイッチ122-1~122-3をオンにするタイミングをランダムに変更すると、音声V1、V2、V3が出力されるタイミングがランダムに変更される。すなわち、スイッチ122-1をオンにしてからスイッチ122-2をオンにするまでの間隔が20ミリ秒であり、スイッチ122-2をオンにしてからスイッチ122-3をオンにするタイミングが5ミリ秒であると、
図4(a)に示したように、音声V1、V2、V3が出力される。
図4(a)において、音声V2が出力される時刻t41は20ミリ秒であり、音声V3が出力される時刻t42は25ミリ秒である。
【0035】
また、スイッチ122-1をオンにしてからスイッチ122-2をオンにするまでの間隔が5ミリ秒であり、スイッチ122-2をオンにしてからスイッチ122-3をオンにするタイミングが20ミリ秒であると、
図4(b)に示したように、音声V1、V2、V3が出力される。
図4(b)において、音声V2が出力される時刻t51は5ミリ秒であり、音声V3が出力される時刻t52は25ミリ秒である。
【0036】
音源120-1~120-3による音声供給タイミングのずれは、20ミリ秒以下であることが好ましく、10ミリ秒程度であることがさらに好ましい。遅延タイミングに関しては、最も効果的なのは音声V1、V2、V3が微妙に重なった、又は微妙に重ならない程度が好ましく、具体的には、20ミリ秒以下が好ましく、10ミリ秒差程が最も学習効率が高い。
【0037】
なお、本実施形態の言語学習用システムに100に、さらに音声を記録する記録手段を設けて、音源120-1~120-3から出力された音声V1、V2、V3を音声記録媒体に記録するようにしてもよい。
【0038】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、3つの音源120-1~120-3から、それぞれ異なる音声供給タイミングで同一の言語音声が供給されることで、言語を聞き取る力を強化することができる。よって、ユーザの自習性に依存することなく、手軽に効率的に語学学習を行うことができる。
【0039】
また、音源120-1~120-3を複数にすることで、音声V1~V3を遅延させる手段を設ける必要がなくなる。
【0040】
また、ユーザの好みや習熟度に合わせて、ユーザがタイミングを自分で設定できる。
【0041】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る言語学習用システム200の構成について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、第2の実施形態の言語学習用システム200の音源220の斜視図である。本実施形態は、音源220の構成が第1の実施形態の音源120と相違する。その他の点は上記第1の実施形態と同様に構成することができる。本実施形態では、主に上記第1の実施形態と相違する点について説明する。
【0042】
音源220は、
図5に示したように、音声供給タイミングを自動で設定するタイミング手動設定部230をさらに備える。タイミング手動設定部230は、言語学習用ヘッドフォン110のコード118-1~118-3に連結されている。出力時間を設定するダイヤル232-1~232-3と、出力時間を表示する表示部234-1~234-3とを備える。
【0043】
タイミング手動設定部230は、音源220から供給された音声を表示部234-1~234-3で表示されているタイミングで言語学習用ヘッドフォン110に出力する。すなわち、表示部234-1で表示されているタイミングでコード118-1に音声V1が出力される。また、表示部234-2で表示されているタイミングでコード118-2に音声V2が出力され、表示部234-3で表示されているタイミングでコード118-3に音声V3が出力される。
【0044】
なお、タイミング手動設定部230は音源220と別体に構成されていてもよい。また、言語学習用ヘッドフォン110のコード118-1~118-3はタイミング手動設定部230と一体化されていてもよく、着脱自在とされていてもよい。
【0045】
以上、本実施形態の言語学習用システム200の構成について説明した。以下、言語学習用システム200の作用について説明する。ユーザは、予めダイヤル232-1~232-3を操作して、音声V1、V2、V3を出力させたい時刻を設定する。設定する時刻は、
図5に示したように、表示部234-1~234-3に表示されるため、容易に時刻が設定される。例えば、音声V1は遅延させずにそのまま出力するため「0」(0ミリ秒の意味)に設定する。そして、音声V2は音声V1より5ミリ秒遅延させるため「5」に設定し、音声V3は音声V1より10ミリ秒遅延させるため「10」に設定する。
【0046】
そして、ユーザは、言語学習用ヘッドフォン110を装着し、音源220のスイッチ222をオンにする。音源220から出力される音声はタイミング手動設定部230で設定された時刻で出力される。
【0047】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、タイミング手動設定部230を用いて、ユーザの好みや習熟度に合わせて、ユーザがタイミングを自分で予め設定できる。
【0048】
また、タイミング手動設定部230によって、1つの音声をタイミングをずらした複数の音声V1、V2、V3として出力することができるため、音源220は1つ設けるだけでよい。
【0049】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る言語学習用システムの構成について説明する。本実施形態は、上記第1、第2実施形態の応用であり、音声供給タイミングを自動で設定するタイミング自動設定部をさらに備えたことを特徴とする。タイミング自動設定部は、上記第2の実施形態のタイミング手動設定部230に代えて、またはタイミング手動設定部230とともに備えることができる。その他の点は上記第1、第2の実施形態と同様に構成することができる。
【0050】
タイミング自動設定部によるタイミング設定は、ランダムに設定してもよく、過去にタイミング手動設定部230で設定された履歴に基づいて、履歴の中からランダムに設定してもよい。
