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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189484
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】遠隔駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 7/02 20060101AFI20221215BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G05G7/02
E02F9/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098082
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 均
【テーマコード(参考)】
2D003
3J070
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA04
2D003DB04
3J070AA02
3J070BA31
3J070BA51
3J070BA90
3J070CB02
3J070CC34
3J070CC71
3J070DA03
3J070EA32
(57)【要約】
【課題】操作レバーに容易に後付け可能であり、操作量検出装置を備えた遠隔駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】遠隔駆動装置(100)は、操作指令信号に基づいて操作する操作レバー(1)と、操作レバー(1)を傾倒させる第1操作機構(30)を有している。第1操作機構(30)は、操作指令信号に基づいて操作レバー(1)を傾倒させる駆動力を発生させる第1アクチュエータ(31)と、第1アクチュエータ(31)の駆動力を伝達する第1伝達装置(41)と、操作レバー(1)の傾倒量を検出する第1検出器(61)と、第1駆動軸(51)と、を備えている。第1駆動軸(51)は、第1回転出力部(52)が設けられ、操作レバー(1)の傾倒に伴って回動する。第1検出器(61)は、第1回転出力部(52)を介して操作レバー(1)の傾倒量を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作指令信号に基づいて作業機械の操作機構を操縦する遠隔駆動装置であって、
傾倒角度及び傾倒方向に応じて前記作業機械の動作量を制御する操作レバーと、
前記操作レバーを第1方向に傾倒させる第1操作機構を有し、
前記第1操作機構は、
前記操作指令信号に基づいて第1方向用ガイド部材を介して前記操作レバーを前記第1方向に傾倒させる駆動力を発生させる第1アクチュエータと、
前記第1アクチュエータが発生させる駆動力を前記第1方向用ガイド部材に伝達する第1伝達装置と、
前記操作レバーの前記第1方向への傾倒量を検出する第1検出器と、
前記操作レバーの前記第1方向への傾倒に伴って回動する第1駆動軸と、を備え、
前記第1駆動軸には、前記第1駆動軸の回転を前記第1検出器に伝達する第1回転出力部が配置され、
前記第1検出器は、前記第1回転出力部を介して前記操作レバーの前記第1方向への傾倒量を検出する、
遠隔駆動装置。
【請求項2】
前記第1回転出力部の前記第1駆動軸方向における長さは、前記第1検出器を前記第1駆動軸に配置した場合の前記第1駆動軸方向における長さよりも短くなるよう構成される、
請求項1に記載の遠隔駆動装置。
【請求項3】
前記第1方向用ガイド部材は、前記第1駆動軸回りに回転自在に軸支される、
請求項1又は2に記載の遠隔駆動装置。
【請求項4】
前記第1回転出力部は、前記第1駆動軸から前記第1検出器に向けて延ばされた第1伝達部を有し、前記第1伝達部の外形は前記第1駆動軸を中心とする円弧に第1歯部が形成され、
前記第1検出器は、前記第1歯部により回転される第1回転部を有しており、前記第1回転部の回転を検出することで前記操作レバーの前記第1方向への傾倒量を検出する、
請求項1~3の何れか一項に記載の遠隔駆動装置。
【請求項5】
前記第1アクチュエータは、前記操作レバーを第1方向に傾倒させる駆動力を発生させる第1回転軸を有し、前記第1回転軸は前記第1駆動軸に対して平行かつオフセットして配置される、請求項1~4の何れか一項に記載の遠隔駆動装置。
【請求項6】
前記操作レバーを前記第1方向と交差する方向である第2方向に傾倒させる第2操作機構を有し、
前記第2操作機構は、
前記操作レバーを前記第2方向に傾倒させる第2方向用ガイド部材と、前記操作指令信号に基づいて、前記第2方向用ガイド部材を介して前記操作レバーを傾倒させる駆動力を生成する第2アクチュエータと、
前記第2アクチュエータが発生させる駆動力を前記第2方向用ガイド部材に伝達する第2伝達装置と、
前記操作レバーの前記第2方向への傾倒量を検出する第2検出器と、
前記操作レバーの前記第2方向への傾倒に伴って回動する第2駆動軸と、を備え、
前記第2駆動軸には、前記第2駆動軸の回転を伝達する第2回転出力部が配置され、
前記第2検出器は、前記第2回転出力部を介して前記操作レバーの前記第2方向への傾倒量を検出する、
請求項1~5の何れか一項に記載の遠隔駆動装置。
【請求項7】
前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを含む平面に対し垂直な方向視、又は前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを最短距離で結ぶ直線に平行な方向視において、前記第1伝達装置と前記第2伝達装置とは少なくとも一部が重なっている、請求項6に記載の遠隔駆動装置。
【請求項8】
前記第1アクチュエータが接続される前記第1伝達装置の第1接続部、及び前記第2アクチュエータが接続される第2伝達装置の第2接続部の両方は、前記第1駆動軸を含み鉛直に伸びる仮想平面と前記第2駆動軸を含み鉛直に伸びる仮想平面とが交差して画定される4つの領域の内の1つに含まれている、請求項6又は7に記載の遠隔駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作指令信号に基づいて車両を遠隔駆動するための遠隔駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、車両の操作レバーを、車両の外部からの操作指令信号により遠隔駆動する遠隔駆動装置が知られている。上記文献1に記載された遠隔駆動装置は、車両に改造せずに取り付けられる遠隔駆動装置であり、操縦者が手元で操作する制御リンク機構と、車両の操作レバーに取り付けられて操作レバーを遠隔駆動する操作リンク機構とを備えている。車両の操作レバーは、操縦者が操作する制御リンク機構の操作に応じて、遠隔駆動される。操作リンク機構のそれぞれの軸の一端部にポテンショメータ等の角度検出器を設け、車両の操作レバーの実際の操作量を検出することで、遠隔操作の通りに操作レバーが動作しているかの確認をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-50493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作リンク機構は車両の操作レバーに後付けで取り付けられるため、車両と、操作リンク機構との組み合わせでは、操作リンク機構が車両に設置されているシートや操作装置等に干渉する可能性がある。さらに、遠隔操作による操作レバーの実際の駆動量を検出する場合は、操作リンク機構の回転軸の一端部に角度検出器を取り付けているため、角度検出器の厚さ分、操作リンク機構の回転軸方向長さが長くなり、操作レバーの周囲をコンパクトにするのが困難であった。
【0005】
上記課題解決のため、本発明は、操作レバーに容易に後付け可能であり、操作量検出装置を備え、外形寸法を抑えた遠隔駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遠隔駆動装置は、操作指令信号に基づいて作業機械の操作機構を操縦する遠隔駆動装置であって、傾倒角度及び傾倒方向に応じて前記作業機械の動作量を制御する操作レバーと、前記操作レバーを第1方向に傾倒させる第1操作機構を有し、
前記第1操作機構は、前記操作指令信号に基づいて第1方向用ガイド部材を介して前記操作レバーを前記第1方向に傾倒させる駆動力を発生させる第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータが発生させる駆動力を前記第1方向用ガイド部材に伝達する第1伝達装置と、前記操作レバーの前記第1方向への傾倒量を検出する第1検出器と、前記操作レバーの前記第1方向への傾倒に伴って回動する第1駆動軸と、を備え、
前記第1駆動軸には、前記第1駆動軸の回転を第1検出器に伝達する第1回転出力部が配置され、前記第1検出器は、前記第1回転出力部を介して前記操作レバーの前記第1方向への傾倒量を検出することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る遠隔駆動装置によれば、操作レバーの第1駆動軸上に配置した回転出力部を介して検出器にて傾倒量を検出することができる。したがって、駆動軸上には回転出力部が配置されるが、第1検出器に接続する配線等のスペースを駆動軸上に確保する必要がないので、駆動軸上に第1検出器を配置した場合と比較して確保すべきスペースが減少し駆動軸方向における遠隔駆動装置の外形寸法を抑えることができる。
【0008】
本発明に係る遠隔駆動装置において、前記前記第1回転出力部の前記第1駆動軸方向における長さは、第1検出器を前記第1駆動軸に配置した場合の前記第1駆動軸方向における長さよりも短くなるよう構成されることが好ましい。
【0009】
本発明に係る遠隔駆動装置によれば、操作レバーの第1駆動軸上に配置した回転出力部は、第1検出器を配置した場合よりも薄いものが配置される。したがって、駆動軸上に第1検出器を配置した場合と比較して確保すべきスペースが減少し駆動軸方向における遠隔駆動装置の外形寸法を抑えることができる。
【0010】
本発明に係る遠隔駆動装置において、前記第1方向用ガイド部材は、前記第1駆動軸回りに回転自在に軸支されることが好ましい。
【0011】
本発明に係る遠隔駆動装置によれば、回転出力部は第1方向用ガイド部材の駆動軸の回転を伝達する。操作レバーの傾きを直接検出するセンサを設けることなく、操作レバーに後付けした構造から操作レバーの傾倒量を検出することができる。
【0012】
本発明に係る遠隔駆動装置において、前記第1回転出力部は、前記第1駆動軸から前記第1検出器に向けて延ばされた第1伝達部を有し、前記第1伝達部の外形は前記第1駆動軸を中心とする円弧に第1歯部が形成され、
前記第1検出器は、前記第1歯部により回転される第1回転部を有しており、前記第1回転部の回転を検出することで前記操作レバーの前記第1方向への傾倒量を検出することが好ましい。
【0013】
本発明に係る遠隔駆動装置によれば、第1検出器は第1駆動軸と交差する方向に配置される。したがって、駆動軸方向における遠隔駆動装置の外形寸法を抑えることができる。
【0014】
本発明に係る遠隔駆動装置において、前記第1アクチュエータは、前記操作レバーを第1方向に傾倒させる駆動力を発生させる第1回転軸を有し、前記第1回転軸は前記第1駆動軸に対して平行かつオフセットして配置されることが好ましい。
【0015】
本発明に係る遠隔駆動装置によれば、第1駆動軸に対して平行かつオフセットした位置に第1回転軸が配置される。したがって、操作レバー周辺の限られた空間に後付けで容易に取り付けることができる。
【0016】
本発明に係る遠隔駆動装置において、前記操作レバーを前記第1方向と交差する方向である第2方向に傾倒させる第2操作機構を有し、
前記第2操作機構は、前記操作レバーを前記第2方向に傾倒させる第2方向用ガイド部材と、前記操作指令信号に基づいて、前記第2方向用ガイド部材を介して前記操作レバーを傾倒させる駆動力を生成する第2アクチュエータと、前記第2アクチュエータが発生させる駆動力を前記第2方向用ガイド部材に伝達する第2伝達装置と、前記操作レバーの前記第2方向への傾倒量を検出する第2検出器と、前記操作レバーの前記第2方向への傾倒に伴って回動する第2駆動軸と、を備え、