【0051】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、音声供給のタイミングをタイミング自動設定部にお任せでき、利便性が高い。
【0052】
(第4の実施形態の効果)
第4の実施形態に係る言語学習用システムの構成について説明する。本実施形態は、上記第3の実施形態の応用であり、タイミング自動設定部は、音声供給タイミングの設定を、所定周期で変更することを特徴とする。その他の点は上記第3の実施形態と同様に構成することができる。
【0053】
(第4の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、音声の耳慣れを防止し、学習効率を上げられる。
【0054】
(応用例)
上記実施形態の応用例について説明する。本応用例では、上記第2の実施形態のタイミング手動設定部230の機能、又は上記第3、第4の実施形態のタイミング自動設定部の機能を、上記第1の実施形態の言語学習用ヘッドフォンの側に設けたことを特徴とする、その他の点は上記実施形態と同様に構成することができる。
【0055】
タイミング手動設定部又はタイミング自動設定部の機能は、言語学習用ヘッドフォンの任意の位置に設けることができる。例えば、イヤーカップに設けてもよく、ヘッドフォンセットに設けてもよい。また、コードの途中に設けてもよい。コードの途中にリモコンを設けるときには、そのリモコンに当該機能を持たせるようにしてもよい。コードが複数のときには、複数のコードのそれぞれに設けてもよい。特に、ユーザが操作する機能、例えばタイミング手動設定部をコードの途中に設ければ、手元で見ながら操作することができて好適である。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0057】
例えば、上記第1の実施形態では、音源120と音声出力部114とを一対一対応としたが、本発明はこの例に限定されない。音声出力部から出力される複数の音声のタイミングが異なれば、任意に設計することができる。
【0058】
また、上記第1の実施形態では、音源120と音声出力部114をそれぞれ3つ設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。音源は任意の数でよい。音声出力部も任意の数でよく、音源の数と同じ数でも異なる数でもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、音声が出力されるタイミングは一例にすぎず、音声のずれ(遅延)のタイミングは任意でよい。
【符号の説明】
【0060】
100、200 言語学習用システム
110 言語学習用ヘッドフォン(言語学習用機器)
112 イヤーカップ(耳装着部)
114(114-1~114-3) 音声出力部
116 ヘッドフォンセット
118-1~118-3 コード
120(120-1~120-3)、220 音源
122-1~122-3、222 スイッチ
230 タイミング手動設定部
232-1~232-3 ダイヤル
234-1~234-3 表示部
【手続補正書】
【提出日】2021-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の耳にそれぞれ装着可能な左右の耳装着部を備えた言語学習用機器であって、
左右の前記耳装着部は複数の音声出力部を同数ずつ備え、
左右の前記耳装着部のそれぞれにおいて、複数の前記音声出力部には、1又は2以上の音源から、それぞれ異なる音声供給タイミングで同一の言語音声が供給されることを特徴とする、言語学習用機器。
【請求項2】
複数の前記音声出力部は、複数の前記音源に一対一対応で接続されることを特徴とする、請求項1に記載の言語学習用機器。
【請求項3】
複数の前記音声出力部は、個別にオン・オフが可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の言語学習用機器。
【請求項4】
前記音声供給タイミングを手動で設定するためのタイミング手動設定部をさらに備えたことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の言語学習用機器。
【請求項5】
前記音声供給タイミングを自動で設定するタイミング自動設定部をさらに備えたことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の言語学習用機器。
【請求項6】
前記タイミング自動設定部は、前記音声供給タイミングの設定を、所定周期で変更することを特徴とする、請求項5に記載の言語学習用機器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の言語学習用機器と、前記言語学習用機器に接続される1又は2以上の音源と、からなる言語学習用システム。
【請求項8】
前記音源は、個別にオン・オフが可能であることを特徴とする、請求項7に記載の言語学習用システム。
【請求項9】
1又は2以上の前記音源は、前記音声供給タイミングを手動で設定するためのタイミング手動設定部をさらに備えたことを特徴とする、請求項7又は8に記載の言語学習用システム。
【請求項10】
1又は2以上の前記音源は、前記音声供給タイミングを自動で設定するタイミング自動設定部をさらに備えたことを特徴とする、請求項7~9のいずれかに記載の言語学習用システム。
【請求項11】
前記タイミング自動設定部は、前記音声供給タイミングの設定を、所定周期で変更することを特徴とする、請求項10に記載の言語学習用システム。
【請求項12】
前記音源による前記音声供給タイミングのずれは、すべて10ミリ秒以下であることを特徴とする、請求項7~11のいずれかに記載の言語学習用システム。
【請求項13】
さらに、1又は2以上の前記音源からの出力を音声記録媒体に記録する記録手段を設けたことを特徴とする、請求項7~12のいずれかに記載の言語学習用システム。
【請求項14】
請求項13に記載の言語学習用システムの前記記録手段により前記音源から前記言語学習用機器に対して供給される出力が記録された音声記録媒体。