前記第2駆動軸には、前記第2駆動軸の回転を伝達する第2回転出力部が配置され、前記第2検出器は、前記第2回転出力部を介して前記操作レバーの前記第2方向への傾倒量を検出することが好ましい。
【0017】
本発明に係る遠隔駆動装置によれば、操作レバーを複数の方向に傾倒させるために、各々が操作レバーを異なる方向に案内する複数のガイド部材と、それらのガイド部材の各々に対応する複数のアクチュエータとが設けられる場合であっても、各駆動軸上に確保すべきスペースが減少し遠隔駆動装置の外形寸法を抑えることができる。
【0018】
本発明に係る遠隔駆動装置において、第1駆動軸と第2駆動軸とを含む平面に対し垂直な方向視、又は前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを最短距離で結ぶ直線に平行な方向視において、前記第1伝達装置と前記第2伝達装置とは少なくとも一部が重なっていることが好ましい。
【0019】
本発明に係る遠隔駆動装置によれば、第1伝達装置と、第2伝達装置との少なくとも一部を上下方向において立体的に重ねて配置して、車両の操作レバー周辺の限られた空間に後付けで容易に取り付けることができる。
【0020】
本発明に係る遠隔駆動装置において、前記第1アクチュエータが接続される前記第1伝達装置の第1接続部、及び前記第2アクチュエータが接続される第2伝達装置の第2接続部の両方は、前記第1駆動軸を含み鉛直に伸びる平面と前記第2駆動軸を含み鉛直に伸びる平面とが交差して画定される4つの領域の内の1つに含まれていることが好ましい。
【0021】
本発明に係る遠隔駆動装置によれば、遠隔駆動装置を操作レバーに対して、車両前後方向の何れか一方、及び車両左右方向の何れか一方の限られた領域範囲に納めることができ、操作レバー周辺の限られた空間に後付けで容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の遠隔駆動装置が取り付けられている作業機械の運転席を示す斜視図である。
図2図1の上面図である。
図3図1の右側の遠隔駆動装置を右前から見た斜視図である。
図4図3において、操作レバー及びその周辺部材を除いた状態を示す斜視図である。
図5図3の遠隔駆動装置の平面図である。
図6図1の右側の遠隔駆動装置の左側面図である。
図7図1の右側の遠隔駆動装置の前面図である。
図8図1の左側の遠隔駆動装置の右側面図である。
図9図1の左側の遠隔駆動装置の前面図である。
図10図5のA-A断面を示す断面図である。
図11図5のB-B断面を示す断面図である。
図12図5のC-C断面を示す断面図である。
図13図5のD-D断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
遠隔駆動装置100、300は車両の制御装置に取り付けられ、操作指令信号により車両を遠隔操作することが可能な装置である。車両を遠隔操作する遠隔操作装置には実機操作レバーと同じような遠隔操作レバーが備えられており、当該遠隔操作レバーの操作に応じた操作指令信号が当該遠隔操作装置からネットワークを介して遠隔駆動装置100、300に送信され、車両が遠隔操作される。遠隔駆動装置100、300が取り付けられる車両は、例えば、油圧ショベルである。その他に、クレーン車、ダンプカー、乗用車、バス、トラック、等にも取り付け可能である。遠隔駆動装置100、300が取り付けられた車両は、操作者が搭乗しなくても遠隔で操縦することが可能であり、また、操作者が搭乗して直接操縦することも可能である。遠隔駆動装置100、300は車両の制御装置に後付け可能に構成されている。
【0024】
図1、及び図2を参照して、遠隔で操作する操作レバー1、201について説明する。図1、及び図2は、作業機械の運転席500のそれぞれ斜視図、及び上面図である。右側の操作レバー1、及び左側の操作レバー201は、作業機械の運転室500の内部に、操作者が着座するシート501の右、及び左にそれぞれ配置されたコンソールボックス502、503の上部にそれぞれ配置されている。右側のコンソールボックス502のシート501とは反対側は、運転室の壁が配置されている。油圧ショベルの場合では、操作レバー1、201は、例えばブーム及びアームの揺動角度を操作するために傾倒される。車両に複数の操作レバー1、201が備えられている場合には、それぞれの操作レバー1、201に遠隔駆動装置100、300をそれぞれ取り付けることができる。以下に、交差する2方向のそれぞれに傾倒可能な1つの操作レバー1に取り付ける場合を説明する。なお、2方向の操作方向の両方ではなく、何れか一方の方向、例えば第1方向、又は第2方向のみを制御する遠隔駆動装置の構成としてもよい。なお、図3~7、及び図10~13は、シートの右側に配置された右側の操作レバー1の周辺部分を示しており、図8~9は、シートの左側に配置された左側の操作レバー201の周辺部分を示している。以降の説明では、右側の遠隔駆動装置100を中心に説明する。
【0025】
図3図5を参照しながら、遠隔駆動装置100を説明する。なお、理解しやすいように、図4では操作レバー1及び操作レバー1の周辺部材、及び図5では操作レバー1がそれぞれ省略されている。遠隔駆動装置100は、第1操作機構30と、第2操作機構130と、支持装置10と、操作レバー1とを有している。第1操作機構30、及び第2操作機構130は、操作レバー1を第1方向であるS方向(運転室前後方向)、及び第2方向であるT方向(運転室左右方向)にそれぞれ傾倒させる機構である。
【0026】
第1操作機構30、及び第2操作機構130は、第1駆動軸51、及び第2駆動軸151を有している。第1操作機構30、及び第2操作機構130は、操作レバー1を、第1駆動軸51の中心軸X0と、及び第2駆動軸151の中心軸Y0を回転中心にして、それぞれ第1方向(図3中でS方向)、及び第2方向(図3中でT方向)に傾倒させる。第1駆動軸51の中心軸X0と、第2駆動軸151の中心軸Y0とは、同一平面上に配置されており直交している。なお、中心軸X0と中心軸Y0とが同一平面上になく、両者が上下方向にずれて配置されてもよい。
【0027】
図4及び図5を参照しながら、支持装置10を説明する。支持装置10は、第1操作機構30及び第2操作機構130から操作レバー1に駆動力を伝える部材を回動自在に保持する装置である。支持装置10は、略四角形に形成され、中心穴12が設けられている板状部材の基板11、並びに、基板11の略四角形の4辺にそれぞれ隣接して配置されている第1支持部材13、第2支持部材16、第3支持部材19、及び第4支持部材22を有している。
【0028】
基板11は、中心穴12に操作レバー1が通された状態で、操作レバー基端部2付近に固定されている。基板11の上面には、基板11の略四角形の対向する2辺のそれぞれに隣接して第1支持部材13及び第2支持部材16、並びに、基板11の略四角形の対向する他の2辺のそれぞれに隣接して第3支持部材19、及び第4支持部材22が配置されている。第1支持部材13、及び第2支持部材16は、中心軸X0方向に離間して配置されており、後述する第1方向用ガイド部材71を回転自在に軸支している。また、第3支持部材19、及び第4支持部材22は、中心軸Y0方向に離間して配置されており、後述する第2方向用ガイド部材171を回転自在に軸支している。
【0029】
第1支持部材13と第3支持部材19とは、それぞれの中央部に凸状部14、20が形成された略逆T字形状の板状部材である。両者は、各々の凸状部14、20を上側にして基板11の上面に配置されている。第1支持部材13と第3支持部材16とは、それぞれの両端部で基板11にボルト止めされている。又は、両者はそれぞれの両端部で基板11に溶接固定されていてもよい。第1支持部材13の凸状部14の外側の側面と、第3支持部材16の凸状部20の内側の側面には、それぞれ円柱状の固定軸15、21が設けられている。
【0030】
図5に示されているように、第2支持部材16と第4支持部材22とは、薄板部分25、27と厚板部分26、28との2種類の厚さを有する断面L字形の板状部材である。第2支持部材16は、薄板部分25と厚板部分26とを有している。また、第4支持部材22は、薄板部分27と厚板部分28とを有している。第2支持部材16の薄板部分25には軸孔17、及び厚板部分26には軸孔18がそれぞれ設けられている。また、第4支持部材22の薄板部分27には軸孔23、及び厚板部分28には軸孔24がそれぞれ設けられている。第2支持部材16と第4支持部材22とは、薄板部分25、27と厚板部分26、28との両方から構成されているそれぞれの側面を基板11に接した状態で、図示しないボルトで基板11に固定されている。又は、両者は基板11に溶接で固定されていてもよい。
【0031】
図4図5図10、及び図11を参照しながら、第2支持部材16に設けられている部材を説明する。遠隔駆動装置100が有する第1操作機構30は、駆動力を発生する第1アクチュエータ31、第1アクチュエータ31の駆動力を伝達する第1伝達装置41、第1駆動軸51、第1検出器61、及び第1方向用ガイド部材71を有している。第2支持部材16の一方側の側面には第1駆動軸51、他方側の側面には第1検出器61が、それぞれ配置されている。図10図5のA-A断面を示しており、操作レバー1側から見た第2支持部材16を示している。また、図11図5のB-B断面を示しており、図10の第2支持部材16の反対面を示している。
【0032】
第1駆動軸51は円柱状の回転軸であり、第1駆動軸51の両端部の間に第1駆動軸51の回転を出力する第1回転出力部52を有している。第1回転出力部52は、第1検出器61へ向けて延ばされて形成された第1伝達部53を有している。第1伝達部53は、一定の半径を有する円板の円弧部分を含む略扇型形状の部材であり、第1回転出力部52に設けられている。第1伝達部53は、中心軸X0を円弧中心とする円弧上に第1歯部54が形成されている部材である。第1駆動軸51は、第2支持部材に設けられている図5に示された軸穴17に挿入されて、回転可能に保持されている。
【0033】
第1検出器61は、第1駆動軸51の回転角度を検出するための部材である。第1検出器61は、第1検出器本体62と、第1伝達部53から回転が伝達される第1回転部63と、第1回転部63及び第1検出器本体62を連結している連結軸65とを有している。第1検出器本体62は、例えばポテンショメータである。第1回転部63は、円弧部を含む略扇型形状部分を有する部材であり、円弧部に連続した略長円部分に形成された穴に連結軸65が嵌め合わされて連結軸65に固定されている。第1回転部63は、連結軸65の中心軸を円弧中心とする円弧上に第2歯部64が形成されている。
【0034】
連結軸65は、第2支持部材16に設けられている図5に示された軸穴18に挿入されており、第2支持部材16に対して回転可能に保持されている。連結軸65の第1伝達部53と同じ側の端部には、第1回転部63が連結されている。また、連結軸65の第1回転部63とは反対側の端部には、第1検出器本体62が連結されている。第1伝達部53の第1歯部54と、第1回転部63の第2歯部64とは、互いにかみ合った状態で配置されている。したがって、第1駆動軸51の回転は、第1伝達部53、第1回転部63、及び連結軸65を介して、第1検出器本体62に伝達される。すなわち、第1検出器61は、第1歯部54により回転される第1回転部63を有しており、第1回転部63の回転を検出することで操作レバー1の第1方向(S方向)への傾倒量を検出する。
【0035】
図4図5図12、及び図13を参照しながら、第4支持部材22に設けられている部材を説明する。第4支持部材22の一方端側には第2駆動軸151、他方端側には第2検出器161がそれぞれ配置されている。第2駆動軸151、及び第2検出器161のそれぞれの機能は、第1駆動軸51、及び第1検出器61と同じである。ただし、第2支持部材16における第1駆動軸51及び第1検出器61、並びに、第4支持部材22における第2駆動軸151及び第2検出器161のそれぞれの配置は、第1操作機構30、及び第2操作機構130からの駆動力の入力位置の違いに対応して異なっている。図12図5のC-C断面図を示しており、操作レバー1側から見た第4支持部材22を示している。また、図13図5のD-D断面図を示しており、図12の第4支持部材22の反対面を示している。操作レバー1側から見た時、第2支持部材16の第1駆動軸51は、第2支持部材16の左端側に配置されている。一方、第4支持部材22の第2駆動軸151は、第4支持部材22の右端側に配置されている。
【0036】
第2駆動軸151は円柱状の回転軸であり、第2駆動軸151の両端部の間に第2駆動軸151の回転を出力する第2回転出力部152を有している。第2回転出力部152は、第2検出器161へ向けて延ばされて形成された第2伝達部153を有している。第2伝達部153は、一定の半径を有する円板の円弧部分を含む略扇型形状の部材であり、中心軸Y0を円弧中心とする円弧上に第3歯部154が形成されている。第2駆動軸151は、第4支持部材に設けられている図5に示された軸穴23に挿入されて、回転可能に保持されている。
【0037】
第2検出器161は、第1駆動軸151の回転角度を検出するための部材である。第2検出器161は、第2検出器本体162と、第2伝達部153から回転が伝達される第2回転部163と、第2回転部163及び第2検出器本体162を連結している連結軸165とを有している。第2検出器本体162は、例えばポテンショメータである。第2回転部163は、円弧部を含む略扇型形状部分を有する部材であり、円弧部に連続した略長円部分に形成された穴に連結軸65が嵌め合わされて連結軸65に固定されている。第2回転部163は、連結軸165の中心軸を円弧中心とする円弧上に第4歯部164が形成されている。
【0038】
連結軸165は、第4支持部材に設けられている図5に示された軸穴24に挿入され、回転可能に保持されている。連結軸165の第2伝達部153と同じ側の端部には、第2回転部163が連結されている。また、連結軸165の第2回転部163とは反対側の端部には、第2検出器本体162が連結されている。第2伝達部153の第3歯部154と、第2回転部163の第4歯部164とは、互いにかみ合った状態で配置されている。したがって、第2駆動軸151の回転は、第2伝達部153、第2回転部163、及び連結軸165を介して、第2検出器本体162に伝達される。すなわち、第2検出器161は、第3歯部154により回転される第2回転部163を有しており、第2回転部163の回転を検出することで操作レバー1の第2方向(T方向)への傾倒量を検出する。
【0039】
第4支持部材22に配置されている第2駆動軸151、及び第2検出器161は、第2支持部材16に配置されている第1駆動軸51、及び第1検出器61に対して、各寸法含む基本形状、検出器の検出特性、等を異なる態様とすることができる。
【0040】
例えば、第2支持部材16における第1駆動軸51と第1検出器61の連結軸65との間の軸間距離と、第4支持部材22における第2駆動軸151と第2検出器161の連結軸165との間の軸間距離とを、異なる配置とすることができる。その場合には、第1伝達部53と第2伝達部153とのそれぞれの長さ、及び第1回転部63と第2回転部163とのそれぞれの長さを適宜決定する。
【0041】
また、操作レバー1について、第1方向であるS方向と、第2方向であるT方向とのそれぞれの制御内容の違いに応じて、第4支持部材22に配置されている第1検出器61の検出特性を、第2支持部材16に配置されている第1検出器61の検出特性と異なる特性とすることができる。例えば、回転角度に対する出力比例定数を異なる設定とするために、第1検出器61と第2検出器161との検出特性を異なる特性とすることができる。
【0042】
以上、第1駆動軸51及び第2駆動軸151、並びに第1検出器61及び第2検出器161について説明した。また、第1駆動軸51及び第2駆動軸151について、又は第1検出器61及び第2検出器161について、何れか又は両方について同じ部材を用いることができる。同じ部材を用いる場合は、部品の共通化によるコスト低減を図ることができる。
【0043】
図3、及び図5を参照しながら、第1方向用ガイド部材71について説明する。第1方向用ガイド部材71は、付加される駆動力に応じて操作レバー1を第1方向であるS方向に操作する部材である。第1方向用ガイド部材71は、同じ長さ、かつ直線状の2本の第1長手部材72、72と、2本の第1長手部材72、72のそれぞれの一方端同士、及びそれぞれの他方端同士を連結する2つの第1短手部材73、73と、2つの第1短手部材73、73のそれぞれに設けられている第1軸受部74、及び第2軸受部75とを有している。
【0044】
2本の第1長手部材72、72と、2つの第1短手部材73、73とは、互いに組み合わされて、略四角形の枠状に組み立てられている。2本の第1長手部材72、72は、操作レバー基端部2をわずかな隙間を介して操作レバー1を両側から挟んだ状態で、2本の第1長手部材72、72の各々の両端部が2つの第1短手部材73、73のそれぞれにボルトで固定されている。
【0045】
また、2つの第1短手部材73、73には、第1短手部材73、73からそれぞれ垂直下方に延びる第1軸受部74と、第2軸受部75とが設けられている。第1軸受部74と、第2軸受部75は、第1駆動軸51の軸線X0周りに、回動自在となっている。第1軸受部74と、第2軸受部75が回動すると、第1方向用ガイド部材71も一体的に回動する。
【0046】
したがって、第1方向用ガイド部材71は、第1支持部材13、及び第2支持部材16に対して回転可能である。上記のように、操作レバー1を挟み込んだ状態で回転可能に軸支されている第1方向用ガイド部材71は、後述のように第1駆動軸51を介して伝達される第1操作機構30からの駆動力に応じて回転して、第1長手部材72、72が操作レバー基端部2を押圧し操作レバー1を第1方向に傾倒させる。
【0047】
なお、第1方向用ガイド部材71の基板11への支持方法は、第1方向用ガイド部材71が基板11に対して回転自在に軸支されていれば、他の方法でもよい。
【0048】
図3、及び図5を参照しながら、第2方向用ガイド部材171について説明する。第2方向用ガイド部材171は、付加される駆動力に応じて操作レバー1を第2方向であるT方向に操作する部材である。図3、及び図5に示されているように、第2方向用ガイド部材171は、第1方向用ガイド部材71の上方に交差、かつかぶさるように配置されている。第2方向用ガイド部材171は、同じ長さ、かつ両端部を除く全体が一様に湾曲している2本の第2長手部材172、172と、2本の第2長手部材172、172のそれぞれの一方端同士、及びそれぞれの他方端同士を連結する2つの第2短手部材173、173と、2つの第2短手部材173、173のそれぞれに設けられている第3軸受部174、及び第4軸受部175とを有している。
【0049】
2本の第2長手部材172、172と、2つの第1短手部材173、173とは、互いに組み合わされて、略四角形の枠状に組み立てられている。2本の第2長手部材172、172は、操作レバー基端部2をわずかな隙間を介して操作レバー1を両側から挟んだ状態で、2本の第2長手部材172、172の各々の両端部が2つの第2短手部材173、173のそれぞれにボルトで固定されている。
【0050】
また、2つの第2短手部材173、173には、第2短手部材173、173からそれぞれ垂直下方に延びる第3軸受部174と、第4軸受部175とが設けられている。第3軸受部174と、第4軸受部175は、第2駆動軸151の軸線Y0周りに、回動自在となっている。第3軸受部174と、第4軸受部175が回動すると、第2方向用ガイド部材171も一体的に回動する。
【0051】
したがって、第2方向用ガイド部材171は、第2支持部材16、及び第4支持部材22に対して回転可能である。上記のように、操作レバー1を挟み込んだ状態で回転可能に軸支されている第2方向用ガイド部材171は、後述のように第2駆動軸151を介して伝達される第2操作機構130からの駆動力に応じて回転して、第2長手部材172、172が操作レバー基端部2を押圧し操作レバー1を第2方向に傾倒させる。
【0052】
図3図6を参照して、第1操作機構30が有する第1アクチュエータ31と、第1伝達装置41と、を説明する。第1アクチュエータ31は、図示しない回転機構と、第1回転軸32と、を内部に有している。回転機構は電気エネルギーにより回転し、第1回転軸32を回転させる。第1アクチュエータ31、及び第1回転軸32は、例えば電気モータ、及びモータ出力軸である。
【0053】
図6には、第1伝達装置41が示されている。第1伝達装置41は、第1アクチュエータ31が発生した駆動力を第1方向用ガイド部材71に伝達する装置である。第1伝達装置41は、第1伝達入力部材43、第1伝達出力部材45、第1伝達部材47、及びそれらを内部に収容している第1ケース42を有している。第1伝達入力部材43は、第1伝達入力部材43の中心に第1入力係合穴44が設けられている。また、第1伝達入力部材43の一方面側に隣接する第1ケース42には、第1アクチュエータ31の第1回転軸32の周辺部の外径に対応した穴が開口している。第1回転軸32は第1伝達入力部材43に対して相対回転不能な状態で第1入力係合穴44に挿入されている。また、第1アクチュエータ31の第1回転軸32の周辺部は第1ケース42の開口に接合されている。第1伝達部材47は、第1アクチュエータ31の第1回転軸32の軸線方向に対して垂直に配置されている。したがって、第1伝達装置41は第1アクチュエータ31に対して、垂直に接続されている。第1回転軸32が挿入されている第1入力係合穴44は、第1アクチュエータ31と第1伝達装置41との接続部分である第1接続部48を構成している。
【0054】
第1ケース42は中空の略長円形状であり、一方端の内部に円盤状の第1伝達入力部材43、及び他方端の内部に円盤状の第1伝達出力部材45が、それぞれ回転自在に軸支されている。第1伝達入力部材43と第1伝達出力部材45とのそれぞれの外周部には、環状の第1伝達部材47がかけられている。第1アクチュエータ31により第1伝達入力部材43が回転すると、第1伝達部材47を介して回転が第1伝達出力部材45に伝達される。第1伝達入力部材43、第1伝達出力部材45、及び、第1伝達部材47は、例えば、それぞれ入力側プーリ、出力側プーリ、及び、ベルト又はチェーン等の環状部材である。
【0055】
第1伝達出力部材45の中心には第1出力係合穴46が設けられている。第1駆動軸51は、第1ケース42の第1伝達出力部材45周辺に設けられた開口を通して第1出力係合穴46に挿入されている。第1伝達出力部材45と第1駆動軸51とは相対回転不能に固定されており、第1伝達出力部材45の回転は、第1駆動軸51に伝達される。すなわち、第1アクチュエータ31の回転は、第1伝達入力部材43、第1伝達部材47、第1伝達出力部材45を介して、第1駆動軸51に伝達される。第1駆動軸51は第1方向用ガイド部材71を回転させ、それにより操作レバー1が第1方向すなわちS方向に傾倒される。
【0056】
図3図5、及び図7を参照して、第2操作機構130が有する第2アクチュエータ131と、第2伝達装置141と、を説明する。第2アクチュエータ131の構造は第1アクチュエータ31と同じである。第2アクチュエータ131は、図示しない回転機構と、第2回転軸132と、を内部に有している。回転機構は電気エネルギーにより回転し、第2回転軸132を回転させる。以下の第2操作機構130の説明においては、第1操作機構30と共通する事項を省略する。
【0057】
図7には、第2伝達装置141が示されている。第2伝達装置141は、第2アクチュエータ131が発生した駆動力を第2方向用ガイド部材171に伝達する装置である。第2伝達装置141は、第2伝達入力部材143、第2伝達出力部材145、第2伝達部材147、及びそれらを内部に収容している第2ケース142を有している。第2伝達入力部材143は、第2伝達入力部材143の中心に第2入力側係合穴144が設けられている。また、第2伝達入力部材143の一方面側に隣接する第2ケース142には、第2アクチュエータ131の第2回転軸132の周辺部の外径に対応した穴が開口している。第2回転軸132は、第2伝達入力部材143に対して相対回転不能な状態で第2入力側係合穴144に挿入されている。また、第2アクチュエータ131の第2回転軸132の周辺部は第2ケース142の開口に接合されている。第2伝達部材147は、第2アクチュエータ131の第2回転軸132の軸線方向に対して垂直に配置されている。したがって、第2伝達装置141は第2アクチュエータ131に対して、垂直に接続されている。第2回転軸132が挿入されている第2入力側係合穴144は、第2アクチュエータ131と第2伝達装置141との接続部分である第2接続部148を構成している。
【0058】
第2ケース142は中空の略長円形状であり、一方端の内部に円盤状の第2伝達入力部材143、及び他方端の内部に円盤状の第2伝達出力部材145が、それぞれ回転自在に軸支されている。第2伝達入力部材143と第2伝達出力部材145とのそれぞれの外周部には、環状の第2伝達部材147がかけられている第2アクチュエータ131により第2伝達入力部材143が回転すると、第2伝達部材147を介して回転が第2伝達出力部材145に伝達される。第2伝達入力部材143、第2伝達出力部材145、及び、第2伝達部材147は、例えば、それぞれ入力側プーリ、出力側プーリ、及び、ベルト又はチェーン等の環状部材である。
【0059】
第2伝達出力部材145の中心には第2出力係合穴146が設けられている。第2駆動軸151は、第2ケース142の第2伝達出力部材145周辺に設けられた開口を通して第2出力係合穴146に挿入されている。第2伝達出力部材145と第2駆動軸151とは相対回転不能に固定されており、第2伝達出力部材145の回転は、第2駆動軸151に伝達される。すなわち、第2アクチュエータ131の回転は、第2伝達入力部材143、第2伝達部材147、第2伝達出力部材145を介して、第2駆動軸151に伝達される。第2駆動軸151は第2方向用ガイド部材171を回転させ、それにより操作レバー1が第2方向すなわちT方向に傾倒される。
【0060】
次に、左側の遠隔駆動装置300を説明する。左側の遠隔駆動装置300は、右側の遠隔駆動装置100と同様に、交差する2方向にそれぞれ傾倒可能な操作レバー201を有している。操作レバー201の形状は、右側の操作レバー1の形状と異なっている。右側の操作レバー1、及び左側の操作レバー201は、ともにそれぞれ操作レバー基端部2、及び操作レバー基端部202の直上1点で曲げて形成されている点は同じであるが、それぞれの曲げ方向が異なっている。図1及び図2からわかるように、右側の操作レバー1、及び左側の操作レバー201は、操作しやすいようにそれぞれシート501の前後方向中心線側に曲げられている。また、右側の操作レバー1の前面図である図7、及び左側の操作レバー201の前面図である図9にも曲げ方向の違いが示されている。
【0061】
左側の遠隔駆動装置300は、右側の遠隔駆動装置100に対して、シート501の前後方向中心線に対して左右勝手違い、すなわち左右対称形に配置されている。加えて、左側の遠隔駆動装置300の構成部品は、右側の遠隔駆動装置100に対し、コンソールボックス502、503やスイッチ類の周辺部構造の差異に起因して、細部寸法が異なっているのみである。したがって、左側の遠隔駆動装置300の主要な構成について説明し、細部の説明は省略する。なお、左側の遠隔駆動装置300の構成部品について、右側の遠隔駆動装置100の構成部品の少なくとも一部は同じ部品を用いて構成してもよい。
【0062】
図1図2図8、及び図9を参照して、左側の遠隔駆動装置300を説明する。左側の遠隔駆動装置300は、第1操作機構230、第2操作機構330、図示しない支持装置、及び操作レバー201を有している。第1操作機構230、第2操作機構330、支持装置、及び操作レバー201は、右側の遠隔駆動装置100が有する、第1操作機構30、第2操作機構130、支持装置10、及び操作レバー1にそれぞれ対応している。第1操作機構230、及び第2操作機構330は、操作レバー201を第1方向であるS方向(運転室前後方向)、及び第2方向であるT方向(運転室左右方向)にそれぞれ傾倒させる機構である。
【0063】
左側の遠隔駆動装置300は、以下のとおり右側の遠隔駆動装置100と対応する構成を有している。
【0064】
第1操作機構230は、駆動力を発生する第1アクチュエータ231、第1アクチュエータ231の駆動力を伝達する第1伝達装置241、第1駆動軸251、第1検出器261、及び第1方向用ガイド部材271を有している。
【0065】
また、第2操作機構330は、駆動力を発生する第1アクチュエータ331、第1アクチュエータ331の駆動力を伝達する第1伝達装置341、第1駆動軸351、第1検出器361、及び第1方向用ガイド部材371を有している。
【0066】
また、図示しない左側の遠隔駆動装置300の支持装置は、右側の遠隔駆動装置100の支持装置10と同様に、略四角形の基板、並びに、基板の略四角形の4辺にそれぞれ隣接して配置されている第1支持部材、第2支持部材、第3支持部材、及び第4支持部材を有している。また、それぞれの配置も右側の遠隔駆動装置100の支持装置10と同様である。
【0067】
上記の第1操作機構230、第2操作機構330、及び支持装置が有する各構成部品は、右側の遠隔駆動装置100の対応する各構成部品と同じであるため、個々の説明は省略する。
【0068】
以下に、第1操作機構30及び第2操作機構130の配置の特徴と、それにより得られる効果を説明する。なお、下記では右側の遠隔駆動装置100について説明するが、左側の遠隔駆動装置300についても同じ効果を得ることができる。
【0069】
(1)第1駆動軸51及び第2駆動軸151に、第1回転出力部52及び第2回転出力部152を配置
第1検出器61及び第2検出器161は、それぞれ第1回転出力部52及び第2回転出力部152を介して第1駆動軸51及び第2駆動軸151の回転、すなわち操作レバー1の第1方向(S方向)及び第2方向(T方向)の傾倒量を検出するように構成されている。第1回転出力部52及び第2回転出力部152を介して検出することで、第1検出器61及び第2検出器161は、第1駆動軸51及び第2駆動軸151から離れた位置に配置されている。
【0070】
図5には、第1回転出力部52及び第2回転出力部152、並びに第1検出器61及び第2検出器161の第1駆動軸51方向長さが示されている。第1検出器61の第1駆動軸51方向長さはFであり、第1回転出力部52の第1駆動軸51方向長さはEである。図5から明らかなように、EはFに比べて張り出し量を低減するように極めて小さくされている。また、第2検出器161の第2駆動軸151方向長さはHであり、第2回転出力部152の第2駆動軸151方向長さはGである。
【0071】
図5から明らかなように、GはHに比べて張り出し量を低減するように極めて小さくされている。すなわち、第1回転出力部52の第1駆動軸方向における長さは、第1検出器61を第1駆動軸51に配置した場合の第1駆動軸方向における長さよりも短くなるよう構成されている。また、第2回転出力部152の第2駆動軸方向における長さは、第2検出器161を第2駆動軸151に配置した場合の第2駆動軸方向における長さよりも短くなるよう構成されている。
【0072】
したがって、第1駆動軸51上に第1検出器61、及び第2駆動軸151上に第2検出器161を配置する場合に比較して、確保すべきスペースが減少し第1駆動軸方向、及び第2駆動軸方向における遠隔駆動装置100の外形寸法を抑えることができる。また、第1駆動軸上に配置される回転出力部は、略扇型形状の板状部材で形成されており、第1検出器61及び第2検出器161より極めて薄いため、さらに大きな上記効果が得られる。
【0073】
すなわち、第1駆動軸51上に確保すべきスペースが減少することで、遠隔駆動装置100をシートに張りださないように配置することができる。また、第2駆動軸151上に確保すべきスペースが減少することで、遠隔駆動装置100を操作者がシートに着座するときに通る乗降通路側(前方側)に突出しないように配置することができる。
【0074】
(2)第1回転軸32及び第2回転軸132が、第1駆動軸51及び第2駆動軸151に対し平行かつオフセットされた配置
図4を参照して説明する。第1伝達部材47は、第1アクチュエータ31の第1回転軸32の軸線方向に対して垂直方向に延びて配置され、第1伝達出力部材45に挿入されている第1駆動軸51は、第1伝達部材47の延在方向に対して垂直方向に配置されている。したがって、第1アクチュエータ31の第1回転軸32は、第1駆動軸51に対して平行かつオフセットして配置されている。
【0075】
同様に、第2伝達部材147は、第2アクチュエータ131の第2回転軸132の軸線方向に対して垂直方向に延びて配置されており、第2伝達出力部材145に挿入されている第2駆動軸151は、第2伝達部材147の延在方向に対して垂直方向に配置されている。したがって、第2アクチュエータ131の第2回転軸132は、第2駆動軸151に対して平行かつオフセットして配置されている。以上の配置により、操作レバー1周辺の限られた空間をうまく利用して遠隔駆動装置100を後付けで容易に取り付けることができる。
【0076】
(3)第1伝達装置41と第2伝達装置141とが上下方向で重なる配置
図4図5とを参照して説明する。図4には、第1駆動軸51の軸線X0と第2駆動軸151の軸線Y0とが交差していることが示されている。図4に示されている仮想平面Jは、第1駆動軸51と第2駆動軸151とを含む平面であり、矢印Kは仮想平面Jに垂直な方向を示している。図5には、矢印Kに平行な方向視Kにおいて、第2接続部148が示されている第2伝達装置141の一部が、第1伝達装置41と重なっていることが示されている。
【0077】
また、第1駆動軸51と第2駆動軸151とが上下方向にずれていて交差しない場合を説明する。その場合においても、第1駆動軸51と第2駆動軸151とを最短距離で結ぶ直線に平行な方向視、すなわち方向視Kで見ると、上記と同等に、第2接続部148が示されている第2伝達装置141の一部が、第1伝達装置41と重なっている。この配置により、第1伝達装置41と、第2伝達装置141との少なくとも一部を上下方向において立体的に重ねて配置して、車両の操作レバー1周辺の限られた空間に後付けで遠隔操縦装置100を容易に取り付けることができる。
【0078】
(4)第1接続部48、及び第2接続部148の配置
図5には、第1アクチュエータ31が接続される第1伝達装置41の第1接続部48、及び第2アクチュエータ131が接続される第2伝達装置141の第2接続部148が示されている。図5の平面図において、第1駆動軸51を含み鉛直に伸びる仮想平面は、中心軸X0と重なっており、仮想平面Mである。また、第2駆動軸151を含み鉛直に伸びる仮想平面は、中心軸Y0と重なっており、仮想平面Lである。
【0079】
図5では、仮想平面Mと仮想平面Lとが交差して4つの領域が画定されている。第1接続部48、及び第2接続部148の両方は、4つの領域の内、図5の右下の領域、すなわち領域XY1に含まれている。この配置により、遠隔駆動装置100を操作レバー1に対して、車両前後方向の何れか一方、及び車両左右方向の何れか一方の領域範囲に納めることができ、操作レバー1周辺の限られた空間に後付けで遠隔駆動装置100を容易に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0080】
右側の遠隔駆動装置関連
1 操作レバー
30,130 第1操作機構,第2操作機構
31,131 第1アクチュエータ,第2アクチュエータ
32,132 第1回転軸,第2回転軸
41,141 第1伝達装置,第2伝達装置
51,151 第1駆動軸,第2駆動軸
52,152 第1回転出力部,第2回転出力部
53,153 第1伝達部,第2伝達部
54,154 第1歯部,第2歯部
61,161 第1検出器,第2検出器
63,163 第1回転部,第2回転部
71,171 第1方向用ガイド部材,第2方向用ガイド部材
100 右側の遠隔駆動装置
K 方向視
J 仮想平面
L 仮想平面
M 仮想平面
左側の遠隔駆動装置関連
201 操作レバー
230,330 第1操作機構,第2操作機構
231,331 第1アクチュエータ,第2アクチュエータ
241,341 第1伝達装置,第2伝達装置
251,351 第1駆動軸,第2駆動軸
261,361 第1検出器,第2検出器
271,371 第1方向用ガイド部材,第2方向用ガイド部材
300 左側の遠隔駆動装置
その他の装置
500 作業機械の運転席
501 シート
502,503 コンソールボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13